一例として示す除去効率測定システムの構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる除去効率測定システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示すガス除去エアフィルタ11の斜視図である。除去効率測定システム10Aは、所定の施設の除去対象ガスが発生するおそれがある環境下に設置されたガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)の除去対象ガスに対する除去効率を測定する。
所定の施設には、原子力関連施設や放射性ヨウ素を取り扱う施設(たとえば、病院や研究所)、半導体製造施設、液晶製造施設等があるが、施設をそれらに限定するものではなく、除去対象ガスが発生するおそれがあるあらゆる施設が含まれる。原子力関連施設には、原子力発電所、中間貯蔵施設、再処理工場、MOX燃料工場、高速増殖炉、高速増殖炉用燃料工場、高速増殖炉用再処理工場、高レベル放射性廃棄物最終処分施設等がある。なお、原子力関連施設や放射性ヨウ素を取り扱う施設では、除去対象ガスが放射性ヨウ素であり、ガス除去エアフィルタ11としてヨウ素ガス除去エアフィルタが設置される。
除去効率測定システム10Aは、ガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)と、試験用ガス供給ユニット12(試験用ガス供給装置)と、トレーサーガス供給ユニット13(トレーサーガス供給装置)と、空気採集ユニット14(気体採集装置)と、光音響ガスモニタ15と、流量計16と、コントローラ17とから形成されている。本実施の形態ではガス除去装置としてガス除去エアフィルタ11を例示しているが、ガス除去装置をガス除去エアフィルタ11に限定するものではなく、他のすべてのガス除去装置を用いて本発明にかかる除去効率測定を実行することができる。また、ガス濃度測定装置として光音響ガスモニタ15を例示しているが、ガス濃度測定装置を光音響ガスモニタ15に限定するものではなく、ガスクロマトグラフィー等の他のすべてのガス濃度測定装置を利用することができる。
ガス除去エアフィルタ11には、セパレータ型エアフィルタやミニプリーツ型エアフィルタ等があり、その除去対象ガスには、酸性ガスや有機ガス、塩基性ガス等があり、二酸化炭素や酸素も含まれる。ガス除去エアフィルタ11には、ガラス繊維や炭素繊維、合成樹脂繊維に吸着剤(化学薬品)を付着させたフィルタ、ガラス繊維や炭素繊維、合成樹脂繊維に活性炭を担持させたフィルタ、活性炭素繊維から作られたフィルタ等があり、図2に示すように、フィルタ収納カートリッジ18(収納枠)に気密に収納されて使用される。ガス除去エアフィルタ11は、蛇腹状に折り畳まれた四角柱状の立体構造を有する。なお、ガス除去エアフィルタ11には、立体構造を有するそれの他に、略扁平のそれも含まれ、さらに、円柱状や多角柱状のものも含まれる。
なお、他のガス除去装置として、たとえば脱臭機能や有毒ガス除去機能を有する活性炭フィルタを例示することができる。活性炭フィルタは、空調用フィルタや空気清浄用フィルタ、排気処理用フィルタ、車両用エアフィルタとして使用される。活性炭フィルタの除去対象ガスには、アンモニアやアセトアルデヒド、トルエン、スチレン、キシレン、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、プロピオン酸、ノルマル酸等がある。
ガス除去エアフィルタ11は、図1に示すように、通気ダクト19に設置器具(図示せず)を利用して着脱可能かつ気密に設置され、ダクト19を通る空気(気体)に含まれる除去対象ガスを除去し、清浄空気を施設内または施設外に放出する。通気ダクト19は、金属または合成樹脂から作られ、一方向へ略直状に延びる断面四角形の空気流路20を有する。通気ダクト19は、ガス除去エアフィルタ11の上流側に開口する空気取り入れ口21と、フィルタ11の下流側に開口する空気排気口22とを備えている。通気ダクト19には、図示はしていないが、その上流側と下流側との少なくとも一方に給気ファンや排気ファンが取り付けられている。それらファンは、施設内の空気を通気ダクト19内に強制的に流入させる。
ガス除去エアフィルタ11は施設において実際に使用中のそれであり、このシステム10Aでは除去対象ガスを除去する使用中の状態にある中古品のフィルタ11の除去効率が測定される。なお、システム10Aは、使用中のガス除去エアフィルタ11に限らず、使用する以前の新品のガス除去エアフィルタ11の除去効率の測定に使用される場合もある。
試験用ガス供給ユニット12は、通気ダクト19の空気取り入れ口21(ガス除去エアフィルタ11の上流側)からダクト19内に除去対象ガスと同一の試験用ガス23を設定時間・設定量だけ供給する。試験用ガス供給ユニット12は、圧縮された試験用ガス23を貯蔵したガスボンベ24と、試験用ガス23の供給量を調節する質量流量計25(定風量装置)と、切替バルブ26(電磁弁)と、試験用ガス23をダクト19内に噴霧する噴霧器(図示せず)とから形成されている。試験用ガス供給ユニット12では、ガス除去エアフィルタ11に向かってボンベ24、定流量装置25、切替バルブ26、噴霧器の順に並んでいる。
ガスボンベ24や質量流量計25、切替バルブ26、噴霧器は、供給管路27を介して接続されている。質量流量計26や切替バルブ26は、インターフェイス28(有線または無線)を介してコントローラ17に接続されている。噴霧器は、通気ダクト19の空気取り入れ口21に配置されている。切替バルブ26は、その弁機構を開閉することで、試験用ガス23の供給管路27における流通をON/OFFする。質量流量計25は、供給管路27を通る試験用ガス23を一定量に保持し、ガスボンベ24内の試験用ガス23の一定量を切替バルブ26に向かって流入させる。
トレーサーガス供給ユニット13は、通気ダクト19の空気取り入れ口21(ガス除去エアフィルタ11の上流側)からダクト19内にトレーサーガス29を設定時間・設定量だけ供給する。トレーサーガス供給ユニット13は、圧縮されたトレーサーガス29を貯蔵したガスボンベ30と、トレーサーガス29の供給量を調節する質量流量計31(定風量装置)と、切替バルブ32(電磁弁)と、トレーサーガス29をダクト19内に噴霧する噴霧器(図示せず)とから形成されている。トレーサーガス供給ユニット13では、ガス除去エアフィルタ11に向かってボンベ30、定流量装置31、切替バルブ32、噴霧器の順に並んでいる。
ガスボンベ30や質量流量計31、切替バルブ32、噴霧器は、供給管路33を介して接続されている。質量流量計31や切替バルブ32は、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。噴霧器は、通気ダクト19の空気取り入れ口21に配置されている。切替バルブ32は、その弁機構を開閉することで、トレーサーガス29の供給管路33における流通をON/OFFする。質量流量計31は、供給管路33を通るトレーサーガス29を一定量に保持し、ガスボンベ30内のトレーサーガス29の一定量を切替バルブ32に向かって流入させる。
空気採集ユニット14は、ガス除去エアフィルタ11の下流側における通気ダクト19(フィルタ11の出口とダクト19の空気排気口22との間に延びるダクト19)に着脱可能に設置され、フィルタ11の下流側に流れる空気を採集する。空気採集ユニット14は、通気ダクト19の空気流路20を通る空気を採集する採集口34と、採集した空気をダクト19の空気流路20に戻す放出口35と、吸引ポンプ36と、流量計付き調節バルブ37(電磁弁)および切替バルブ38,39(電磁弁)とから形成されている。採集口34や放出口35は、通気ダクト19の空気流路20に配置されている。採集口34や放出口35、吸引ポンプ36、流量計付き調節バルブ37、切替バルブ38,39はサンプリング管路40を介して接続されている。空気採集ユニット14では、ガス除去エアフィルタ11の出口側から採集口34、吸引ポンプ36、流量計付き調節弁37、切替バルブ38、切替バルブ39、放出口35の順に並んでいる。
吸引ポンプ36は、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。吸引ポンプ36は、その出力が一定に保持され、通気ダクト19の空気流路20を流れる空気を採集口34からサンプリング管路40に強制的に流入させる。流量計付き調節バルブ37は、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。流量計付き調節バルブ37は、サンプリング管路40を通るサンプル空気を一定量に保持し、吸引ポンプ36が吸引したサンプル空気の一定量を各切替バルブ38,39に向かって流入させる。切替バルブ38,39は、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。切替バルブ39は、その弁機構を開閉することで、サンプル空気のサンプリング管路40における流通をON/OFFする。切替バルブ38は、その弁機構を開閉することで、サンプル空気の光音響ガスモニタ15への流通をON/OFFする。
光音響ガスモニタ15は、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。光音響ガスモニタ15は、サンプリング管路40に流れるサンプル空気に含まれる除去対象ガスや試験用ガス23、トレーサーガス29の濃度(各種複数のガスの濃度)を所定の時間間隔で間欠的に複数回測定し、測定した除去対象ガスや試験用ガス23、トレーサーガス29の複数の濃度データをコントローラ17に出力する。光音響ガスモニタ15は、その接続端子(図示せず)がサンプリング管路40に接続されている。流量計16は、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。流量計16は、通気ダクト19の空気流路20を流れる空気の流量を計測し、計測した流量をコントローラ17に出力する。
コントローラ17は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリと大容量ハードディスクとを有するコンピュータである。コントローラ17には、キーボード41やマウス42、ディスプレイ43、プリンタ(図示せず)等の入出力装置(図示せず)がインターフェイスを介して接続されている。コントローラ17のメモリには、後記する各種手段をコントローラ17の中央処理部に実行させるための除去効率測定アプリケーションが格納されている。
コントローラ17は、試験用ガス22やトレーサーガス29の供給量の指示信号を質量流量計25,31に出力するとともに、切替バルブ26,32の弁機構を開放し、設定量の試験用ガス22やトレーサーガス29を噴霧器から通気ダクト19の空気流路20に供給する。コントローラ17は、サンプル空気の採集量の指示信号を流量計付き調節バルブ37に出力し、切替バルブ39の弁機構を閉鎖するとともに、切替バルブ38の弁機構を開放し、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38に達したサンプル空気の一定量を光音響ガスモニタ15に流入させる。コントローラ17は、設定量のサンプル空気が設定時間(測定時間)光音響ガスモニタ15に流入すると、切替バルブ38の弁機構を閉鎖するとともに、切替バルブ39の弁機構を開放し、サンプル空気のガスモニタ15への流入を停止しつつ、採集したサンプル空気を放出口35から通気ダクト19の空気流路20に放出する。
コントローラ17の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリから除去効果測定アプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。中央処理部は、ガス除去エアフィルタ11のフィルタ名をハードディスクに格納するフィルタ名格納手段を実行し、入力された試験用ガス23およびトレーサーガス29の供給量をバードディスクに格納するガス供給量格納手段を実行するとともに、入力された試験用ガス23およびトレーサーガス29の供給時間をバードディスクに格納するガス供給時間格納手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、ガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させてガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス23のダクト18内の空気に対する濃度の倍率を決定する濃度倍率決定手段を実行し、決定した濃度倍率をハードディスクに格納する濃度倍率格納手段を実行する。なお、中央処理部は、濃度倍率決定手段を実行することなく、あらかじめ入力された濃度倍率をハードディスクに格納する濃度倍率格納手段を実行し、入力された濃度の試験用ガス23をガス除去エアフィルタ11に供給する場合もある。
コントローラ17の中央処理部は、選択された除去対象ガス23をハードディスクに格納する除去対象ガス格納手段を実行し、選択されたトレーサーガス29をハードディスクに格納するトレーサーガス格納手段を実行する。中央処理部は、トレーサーガス濃度倍率をハードディスクに格納するトレーサーガス濃度倍率格納手段を実行し、サンプル空気の採集時間をハードディスクに格納する空気採集時間格納手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、サンプル空気の採集量をハードディスクに格納する空気採集量格納手段を実行し、光音響ガスモニタ14におけるサンプル空気の濃度測定時間間隔をハードディスクに格納する濃度測定時間間隔格納手段を実行する。中央処理部は、通気ダクト19の空気取り入れ口21(ガス除去エアフィルタ11の入口側)からガス除去エアフィルタ11に向かって所定量の試験用ガス23とトレーサーガス29とを同時に供給するガス供給手段を実行する。
ガス供給手段では、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス23の濃度が光音響ガスモニタ15の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高い場合、または、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス23の濃度が光音響ガスモニタ15の検出限界濃度よりも高い場合がある。ガス供給手段では、試験用ガス23とトレーサーガス29との供給時間が同一である。なお、ガス供給手段における試験用ガス23やトレーサーガス29の供給時では、ガス除去エアフィルタ11が施設において実際に使用中であり、通気ダクト19の空気取り入れ口21から取り入れられた空気の風量や風速が一定ではなく、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気流路20の空気の風量または風速が不均一である。
コントローラ17の中央処理部は、ガス供給手段の実行前に、ガス除去エアフィルタ11を通って通気ダクト19を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11を通ってその出口から流出した空気)の一部を空気採集ユニット14に採集させるバックグラウンド空気採集手段を実行する。中央処理部は、バックグラウンド空気採集手段によってサンプル空気を採集した後、そのサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するバックグラウンドガス濃度測定手段を実行する。中央処理部は、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定した除去対象ガスやトレーサーガスの濃度をハードディスクに格納するバックグラウンドガス濃度格納手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、ガス供給手段の実行中に、ガス除去エアフィルタ11を通ってダクト19の空気流路20を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11を通ってその出口から流出した空気)の一部を空気採集ユニット14に採集させるサンプル空気第1採集手段を実行する。中央処理部は、第1採集手段によってサンプル空気を採集した後、そのサンプル空気に含まれる試験用ガス23とトレーサーガス29との濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するガス濃度第1測定手段を実行する。中央処理部は、ガス濃度第1測定手段によって測定した試験用ガス23およびトレーサーガス29の濃度をハードディスクに格納するガス濃度第1格納手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、ガス除去エアフィルタ11の出口から流出した空気中に含まれるトレーサーガス29の濃度からトレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出する希釈倍率計算手段を実行し、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率をハードディスクに格納する希釈倍率格納手段を実行する。中央処理部は、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率に基づいてガス除去エアフィルタ11に流入した試験用ガス23の実供給濃度を算出する試験用ガス実供給濃度算出手段を実行し、試験用ガス実供給濃度算出手段によって算出した試験用ガス23の実供給濃度をハードディスクに格納する試験用ガス実供給濃度格納手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、試験用ガス23とトレーサーガス29との供給を停止した後、ガス除去エアフィルタ11を通ってダクト17を流れる空気(ガス除去エアフィルタ11を通ってその出口から流出した空気)の一部を空気採集ユニット14に採集させるサンプル空気第2採集手段を実行する。中央処理部は、第2採集手段によってサンプル空気を採集した後、そのサンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するガス濃度第2測定手段を実行する。中央処理部は、ガス濃度第2測定手段によって測定した試験用ガス23の濃度をハードディスクに格納するガス濃度第2格納手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、試験用ガス23やトレーサーガス29の測定濃度データを出力する測定濃度データ出力手段を実行し、試験用ガス23の測定濃度データを時系列に表示したグラフを生成するグラフ生成手段を実行する。中央処理部は、生成したグラフを格納するグラフ格納手段を実行し、そのグラフを出力するグラフ出力手段を実行する。中央処理部は、通気ダクト19の空気取り入れ口21から供給した試験用ガス23の供給量とフィルタ11の下流側から検出された試験用ガス23の検出量とからフィルタ11における現在の放射性ヨウ素除去効率を算出する除去効率算出手段を実行し、算出した除去効率をバードディスクに格納する除去効率格納手段を実行する。中央処理部は、ガス除去エアフィルタ11の現在の対象ガス除去効率を出力する除去効率出力手段を実行する。
コントローラ17の中央処理部は、光音響ガスモニタ15によって時系列に測定された複数の測定濃度データに基づいて、ガス除去エアフィルタ11の欠陥をそのガス除去機能の低下であるか、または、フィルタ11やその設置器具の空気漏れ(リーク)であるかを分析する欠陥分析手段を実行し、その分析結果をバードディスクに格納する欠陥分析結果格納手段を実行する。中央処理部は、その分析結果を出力する欠陥分析結果出力手段を実行する。中央処理部は、フィルタ11の現在の対象ガス除去効率とフィルタ11の除去効率の下限値とを比較し、そのフィルタ11の継続使用または交換を判定するフィルタ状態判定手段を実行する。中央処理部は、ヨウ素ガス除去エアフィルタ11の継続使用または交換の判定結果をハードディスクに格納するフィルタ判定結果格納手段を実行し、フィルタ11の継続使用または交換の判定結果を出力するフィルタ判定結果出力手段を実行する。
図3は、ディスプレイ43に表示された初期画面の一例を示す図であり、図4は、濃度倍率設定画面の一例を示す図である。図5は、ガス濃度第1測定における条件設定画面の一例を示す図であり、図6は、このシステム10Aによって実行される除去効率測定のフローチャートの一例である。図7は、図6から続くフローチャートであり、図8は、図7から続くフローチャートである。図3〜図5では、各入力エリアや表示エリアに表示されるデータの図示を省略している。
図6〜図8のフローチャートに基づいて、このシステム10Aにおける除去効率測定手順の一例を説明すると、以下のとおりである。システム10Aを起動すると、試験用ガス供給ユニット12、トレーサーガス供給ユニット13、空気採集ユニット14、光音響ガスモニタ15、流量計16、コントローラ17が稼動する。さらに、ダクト19に設置された給気ファンや排気ファンを別途起動させる。給気ファンや排気ファンを起動させると、図1に矢印L1で示すように、施設内の空気がダクト19の空気取り入れ口21からダクト19の空気流路20に進入し、その空気がガス除去エアフィルタ11を通ってダクト19の空気排気口22から排気される。ダクト19の空気流路20に進入した空気に除去対象ガスが含まれている場合、その除去対象ガスがガス除去エアフィルタ11によって吸着・除去される。
システム10Aを起動した後、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。初期画面には、濃度倍率設定ボタンA1、条件設定ボタンA2、バックグラウンド測定ボタンA3、ガス濃度第1測定ボタンA4、ガス濃度第2測定ボタンA5、希釈倍率算出ボタンA6、第1測定グラフ表示ボタンA7、第1測定データ表示ボタンA8、第2測定データ表示ボタンA9、ログアウトボタンA10が表示される。ログアウトボタンA10をクリックすると、コントローラ17は、除去効率測定アプリケーションを終了する。システム10Aを利用した除去効率測定を継続する場合、最初に濃度倍率を設定する(S−1)。濃度倍率設定ボタンA1をクリックすると、コントローラ17は、図4の濃度倍率設定画面をディスプレイ43に表示する。濃度倍率設定画面には、測定対象フィルタ名入力エリアB1、限界効率入力エリアB2、除去対象ガス濃度倍率入力エリアB3、実行ボタンB4、キャンセルボタンB5、クリアボタンB6が表示される。
キーボード41やマウス42等の入力装置を利用して測定対象フィルタ名入力エリアB1に測定対象フィルタを特定する名称(番号や記号、仮称等を含む)を入力(フィルタ名入力エリアB1のプルダウンリストからフィルタ名称を選択)する。限界効率入力エリアB2にガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスに対する使用可能な限界効率を入力(限界効率入力エリアB2のプルダウンリストから限界効率を選択)する。または、限界効率を入力せずに、除去対象ガス濃度倍率入力エリアB3に除去対象ガスの濃度倍率を入力(除去対象ガス濃度倍率入力エリアB3のプルダウンリストから濃度倍率を選択)する。キャンセルボタンB5をクリックすると、図3の初期画面に戻る。クリアボタンB6をクリックすると、入力エリアB1〜B3に入力された各データが消去され、入力エリアB1〜B3に各データを再入力する。
フィルタ名を入力するとともに限界効率を入力した後、実行ボタンB4をクリックすると、コントローラ17は、限界効率入力エリアB2に入力された限界効率に基づいて、ガス除去エアフィルタ11に供給する試験用ガス23のダクト19内の空気に対する濃度倍率を決定し(濃度倍率決定手段)、図示はしていないが、濃度倍率確認画面をディスプレイ43に表示する。また、フィルタ名を入力するとともに濃度倍率を入力した後、実行ボタンB4をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、濃度倍率確認画面をディスプレイ43に表示する。
コントローラ17は、たとえば、ガス除去エアフィルタ11の限界効率が90%の場合、通気ダクト19内の空気に対する試験用ガス23の濃度の倍率を10倍(ダクト19内の空気を1とした場合、試験用ガス23は10)に決定する。また、ガス除去エアフィルタ11の限界効率が99%の場合、ダクト19内の空気に対する試験用ガス23の濃度の倍率を100倍(ダクト19内の空気を1とした場合、試験用ガス23は100)に決定する。
濃度倍率確認画面には、濃度倍率表示エリア、濃度倍率確認ボタン、濃度倍率変更ボタンが表示される。濃度倍率表示エリアには、除去対象ガス(試験用ガス23)の決定した濃度倍率が表示される。濃度倍率に変更があれば、濃度倍率変更ボタンをクリックする。濃度倍率変更ボタンをクリックすると、図4の濃度倍率入力画面に戻り、フィルタ名称や限界効率、濃度倍率の各データを再入力する。濃度倍率に変更がなければ、濃度倍率確認ボタンをクリックする。濃度倍率確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、測定対象フィルタ名入力エリアB1に入力された測定対象フィルタを特定するフィルタ識別子を生成し、フィルタ名(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(フィルタ名格納手段)、濃度倍率(測定対象フィルタ名、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度倍率格納手段)。コントローラ17は、濃度倍率を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
次に、ガス濃度測定条件を設定する(S−2)。初期画面において条件設定ボタンA2をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、ガス濃度第1測定条件設定ボタン(ガス供給手段実行中サンプリングにおける条件設定ボタン)、ガス濃度第2測定条件設定ボタン(ガス供給停止後サンプリングにおける条件設定ボタン)、キャンセルボタンをディスプレイ43に表示する。キャンセルボタンをクリックすると、図3の初期画面に戻る。ガス濃度第1測定条件設定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図5のガス濃度第1測定条件設定画面をディスプレイ43に表示する。図5の条件設定画面には、測定対象フィルタ名表示エリアC1、除去対象ガス入力エリアC2、トレーサーガス入力エリアC3、ガス供給時間入力エリアC4、ガス供給量入力エリアC5、トレーサーガス濃度倍率入力エリアC6、空気採集時間入力エリアC7、空気採集量入力エリアC8、濃度測定時間間隔入力エリアC9、実行ボタンC10、キャンセルボタンC11、クリアボタンC12が表示される。
測定対象フィルタ名表示エリアC1には、図4の濃度倍率設定画面において入力された測定対象フィルタ名が表示される。除去対象ガス入力エリアC2に除去対象ガスを入力(除去対象ガス入力エリアC2のプルダウンリストから除去対象ガスを選択)し、トレーサーガス入力エリアC3にトレーサーガスを入力(トレーサーガス入力エリアC3のプルダウンリストからトレーサーガスを選択)する。ガス供給時間入力エリアC4にそれらガスの供給時間を入力(供給時間入力エリアC4のプルダウンリストから供給時間を選択)(たとえば、30秒、1分、3分等で任意に設定可能)し、ガス供給量入力エリアC5にそれらガスの供給量を入力(ガス供給量入力エリアC5のプルダウンリストから供給量を選択)(たとえば、10ppm、30ppm、50ppm等で任意に設定可能)する。
さらに、トレーサーガス濃度倍率入力エリアC6にトレーサーガスの濃度倍率を入力(トレーサーガス濃度倍率入力エリアC6のプルダウンリストからトレーサーガス濃度倍率を選択)し、空気採集時間入力エリアC7に空気採集時間を入力(空気採集時間入力エリアC7のプルダウンリストから採集時間を選択)(たとえば、1分、3分、5分等で任意に設定可能)する。空気採集量入力エリアC8に空気採集量を入力(空気採集量入力エリアC8のプルダウンリストから採集量を選択)(たとえば、20ミリリットル、50ミリリットル、1リットル等で任意に設定可能)し、濃度測定時間間隔入力エリアC9に濃度測定時間間隔を入力(濃度測定時間間隔入力エリアC9のプルダウンリストから測定時間間隔を選択)(たとえば、20秒、30秒、40秒等で任意に設定可能)する。なお、キャンセルボタンC11をクリックすると、図3の初期画面に戻る。クリアボタンC12をクリックすると、入力エリアC2〜C9に入力された各データが消去され、入力エリアC2〜C9に各データを再入力する。
それら入力エリアC2〜C9に各データを入力した後、実行ボタンC10をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、条件設定確認画面をディスプレイ43に表示する。条件設定確認画面では、表示エリアC1や各入力エリアC2〜C9にデータが表示されるとともに、条件確認ボタン、条件変更ボタンが表示される。入力したデータに変更があれば、条件変更ボタンをクリックする。条件変更ボタンをクリックすると、図5の条件設定画面に戻り、それら入力エリアC2〜C9に各データを再入力する。入力したデータに変更がなければ、条件確認ボタンをクリックする。
条件確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、入力(選択)された除去対象ガス(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(除去対象ガス格納手段)、入力(選択)されたトレーサーガス(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(トレーサーガス格納手段)。ガス供給時間(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(ガス供給時間格納手段)、ガス供給量(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス供給量格納手段)。
さらに、コントローラ17は、入力(選択)されたトレーサーガス濃度倍率(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(トレーサーガス濃度倍率格納手段)、空気採集時間(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(空気採集時間格納手段)。コントローラ17は、空気採集量(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(空気採集量格納手段)、濃度測定時間間隔(第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度測定時間間隔格納手段)。
コントローラ17は、除去対象ガスやトレーサーガス、ガス供給時間、ガス供給量、トレーサーガス濃度倍率、空気採集時間、空気採集量を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。濃度倍率設定やガス供給中における条件設定が完了した後、バックグラウンドの測定を行う。図3の初期画面において、バックグラウンド測定ボタンA3をクリックする。バックグラウンド測定ボタンA3をクリックすると、コントローラ17は、空気採集ユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排気口22との間に延びる空気流路20)からサンプル空気を採集する(バックグラウンド空気採集手段)(S−3)。
コントローラ17は、図示はしていないが、バックグラウンド測定中メッセージをディスプレイ43に表示する。なお、通気ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入している。コントローラ17は、設定量のサンプル空気の採集指示信号を流量計付き調節バルブ37に出力し、吸引ポンプ36を稼動させ、切替バルブ39の弁機構を閉鎖するとともに、切替バルブ38の弁機構を開放し、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38に達したサンプル空気の一定量を光音響ガスモニタ15に流入させる。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気(フィルタ11の出口とダクト19の空気排気口22との間に延びる空気流路20を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口34からポンプ36に進入し、サンプリング管路40を通って光音響ガスモニタ15に流入し、ガスモニタ15から再びサンプリング管路40を通って放出口35からダクト19の空気流路20に放出される。
コントローラ17は、サンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度測定指示信号を光音響ガスモニタ15に出力し、サンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度をガスモニタ15に測定させる(バックグラウンドガス濃度測定手段)(S−4)。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17からの指示にしたがって、サンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を設定された時間間隔(図5の条件設定画面の濃度測定時間間隔入力エリアC8において設定された時間間隔)で間欠的に複数回測定する。
コントローラ17は、バックグラウンドの測定時間が経過したかを判断する(S−5)。なお、バックグラウンドの測定時間は、コントローラ17のハードディスクにあらかじめ格納されており、自由に設定することができる。測定時間が経過していない場合、コントローラ17は、ステップ3(S−3)に戻ってバックグラウンドの測定を継続する。測定時間が経過した場合、コントローラ17は切替バルブ38の弁機構を閉鎖し、サンプル空気の光音響ガスモニタ15への流入を停止し、切替バルブ39の弁機構を開放し、サンプル空気を放出口35からダクト19の空気流路20に放出する。次に、切替バルブ39の弁機構を閉鎖し、ポンプ36を停止してサンプル空気の採集を停止する(S−6)。
サンプル空気の採集を停止した後(バックグラウンド測定が完了した後)、コントローラ17は、図示はしていないが、バックグラウンド測定完了メッセージ、バックグラウンド測定終了ボタンをディスプレイ43に表示する。バックグラウンド測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、バックグラウンド測定が終了したと判断し、測定した濃度データの転送指示信号を光音響ガスモニタ15に出力する。光音響ガスモニタ15は、転送指示にしたがって、測定した複数の除去対象ガスバックグラウンド濃度データとトレーサーガスバックグラウンド濃度データとをコントローラ17に出力する(S−7)。
コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力されたバックグラウンド濃度測定データ(複数の濃度データを平均した除去対象ガスバックグラウンド濃度、複数の濃度データを平均したトレーサーガスバックグラウンド濃度、格納日時)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(バックグラウンドガス濃度格納手段)(S−8)。コントローラ17は、図示はしていないが、バックグラウンド測定完了メッセージとバックグラウンド測定完了確認ボタンとをディスプレイ43に表示する。バックグラウンド測定完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
バックグラウンドガス濃度の格納が完了した後、ガス除去エアフィルタ11の除去効率の測定を行う。図3の初期画面においてガス濃度第1測定ボタンA4をクリックする。ガス濃度第1測定ボタンA4をクリックすると、コントローラ17は、ガス除去エアフィルタ11を透過した空気に含まれる除去対象ガスと同一の試験用ガス23とトレーサーガス29との濃度測定を行う。コントローラ17は、設定された供給量の試験用ガス23およびトレーサーガス29の供給指示信号を質量流量計25,31に出力し、切替バルブ26,32の弁機構を開放するとともに、質量流量計25,31を調節し、ダクト19を流れる空気に対して試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度があらかじめ設定された濃度倍率になるように、設定量の試験用ガス23およびトレーサーガス29を噴霧器から通気ダクト19の空気流路20に供給する(ガス供給手段)(S−9)。
コントローラ17は、あらかじめ設定された供給時間(図5の条件設定画面のガス供給時間入力エリアC3において設定された供給時間)の間、それらガス23,29をダクト19に供給し、供給時間が経過すると、切替バルブ26,32の弁機構を閉鎖し、それらガス23,29の供給を停止する。コントローラ17は、それらガス23,29の供給開始と供給停止とを同期して行い、それらガス23,29を同一時間ダクト19に供給する。コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給中メッセージおよびガス濃度測定中メッセージをディスプレイ43に表示する。
噴霧器からダクト19の空気流路20に供給された試験用ガス23およびトレーサーガス29は、空気取り入れ口21から流入する施設内の空気と混合されながらガス除去エアフィルタ11に達する。空気は、除去エアフィルタ11を透過し、空気流路20を通って空気排気口22から施設内または施設外に排気される。なお、通気ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入しており、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気の風量や風速が均一ではない。
ガス除去エアフィルタ11が試験用ガス23の十分な除去機能を有する場合、試験用ガス23がフィルタ11に吸着・除去され、試験用ガス23がフィルタ11を透過することはなく、または、試験用ガス23がフィルタ11から徐々に漏出することはない。逆に、ガス除去エアフィルタ11の試験用ガス23に対する除去機能が低下し、または、除去機能を喪失している場合、試験用ガス23がフィルタ11に吸着されず、試験用ガス23が空気とともにフィルタ11を透過し、または、試験用ガス23が空気とともにフィルタ11から徐々に漏出する。また、ガス除去エアフィルタ11にピンホールや破損等の不具合が生じていたり、フィルタ11の設置器具(フィルタ収納カートリッジ18やパッキン、締め付け螺子等)に隙間や破損等の不具合が生じていると、試験用ガス23が空気とともにフィルタ11や設置器具を透過する。なお、トレーサーガス29は、ガス除去エアフィルタ11に吸着・除去されることはなく、空気とともにフィルタ11を透過する。
コントローラ17は、試験用ガス25とトレーサーガス31とを供給した直後から採集時間が経過するまでの間、空気第1採集ユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気を採集する。コントローラ17は、設定された採集量のサンプル空気の採集指示信号を流量計付き調節バルブ37に出力し、吸引ポンプ36を稼動させ、切替バルブ39の弁機構を閉鎖するとともに、切替バルブ38の弁機構を開放し、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38に達したサンプル空気の設定量を光音響ガスモニタ15に流入させる(サンプル空気第1採集手段)(S−10)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15に濃度測定指示信号を出力し、サンプル空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度をガスモニタ15に測定させる(ガス濃度第1測定手段)(S−11)。コントローラ16は、通気ダクト19の空気流路20に流れる空気の風量の測定指示信号を流量計16に出力し、測定した風量データの転送指示信号を流量計16に出力する。
ガス除去エアフィルタ11を透過した空気は、フィルタ11の下流側においてその一部(サンプル空気)が採集口34からサンプリング管路40に進入し、吸引ポンプ36から流量計付き調節バルブ37を通って光音響ガスモニタ15に流入し、ガスモニタ15から再びサンプリング管路40を通って放出口35から通気ダクト19の空気流路20に放出される。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17からの濃度測定指示にしたがって、サンプル空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度を設定された時間間隔(たとえば、10秒間隔、20秒間隔、30秒間隔)で間欠的に複数回測定する。流量計16は、コントローラ17からの風量測定指示にしたがって、通気ダクト19の空気流路20に流れる空気の風量を測定し、転送指示にしたがって、測定した風量データをコントローラ17に出力する。コントローラ17は、流量計16から出力された風量データ(格納日時)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する。
コントローラ17は、濃度測定時間(空気採集時間)が経過したかを判断する(S−12)。濃度測定時間が経過していない場合、コントローラ17は、ステップ10(S−10)に戻って濃度測定を継続する。濃度測定時間が経過した場合、コントローラ17は切替バルブ38の弁機構を閉鎖し、サンプル空気の光音響ガスモニタ15への流入を停止し、切替バルブ39の弁機構を開放し、サンプル空気を放出口35からダクト19の空気流路20に放出する。次に、切替バルブ39の弁機構を閉鎖し、ポンプ36を停止してサンプル空気の採集を停止する(S−13)。
サンプル空気の採集を停止した後(濃度測定が完了した後)、コントローラ17は、図示はしていないが、濃度測定完了メッセージ、濃度測定終了ボタン、濃度測定継続ボタンをディスプレイ43に表示する。濃度測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、濃度測定が終了したと判断し(S−14)、測定した濃度データの転送指示信号を光音響ガスモニタ15に出力する。なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段によって測定した試験用ガス23の濃度を補正する。また、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段によって測定したトレーサーガス29の濃度を補正する。
光音響ガスモニタ15は、コントローラ17からの転送指示にしたがって、サンプル空気の試験用ガス23の実測濃度データ(補正した複数の実測濃度データ)およびトレーサーガス29の実測濃度データ(補正した複数の実測濃度データ)をコントローラ17に出力する(S−15)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データ(複数の試験用ガス実測濃度、複数のトレーサーガス実測濃度、第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段)(S−16)。コントローラ17は、図示はしていないが、ガス濃度第1測定完了メッセージ、ガス濃度第1測定完了確認ボタン、濃度測定継続ボタンをディスプレイ43に表示する。ガス濃度第1測定完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
同じガス除去エアフィルタ11においてサンプル空気の試験用ガス23とトレーサーガス29との濃度測定を2回以上行う場合、濃度測定継続ボタンをクリックする。濃度測定継続ボタンをクリックすると、コントローラ17は、濃度測定が終了していないと判断し(S−14)、光音響ガスモニタ15に濃度測定データの転送を指示する。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17からの転送指示にしたがって、サンプル空気の試験用ガス23の実測濃度データ(補正した複数の実測濃度データ)およびトレーサーガス29の実測濃度データ(補正した複数の実測濃度データ)をコントローラ17に出力する(S−17)。コントローラ15は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データ(複数の試験用ガス実測濃度、複数のトレーサーガス実測濃度、第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段)(S−18)。コントローラ17は、濃度測定データを格納すると、図4の濃度倍率設定画面をディスプレイ43に表示し、ステップ1(S−1)からの手順を繰り返す。その場合、濃度倍率や条件設定を従前と同一としつつ、バックグラウンド測定を省略した状態でステップ9(S−9)以降の手順を実施することができる。
図9は、フィルタ指定画面の一例を示す図であり、図10は、グラフ表示画面の一例を示す図である。図11は、グラフ表示画面の他の一例を示す図であり、図12は、グラフ表示画面の他の一例を示す図である。図13は、濃度測定データ表示画面の一例を示す図である。図9,13では、各入力エリアや各表示エリアに表示されるデータの図示を省略している。図10〜図12のグラフE2,F2,G2では、縦軸に測定した試験用ガス23の濃度が表示され、横軸に経過時間が表示されている。図10〜図12のグラフE2,F2,G2では、濃度測定時間内の経過時間における測定濃度の変化を表している。
濃度測定が終了した後、コントローラ17は、横軸の時間軸に、複数の試験用ガス実測濃度を設定された時間間隔で表示し、それら濃度どうしを線分で結ぶことによって図10〜図12の折れ線グラフE2,F2,G2を生成する(グラフ生成手段)。コントローラ17は、生成したグラフE2,F2,G2をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(グラフ格納手段)、その後、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
次に、コントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出するかを判断する(S−17)。希釈倍率を算出する場合、図3の初期画面において希釈倍率算出ボタンA6をクリックする。希釈倍率算出ボタンA6をクリックすると、コントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出すると判断し、ガス除去エアフィルタ11の出口から流出した空気中に含まれるトレーサーガス29の濃度からトレーサーガス29の空気中(空気流路20を流れる空気)における希釈倍率を算出する(希釈倍率計算手段)(S−18)。さらに、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率に基づいてガス除去エアフィルタ11に流入した試験用ガス23の実供給濃度を算出する(試験用ガス実供給濃度算出手段)(S−19)。
具体的には、トレーサーガス29の実測平均濃度をガス供給ユニット13から供給されたトレーサーガス29の濃度で除してトレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出する。次に、ガス供給ユニット12から供給された試験用ガス23の濃度にトレーサーガス29の希釈倍率を掛け合わせ、ガス除去エアフィルタ11に達した試験用ガス23の実際の実供給濃度を算出する。たとえば、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率が95%であった場合、ガス供給ユニット13から供給されたトレーサーガス29のうちの5%のそれがガス除去エアフィルタ11に達しなかったことになるとともに、ガス供給ユニット12から供給された試験用ガス23のうちの5%のそれがガス除去エアフィルタ11に達しなかったことになる。コントローラ15は、ガス供給ユニット12から供給された試験用ガス23の濃度に0.95を掛け合わせ、ガス除去エアフィルタ11に達した試験用ガス23の実際の実供給濃度を算出する。
コントローラ17は、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(希釈倍率格納手段)、試験用ガス実給濃度算出手段によって算出した試験用ガス23の実供給濃度(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(試験用ガス実供給濃度格納手段)(S−20)。コントローラ17は、トレーサーガス29の希釈倍率と試験用ガス23の実供給濃度とを格納した後、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
濃度の測定が終了した後、コントローラ17は、試験用ガス23の供給量または実供給量と試験用ガス23の検出量とから濃度測定が終了したガス除去エアフィルタ11の除去効率を算出する(除去効率算出手段)。具体的には、式:η(%)=(h1/h2)×100={h1/(∫g×f)}×100によって算出する。ここで、ηは、除去効率、h1は、試験用ガス23の供給量または希釈倍率から求めた実供給量であり、h2は、試験用ガス23の検出量である。∫gは、光音響ガスモニタ15によって測定された試験用ガス23の濃度の積分値であり、fは、流量計16から出力された風量である。コントローラ17は、算出した除去効率をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(除去効率格納手段)。
コントローラ17は、算出したガス除去エアフィルタ11の現在の除去対象ガスに対する除去効率(%)とフィルタ11の除去効率下限値(%)(フィルタ11の継続使用に必要な除去効率の下限値)とを比較し、そのフィルタ11の継続使用または交換を判定する(フィルタ状態判定手段)。コントローラ17は、ガス除去エアフィルタ11の継続使用または交換の判定結果をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(フィルタ判定結果格納手段)実行する。
コントローラ17は、図11,12のグラフF2,G2(光音響ガスモニタ15によって時系列に測定された複数の測定濃度データ)に基づいて、ガス除去エアフィルタ11の欠陥をその除去機能の低下であるか、または、フィルタ11やその設置器具の空気漏れ(リーク)であるかを分析する(欠陥分析手段)。コントローラ17は、その分析結果(除去機能の低下またはリーク)をフィルタ識別子に関連付けた状態でバードディスクに格納する(欠陥分析結果格納手段)を実行する。
図3の初期画面において第1測定グラフ表示ボタンA7をクリックすると、コントローラ17は、図9に示すフィルタ指定画面をディスプレイ43に表示する。または、図3の初期画面において希釈倍率算出ボタンA6をクリックすることなく(希釈倍率を算出することなく)第1測定グラフ表示ボタンA7をクリックすると、ステップ17(S−17)おいてコントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出しないと判断し、図9に示すフィルタ指定画面をディスプレイ43に表示する。
図9のフィルタ指定画面には、フィルタ名入力エリアD1、グラフ表示ボタンD2、データ表示画面D3、クリアボタンD4、キャンセルボタンD5が表示される。フィルタ名入力エリアD1にグラフ表示をするフィルタ名を入力(フィルタ名入力エリアD1のプルダウンリストからフィルタ名を選択)し、グラフ表示ボタンD2をクリックする。なお、クリアボタンD4をクリックすると、入力エリアD1に入力されたデータがクリアされ、入力エリアD1にフィルタ名を再入力する。キャンセルボタンD5をクリックすると、図3の初期画面が表示される。
図9のフィルタ指定画面においてグラフ表示ボタンD2をクリックすると、コントローラ17は、指定されたガス除去エアフィルタ11に対応する図10〜図12のグラフE2,F2,G2をディスプレイ43に表示する(グラフ出力手段)(S−21)。なお、図10〜図12のグラフG2,H2,I2は、プリンタを介して出力することができる。図10に示すグラフ表示画面には、フィルタ名が表示されたフィルタ名表示エリアE1、グラフ表示エリアE2、印刷ボタンE3、閉じるボタンE4が表示される。
図10のグラフE2は、試験用ガス23が検出されなかった場合のグラフE2であり、指定されたガス除去エアフィルタ11が除去対象ガスの十分な除去機能を有し、また、フィルタ11にピンホールや破損等の不具合がなく、フィルタ11の設置器具(フィルタ収納カートリッジ18やパッキン、締め付け螺子等)に隙間や破損等の不具合(リーク)がない場合である。図10のグラフE2に示す濃度測定結果では、試験用ガス23がガス除去エアフィルタ11に吸着・除去され、試験用ガス23がフィルタ11を透過することはなく、そのフィルタ11が除去対象ガスの十分な除去機能を有し、フィルタ11の交換の必要はなく、設置器具の修理の必要はない。
図10のグラフ表示画面を確認することで、その表示画面に表示されたガス除去エアフィルタ11が試験用ガス23(除去対象ガス)の十分な除去機能を有するとともに、フィルタ11に不具合がなく、フィルタ11の設置器具に不具合がないことを把握することができ、フィルタ11の交換不要を判断することができるとともに、フィルタ11の設置器具の修理不要を判断することができる。
図11に示すグラフ表示画面には、フィルタ名が表示されたフィルタ名表示エリアF1、グラフ表示エリアF2、印刷ボタンF3、閉じるボタンF4が表示される。図11のグラフF2は、試験用ガス23が検出された場合のグラフF2であり、指定されたガス除去エアフィルタ11にピンホールや破損等の不具合がある場合やフィルタ11の設置器具に隙間や破損等の不具合(リーク)がある場合である。図11のグラフF2に示す濃度測定結果では、試験用ガス23の濃度が短時間に急激に上昇し、その後、急激に下降している。これは、試験用ガス23が瞬時にガス除去エアフィルタ11を通過し、または、試験用ガス23が瞬時に設置器具を通過したことを表している。図11のグラフF2に示す濃度測定結果では、試験用ガス23がガス除去エアフィルタ11に吸着・除去されず、試験用ガス23がフィルタ11や設置器具を透過し、そのフィルタ11が除去対象ガスの十分な除去機能を有さず、フィルタ11の交換が必要となり、設置器具の修理が必要となる。
図11のグラフ表示画面を確認することで、その表示画面に表示されたガス除去エアフィルタ11が試験用ガス23(除去対象ガス)の除去機能を有さず、フィルタ11に不具合があり、または、フィルタ11の設置器具に不具合があることを把握することができ、フィルタ11の交換必要を判断することができるとともに、フィルタ11の設置器具の修理必要を判断することができる。
図12に示すグラフ表示画面には、フィルタ名が表示されたフィルタ名表示エリアG1、グラフ表示エリアG2、印刷ボタンG3、閉じるボタンG4が表示される。図12のグラフG2は、図11と同様に、試験用ガス23が検出された場合のグラフG2であり、指定されたガス除去エアフィルタ11の試験用ガス23に対する除去機能が低下している場合やフィルタ11の試験用ガス23に対する除去機能が喪失している場合である。図12のグラフG2に示す濃度測定結果では、試験用ガス23の濃度が短時間に急激に上昇し、その後、試験用ガス23がフィルタ11から徐々に漏出し、試験用ガス23の濃度が徐々に下降している。これは、試験用ガス23が一旦ガス除去エアフィルタ11に吸着された後、フィルタ11に吸着した試験用ガス23を保持する機能が低下または喪失していることを表している。
図12のグラフG2に示す濃度測定結果では、試験用ガス23がガス除去エアフィルタ11から次第に放出され、そのフィルタ11が試験用ガス23(除去対象ガス)の十分な除去機能を有さず、フィルタ11の交換が必要になる。図12のグラフ表示画面を確認することで、ガス除去エアフィルタ11の試験用ガス23に対する除去機能が低下し、または、フィルタ11の試験用ガス23に対する除去機能が喪失し、フィルタ11に不具合があることを把握することができ、フィルタ11の交換必要を判断することができる。
図3の初期画面において第1測定データ表示ボタンA8をクリックすると、コントローラ17は、図9に示すフィルタ指定画面をディスプレイ43に表示する。または、図3の初期画面において希釈倍率算出ボタンA6をクリックすることなく(希釈倍率を算出することなく)第1測定データ表示ボタンA8をクリックすると、ステップ17(S−17)おいてコントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出しないと判断し、図9に示すフィルタ指定画面をディスプレイ43に表示する。図9のフィルタ指定画面において、フィルタ名入力エリアD1にデータ表示をするフィルタ名を入力し、データ表示ボタンD3をクリックすると、コントローラ17は、図13に示す測定データ表示画面をディスプレイ43に表示する(測定濃度データ出力手段)(S−21)。なお、図13の測定データ表示画面に表示されたデータは、プリンタを介して出力することができる。
図13の第1測定データ表示画面には、フィルタ名表示エリアH1、測定日時表示エリアH2、試験用ガス供給量表示エリアH3、試験用ガス供給時間表示エリアH4、空気採集量表示エリアH5、空気採集時間表示エリアH6、濃度測定時間間隔表示エリアH7、除去対象ガス表示エリアH8、除去対象ガス濃度倍率表示エリアH9、トレーサーガス表示エリアH10、トレーサーガス濃度倍率表示エリアH11、試験用ガス実測濃度表示エリアH12、トレーサーガス実測濃度表示エリアH13、トレーサーガス希釈倍率表示エリアH14、試験用ガス実供給濃度表示エリアH15、除去効率表示エリアH16、欠陥種類表示エリアH17、フィルタ判定結果表示エリアH18、印刷ボタンH19、閉じるボタンH20が表示される。
フィルタ名表示エリアH1には、図9のフィルタ指定画面で指定したフィルタ名が表示され、測定日時表示エリアH2には、そのフィルタ名のフィルタの濃度測定日時が表示されるとともに、試験用ガス供給量表示エリアH3には、試験用ガスの供給量が表示される。試験用ガス供給時間表示エリアH4には、試験用ガスの供給時間が表示され、空気採集量表示エリアH5には、サンプル空気の採集量が表示されるとともに、空気採集時間表示エリアH6には、サンプル空気の採集時間が表示される。濃度測定時間間隔表示エリアH7には、濃度測定の時間間隔が表示され、除去対象ガス表示エリアH8には、図5の条件設定画面において指定した除去対象ガスが表示されるとともに、除去対象ガス濃度倍率表示エリアH9には、除去対象ガスの濃度倍率が表示される。
トレーサーガス表示エリアH10には、図5の条件設定画面において指定したトレーサーガスが表示され、トレーサーガス濃度倍率表示エリアH11には、レーサーガスガスの濃度倍率が表示されるとともに、試験用ガス実測濃度表示エリアH12には、試験用ガスの実測濃度が表示される。トレーサーガス実測濃度表示エリアH13には、トレーサーガスの実測濃度が表示され、トレーサーガス希釈倍率表示エリアH14には、トレーサーガスの希釈倍率が表示されるとともに、試験用ガス実供給濃度表示エリアH15には、試験用ガスの実供給濃度が表示される。除去効率表示エリアH16には、除去効率が表示され(除去効率出力手段)、欠陥種類表示エリアH17には、欠陥種類(除去機能の低下またはリーク)が表示されるとともに(欠陥分析結果出力手段)、フィルタ判定結果表示エリアH18には、フィルタ11の継続使用または交換の判定結果が表示される(フィルタ判定結果出力手段)。
図6〜8のフローチャートに基づいて説明した除去効率測定システム10Aは、所定量の試験用ガス23とトレーサーガス29とを通気ダクト19に同時に供給し、ガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)を通ってその出口から流出したサンプル空気に含まれる試験用ガス23とトレーサーガス29との濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するから、その測定中にトレーサーガス29が光音響ガスモニタ15に検出された場合、試験用ガス23がフィルタ11に確実に流入したことが実証され、逆に、その測定中にトレーサーガス29が光音響ガスモニタ15に検出されない場合、試験用ガス23もフィルタ11に流入していないことが実証される。ゆえに、ガス除去エアフィルタ11の出口側においてトレーサーガス29が検出されることで、その測定中における試験用ガス23のフィルタ11への流入を認定することができ、試験用ガス23を使用してフィルタ11が設置された環境下の空気に含まれる除去対象ガスに対するフィルタ11の除去効率を確実に測定することができる。
除去効率測定システム10Aは、除去対象ガスと同一の試験用ガス23を利用してガス除去エアフィルタ11における除去効率を測定するから、除去対象ガスに対するフィルタ11の除去効率を測定したものとみなすことができ、除去対象ガスに対するフィルタ11の除去効率を高い精度で測定することができるとともに、除去対象ガスに対するフィルタ11の信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる。
除去効率測定システム10Aは、実際に設置された使用状態にあるガス除去エアフィルタ11の出口側においてトレーサーガス29とともに所定濃度の試験用ガス23が光音響ガスモニタ15に検出された場合、使用状態にあるフィルタ11が劣化して対象ガス除去機能が低下していることを判定することができ、または、フィルタ11やその設置器具に空気漏れ(リーク)等の構造的な欠陥があることを判定することができるから、除去効率の測定結果を参照しつつ、フィルタ11の交換時期を的確に判断することができるとともに、フィルタ11の設置器具の修理の必要性を判断することができる。除去効率測定システム10Aは、それを利用することでガス除去エアフィルタ11を適時に交換することができ、設置器具を適時に修理することができるから、常に除去対象ガスに対する除去機能を備えたフィルタ11を使用することができ、空気中に除去対象ガスが含まれたとしても、フィルタ11によってその除去対象ガスを空気から確実に除去することができる。
除去効率測定システム10Aは、ガス除去エアフィルタ11の出口から放出されたサンプル空気に含まれるトレーサーガス29の希釈倍率を算出し、その希釈倍率から逆算してフィルタ11に流入する試験用ガス23の濃度を算出することで、フィルタ11に実際に流入した試験用ガス23の実質濃度を解析することができるから、フィルタ11に流入しない試験用ガス23を除いた場合のフィルタ11の除去効率を測定することができ、フィルタ11の除去効率を高い精度で測定することができるとともに、除去対象ガスに対するフィルタ11の信頼性や信憑性の高い除去効率を測定することができる。
除去効率測定システム10Aは、ガス除去エアフィルタ11の除去対象ガスに対する使用可能な限界効率に対応させてフィルタ11の入口側から供給する試験用ガス23の空気に対する濃度の倍率を決定するから、フィルタ11の使用環境を考慮しつつ、フィルタ11の交換の指標となる限界効率に応じて試験用ガス23の空気に対する濃度の倍率を自由に決定することができる。除去効率測定システム10Aは、ガス除去エアフィルタ11の限界効率に応じた倍率の濃度の試験用ガス23が光音響ガスモニタ15に検出された場合、そのフィルタ11の使用限界を知ることができ、フィルタ11を交換する時期を正確に判断することができる。
必要以上に高い濃度の試験用ガス23を使用するとフィルタ11の性能を低下させることになるが、除去効率測定システム10Aは、トレーサーガス29を利用して試験用ガス23のフィルタ11への流入を実証することができるから、光音響ガスモニタ15の検出限界濃度と同一またはそれよりもわずかに高い濃度の試験用ガス23を除去効率の測定に使用することができるとともに、試験用ガス23の供給時間を短くすることができ、フィルタ11の性能を低下させることなく、そのフィルタ11の除去効率を確実に測定することができる。除去効率測定システム10Aは、光音響ガスモニタ15の検出限界濃度にあわせて試験用ガス23の濃度を自由に設定することができる。
図14は、ガス濃度第2測定における条件設定画面の一例を示す図であり、図15は、他の一例として示す図7から続くフローチャートである。図14では、各入力エリアに表示されるデータの図示を省略している。なお、以下の説明では、バックグラウンド測定手順を示す図6の説明やガス濃度第1測定手順を示す図7の説明を援用し、バックグラウンド測定やガス濃度第1測定が終了しているものとする。
ガス濃度第1測定が終了した後、ガス濃度第2測定を行うには、図3の初期画面において条件設定ボタンA2をクリックする。条件設定ボタンA2をクリックすると、コントローラ17は、ガス濃度第1測定条件設定ボタン、ガス濃度第2測定条件設定ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ43に表示する。ガス濃度第2測定条件設定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図14のガス濃度第2測定条件設定画面をディスプレイ43に表示する。図14の条件設定画面には、ファイル名表示エリアI1、空気採集時間入力エリアI2、空気採集量入力エリアI3、濃度測定時間間隔入力エリアI4、実行ボタンI5、キャンセルボタンI6、クリアボタンI7が表示される。
測定対象フィルタ名表示エリアI1には、図4の濃度倍率設定画面において入力された測定対象フィルタ名が表示される。空気採集時間入力エリアI2に空気採集時間を入力(空気採集時間入力エリアI2のプルダウンリストから空気採集時間を選択)し、空気採集量入力エリアI3に空気採集量を入力(空気採集量入力エリアI3のプルダウンリストから空気採集量を選択)するとともに、濃度測定時間間隔入力エリアI4に濃度測定時間間隔を入力(濃度測定時間間隔入力エリアI4のプルダウンリストから濃度測定時間間隔を選択)する。キャンセルボタンI6をクリックすると、図3の初期画面に戻る。クリアボタンI7をクリックすると、入力エリアI2〜I4に入力されたデータが消去され、入力エリアI2〜I4に各データを再入力する。
それら入力エリアI2〜I4に各データを入力した後、実行ボタンI5をクリックすると、コントローラ17は、図示はしていないが、条件設定確認画面をディスプレイ43に表示する。条件設定確認画面では、表示エリアI1や各入力エリアI2〜I4にデータが表示されるとともに、条件確認ボタン、条件変更ボタンが表示される。入力したデータに変更がなければ、条件確認ボタンをクリックする。条件確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、空気採集時間(第2測定識別子または第2測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(空気採集時間格納手段)、空気採集量(第2測定識別子または第2測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(空気採集量格納手段)、濃度測定時間間隔(第2測定識別子または第2測定フラグ、格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度測定時間間隔格納手段)(S−30)。
コントローラ17は、フィルタ名や空気採集時間、空気採集量、濃度測定時間間隔を格納すると、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。ガス濃度第2測定における条件設定が完了した後、図3の初期画面において、ガス濃度第2測定ボタンA5をクリックする。ガス濃度第2測定ボタンA5をクリックすると、コントローラ17は、試験用ガス23とトレーサーガス29との供給を停止した後、空気第1採集ユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気(ガス供給停止後のサンプル空気)を採集する。コントローラ17は、設定された採集量のサンプル空気の採集指示信号を流量計付き調節バルブ37に出力し、吸引ポンプ36を稼動させ、切替バルブ39の弁機構を閉鎖するとともに、切替バルブ38の弁機構を開放し、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38に達したサンプル空気の設定量を光音響ガスモニタ15に流入させる(サンプル空気第2採集手段)(S−31)。
コントローラ17は、光音響ガスモニタ15に濃度測定指示信号を出力し、サンプル空気に含まれる試験用ガス23も濃度をガスモニタ15に測定させる(ガス濃度第2測定手段)(S−32)。光音響ガスモニタ15は、コントローラ17からの濃度測定指示にしたがって、サンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度を設定された時間間隔(たとえば、10秒間隔、20秒間隔、30秒間隔)で間欠的に測定する。コントローラ17は、図示はしていないが、ガス供給停止中メッセージおよびガス濃度第2測定中メッセージをディスプレイ43に表示する。なお、ガス濃度第2測定手段の実行中では、試験用ガス23やトレーサーガス29のダクト19への供給が停止している。また、ダクト19には図示しない給気ファンや排気ファンを介して施設内の空気が強制的に流入しており、ガス除去エアフィルタ11の周囲の空気の風量や風速が均一ではない。
コントローラ17は、濃度測定時間(空気採集時間)が経過したかを判断する(S−33)。濃度測定時間が経過していない場合、コントローラ17は、ステップ31(S−31)に戻って濃度測定を継続する。濃度測定時間が経過した場合、コントローラ17は切替バルブ38の弁機構を閉鎖し、サンプル空気の光音響ガスモニタ15への流入を停止し、切替バルブ39の弁機構を開放し、サンプル空気を放出口35からダクト19の空気流路20に放出する。次に、切替バルブ39の弁機構を閉鎖し、ポンプ36を停止してサンプル空気の採集を停止する(S−34)。
サンプル空気の採集を停止した後(濃度測定が完了した後)、コントローラ17は、図示はしていないが、濃度測定完了メッセージ、濃度測定終了ボタン、濃度測定継続ボタンをディスプレイ43に表示する。濃度測定終了ボタンをクリックすると、コントローラ17は、濃度測定が終了したと判断し(S−35)、測定した濃度データの転送指示信号を光音響ガスモニタ15に出力する。なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第2測定手段によって測定した試験用ガス23の濃度を補正する。
光音響ガスモニタ15は、コントローラ17からの転送指示にしたがって、サンプル空気の試験用ガス23の実測濃度データ(補正した複数の実測濃度データ)をコントローラ17に出力する(S−36)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データ(複数の試験用ガス実測濃度、第2測定識別子または第2測定フラグ、格納日時)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第2格納手段)(S−37)。コントローラ17は、図示はしていないが、ガス濃度第2測定完了メッセージ、ガス濃度第2測定完了確認ボタン、濃度測定継続ボタンをディスプレイ43に表示する。ガス濃度第2測定完了確認ボタンをクリックすると、コントローラ17は、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
同じガス除去エアフィルタ11においてサンプル空気の試験用ガス23の濃度測定を2回以上行う場合、濃度測定継続ボタンをクリックする。濃度測定継続ボタンをクリックすると、コントローラ17は、濃度測定が終了していないと判断し(S−35)、光音響ガスモニタ15に濃度測定データの転送を指示する。光音響ガスモニタ15は、サンプル空気の試験用ガス23の実測濃度データ(補正した複数の実測濃度データ)をコントローラ17に出力する(S−38)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データ(複数の試験用ガス実測濃度、第2測定識別子または第2測定フラグ、格納日時)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第2格納手段)(S−39)。コントローラ17は、濃度測定データを格納すると、図14の条件設定画面をディスプレイ43に表示し、ステップ30(S−30)からの手順を繰り返す。その場合、条件設定を従前と同一とした状態でステップ30(S−30)以降の手順を実施することができる。
濃度測定(ガス濃度第1測定手段およびガス濃度第2測定手段)が終了した後、コントローラ17は、横軸の時間軸に、複数の試験用ガス実測濃度を設定された時間間隔で表示し、それら濃度どうしを線分で結ぶことによって図10〜図12に示す折れ線グラフE2,F2,G2を生成する(グラフ生成手段)(図10〜図12援用)。コントローラ17は、生成したグラフE2,F2,G2をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(グラフ格納手段)、その後、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
次に、コントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出するかを判断する(S−40)。希釈倍率を算出する場合、図3の初期画面において希釈倍率算出ボタンA6をクリックする。希釈倍率算出ボタンA6をクリックすると、コントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出すると判断し、ガス除去エアフィルタ11の出口から流出した空気中に含まれるトレーサーガス29の濃度からトレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出する(希釈倍率計算手段)(S−41)。さらに、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率に基づいてガス除去エアフィルタ11に流入した試験用ガス23の実供給濃度を算出する(試験用ガス実供給濃度算出手段)(S−42)。
コントローラ17は、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(希釈倍率格納手段)、試験用ガス実給濃度算出手段によって算出した試験用ガス23の実供給濃度(格納日時を含む)をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(試験用ガス実供給濃度格納手段)(S−43)。コントローラ17は、トレーサーガス29の希釈倍率と試験用ガス23の実供給濃度とを格納した後、図3の初期画面をディスプレイ43に表示する。
次に、コントローラ17は、試験用ガス23の実供給量と試験用ガス23の検出量とから濃度測定が終了したガス除去エアフィルタ11の除去効率を前記式:η(%)=(h1/h2)×100={h1/(∫g×f)}×100によって算出する(除去効率算出手段)。コントローラ17は、算出した除去効率をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(除去効率格納手段)。コントローラ17は、算出したガス除去エアフィルタ11の現在の除去対象ガスに対する除去効率(%)とフィルタ11の除去効率下限値(%)とを比較し、そのフィルタ11の継続使用または交換を判定する(フィルタ状態判定手段)。コントローラ17は、ガス除去エアフィルタ11の継続使用または交換の判定結果をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(フィルタ判定結果格納手段)。
コントローラ17は、図11,12のグラフF2,G2に基づいて、ガス除去エアフィルタ11の欠陥をその除去機能の低下であるか、または、フィルタ11やその設置器具の空気漏れ(リーク)であるかを分析する(欠陥分析手段)。コントローラ17は、その分析結果(除去機能の低下またはリーク)をフィルタ識別子に関連付けた状態でバードディスクに格納する(欠陥分析結果格納手段)を実行する。
なお、図3の初期画面において第1測定グラフ表示ボタンA7をクリックし、図9のフィルタ指定画面においてフィルタ名を入力した後、グラフ表示ボタンD2をクリックすると、コントローラ17は、指定されたガス除去エアフィルタ11に対応する図10〜図12のグラフE2,F2,G2をディスプレイ43に表示する(グラフ出力手段)(S−44)(図10〜図12援用)。また、データ表示ボタンD3をクリックすると、コントローラ17は、図13の測定データ表示画面をディスプレイ43に表示する(測定濃度データ出力手段)。(S−44)(図13援用)。
図16は、濃度測定データ表示画面の他の一例を示す図である。図16では、各表示エリアに表示されるデータの図示を省略している。図3の初期画面において第2測定データ表示ボタンA9をクリックすると、コントローラ17は、図9のフィルタ指定画面をディスプレイ43に表示する。または、図3の初期画面において希釈倍率算出ボタンA6をクリックすることなく第2測定データ表示ボタンA9をクリックすると、ステップ40(S−40)おいてコントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出しないと判断し、図9に示すフィルタ指定画面をディスプレイ43に表示する。
フィルタ名入力エリアD1にデータ表示をするフィルタ名を入力し、データ表示ボタンD3をクリックすると、コントローラ17は、図16に示す第2測定データ表示画面をディスプレイ43に表示する(測定濃度データ出力手段)。なお、図16の第2測定データ表示画面に表示されたデータは、プリンタを介して出力することができる。図16の第2測定データ表示画面には、フィルタ名表示エリアJ1、測定日時表示エリアJ2、空気採集量表示エリアJ3、空気採集時間表示エリアJ4、濃度測定時間間隔表示エリアJ5、試験用ガス実測濃度表示エリアJ6、印刷ボタンH19、閉じるボタンH20が表示される。
フィルタ名表示エリアJ1には、図9のフィルタ指定画面で指定したフィルタ名が表示され、測定日時表示エリアJ2には、そのフィルタ名のフィルタの濃度測定日時が表示されるとともに、空気採集量表示エリアJ3には、サンプル空気の採集量が表示される。空気採集時間表示エリアJ4には、サンプル空気の採集時間が表示され、濃度測定時間間隔表示エリアH7には、濃度測定の時間間隔が表示されるとともに、試験用ガス実測濃度表示エリアJ6には、試験用ガスの実測濃度が表示される。
図15のフローチャート(図6,7のフローチャートを含む)で説明した除去効率測定システム10Aは、図6〜図8のフローチャートで説明した除去効率測定システム10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。除去効率測定システム10Aは、試験用ガス23とトレーサーガス29との供給を停止した後、ガス除去エアフィルタ11から飛散してその出口から流出したサンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度を光音響ガスモニタ15を利用して測定するから、所定濃度の試験用ガス23が光音響ガスモニタ15に検出された場合、実際に設置された使用状態にあるガス除去エアフィルタ11にリーク等の構造的な欠陥以外の化学的な欠陥等の他の欠陥があることを知ることができる。また、それによってそのガス除去エアフィルタ11の使用限界を知ることができるから、ガス除去エアフィルタ11を交換する時期を的確に判断することができる。除去効率測定システム10Aは、ガス除去エアフィルタ11の実際の使用環境においてフィルタ11を適時に交換することができ、空気に除去対象ガスが含まれたとしても、フィルタ11を利用してその対象ガスを空気から確実に除去することができる。
図17は、他の一例として示す除去効率測定システム10Bの構成図であり、図18は、光音響ガスモニタによるガス測定を説明する図である。図19は、このシステム10Bによって実行される除去効率測定のフローチャートの一例であり、図20は、図19から続くフローチャートである。図21は、図20から続くフローチャートである。
このシステム10Bが図1のそれと異なるところはサンプル空気を所定容積の複数のテドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3(第1〜第n空気採集袋)(第1〜第n気体採集袋)によって採集する点にあり、その他の構成は図1のシステム10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、このシステム10Bのその他の構成の説明は省略する。それらテドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3は、合成樹脂フィルムから作られ、サンプル空気を気密に収容する。サンプル空気を収容した後、テドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3は管路40から取り外される。除去効率測定システム10Bは、ガス除去エアフィルタ11(ガス除去装置)と、試験用ガス供給ユニット12(試験用ガス供給装置)と、トレーサーガス供給ユニット13(トレーサーガス供給装置)と、空気採集ユニット14と、光音響ガスモニタ15と、流量計16と、コントローラ17とから形成されている。
空気採集ユニット14のサンプリング管路40の接続端子(図示せず)には、4個のテドラーバックTA1〜TD1が接続されている。管路40に設置された切替バルブ38A〜38Dは、インターフェイス28を介してコントローラ17に接続されている。なお、図17では、12個のテドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3を図示しているが、テドラーバックの個数を12個に限定するものではなく、15個以上のテドラーバックを使用することもできる。光音響ガスモニタ15は、テドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3に収納されたサンプル空気に含まれる除去対象ガスや試験用ガス23、トレーサーガス29の濃度を所定の時間間隔で間欠的に複数回測定し、測定した除去対象ガスや試験用ガス23、トレーサーガス29の複数の濃度データをコントローラ17に出力する。
図19〜図21に基づいて、このシステム10Bにおける除去効率測定手順を説明すると、以下のとおりである。なお、テドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3にサンプル空気を収容する手順、テドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3に収納されたサンプル空気に含まれる試験用ガス23およびトレーサーガス29の濃度の測定手順以外の除去効率測定手順の詳細は、図6,7,15のフローチャートにおいて既に説明済みであるから、図6,7,15の説明を援用することで、このシステム10Bにおけるサンプル空気収容手順や濃度測定手順以外の他の除去効率測定手順の詳細な説明は省略する。
図4の濃度倍率設定画面において濃度倍率を決定した後(濃度倍率決定手段)(S−50)、コントローラ17は、フィルタ名をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(フィルタ名格納手段)、濃度倍率をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度倍率格納手段)。次に、図5のガス濃度第1測定条件設定画面において測定条件を設定した後(S−51)、コントローラ17は、除去対象ガスをフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(除去対象ガス格納手段)、トレーサーガスをフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(トレーサーガス格納手段)。ガス供給時間をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(ガス供給時間格納手段)、ガス供給量をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス供給量格納手段)。
さらに、コントローラ17は、トレーサーガス濃度倍率をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(トレーサーガス濃度倍率格納手段)、テドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3への空気採集時間をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(空気採集時間格納手段)。コントローラ17は、テドラーバックTA1〜TA3,TB1〜TB3,TC1〜TC3,TD1〜TD3への空気採集量をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(空気採集量格納手段)、濃度測定時間間隔をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度測定時間間隔格納手段)。図3の初期画面においてバックグラウンド測定ボタンA3をクリックすると、コントローラ17は、空気採集ユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19(ガス除去エアフィルタ11の出口とダクト19の空気排気口22との間に延びる空気流路20)からサンプル空気を採集する(バックグラウンド空気採集手段)(S−52)。なお、バックグラウンド空気採集手段では、サンプリング管路40の接続端子にテドラーバックTA1〜TD1が接続されている。
コントローラ17は、設定量のサンプル空気の採集指示信号を流量計付き調節バルブ37に出力し、吸引ポンプ36を稼動させ、切替バルブ38B〜38D,39の弁機構を閉鎖するとともに、切替バルブ38Aの弁機構を開放し、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38Aに達したサンプル空気の一定量をテドラーバックTA1に流入させる。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気(フィルタ11の出口とダクト19の空気排気口22との間に延びる空気流路20を流動する空気)は、その一部(サンプル空気)が採集口34からポンプ36に進入し、サンプリング管路40を通ってテドラーバックTA1に収容される。
コントローラ17は、切替バルブ39の弁機構を閉鎖しつつ、切替バルブ38B〜38Dの弁機構を順に開放し、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38B〜38Dに達したサンプル空気の一定量をテドラーバックTB1〜TD1に順に流入させ、テドラーバックTB1〜TD1にサンプル空気を収容させる(バックグラウンド空気採集手段)(S−52)。コントローラ17は、すべてのテドラーバックTA1〜TD1にサンプル空気が収容されたかを判断し(S−53)、サンプル空気がそれらテドラーバックTA1〜TD1に収容されたと判断すると、サンプル空気の採集を停止し(S−54)、切替バルブ38A〜38Dの弁機構を閉鎖し、切替バルブ39の弁機構を開放し、サンプル空気を放出口35から通気ダクト19の空気流路20に放出する。
サンプル空気の採集が終了した後、サンプリング管路40の接続端子からテドラーバックTA1〜TD1を取り外し、図18に示すように、それらテドラーバックTA1〜TD1を光音響ガスモニタ15の接続端子に順番に接続する。テドラーバックTA1〜TD1を光音響ガスモニタ15に接続すると、コントローラ17は、図示はしていないが、テドラーバックバックグラウンド濃度測定ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ43に表示する。
テドラーバックバックグラウンド濃度測定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、テドラーバックTA1〜TD1に収容されたサンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度測定指示信号を光音響ガスモニタ15に出力し、サンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度をガスモニタ15に測定させる(バックグラウンドガス濃度測定手段)(S−55)。
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気に含まれる除去対象ガスやトレーサーガスの濃度を設定された時間間隔で間欠的に複数回測定する。なお、それらテドラーバックTA1〜TD1に収容されたサンプル空気に除去対象ガスやトレーサーガスが含まれている場合、除去対象ガスやトレーサーガスが所定容積のテドラーバックTA1〜TD1内のサンプル空気と混合され、除去対象ガスやトレーサーガスの濃度が平均化される。
光音響ガスモニタ15は、測定した複数の除去対象ガスバックグラウンド濃度データとトレーサーガスバックグラウンド濃度データとをコントローラ17に出力する(S−56)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力されたバックグラウンド濃度測定データ(テドラーバックTA1〜TD1において平均化された複数の除去対象ガスバックグラウンド濃度データ、テドラーバックTA1〜TD1において平均化された複数のトレーサーガスバックグラウンド濃度データ)をフィルタ識別子(テドラーバックを個別に特定するテドラーバック識別子を含む)に関連付けた状態でハードディスクに格納する(バックグラウンドガス濃度格納手段)(S−57)。
バックグラウンドガス濃度の格納が完了した後、ガス除去エアフィルタ11の除去効率の測定を行う。図3において初期画面のガス濃度第1測定ボタンA4をクリックすると、コントローラ17は、ガス除去エアフィルタ11を透過した空気に含まれる除去対象ガスと同一の試験用ガス23とトレーサーガス29との濃度測定を行う。コントローラ17は、ダクト19を流れる空気に対して試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度があらかじめ設定された濃度倍率になるように、設定量の試験用ガス23およびトレーサーガス29を噴霧器から通気ダクト19の空気流路20に供給する(ガス供給手段)(S−58)。なお、サンプリング管路40の接続端子には、テドラーバックTA2〜TD2が接続されている。
コントローラ19は、試験用ガス23とトレーサーガス29とを供給した直後から採集時間が経過するまでの間、空気第1採集ユニット14を利用し、ガス除去エアフィルタ11の下流側に延びるダクト19からサンプル空気を採集する。コントローラ17は、バックグラウンド濃度測定と同様に、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38Aに達したサンプル空気の一定量をテドラーバックTA2に流入させる。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気は、その一部(サンプル空気)が採集口34からポンプ36に進入し、サンプリング管路40を通ってテドラーバックTA2に収容される(サンプル空気第1採集手段)(S−59)。コントローラ17は、サンプル空気の一定量をテドラーバックTB2〜TD2に順に流入させ、テドラーバックTB2〜TD2にサンプル空気を収容させる(サンプル空気第1採集手段)(S−59)。コントローラ17は、すべてのテドラーバックTA2〜TD2にサンプル空気が収容されたかを判断し(S−60)、サンプル空気がそれらテドラーバックTA2〜TD2に収容されたと判断すると、サンプル空気の採集を停止し(S−61)、サンプル空気を放出口35から通気ダクト19の空気流路20に放出する。
コントローラ17は、サンプル空気採集を終了するかを判断する(S−62)。サンプル空気の採集が終了した後、サンプリング管路40の接続端子からテドラーバックTA2〜TD2を取り外し、図18に示すように、それらテドラーバックTA2〜TD2を光音響ガスモニタ15の接続端子に順番に接続する。テドラーバックTA2〜TD2を光音響ガスモニタ15に接続すると、コントローラ17は、図示はしていないが、テドラーバックガス濃度第1測定ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ43に表示する。テドラーバックガス濃度第1測定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、テドラーバックTA2〜TD2に収容されたサンプル空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度測定指示信号を光音響ガスモニタ15に出力し、サンプル空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度をガスモニタ15に測定させる(ガス濃度第1測定手段)(S−63)。
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度を設定された時間間隔で間欠的に複数回測定する。なお、それらテドラーバックTA2〜TD2に収容されたサンプル空気に試験用ガス23やトレーサーガス29が含まれている場合、試験用ガス23やトレーサーガス29が所定容積のテドラーバックTA2〜TD2内のサンプル空気と混合され、試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度が平均化される。なお、光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段によって測定した試験用ガス23の濃度を補正する。また、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定したトレーサーガスの濃度を参照し、ガス濃度第1測定手段によって測定したトレーサーガス29の濃度を補正する。
光音響ガスモニタ15は、測定した複数の試験用ガス23の実測濃度データとトレーサーガス29の実測濃度データとをコントローラ17に出力する(S−64)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データ(テドラーバックTA2〜TD2において平均化された複数の試験用ガス23の実測濃度データ、テドラーバックTA2〜TD2において平均化された複数のトレーサーガス29の実測濃度データ、第1測定識別子または第1測定フラグ、格納日時)をフィルタ識別子(テドラーバック識別子を含む)に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第1格納手段)(S−65)。
ステップ62(S−62)において、サンプル空気採集を終了しない場合、コントローラ17は、テドラーバックTA〜TDに収容されたサンプル空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度をガスモニタ15に測定させ(ガス濃度第1測定手段)(S−66)、光音響ガスモニタ15は、測定した複数の試験用ガス23の実測濃度データとトレーサーガス29の実測濃度データとをコントローラ17に出力する(S−67)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データをフィルタ識別子(テドラーバック識別子を含む)に関連付けた状態でハードディスクに格納した後(ガス濃度第1格納手段)(S−68)、ステップ50(S−50)からの手順を繰り返す。
ガス濃度第1測定が終了した後、図3の初期画面において条件設定ボタンA2をクリックし、ガス濃度第2測定を行う。図14のガス濃度第2測定条件設定画面において測定条件を設定した後(S−69)、コントローラ17は、空気採集時間をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(空気採集時間格納手段)、空気採集量をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納するとともに(空気採集量格納手段)、濃度測定時間間隔をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(濃度測定時間間隔格納手段)。なお、サンプリング管路40の接続端子には、テドラーバックTA3〜TD3が接続されている。
図3の初期画面において、ガス濃度第2測定ボタンA5をクリックすると、コントローラ17は、試験用ガス23とトレーサーガス29との供給を停止した後、バックグラウンド濃度測定やガス濃度第1測定と同様に、流量計付き調節バルブ37から切替バルブ38Aに達したサンプル空気の一定量をテドラーバックTA3に流入させる。ガス除去エアフィルタ11を通過した空気は、その一部(サンプル空気)が採集口34からポンプ36に進入し、サンプリング管路40を通ってテドラーバックTA3に収容される(サンプル空気第2採集手段)(S−70)。コントローラ17は、サンプル空気の一定量をテドラーバックTB3〜TD3に順に流入させ、テドラーバックTB3〜TD3にサンプル空気を収容させる(サンプル空気第2採集手段)(S−70)。コントローラ17は、すべてのテドラーバックTA3〜TD3にサンプル空気が収容されたかを判断し(S−71)、サンプル空気がそれらテドラーバックTA3〜TD3に収容されたと判断すると、サンプル空気の採集を停止し(S−72)、サンプル空気を放出口35から通気ダクト19の空気流路20に放出する。
コントローラ17は、サンプル空気採集を終了するかを判断し(S−73)、サンプル空気の採集が終了した後、サンプリング管路40の接続端子からテドラーバックTA3〜TD3を取り外し、図18に示すように、それらテドラーバックTA3〜TD3を光音響ガスモニタ15の接続端子に順番に接続する。テドラーバックTA3〜TD3を光音響ガスモニタ15に接続すると、コントローラ17は、図示はしていないが、テドラーバックガス濃度第2測定ボタン、キャンセルボタンをディスプレイ43に表示する。テドラーバックガス濃度第2測定ボタンをクリックすると、コントローラ17は、テドラーバックTA3〜TD3に収容されたサンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度測定指示信号を光音響ガスモニタ15に出力し、サンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度をガスモニタ15に測定させる(ガス濃度第2測定手段)(S−74)。
光音響ガスモニタ15は、サンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度を設定された時間間隔で間欠的に測定する。なお、それらテドラーバックTA3〜TD3に収容されたサンプル空気に試験用ガス23が含まれている場合、試験用ガス23が所定容積のテドラーバックTA3〜TD3内のサンプル空気と混合され、試験用ガス23の濃度が平均化される。光音響ガスモニタ15は、バックグラウンドガス濃度測定手段によって測定した除去対象ガスの濃度を参照し、ガス濃度第2測定手段によって測定した試験用ガス23の濃度を補正する。光音響ガスモニタ15は、測定した複数の試験用ガス23の実測濃度データをコントローラ17に出力する(S−75)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データ(テドラーバックTA3〜TD3において平均化された複数の試験用ガス23の実測濃度データ、第1測定識別子または第1測定フラグ、測定日時)をフィルタ識別子(テドラーバック識別子を含む)に関連付けた状態でハードディスクに格納する(ガス濃度第2格納手段)(S−76)。
ステップ73(S−73)において、サンプル空気採集を終了しない場合、コントローラ17は、テドラーバックTA3〜TD3に収容されたサンプル空気に含まれる試験用ガス23の濃度をガスモニタ15に測定させ(ガス濃度第2測定手段)(S−77)、光音響ガスモニタ15は、測定した複数の試験用ガス23の実測濃度データをコントローラ17に出力する(S−78)。コントローラ17は、光音響ガスモニタ15から出力された実測濃度データをフィルタ識別子(テドラーバック識別子を含む)に関連付けた状態でハードディスクに格納した後(ガス濃度第2格納手段)(S−79)、ステップ69(S−69)からの手順を繰り返す。
次に、コントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出するかを判断する(S−80)。希釈倍率を算出する場合、図3の初期画面において希釈倍率算出ボタンA6をクリックする。希釈倍率算出ボタンA6をクリックすると、コントローラ17は、トレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出すると判断し、ガス除去エアフィルタ11の出口から流出した空気中に含まれるトレーサーガス29の濃度(テドラーバックTA2〜TD2に収容されたサンプル空気に含まれるトレーサーガス29の濃度)からトレーサーガス29の空気中における希釈倍率を算出する(希釈倍率計算手段)(S−81)。さらに、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率に基づいてガス除去エアフィルタ11に流入した試験用ガス23の実供給濃度を算出する(試験用ガス実供給濃度算出手段)(S−82)。
コントローラ17は、希釈倍率計算手段によって算出したトレーサーガス29の空気中における希釈倍率をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納し(希釈倍率格納手段)、試験用ガス実給濃度算出手段によって算出した試験用ガス23の実供給濃度をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(試験用ガス実供給濃度格納手段)(S−83)。
濃度1測定および濃度第2測定が終了した後、コントローラ17は、横軸の時間軸に、複数の試験用ガス実測濃度を設定された時間間隔で表示し、それら濃度どうしを線分で結ぶことによって図10〜図12の折れ線グラフE2,F2,G2を生成する(グラフ生成手段)(図10〜図12援用)。コントローラ17は、生成したグラフE2,F2,G2をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(グラフ格納手段)。
次に、コントローラ17は、試験用ガス23の実供給量と試験用ガス23の検出量とから濃度測定が終了したガス除去エアフィルタ11の除去効率を前記式:η(%)=(h1/h2)×100={h1/(∫g×f)}×100によって算出する(除去効率算出手段)。コントローラ17は、算出した除去効率をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(除去効率格納手段)。コントローラ17は、算出したガス除去エアフィルタ11の現在の除去対象ガスに対する除去効率(%)とフィルタ11の除去効率下限値(%)とを比較し、そのフィルタ11の継続使用または交換を判定する(フィルタ状態判定手段)。コントローラ17は、ガス除去エアフィルタ11の継続使用または交換の判定結果をフィルタ識別子に関連付けた状態でハードディスクに格納する(フィルタ判定結果格納手段)。
コントローラ17は、図11,12のグラフF2,G2に基づいて、ガス除去エアフィルタ11の欠陥をその除去機能の低下であるか、または、フィルタ11やその設置器具の空気漏れ(リーク)であるかを分析する(欠陥分析手段)。コントローラ17は、その分析結果(除去機能の低下またはリーク)をフィルタ識別子に関連付けた状態でバードディスクに格納する(欠陥分析結果格納手段)。
なお、図3の初期画面において第1測定グラフ表示ボタンA7をクリックし、図9のフィルタ指定画面においてフィルタ名を入力した後、グラフ表示ボタンD2をクリックすると、コントローラ17は、指定されたガス除去エアフィルタ11に対応する図10〜図12のグラフE2,F2,G2をディスプレイ43に表示する(グラフ出力手段)(S−84)(図10〜図12援用)。また、データ表示ボタンD3をクリックすると、コントローラ17は、図13の第1測定データ表示画面や図16の第2測定データ表示画面をディスプレイ43に表示する(測定濃度データ出力手段)。(S−84)(図13、図16援用)。なお、測定データ表示画面には、除去効率が表示され(除去効率出力手段)、欠陥種類が表示されるとともに(欠陥分析結果出力手段)、フィルタ11の継続使用または交換の判定結果が表示される(フィルタ判定結果出力手段)。
除去効率測定システム10Bは、除去効率測定システム10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。除去効率測定システム10Bは、空気をそれらテドラーバックTA〜TD(第1〜第n空気採集袋)に順番に収容しつつ所定時間連続して収容することで、それらテドラーバックTA〜TD毎に空気に含まれる試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度が平均化され、試験用ガス23やトレーサーガス29の濃度の平均値を求めることができる。除去効果測定システム10Bは、試験用ガス23の濃度の平均値を使用することで、空気における試験用ガス23の濃度上昇から濃度下降までの時系列的な濃度変化を正確に把握することができ、試験用ガス23の濃度変化に基づいて、ガス除去エアフィルタ11の対象ガス除去機能の低下、または、フィルタ11やその設置器具の構造的な欠陥あるいは化学的な欠陥のいずれかを確実に判断することができる。