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JP5682307B2 - 回転電機の固定子及びその製造方法 - Google Patents

回転電機の固定子及びその製造方法 Download PDF

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JP5682307B2 JP2010293602A JP2010293602A JP5682307B2 JP 5682307 B2 JP5682307 B2 JP 5682307B2 JP 2010293602 A JP2010293602 A JP 2010293602A JP 2010293602 A JP2010293602 A JP 2010293602A JP 5682307 B2 JP5682307 B2 JP 5682307B2
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Description

本発明は、例えば車両に搭載される回転電機の固定子及びその製造方法に関する。
回転電機の固定子として、例えば特許文献1に開示されているように、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、スロットに挿入配置された複数のセグメント導体の所定の開放端部の端末部同士が固定子コアの軸方向の一端側で溶接により接続されて固定子コアに巻装された固定子巻線と、を備えたものが知られている。
この場合、固定子巻線を構成するセグメント導体は、一対の脚部とそれぞれの脚部の一端部同士を連結するターン部とからなる略U字状に形成されている。このセグメント導体は、固定子コアの所定スロットピッチ離れた所定のスロット内に、一対の脚部が固定子コアの軸方向端面の一方側から挿入される。そして、スロットの軸方向他端側に突出した一対の脚部の開放端部を、スロットの軸方向に対して所定角度傾斜して延びるように折り曲げて傾斜部を形成し、その後、所定のセグメント導体の傾斜部の先端(開放端部の端末部)に形成された接合部同士を溶接して接続することにより、固定子巻線を形成する。
特開2001−211621号公報
ところで、上記特許文献1に開示された技術においては、図27に示すように、セグメント導体23Aの開放端部の端末部同士を溶接して接続する際に、電極63Aをセグメント導体23Aの開放端部の端末部に接触させる時に必要以上の力が作用すると、セグメント導体23Aの開放端部が変形するという問題がある。具体的には、必要以上の力が作用したセグメント導体23Aが所定の位置からずれるように変形すると、以下のような問題が発生する。即ち、(1)固定子巻線の外郭寸法が大きくなり、所定のスペースに配置できない。(2)セグメント導体23Aの開放端部がずれる時に絶縁被膜の損傷が発生し絶縁性が低下する。
また、電極で溶接部を確実に挟み込むために、固定子コアの周方向に隣接する溶接部間における固定子巻線側及び電極側の両方の寸法精度を高めなければならないので、工数の低減や設備コストの低減が困難となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、セグメント導体の開放端部の端末部同士を溶接して接続する際に、セグメント導体の位置ずれによる変形を抑制するとともに、工数の低減や設備コストの低減を可能にした回転電機の固定子及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、前記スロットに挿入配置された複数のセグメント導体の開放端部の端末部同士が前記固定子コアの軸方向の少なくとも一方側で溶接により接続されて前記固定子コアに巻装された固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子において、前記セグメント導体の前記スロットから軸方向の外部に延出する前記開放端部は、前記固定子コアの周方向に所定の角度をもって斜めに斜行するように折り曲げられた斜行部を有し、該斜行部は、前記固定子コアの軸方向端面に対して傾斜した第1斜行部と該第1斜行部とは前記軸方向端面に対する傾斜が異なる第2斜行部とのみからなることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、セグメント導体のスロットから軸方向の外部に延出する開放端部は、固定子コアの周方向に所定の角度をもって斜めに斜行するように折り曲げられた斜行部を有し、斜行部は、固定子コアの軸方向端面に対して傾斜した第1斜行部と第1斜行部とは前記軸方向端面に対する傾斜が異なる第2斜行部とのみからなる。そのため、セグメント導体の開放端部の端末部同士を溶接して接続する際に、電極をセグメント導体の開放端部の端末部に接触させる時に必要以上の力が作用した時でも、第1斜行部と第2斜行部のみからなる斜行部が撓む(弾性変形する)ことで寸法吸収し、セグメント導体の位置ずれによる変形が抑制される。これにより、溶接電極の位置精度を緩和することができるので、設備のコストを低減することができる。さらに、周方向に隣接する溶接部間の距離も、斜行部が撓むことでなじみ易くなり、その分、溶接部間の位置精度も緩和することができるので、工数低減によるコスト低減も可能となる。
したがって、本発明によれば、セグメント導体の開放端部の端末部同士を溶接して接続する際に、セグメント導体の位置ずれによる変形を抑制することができ、工数の低減や設備コストの低減が可能になる。また、本発明によれば、第1斜行部及び第2斜行部が、固定子コアの軸方向端面に対して傾斜するように設けられることから、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した際に、斜行部の十分な撓み量(弾性変形量)を確保することができる。
なお、本発明において、固定子巻線を構成するセグメント導体として、例えば、一対の脚部とそれぞれの脚部の一端部同士を連結するターン部とからなる略U字形状のもの、スロットに挿入される直線状のスロット挿入部とスロット挿入部の両端からそれぞれ反対方向に所定角度傾斜するように折り曲げられた一対の斜行部とからなる略S字形状のもの等を採用することができる。略U字形状のセグメント導体は、固定子コアに対して、軸方向一端側にのみ斜行部が位置するようにスロットに挿入配置されるので、開放端部の端末部同士の溶接接続が固定子コアの軸方向一端側でのみ行われる。また、略S字形状のセグメント導体は、固定子コアに対して、軸方向両端側にそれぞれ斜行部が位置するようにスロットに挿入配置されるので、開放端部の端末部同士の溶接接続が固定子コアの軸方向両端側で行われる。
また、本発明においては、隣り合う斜行部の間に、隙間が形成されていても形成されていなくてもどちらでもよい。隣り合う斜行部の間に隙間が形成されている場合には、斜行部の撓み量(弾性変形量)を大きく設定することができる。一方、隣り合う斜行部の間に隙間が形成されていない場合には、固定子巻線のコイルエンド部(固定子コアの端面から突出した部分)を密な状態にすることができるので、固定子巻線の体格を小さくすることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、前記斜行部は、湾曲状に延びる前記第1斜行部と湾曲状に延びる前記第2斜行部とを有するS字形状に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、S字形状に形成された斜行部は、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した時に、容易に撓むことができる形状であるため、セグメント導体の位置ずれによる変形をより確実に抑制することができる。また、S字形状の斜行部は、セグメント導体の開放端部の端末部を保持して開放端部を固定子コアの周方向に折り曲げる加工を施すことによって、斜行部を形成すると同時に、斜行部をS字形状に簡単に形成することができる。そのため、加工コストの低減化に有利となる。
請求項3に記載の発明は、前記斜行部は、直線状に延びる前記第1斜行部と直線状に延びる前記第2斜行部とを有するくの字形状に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、くの字形状に形成された斜行部は、S字形状の場合と同様に、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した時に、容易に撓むことができる形状であるため、セグメント導体の位置ずれによる変形をより確実に抑制することができる。特に、くの字形状の場合には、第1斜行部と第2斜行部との間に位置する部位が隣接する他の斜行部と接触する時に点当たりになるので、S字形状に比べて、セグメント導体の位置ずれによる変形を抑制する上での信頼性が向上する。
請求項に記載の発明は、前記斜行部は、周方向に隣接する他の前記斜行部と1箇所で接触する形状に形成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、斜行部が、周方向に隣接する他の斜行部と1箇所で接触する形状に形成されていることから、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した際に、当該斜行部と他の斜行部とが接触した1箇所が支点となって、当該斜行部が更に撓むことができる。これにより、セグメント導体の位置ずれによる変形をより有利に抑制することが可能となる。
請求項に記載の発明は、前記斜行部の前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位は、周方向に隣接する他の前記斜行部と接触する部位であり、隣り合う前記第1斜行部間及び隣り合う前記第2斜行部間には隙間が形成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、隣り合う第1斜行部間及び隣り合う第2斜行部間に形成された隙間によって、斜行部の撓みを確実に発生させることができる。なお、隙間が大きくなる程、斜行部の撓み量が大きくなる。
請求項に記載の発明は、前記隙間は、前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位から遠ざかるに従って大きくなることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、隙間が、第1斜行部と第2斜行部との間に位置する部位(他の斜行部との接触部)から遠ざかるに従って大きくなるように設定されていることによって、斜行部の撓みを確実に発生させることができる。
請求項に記載の発明は、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、前記スロットに挿入配置された複数のセグメント導体の所定の開放端部の端末部同士が前記固定子コアの軸方向の少なくとも一端側で溶接により接続されて前記固定子コアに巻装された固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子の製造方法において、前記固定子コアの所定の前記スロットに前記セグメント導体を挿入配置するセグメント導体配置工程と、前記セグメント導体の前記スロットから軸方向の外部に延出した前記開放端部を前記固定子コアの周方向に折り曲げて、前記固定子コアの軸方向端面に対して所定の角度をもって斜めに斜行するように傾斜した第1斜行部及び該第1斜行部とは前記軸方向端面に対する傾斜が異なる第2斜行部のみからなる斜行部を形成する斜行部形成工程と、接続すべき所定の前記開放端部の端末部の位置を揃える位置揃え工程と、位置揃えされた所定の前記開放端部の端末部同士を溶接して接続する溶接工程と、溶接で接続された接続部に絶縁処理を施す絶縁処理工程と、を備えていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、斜行部形成工程において、セグメント導体のスロットから軸方向の外部に延出した開放端部を固定子コアの周方向に折り曲げて、固定子コアの軸方向端面に対して所定の角度をもって斜めに斜行するように傾斜した第1斜行部及び該第1斜行部とは軸方向端面に対する傾斜が異なる第2斜行部のみからなる斜行部を形成する。そのため、位置揃え工程及び溶接工程において、位置揃え治具や溶接電極などにより、セグメント導体の開放端部の端末部に必要以上の軸方向の力が掛けられた時でも、第1斜行部と第2斜行部とを備えた斜行部が撓む(弾性変形する)ことで寸法吸収し、セグメント導体の位置ずれによる変形を抑制することができる。これにより、位置揃え治具や溶接電極の位置精度を緩和することができるので、設備のコストを低減することができる。さらに、周方向に隣接する溶接部間の距離も、斜行部が撓むことでなじみ易くなり、その分、溶接部間の位置精度も緩和することができるので、工数低減によるコスト低減も可能となる。また、本発明によれば、第1斜行部及び第2斜行部が、固定子コアの軸方向端面に対して傾斜するように設けられることから、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した際に、斜行部の十分な撓み量(弾性変形量)を確保することができる。
請求項に記載の発明は、前記斜行部形成工程は、曲線状の前記第1斜行部と曲線状の前記第2斜行部とを有するS字形状の前記斜行部を形成することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、S字形状に形成された斜行部は、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した時に、容易に撓むことができる形状であるため、セグメント導体の位置ずれによる変形をより確実に抑制することができる。また、S字形状の斜行部は、セグメント導体の開放端部の端末部を保持して開放端部を固定子コアの周方向に折り曲げる加工を施すことによって、斜行部を形成すると同時に、斜行部をS字形状に簡単に形成することができる。そのため、加工コストの低減化に有利となる。
請求項に記載の発明は、前記斜行部形成工程は、直線状の前記第1斜行部と直線状の前記第2斜行部とからなるくの字形状の前記斜行部を形成することを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、くの字形状に形成された斜行部は、S字形状の場合と同様に、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した時に、容易に撓むことができる形状であるため、セグメント導体の位置ずれによる変形をより確実に抑制することができる。特に、くの字形状の場合には、第1斜行部と第2斜行部との間に位置する部位が隣接する他の斜行部と接触する時に点当たりになるので、S字形状に比べて、セグメント導体の位置ずれによる変形を抑制する上での信頼性が向上する。
請求項10に記載の発明は、前記斜行部形成工程では、前記斜行部を、完成時の固定子巻線において周方向に隣接する他の前記斜行部と1箇所で接触する形状に形成することを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、斜行部が、周方向に隣接する他の斜行部と1箇所で接触する形状に形成されていることから、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した際に、当該斜行部と他の斜行部とが接触した1箇所が支点となって、当該斜行部が更に撓むことができる。これにより、セグメント導体の位置ずれによる変形をより有利に抑制することが可能となる。
請求項11に記載の発明は、前記斜行部形成工程では、完成時の固定子巻線における前記斜行部の前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位が周方向に隣接する他の前記斜行部と接触可能となり、隣り合う前記第1斜行部間及び隣り合う前記第2斜行部間には隙間が形成されるように前記斜行部を形成することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、隣り合う第1斜行部間及び隣り合う第2斜行部間に隙間が形成されることによって、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した時に、斜行部の撓みを確実に発生させることができる。なお、隙間を大きくする程、斜行部の撓み量が大きくなる。
請求項12に記載の発明は、前記隙間は、前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位から遠ざかるに従って大きくなるように形成されることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、隙間が、第1斜行部と第2斜行部との間に位置する部位(他の斜行部との接触部)から遠ざかるに従って大きくなるように形成されることによって、セグメント導体の開放端部の端末部に軸方向の力が作用した時に、斜行部の撓みを確実に発生させることができる。
実施形態1に係る車両用交流発電機の軸方向断面図である。 実施形態1に係る固定子の全体斜視図である。 実施形態1に係る固定子の部分的な断面図である。 実施形態1に係るセグメント導体の模式的斜視図である。 実施形態1において固定子コアのスロットにセグメント導体を挿入する状態を示す説明図である。 実施形態1において接合側エンド部の外端層に位置するセグメント導体の配置状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の接合側エンド部の一部を示す斜視図である。 実施形態1においてセグメント導体が収容される固定子コアのスロットを説明するための固定子の部分断面図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の各工程を示すブロック図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の斜行部形成工程終了時の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の位置揃え工程開始時の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の位置揃え工程実施中の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の位置揃え工程終了時の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程開始時の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程実施中の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程実施中の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程実施中の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程実施中の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程終了時の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の溶接工程終了後の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る固定子の製造方法の絶縁処理工程終了後の状態を示す説明図である。 実施形態2に係る固定子の接合側エンド部の一部を示す斜視図である。 実施形態2において接合側エンド部の外端層に位置するセグメント導体の配置状態を示す説明図である。 実施形態3に係る固定子の接合側エンド部の一部を示す斜視図である。 実施形態3に係る固定子巻線を構成するセグメント導体の正面図である。 他の実施形態において固定子コアのスロットにセグメント導体を挿入する状態を示す説明図である。 セグメント導体の開放端部の端末部同士を溶接して接続する際に不具合が発生した状態を示す説明図である。
以下、本発明に係る回転電機の固定子を車両用交流発電機の固定子に適用した実施形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る車両用交流発電機の軸方向断面図である。図2は、実施形態1に係る固定子の全体斜視図である。実施形態1に係る車両用交流発電機1は、固定子巻線が複数の略U字状のセグメント導体により構成された連結タイプのもので、図1に示すように、電機子として働く固定子2と、界磁として働く回転子3と、固定子2及び回転子3を収容し、締結ボルト4cによって連結、固定されたフロントハウジング4a及びリアハウジング4bと、交流電力を直流電力に変換する整流器5等を含んで構成されている。
固定子2は、図2に示すように、固定子コア22と、複数のセグメント導体23により構成された固定子巻線21と、固定子コア22及び固定子巻線21間を電気絶縁するインシュレータ24とを備えている。この固定子2は、フロントハウジング4a及びリアハウジング4b間で挟持されることにより固定されており、回転子3の外周側に所定の隙間を介して配置されている。固定子2の詳細な構造については後述する。
回転子3は、フロントハウジング4a及びリアハウジング4bに回転可能に支持されたシャフト33と一体になって回転するもので、ランデル型ポールコア32と、界磁コイル31とを備えている。なお、シャフト33の前端部には、自動車に搭載された走行用のエンジン(図示せず)に図示しないベルト等を介して連結されたプーリ20が固定されている。
ランデル型ポールコア32はフロント側及びリア側の一組のポールコア32a、32bを組み合わせて構成されている。各ポールコア32a、32bは、それぞれが6個の爪状磁極部32cを有し、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻回して構成された界磁コイル31を前後両側から挟み込むようにシャフト33に嵌挿されている。本実施形態では、ポールコア32a、32bは、各8個の磁極を持ち、即ち、16極の回転子3を形成している。
フロントハウジング4aの軸方向端面(前端面)及びリアハウジング4bの軸方向端面(後端面)には、吸入孔42a、42bがそれぞれ設けられている。そして、フロント側の吸入孔42aから吸い込んだ冷却風を軸方向及び径方向に吐き出すための斜流ファン35がフロント側のポールコア32aの前端面に溶接等により固着されている。同様に、リア側の吸入孔42bから吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すための遠心ファン36がリア側のポールコア32bの後端面に溶接等により固着されている。また、フロントハウジング4a及びリアハウジング4bには、固定子コア22の軸方向両端から突出した固定子巻線21のコイルエンド部に対向した部分に冷却風の吐出孔41がそれぞれ設けられている。
シャフト33の後端部近傍には、界磁コイル31の両端に電気的に接続されたスリップリング37、38が形成されており、これらのスリップリング37、38を介してブラシ装置7から界磁コイル31に対して給電が行われるようになっている。
上述した構成を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ20にエンジンからの回転力が伝えられると、回転子3がシャフト33と共に所定方向に回転する。この状態で、スリップリング37、38を介してブラシ装置7から回転子3の界磁コイル31に励磁電圧を印加することにより、ポールコア32a、32bのそれぞれの爪状磁極部32cが励磁されて、回転子3の回転周方向に沿って交互にNS磁極が形成される。これにより、固定子巻線21に三相交流電圧を発生させることができ、整流器5の出力端子から所定の直流電流を取り出すことができる。
次に、固定子2の詳細について説明する。図3は、実施形態1に係る固定子の部分的な断面図である。図4は、実施形態1に係るセグメント導体の模式的斜視図である。図5は、実施形態1において固定子コアのスロットにセグメント導体を挿入する状態を示す説明図である。図6は、実施形態1において接合側エンド部の外端層に位置するセグメント導体の配置状態を示す説明図である。図7は、実施形態1に係る固定子の接合側エンド部の一部を示す斜視図である。図8は、実施形態1においてセグメント導体が収容される固定子コアのスロットを説明するための固定子の部分断面図である。
なお、以下の説明において、軸方向とは、固定子コア22の軸方向を意味し、径方向とは、固定子コア22の径方向を意味し、周方向とは、固定子コア22の周方向を意味するものとする。
固定子コア22には、多相の固定子巻線21を収容できるように、断面略矩形状の複数のスロット25が形成されている。本実施形態では、回転子3の磁極数16に対応して、2組の3相の固定子巻線21を収容するように、96個のスロット25が周方向に等間隔に配置されている。
固定子コア22のスロット25に装備された固定子巻線21は、接合端部23f同士が互いに接合された複数の略U字状のセグメント導体23により構成されている。なお、セグメント導体23の外周には図示しない絶縁被膜が被覆されている。セグメント導体23は、図5に示すように、一対の脚部23g、23gとそれぞれの脚部23g、23gの一端部同士を連結するターン部23hとからなるU字形状のものが採用されている。このU字形状のセグメント導体23は、一対の脚部23g、23gが所定のスロットピッチ離れた2個のスロット25内に軸方向に挿入された後、スロット25から軸方向の外部に延出する脚部23g、23gの開放端部が、周方向に所定の角度をもって斜めに斜行するように折り曲げられている。
これにより、各セグメント導体23は、図4に示すように、スロット25内に挿入、配置され軸方向に沿って直線状に延びる一対のスロット挿入部23a、23aと、各スロット挿入部23a、23aの一端同士を連結するように一体に設けられてスロット25の軸方向一端側(車両用交流発電機1のリア側で図1の右側。以下、同様)から突出するターン側エンド部23b(ターン部23h)と、各スロット挿入部23a、23aの他端に一体に設けられてスロット25の軸方向他端側(車両用交流発電機1のフロント側で図1の左側。以下、同様)から突出する一対の接合側エンド部23c、23cとから構成されている。
ターン側エンド部23bは、その先端に湾曲変形により形成された略V字状のターン部23dを有している。一方、各接合側エンド部23cは、屈曲変形により形成されて固定子コア22の軸方向端面に対して所定の角度をもって斜めに斜行する接合側斜行部23eと、この接合側斜行部23eの先端に一体に形成され、屈曲変形により形成された接合端部23fとを有している。
接合側斜行部23eは、第1斜行部231eと、第1斜行部231eとは傾斜が異なる第2斜行部232eとを備えている。本実施形態では、図6に示すように、接合側斜行部23eは、湾曲状に延びる第1斜行部231eと湾曲状に延びる第2斜行部232eとを有するS字形状に形成されている。具体的には、第1斜行部231eは、固定子コア22の軸方向端面に近い側(図6の下方側)にある曲率中心を中心にして描かれる円弧(上弦の弧)に沿って湾曲状に形成されている。一方、第2斜行部232eは、固定子コア22の軸方向端面から遠い側(図6の上方側)にある曲率中心を中心にして描かれる円弧(下弦の弧)に沿って湾曲状に形成されている。これにより、接合側斜行部23eは、接合端部23fに軸方向の力が作用したときに、周方向に隣接する他の接合側斜行部23eと1箇所で接触する形状にされている。
固定子コア22の各スロット25には、それぞれ偶数本(本実施形態では4本)の電気導体(各セグメント導体23のスロット挿入部23a)が収容されている。また、一のスロット25内の4本の電気導体は、図3に示すように、径方向に沿って内側から内端層、内中層、外中層、外端層の順で一列に配列されている。なお、一のスロット25内の4本の電気導体は同相の固定子巻線21を形成している。
各スロット25内に収容されたこれらの電気導体が所定のパターンで接続されることにより、固定子巻線21が形成される。なお、本実施形態では、スロット25内の電気導体は、軸方向一端側のターン側エンド部23bにおいては、ターン部23dを経由することにより、また、軸方向他端側の接合側エンド部23cにおいては、接合端部23f同士をアーク溶接によって接合することにより、電気的に接続されている。即ち、固定子コア22の軸方向一端側には、スロット25から突出した多数のターン部23dによって第1コイルエンド群が形成され、固定子コア22の軸方向他端側には、スロット25から突出した多数の接合側エンド部23cによって第2コイルエンド群が形成されている(図7参照)。
各スロット25内の1本の電気導体は、所定の磁極ピッチ離れた他のスロット25内の1本の他の電気導体と対をなしている。
例えば、図8に示すように、一のスロット25内の内端層の電気導体231aは、固定子コア22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ(NS磁極ピッチ)離れた他のスロット25内の外端層の電気導体231bと対をなしている。同様に、一のスロット25内の内中層の電気導体232aは固定子コア22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット25内の外中層の電気導体232bと対をなしている。そして、固定子コア22の軸方向一端側のターン側エンド部23bにおいて、これらの対をなす電気導体、すなわち内端層の電気導体231aと外端層の電気導体231bとはターン部23d(231c)を経由することにより接続され、また、内中層の電気導体232aと外中層の電気導体232bとはターン部23d(232c)を経由することにより接続されている。
したがって、固定子コア22の軸方向一端側においては、内中層の電気導体232aと外中層の電気導体232bとを接続するターン部23d(232c)を、内端層の電気導体231aと外端層の電気導体231bとを接続するターン部23d(231c)が囲むこととなる。このように、固定子コア22の軸方向一端側においては、対をなす電気導体同士の接続部としてのターン部23d(232c)が、同じスロット25内に収容された他の対をなす電気導体同士の接続部としてのターン部23d(231c)により囲まれる。そして、内中層の電気導体232aと外中層の電気導体232bとを接続するターン部23d(232c)により中層コイルエンドが形成され、また、内端層の電気導体231aと外端層の電気導体231bとを接続するターン部23d(231c)により端層コイルエンドが形成される。
一方、一のスロット25内の内中層の電気導体232aは、固定子コア22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット25内の内端層の電気導体231a’とも対をなしている。同様に、一のスロット25内の外端層の電気導体231b’は、固定子コア22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット25内の外中層の電気導体232bとも対をなしている。そして、固定子コア22の軸方向他端側の接合側エンド部23bにおいて、これらの対をなす電気導体、すなわち内中層の電気導体232aと内端層の電気導体231a’とは接合端部23f同士(232dと231d’)の接合により接続され、また、外端層の電気導体231b’と外中層の電気導体232bとは接合端部23f同士(231e’と232e)の接合により接続されている。
したがって、固定子コア22の軸方向他端側においては、内中層の電気導体232a及び内端層の電気導体231a’を接続する内側接合部(接合端部232d及び231d’により構成されるもの)と、外端層の電気導体231b’及び外中層の電気導体232bを接合する外側接合部(接合端部231e’及び232eにより構成されるもの)とが、径方向及び周方向に互いにずれた状態で配置されている。そして、内中層の電気導体232a及び内端層の電気導体231a’を接続する内側接合部(接合端部232d及び231d’により構成されるもの)と、外端層の電気導体231b’及び外中層の電気導体232bを接合する外側接合部(接合端部231e’及び232eにより構成されるもの)とにより、異なる同心円上に配置された2つの隣接層コイルエンドが形成される。なお、外側接合部及び内側接合部には、これらの接合部の互いの絶縁と保持のために、絶縁材によるコーティングがなされている。
さらに、図3に示すように、内端層の電気導体231aと外端層の電気導体231bとが、一連の導電体をほぼU字状に成形してなる大セグメント231(図5参照)により提供される。そして、内中層の電気導体232aと外中層の電気導体232bとが一連の導電体を略U字状に成形してなる小セグメント232(図5参照)により提供される。なお、基本となる略U字状のセグメント導体23は、大セグメント231及び小セグメント232によって構成される。
以上の構成を、全てのスロット25の基本となるセグメント導体23について繰り返す。 なお、固定子巻線21の各相について、基本となるセグメント導体23により、固定子コア22の周りを2周する巻線(コイル)が形成される。しかし、固定子巻線21の各相について、出力用引き出し線及び中性点用引き出し線を一体に有するセグメント、並びに1周目と2周目とを接続するターン部を有するセグメントは、基本となるセグメント導体23とは異なる異形セグメントで構成される。これら異形セグメントを用いて、固定子巻線21の各相の巻線端が星型結線により結線される。
次に、固定子2の製造方法について図8〜図21を参照しつつ説明する。本実施形態の固定子2の製造方法は、図9に示すように、セグメント導体配置工程101と、斜行部形成工程102と、位置揃え工程103と、溶接工程104と、絶縁処理工程105とを順に行う。
まず、セグメント導体配置工程101では、固定子コア22の所定のスロット25に、所定のセグメント導体23を軸方向に挿入して配置する(図5参照)。このとき、U字形状のセグメント導体23は、一対の脚部23g、23gが所定の磁極ピッチ離れた所定の2つのスロット25に、挿入後方側にあるターン部23hの両端部が固定子コア22の端面に近接する位置まで挿入する。これにより、各脚部23g、23gの挿入先端側の開放端部は、スロット25から軸方向の外部に所定長さ延出した状態になる。
次の斜行部形成工程102では、セグメント導体23のスロット25から軸方向外部に延出した開放端部の端末部を保持して、その開放端部を周方向に屈曲変形させる。これにより、固定子コア22の軸方向端面に対して所定角度をもって斜めに斜行する接合側斜行部23eと、この接合側斜行部23eの先端に一体に形成され、屈曲変形により形成された接合端部23fとを形成する(図4及び図6参照)。
接合側斜行部23eは、スロット挿入部23a側の第1屈曲部23jと接合端部23f側の第2屈曲部23kとの間に、湾曲状に延びる第1斜行部231eと湾曲状に延びる第2斜行部232eとを有するS字形状に形成される。この場合、隣り合う接合側斜行部23eの間には隙間が形成されている。この接合側斜行部23eは、S字形状に形成されていることによって、接合端部23fに軸方向の力が作用した際に、周方向に隣接する他の接合側斜行部23eと1箇所で接触するようにされている。これにより、接合端部23fに軸方向の力が作用した際に、接合側斜行部23eの撓みを容易に且つ確実に発生させることができる。なお、接合端部23fは、スロット挿入部23aと平行に軸方向に延びるように形成される。
このようにして、スロット25に挿入配置された全てのセグメント導体23の開放端部に対して、接合側斜行部23e及び接合端部23fを形成する加工を施し、斜行部形成工程102を終了する。なお、開放端部の屈曲加工時には、スプリングバックが発生し易いことから、斜行部形成工程102終了時においては、図10に示すように、セグメント導体23の開放端部の端末部(接合端部23f)の軸方向位置が不揃いになり易い。そのため、溶接工程104を行う前に、次の位置揃え工程103を行う。
位置揃え工程103は、図11〜図13に示すように、平面状の位置揃え面51aを有する位置揃え治具51を用いて行う。この場合、接続すべきセグメント導体23の開放端部の端末部(接合端部23f)の上方に、接合端部23fと位置揃え面51aが軸方向に対向するように位置揃え治具51を配置する。なお、接続すべき接合端部23fは径方向に並んでおり、図11〜図13には、外端層の接合端部23fのみが記載されている。
次いで、位置揃え治具51を下降させ、位置揃え面51aで接合端部23fを近いものから順に押圧する。このとき、接合端部23fが軸方向に押圧されると、接合側斜行部23eが撓むことによって寸法吸収され、セグメント導体23の位置ずれによる変形が抑制される。これにより、軸方向位置が不揃いの状態で径方向に並んでいた接続すべき接合端部23fの軸方向位置が揃えられた状態になり、その状態で位置揃え工程103を終了する(図13)。
次の溶接工程104では、まず、図14に示すように、位置揃え治具51で位置揃えされた接合端部23fに対してアース電極61を装着し、それら接合端部23fをアース電極61で位置固定した後、位置揃え治具51を上昇させて退避させる(図15)。なお、接合端部23fにアース電極61を装着したときには、接合端部23fが位置揃え治具51により安定した状態で位置揃えされているので、セグメント導体23の位置ずれによる変形は発生しない。
その後、図16に示すように、溶接電極63を下降させて、接続すべき接合端部23fと所定距離を隔てて対向するように溶接電極63をセットする(図17)。次いで、図18に示すように、接続すべき接合端部23fのそれぞれに対して、溶接電極63からアークAを放射させてアーク溶接を行う。これにより、図19に示すように、放射されたアークAにより接合端部23fに溶融部65が形成され、接続すべき接合端部23fが溶融部65で接合される。その後、アース電極61及び溶接電極63を退避させて、溶接工程104を終了する(図20)。
次の絶縁処理工程105では、溶接工程104で溶接により接合された接合端部23f及びその周辺の導体露出部の絶縁処理を行う。本実施形態では、導体露出部及びその近傍の絶縁被膜の表面に粉体樹脂を塗布し、塗布した粉体樹脂を熱で溶融固化させる。これにより、図21に示すように、導体露出部及びその近傍の絶縁被膜の表面が溶融固化した粉体樹脂71で被覆されることにより、電気的に絶縁される。
絶縁処理工程105終了後、必要に応じて適宜処理を施し、固定子2を完成させる。
以上のように、本実施形態の固定子2によれば、固定子巻線21を構成するセグメント導体23のスロット25から軸方向の外部に延出する開放端部には、第1斜行部231eと第2斜行部232eとを備えた接合側斜行部23eが設けられている。そのため、セグメント導体23の接合端部23f同士を溶接して接続する際に、位置揃え治具51や電極61、63等により軸方向の必要以上の力が接合端部23fに作用した時でも、接合側斜行部23eが撓むことで寸法吸収することができる。これにより、セグメント導体23の位置ずれによる変形を抑制することができる。
また、電極6163の位置精度を緩和することができるので、設備のコストを低減することができる。さらに、周方向に隣接する溶接部間の距離も、接合側斜行部23eが撓むことでなじみ易くなり、その分、溶接部間の位置精度も緩和することができるので、工数低減によるコスト低減も可能となる。
特に、本実施形態では、接合側斜行部23eは、湾曲状に延びる第1斜行部231eと湾曲状に延びる第2斜行部232eとを有するS字形状に形成されている。そのため、接合端部23fに軸方向の力が作用した時に、接合側斜行部23eが容易に撓むことができるので、セグメント導体23の位置ずれによる変形をより確実に抑制することができる。また、S字形状の接合側斜行部23eは、接合端部23fを保持してセグメント導体23の開放端部を周方向に折り曲げる加工を施すことによって、接合側斜行部23eを形成すると同時に、接合側斜行部23eをS字形状に簡単に形成することができる。そのため、加工コストの低減化に有利となる。
さらに、接合側斜行部23eは、周方向に隣接する他の接合側斜行部23eと1箇所で接触する形状に形成されていることから、接合端部23fに軸方向の力が作用した際に、その接合側斜行部23eと他の接合側斜行部23eとが接触した1箇所が支点となって、その接合側斜行部23eが更に撓むことができる。これにより、セグメント導体23の位置ずれによる変形をより有利に抑制することができる。
また、本実施形態では、第1斜行部231e及び第2斜行部232eは、固定子コア22の軸方向端面に対して傾斜していることから、接合端部23fに軸方向の力が作用した際に、接合側斜行部23eの十分な撓み量(弾性変形量)を確保することができる。
〔実施形態2〕
図22は、実施形態2に係る固定子の接合側エンド部の一部を示す斜視図である。図23は、実施形態2において接合側エンド部の外端層に位置するセグメント導体の配置状態を示す説明図である。
実施形態1では、接合側斜行部23eが、湾曲状に延びる第1斜行部231eと湾曲状に延びる第2斜行部232eとを有するS字形状に形成されていたが、実施形態2では、接合側斜行部23e’が、直線状に延びる第1斜行部231e’と直線状に延びる第2斜行部232e’とを有するくの字形状に形成されている。
このようにした場合にも、S字形状の場合と同様に、セグメント導体23の開放端部の端末部(接合端部23f)に軸方向の力が作用した時に、接合側斜行部23e’が容易に撓むことができる形状であるため、セグメント導体23の位置ずれによる変形をより確実に抑制することができる。
特に、実施形態2のようにくの字形状の場合には、第1斜行部231e’と第2斜行部232e’との間に位置する部位が隣接する他の接合側斜行部23e’と接触する時に点当たりになるので、S字形状に比べて、セグメント導体23の位置ずれによる変形を抑制する上での信頼性が向上する。
また、実施形態2では、接合側斜行部23e’の第1斜行部231e’と第2斜行部232e’との間に位置する部位は、周方向に隣接する他の接合側斜行部23e’と接触する部位であり、隣り合う第1斜行部231e’間及び隣り合う第2斜行部232e’間には隙間が形成されている。そのため、隣り合う第1斜行部231e’間及び隣り合う第2斜行部232e’間に形成された隙間によって、接合側斜行部23e’の撓みを確実に発生させることができる。
さらに、実施形態2では、隣り合う第1斜行部231e’間及び隣り合う第2斜行部232e’間に形成された隙間は、第1斜行部231e’と第2斜行部232e’との間に位置する部位から遠ざかるに従って大きくなるようにされているため、接合側斜行部23e’の撓みを確実に発生させることができる。
〔実施形態3〕
図24は、実施形態3に係る固定子の接合側エンド部の一部を示す斜視図である。図25は、実施形態3に係る固定子巻線を構成するセグメント導体の正面図である。
実施形態1では、固定子巻線21を構成するセグメント導体23は、U字形状のものが採用され、固定子コア22の軸方向一端側でのみ開放端部の端末部同士を溶接して接続するようにされていた。U字形状のセグメント導体23に代えて、図25に示すような、軸方向の両側に開放端部を有するS字形状のセグメント導体23”を採用してもよい。このセグメント導体23”は、スロット25内に挿入、配置され軸方向に沿って直線状に延びるスロット挿入部23a”と、スロット挿入部23a”の一端に一体に設けられてスロット25の軸方向一端側(図24の上側)から突出する第1開放端部23b”と、スロット挿入部23a”の他端に一体に設けられてスロット25の軸方向他端側(図24の下側)から突出する第2開放端部23c”とから構成されている。
第1開放端部23b”は、実施形態1の接合側エンド部23c(開放端部)と同様に、屈曲変形により形成されて固定子コア22の軸方向端面に対して所定の角度をもって斜めに斜行する接合側斜行部23e”と、この接合側斜行部23e”の先端に一体に形成され、屈曲変形により形成された接合端部23f”とを有している。接合側斜行部23e”は、湾曲状に延びる第1斜行部231e”と湾曲状に延びる第2斜行部232e”とを有するS字形状に形成されている。
一方、第2開放端部23c”は、第1開放端部23b”と2回回転対称の関係に形成されており、屈曲変形により形成されて固定子コア22の軸方向端面に対して所定の角度をもって斜めに斜行する接合側斜行部23e”と、この接合側斜行部23e”の先端に一体に形成され、屈曲変形により形成された接合端部23f”とを有している。この接合側斜行部23e”も、湾曲状に延びる第1斜行部231e”と湾曲状に延びる第2斜行部232e”とを有するS字形状に形成されている。
実施形態3に係るS字形状のセグメント導体23”は、スロット25内に内径側から挿入配置した後、固定子コア22の軸方向両端面からそれぞれ外方へ突出する第1開放端部23b”及び第2開放端部23c”を、固定子コア22の軸方向両側で、それぞれ他の所定のセグメント導体23”の接合端部23f”と溶接して接続することによって、実施形態1の固定子巻線21と同様に結線された3相の固定子巻線21とされている。
以上のように構成された実施形態3の固定子2の場合にも、セグメント導体23”の第1開放端部23b”及び第2開放端部23c”が、第1斜行部231e”と第2斜行部232e”とを有するS字形状に形成されている。そのため、セグメント導体23”の接合端部23f”同士を溶接して接続する際に、セグメント導体23”の接合端部23f”に軸方向の力が作用した時に、接合側斜行部23eが容易に撓むことで寸法吸収することができる。これにより、セグメント導体23の位置ずれによる変形を抑制することができ、実施形態1の場合と同様の作用、効果を奏する。
〔他の実施形態〕
上記の実施形態1では、固定子巻線21を構成するセグメント導体23は、図5に示すように、基本となる略U字状のセグメント導体23として、大セグメント231と小セグメント232とを組み合わせたものが採用されているが、例えば図26に示すように、同一形状の2個のセグメント導体23A、23Bを組み合わせるようにしてもよい。
この場合、2個のセグメント導体23A、23Bは、それらの一対の脚部23g、23gが、同一のスロット25ではなく、隣接した2個のスロット25A、25Bに別々に挿入される。即ち、図26の右側にある2個のセグメント導体23A、23Bにおいて、一方のセグメント導体23Aは、一方の脚部23gが一のスロット25Aの外端層に挿入され、他方の脚部23gが固定子コア22の反時計回り方向に向けて1磁極ピッチ(NS磁極ピッチ)離れた他のスロット(図示せず)の外中層に挿入される。
そして、他方のセグメント導体23Bは、一方の脚部23gがスロット25Aと隣接したスロット25Bの外端層に挿入され、他方の脚部23gが固定子コア22の反時計回り方向に向けて1磁極ピッチ(NS磁極ピッチ)離れた他のスロット(図示せず)の外中層に挿入される。即ち、2個のセグメント導体23A、23Bは、周方向に1スロットピッチずれた状態に配置される。
これにより、セグメント導体23Aのターン部23hとセグメント導体23Bのターン部23hは、軸方向外方へ最も突出している中央部で交差しなくなるので、固定子コア22の一端面から突出しているターン部23hの突出高さを低くすることができる。
なお、本実施形態の場合にも、上記のようにして、各スロット25に、それぞれ偶数本(本実施形態では4本)の脚部23gが挿入され、一のスロット25内に4本の脚部23gが径方向に沿って一列に配列される。そして、それらセグメント導体23A、23Bの、スロット25から外部へ延出した脚部23g、23gの開放端部は、実施形態1の場合と同様に、周方向に所定の角度をもって斜めに斜行する所定形状(S字形状)の接合側斜行部23eを形成しつつ折り曲げられた後、所定のセグメント導体23の開放端部の端末部同士が溶接により接続されることによって固定子巻線21が形成される。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。また、上記の各実施形態では、本発明に係る回転電機の固定子を車両用交流発電機の固定子に適用した例を説明したが、本発明は、車両に搭載される回転電機として、発電機、あるいは電動機、さらには両者を選択的に使用しうる回転電機の固定子にも利用することができる。
1…車両用交流発電機(回転電機)、 2…固定子、 3…回転子、 4…ハウジング、 5…整流器、 21…固定子巻線、 22…固定子コア、 23、23”、23A、23B…セグメント導体、 231…大セグメント、 232…小セグメント、 23a…スロット挿入部、 23b…ターン側エンド部、 23b”…第1開放端部、 23c…接合側エンド部、 23c”…第2開放端部、 23d…ターン部、 23e、23e’、23e”…接合側斜行部(斜行部)、 231e、231e’、231e”…第1斜行部、 232e、232e’、232e”…第2斜行部、 23f、23f”…接合端部、 24…インシュレータ、 25、25A、25B…スロット、 51…位置揃え治具、 51a…位置揃え面、 61…アース電極、 63…溶接電極、65…溶融部、 71…粉体樹脂。

Claims (12)

  1. 周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、前記スロットに挿入配置された複数のセグメント導体の開放端部の端末部同士が前記固定子コアの軸方向の少なくとも一方側で溶接により接続されて前記固定子コアに巻装された固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子において、
    前記セグメント導体の前記スロットから軸方向の外部に延出する前記開放端部は、前記固定子コアの周方向に所定の角度をもって斜めに斜行するように折り曲げられた斜行部を有し、
    該斜行部は、前記固定子コアの軸方向端面に対して傾斜した第1斜行部と該第1斜行部とは前記軸方向端面に対する傾斜が異なる第2斜行部とのみからなることを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記斜行部は、湾曲状に延びる前記第1斜行部と湾曲状に延びる前記第2斜行部とを有するS字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記斜行部は、直線状に延びる前記第1斜行部と直線状に延びる前記第2斜行部とを有するくの字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記斜行部は、周方向に隣接する他の前記斜行部と1箇所で接触する形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記斜行部の前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位は、周方向に隣接する他の前記斜行部と接触する部位であり、隣り合う前記第1斜行部間及び隣り合う前記第2斜行部間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回転電機の固定子。
  6. 前記隙間は、前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位から遠ざかるに従って大きくなることを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子。
  7. 周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、前記スロットに挿入配置された複数のセグメント導体の所定の開放端部の端末部同士が前記固定子コアの軸方向の少なくとも一端側で溶接により接続されて前記固定子コアに巻装された固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子の製造方法において、
    前記固定子コアの所定の前記スロットに前記セグメント導体を挿入配置するセグメント導体配置工程と、
    前記セグメント導体の前記スロットから軸方向の外部に延出した前記開放端部を前記固定子コアの周方向に折り曲げて、前記固定子コアの軸方向端面に対して所定の角度をもって斜めに斜行するように傾斜した第1斜行部及び該第1斜行部とは前記軸方向端面に対する傾斜が異なる第2斜行部のみからなる斜行部を形成する斜行部形成工程と、
    接続すべき所定の前記開放端部の端末部の位置を揃える位置揃え工程と、
    位置揃えされた所定の前記開放端部の端末部同士を溶接して接続する溶接工程と、
    溶接で接続された接続部に絶縁処理を施す絶縁処理工程と、
    を備えていることを特徴とする回転電機の固定子の製造方法。
  8. 前記斜行部形成工程は、曲線状の前記第1斜行部と曲線状の前記第2斜行部とを有するS字形状の前記斜行部を形成することを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子の製造方法。
  9. 前記斜行部形成工程は、直線状の前記第1斜行部と直線状の前記第2斜行部とからなるくの字形状の前記斜行部を形成することを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子の製造方法。
  10. 前記斜行部形成工程では、前記斜行部を、完成時の固定子巻線において周方向に隣接する他の前記斜行部と1箇所で接触する形状に形成することを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の回転電機の固定子の製造方法。
  11. 前記斜行部形成工程では、完成時の固定子巻線における前記斜行部の前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位が周方向に隣接する他の前記斜行部と接触可能となり、隣り合う前記第1斜行部間及び隣り合う前記第2斜行部間には隙間が形成されるように前記斜行部を形成することを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子の製造方法。
  12. 前記隙間は、前記第1斜行部と前記第2斜行部との間に位置する部位から遠ざかるに従って大きくなるように形成されることを特徴とする請求項11に記載の回転電機の固定子の製造方法。
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