JP5649765B2 - 樹脂組成物、樹脂成形品 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動と、印加電圧変化による電気抵抗値の変動とがともに小さい樹脂組成物、樹脂成形品を提供することにある。
<1> 樹脂と、還元処理されたポリアニリンと、酸解離定数pKaが5以下のプロトン酸であるドーパントと、溶媒と、が含有されてなり、
前記ドーパントが、前記還元処理されたポリアニリンにおけるドーピングにより導電性が発現する最小構成単位1モルに対して0.1〜0.75モル当量で含有されてなることを特徴とする樹脂組成物である。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、樹脂と導電性高分子とドーパントと溶媒とが含有されてなり、前記ドーパントが、前記導電性高分子におけるドーピングにより導電性が発現する最小構成単位(以下、この最小構成単位を「繰り返し単位」と称する)1モルに対して0.1〜0.75モル当量で含有されてなることを特徴としている。
なお、本発明の樹脂組成物においては、導電性高分子として、還元処理されたポリアニリンが適用され、ドーパントとして、酸解離定数pKaが5以下のプロトン酸が適用される。
次に、本発明の樹脂成形品について説明する。
本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成物を含むことを特徴としている。
また、ベルトの厚みは、厚すぎると熱伝導度や抵抗値等の観点から好ましくなく、薄すぎるとその靭性が小さすぎるため好ましくない。従って、ベルトの用途を考慮すると、厚みは10μm以上1000μm以下、好ましくは30μm以上150μm以下であることが好ましい。
以下に、導電剤としてポリアニリンを、樹脂としてポリイミドを含む樹脂成形品について説明する。当該樹脂成形品は、ポリアミック酸組成物を調製し、該組成物を所望の形状の金型に塗布し、イミド転化させることにより作製することができる。
本発明に用いられるポリアミック酸組成物は、ポリアミック酸と、導電性高分子と、該導電性高分子を導電化させるドーパントと、溶媒と、を含有してなることを特徴とする。
導電性高分子としては、上記のものが挙げられるがポリアニリンが好ましい。本発明におけるポリアニリンは、上述の通り、導電材料として用いられるもので、該ポリアニリンの合成・構造については、特開平3−28229号公報に詳しく述べられている。
本発明におけるポリアニリンは、アニリン又はアニリン誘導体から酸化重合法にて容易に製造することができる。以下に示すように、ポリアニリンはその酸化の状態によってロイコエメラルジン(又はロイコエマラルジン)(leucoemeraldine)、エメラルジン(又はエマラルジン)(emeraldine)及びパーニグルアニリン(pernigraniline)の構造をとることが知られている。
上記還元剤としては、フェニルヒドラジン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の還元性水素化金属化合物等が好適に用いられる。
本発明におけるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重縮合させてなるものであり、例えば、前記両性分を実質的に等モル量を有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。なお、ポリアミック酸は、部分イミド化していてもよい。
以下、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物について説明する。
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
次に、ポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’ −ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’ −ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’ −(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’ −(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’ −メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等を挙げることができる。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明におけるポリアミック酸としては、好ましくは、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。さらにはビフェニルテトラカルボン酸二無水物とオキシジアニリンからなるものが好ましい。
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系或いはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更には、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。
ポリアミック酸重合時の反応溶液中の固形分濃度は特に規定されるものではないが、5〜50質量%が好ましく。更に、特に10〜30質量%が好適である。固形分濃度が5質量%未満であるとポリアミック酸の重合度が低く、最終的に得られる成型体の強度が低下する。また、重合時の固形分濃度が、50質量%より高いと原料モノマーの不溶部が生じ反応が進行しない。
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、0℃〜80℃の範囲で行われる。反応温度が0℃以下であると、溶液の粘度が高くなり、反応系の攪拌が十分に行うことができなくなるためである。また、反応温度が80℃より高くなると、ポリアミック酸の重合にと平行して、一部イミド化反応が起こるため、反応制御の点で問題がある。
本発明において、ポリアニリンをドーピングして導電性とするためのドーパントとしては、酸解離定数pKaが5以下であるプロトン酸用いることが好ましく、pKaが1〜4の範囲のプロトン酸が特に好ましく用いられる。プロトン酸の形態としては1塩基酸、2塩基酸、3塩基酸、多塩基酸などいかなる形態の酸も用いることができる。例えば、3塩基酸であるリン酸の場合、リン酸に含まれる3個のプロトンのpKaは:pKa1=2.1,pKa2=7.2,pKa3=12.3であり、プロトンの2個分はpKaが5を超えるため、本発明においては、リン酸は、プロトン1個のみが有効なプロトン酸としてポリアニリンの繰り返し単位に対して使用されるよう制御して添加する。本発明において、プロトン酸の種類としては、例えば、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、ホスホン酸化合物が好適に用いられる。
これらのドーパントの内、特に、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェニルホスホン酸が好ましい。
ポリアミック酸組成物の溶媒としては、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系或いはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更には、キシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。
ポリアミック酸組成物中のポリアミック酸の濃度は、10〜50質量部の範囲で調整されることが好ましい。
また、ポリアミック酸組成物に添加することができる任意成分(添加剤)としては、カーボンブラック等が挙げられる。
任意成分であるカーボンブラックは、例えば、ポリアミック酸組成物を用いて得られる成型品の抵抗値を調整する目的で用いられる。
例えば、ポリアミック酸組成物を用いて、ポリイミド無端ベルトを得る場合、カーボンブラックの添加量は、ポリアミック酸組成物中のポリアミック酸100質量部に対して、0〜20質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの添加量が20質量部を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる。更に、カーボンブラックを5〜10質量部含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させることができる。
上記ポリアミック酸組成物は、下記に示す手順で調製される。
(a)ポリアニリンを溶解してなるポリアニリン液と、ポリアミック酸を溶解してなるポリアミック酸溶液とをそれぞれ調製する。調製されたポリアニリン液にドーパントを添加してポリアニリンを導電化した後、この混合液に、ポリアミック酸溶液を徐々に添加して、攪拌・混合することで、ポリアミック酸組成物が得られる。
(b)ポリアニリンを溶解してなるポリアニリン液と、ポリアミック酸を溶解してなるポリアミック酸溶液とをそれぞれ調製する。調製されたポリアミック酸溶液にドーパントを添加して得られた混合液に、ポリアニリン液を徐々に添加して、攪拌・混合することで、ポリアミック酸組成物が得られる。
なお、ポリアミック酸組成物の調製には、必要に応じて、上述のカーボンブラック等の任意成分を添加し、攪拌・分散する工程を含んでいてもよい。
ここで、ポリアミック酸組成物の粘度は、液温25℃での粘度であり、HAKKE(株)社製定速粘度計PK100を用いて測定した値である。
このようにして得られたポリイミド無端ベルトは、ポリイミド成型体を主体とするものである。
まず、上述のポリアミック酸組成物を円筒状基材である金型の内面若しくは外面に塗布する。なお、金型の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の円筒状成形型を用いることもできる。また、円筒状金型や円筒状成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することも適宜選択されうる。
また、円筒状金型に対するクリアランス調整がなされた膜厚制御用金型を、円筒状金型に通し平行移動させることで、余分な溶液を排除し円筒状金型上の溶液の厚みを均一にする方法を適用してもよい。円筒状金型上への溶液塗布の段階で、溶液の均一な厚み制御がなされていれば、特に膜厚制御用金型を用いなくてもよい。
更に、この円筒状金型を温度150℃〜300℃で加熱してイミド転化反応を十分に進行させる。イミド転化反応の温度は、原料のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類、によってそれぞれ異なるが、イミド化が不充分であると、機械的特性及び電気的特性に劣るものとなるため、イミド転化が完結する温度に設定しなければならない。
その後、円筒状金型からポリイミドを取り外し、ベルト状のポリイミド(ポリイミド無端ベルト)を得ることができる。
以上、ポリイミド無端ベルトについて説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
<ポリアミック酸溶液(a)の調製>
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中に、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)117.68gを注入した。十分攪拌・溶解した後、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン80.08gに溶解させた溶液を10℃に保持したフラスコ内に徐々に滴下した。ジアミン溶液滴下後10〜15℃にて攪拌・重合を行った。反応溶液を大量のメタノール中に注ぎ、再沈殿精製を行った。析出した白色ポリマーを、濾別・乾燥した後、N−メチル−2−ピロリドンに再溶解させて20質量%ポリアミック酸溶液(a)を得た。
10L−セパラブル・フラスコに、イオン交換水6000g、35%塩酸400ml、及びアニリン400g(4.295モル)を仕込み、攪拌を行ってアニリンを溶解させた。ビーカー容器に、氷水にて冷却しながら、イオン交換水1493gに、98%濃硫酸434g(4.295モル)を添加・混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液をアニリン溶液に氷冷しながら徐々に加えた。
得られた粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、硫酸にてドープされた導電性ポリアニリン430gを黒緑色の粉末として得た。
続いて、ドープ状態の導電性ポリアニリン粉末350gを、2Nアンモニア水4リットル中に加え、ホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌した。混合物は、黒緑色から青紫色に変化した。粉末を濾別し、イオン交換水・アセトンにて洗浄して、室温にて10時間真空乾燥して、黒褐色の脱ドープされたポリアニリン粉末280gを得た。
上記の方法で得られたポリアニリン粉末(脱ドープ状態)18.22g(0.05モル)をヒドラジンを用いて還元したのち、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)180g中に溶解させて、ポリアニリン液を得た。
上記の方法で調製されたポリアニリン液に、これにドーパントとして、フェノールスルホン酸2.61g(0.015モル)を添加した。これを、上記の方法で得られた20質量%ポリアミック酸溶液(a)500gに、攪拌を行いながら徐々に添加した。その後、50μm孔金属メッシュにて凝集物を除去して、ポリアミック酸組成物を得た。
−ポリアミック酸組成物の組成−
・ポリアミック酸;100g
・ポリアニリン ;18.22g
(0.05モル;ポリアミック酸100質量部に対して18.22質量部)
・ドーパント ;2.61g
(0.015モル;ポリアニリンの繰り返し単位1モルに対して0.15モル当量)
・溶媒 ;580g
得られたポリアミック酸組成物において調整直後の粘度V0と、室温環境下、2日間経過後の粘度V2との粘度比V2/V0について、以下のように評価した。
(粘度比)
得られたポリアミック酸組成物を液温25℃に調整した後、HAKKE(株)社製定速粘度計PK100を用いて3回測定した粘度の平均値を粘度V0とした。また、得られたポリアミック酸組成物を室温環境下にて2日間保持した後、液温を25℃に調整し、HAKKE(株)社製定速粘度計PK100を用いて3回測定した粘度の平均値を粘度V2とした。得られた値から粘度比V2/V0を求めた。結果を表1に示した。
得られたポリアミック酸組成物を長さ300mm、スリット0.4mmのTダイを用いてSUS薄板上にキャスティングした。フィルムを45分間かけて40℃から150℃に加熱し、半硬化したポリアミック酸のフィルムを作製した。次いで、半硬化ポリアミック酸フィルムを高温のオーブンを通し、ポリアミック酸をポリイミドに硬化させた。高温オープンで、320℃から350℃の間の空気温度に20分間フィルムを曝し80μmのポリイミドフィルムを得た。
ポリアミック酸組成物の処方又はフィルムの厚みを下記表1に示すように変更したこと以外は実施例A0と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。
また、ドーパントの酸解離定数pKaを以下に示す。
phOH−SO3H:1.1
phOH:9.99
また、ドーパント量は、前記式(1)で示される繰り返し単位1モルに対するモル当量数である。
得られたポリイミドフィルムの厚み、電気特性(表面抵抗率、表面抵抗率の環境変動、体積抵抗率の電界変動)について、以下のように評価した。
得られたポリイミドフィルムから、大きさ20mm×200mmの試験片をランダムに10箇所切りだし、フィルム厚み計(定圧厚さ測定器 PG−02型(TECLOCK))を用いて測定し、その平均値をポリイミド無端ベルトの厚みとした。また、その最大値をポリイミド無端ベルトの最大厚み、最小値を最小厚みとし、ポリイミド無端ベルトの最大厚みと最小厚みとの差も求め、ポリイミド無端ベルトの厚み差とした。測定結果を表1に示した。
(表面抵抗率の測定)
表面抵抗率は、ポリイミドフィルムの表面に沿って流れる電流と平行方向の電位傾度を、表面の単位幅当たりの電流で除した数値である。この数値は、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しい。表面抵抗率の単位は、正式には(Ω)だが、単なる抵抗と区別するため(Ω/□)と記載されるのが一般的である。従って、本願においては、(Ω/□)と(Ω/cm2)は同等の単位である。
得られたポリイミドフィルムの表面抵抗率の測定には、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社アドバンテスト社製)、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12、及びレジテーブルUFL MCP−ST03(何れも、株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠して行った。
なお、測定の際の試験片は、実施例・比較例にて製造したベルト片を用いた。
この時、試験片の表面抵抗率をρs、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の表面抵抗率補正係数をRCF(S)とすると、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによればRCF(S)=10.00なので、下記式(1)のようになる。
すなわち、式(1):ρs[Ω/□]=R×RCF(S)=R×10.00となる。
体積抵抗率は、ポリイミドフィルムの内部を流れる電流と平行方向の電位傾度を、その電流密度で除した数値である。この数値は各辺1cmの立方体の相対する2表面を電極とする二つの電極間の体積抵抗に等しい。
ポリイミドフィルムの体積抵抗率の測定には、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社 アドバンテスト社製)と、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12及びレジテーブルUFL MCP−ST03(何れも、株式会社 ダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠して行った。
なお、測定の際の試験片は、実施例・比較例で製造したフィルム片を用いた。
この時、試験片の体積抵抗率をρv、フィルムの厚さt(μm)、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の体積抵抗率補正係数をRCF(V)とすると、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによれば、RCF(V)=2.011なので、下記式(2)のようになる。
すなわち、式(2):ρv[Ω・cm]=R×RCF(V)×(10000/t)=R×2.011×(10000/t)となる。
Claims (5)
- 樹脂と、還元処理されたポリアニリンと、酸解離定数pKaが5以下のプロトン酸であるドーパントと、溶媒と、が含有されてなり、
前記ドーパントが、前記還元処理されたポリアニリンにおけるドーピングにより導電性が発現する最小構成単位1モルに対して0.1〜0.75モル当量で含有されてなることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記樹脂がポリアミック酸であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記還元処理されたポリアニリンが、前記ドーピングにより導電性が発現する最小構成単位として、下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアニリンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記ドーパントがフェノールスルホン酸であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂成形品。
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