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JP5510959B2 - 蒸ケーキ生地及び蒸ケーキ類 - Google Patents

蒸ケーキ生地及び蒸ケーキ類 Download PDF

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JP5510959B2 JP2010045726A JP2010045726A JP5510959B2 JP 5510959 B2 JP5510959 B2 JP 5510959B2 JP 2010045726 A JP2010045726 A JP 2010045726A JP 2010045726 A JP2010045726 A JP 2010045726A JP 5510959 B2 JP5510959 B2 JP 5510959B2
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Description

本発明は、ソフトで歯切れが良く風味良好な蒸ケーキ類を提供することができる蒸ケーキ生地、及び斯かる特徴を有する蒸ケーキ類に関する。
蒸ケーキは古来愛されてきた食品であり、小麦粉や澱粉等の澱粉類を主体とした生地を蒸成することによって製造され、水分が多いため比重が大きくどっしりとした重量感と、重く、みずみずしい食感が特徴である。そして、反面ややねっとりした食感になりやすいという問題があった。
そのため、古くから、このねとりのある食感を改良し、みずみずしい食感でありながら、歯切れを向上するための検討が各種行われてきた。例えば、パンでは一般的技法である、湯種法を使用する方法(例えば特許文献1参照)や、膨潤抑制でんぷんを使用する方法(例えば特許文献2参照)、リン酸架橋澱粉を多量に使用する方法(例えば特許文献3参照)、あるいは、卵白を多量に使用する方法(例えば特許文献4参照)等が提案されている。
しかし、湯種法を使用する方法では、水分が多くべたついた食感になりやすいという問題があり、膨潤抑制でんぷんを使用する方法やリン酸架橋澱粉を使用する方法は、食感が硬くなりやすいという問題があり、卵白を多量に使用する方法は、水分が多くべたついた食感になってしまったり、又は弾力のある食感になりやすいという問題があった。
そこで、パンの一般的な技法ではなく、蒸ケーキの上記特徴を考慮した方法として、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材とゲル化剤と水とで構成される複合体を使用する方法(例えば特許文献5参照)が提案されている。しかし、この方法では複合体の水分含量が高いため、特に油分や卵含量が高いリッチな配合の生地であると、べたついた食感になりやすいという問題があった。
さらに、小麦粉と乳化剤とからなる混合物を密閉容器中で撹拌しながら間接加熱処理して得られる熱処理混合物を添加する方法(例えば特許文献6参照)も提案されている。しかし、この方法では、乳化剤に由来するねちゃついた食感が発生しやすいため使用量が限られ、そのため大きな食感の改善効果が得られない問題に加え、該熱処理混合物の添加により生地粘度が大きく変化してしまうという問題もあった。
特開2003−199485号公報 特開平7−75479号公報 特開平10−276660号公報 特開2001−86924号公報 特開2008−253147号公報 特開2007−117002号公報
従って、本発明の目的は、副原料の配合に影響されることなく、ソフトで歯切れが良く風味良好な蒸ケーキ類を得ることができる蒸ケーキ生地、及び該生地で作られた蒸ケーキ類を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々検討した結果、蒸ケーキ生地において、澱粉類の一部又は全部を焙焼小麦粉に置換することにより、上記問題を解決可能であることを知見した。そして、さらに検討を行った結果、従来、蛋白含量が高い小麦粉はケーキ生地には使用しないという常識に反し、蒸ケーキ類においては、強力粉を焙焼した焙焼小麦粉を使用した場合、より好ましい食感となることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、膨張剤及び/又は起泡剤を含有する蒸ケーキ生地であって、蒸ケーキ生地に使用する澱粉類のうち75〜100質量%の焙焼小麦粉を含有し、さらに蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、卵類が50〜300質量部、油分が20〜80質量部であり、生地比重が0.3〜0.5であることを特徴とする蒸ケーキ生地、及び該蒸ケーキ生地を蒸成してなる蒸ケーキ類を提供するものである。
本発明の蒸ケーキ生地によれば、副原料の配合量が多い場合であっても、ソフトで歯切れが良く風味良好な蒸ケーキ類が得られる。
以下、本発明について好ましい実施形態に基づいて詳述する。
まず、本発明で使用する焙焼小麦粉について説明する。
上記焙焼小麦粉の原料小麦としては、食用となる品位のものであれば、品種や産地は限定されず使用することができ、普通小麦、デュラム小麦、スペルト小麦、クラブ小麦等を特に制限なく使用することができる。上記焙焼小麦粉は、これらの原料小麦から得られた原料小麦粉を焙焼処理することにより得ることができる。
焙焼処理する原料小麦粉の種類についても特に制限はなく、薄力粉、中力粉、強力粉、準強力粉、浮き粉、全粒粉等の何れを使用してもよいが、本発明では、焙焼処理する原料小麦粉として、蛋白質含有量が9.0質量%以上の小麦粉を使用することが好ましく、10.0〜18.0質量%の小麦粉を使用することがより好ましい。尚、小麦粉における蛋白質含有量は一般的に6.5〜18.0質量%である。
また、原料小麦粉中の蛋白質含有量が上記の好ましい範囲となるように2種以上の小麦粉、例えば薄力粉と強力粉を混合してから焙焼してもよく、また、その原料小麦粉中の蛋白質含有量が上記の好ましい範囲となるように、2種以上の焙焼小麦粉を混合してもよい。尚、焙焼により、小麦粉の水分は減少する場合もあるため、2種以上の焙焼小麦粉を混合する場合は、小麦粉における水分含量を14%(5訂版食品成分表)に換算して蛋白質含有量を計算するものとする。
焙焼小麦粉の焙焼条件についても特に制限はなく、焙焼温度や時間は適宜調整すればよい。例えば焙焼温度は、焙焼方法によっても異なるが、通常60〜160℃、好ましくは80〜140℃であり、また、例えば焙焼時間は通常5分〜24時間、好ましくは10分〜12時間である。
焙焼する機械は粉体を加熱できるものであればよく、一般的な固定オーブンやリールオーブンをはじめ、撹拌装置のついた直火式、蒸気ジャケット式、電磁加熱式等の焙煎釜もしくはロースターを用いてもよい。尚、市販の焙焼小麦粉を使用してもよい。
本発明では蒸ケーキ生地に上記焙焼小麦粉が含まれれば上記の効果が得られるが、好ましくは蒸ケーキ生地に使用する澱粉類のうち50〜100質量%、さらに好ましくは75〜100質量%、最も好ましくは100質量%を上記焙焼小麦粉とする。上記焙焼小麦粉の含有量が多いほど、風味と歯切れの良さを顕著に向上させることができる。
本発明において、上記澱粉類とは、上記焙焼小麦粉を含めた穀粉や澱粉、さらにはこれらの穀粉や澱粉に対し、酵素処理、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理等の中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した加工穀粉や加工澱粉等をいう。
上記穀粉としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉等が挙げられる。また、上記澱粉としては、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等が挙げられる。但し、本発明では、上記焙焼小麦粉以外に小麦粉を使用する場合は、強力粉を使用しないことが好ましく、準強力粉や中力粉も使用しないことがより好ましい。上記焙焼小麦粉以外に小麦粉を使用する場合は、最も好ましくは薄力粉を使用する。尚、一般的に、薄力粉は蛋白質含有量6.5〜8.5質量%、中力粉は蛋白質含有量8.0〜10.5質量%、準強力粉は蛋白質含有量10.5〜12.0質量%、強力粉は蛋白質含有量11.5〜20.0質量%である。
本発明の蒸ケーキ生地は、上記澱粉類100質量部に対し、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材とゲル化剤と水とで構成される複合体(以下、単に複合体ともいう)を、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは10〜70質量部、さらに好ましくは20〜50質量部含有することが、よりソフトで歯切れのよい食感が得られる点で好ましい。
上記複合体中の「乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材(以下、単に食品素材ともいう)」の含有量は、乳固形分として、好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは0.9〜4質量%である。
上記食品素材は、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5〜40質量%である。
上記食品素材は、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳から製造されたものが好ましく、特に牛乳から製造されたものが好ましい。上記食品素材としては、具体的には、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では、上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたもの等を用いることも可能である。但し、上記の水相成分は、高温加熱するとその機能が低下するため、加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。さらに、溶剤を用いて濃縮したものは、風味上の問題から用いないことが好ましい。
また、本発明では、上記食品素材中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、食品素材をそのままリゾ化したものであってもよく、また食品素材を濃縮した後にリゾ化したものであってもよい。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記の食品素材中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
上記食品素材における乳固形分中のリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて行うことができる。但し、抽出方法等については食品素材の形態等によって適正な方法が異なるため、この定量方法に限定されるものではない。
まず、食品素材の脂質を、Folch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて食品素材の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(食品素材−食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
また、上記食品素材は、乳酸菌を接種して乳酸発酵物としてもよく、必要により水や乳糖等の資化性糖を添加してから乳酸菌を接種して乳酸発酵物としてもよい。この場合、乳酸菌を接種して乳酸発酵物とした食品素材を、殺菌して複合体に配合してもよいし、殺菌せずに複合体に配合してもよい。
上記複合体を構成するゲル化剤としては、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、ゼラチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天の中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
上記複合体中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.02〜2質量%、最も好ましくは0.05〜1.5質量%である。複合体中のゲル化剤の含有量が0.01質量%より少なかったり、3質量%よりも多いと、蒸ケーキ類における歯切れ向上効果が発揮されにくいか、あるいは歯切れが悪くなりやすい。
上記複合体中の水の含有量は、好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは35〜85質量%、最も好ましくは35〜80質量%である。複合体中の水の含有量が30質量%より少ないと、複合体中の水相中のゲル化剤濃度が高くなり、複合体が蒸ケーキ生地へ均一に分散しにくい。また90質量%よりも多いと、複合体と生地との反応が、複合体が生地に分散する過程よりも早く起こりやすく、結果的に蒸ケーキ類の歯切れを向上させることが難しい。尚、ここでいう水とは、水道水や天然水等の水の他、牛乳、液糖等の水分も含めたものである。
上記複合体は、蒸ケーキ類の歯切れをより良好にすることが可能な点で、膨潤抑制糊化澱粉を含有することが好ましい。
膨潤抑制糊化澱粉とは、アミロース含量が好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるハイアミロース澱粉や、リン酸架橋処理、乳化剤処理、湿熱処理等によって、澱粉ミセルを強化した加工澱粉を糊化処理したものであり、糊化澱粉でありながら、澱粉粒の形態を保持しているという特徴を有する。
上記ハイアミロース澱粉の澱粉種については、米やコーンが一般的であるが、特に限定されない。
また、上記加工澱粉の原料澱粉としては、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の市販の澱粉質材料等を用いることができる。また、これらの澱粉質材料をあらかじめ、エーテル処理、酸化処理又はエステル化処理したものも、上記原料澱粉として使用することができる。
上記複合体中の膨潤抑制糊化澱粉の含有量は、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部、最も好ましくは1〜5質量%である。
上記複合体には、乳蛋白質、乳化剤、糖類・甘味料、金属イオン封鎖剤、セルロースやセルロース誘導体、膨潤抑制糊化澱粉以外の澱粉類、穀類、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β−ガラクトシダーゼ)、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等の澱粉分解酵素、プルラナーゼ、ペントサナーゼ、ペクチナーゼ、インベルターゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、カタラーゼ、リポキシゲナーゼ、リポキシナーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、スルフィドリルオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、パーオキシダーゼ、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、直鎖デキストリン・分枝デキストン・環状デキストン等のデキストリン類、乳製品、卵製品、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材全般、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、臭素酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ヨウ素酸カリウム等の酸化剤、システイン、グルタチオン等の還元剤、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、グリシン、しらこ蛋白抽出物、ポリリジン、エタノール等の保存料、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等を配合してもよい。
上記乳蛋白質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記カゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン等が挙げられる。
上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC)、ホエイ蛋白質単離物(WPI)等が挙げられる。
上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、発酵乳等の乳や乳製品を挙げることができる。
上記乳蛋白質の含有量は、上記複合体中、乳蛋白質分として好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜4質量%である。
上記乳化剤としては、レシチン、酵素処理レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明では、風味や、消費者の間に広まっている天然志向に応える観点から、レシチンや酵素処理レシチン以外の合成乳化剤を用いないことが好ましく、さらに好ましくは上記乳化剤を用いないことが望ましい。
上記糖類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、デキストリン等が挙げられる。また、上記甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム等が挙げられる。上記複合体ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記糖類や上記甘味料の含有量は、上記複合体中、糖類や甘味料の総量で好ましくは30質量%以下とする。
上記金属イオン封鎖剤は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等を封鎖するものであり、その具体例としては、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム等の各種リン酸塩、並びにクエン酸、酒石酸等の有機酸塩類、及び炭酸塩等の無機塩類が挙げられる。上記複合体ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記金属イオン封鎖剤の含有量は、上記複合体中、好ましくは1質量%以下とする。
上記セルロースやセルロース誘導体としては、微小繊維状セルロース、結晶セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられ、上記澱粉類としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチ米澱粉等の澱粉や、澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したもの、アセチル化アジピン酸架橋澱粉・アセチル化リン酸架橋澱粉・アセチル化酸化澱粉・オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム・ヒドロキシプロピル澱粉・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉・リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉・リン酸化澱粉・酸化澱粉・酢酸澱粉等、澱粉に対し酸処理やアルカリ処理・エステル化・アセチル化・リン酸架橋化・加熱・湿熱等の化学的・物理的処理を行った加工澱粉、更にこれら加工澱粉を水に溶け易い様にあらかじめ加熱処理により糊化させた澱粉が挙げられる。上記複合体ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のセルロースやセルロース誘導体及び澱粉類の含有量は、上記複合体中、セルロースやセルロース誘導体及び澱粉類の総量で好ましくは5質量%以下とする。
尚、上記複合体に澱粉類を使用する場合は、該澱粉類も、本発明の蒸ケーキ生地における各成分の含有量の基準となる「澱粉類100質量部」に含めるものとする。
また、上記複合体は、油脂と混合乳化して、水中油型乳化物、油中水型乳化物、二重乳化物として用いることもできる。この場合、水相が外相となる乳化状態である、水中油型乳化物や二重乳化物とするのが好ましい。
上記油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられる。本発明では、これらの油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記油脂の含有量は、上記複合体中、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは5〜65質量%、最も好ましくは5〜60質量%である。
次に、本発明で用いることができる上記複合体の好ましい製造方法について説明する。
(1)1つめの製造方法としては、水に、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材と、必要によりその他の成分を添加して、水相とする。油脂にゲル化剤と必要によりその他の成分を添加した油相を用意し、上記水相と混合し、乳化する。
(2)2つめの製造方法としては、水に上記食品素材を加え、必要によりその他の成分を添加し、これに乳酸菌を接種して適宜調温して乳酸醗酵を行う。さらにゲル化剤と必要によりその他の成分を添加して、水相とする。油脂と必要によりその他の成分を添加した油相を用意し、上記水相と混合し、乳化する。
(3)3つめの製造方法としては、水に上記食品素材を加え、必要によりその他の成分を添加し、これに乳酸菌を接種して適宜調温して乳酸発酵を行う。さらに上記食品素材とゲル化剤と必要によりその他の成分を添加して、水相とする。油脂と必要によりその他の成分を添加した油相を用意し、上記水相と混合し、乳化する。
上記(3)の3つめの製造方法の場合、はじめに用いる食品素材の配合量(前者)とあとから添加する食品素材の配合量(後者)の配合比率は、特に制限されるものではないが、前者:後者が好ましくは1:0.5〜9、さらに好ましくは1:1〜9、最も好ましくは1:2〜9である。
そして、上記(1)〜(3)の製造方法における乳化後、必要に応じて加熱殺菌を行なう。該加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の60〜160℃の加熱処理を行なえば良い。
次に、均質化機にて均質化する。均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。この均質化処理は、2段式ホモゲナイザーを用いて、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なっても良い。
均質化後、必要に応じて冷却しても良い。冷却方法は、例えば、ボーテーター、コンビネーター、パーフェクター等の急冷可塑化機にて急冷可塑化処理を行う方法でも良く、チューブラー式、掻取式等の熱交換機によって冷却する方法でも良い。別の方法として、適当な容器に充填した後に、水浴、氷浴、冷蔵庫、冷凍庫等で冷却する方法も挙げられる。
このようにして得られた上記複合体は、5℃における硬さが好ましくは5〜300g/cm2、さらに好ましくは30〜250g/cm2、最も好ましくは40〜230g/cm2である。尚、上記の硬さは、フドーレオメーター(不動工業(株)製)にてテーブルスピード2cm/分でカード測定用のプランジャー(No.1)が、5cmの複合体に1cm進入したときの応力値を示している。
また、本発明で用いることができる上記複合体のpHは特に制限されるものではないが、好ましくは5.1〜7、さらに好ましくは5.1〜6.7である。
本発明の蒸ケーキ生地は、上記の澱粉類及び複合体の他に、一般的に蒸ケーキ生地に用いられるその他の食品や食品添加物を用いることができる。
上記その他の食品や食品添加物としては、例えば、糖類、甘味料、油脂、乳化剤、卵類、膨張剤、イースト、イーストフード、ケーキ用起泡剤、ケーキ用起泡性乳化油脂、牛乳、水、食塩、調味料、香辛料、着香料、着色料、ココア、チョコレート、ナッツ類、ヨーグルト、チーズ、抹茶、紅茶、コーヒー、豆腐、豆類、野菜類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、ハーブ、肉類、魚介類、保存料、日持ち向上剤等を挙げることができる。
上記糖類、甘味料、油脂、乳化剤としては、上記複合体の製造に用いることができる糖類、甘味料、油脂、乳化剤と同様のものを使用することができる。尚、上記油脂は、マーガリン、ショートニング、バター、粉末油脂、液状油等の形態で使用することもできる。
上記卵類としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白等が挙げられ、もちろんこれらの乾燥品、冷凍品、酵素処理品等を用いることもできる。上記卵類を使用する場合、本発明の蒸ケーキ生地における好ましい卵類含有量は、上記複合体に含まれる卵類含量も含め、蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、好ましくは50〜300質量部であり、より好ましくは100〜300質量部である。
上記膨張剤としては、重曹、ベーキングパウダー、イスパタ、重炭安等を用いることができる。本発明の蒸ケーキ生地における好ましい膨張剤含有量は、蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部である。
本発明の蒸ケーキ生地における好ましい糖類含量は、上記複合体に含まれる糖類含量も含め、蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、固形分として好ましくは20〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部、さらに好ましくは80〜150質量部である。尚、上記糖類含量には、上記その他の食品や食品添加物として糖類を含有する原料を練込使用した場合は、それらに含まれる純糖類含量も含めて算出するものとする。
本発明の蒸ケーキ生地における好ましい油脂含量は、上記複合体に含まれる油脂含量も含め、蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、純油分として好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜80質量部、最も好ましくは30〜60質量部である。尚、上記油脂含量には、上記その他の食品や食品添加物として油脂を含有する原料を練込使用した場合は、それらに含まれる純糖類含量も含めて算出するものとする。
上記焙焼小麦粉を含有する本発明の蒸ケーキ生地は、副原料の含有量が多い場合でも、ソフトで歯切れが良く風味良好な蒸しケーキ類が得られる。より具体的には、本発明の蒸ケーキ生地においては、副原料の含有量を、蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対して、35質量部以上とすることができ、さらに、60質量部以上としても、ソフトで歯切れが良く風味良好な蒸しケーキ類が得られる。その上限は、本発明の効果が損なわれない限り特に制限されるものではないが、250質量部以下の範囲とすることが好ましい。但し、ここでいう副原料とは、本発明の蒸しケーキ生地に使用できる原料として挙げた各種原料のうち、焙焼小麦粉を含む澱粉類、糖類、甘味料、卵類以外の原料を指す。
本発明の蒸ケーキ生地は、その好ましい比重は、0.25〜1.2、より好ましくは0.3〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.5である。
次に、本発明の蒸ケーキ生地を製造する方法について説明する。
本発明の蒸ケーキ生地は、蒸ケーキ生地の製造に用いる澱粉類の一部又は全部として焙焼小麦粉を使用する以外は、一般の蒸ケーキ生地と同様、「フラワーバッター法」、「シュガーバッター法」、「後粉法」、「オールインミックス法」、「共立て法」、「別立て法」等の各種製法を用いて製造することができる。尚、オールインミックス法での蒸ケーキ生地調製は、縦型ミサキーの他、モンドミキサー、オークスミキサー等の連続式起泡化装置を使用してもかまわない。
次に、本発明の蒸ケーキ類について説明する。
本発明の蒸ケーキ類は、本発明の蒸ケーキ生地を蒸成することにより得られたものであり、蒸ケーキのほか、蒸パン、蒸饅頭、かるかん等を含むものである。蒸成方法としては、蒸ケーキ類の製造に通常採用することができる蒸成方法を採用することができ、例えば、蒸し器による蒸し、オーブン中に水又はお湯をはって焼くことによる簡易的な蒸工程、電子レンジ等のマイクロウェーブを用いた蒸工程を含む。蒸成条件は、蒸成方法や蒸ケーキ類1つ当たりに使用する蒸ケーキ生地量等によっても異なり、特に制限されるものではないが、蒸成温度は85〜100℃、蒸成湿度は90〜100%、蒸成時間は10〜40分の範囲がそれぞれ好ましい。
次に、本発明の実施例及び比較例等を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何等制限するものではない。以下の実施例1〜14のうち、実施例6〜11、14は参考例である。
<焙焼小麦粉の製造>
〔製造例1〕
薄力粉(日本製粉製「ハート」、蛋白質含有量8質量%)を展板上に散布し、80℃の固定オーブンで30分間焙焼し、焙焼小麦粉Aとした。
〔製造例2〕
強力粉(日本製粉製「イーグル」、蛋白質含有量12質量%)を展板上に散布し、80℃の固定オーブンで30分間焙焼し、焙焼小麦粉Bとした。
〔製造例3〕
製造例1で使用した薄力粉と製造例2で使用した強力粉を2:1の質量比で混合して混合小麦粉(蛋白質含量を9.3質量%)とし、この混合小麦粉を展板上に散布し、80℃の固定オーブンで30分間焙焼し、焙焼小麦粉Cとした。
〔製造例4〕
製造例1で使用した薄力粉と製造例2で使用した強力粉を1:2の質量比で混合して混合小麦粉とし(蛋白質含量を10.7質量%)、この混合小麦粉を展板上に散布し、80℃の固定オーブンで30分間焙焼し、焙焼小麦粉Dとした。
〔実施例1〕
全卵(正味)150質量部、上白糖120質量部、転化糖液糖(固形分70質量%)3質量部、ケーキ用起泡性水中油型乳化脂(油分30質量%、水分30質量%、糖分35質量%)20質量部、をミキサーボウルに投入し、これをたて型ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、低速10秒混合後、高速で比重が0.30となるまでホイップした(約3分)。ここで、焙焼小麦粉A100質量部、ベーキングパウダー3質量部、重曹2質量部、食塩0.5質量部を予め混合し、ふるいをかけておいたものを添加し、低速1分混合した。次いで、液状油10質量部、香料2質量部を添加し、低速1分混合し、比重が0.36である本発明の蒸ケーキ生地を得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキ生地45gを紙ケース型に絞り入れ、これを蒸し機(フジスチーマー)を用い、温度92℃、湿度100%にて15分蒸し、本発明の蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例2〕
焙焼小麦粉Aに代えて焙焼小麦粉Bを使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例3〕
焙焼小麦粉Aに代えて焙焼小麦粉Cを使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例4〕
焙焼小麦粉Aに代えて焙焼小麦粉Dを使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例5〕
焙焼小麦粉Aに代えて市販の焙焼小麦粉(日清製粉製「ローストフラワーRD」、蛋白質含有量:8質量%)を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例6〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて焙焼小麦粉D50質量部と薄力粉(日本製粉製「ハート」)50質量部の混合物を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例7〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて焙焼小麦粉D25質量部と薄力粉(日本製粉製「ハート」)75質量部の混合物を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例8〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて焙焼小麦粉D10質量部と薄力粉(日本製粉製「ハート」)90質量部の混合物を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例9〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて市販の焙焼小麦粉(日清製粉製「ローストフラワーRD」)50質量部と薄力粉(日本製粉製「ハート」)50質量部の混合物を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例10〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて市販の焙焼小麦粉(日清製粉製「ローストフラワーRD」)25質量部と薄力粉(日本製粉製「ハート」)75質量部の混合物を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例11〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて市販の焙焼小麦粉(日清製粉製「ローストフラワーRD」)10質量部と薄力粉(日本製粉製「ハート」)90質量部の混合物を使用した以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例12〕
下記<複合体Aの製造>で得られた複合体A40質量部をミキシングの最初から添加した以外は実施例4の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し128質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し45質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
<複合体Aの製造>
ホエイパウダー(蛋白質含有量12質量%)0.5質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)5.5質量部、上白糖3質量部、乳酸0.1質量部、食塩0.5質量部を水50.3質量部に溶解し水相とした。一方、パーム油のランダムエステル交換油脂35質量部を溶解し、キサンタンガム0.02質量部、タマリンドシードガム0.08質量部、リン酸架橋加工澱粉5質量部を添加、分散して油相とした。
上記水相に、上記油相を添加、乳化し水中油型組成物とし、これを掻取式熱交換器にて90℃で1分間加熱殺菌し、掻取式熱交換器にて60℃に冷却した。次いでイズミフードマシナリー製2段式ホモゲナイザーにて均質化後、ポリエチレン袋に密封し、20℃まで24時間かけて冷却しゲル化させ、乳蛋白質とゲル化剤と水とで構成される複合体Aを得た。
〔実施例13〕
上記配合・製法で得られた複合体A40質量部をミキシングの最初から添加した以外は実施例5の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し128質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し45質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔実施例14〕
高速ホイップ後の比重を0.45、最終的な蒸ケーキ生地の比重を0.6とした以外は実施例5の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
〔比較例1〕
焙焼小麦粉A100質量部に代えて薄力粉(日本製粉製「ハート」)100質量部とした以外は実施例1の配合・製法に従い、本発明の蒸ケーキ生地及び蒸ケーキを得た。
得られた蒸ケーキ生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し129質量部、油脂の含有量は澱粉類100質量部に対し31質量部であった。
得られた蒸ケーキを常温で1日保存した後、後記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
<蒸ケーキの食感の評価>
10人のパネラーに、常温で1日保存した後の蒸ケーキを試食させ、食感(ソフト性、歯切れ及び風味)について、下記評価基準に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とした。それらの結果を表1に示す。
尚、表1において、ソフト性については、38〜50点:◎、25〜37点:○、13〜24点:△、0〜12点:×として示す。歯切れ及び風味については、50点満点の点数表記で示す。
(評価基準)
・ソフト性
5点:非常にソフトな食感である。
3点:ソフトな食感である。
1点:やや硬い食感である。
0点:非常に硬い食感である。
・歯切れ
5点:非常に歯切れが良い。
3点:歯切れが良い。
1点:歯切れが悪い。
0点:非常に歯切れが悪い。
・風味
5点:良好な風味がある。
3点:ほぼ良好な風味がある。
1点:風味が悪い。
0点:非常に風味が悪い。
Figure 0005510959
上記評価結果から分かるとおり、焙焼小麦粉を含有する蒸ケーキ生地を使用して得られた蒸ケーキ類は、ソフト性、歯切れ、風味共に良好なものであった。それに対し、焙焼小麦粉を使用しなかった比較例1の蒸ケーキは歯切れが悪く、風味も劣るものであった。

Claims (3)

  1. 膨張剤及び/又は起泡剤を含有する蒸ケーキ生地であって、
    蒸ケーキ生地に使用する澱粉類のうち75〜100質量%の焙焼小麦粉を含有し、
    さらに蒸ケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、卵類が50〜300質量部、油分が20〜80質量部であり、
    生地比重が0.3〜0.5であることを特徴とする蒸ケーキ生地。
  2. 上記焙焼小麦粉の原料小麦粉の蛋白質含有量が9.0質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の蒸ケーキ生地。
  3. 請求項1又は2に記載の蒸ケーキ生地を蒸成してなることを特徴とする蒸ケーキ類。
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