JP5657361B2 - シリンジ用部材、該シリンジ用部材を用いた医療用シリンジ、及び該シリンジ用部材の製造方法 - Google Patents
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Description
ガスケット1及びキャップ2は、成形体本体の表面を、例えば、側鎖にアミノ基を有する両末端水酸基封鎖変性シリコーンオイルを含む水性液で表面処理して得られる、弾性材料の成形体である。
に示される、化合物である。
クロロブチルゴムを主成分とするブチルゴム組成物を用いて、図2及び図3に示すような形状のガスケット本体、及び、図4に示すような形状のキャップ本体を作製した。具体的には、ガスケット形状またはキャップ形状の金型内でブチルゴム組成物をプレス成形し、加硫した。得られたガスケットの成形品本体の形状は、環状外壁の外径19.6mm、環状外壁の高さ10.5mm、環状外壁上端からガスケット先端までの高さ3.5mm、先端側リブ及び後端側環状リブの外径20.5mm、先端側環状リブ中央から後端側環状リブ中央までの長さ7mmであった。また、得られたキャップの形状は、外径10mm、高さ14mmの円柱状であって、内径4mm、高さ8mmの有底円柱形状であった。
長さ93mm、内径19.7mm、先端部の外径4.1mm、先端部の長さ10mmのシリンジ用外筒を有する市販のシリンジ(テルモ(株)製)のプランジャ先端の既成のガスケットを、作製したガスケットに置き換えた。そして、シリンジ用外筒の内壁面にシリコーンオイルSH200 12,500cs(東レ・ダウコーニング株式会社)を塗布した。そして、シリンジ用外筒の所定の標線までプランジャを挿入し、所定の標線から0.5mm/分の押込速度でプランジャを10mm押し込んだときの荷重をストログラフ(V1−C、東洋精機製作所製)により測定し、そのときの最大荷重を摺動抵抗とした。なお、試験は3個行い、その平均値を算出した。
上記シリンジ用外筒の先端部に得られたキャップを無作為に選んだ10人のモニターに取り付け及び取り外してもらい、嵌め易さ及び取外し易さを以下の基準で判定させた。
A:筒先の根元まで嵌め込まれる。
B:筒先の途中で抵抗が著しく大きくなり、筒先の根元まで嵌め込まれない。
シリンジ用外筒の先端部に得られたキャップを軽く嵌めた後、ストログラフを用い10mm/minの速度で5.6kgfの荷重になるまで嵌め込み、その嵌め込み状況を確認した。その後、ストログラフを用いてプランジャを50mm/minの速度で押し込んで、キャップが筒先から外れる荷重を測定した。なお、試験は3個行い、その平均値を算出した。
結果を表1に示す。
低分子量シラン化合物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして水性液を調製した。得られた水性液のpHは5.1であった。そして、この水性液に浸漬して表面処理した以外は実施例1と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
酢酸を添加しなかった以外は実施例1と同様にして水性液を調製した。得られた水性液のpHは7.5であった。そして、この水性液に浸漬して表面処理した以外は実施例1と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
水性液による処理において、40℃の水性液に成形品本体を30分間浸漬させた後、圧縮空気で乾燥させる代わりに、20℃の水性液に成形品本体を1分間浸漬させた後、50℃のオーブン中で3時間乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
水性液に浸漬して表面処理したガスケット及びキャップの代わりに、水性液に浸漬する表面処理を行わずガスケット本体及びキャップ本体をそのまま用いた以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
水酸基末端ジメチル(アミノエチルアミノプロピル)メチルシロキサンを含有するエマルジョンの代わりに、ジメチルシリコーンオイルを28質量%含有するシリコーンオイルエマルジョン(信越化学工業(株)のKM−742T)を用いて調製した、シリコーンオイル濃度2質量%の水性液を用いた以外は、実施例4と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
シリコーンオイル濃度2質量%の水性液の代わりに、シリコーンオイル濃度9質量%の水性液を用いた以外は、比較例2と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
水酸基末端ジメチル(アミノエチルアミノプロピル)メチルシロキサンを含有するエマルジョンの代わりに、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含有するシリコーンオイル100%液(信越化学工業(株)のKM−244F)を用いて調製した、シリコーンオイル濃度2質量%の水溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
シリコーンオイル濃度2質量%の水溶液の代わりに、シリコーンオイル濃度9質量%の水溶液を用いた以外は、比較例4と同様にして、ガスケット本体及びキャップ本体の表面処理を行ってガスケット及びキャップを得、同様に評価した。結果を表1に示す。
また、オクタメチルシロキサンを含まない実施例2の水性液で処理した場合には、やや摺動性が低下していることがわかる。これは表面の被膜の接着性がやや劣るためであると思われる。また、酢酸でpH調整をしなかった実施例3の水性液で処理した場合にもやや摺動性が低下していることがわかる。これは、溶液の安定性が低くなって、成形体の表面処理の均質性が低下したためであると思われる。
2 キャップ
3 プランジャ
4 シリンジ用外筒
5 フランジ
6 薬液
7 筒先部
8 注射針取付部
25 プレフィルドシリンジ
Claims (9)
- 摺動領域を有する弾性成形体の少なくとも該摺動領域がシリコーンオイルを含有する処理液で表面処理されており、
前記シリコーンオイルが、下記一般式(1):
で示される、側鎖にアミノ基を有する両末端水酸基封鎖変性シリコーンオイルであることを特徴とするシリンジ用部材。 - 前記側鎖にアミノ基を有する両末端水酸基封鎖変性シリコーンオイルが、水酸基末端ジメチル(アミノエチルアミノプロピル)メチルシロキサンである請求項1に記載のシリンジ用部材。
- 前記処理液がさらに低分子量シラン化合物を含有する請求項1または2に記載のシリンジ用部材。
- 前記弾性成形体がハロゲン化ブチルゴムを主成分とする組成物の成形体である請求項1〜3の何れか1項に記載のシリンジ用部材。
- シリンジ用ガスケットである請求項1〜4の何れか1項に記載のシリンジ用部材。
- シリンジ用外筒の筒先部に取り付けられるキャップである請求項1〜4の何れか1項に記載のシリンジ用部材。
- シリンジ用外筒と前記シリンジ用外筒内に摺動可能に挿入されたプランジャとを備え、
前記プランジャの先端にシリンジ用ガスケットが取り付けられており、
前記シリンジ用外筒の筒先部にキャップが嵌められており、
前記シリンジ用ガスケットが請求項5に記載のシリンジ用ガスケットである、及び/又は前記キャップが請求項6に記載のキャップである、ことを特徴とする医療用シリンジ。 - 請求項1に記載のシリンジ用部材を製造する方法であって、
前記弾性成形体の少なくとも該摺動領域に、前記シリコーンオイルを含有する水性液に一定時間接触させた後、水洗することを特徴とするシリンジ用部材の製造方法。 - 前記水性液の液性がpH4.5〜7.5の範囲である請求項8に記載のシリンジ用部材の製造方法。
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