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JP5502156B2 - 測定装置 - Google Patents

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JP5502156B2
JP5502156B2 JP2012168859A JP2012168859A JP5502156B2 JP 5502156 B2 JP5502156 B2 JP 5502156B2 JP 2012168859 A JP2012168859 A JP 2012168859A JP 2012168859 A JP2012168859 A JP 2012168859A JP 5502156 B2 JP5502156 B2 JP 5502156B2
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Description

本発明は、筐体に保持された振動体を人間の耳に押し当てることで、振動体の振動に基づく音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置に関するものである。
特許文献1には、携帯電話などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者(ユーザ)に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、骨導音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と骨導音とが利用者に伝えられることが記載されている。
特開2005−348193号公報
ところで、発明者らは、上記特許文献1に記載された電話機とは異なり、携帯電話の表面に配置された表示パネルや保護パネル等のパネルを振動させることにより発生する気導音と、振動するパネルを人間の耳に当てた時に伝わる振動伝達による音成分である振動音とを用いて音を伝える携帯電話を開発している。そして発明者らは、特許文献1のような電話機や発明者らが開発を行っている携帯電話等の振動により何らかの音を伝える電子機器を適切に評価するには、振動体の振動によって人体に音圧と振動量がどれだけ伝わるかを可能な限り人体に近似させて測定することが好ましいことに思い至った。なお、一般に振動量の測定法としては、以下の二つの測定法が知られている。
第1の測定法は、耳の後ろの乳突部を機械的に模擬した骨導振動子測定用の人工マストイドに、測定対象の振動体を押し当てて振動量を電圧として測定するものである。第2の測定法は、例えば圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップを、測定対象の振動体に押し当てて振動量を電圧として測定するものである。
しかしながら、上記第1の測定法により得られる測定電圧は、振動体を人体の耳の後ろの乳突部に押し当てたときの人体の特徴が機械的に重み付けされた電圧であって、振動体を人体の耳に押し当てたときの振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。また、上記第2の測定法により得られる測定電圧は、振動体の振動量を振動する物体から直接的に測定したものであって、同様に、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた電圧ではない。そのため、従来の測定法により振動体の振動量を測定しても、電子機器が人体に伝える振動量を正しく評価することができないことになる。
また、発明者らによる検討によると、振動体を有する電子機器をより適切に評価するためには、振動体の振動量を人体の耳への振動伝達の特徴を重み付けして測定した測定値と、従来の測定法におけるような人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされない測定値とを対比して、両者の関連性を確認する必要がある場合も想定される。
本発明は、上述した観点に鑑みてなされたもので、人体の耳、特に耳の軟骨を中心とした各部への振動伝達の特徴が重み付けされた振動量と振動伝達の特徴が重み付けされない振動量とを選択的に測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価できる測定装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成する本発明に係る測定装置の発明は、動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置であって、
人体の耳を模した耳模型と、人工外耳道を構成する人工外耳道部とを備え、基台に対して着脱可能に支持される耳型部と、当該耳型部が前記基台に支持された状態にあるときに、該耳型部の前記耳模型とは逆側における、前記人工外耳道と交差する面に配置され、前記振動体の振動を検出する振動検出部と、を備える
前記耳型部は、前記振動検出部に対して着脱自在であってもよい。
前記振動検出部は、前記耳型部に取り付けられた第1の振動検出部と、前記耳型部から分離された第2の振動検出部とを備え、
前記基台に対する前記耳型部の着脱に応じて、前記第1の振動検出部又は前記第2の振動検出部が前記基台に選択的に保持されてもよい。
前記耳型部が前記基台から取り外された状態で、前記振動検出部による前記振動体の振動の検出感度が、IEC60318−6に準拠した人工マストイドのメカニカルインピーダンスレベルに調整されてもよい。
前記振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器は、筺体に保持されたパネルが前記振動体として振動する電子機器であるとよい。
前記人工外耳道は、20mmから40mmの長さを有してもよい。
前記電子機器を保持する保持部をさらに備えてもよい。
前記保持部は、人が前記電子機器を自身の耳に押し当てるように、当該電子機器を少なくとも2箇所において支持する支持部を備えてもよい。
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に対して押圧する方向に移動調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に対して押圧する方向に回動調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部又は前記振動検出部に対して0Nから10Nの範囲で押圧力を調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記振動体を前記耳型部又は前記振動検出部に対して3Nから8Nの範囲で押圧力を調整可能であってもよい。
前記保持部は、前記耳型部又は前記振動検出部に対する前記電子機器の接触姿勢を変更可能に、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に対して当該電子機器の上下方向に移動調整可能であってもよい。
前記接触姿勢は、前記振動体が前記耳型部又は前記振動検出部を覆うように、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に接触させる姿勢を含んでもよい。
前記接触姿勢は、前記振動体の一部が前記耳型部又は前記振動検出部に接触するように、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に接触させる姿勢を含んでもよい。
前記耳型部は、IEC60318−7に準拠した素材からなってもよい。
前記振動検出部は、前記人工外耳道の周辺部に配置された複数個の振動検出素子を備えてもよい。
前記振動体の振動による音圧を測定するための音圧測定部をさらに備えてもよい。
前記音圧測定部は、前記耳型部が前記基台に支持された状態にあるとき、前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を測定可能に配置されてもよい。
前記耳型部は、前記音圧測定部に対して着脱自在であってもよい。
記耳型部に取り付けられた第1の音圧測定部及び第1の振動検出部からなる第1のセットと、前記耳型部から分離された第2の音圧測定部及び第2の振動検出部からなる第2のセットとを備え、
前記基台に対する前記耳型部の着脱に応じて、前記第1のセット或いは前記第2のセットのいずれか前記基台に選択的に支持されてもよい。
前記音圧測定部は、チューブ部材に保持されたマイクを備えてもよい。
本発明によれば、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた振動量と振動伝達の特徴が重み付けされない振動量とを選択的に測定でき、振動体を有する電子機器を正しく評価することが可能となる。
本発明の第1実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。 測定対象の電子機器の一例を示す平面図である。 図1の測定装置の部分詳細図である。 図1の測定装置による直接測定モード時の概略構成を示す図である。 図1の測定装置による間接測定モードの測定結果の一例を示す図である。 図1の測定装置による直接測定モードの測定結果の一例を示す図である。 本発明の第2実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定装置10は、電子機器装着部20と、測定部200とを備える。電子機器装着部20は、基台30に着脱自在に支持される耳型部50と、測定対象の電子機器100を保持する保持部70とを備える。なお、以下の説明において、電子機器100は、図2に平面図を示すように、矩形状の筐体101の表面に、人の耳よりも大きい矩形状のパネル102を有するスマートフォン等の携帯電話で、パネル102が振動体として振動するものとする。先ず、耳型部50について説明する。
耳型部50は、人体の耳を模したもので、耳模型51と、該耳模型51に結合された人工外耳道部52とを備える。人工外耳道部52は、耳模型51を覆う大きさを有し、中央部に人工外耳道53が形成されている。耳型部50は、人工外耳道部52の周縁部において、支持部材54を介して基台30に着脱自在に支持される。
耳型部50は、例えば人体模型のHATS(Head And Torso Simulator)やKEMAR(ノウルズ社の音響研究用の電子マネキン名)等に使用される平均的な耳模型の素材と同様の素材、例えば、IEC60318−7に準拠した素材からなる。この素材は、例えば硬度35から55のゴム等の素材で形成することができる。なお、ゴムの硬さは、例えばJIS K 6253やISO 48 などに準拠した国際ゴム硬さ(IRHD・M 法)に準拠して測定されるとよい。また、硬さ測定装置としては、株式会社テクロック社製 全自動タイプIRHD・M法マイクロサイズ 国際ゴム硬さ計GS680が好適に使用される。なお、耳型部50は、年齢による耳の硬さのばらつきを考慮して、大まかに、2から3種類程度、硬さの異なるものを準備し、これらを付け替えて使用するとよい。
人工外耳道部52の厚さ、つまり人工外耳道53の長さは、人の鼓膜(蝸牛)までの長さに相当するもので、例えば20mmから40mmの範囲で適宜設定される。本実施の形態では、人工外耳道53の長さを、ほぼ30mmとしている。
耳型部50には、人工外耳道部52の耳模型51側とは反対側の端面において、人工外耳道53の開口周辺部に位置するように振動検出部55が着脱自在に配置される。振動検出素子56は、測定部200に接続される。振動検出部55は、例えば、圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップからなる振動検出素子56を備える。図3(a)は、耳型部50を基台10側から見た平面図である。図3(a)では、人工外耳道53の開口周辺部を取り囲むようにリング状の振動検出素子56を配置した場合を例示しているが、振動検出素子56は、複数個であってもよい。複数個の振動検出素子56を配置する場合は、人工外耳道53の周辺部に適時の間隔で配置してもよいし、人工外耳道53の開口周辺部を取り囲むように円弧状の2個の振動検出素子を配置してもよい。なお、図3(a)において、人工外耳道部52は矩形状を成しているが、人工外耳道部52は任意の形状とすることができる。
さらに、耳型部50には、音圧測定部60が着脱自在に配置される。。音圧測定部60は、測定部200に接続される。音圧測定部60は、図3(b)に図3(a)のb−b線断面図を示すように、リング状の振動検出素子56の開口部に支持されたチューブ部材61に挿入保持されたコンデンサマイク等の公知のマイク62を備える。マイク62は、後述するように、耳型部50を基台30から取り外してパネル102の振動による音を検出する際、マイク62がパネル102に接してパネル102の振動をノイズとして検出しないように、耳型部50への装着状態において、音圧検出面が人工外耳道部52の端面から所定の距離dを隔てて配置される。ここで、所定の距離dは、例えば距離dの空間における共振周波数がパネル102の測定周波数範囲外(例えば、10kHz以上)となるように設定される。
次に、保持部70について説明する。電子機器100が、スマートフォン等の平面視で矩形状を成す携帯電話の場合、人が当該携帯電話を片手で保持して自身の耳に押し当てようとすると、通常、携帯電話の両側面部を手で支持することになる。また、耳に対する携帯電話の押圧力や接触姿勢は、人(利用者)によって異なったり、使用中に変動したりする。本実施の形態では、このような携帯電話の使用態様を模して、電子機器100を保持する。
そのため、保持部70は、電子機器100の両側面部を支持する支持部71を備える。支持部71は、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向に、y軸と平行な軸y1を中心に回動調整可能にアーム部72の一端部に取り付けられている。アーム部72の他端部は、基台30に設けられた移動調整部73に結合されている。移動調整部73は、アーム部72を、y軸と直交するx軸と平行な方向で、支持部71に支持される電子機器100の上下方向x1と、y軸及びx軸と直交するz軸と平行な方向で、電子機器100を耳型部50に対して押圧する方向z1とに移動調整可能に構成されている。
これにより、支持部71に支持された電子機器100は、軸y1を中心に支持部71を回動調整することで、又は、アーム部72をz1方向に移動調整することで、振動体(パネル102)の耳型部50に対する押圧力が調整される。本実施の形態では、0Nから10Nの範囲、好ましくは3Nから8Nの範囲で押圧力が調整される。
ここで、0Nから10Nの範囲は、人間が電子機器を耳に押し当てて通話等の使用をするに想定される押し当て力よりも十分な広い範囲での測定を可能とすることを目的としている。なお、0Nの場合として、例えば耳型部50に接触しているが押し当てていない場合のみならず、耳型部50から1cmきざみで離間させて保持でき、それぞれの離間距離において測定ができるようにしてもよい。これにより、気道音の距離による減衰の度合いもマイク62による測定により可能となり、測定装置としての利便性が向上する。また、3Nから8Nの範囲は、通常、健聴者が従来型のスピーカを用いて通話をする際に耳に押し当てる平均的な力の範囲を想定している。人種、性別により差があるかもしれないが、要は従来型のスピーカを搭載したスマートフォンや従来型携帯電話等の電子機器において、通常、ユーザが押し付ける程度の押圧力において振動音や気道音を測定できることが好ましい。
また、アーム部72をx1方向に移動調整することで、耳型部50に対する電子機器100の接触姿勢が、例えば、パネル102が耳型部50のほぼ全体を覆う姿勢や、図1に示されるように、パネル102が耳型部50の一部を覆う姿勢に調整される。なお、アーム部72を、y軸と平行な方向に移動調整可能に構成したり、x軸やz軸と平行な軸回りに回動調整可能に構成したりして、耳型部50に対して電子機器100を種々の接触姿勢に調整可能に構成してもよい。
上述したように、本実施の形態に係る測定装置10は、振動検出部55及び音圧測定部60が一体化されて、耳型部50に対して相対的に着脱自在となっている。したがって、図1に示すように、耳型部50と振動検出部55及び音圧測定部60とを結合して、その結合体を基台30に支持部材54を介して支持することにより、耳型部50を介してパネル102の振動に基づく音を測定することができる。
つまり、図1の耳型部50を介する間接測定モードでは、測定部200により、振動検出部55の出力に基づいて、パネル102を耳型部50に押し当てて振動させた際に外耳道部52を経て伝わる振動量を検出することができる。これにより、パネル102の振動が直接内耳を揺らし、鼓膜を経由しないで聴く骨導成分に相当する振動量、すなわち人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた振動量が検出される。また、同時に、測定部200により、音圧測定部60の出力に基づいて、パネル102の振動により空気が振動して直接鼓膜を経由して聴く気導成分に相当する音圧、及び、パネル102の振動により外耳道内部が振動して耳自体で発生した音を鼓膜経由で聴く気導成分に相当する音圧、すなわち人体の耳への音圧伝達の特徴が重み付けされた音圧が測定される。
また、図4に示すように、耳型部50を振動検出部55及び音圧測定部60から取り外して、支持部材57を介して振動検出部55及び音圧測定部60を基台30に支持することにより、耳型部50を介することなく、パネル102の振動に基づく音を直接測定することができる。つまり、図4の耳型部50を取り外した直接測定モードでは、測定部200により、振動検出部55の出力に基づいて、パネル102を振動検出部55に直接押し当てて振動させた際の振動量を検出することができる。これにより、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされないパネル102の振動量が検出される。また、同時に、測定部200により、音圧測定部60の出力に基づいて、人体の耳への音圧伝達の特徴が重み付けされないパネル102の振動による音圧が測定される。
なお、図4に示す直接測定モードでは、パネル102の振動が振動検出部55に確実に伝達されるように、パネル102と振動検出部55との間に粘着シート等を介在させてもよい。また、パネル102は、もっとも振動する部分、例えば圧電素子によりパネル102を振動させる場合は、圧電素子が位置するパネル部分を振動検出部55に押し当てる。また、図4に示す直接測定モードでは、測定部200において、振動検出部55による振動の検出感度を、IEC60318−6に準拠した人工マストイドのメカニカルインピーダンスレベルに調整して、人体の耳の後ろの乳突部にパネル102を押し当てたときの人体の特徴が重み付けされた振動量を検出してもよい。
図5及び図6は、本実施の形態に係る測定装置10による測定結果の一例を示す図で、図5は図1の間接測定モードによる測定結果を示し、図6は図4の直接測定モードによる測定結果を示す。図5及び図6において、横軸は音響周波数(Hz)を示し、縦軸は測定電圧(dBV)を示す。図5において、太線は振動レベルを示し、細線は音圧レベルを示し、破線は振動レベルと音圧レベルとを合成した聴感レベルを示す。また、図6において、太線は直接測定による振動レベルを示し、細線は振動検出部55による振動の検出感度を人工マストイドのメカニカルインピーダンスレベルに調整して測定したインピーダンス補正マストイド法による振動レベルを示すもので、従来の人工マストイド法による振動レベルに相当する。
図5及び図6から明らかなように、本実施の形態に係る測定装置10によると、間接測定モードにより測定される振動レベルは、直接測定モードにより測定される従来の人工マストイド法に相当するインピーダンス補正マストイド法と比較すると、インピーダンス補正マストイド法による測定レベルよりも大きい。また、間接測定モードにより測定される振動レベルは、直接測定モードによる振動レベルと比較すると、直接測定モードによる振動レベルよりも小さくなる。つまり、間接測定モードにより測定される振動レベルは、人体の耳の振動伝達の特徴が重み付けされたものとなる。
このように、本実施の形態に係る測定装置10によると、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた間接測定モードによる振動レベルと、従来の測定法におけるような人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされない直接測定モードによる振動レベルとを選択的に測定することができる。したがって、両者の振動レベルを対比して関連性を確認することで、電子機器100をより正しく評価することができる。また、間接測定モードでは、振動レベルと同時に人工外耳道53を介しての音圧も測定でき、これにより人間の耳への振動伝達量に相当する振動レベルと気導音に相当する音圧レベルとが合成された聴感レベルを測定できるので、電子機器100をより詳細に評価することが可能となる。さらに、電子機器100の耳型部50や振動検出部55に対する押圧力を可変できるとともに、接触姿勢も可変できるので、電子機器100を種々の態様で評価することが可能となる。
(第2実施の形態)
図7(a)及び(b)は、本発明の第2実施の形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。本実施の形態に係る測定装置110は、図7(a)に示す測定ヘッド部41と、図7(b)に示す測定ヘッド部42とが、基台30に交換可能に装着されるものである。図7(a)に示す測定ヘッド部41は、図1に示した耳模型51及び人工外耳道部52を有する耳型部50と、振動検出素子56を有する振動検出部55と、マイク62を有する音圧測定部60と、チューブ部材61と、支持部材54とを備える。耳型部50には、図1と同様の配置関係で、振動検出部55及び音圧測定部60が結合されていると共に、支持部材54の一端部が結合されている。そして、測定ヘッド部41は、支持部材54の他端部が基台30に着脱自在に取り付けられる。
また、図7(b)に示す測定ヘッド部42は、保持部材63と、圧電式加速度ピックアップ等の振動ピックアップからなるリング状の振動検出素子64を有する振動検出部65と、コンデンサマイク等のマイク66を有する音圧測定部67と、チューブ部材68と、支持部材69とを備える。振動検出素子64は、保持部材63の中央部に形成された開口部の内周面に、検出面を保持部材63の上面とほぼ一致させて保持される。マイク66は、保持部材63の開口部において、リング状の振動検出素子56の開口部に支持されたチューブ部材68に挿入保持される。なお、マイク66は、測定ヘッド部41のマイク62と同様に、音圧検出面が振動検出素子64の上面から所定の距離dを隔てて配置される。また、保持部材63の周縁部には、支持部材69の一端部が結合されている。そして、測定ヘッド部42は、支持部材69の他端部が基台30に着脱自在に取り付けられる。
つまり、本実施の形態に係る測定装置110は、測定ヘッド部41と測定ヘッド部42とが基台30に対して交換可能に装着されることで、耳型部50が基台30に対して着脱されるようになっている。なお、本実施の形態において、振動検出部55は第1の振動検出部に対応し、音圧測定部60は第1の音圧測定部に対応し、振動検出部63は第2の振動検出部に対応し、音圧測定部65は第2の音圧測定部に対応する。その他の構成は第1実施の形態と同様であるので、第1実施の形態と同様の作用を成す構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
本実施の形態に係る測定装置110によれば、基台30に測定ヘッド部41を取り付けることにより、図1と同様の間接測定モードにより、パネル102を耳型部50に押し当てて振動させた際に、測定部200により、振動検出部55の出力に基づいて、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされた振動量が検出される。同時に、音圧測定部60の出力に基づいて、人体の耳への音圧伝達の特徴が重み付けされた音圧が測定される。
また、基台30に測定ヘッド部42を取り付けることにより、図4と同様の直接測定モードにより、パネル102を耳型部50に押し当てて振動させた際に、測定部200により、振動検出部63の出力に基づいて、人体の耳への振動伝達の特徴が重み付けされないパネル102の振動量が検出される。同時に、音圧測定部65の出力に基づいて、人体の耳への音圧伝達の特徴が重み付けされないパネル102の振動による音圧が測定される。
したがって、本実施の形態に係る測定装置110においても、第1実施の形態の測定装置10と同様の効果が得られる。特に、本実施の形態では、基台30に対して測定ヘッド部41と測定ヘッド部42とを交換して、間接測定モードと直接測定モードとを切り換えるので、測定モードの切り換えが容易かつ確実にできる利点がある。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、測定対象の電子機器100として、スマートフォン等の携帯電話で、パネル102が振動体として振動するものを想定したが、折り畳み式の携帯電話で、通話等の使用態様において耳に接触するパネルが振動する電子機器も同様に評価することが可能である。また、携帯電話に限らず、他の圧電レシーバも同様に評価することが可能である。
10 測定装置
20 電子機器装着部
30 基台
41,42 測定ヘッド部
50 耳型部
51 耳模型
52 人工外耳道部
53 人工外耳道
54,57,69 支持部材
55,65 振動検出部
56,64 振動検出素子
60,67 音圧測定部
61,68 チューブ部材
62,66 マイク
63 保持部材
70 保持部
71 支持部
72 アーム部
73 移動調整部
100 電子機器
101 筐体
102 パネル(振動体)
110 測定装置
200 測定部

Claims (22)

  1. 動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器を評価するための測定装置であって、
    人体の耳を模した耳模型と、人工外耳道を構成する人工外耳道部とを備え、基台に対して着脱可能に支持される耳型部と、当該耳型部が前記基台に支持された状態にあるときに、該耳型部の前記耳模型とは逆側における、前記人工外耳道と交差する面に配置され、前記振動体の振動を検出する振動検出部と、を備える、測定装置。
  2. 前記耳型部は、前記振動検出部に対して着脱自在である、請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記振動検出部は、前記耳型部に取り付けられた第1の振動検出部と、前記耳型部から分離された第2の振動検出部とを備え、
    前記基台に対する前記耳型部の着脱に応じて、前記第1の振動検出部又は前記第2の振動検出部が前記基台に選択的に支持される、請求項1に記載の測定装置。
  4. 前記耳型部が前記基台から取り外された状態で、前記振動検出部による前記振動体の振動の検出感度が、IEC60318−6に準拠した人工マストイドのメカニカルインピーダンスレベルに調整される、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
  5. 前記振動体を人体の耳に押し当てて振動伝達により音をユーザに伝える電子機器は、筺体に保持されたパネルが前記振動体として振動する電子機器である、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置。
  6. 前記人工外耳道は、20mmから40mmの長さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の測定装置。
  7. 前記電子機器を保持する保持部をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定装置。
  8. 前記保持部は、人が前記電子機器を自身の耳に押し当てるように、当該電子機器を少なくとも2箇所において支持する支持部を備える、請求項7に記載の測定装置。
  9. 前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に対して押圧する方向に移動調整可能である、請求項7又は8に記載の測定装置。
  10. 前記保持部は、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に対して押圧する方向に回動調整可能である、請求項7又は8に記載の測定装置。
  11. 前記保持部は、前記振動体を前記耳型部又は前記振動検出部に対して0Nから10Nの範囲で押圧力を調整可能である、請求項9又は10に記載の測定装置。
  12. 前記保持部は、前記振動体を前記耳型部又は前記振動検出部に対して3Nから8Nの範囲で押圧力を調整可能である、請求項9又は10に記載の測定装置。
  13. 前記保持部は、前記耳型部又は前記振動検出部に対する前記電子機器の接触姿勢を変更可能に、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に対して当該電子機器の上下方向に移動調整可能である、請求項7から12のいずれか一項に記載の測定装置。
  14. 前記接触姿勢は、前記振動体が前記耳型部又は前記振動検出部を覆うように、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に接触させる姿勢を含む、請求項13に記載の測定装置。
  15. 前記接触姿勢は、前記振動体の一部が前記耳型部又は前記振動検出部に接触するように、前記電子機器を前記耳型部又は前記振動検出部に接触させる姿勢を含む、請求項13に記載の測定装置。
  16. 前記耳型部は、IEC60318−7に準拠した素材からなる、請求項1から15のいずれか一項に記載の測定装置。
  17. 前記振動検出部は、複数個の振動検出素子を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の測定装置。
  18. 前記振動体の振動による音圧を測定するための音圧測定部をさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の測定装置。
  19. 前記音圧測定部は、前記耳型部が前記基台に支持された状態にあるとき、前記人工外耳道を経て伝播される音の音圧を測定可能に配置される、請求項18に記載の測定装置。
  20. 前記耳型部は、前記音圧測定部に対して着脱自在である、請求項18又は19に記載の測定装置。
  21. 記耳型部に取り付けられた第1の音圧測定部及び第1の振動検出部からなる第1のセットと、前記耳型部から分離された第2の音圧測定部及び第2の振動検出部からなる第2のセットとを備え、
    前記基台に対する前記耳型部の着脱に応じて、前記第1のセット或いは前記第2のセットのいずれか前記基台に選択的に支持される、請求項18又は19に記載の測定装置。
  22. 前記音圧測定部は、チューブ部材に保持されたマイクを備える、請求項18から21のいずれか一項に記載の測定装置。
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