JP5594184B2 - 電磁スイッチ装置 - Google Patents
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Description
この電磁スイッチ装置は、スタータのピニオンをエンジンのリングギヤ側へ移動させる第1のソレノイドSL1と、スタータモータの通電電流を断続するためのメインスイッチを開閉する第2のソレノイドSL2と、このSL1、SL2を軸方向に並べて一体的に収容する円筒状フレームと、このフレームの開口部を閉塞してフレームに固定される樹脂カバー等より構成される。
樹脂カバー100には、図10に示す様に、モータ回路に接続される2本の端子ボルト110、120が固定され、その2本の端子ボルト110、120を挟んで図示右側にSL1のコイルに接続される励磁端子(SL1端子130と呼ぶ)、図示左側にSL2のコイルに接続される励磁端子(SL2端子140と呼ぶ)が軸方向に取り出されている。
ここで、フレーム内に挿入されるSL1とSL2を軸線基準に回転させることでSL1端子130とSL2端子140の設定位置を変える方法を検討してみる。
スタータをエンジンブロックに装着した後、電気配線を接続する一方の端子(上記の例ではSL1端子130)を基準位置端子と呼ぶ時に、その基準位置端子の設定位置を図10に示す右下の位置から左下の位置へ変更するために、フレームに対しSL1とSL2を軸線基準に回転させると、SL1端子130とSL2端子140およびマイナス側端子150の相互の位置関係はそのままに、図11に示す状態から図12に示す状態へ各端子130、140、150の位置が移動する。なお、図11、図12は、それぞれ、樹脂カバー100を取り外した状態を軸方向から見た平面図である。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、エンジンの機種等に応じて第1、第2の励磁端子の設定位置が異なる複数のバリエーションを設定する場合に、第1、第2のソレノイドを共通化できる電磁スイッチ装置を提供することにある。
本発明は、第1の励磁端子を通じて励磁される第1のコイルを有し、この第1のコイルに発生する磁力を利用してスタータのピニオンを軸方向に押し出す第1のソレノイドと、第2の励磁端子を通じて励磁される第2のコイルを有し、この第2のコイルの励磁/非励磁に応じてモータに流れる電流を断続するためのメインスイッチを開閉する第2のソレノイドと、第1のソレノイドと第2のソレノイドを軸方向に並べて一体に収容する円筒状のフレームと、第2のソレノイド側に開口するフレームの開口部を閉塞してフレームに固定され、内部にメインスイッチを配置した接点スペースを形成する樹脂カバーと、この樹脂カバーに固定される2本の端子ボルトとを備え、この2本の端子ボルトを介してバッテリからモータに電流を流すためのモータ回路に接続されるスタータ用の電磁スイッチ装置であって、第1、第2の励磁端子は、それぞれ、第1、第2のコイルに接続される一方の端部が、第2のコイルの巻枠であるボビンと一体に樹脂成形された共通の端子固定部に近接して固定され、第1、第2のソレノイドは、フレームに対し軸線を基準に回転して組み付け位置を変えることにより、軸方向から見た第1、第2の励磁端子の位置を接点スペースに掛からない範囲で所望の位置に設定できることを特徴とする。
本発明の電磁スイッチ装置は、第1、第2の励磁端子が、2本の端子ボルト間を挟んで対向する径方向の両側に分かれて配置されるのではなく、2本の端子ボルトに対し片側に配置されるので、第1、第2の励磁端子の位置を、共に、2本の端子ボルトに対してエンジンブロックと反対側に設定することができる。この場合、スタータをエンジン側に取り付ける前に、どちらか一方の励磁端子に予め電気配線を接続しておく必要はない。よって、スタータをエンジン側に取り付けてから、第1、第2の励磁端子に電気配線を接続できるので、配線の接続作業を2回に分けて行う必要はなく、作業性が向上する。
請求項1に記載した電磁スイッチ装置において、第1、第2の励磁端子は、樹脂カバーの外側に引き出される他方の端部が、樹脂カバーの一カ所に集約して配置されていることを特徴とする。
本発明では、第1、第2の励磁端子が樹脂カバーの一カ所に集約して配置される、言い換えると、第1の励磁端子と第2の励磁端子とが近接して配置されるので、フレームに対し第1、第2のソレノイドを軸線基準に回転して組み付け位置を変えることによって第1、第2の励磁端子を所望の位置に変更できる領域を広く確保できる。すなわち、エンジンの機種等に応じて第1、第2の励磁端子の設定位置が異なるバリエーションをより多く設定できる。
請求項2に記載した電磁スイッチ装置において、樹脂カバーには、第1、第2の励磁端子の周囲を共通に囲む一つのコネクタ嵌合部が設けられていることを特徴とする。
この場合、第1の励磁端子と第2の励磁端子とに別々のコネクタ嵌合部を設ける必要はないので、相手側コネクタとの接続を1回で行うことができ、コネクタ接続の作業性が向上する。
請求項1〜3に記載したいずれか一つの電磁スイッチ装置において、第1のソレノイドと第2のソレノイドは、フレーム内へ挿入される前に、第1のコイルと第2のコイルとの間に磁気回路の一部を形成する共通の鉄心プレートを配置して一体化されたソレノイドユニットを構成し、このソレノイドユニットとして一体化された状態でフレーム内に収容されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、第1、第2のソレノイドをフレームの内部へ挿入する前に、予め、第1、第2のソレノイドをソレノイドユニットとして一体化し、そのソレノイドユニットをフレーム内へ挿入することにより、第1、第2のソレノイドを同時にフレーム内へ挿入できるので、組み付け時間を短縮できる。
実施例1の電磁スイッチ装置1は、エンジンの停止および再始動を自動制御するアイドルストップ機能を有する車両のエンジン始動用スタータ2(図5参照)に用いられる。
アイドルストップ機能は、例えば、交差点での信号停止や渋滞等により一時停止した際に、エンジンへの燃料供給をカットしてエンジンを自動的に停止させ、その後、ユーザの発進操作(例えば、ブレーキペダルの解除操作、ドライブレンジへのシフト操作等)が行われて再始動条件が成立すると、スタータ2を自動的に作動させてエンジンを再始動させるシステムである。
電磁スイッチ装置1を除くスタータ本体は、図5に示す様に、モータ3に発生する回転トルクを減速装置(図示せず)で増幅して出力軸4に伝達し、その出力軸4の外周上に配置されるクラッチ5を介してピニオン6に伝達する周知の構造を有するものであり、詳細な説明は省略する。
電磁スイッチ装置1は、図1に示す様に、軸方向の一端にスタータハウジング7(図5参照)の端面に当接して固定される底面8aを有し、軸方向の他端が開口する金属製の円筒状フレーム8と、このフレーム8の内部に挿入されるソレノイドユニットSU(図4参照)と、フレーム8の他端に開口する開口部を閉塞してフレーム8に固定される樹脂カバー9等より構成される。
フレーム8は、図4に示す様に、底面8aの中央部に丸孔8bが開口し、その丸孔8bより径方向の外側に取り付けられた2本のスタッドボルト10を介してスタータハウジング7に固定される。このフレーム8は、底面8aを有する一端から開口部を形成する他端まで、外径が同一寸法であり、且つ、軸方向の一端側より他端側の方が内径が大きく、肉厚が薄く形成されている。つまり、フレーム8の内周面には、軸方向の一端側と他端側との間に段差8cが設けられている。
モータ回路は、図7に示す様に、バッテリ12からモータ3に電流を流すための電流回路であり、メインスイッチの開閉によってバッテリ12からモータ3に流れる電流が断続される。
固定鉄心15は、円環状の鉄心プレート15aと鉄心コア部15bとに分割して構成され、鉄心プレート15aの内周に鉄心コア部15bを圧入嵌合して一体に固定されている。この固定鉄心15は、鉄心プレート15aの板厚方向の一端側端面がフレーム8の内周に設けられた段差8cに当接してフレーム8の底面方向に対し位置決めされる。
第1のコイル13の内周には、鉄心コア部15bの一方の吸着面(図1の左端面)に対向して軸心方向に可動するプランジャ18が配置される。また、ボビン16の内周には、プランジャ18の移動を案内する円筒スリーブ19(図4参照)が挿入されている。
このプランジャ18は、径方向の中央部に円筒孔を有する略円筒状に設けられ、その円筒孔は、プランジャ18の一端側(図1の左側)に開口して、他端側に底面を有する。プランジャ18の円筒孔には、プランジャ18の動きをシフトレバー11に伝達するためのジョイント21と、ピニオン6をエンジン側のリングギヤ22(図5参照)に噛み合わせるための反力を蓄えるドライブスプリング23とが挿入されている。
ドライブスプリング23は、プランジャ18の開口端部にかしめ固定されたワッシャ24とジョイント21のフランジ部21bとの間に配置され、プランジャ18が鉄心コア部15bに吸引されて移動する際に、シフトレバー11を介して反モータ方向に押し出されたピニオン6の軸方向端面がリングギヤ22の軸方向端面に当接した後、プランジャ18が鉄心コア部15bの一方の吸着面に吸着される間に圧縮されて反力を蓄える。
第2のコイル14の内周には、鉄心コア部15bの他方の吸着面(図1の右端面)に対向して軸心方向に可動する可動鉄心26が配置される。
可動鉄心26は、第2のコイル14への通電によって固定鉄心15が磁化されると、鉄心コア部15bとの間に配設されるリターンスプリング27の反力に抗して鉄心コア部15bの他方の吸着面に吸着され、第2のコイル14への通電が停止すると、リターンスプリング27の反力で反鉄心コア部方向(図1の右方向)へ押し戻される。
補助ヨーク28は、肉厚が薄く形成されたフレーム8の他端側内周に挿入され、軸方向一端側の端面が、鉄心プレート15aのカバー側表面(図示右側の表面)に当接して、鉄心プレート15aに対し軸方向に位置決めされている。
磁性プレート29は、第2のコイル14の軸心方向に対し直交して配置され、且つ、可動鉄心26が軸心方向へ移動できる様に、径方向の中央部に丸孔を有する円環状に形成されている。この磁性プレート29は、ボビン25と一体にインサート成型され、板厚方向のコイル側表面が、径方向の外周部分で補助ヨーク28の軸方向端面に当接して補助ヨーク28に対し軸方向に位置決めされている。
樹脂カバー9の内部には、接点スペース(図3に示す2本の一点鎖線で挟まれた領域)が確保され、この接点スペースには、前述のメインスイッチを形成する一組の固定接点35と可動接点36が配置される。
メインスイッチは、接点圧スプリング38に付勢された可動接点36が一組の固定接点35に当接して両固定接点35が導通することにより閉成状態(オン)となり、可動接点36が一組の固定接点35から離れて両固定接点35の導通が遮断されることにより開成状態(オフ)となる。
第1のコイル13は、図1に示す様に、ボビン16に巻回する巻き始め側と巻き終わり側の2本のコイル端部13a、13bを有し、この2本のコイル端部13a、13bが、ボビン16と一体に樹脂成形された2本のガイド部材39を介して軸方向に取り出されている。
ガイド部材39は、図1に示す様に、第1のコイル13の両側面を保持するボビン16の一組のフランジ板16a、16bのうち、鉄心プレート15aに隣接する他方のフランジ板16bから軸方向反コイル側(図示右側)へ柱状に延びて形成され、且つ、先端部に鉤状の係止部39aが設けられている。
第2のコイル14は、第1のコイル13と同様に、ボビン25に巻回する巻き始め側と巻き終わり側の2本のコイル端部14a、14b(図3参照)を有し、一方のコイル端部14aが、第2の励磁端子41(図1、図3参照)に接続され、他方のコイル端部14bが、磁性プレート29の反コイル側の表面に溶接等によりアース接続されている。
この第1の励磁端子40と第2の励磁端子41は、図3に示す様に、第1の励磁端子40と第2の励磁端子41との間に必要な絶縁距離が確保された上で、出来る限り近接する様に、磁性プレート29の表面上において一カ所に集約して配置されている。これにより、樹脂カバー9から引き出された第1の励磁端子40と第2の励磁端子41は、図2(b)及び図6に示す様に、2本の端子ボルト30、31間を挟んで対向する径方向の一方側(図示右側)に配置され、且つ、一カ所にまとまって配置される。
樹脂カバー9には、図2(b)及び図6に示す様に、有底部9aの外側に引き出された第1の励磁端子40と第2の励磁端子41の周囲を共通に囲む一つのコネクタ嵌合部44が設けられている。
電磁スイッチ装置1は、第1のソレノイドSL1と第2のソレノイドSL2が、電子制御装置であるアイドルストップECU45(図7参照)によって独立に制御される。
アイドルストップECU45は、エンジンの運転状態を制御するエンジンECU(図示せず)を通じて、例えば、エンジン回転信号、ミッションレバーの位置信号、ブレーキスイッチのオン/オフ信号等を入力し、これらの情報を基に、エンジンを停止させるための停止条件が成立したと判断すると、エンジンECUにエンジン停止信号を送信する。
また、アイドルストップECU45は、アイドルストップが実施された後、運転者が車両を発進させようとする操作(例えばブレーキの解除操作、ドライブレンジ等へのシフト操作等)を行うと、再始動要求が発生したと判断して、再始動要求の信号をエンジンECUへ送信すると共に、電磁スイッチ装置1を作動するためのオン信号を出力する。
実施例1に係る電磁スイッチ装置1は、第1の励磁端子40と第2の励磁端子41が、それぞれ、第2のコイル14のボビン25と一体に樹脂成形された共通の端子固定部42に近接して固定されているので、第1のソレノイドSL1と第2のソレノイドSL2とを一体化したソレノイドユニットSUをフレーム8に対し軸線基準に回転して組み付け位置を変えることにより、軸方向から見た2本の励磁端子40、41の位置を接点スペース(図3参照)に掛からない範囲で所望の位置に設定することが可能である。これにより、エンジンの機種等によって配線の取り回しが異なるために2本の励磁端子40、41の位置が異なる複数のバリエーションを設定する場合でも、フレーム8に対しソレノイドユニットSUを軸線基準に回転して組み付けることで対応できる。
上記の結果、設定される複数のバリエーションに対し、図9に示す様に、樹脂カバー9だけを変更すれば良いので、ソレノイドユニットSUを共通化でき、部品点数の低減および組み付け設備の簡素化を図ることができる。なお、図9(a)、(b)、(c)は、図8(a)、(b)、(c)に示す複数の端子位置バリエーションに対し、それぞれ、樹脂カバー9を取り付けた状態を軸方向から見た平面図である。
また、第1のソレノイドSL1は、図7に示す様に、第1のコイル13が1コイルで構成されるため、特許文献1に示されるマイナス側端子が不要であり、2本の励磁端子40、41の設定位置を変更する際に、マイナス側端子の位置を考慮する必要がないので、特許文献1に記載された2コイル式と比較しても、配線接続の点で有利である。
実施例1では、第1のソレノイドSL1と第2のソレノイドSL2を一体化してソレノイドユニットSUを構成し、このソレノイドユニットSUをフレーム8の内部へ挿入する一例を記載しているが、第1のソレノイドSL1と第2のソレノイドSL2とを、それぞれ単独にフレーム8の内部へ挿入する構成に対しても本発明を適用できることは言うまでもない。
また、第1のソレノイドSL1は、第1のコイル13が1コイルで構成されているが、1コイルであることを限定するものではなく、特許文献1と同様に、吸引コイルと保持コイルとからなる2コイル式であっても良い。
2 スタータ
3 モータ
6 ピニオン
8 フレーム
9 樹脂カバー
12 バッテリ
13 第1のコイル
14 第2のコイル
15a 鉄心プレート
25 第2のコイルのボビン
30 B端子ボルト
31 M端子ボルト
35 固定接点(メインスイッチ)
36 可動接点(メインスイッチ)
40 第1の励磁端子
41 第2の励磁端子
42 端子固定部
44 コネクタ嵌合部
SL1 第1のソレノイド
SL2 第2のソレノイド
SU ソレノイドユニット
Claims (4)
- 第1の励磁端子を通じて励磁される第1のコイルを有し、この第1のコイルに発生する磁力を利用してスタータのピニオンを軸方向に押し出す第1のソレノイドと、
第2の励磁端子を通じて励磁される第2のコイルを有し、この第2のコイルの励磁または非励磁に応じてモータに流れる電流を断続するためのメインスイッチを開閉する第2のソレノイドと、
前記第1のソレノイドと前記第2のソレノイドを軸方向に並べて一体に収容する円筒状のフレームと、
前記第2のソレノイド側に開口する前記フレームの開口部を閉塞して前記フレームに固定され、内部に前記メインスイッチを配置した接点スペースを形成する樹脂カバーと、
この樹脂カバーに固定される2本の端子ボルトとを備え、
この2本の端子ボルトを介してバッテリから前記モータに電流を流すためのモータ回路に接続されるスタータ用の電磁スイッチ装置であって、
前記第1、第2の励磁端子は、一方の端部がそれぞれ前記第1、第2のコイルに接続され、他方の端部が前記樹脂カバーの外側に引き出されるものであり、
前記第1、第2の励磁端子は、前記一方の端部が、前記第2のコイルの巻枠であるボビンと一体に樹脂成形された共通の端子固定部に近接して固定されるとともに、前記他方の端部が、前記樹脂カバーに対して前記2本の端子ボルト間を挟んで対向する径方向の片側に配置されることで、
軸方向から見た前記第1、第2の励磁端子の位置が前記接点スペースに掛からない範囲の位置にあることを特徴とする電磁スイッチ装置。 - 請求項1に記載した電磁スイッチ装置において、
前記第1、第2の励磁端子は、前記他方の端部が、前記樹脂カバーの一カ所に集約して配置されていることを特徴とする電磁スイッチ装置。 - 請求項2に記載した電磁スイッチ装置において、
前記樹脂カバーには、前記第1、第2の励磁端子における前記他方の端部の周囲を共通に囲む一つのコネクタ嵌合部が設けられていることを特徴とする電磁スイッチ装置。 - 請求項1〜3に記載したいずれか一つの電磁スイッチ装置において、
前記第1のソレノイドと前記第2のソレノイドは、前記フレーム内へ挿入される前に、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に磁気回路の一部を形成する共通の鉄心プレートを配置して一体化されたソレノイドユニットを構成し、このソレノイドユニットとして一体化された状態で前記フレーム内に収容されていることを特徴とする電磁スイッチ装置。
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