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JP5521268B2 - エアコンプレッサおよびモータ制御装置 - Google Patents

エアコンプレッサおよびモータ制御装置 Download PDF

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JP5521268B2 JP2007320802A JP2007320802A JP5521268B2 JP 5521268 B2 JP5521268 B2 JP 5521268B2 JP 2007320802 A JP2007320802 A JP 2007320802A JP 2007320802 A JP2007320802 A JP 2007320802A JP 5521268 B2 JP5521268 B2 JP 5521268B2
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Description

本発明は、エアコンプレッサおよびモータ制御装置に関し、より詳細には、PAM制御とPWM制御とを用いてモータ手段の制御を行う制御手段を備えたエアコンプレッサおよびモータ制御装置に関する。
圧縮空気を利用した釘打機等の駆動工具を建築現場で利用する場合には、駆動工具に対して圧縮空気を供給するエアコンプレッサを設置する必要がある。エアコンプレッサは、モータ部を駆動させることによって圧縮空気生成部で圧縮空気を生成し、生成させた空気をタンク部に貯留することによって、所定圧力の圧縮空気を駆動工具に供給する構造となっている。
今日のエアコンプレッサでは、モータ部の駆動量を制御部で制御する構造となっている。一般的な制御部には、コンバータ回路とインバータ回路とが設けられており、コンバータ回路によるPAM制御とインバータ回路によるPWM制御とを併用することによって、モータ部の駆動量を調節して、迅速かつ安定した圧縮空気を供給することが可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
具体的に、制御部では、所定電圧値にモータ部の駆動用電圧を設定し(このようにして設定される電圧を、以下PAM電圧という)、設定された電圧値までコンバータ回路を用いて一次電圧を昇圧させる。その後、制御部では、インバータ回路を用いたPWM制御により、モータ部の駆動制御量(出力値:以下、Duty値という)を少しずつ上昇させることによってモータ部の駆動量を高め、Duty値が100%に達したことを条件に、モータ部の制御をPWM制御からPAM制御へと移行させる方法を用いている。
特開昭59−181973号公報
しかしながら、上述したように一次電圧を昇圧させる場合、PAM電圧をどの程度の電圧値に設定することが最適であるかを決定することが容易ではない。例えば、タンク部に蓄えられる圧縮空気の圧力状態等によってモータ部の駆動時に必要とされる起動トルクが大きく変化し、モータ部に対する駆動負荷が変動する傾向がある。このため、タンク部の内部圧力に応じてPAM電圧値を設定しなくてはならないという問題があった。
一方で、エアコンプレッサは、一般的なコンセント(交流電源)用のプラグを備えており、プラグをコンセントに接続することによって、モータ部を駆動させるための駆動電力の供給を受ける構造となっている。作業現場でエアコンプレッサを使用する場合には、同一コンセントに複数の電動工具を接続させて使用することが多いため、規定の一次電圧値を確保することが困難となるおそれがある。このように一次電圧値が規定の値よりも低くなってしまう場合において、PAM電圧を高い値に設定してしまうと、設定された電圧値まで一次電圧を昇圧させることが困難となり、モータ部の性能を十分に発揮できないおそれもあった。
さらに、制御部では、上述したように、インバータ回路によるPWM制御によってモータ部の駆動量を高め、Duty値が100%に達したことを条件に、PWM制御からPAM制御へと制御を移行する方法を採用しているが、PAM電圧を高い電圧値に設定している場合には、PWM制御において所定の電圧値までモータの駆動量を高めることができず、Duty値を100%に上昇させることが困難になるおそれがあった。このような場合には、Duty値が100%に移行しないため、結果としてPAM制御への移行が困難になってPWM制御のまま駆動されたり、PAM制御へ移行する場合であっても、移行までに多くの時間を必要とするという問題があった。
このため、制御部においてPWM制御が継続して行われてしまい、インバータ回路によるインバータ効率の低減、発熱量の増大およびインバータ回路のチョッピング処理に伴うノイズの発生などを招いてしまうという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、モータ手段の状況に応じてPWM制御からPAM制御へと移行される条件となる電圧値を設定し、PWM制御からPAM制御へと円滑に移行させることが可能なエアコンプレッサおよびモータ制御装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るエアコンプレッサは、モータ駆動手段の駆動により生成された圧縮空気の圧力状態を検出する圧力検出手段と、前記モータ駆動手段に供給される一次電圧を検出する電圧検出手段と、PAM制御とPWM制御とを用いて前記モータ手段の制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段により検出された一次電圧と前記圧力検出手段により検出された圧力状態とに基づいて、制御が前記PWM制御から前記PAM制御へと移行される条件となる電圧値を決定することを特徴とする。
ここで、PAM(Pulse Amplitude Modulation)制御とは、出力電圧のパルスの高さを変化させることにより、モータ手段の回転数を制御する方法である。一方で、PWM(Pulse Width Modulation)制御とは、出力電圧のパルス幅を変化させることによって、モータ手段の回転数を制御させる方法である。
本発明に係るエアコンプレッサでは、一次電圧と圧力状態とに基づいて、制御がPWM制御からPAM制御へと移行される条件となる電圧値を設定するため、エアコンプレッサの状態に適した電圧値を設定することができる。
例えば、圧力値が基準値よりも高い値である場合には、その圧力値に応じて、移行される条件となる電圧値を高い値に変更(設定)することにより、駆動開始時におけるモータ手段の負担を考慮した起動耐力を、モータ手段に対して付与することが可能となる。
また、一次電圧が基準値よりも低い場合、その一次電圧値に応じて移行の条件となる電圧値を低い値に設定することによって、一次電圧低下によりDuty値が100%になかかなか到達しないという状況を回避することができ、PWM制御のDuty値を100%に移行させやすくなる。一方で、一次電圧値が基準値よりも高い場合には、その一次電圧値に応じて移行の条件となる電圧値を高い値に設定することによって、モータ手段の駆動開始時における起動耐力の確保を図ることが可能となる。
なお、PWM制御におけるDutyとは、パルスのOn:Off比率を示したものであり、本発明では、この比率をパーセンテージで示した値をDuty値とする。例えば、Duty値が90%の場合には、モータ手段の回転数が90%で駆動制御されることになる。このため、Duty値はモータ手段における駆動制御量、換言すると、モータ手段に対する制御手段の出力値を意味することになる。
さらに、上記エアコンプレッサにおいて上記制御手段は、前記モータ手段の駆動開始直後に行われる前記PWM制御のDuty値の上昇状況に応じて、当該PWM制御から前記PAM制御へと移行される条件となる電圧値を変更するものであってもよい。
このように、PWM制御のDuty値の上昇状況に応じて、PWM制御からPAM制御へと移行される条件となる電圧値を変更することによって、Duty値がなかなか上昇し難い状況であっても、積極的な電圧値の低減によりDuty値の上昇を誘導することができ、早期かつ円滑にPWM制御をPAM制御へと移行することが可能となる。
また、本発明に係るモータ制御装置は、PAM制御とPWM制御とを用いてモータ手段の制御を行う制御手段を備え、該制御手段は、前記モータ手段の駆動開始直後に行われる前記PWM制御のDuty値の上昇状況に応じて、当該PWM制御から前記PAM制御へと移行される条件となる電圧値を変更することを特徴とする。
このように、本発明に係るモータ制御装置では、モータ手段の駆動開始直後に行われるPWM制御のDuty値の上昇状況に応じて、PWM制御からPAM制御へと移行される条件となる電圧値を変更するため、PWM制御のDuty値の上昇が何らかの制御要因によって所定Duty値からなかなか上昇し難くなった場合であっても、電圧値を変更、具体的には電圧値を下げることにより、円滑にPAM制御へと移行することが可能となる。このため、PAM制御に移行することなくPWM制御が継続して続いてしまうことを防止することができ、PWM制御の継続により発生するインバータ効率の低減や、発熱量の増大等に伴う部品不具合の発生、モータ手段における駆動効率低減などを効果的に抑制することが可能となる。
本発明に係るエアコンプレッサおよびモータ制御装置によれば、モータ手段の駆動開始直後に行われるPWM制御のDuty値の上昇状況に応じて、PWM制御からPAM制御へと移行される条件となる電圧値を変更するため、PWM制御のDuty値の上昇が何らかの制御要因によって所定Duty値からなかなか上昇し難くなった場合であっても、円滑にPAM制御へと移行することが可能となる。
以下、本発明に係るエアコンプレッサについて、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、エアコンプレッサの概略構成を示したブロック図である。エアコンプレッサ1は、タンク部2と、圧縮空気生成部3と、モータ部(モータ手段)4と、制御回路部(制御手段)5とによって概略構成されている。
タンク部2は、圧縮空気を貯留するための貯留タンク8を有している。貯留タンク8には、圧縮空気生成部3により生成された一定圧力の圧縮空気が蓄えられており、通常3.5MPa〜4.3MPa程度の圧力に維持されている。
貯留タンク8には、複数の圧縮空気取出口9が設けられている。本実施の形態においては、高圧の圧縮空気を取り出すための高圧取出口9aと、常圧の圧縮空気を取り出すための常圧取出口9bとが設けられている。各取出口9a、9bには、それぞれの取出口9a、9bより得られる圧縮空気を所望の圧力に減圧させるための減圧弁10a、10bが設けられており、高圧取出口9aでは、減圧弁10aによって取り出される圧縮空気の圧力が1.5MPa〜2.50MPa程度に減圧され、常圧取出口9bでは、減圧弁10bによって取り出される圧縮空気の圧力が0.7MPa〜1.5MPa程度に減圧される。
貯留タンク8内の圧縮空気は、上述したように通常3.5MPa〜4.3MPa程度の圧力に維持されるため、高圧取出口9aから取り出され圧縮空気も常圧取出口9bから取り出される圧縮空気も、上述した所望の圧力を減圧弁10a、10bによって維持することが可能となる。また、各取出口9a、9bには、減圧弁10a、10bにより減圧された圧縮空気を釘打機等の駆動工具に供給するために、エアホース(図示省略)を着脱することが可能となっている。
また、貯留タンク8には貯留タンク8内の圧力を検出するための圧力センサ(圧力検出手段)12が設けられている。圧力センサ12は、貯留タンク8内の圧力変化を内部の感圧素子によって電気信号に変換する機能を有しており、検出した電気信号は制御回路部5に伝達される。
圧縮空気生成部3は、シリンダ内に設けられるピストンを往復運動させ、シリンダの吸気弁からシリンダ内に引き込まれた空気を圧縮することによって圧縮空気を生成する構造を備えている。圧縮された空気は、連結パイプ14を介してタンク部2の貯留タンク8へと供給される。
モータ部4は、圧縮空気生成部3のピストンを往復運動させるための駆動力を発生させる役割を有している。モータ部4には、駆動力を発生させるためのステータ16とロータ17とが設けられている。ステータ16には、U相、V相、W相の巻線16a、16b、16cが形成されており、これらの巻線16a〜16cに対して電流を流すことによって回転磁界が形成される。
ロータ17は、永久磁石によって構成されており、ステータ16の巻線16a、16b、16cを流れる電流によって形成される回転磁界により、ロータ17の回転が行われる。また、モータ部4には、ロータ17の回転を検出するための回転数検出部18が設けられている。回転数検出部18には、ホールICが設けられており、このホールICを用いてロータ17における磁界の変化を検出することによってロータ17の回転数を検出する。
制御回路部5は、図2に示すように、マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit、制御手段)20と、コンバータ回路21と、インバータ回路22とによって概略構成されている。
コンバータ回路21は、整流回路24と昇圧回路25と平滑回路26とにより概略構成されており、このコンバータ回路21によっていわゆるPAM制御が実行される。ここで、PAM制御とは、コンバータ回路21によって出力電圧のパルスの高さを変化させることにより、モータ部4の回転数を制御する方法である。一方で、インバータ回路22では、いわゆるPWM制御が実行される。PWM制御とは、出力電圧のパルス幅を変化させてモータ部4の回転数を制御させる方法である。
PAM制御は、PWM制御に比べて、モータ部4における低回転時の効率低下が少なく、電圧を上げることによって高回転にも対応することが可能であるという特性を有しているため、高出力時および定常運転時に主として用いられる制御方法である。一方で、PWM制御は、起動時や電圧低下時などにおいて主として用いられる制御方法である。マイクロプロセッサ20は、エアコンプレッサ1の運転状態に応じて、コンバータ回路21によるPAM制御とインバータ回路22によるPWM制御とを好適に切り替えて制御を実行する。
コンバータ回路21の整流回路24および平滑回路26は、エアコンプレッサ1の駆動源となる交流電源29を整流・平滑することによって直流電圧に変換する役割を有している。昇圧回路25の内部には、スイッチング素子25aが設けられており、マイクロプロセッサ20の制御命令に応じて直流電圧の振幅制御を行う役割を有している。昇圧回路25は、マイクロプロセッサ20のPAM命令を受けた昇圧コントローラ27を介して制御されている。
なお、コンバータ回路21の整流回路24と昇圧回路25との間には、電圧検出部(電圧検出手段)28が設けられている。電圧検出部28で検出される電圧値は、昇圧回路25等を経て電圧値が昇圧される前の一次電圧の値であり、この電圧値は交流電源29の電圧値を示している。従って、電圧検出部28において電圧値を検出することによって、交流電源29によりどの程度の一次電圧が供給されているかを判断することができ、エアコンプレッサ1の機能を発揮し得る電圧値として予め規定されている規定電圧値(本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、例えば100V)との電圧値差を容易に判断することが可能となる。電圧検出部28によって検出された駆動電圧値は、マイクロプロセッサ20に出力される。
インバータ回路22は、コンバータ回路21によって変換された直流電圧のパルスを一定周期で正負変換させるとともに、パルス幅を変換させることによって直流電圧を擬似的な正弦波を備える交流電圧に変換する役割を有している。このパルス幅を調整することによって、上述したようにモータ部4の回転数制御を行うことが可能となる。マイクロプロセッサ20は、インバータ回路22に対する出力値の調整を行うことによって、モータ部4の駆動量を制御する。
マイクロプロセッサ20は、コンバータ回路21およびインバータ回路22の駆動制御を行うことによって、タンク部2の圧縮空気の圧力を3.5MPa〜4.3MPaに安定させるための制御手段である。マイクロプロセッサ20は、演算処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)、ワークメモリ等の一時記憶領域として利用されるRAM(Random Access Memory)、後述する制御処理プログラム(例えば、図3および図5に示す処理に関するプログラム)等が記録されるROM(Read Only Memory)等の機能が、1チップのLSIにより実現されたものである。
マイクロプロセッサ20には、回転数検出部18によって検出されたモータ部4(より詳細にはロータ17)の回転数情報(駆動回転数の情報)が入力されると共に、電圧検出部28で検出された一次電圧値(駆動電源の電圧値の情報)が入力される。一方でマイクロプロセッサ20は、制御情報(PAM命令、PWM命令)をコンバータ回路21およびインバータ回路22に対して出力することが可能な構成となっている。コンバータ回路21およびインバータ回路22では、マイクロプロセッサ20によって出力された制御情報に基づいて、モータ部4の駆動制御を実行する。
マイクロプロセッサ20は、昇圧コントローラ27にPAM命令を出力することによって、昇圧コントローラ27を介して昇圧回路25のスイッチング素子25aを制御して、コンバータ回路21の駆動制御を行う。また、同様に、マイクロプロセッサ20は、インバータ回路22に対してPWM命令を出力することによってインバータ回路22の制御を行う。
但し、上述したように、PAM制御は高出力時および定常運転時に主として用いられる制御方法であり、PWM制御は、起動時や電圧低下時などにおいて主として用いられる制御方法である。このため、マイクロプロセッサ20は、エアコンプレッサ1の起動時に、起動用電圧値を所定の電圧値(この電圧値がPWM制御からPAM制御へと移行する条件となる電圧値に該当するPAM電圧)まで昇圧させた後に、インバータ回路22のDuty値を初期値25%から100%へと徐々に増加させることによって、エアコンプレッサ1(モータ部4)の駆動状態を立ち上げる制御を行う。
ここで、インバータ回路22によるDuty値は、予め定められた回転数(例えば3000回転)にモータ部4の回転が到達することによって100%に達することになる。但し、モータの駆動状態に応じてDuty値の上昇率が変更される。例えば、回転数のみに基づいてDuty値の上昇制御を行うと、モータ部の駆動電流が所定の電流値(例えば15A)を超えてしまうおそれがある。このように駆動電流が所定電流値を超えてしまうおそれがある場合には、駆動電流を所定電流値を維持した(少なくとも、所定電流値を超えることがない)状態で、Duty値を上昇させてモータ部4の駆動を行う必要がある。一般的に、圧力センサ12により検出されるタンク部2の圧力が1MPa以下の場合には、モータ部4の回転数のみに基づいてDuty値の上昇制御が行われ、圧力が1MPa以上になると、電流値が15Aに到達することが多いため、それ以降は、駆動電流を15Aに維持した状態でDuty値の上昇制御を行う。
また、モータ部4の起動時に設定するPAM電圧の値を高い値にすると、PWM制御においてDuty値が100%到達することなく(例えば、Duty値が80%の状態において)、目標の回転数にモータ部4の回転が到達してしまうおそれがある。このような場合には、モータ部4の回転数を目標回転数に維持したままPWM制御が継続して行われてしまい、PAM制御に移行することができなくなってしまう。
さらに、モータ部4の起動時にPAM電圧の値を所定の値に設定しても、交流電源29によりエアコンプレッサ1へと供給される一次電圧の値が、所定の一次電圧値(例えば、100V)よりも低い場合には、PWM制御においてDuty値を十分に上昇させることができず、PAM制御に移行することができなくなってしまうおそれがある。
一方で、圧力センサ12により検出されるタンク部2の圧力が高い場合には、起動時に大きな負荷がモータ部4に加えられるおそれがあるため、PAM電圧の値を高い値に設定して、起動時に大きな駆動力(駆動トルク)を確保することが好ましい。
このため、マイクロプロセッサ20は、起動時に設定するPAM電圧の値を、電圧検出部28により検出される一次電圧値および圧力センサ12により検出される圧力状態に応じて最適に設定し、さらに、PWM制御からPAM制御へと円滑に処理を移行させるために、モータ部4の駆動開始後に、PWM制御のDuty値の増加量を調整すると共に、PAM電圧の値を適宜修正(変更)する制御を行う。
図3は、マイクロプロセッサ20において、起動時におけるPAM電圧の決定処理を示したフローチャートであり、図4は、一次電圧の値およびタンク部2の圧力値に応じて決定されるPAM電圧の関係を示したグラフである。
まず、マイクロプロセッサ20は、エアコンプレッサ1に設けられた操作部(図示省略)の操作によりエアコンプレッサ1の駆動指示がなされ、モータ部4の駆動命令が発せられているか否かを判断する(ステップS.1)。モータ部4の駆動命令が発せられていない場合(ステップS.1においてNoの場合)に、マイクロプロセッサ20は、モータ部4の駆動命令が発せられるまで処理を繰り返し実行する。
モータ部4の駆動命令が発せられた場合(ステップS.1においてYes場合)、マイクロプロセッサ20は、電圧検出部28より一次電圧値を取得する(ステップS.2)。そして、マイクロプロセッサ20は、取得した一次電圧値に基づいて、PAM電圧の第1設定値を求める(ステップS.3)。

本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、図4に示すように、一次電圧値が100Vであって、圧力センサの値が0〜1.5MPaの場合を基準(図に示す符号Aの線分参照)として、PAM電圧をDC250Vに規定している。従って、取得した一次電圧値がAC100Vでない場合には、取得した一次電圧値と100Vとの差異に基づいてPAM電圧の値を修正する。PAM電圧の第1設定値とは、このように、基準となるPAM電圧に対して一次電圧値に基づいて修正が行われた電圧値を意味する。
図4に示すように、PAM電圧値は、一次電圧の値に比例した関係(符号A〜Dに示す線分参照)を示している。このため、マイクロプロセッサ20は、取得された一次電圧値と100Vとの差に所定の係数(図4に示す線分A〜Dの傾きに該当する係数)を掛け合わせることにより修正値を算出し、算出された修正値をPAM電圧の基準値であるDC250Vに加算することによって第1設定値を求める(ステップS.3)。
次に、マイクロプロセッサ20は、圧力センサ12よりタンク部2内の圧力値を取得する(ステップS.4)。そしてマイクロプロセッサ20は、取得した圧力値に基づいて、PAM電圧の第2設定値を求める(ステップS.5)。
本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、図4に示すように、圧力値が0〜1.5MPaの通常モードの場合(図4の符号Aの線分)、圧力値が1.5〜3.0MPaの通常モードの場合(図4の符号Bの線分)、圧力値が3.0〜4.0MPaの通常モードの場合(図4の符号Cの線分)、圧力値が4.0〜4.3MPaの通常モードの場合(図4の符号Dの線分)のいずれかを判断することによって、圧力値に基づいて、PAM電圧の第1設定値の修正を行い、修正が行われたPAM電圧を第2設定値として算出する。
具体的にマイクロプロセッサ20は、一次電圧値が100Vであって、圧力センサ12の値が0〜1.5MPaの場合にPAM電圧がDC250Vに規定される状態(図4に示す符号Aの線分)を基準として、圧力値が0〜1.5MPaの場合には、第1設定値として求められたPAM電圧をそのまま第2設定値とする(図4に示す符号Aの線分)。また、マイクロプロセッサ20は、圧力値が1.5〜3.0MPaの場合に、第1設定値として求められたPAM電圧の値に10Vの電圧値を加算して第2設定値とする(図4に示す符号Bの線分)。
さらに、マイクロプロセッサ20は、圧力値が3.0〜4.0MPaの場合に、第1設定値として求められたPAM電圧の値に20Vの電圧値を加算して第2設定値とする(図4に示す符号Cの線分)。また、マイクロプロセッサ20は、圧力値が4.0〜4.3MPaの場合に、第1設定値として求められたPAM電圧の値に30Vの電圧値を加算して第2設定値とする(図4に示す符号Dの線分)。
このようにして第2設定値の算出を行った後、マイクロプロセッサ20は、エアコンプレッサ1の運転モードに伴う第2設定値の補正を行う。本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、通常回転数(例えば、3000回転)でモータ部4を駆動させる通常モードに加えて、モータ部4の回転量を低く設定する(例えば、1800回転)ことによって、エアコンプレッサ1の駆動音を低減させる静音モードが設けられている。静音モードの場合に、マイクロプロセッサ20は、PAM電圧を低く設定することにより、モータ部4の駆動量の低減を図っている。
マイクロプロセッサ20は、運転モードが静音モードであるか否かの判断を行う(ステップS.6)。運転モードが静音モードである場合(ステップS.6においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、第2設定値から20Vの減算を行った値(図4に示す線分Eでは、通常モードであって圧力値が0〜1.5MPaの場合(線分A)における20Vの減算状態を示している)を最終的なPAM電圧に決定して(ステップS.7)処理を終了する。一方で、運転モードが静音モードでない場合には、第2設定値を最終的なPAM電圧に決定して処理を終了する。
マイクロプロセッサ20は、このようにして起動時のPAM電圧を決定した後に、決定したPAM電圧まで一次電圧を昇圧し、PWM制御によりモータ部4の駆動を開始する。
図5は、マイクロプロセッサ20により、モータ部4の駆動制御がPWM制御からPAM制御へと移行されるまでの処理を示したフローチャートである。
上述したように、PWM制御のDuty値が100%になると、モータ部4に対する制御がPWM制御からPAM制御へと移行することになる。従って、PWM制御からPAM制御へと円滑に制御を移行するためには、最適なタイミングでPWM制御のDuty値が100%に到達することが好ましい。しかしながら、PWM制御におけるDuty値の上昇は、モータ部の回転数および駆動電流値を考慮して制御が行われ、さらに、PWM制御におけるDuty値が100%時の電圧値がPAM電圧となるため、PAM電圧の値が高い場合には、PWM制御のDuty値が100%に到達し難くなる。
本発明に係るエアコンプレッサ1のマイクロプロセッサ20では、PWM制御におけるDuty値の上昇変化に応じてPAM電圧の値を変更することによって、PWM制御におけるDuty値を円滑かつ高速に上昇させて、PWM制御からPAM制御への円滑な移行を図っている。
まず、マイクロプロセッサ20は、演算処理ユニットに設けられる計時タスクにより、40msec毎の時間経過を計測し、40msecの時間経過が行われた否かを判断する(ステップS.11)。40msecの時間が経過されていないと判断した場合(ステップS.11においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、同一の処理(ステップS.11)を繰り返し実行する。
一方で、40msecの時間経過が行われたものと判断した場合(ステップS.11においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、今回のPWM制御におけるDuty値(出力値)と前回のPWM制御におけるDuty値(出力値)とを比較し、前回のDuty値(出力値)と今回のDuty値(出力値)との差がDuty値(出力値)において1%以上の値となるか否か、つまり、
前回の出力値(Duty値)−今回の出力値(Duty値)≧出力値(Duty値)において1%
が成立するか否かを判断する(ステップS.12)。
ここで、PWM制御におけるDuty値は、目標とするモータ部4の回転数と、回転数検出部18により検出された現実の回転数との差に基づいて決定される。但し、上述したように、圧力センサ12によりタンク部2内の圧力値が1MPaを超えたあたりから、モータ部4の駆動電流値が15Aを超えて上昇してしまうおそれがあるため、この電圧値を維持するようにしてDuty値(出力値)を決定する。
Duty値(出力値)の差が1%以上である場合(ステップS.12においてYesの場合)、マイクロプロセッサ20は、PAM電圧の値を、DC3Vだけ減算した値に修正し(ステップS.13)、処理をステップS.11に示した時間経過判断処理に移行する。
一方で、Duty値(出力値)の差が1%未満である場合(ステップS.12においてNoの場合)、マイクロプロセッサ20は、PAM電圧の値をDC3V+DCαVだけ減算した値に修正し(ステップS.14)、処理をステップS.11に示した時間経過判断処理に移行する。ここで、減算処理を行うαは、Duty値(出力値)の1%から上述したDuty値(出力値)の差を減算した値に基づいて決定される。
つまり
出力差(Duty値)の1%−上述した出力値(Duty値)の差
=出力差(Duty値)の1%−(前回の出力値(Duty値)−今回の出力値(Duty値))
によって求められる値に基づいて、修正を行う電圧値αVを算出する。
なお、実際にマイクロプロセッサ20において制御を行う場合には、すべての制御量を相対的な数値に換算して制御を行う。例えば、Duty値が100%の場合におけるマイクロプロセッサ20の制御量は、「1667」という相対的な数値で表される。従って、出力値の1%の制御量は、約「17」という数値に該当する。一方で、PAM電圧の値をDC3Vだけ低減させる制御量は、「18」で表すことができるため、上述したDuty値(出力値)の差が,例えば数値「5」として求められる場合には、PAM電圧の減算制御量として、
18(PAM電圧の値をDC3Vだけ低減させる制御量)
+(17(出力値(Duty値)の1%の制御量)
―5(上述した出力値(Duty値)の差の制御量)
=30
つまり、「30」という相対的な数値により制御量を求めることができる。この「30」という制御量は、PAM電圧の値をDC5Vだけ低減させる制御量に該当する。従って、この場合には、マイクロプロセッサ20は「30」の制御量に該当するDC5VだけPAM電圧を低減させる。
図6は、図5に示した処理によって変化するPAM電圧値とPWM制御のDuty値との時間変化を示したグラフである。図6に示すように、PAM電圧をDC250Vとし、一次電圧の昇圧処理を行った後に、PWM制御においてDuty値を初期値25%から上昇させる場合、マイクロプロセッサ20における従来の制御では、破線で示すように、PWM制御においてDuty値が100%になるまで時間T1を要する。これに対して、Duty値の上昇割合に応じてPAM電圧の値を減算させることによって、PWM制御におけるDuty値の上昇を早めることができるので、Duty値が100%に到達するまでの時間がT1からT2へと短縮され(図6の実線参照)、従来よりも短時間で円滑にPWM制御からPAM制御へと移行することが可能となる。
このように、本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、交流電源29の一次電圧の値とタンク部2の圧力値に応じて適切なPAM電圧の値を算出してPAM電圧に設定するため、エアコンプレッサ1の状態に適した電圧値を設定することができる。
具体的には、一次電圧が100Vで、圧力値が0MPaの場合におけるPAM電圧250Vを基準値として、圧力値が基準となる0MPaよりも高い値である場合には、その圧力値に応じてPAM電圧の値を10V〜30Vだけ高い値に設定することにより、起動時のモータ部4の負担を考慮した起動耐力の確保を図ることが可能となる。また運転モードが静音モードである場合には、モータ部4の回転数が通常モード(平均回転数3000回転)に比べて低い回転数(平均回転数1800回転)となるため、PAM電圧値を基準電圧値(250V)よりも20Vだけ低い値に設定することによって、モータ部4の回転数が低い場合であってもPWM制御におけるDuty値を100%に上昇させやすくでき、円滑にPWM制御からPAM制御へと制御を移行させることが可能となる。
また、一次電圧が基準となる100Vよりも低い場合(例えば、エアコンプレッサ1が接続される交流電源29のコンセントに他の電動工具などが接続されて一次電圧値が低減している場合など)には、PAM電圧が基準となる250Vのままでは、PWM制御のDuty値を100%まで上昇させることが困難となり、円滑にPWM制御をPAM制御へと移行させることが困難となりうる。このため、一次電圧が100Vよりも低い場合には、PAM電圧の値を基準である250Vよりも低い値に設定することにより、PWM制御のDuty値を100%に移行させやすくすることができる。一方で、一次電圧値が100Vよりも高い場合には、PAM電圧の値を基準となる250Vよりも高い値に設定することにより、モータ部4の駆動開始時における起動耐力の確保を図ることが可能となる。
さらに、PWM制御が開始された後であっても、マイクロプロセッサ20がDuty値の上昇状態に応じて、PAM電圧の設定を低減させるので、Duty値の上昇が低い場合(Duty値の1%以下の場合)には、積極的なPAM電圧の低減によりDuty値の上昇を誘導し、早期かつ円滑にPWM制御をPAM制御へと移行することが可能となる。
以上、本発明に係るエアコンプレッサ1について図面を用いて詳細に説明したが、本発明に係るエアコンプレッサは、上述した実施の形態に限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、一次電圧が100V、圧力値が0MPaの場合におけるPAM電圧の値を基準値として250Vに規定しているが、基準値となるPAM電圧は250Vに限定されるものではなく、モータ部4の性能やタンク部2の容量などエアコンプレッサ1の規格に応じて適宜変更することが可能である。
また、本実施の形態に係るエアコンプレッサ1では、一次電圧値および圧力値に応じて基準となるPAM電圧値を修正することによって、最終的なPAM電圧値を決定したが、一次電圧値および圧力値に応じて修正されるPAM電圧値は、本実施の形態に示した値に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
さらに、PWM制御におけるDuty値の上昇状態に応じてPAM電圧の値を修正する構成としたが、修正を行う電圧値や、その値を判断するDuty値の上昇割合などは、本実施の形態に示した値に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
本実施の形態に係るエアコンプレッサの概略構成を示すブロック図である。 本実施の形態に係るエアコンプレッサの制御回路部を示すブロック図である。 本実施の形態に係るマイクロプロセッサにより起動時のPAM電圧値の決定処理を示したフローチャートである。 図3に示したフローチャートに従って決定されるPAM電圧値に関する一次電圧および圧力値・運転モードとの関係を示したグラフである。 本実施の形態に係るマイクロプロセッサにおいてPWM制御におけるDuty値の上昇状態に対応して修正されるPAM電圧の修正処理を示したフローチャートである。 図5に示したフローチャートに従って変更されるPAM電圧と、Duty値の上昇状態との時間変化を示したグラフである。
符号の説明
1 …エアコンプレッサ
2 …タンク部
3 …圧縮空気生成部
4 …モータ部(モータ手段)
5 …制御回路部(制御手段)
8 …(タンク部の)貯留タンク
9 …圧縮空気取出口
9a …(圧縮空気取出口の)高圧取出口
9b …(圧縮空気取出口の)常圧取出口
10a、10b …減圧弁
12 …圧力センサ(圧力検出手段)
14 …連結パイプ
16 …(モータ部の)ステータ
16a、16b、16c …(ステータの)巻線
17 …ロータ
18 …(モータ部の)回転数検出部
20 …マイクロプロセッサ(制御手段)
21 …コンバータ回路
22 …インバータ回路
24 …(コンバータ回路の)整流回路
25 …(コンバータ回路の)昇圧回路
25a …(昇圧回路の)スイッチング素子
26 …(コンバータ回路の)平滑回路
27 …昇圧コントローラ
28 …電圧検出部(電圧検出手段)
29 …交流電源

Claims (3)

  1. モータ駆動手段の駆動により生成された圧縮空気の圧力状態を検出する圧力検出手段と、
    前記モータ駆動手段に供給される一次電圧を検出する電圧検出手段と、
    PAM制御とPWM制御とを用いて前記モータ手段の制御を行う制御手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記電圧検出手段により検出された一次電圧と前記圧力検出手段により検出された圧力状態とに基づいて、制御が前記PWM制御から前記PAM制御へと移行される条件となる電圧値を決定すること
    を特徴とするエアコンプレッサ。
  2. 前記制御手段は、前記モータ手段の駆動開始直後に行われる前記PWM制御のDuty値の上昇速度が規定よりも遅いときに、当該PWM制御から前記PAM制御へと移行される条件となる電圧値を下げること
    を特徴とする請求項1に記載のエアコンプレッサ。
  3. PAM制御とPWM制御とを用いてモータ手段の制御を行う制御手段を備え、
    該制御手段は、前記モータ手段の駆動開始直後に行われる前記PWM制御のDuty値の上昇速度が規定よりも遅いときに、当該PWM制御から前記PAM制御へと移行される条件となる電圧値を下げること
    を特徴とするモータ制御装置。
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