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JP5665010B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する画像記録方法として、種々の記録方法が利用されている。このうち、インクジェット記録方法は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット記録方法は騒音が小さいため、画像記録方式として優れている。
例えば、特許文献1には、反応剤及び光重合開始剤を含む反応液とアクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーを含むインク組成物とを、被記録媒体に付着させて、印字を行うインクジェット記録方法が開示されている。また、特許文献2には、水溶性の反応液を被記録媒体に付着させてから、油溶性の光硬化型インク組成物を被記録媒体に付着させた後、光硬化反応を実施するインクジェット記録方法が開示されている。
特許第3642152号明細書 特開2008−284826号公報
しかしながら、特許文献1において使用されているアクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーは、水に難溶であることにより分離が生じる虞がある。
特許文献2に記載の記録方法において、水溶性の反応液と油溶性のインクを使用することから、接触した際にインクは凝集するものの、斑が生じ、硬化後には印刷斑が目立つという問題があった。また、印字部分の盛り上がりが目立つため、印刷濃度にムラ(濃度斑)があるか、又は、印刷濃度が均一であっても薄いという問題もあった。
また、水性のインク組成物をインクジェット記録方法に使用する場合、一般に使用される印刷用紙がインクの浸透性の高いものから低いものまで多種あることから、印刷後に得られる画像は印刷用紙に大きく影響され、印刷用紙によっては濃度斑の発生するものや、印刷濃度が薄いものなどがあった。
そこで、本発明は、これらの課題を解決すべく、印字後の速乾性に優れ、インクの浸透性の異なる各種の印刷用紙に対しても印刷画像の濃度斑(印刷斑)の発生が無く、印刷濃度も高い、かつ、カールやコックリング等の紙皺が少ない、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することを目的の一つとする。
本願発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。本願発明者らは、インクジェット記録の過程における、被記録媒体上での水性光硬化型インク組成物(以下、単に「光硬化型インク組成物」ともいう。)の挙動に着目した。
従来のインクジェット記録方法では、インク組成物を記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)から吐出して被記録媒体上に着弾させて画像を形成する。水性光硬化型インク組成物を用いた場合は、このインク組成物が被記録媒体上に着弾した後に、少なくとも着弾部分に紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させることで画像形成を完了する。ここで、被記録媒体のインクの浸透性の違いによって印刷濃度やカラーブリード等に違いが見られた。特に、インクの浸透性が高い被記録媒体では印刷濃度が低くなる傾向にあり、インクの浸透性が低い被記録媒体ではカラーブリードや濃度斑が発生しやすい傾向にある。さらに、特に薄紙(坪量の小さい印刷用紙、例えば、普通紙や上質紙)の場合は、カールやコックリングが発生しやすいという課題がある。
そこで、本願発明者らは、このインクの被記録媒体への浸透性の違いによる異なる課題を解消し、同一の印刷濃度と画像品質の得られる方法を鋭意検討した。その結果、糖類とカチオン性の水溶性ポリマーを含有する水性液体を予め塗布した被記録媒体に水性光硬化型インク組成物をヘッドから吐出して着弾させ、所定の波長の紫外線を照射することで上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記のとおりである。
[1]
凝集剤、水溶性有機溶媒、糖類、水を少なくとも含む凝集液を、被記録媒体上に塗布する塗布工程と、着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、極性溶媒、並びに水を少なくとも含む水性光硬化型インク組成物を、記録ヘッドから吐出することにより、前記塗布工程後の被記録媒体上に該インク組成物を着弾させる吐出工程と、前記吐出工程後の水性光硬化型インク組成物を、光の照射により硬化させる硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
[2]
前記凝集剤がカチオン性水溶性ポリマーである、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
前記両親媒性の光重合性化合物が、ラジカル重合性基、親水性基、及び疎水性基をそれぞれ一以上有する化合物である、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
前記両親媒性の光重合性化合物が、両親媒性ウレタンアクリレートである、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[5]
前記両親媒性ウレタンアクリレートが、前記水性光硬化型インク組成物中でミセル構造を形成することにより乳化している、[4]に記載のインクジェット記録方法。
[6]
前記光重合開始剤が、380〜410nmの範囲にピーク波長を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[7]
前記光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤である、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[8]
前記浸透剤がグリコールエーテル類である、[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法により画像が形成された、記録物。
[10]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法を実施するためのインクジェット記録装置であって、凝集液タンク内の凝集剤、水溶性有機溶媒、糖類、及び水を少なくとも含む凝集液と、ローラの少なくとも一部と、が接し、該ローラが回転することにより前記凝集液を被記録媒体上に塗布する凝集液塗布手段と、着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、極性溶媒、及び水を少なくとも含む水性光硬化型インク組成物を記録ヘッドから吐出することにより、前記凝集液が塗布された前記被記録媒体上に前記水性光硬化型インク組成物を付着させるインク吐出手段と、前記被記録媒体上に付着した前記水性光硬化型インク組成物に光を照射して、前記水性光硬化型インク組成物を硬化させる光照射手段と、を有する、インクジェット記録装置。
[11]
前記光照射手段が、発光ダイオード照射ランプを有する、[10]に記載のインクジェット記録装置。
本発明の一実施形態のインクジェット記録装置を示す概略的な構成図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態はインクジェット記録方法に係り、後述の凝集液の塗布工程、水性光硬化型インク組成物の吐出工程及び硬化工程を含む。予め所定の凝集液を被記録媒体上に塗布しておき、その後、水性光硬化型インク組成物をヘッドから吐出して被記録媒体上に光硬化型インク組成物を着弾させることにより、光硬化型インク組成物中の固形成分(顔料等)を瞬時に凝集させることができる。さらに、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、被記録媒体のインクの浸透性の違いによる印刷濃度やカラーブリードに違いがなくなる。特に、インクの浸透性が高い被記録媒体においてもインクの浸透性の低い被記録媒体と同様の印刷濃度が得られ、また、インクの浸透性が低い被記録媒体においてもカラーブリードや濃度斑が抑制される。さらに、糖類とカチオン性の水溶性ポリマーを含有する水性液体(凝集液)を予め塗布した場合は、カールやコックリング等の紙皺が抑制される。
〔凝集液の塗布工程〕
凝集液を被記録媒体の表面に塗布する方法として、特に限定されないが、例えば、凝集液タンク内の凝集液とローラの少なくとも一部とが接し、ローラが回転することにより凝集液を被記録媒体上に塗布する方法、インクジェット方式による塗布(ヘッドからの凝集液の吐出)、ロールコーターによる塗布、リンガーロールによる塗布、バーコーターによる塗布、スプレーによる塗布、刷毛塗り等の方法が挙げられる。これらの中で、本実施形態による効果を一層有効かつ確実に奏する観点から、凝集液タンク内の凝集液とローラの少なくとも一部とが接し、ローラが回転することにより凝集液を被記録媒体上に塗布する方法が好ましい。
塗布する凝集液の好適な液量については後述する。
〔凝集液〕
凝集液は、少なくとも凝集剤、水、水溶性有機溶媒とからなり、さらに被記録媒体への濡れ性や浸透性を制御する目的で界面活性剤を含み、また、印刷後のカールやコックリングを抑制するために、紙のセルロース繊維の親水性基と水素結合を形成しやすい糖類を含む。糖類は凝集液の塗布工程で使用する塗布方法に応じて凝集液の粘度調整に使用することもできる。凝集液は予め被記録媒体上に塗布しておき、本実施形態の光硬化型インク組成物をヘッドから吐出して、被記録媒体上に塗布された凝集液中の凝集剤と接触することによって瞬時に凝集させることができる。
(凝集剤)
本実施形態において後述の凝集剤を用いることにより、光硬化型インク組成物に含まれるインク固形成分、即ち顔料、光重合性化合物を迅速かつ十分に凝集させることができる。
凝集剤として、特に限定されないが、例えば、ポリアリルアミン又はその誘導体、及び第4級アンモニウム塩ポリマー、第4級スルホウニウム塩ポリマー等のカチオン性の水溶性ポリマーならびに多価金属塩が挙げられる。これらの中でも、ポリアリルアミンまたはその誘導体および第4級アンモニウム塩ポリマー、第4級スルホウニウム塩ポリマー等のカチオン性の水溶性ポリマーを含む凝集液は、紙等の被記録媒体上に均一に塗布され、活、被記録媒体表面に残存しやすいことから効率的に凝集が起こりやすく、また、ローラ等で塗布するのに適した粘度に調整しやすいこと、さらに、紙表面ならびに紙中に存在することで印刷後のカールやコックリングが起こり難くなる。したがって、カチオン性の水溶性ポリマーが好ましい。
カチオン性の水溶性ポリマーは、水に可溶で水中において正電荷を呈する荷電基を有する構造の重量平均分子量5,000以上500,000以下のカチオン性高分子が好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量は、重量分率による分子量の平均であり下記数式により求められ、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定される。

(高分子中に分子量MIの分子がNi個存在する。)
当該カチオン性高分子として、以下の一般式(I)、一般式(II)、及び一般式(III)で表される化合物が挙げられる。

上記式中、Xは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硫酸イオン、又は酢酸イオン等を表す。また、nは、例えば100〜10,000の自然数である。
これら以外に、アリルアミンとジアリルアミンとのコポリマーや、ジアリルメチルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄とのコポリマーも、ポリアリルアミン又はその誘導体として使用可能である。
さらに、具体的には、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、アリルアミン塩酸塩−ジアリルアミン塩酸共重合体、ジアリルアミン塩酸塩−マレイン酸共重合体、ポリジアリルメチルアンモニウムクロライド、ジアリルメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩共重合体、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
ポリアリルアミン又はその誘導体の含有量は、凝集液の総量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましい。さらに、0.5〜20質量%であることが好ましい。ポリアリルアミン又はその誘導体の含有量が0.1質量%より少ないと本実施形態のインクと接触しても凝集しにくく、30質量%を超えると凝集液の粘度が高くなりすぎて被記録媒体に塗布しにくくなる場合がある。
次に、第4級アンモニウム塩ポリマーとして、特に限定されないが、例えば、水に可溶であり、且つポリマーの繰返し単位をなす鎖中に一以上の第4級アンモニウム塩を有するポリマーが挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーの具体例として、特に限定されないが、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシプロピルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−アクリロキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)の塩、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)の塩、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)の塩、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)の塩、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)の塩、ポリ(4−ビニル−N−メチルピリジニウムクロライド)、N,N−ジメチル置換3,5−メチルピペリジニウムクロライド樹脂、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)、及びポリ(ジエチルジアリルアンモニウムクロライド)ポリエチレンイミンハイドロクロライドが挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーの含有量は、凝集液の総量に対し、0.1〜30質量%であることが好ましい。さらに、0.5〜20質量%であることが好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの含有量が0.1質量%より少ないと本実施形態のインクと接触しても凝集しにくく、30質量%を超えると凝集液の粘度が高くなりすぎて被記録媒体に塗布しにくくなる場合がある。
上記の凝集剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本実施形態においては、多価金属塩も使用することができる。多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な化合物である。多価金属イオンの具体例としては、特に限定されないが、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、及びBa2+等の二価金属イオン、並びにAl3+、Fe3+、及びCr3+等の三価金属イオンが挙げられる。陰イオンの具体例としては、特に限定されないが、SO 2−、Cl、NO 、I、Br、ClO 、及びCHCOOが挙げられる。
これらの中でも、凝集液のpH及び画像の品質の観点から、Ca2+又はMg2+から構成される金属塩が好ましい。
多価金属塩の含有量は、画像の優れた品質、及び目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、凝集液の総量に対し、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは5〜25質量%である。
好ましい態様において、多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンと当該多価金属イオンに結合する硝酸イオン又はカルボン酸イオンとから構成され、且つ水に可溶な化合物である。ここで、カルボン酸イオンは、好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸又は炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸から誘導される化合物である。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸として、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、及びヘキサン酸が挙げられる。これらの中でも蟻酸又は酢酸が好ましい。
上記のモノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基における水素原子は、水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の例として、特に限定されないが、乳酸が挙げられる。また、炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸の例として、特に限定されないが、安息香酸及びナフトエ酸が挙げられ、好ましくは安息香酸である。
本発明の凝集液に用いる溶媒は、水及び水溶性有機溶媒を含むことが好ましく、さらに所望により他の成分を含むことができる。
(水溶性有機溶媒)
水溶性有機溶媒として、例えば、水溶性の高沸点有機溶剤及び低沸点有機溶剤が挙げられる。本発明の実施形態における凝集液が180℃以上の沸点を有する高沸点有機溶剤を含むことにより、凝集液の貯蔵タンク内での乾燥を回避し、塗布時の粘度を安定化できることから最適量を被記録媒体上に安定して塗布することができる。
一方、光硬化型インク組成物を着弾させるまでの時間内で凝集液の溶媒成分を乾燥させることが必要とされる場合や、凝集液と光硬化型インク組成物とを接触させて凝集させた後に紫外線照射して硬化させ、それから凝集液及び光硬化型インク組成物中の溶媒成分を短時間で乾燥させることが必要とされる場合、本実施形態における凝集液に低沸点有機溶剤を含むことができる。
本発明に用いることができる、沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、及びペンタエリスリトール等を挙げることができる。
低沸点有機溶媒として、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、及びn−ペンタノールが挙げられる。
これらの水溶性の高沸点有機溶媒を含めた水溶性有機溶媒の合計の含有量は、凝集液の総量に対して、好ましくは5〜50質量%程度であり、より好ましくは10〜30質量%である。
本発明の凝集液には、さらに2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等からなる群から選ばれる一種以上の極性溶媒を添加することができる。極性溶媒の添加によって、上記の凝集剤が溶解しやすく、また、凝集液が普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体に均一に塗布されやすくなるという効果がある。
水溶性溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(浸透剤)
本発明の凝集剤は、水性溶媒が普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体に浸透することを促進する目的で、浸透剤をさらに含有することが好ましい。浸透剤を使用することによって、後述する糖類を被記録媒体中に均一に存在させることができ、水性溶媒の乾燥時に起こるカール・コックリング等の紙皺を抑制することができる。このような浸透剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類ともいう)が好ましく用いられる。
多価アルコールのアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
使用する浸透剤は、これらから適宜選択される。特に、本発明の実施形態においては、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種を浸透剤として用いることが好ましい。
これらの浸透剤の含有量は、凝集液の総量に対して好ましくは1〜10質量%である。浸透剤の含有量を1質量%以上とすることによって凝集剤の普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体への浸透性を向上する効果が得られるが、10質量%を越えるとこれらの被記録媒体を膨潤させる傾向があるため好ましくない。
(糖類)
本発明の凝集剤は、さらに糖類を含む。糖類は、普通紙、上質紙、印刷本紙等の紙類の浸透性被記録媒体中へ水や水溶性有機溶媒と共に浸透していき、紙繊維を形成するセルロースの親水性基と水素結合を形成することでカールやコックリング等の紙皺の発生を抑制することができる。また、凝集液の塗布工程で使用する塗布方法に応じて凝集液の粘度調整にも使用できる。
糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類が挙げられ、具体的には、グルコース、マントース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グリシトール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオース等が挙げられる。特に、セルロースと構造の類似した、ラクトース、マルトース、セロビオース、及びトレハロースからなる群より選択される1種以上が好ましい。なお、これらの糖類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。糖類の含有量は、凝集液の総量に対して好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。糖類の含有量が1質量%より少ないと紙皺の抑制効果が得られにくく、40質量%を超えると粘りのある粘稠液体となるため塗布しにくくなるため好ましくない。
(界面活性剤)
界面活性剤は、凝集液の表面張力を低下させて被記録媒体への濡れ性を良好にすること、また、普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体への浸透性を良好にするために使用する。界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤が用いられる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、第一脂肪アミン塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルビリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルホリニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としてはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系化合物、並びにポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、及びポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系化合物等を挙げることができる。
特に、本発明の実施形態に係る凝集液は、界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤を含むことが望ましい。これにより、凝集液の被記録媒体への濡れ性が良好となり、また、普通紙、上質紙、印刷本紙等の被記録媒体へ浸透しやすくなる。さらに、泡の発生が少ないという利点も有する。
本発明において用いられるアセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具体例として、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤として市販されている市販品の具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、104PG50及びTG(いずれも商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)、並びにオルフィンSTG及びオルフィンE1010(以上商品名、日信化学社製)が挙げられる。
また、アセチレンアルコール系界面活性剤としては、サーフィノール61(商品名、Air Products and Chemicals. Inc.より入手可能)等が挙げられる。これらのアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤は、凝集液の総量に対して、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜5質量%の範囲になるように用いることが好ましい。
上記の界面活性剤の他に、凝集液の被記録媒体への濡れ性を最適にする(凝集液が被記録媒体に均一に濡れた状態となる)ために、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記の界面活性剤の添加によって、凝集液の表面張力を好ましくは20〜50mPa・s、より好ましくは20〜40mPa・sに調整する。この範囲で表面張力を調整することで、各種の被記録媒体に対して最適な濡れ性と浸透性を得ることができる。
(水)
水として、特に限定されないが、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等のカチオンイオンや硫酸イオン等のアニオンイオンが含まれないものを使用する。例えば、イオン交換水、蒸留水、及び純水が挙げられる。水の含有量は、凝集液の総量に対し、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜60質量%である。
(凝集液に含まれ得るその他の成分)
本実施形態における凝集液は、上記した成分以外にも、pH調整剤、防黴剤、防錆剤等を含んでもよい。
〔光硬化型インク組成物の吐出工程〕
光硬化型インク組成物の吐出工程は、極性溶媒、着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、並びに水を少なくとも含む光硬化型インク組成物を、記録ヘッドから吐出することにより、上記の凝集液塗布工程後の被記録媒体上に該インク組成物を着弾させる工程である。該インク組成物は凝集液の塗布された被記録媒体上で瞬時に凝集し、該インク組成物の着色剤や両親媒性の光重合性化合物等の固形成分は被記録媒体の表面に残存する。
〔水性光硬化型インク組成物〕
水性光硬化型インク組成物は、極性溶媒、着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、並びに水を少なくとも含む。
(両親媒性の光重合性化合物)
両親媒性の光重合性化合物は、一以上の親水性の構造部位と一以上の光重合反応部位と一以上の疎水性の構造部位を一分子内に有する化合物である。親水性の構造部位は、親水性を示す基からなり、例えば、水酸基、ポリエチレンオキサイド基、スルホン酸基とその塩、スルフィン酸基とその塩、カルボン酸基とその塩、ホスフィン酸基とその塩、リン酸エステル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。光重合反応部位は、光ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基からなり、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルアミノ基、ビニル基が挙げられ、光ラジカル重合反応性が特に高いという観点から、より好ましくはアクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリロイル基、メタクリルアミド基が挙げられ、さらに好ましくはアクリロイル基とアクリルアミド基が挙げられる。疎水性の構造部位は、疎水性を示す基からなり、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、フルオロアルキル基、ポリシロキサン構造が挙げられる。脂肪族炭化水素基の例としては、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられ、芳香族炭化水素基の例としては、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。
これらの中でも、十分な疎水性が得られるという観点から、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基、フルオロアルキル基、ポリシロキサン構造からなる群より選択される一種以上の基が好ましい。より好ましくは、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び脂環式炭化水素基、及びフルオロアルキル基、ポリシロキサン構造である。さらに好ましくはn−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、ラウリル基、ステアリル基、オクチル基、イソオクチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、イソホロン基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、フルオロアルキル基、ポリシロキサン構造等が挙げられる。
両親媒性の光重合性化合物の含有量は、光硬化型インク組成物の総量に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。両親媒性の光重合性化合物が5質量%より少ないと紫外線照射での光重合が遅く、50質量%を超えるとインクの組成物の粘度が高くなる傾向にあって、記録ヘッドからの吐出がしにくくなる傾向にある。
両親媒性の光重合性化合物としては、単量体であるモノマー、及び二量体から数量体又は分子量が数千程度までのオリゴマーが挙げられる。
両親媒性の光重合性化合物として、好ましくは、単官能又は2官能以上のオリゴマーが挙げられる。
単官能又は2官能以上のオリゴマーとして、特に限定されないが、例えば、両親媒性ウレタンアクリレート、両親媒性ポリエステルアクリレート、両親媒性エポキシアクリレートなどが挙げられる。
特に、両親媒性ウレタンアクリレートが好ましく用いられる。係る両親媒性ウレタンアクリレートは、光硬化型インク組成物の増粘を抑制することができるため、光硬化型インク組成物中でミセル構造を形成する自己乳化形態のものが好ましい。この場合の両親媒性ウレタンアクリレートはウレタンアクリレートエマルションと称することができる。
両親媒性ウレタンアクリレートを含有された光硬化型インク組成物は、予め凝集液の塗布された普通紙、上質紙、印刷本紙等の紙類の浸透性被記録媒体上で瞬時に凝集し、被記録媒体の表面に残った光硬化型インク組成物中の両親媒性ウレタンアクリレートが紫外線の照射によって硬化することができる。得られる硬化塗膜は、被記録媒体との密着性、柔軟性、強靭性に優れた硬化塗膜を形成できる。硬化塗膜は耐擦性に優れ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)やポリスチレン等のプラスチックに対しても密着性が良好である。また、保存安定性にも優れる。
両親媒性ウレタンアクリレートは単官能又は2官能以上のいずれであってもよい。
上記の両親媒性ウレタンアクリレートの含有量は、光硬化型インク組成物の総量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。両親媒性の光重合性化合物が5質量%より少ないと紫外線照射での光重合が遅く、50質量%を超えるとインクの組成物の粘度が高くなる傾向にあって、記録ヘッドからの吐出がしにくくなる傾向にある。
両親媒性の光重合性化合物の市販品として、例えば、EM−90(ウレタンアクリレートエマルション、荒川化学工業社(Arakawa Chemical Industries, Ltd.)製)等が挙げられる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、公知の光ラジカル重合開始剤が用いられる。光ラジカル重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギー線が照射されることによって両親媒性の光重合性化合物の光ラジカル重合を引き起こす。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルフォリノプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾフィルフォーメート、アゾビスイソブチリロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
特に、着色剤として顔料を使用する本発明の実施形態においては、360〜410nmの長波長側の紫外線を使用することで塗膜の深部まで十分に硬化することができるため、この波長域に吸収のあるアシルホスフィンオキサイド系化合物が好ましく用いられる。具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO:チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤は、光硬化型インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。上記の範囲内である場合、良好な硬化性が得られる。
(極性溶媒)
上記の光ラジカル重合開始剤は、本発明の実施形態において極性溶媒と併用することで水中に混和することができる。極性溶媒としては、2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。特に、2−ピロリドンが効果に優れることから好ましい。
これらの極性溶媒の含有量は、光硬化型インク組成物の総量に対して、好ましくは1質量%〜20質量%であり、より好ましくは1質量%〜10質量%である。極性溶媒の含有量が1質量%よりも少ないと光ラジカル重合開始剤と水との混和しにくくなり、20質量%を超えると硬化性に影響を与える。
(着色剤)
本発明の光硬化型インク組成物の硬化に紫外線を使用することから、着色剤は紫外線照射による退色の起こらない顔料が好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。着色剤は、光硬化型インク組成物の総量に対し、1〜10質量%含まれると好ましく、1〜5質量%含まれるとより好ましい。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料として、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、又はMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、及びSpecial Black 4が挙げられる。
イエロー有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1, C.I.Pigment Yellow 2, C.I.Pigment Yellow 3, C.I.Pigment Yellow 4, C.I.Pigment Yellow 5, C.I.Pigment Yellow 6, C.I.Pigment Yellow 7, C.I.Pigment Yellow 10, C.I.Pigment Yellow 11,C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13, C.I.Pigment Yellow 14, C.I.Pigment Yellow 16, C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 24, C.I.Pigment Yellow 34, C.I.Pigment Yellow 35, C.I.Pigment Yellow 37, C.I.Pigment Yellow 53, C.I.Pigment Yellow 55, C.I.Pigment Yellow 65,C.I.Pigment Yellow 73, C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75, C.I.Pigment Yellow 81, C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93, C.I.Pigment Yellow 94, C.I.Pigment Yellow 95, C.I.Pigment Yellow 97, C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow 99, C.I.Pigment Yellow 108, C.I.Pigment Yellow 109, C.I.Pigment Yellow 110, C.I.Pigment Yellow 113, C.I.Pigment Yellow 114, C.I.Pigment Yellow 117, C.I.Pigment Yellow 120, C.I.Pigment Yellow 124, C.I.Pigment Yellow 128, C.I.Pigment Yellow 129, C.I.Pigment Yellow 133, C.I.Pigment Yellow 138, C.I.Pigment Yellow 139, C.I.Pigment Yellow 147, C.I.Pigment Yellow 151, C.I.Pigment Yellow 153, C.I.Pigment Yellow 154, C.I.Pigment Yellow 167, C.I.Pigment Yellow 172,C.I.Pigment Yellow 180が挙げられる。
マゼンタ有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 1, C.I.Pigment Red 2, C.I.Pigment Red 3, C.I.Pigment Red 4, C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 6, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 8, C.I.Pigment Red 9, C.I.Pigment Red 10, C.I.Pigment Red 11, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 14, C.I.Pigment Red 15, C.I.Pigment Red 16, C.I.Pigment Red 17, C.I.Pigment Red 18, C.I.Pigment Red 19, C.I.Pigment Red 21, C.I.Pigment Red 22, C.I.Pigment Red 23, C.I.Pigment Red 30, C.I.Pigment Red 31, C.I.Pigment Red 32, C.I.Pigment Red 37, C.I.Pigment Red 38, C.I.Pigment Red 40, C.I.Pigment Red 41, C.I.Pigment Red 42, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.Pigment Red 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 88, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 114, C.I.Pigment Red 122, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 144, C.I.Pigment Red 146, C.I.Pigment Red 149, C.I.Pigment Red 150, C.I.Pigment Red 166, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 170, C.I.Pigment Red 171, C.I.Pigment Red 175, C.I.Pigment Red 176, C.I.Pigment Red 177, C.I.Pigment Red 178, C.I.Pigment Red 179, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 185, C.I.Pigment Red 187, C.I.Pigment Red 202 ,C.I.Pigment Red 209, C.I.Pigment Red 219, C.I.Pigment Red 224, C.I.Pigment Red 245,又はC.I.Pigment Violet 19, C.I.Pigment Violet 23, C.I.Pigment Violet 32, C.I.Pigment Violet 33, C.I.Pigment Violet 36, C.I.Pigment Violet 38, C.I.Pigment Violet 43, C.I.Pigment Violet 50が挙げられる。
シアン有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15, C.I.Pigment Blue 15:1, C.I.Pigment Blue 15:2, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 15:4, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue 18, C.I.Pigment Blue 22, C.I.Pigment Blue 25, C.I.Pigment Blue 60,C.I.Pigment Blue 65, C.I.Pigment Blue 66, C.I.Vat Blue 4, C.I.Vat Blue 60 が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7, C.I.Pigment Green 10, C.I.Pigment Brawn 3, C.I.Pigment Brawn 5, C.I.Pigment Brawn 25, C.I.Pigment Brawn 26, C.I.Pigment Orange 1, C.I.Pigment Orange 2, C.I.Pigment Orange 5, C.I.Pigment Orange 7, C.I.Pigment Orange 13, C.I.Pigment Orange 14, C.I.Pigment Orange 15, C.I.Pigment Orange 16, C.I.Pigment Orange 24, C.I.Pigment Orange 34, C.I.Pigment Orange 36, C.I.Pigment Orange 38, C.I.Pigment Orange 40, C.I.Pigment Orange 43, C.I.Pigment Orange 63が挙げられる。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は500nm以下が好ましく、より好ましくは200nm以下であり、さらに50〜100nmが好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、光硬化型インク組成物における吐出安定性や分散安定性等の信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
本発明の好ましい態様によれば、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散液としてインクに添加するのが好ましい。顔料分散液を調製するのに用いられる分散剤としては、一般に顔料分散液を調製するのに用いられている分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる界面活性剤が光硬化型インク組成物の界面活性剤としても機能するであろうことは当業者にとって明らかである。
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類;アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類;サボニンなどのグルコシド類;アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
高分子分散剤の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体、及びそれらの塩が挙げられる。
これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。
分散剤の添加量は、光硬化型インク組成物全量に対して0.1〜20質量%程度、好ましくは0.1〜10質量%程度である。
顔料分散液は、顔料と上記の分散剤と水を適当な分散機(たとえば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジデータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製して得る。
本発明による光硬化型インク組成物は、前記成分を適当な方法で分散、混合することによって製造することができる。具体的には、顔料分散液を適当な分散機に入れ攪拌しながら、これに、予め、水、水溶性有機溶媒、浸透剤、界面活性剤、糖、その他の成分を加えて十分溶解させたインク溶媒を徐々に滴下し、十分に攪拌する。十分攪拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するために濾過を行って目的の光硬化型インク組成物を得る。
〔硬化工程〕
硬化工程は、上記吐出工程後に光硬化型インク組成物を、特定の波長の光を照射することで硬化させる工程である。
被記録媒体上に凝集液を塗布した後、光硬化型インク組成物を吐出し、被記録媒体に着弾した該インク組成物が被記録媒体中の凝集剤と接触してできた凝集体に特定の波長域の光を照射することにより光硬化反応(光ラジカル重合)が引き起こされて硬化塗膜が生成される。特定の波長域の光は、紫外(UV)線の領域が好ましい。特定の波長域(紫外域)は、好ましくは360〜410nmの範囲で、380〜400nmの範囲がさらに好ましい。本発明の実施形態において、波長域が上記範囲内であると、硬化性が一層優れたものとなる。
光の照射量は、好ましくは10〜20,000mJ/cmであり、より好ましくは50〜15,000mJ/cmである。照射量が上記範囲内であると、十分に硬化反応を行うことができる。
上記の波長域の発光光源としては、例えば、水銀ランプやメタルハライドランプが広く知られている。その一方で、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれていることから、GaN系半導体の紫外発光デバイスへの置き換えが進んでいる。発光ダイオード(LED)及びレーザダイオード(LD)は小型で高効率であるとともに高寿命でもあることから光硬化型インクジェット記録用光源として利用されつつある。上述した理由から360〜400nmの範囲にピーク波長を有する発光ダイオード(LED)が好ましい。
[被記録媒体]
被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本発明の実施形態のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水溶性インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、非吸収性の非記録媒体を使用した場合は、凝集液を塗布後に乾燥工程を設ける、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設ける等が必要となる場合がある。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態のインクジェット記録方法を実施するためのインクジェット記録装置について、以下図面を用いて説明する。なお、インクジェット記録方法の説明と重複する内容については、ここでの説明を省略する。
図1は、インクジェット記録装置の概略構成図である。インクジェット記録装置1は、被記録媒体10を搭載する被記録媒体載置部11と、給紙ローラ12と、プラテン13と、搬送ローラ14と、搬送ベルト15と、凝集液タンク16と、凝集液補充タンク17と、凝集液供給ローラ18,19と、凝集液塗布ローラ20と、スキージ21と、記録ヘッド22と、紫外線照射ランプ23,25と、駆動手段30と、制御手段31とを有する。
給紙ローラ12は、被記録媒体載置部11に載置された被記録媒体10を一枚ずつ分離してプラテン13へ送る。給紙ローラ12は、例えばD型の給紙ローラである。D型の給紙ローラでは、D形の平面部では被記録媒体10を搬送せず、曲面部で被記録媒体10を搬送する。
なお、図1では、単票の被記録媒体10を図解しているが、ロール紙を用いてもよい。その場合には、給紙ローラ12として、円形の給紙ローラを用いて、連続給紙させればよい。
プラテン13は、被記録媒体10を下方から支持し、被記録媒体10と凝集液塗布ローラ20との位置関係を規制する。プラテン13上において被記録媒体10は、凝集液塗布ローラ20により凝集液を塗布され、搬送ベルト15へと送られる。
搬送ベルト15は、回転可能な2つの搬送ローラ14間に張架されており、搬送ローラ14の回転に伴って、周回可能に構成されている。搬送ベルト15は、被記録媒体10の搬送とプラテンとを兼用したベルトである。搬送ベルト15の表面は、搬送方向の上流において帯電され、被記録媒体10を静電吸着して搬送する。なお、搬送ベルト15の表面は、搬送方向の下流において除電され、これにより、搬送ベルト15からの被記録媒体10が容易に分離可能に構成されている。
凝集液タンク16は、内部に凝集液を収容している。凝集液は、記録ヘッド22から吐出される光硬化型インク組成物に含まれるインク固形物を凝集させて、光硬化型インク組成物の光硬化反応の反応性を高めるためのものである。凝集液は、凝集剤、水溶性有機溶媒、糖類、及び水を少なくとも含む。凝集液補充タンク17は、凝集液タンク16へ供給管を介して凝集液を供給する。例えば、凝集液タンク16内の凝集液の液量が一定量となるように、凝集液補充タンク17から凝集液が供給される。
なお、図1では、凝集液タンク16の上方に凝集液補充タンク17を図解しているが、凝集液タンク16と同じ高さ又は下方に凝集液補充タンク17を配置させてもよい。その場合、凝集液補充タンク17は、凝集液移送ポンプ(図示せず)の作用により、凝集液タンク16へ供給管を介して凝集液を供給することができる。
凝集液供給ローラ18は、凝集液タンク16の凝集液の液面に周面の少なくとも一部を浸した状態で回転自在に支持されている。凝集液供給ローラ19は、凝集液供給ローラ18と接触した状態で、回転自在に支持されている。凝集液塗布ローラ20は、凝集液供給ローラ19に接触した状態で、回転自在に支持されている。凝集液供給ローラ18,19及び凝集液塗布ローラ20の回転軸は、平行に配置されている。これにより、凝集液塗布ローラ20の回転に伴い、凝集液供給ローラ18,19が回転するように構成されており、さらに、凝集液供給ローラ18から凝集液供給ローラ19を介して凝集液塗布ローラ20の周面へと凝集液が供給される。凝集液供給ローラ18,19及び凝集液塗布ローラ20は、本発明の凝集液塗布手段の一例である。
スキージ21は、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20の表面に保持された凝集液の量を調節すべく、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に接触可能に設けられている。図1では、スキージ21が、凝集液供給ローラ19に接触している例を図解している。
記録ヘッド(インク吐出手段)22は、凝集液が塗布された被記録媒体10に、インク固形物を溶解状態又は分散状態で含む水性光硬化型インク組成物を吐出し、これを付着させる。水性光硬化型インク組成物は、着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、極性溶媒、及び水を少なくとも含む。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック用のインクが必要な場合には、色毎に光硬化型インク組成物が用意される。記録ヘッド22は、被被記録媒体10の搬送方向に沿って各色の光硬化型インク組成物を吐出するためのヘッドが複数並んで配置されたヘッドセットであってもよい。また、記録ヘッド22は、被記録媒体10の搬送方向に直交する方向に各色の光硬化型インク組成物を吐出するための複数のノズルを備えていてもよい。
紫外線照射ランプ(光照射手段)23,25は、被記録媒体10に付着した光硬化型インク組成物に紫外線を照射して、光硬化型インク組成物を硬化させる。紫外線照射ランプ25は紫外線照射ランプ23の下流側に配置されている。被記録媒体10の搬送方向と直交する方向における紫外線照射ランプ23,25の幅は、例えば、被記録媒体10の幅以上である。これにより、被記録媒体10が紫外線照射ランプ23,25の照射領域を通過することにより、被記録媒体10の全領域が紫外線に照射される。
紫外線照射ランプ(光照射手段)23,25としては、例えば、水銀ランプやメタルハライドランプが挙げられる。あるいは、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)を用いてもよい。これらの中でも、コストや汎用性の観点から、発光ダイオード(LED)が好ましい。紫外線の波長域は、例えば、360nm〜450nmである。光の照射量は、好ましくは10〜20,000mJ/cmであり、より好ましくは50〜15,000mJ/cmである。
駆動手段30は、スキージ21を駆動させて、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20に対するスキージ21の押し込み圧力を調節する。スキージ21の押し込み圧力を小さくすることにより、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20上の凝集液の量を多くすることができ、スキージ21の押し込み圧力を大きくすることにより、凝集液供給ローラ19又は凝集液塗布ローラ20上の凝集液の量を少なくすることができる。このように、駆動手段30によりスキージ21の押し込み圧力が調節されることにより、最終的に被記録媒体10に対する凝集液の塗布量が調節される。
制御手段31は、駆動手段30に接続されており、印刷条件に応じて、凝集液の塗布量を設定する。駆動手段30は、制御手段31により設定された塗布量に基づいてスキージ21の押し込み圧力を制御する。例えば、制御手段31は、モノクロモード又はカラーモードに応じて異なる凝集液の塗布量を設定する。また、制御手段31は、被記録媒体10への印刷量を計算し、当該印刷量に応じて異なる凝集液の塗布量を設定する。制御手段31は、例えば、給紙ローラ12、凝集液塗布ローラ20、搬送ローラ14、記録ヘッド22、紫外線照射ランプ23,25にも接続されており、装置全体の動作を制御する。
このように、本発明の実施形態によれば、塗膜の乾燥性に優れ、印刷斑の発生を抑制し、かつ、印刷濃度が均一に高く、紙皺の少ない、インクジェット記録方法を提供することができる。
さらに、上記のインクジェット記録方法により画像が形成された記録物は、印刷斑の発生が抑制され、且つ印刷濃度が均一に高く、紙皺の少ないといった、優れた品質を有する。
また、このように、本発明の実施形態によれば、塗膜の乾燥性に優れ、印刷斑の発生が抑制され、かつ、印刷濃度が均一に高く、紙皺の少ないインクジェット記録方法を実施可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用成分]
下記の実施例及び比較例において使用した成分は、以下のとおりである。
〔水性光硬化型インク組成物〕
(顔料)
・C.I.Pigment Yellow 73(表1ではYellow 73と略記した。)
・C.I.Pigment Red 122(表1ではRed 122と略記した。)
・C.I.Pigment Blue 15:3(表1ではBlue 15:3と略記した。)
・カーボンブラックMA7 (三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製、表1ではBk MA7と略記した。)
(分散剤)
・Solsperse 27000(LUBRIZOL社製、表1ではSOL27000と略記した。)
(溶剤)
・2−ピロリドン
・トリエチレングリコール(表1ではTEGと略記した。)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(表1ではTEGBEと略記した。)
(界面活性剤)
・オルフィンE1010(アセチレンジオールのエチレンオキサイド(10モル)付加物、日信化学工業社(NISSIN CHEMICAL INDUSTRY CO., LTD.)製)
(光重合性化合物)
・両親媒性ウレタンアクリレート(EM90、荒川化学工業社製、表1ではEM90と略記した。)
・トリメチロールプロパントリアクリレート(表1ではTMPTAと略記した。)
・ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG600ジアクリレート、ダイセル・サイテック社(DAICEL-CYTEC Company LTD.)製、表1ではPEGDAと略記した。)
(光重合開始剤)
・DAROCUR TPO(アシルホスフィンオキサイド系光開始剤、チバジャパン社(Ciba Japan K.K.)製、表1ではTPOと略記した。)
(pH調整剤)
・10%水酸化カリウム水溶液(表1では10%KOHaqと略記した。)
(水)
・イオン交換水
〔凝集液〕
(凝集剤)
・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体 PAS−H−5L(分子量4000、固形分20%、日東紡社製)
(溶剤)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(表1ではTEGBEと略記した。)
・トリエチレングリコール(表1ではTEGと略記した。)
・プロピレングリコール(表1ではPGと略記した。)
・グリセリン
(pH調整剤)
・トリエタノールアミン(表1ではTEAと略記した。)
(界面活性剤)
・オルフィンE1010(アセチレンジオールのエチレンオキサイド(10モル)付加物、日信化学工業社(NISSIN CHEMICAL INDUSTRY CO., LTD.)製)
(水)
・イオン交換水
[インクの調製(インク1〜インク12)]
水性光硬化型インク組成物(インク1〜12)を下記の方法によって調製した。
顔料分散液は、Solsperse 27000(LUBRIZOL社製)25gをイオン交換水850gに溶解し、これに下記表1に記載の顔料100gを加えて混合した。この混合液を、アイガーモーターミルM250型(商品名、アイガージャパン社製)を使用して、ビーズ充填率70%及び回転数5,000rpmの条件下で5時間分散処理し、イオン交換水で顔料濃度を15質量%に調整して得た。
光硬化型インク組成物の調製について、インク1を例に説明する。2−ピロリドン(表1ではピロリドンと略記)10g、プロピレングリコール(表1ではPGと略記)5g、トリエチレングリコール(表1ではTEGと略記)3g、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(表1ではTEGBEと略記)1g、セロビオース(糖)5g、オルフィンE1010 1g、イオン交換水47.8gを加えて混合溶解させた。これに光開始剤DAROCUR TPO(アシルホスフィンオキサイド系光開始剤、チバジャパン社(Ciba Japan K.K.)製、表1ではTPOと略記)0.5gを添加して混合した。さらに、両親媒性ウレタンアクリレート(EM90、荒川化学工業社製、表1ではEM90と略記)10gを加えて混合攪拌し液状混合物を調製した。上記の方法で得たC.I.Pigment Yellow 73(表1ではYellow 73と略記)の顔料分散液26.7gを攪拌装置に入れ攪拌しながら前記液状混合物を徐々に添加して混合し、目的のインク1を得た。
下記表1に示す組成に基づき、上記インク1を調製した方法に準じてインク2〜12を調製した。
なお、下記表1に記載の組成は質量%で示した。
[凝集液の調製(凝集液1)]
凝集液を下記表2の組成に従って調製した。表2に記載の組成(単位:質量%)となるように配合し、これを撹拌装置により撹拌することにより、実施例及び比較例間で共通の凝集液1を得た。
表2中の空欄部分は無添加を意味する。なお、表2に記載の組成は質量%で示した。
[測定・評価方法]
下記の実施例及び比較例で得られた光硬化型インク組成物、又は当該インク組成物より得られた塗膜に対して、印刷適性、硬化性、印刷斑の有無、及び印刷濃度を、以下のようにして評価した。
〔評価1:印刷適性〕
本発明のインクジェット記録装置の凝集液塗布手段で上質紙(金菱)に凝集液を塗布し、その塗布面にインクセット1〜3を1列180dpi、8列のノズル配列構造のヘッドセットに各1列にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)を充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で、1dot当たり7pLで100%dutyのベタ画像を形成し、さらに該記録装置の紫外線照射機構で395nmの紫外光を5000mJ/cm照射し、印刷物を得た。
このとき、記録媒体上の印刷部の状態を目視で観察し、以下の2段階で評価した。
評価A:インクが均一に塗布され、鮮明な画像で、エッジも鋭敏であった。
評価B:インクのはじきの発生あるいは濃度の高い部分が局所に存在する印刷斑によって、画像は鮮明さを欠き、エッジも鋭敏でなかった。
〔評価2:耐擦過性〕
本発明のインクジェット記録装置の凝集液塗布手段で上質紙(金菱)に凝集液を塗布し、その塗布面にインクセット1〜3を1列180dpi、8列のノズル配列構造のヘッドセットに各1列にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)を充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で、1dot当たり7pLで画像を形成し、さらに該記録装置の紫外線照射機構で395nmの紫外光を5000mJ/cm照射し、印刷物を得た。得られた印刷物を25℃、湿度40%の雰囲気に1時間放置した後に、ゼブラ社製イエロー水性蛍光ペンZEBRA PEN2(商品名)に9.8N/mmの荷重をかけて印刷部分を擦り、画像の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
評価A:擦る前と同じ状態であった。
評価B:評価AとCの中間の状態。擦りによって印刷部分が僅かに汚れるが、画像は認識できる状態。
評価C:擦りによって印刷部分が汚れて、画像が不鮮明であった。
〔評価3:印刷濃度〕
本発明のインクジェット記録装置の凝集液塗布手段で上質紙(金菱)に凝集液を塗布しその塗布面にインクセット1〜3を1列180dpi、8列のノズル配列構造のヘッドセットに各1列にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)を充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で、1dot当たり7pLで100%dutyのベタ画像を形成し、さらに該記録装置の紫外線照射機構で395nmの紫外光を5000mJ/cm照射し、印刷物を得た。ここで、評価基準は下記のとおりである。
評価A:均一であり濃度が1.5以上であり高い値であった。
評価B:濃度斑があった。
評価C:均一であるが濃度が1.5より低い値だった。
また、上記の評価結果を下記表3に示す。
実施例1では、インクは上質紙(金菱)に着弾と同時に凝集し、紫外線の照射後の印刷面は完全に乾燥していた。得られた印刷物の画像は濃度斑やはじきが無く、画像のエッジ部分が鋭敏でくっきりとした鮮明な画像であった。印刷濃度も高かった。また、全面をベタ印刷した場合にもカールやコックリングは少なく印刷による紙皺の発生が抑制されていた。また、耐擦過性も評価試験前後で変化がなく良好であった。
比較例1では、得られた印刷物の画像にインクがはじいている箇所や濃度斑が見られた。また、印刷部分にベタツキがあり、耐擦過性の評価では擦りによって印刷部分が汚れて画像が不鮮明となった。
比較例2では、得られた印刷物の画像は濃度斑やはじきが無く、画像のエッジ部分が鋭敏でくっきりとした鮮明な画像であったが、耐擦過性の評価での擦りによって印刷部分が汚れて画像が不鮮明となった。印刷部分のベタツキは無かった。印刷濃度は実施例1に比べると低かった。
比較例3では、実施例1に比べて印刷濃度が低下し、耐擦過性も低下していた。
実施例1と、実施例1の凝集液にセロビオース(糖類)を含まない凝集液2を使用した場合との間で、印刷後の紙皺の発生状態を比較した。印刷は、本発明のインクジェット記録装置の凝集液塗布手段で上質紙(金菱)に凝集液1もしくは凝集液2を塗布し、その塗布面にインクセット1を1列180dpi、8列のノズル配列構造のヘッドセットに各1列にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)を充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で、1dot当たり7pLで100%dutyのベタ画像を形成し、さらに該記録装置の紫外線照射機構で395nmの紫外光を5000mJ/cm照射して行った。その結果、実施例1に比べて、実施例1の凝集液にセロビオース(糖類)を含まない凝集液2を使用した場合ではカールやコックリングが大きかった。
上記の結果より、本発明の記録方法によれば、印刷濃度が高く、濃度斑やはじき等の印刷斑のないシャープで鮮明な画像が得られることがわかった。また、カールやコックリング等の紙皺の少ない印刷物が得られることがわかった。また、耐擦過性にも優れることがわかった。
1…インクジェット記録装置、10…被記録媒体、11…被記録媒体載置部、12…給紙ローラ、13…プラテン、14…搬送ローラ、15…搬送ベルト、16…凝集液タンク、17…凝集液補充タンク、18,19…凝集液供給ローラ,19、20…凝集液塗布ローラ、21…スキージ、22…記録ヘッド、23…紫外線照射ランプ、24…ヒータ、25…赤外線ランプ、30…駆動手段、31…制御手段。

Claims (11)

  1. 凝集剤、水溶性有機溶媒、糖類、水を少なくとも含む凝集液を、被記録媒体上に塗布する塗布工程と、
    着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、極性溶媒、並びに水を少なくとも含む水性光硬化型インク組成物を、記録ヘッドから吐出することにより、前記塗布工程後の被記録媒体上に該インク組成物を着弾させる吐出工程と、
    前記吐出工程後の水性光硬化型インク組成物を、光の照射により硬化させる硬化工程と、
    を含み、
    前記両親媒性の光重合性化合物は、光重合性化合物として単官能又は2官能以上のオリゴマーであり、自己乳化形態で前記水性光硬化型インク組成物に含まれており、
    前記糖類の前記凝集液に対する含有量が1〜40質量%である、
    インクジェット記録方法。
  2. 前記凝集剤がカチオン性水溶性ポリマーである、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記両親媒性の光重合性化合物が、ラジカル重合性基、親水性基、及び疎水性基をそれぞれ一以上有する化合物である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記両親媒性の光重合性化合物が、両親媒性ウレタンアクリレート、両親媒性ポリエステルアクリレート、両親媒性エポキシアクリレートの少なくともいずれかである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記両親媒性の光重合性化合物が、両親媒性ウレタンアクリレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記光重合開始剤が、380〜410nmの範囲にピーク波長を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記凝集液は浸透剤を含み、前記浸透剤がグリコールエーテル類である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記吐出工程において、水性光硬化型インク組成物(水の含有量が10重量%未満のインク組成物を除く)を吐出する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法を実施するためのインクジェット記録装置であって、
    凝集液タンク内の凝集剤、水溶性有機溶媒、糖類、及び水を少なくとも含み、前記糖類の凝集液に対する含有量が1〜40質量%である凝集液と、ローラの少なくとも一部と、が接し、該ローラが回転することにより前記凝集液を被記録媒体上に塗布する凝集液塗布手段と、
    着色剤、両親媒性の光重合性化合物、光重合開始剤、極性溶媒、及び水を少なくとも含む水性光硬化型インク組成物を記録ヘッドから吐出することにより、前記凝集液が塗布された前記被記録媒体上に前記水性光硬化型インク組成物を付着させるインク吐出手段と、
    前記被記録媒体上に付着した前記水性光硬化型インク組成物に光を照射して、前記水性光硬化型インク組成物を硬化させる光照射手段と、
    を有する、インクジェット記録装置。
  11. 前記光照射手段が、発光ダイオード照射ランプを有する、請求項10に記載のインクジェット記録装置。
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