以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
発明の実施形態に係る非接触電源回路装置の一例として、電気自動車等の車両用電池及び電力負荷と共に用いられる非接触給電装置を説明する。
図1は、非接触給電装置の電気回路図を示している。本実施の形態に係る非接触給電装置は、高周波交流電源部6と、高周波交流電源回路6から出力された電力の非接触給電を行う非接触給電部5と、非接触給電部5により電力が供給される負荷部7とを備えている。
高周波交流電源部6は、三相交流電源64と、三相交流電源64に接続され、三相交流を直流に整流する整流器61と、平滑コンデンサ62を介して整流器61に接続され、整流された電流を高周波電力に逆変換する電圧型インバータ63とを備えている。整流器61は、ダイオード61aとダイオード61b、ダイオード61cとダイオード61d、及び、ダイオード61eとダイオード61fを三並列に接続し、それぞれの中間接続点に三相交流電源64の出力を接続する。電圧型インバータ63は、MOSFETのパワートランジスタ等にダイオードを逆並列に接続するスイッチング素子63aと同様のスイッチング素子63bとの直列回路及び同様のスイッチング素子63cとスイッチング素子63dとの直列回路を並列に接続し、平滑コンデンサ62を介して、整流器61に接続する。そして、スイッチング素子63aとスイッチング素子63bとの中間接続点及びスイッチング素子63cとスイッチング素子63dとの中間接続点が、それぞれ非接触給電部5の一次側である送電回路部3に接続される。電圧型インバータ63は、非接触給電部50に数k〜100kHz程度の交流電力を供給する。
ここで、高周波交流電源部6から非接触給電部5に出力される出力波形は、周期的に変化する波形であり、当該出力波形の周波数をf0とする。また、当該出力波形にひずみが含まれている場合(又は出力波形が例えば矩形波である場合)には、ひずみを含む波形の周期関数が持つ基本正弦波の周波数が、周波数(f0)となる。以下、本発明において、これらの周波数を総称して、高周波交流電源部6の基本波成分の周波数(f0)と称す。なお、高周波交流電源部6は、必ずしも図1に示す回路である必要はなく、他の回路でもよい。
非接触給電部5は、トランスの入力側である送電回路部3と、トランスの出力側である受電回路部4を有する。送電回路部3は、一次巻線101と、一次巻線101に直列に接続されるコンデンサ102と、一次巻線101に並列に接続されるコンデンサ103とを有し、受電回路部4は、二次巻線201と、二次巻線201に並列に接続されるコンデンサ202とを有する。
負荷部7は、非接触給電部5より供給される交流電力を直流に整流する整流部71と、整流部71に接続される負荷72とを有する。整流部71は、ダイオード71aとダイオード71b、及び、ダイオード71cとダイオード71dを並列に接続し、それぞれの中間接続点に受電回路部4の出力を接続する。そして、整流部71の出力を負荷72に接続する。
次に、図2a、図2b、図3及び図4を用いて、図1に示す非接触電源回路装置を車両と駐車場に備える場合、一次巻線101と二次巻線201の結合係数(κ)について、説明する。
本例は、二次巻線201を含む受電回路部4及び負荷部7を例えば車両に備え、一次巻線101を含む送電回路部3及び高周波交流電源6を地上側として例えば駐車場に備える。電気自動車の場合、負荷72は、例えば二次電池に対応する。二次巻線201は、例えば車両のシャシに備えられる。そして、当該二次巻線201が一次巻線101の上になるよう、車両の運転手が当該駐車場に駐車し、電力が一次巻線101から二次巻線201に供給され、負荷72に含まれる二次電池が充電される。
図2a及び図2bは、一次巻線101及び二次巻線201が対向した状態を示す平面図a)と、斜視図b),c)である。図2a及び図2bにおいて、X軸及びY軸は、一次巻線101及び二次巻線201の平面方向を示し、Z軸は高さ方向を示す。なお、本説明のために、一次巻線101及び二次巻線201は共に同じ円形形状とされているが、本例は必ずしも円形にする必要はなく、また一次巻線101と二次巻線201とを同一の形状にする必要もない。
いま、図2aに示すように、平面方向であるX軸、Y軸方向において、二次巻線201が一次巻線101に合致するように車両が駐車場に駐車されればよいが、運転者の技量により、図2bに示すように、一次巻線101と二次巻線201との相対的な位置が、平面方向において、ずれてしまうことがある。また、車両の高さは、車両の種類や積荷量によって異なるため、一次巻線101と二次巻線201との高さ方向Zの距離は車高によっても異なる。
高周波交流電源6から一次巻線101に供給される電力を一定にする場合に、二次巻線201により受電される電力の効率は、二次巻線201が一次巻線101に合致する状態(図2aの状態に相当)が最も高く、二次巻線201の中心点が一次巻線101の中心点から遠くなると低くなってしまう。
図3は、図2a,2bに示すX軸方向(Y軸方向)およびZ軸方向の二次巻線201に対する、結合係数の変化を示す。図3に示すように、一次巻線1の中央と二次巻線2の中央が一致する場合、一次巻線1と二次巻線2との間の漏れ磁束は少なく、図3のX軸の値がゼロに相当し、結合係数κは大きくなる。一方、図2aに対して図2bに示すように、一次巻線1と二次巻線2との位置がX軸方向にずれると、漏れ磁束が多くなり、図3に示すように、結合係数κは小さくなる。また、一次巻線1と二次巻線2のZ軸(高さ)方向のズレが大きくなると、結合係数κは小さくなる。
図4は、一次巻線101と二次巻線201との距離(L)に対する結合係数の特性を示すグラフである。ただし、距離(L)は、式(1)より示される。
図4に示すように、距離(L)が大きくなると、漏れ磁束が多くなるため、結合係数(κ)は小さくなる。
ところで、従来の非接触給電装置においては、結合係数を固定値にして、非接触の給電部分の回路設計を行っている。そのため、上記のように、給電部分のコイル間の相対的な位置がずれて、結合係数(κ)が変化した場合には、交流電源の出力側からみた非接触のコイルを含む給電回路の入力インピーダンスが大きく変化する。ここで、従来の非接触給電装置における、結合係数(κ)に対するインピーダンス特性の変化を、図5aを用いて説明する。図5aは従来の非接触給電装置における、結合係数(κ)に対する入力インピーダンスの絶対値の特性を示すグラフである。なお、入力インピーダンスは、交流電源の出力側からみたインピーダンスであり、交流電源の基本波成分の周波数におけるインピーダンスである。グラフaは、特開2010−40669号にて開示された回路において、所定の結合係数で同調するにようにコンデンサを設計した回路(以下、従来回路aと称す。)の特性を示し、グラフbは、特開2007−534289号にて開示された回路において、所定の結合係数で同調するにようにコンデンサを設計した回路(以下、従来回路bと称す。)の特性を示す。
図5aのグラフaに示すように、従来回路aでは、結合係数が小さい場合には、入力インピーダンスの絶対値が高くなり、結合係数が大きくなるにつれて、入力インピーダンスの絶対値が低くなる。またグラフbに示すように、従来回路bでは、結合係数が小さい場合には、入力インピーダンスの絶対値が高くなり、結合係数が大きくなるにつれて、入力インピーダンスの絶対値が小さくなる。すなわち、非接触の給電部分であるコイルの結合係数が一定であることを前提に、従来回路a及び従来回路bは回路設計されているため、結合係数が変化すると、給電回路の入力インピーダンスが大きく変化する。なお、グラフcは、交流電源のインピーダンスの絶対値を示しており、詳細は後述する。
次に、図5bを用いて、従来回路a及び従来回路bにおいて、等価負荷抵抗(R)の変化に伴う、給電回路の入力インピーダンスの変化について、説明する。図5bは、従来回路a及びbにおける、等価負荷抵抗(R)に対する入力インピーダンスの絶対値の特性を示す。なお、入力インピーダンスは、交流電源の出力側からみたインピーダンスであり、交流電源の基本波成分の周波数におけるインピーダンスである。また等価負荷抵抗(R)は、非接触給電装置において、二次側のコイルに電気的に接続される負荷の抵抗であり、当該負荷にはバッテリが含まれる。そして、バッテリの残存容量が少ない場合には、等価負荷抵抗(R)は小さく、バッテリの残存容量が多い場合には、等価負荷抵抗(R)は高くなる。
図5bのグラフaに示すように、従来回路aでは、等価負荷抵抗が小さい場合には、入力インピーダンスの絶対値が高くなり、等価負荷抵抗が大きくなるにつれて、入力インピーダンスの絶対値が低くなる。またグラフbに示すように、従来回路bでは、等価負荷抵抗が小さい場合には、インピーダンスの絶対値が高くなり、等価負荷抵抗が大きくなるにつれて、インピーダンスの絶対値が小さくなる。すなわち、従来回路a及び従来回路bにおいて、等価負荷抵抗が変化すると、給電回路の入力インピーダンスが大きく変化する。なお、グラフcは、交流電源のインピーダンスの絶対値を示しており、詳細は後述する。
次に、交流電源のインピーダンス(Zc)と、非接触のコイルを含む給電回路の入力インピーダンス(Zin_c)との関係を、図6を用いて、説明する。図6は、非接触給電装置の1次側の等価回路の回路図である。交流電源601は、非接触給電装置の1次側に設けられる交流電源であり、1次側のコイルに対して交流電力を供給する。Vcは交流電源601の交流電圧を示し、Icは交流電源601から出力される交流電流を示す。インピーダンス602は、非接触のコイルを含む給電回路の入力インピーダンス(Zin_c)である。交流電源601の定格値は予め定められており、例えば交流電源601の最大電圧が300[V]であり、最大電流30[A]であり、最大電力が9[kW]である、と仮定する。
そして、インピーダンス602の入力インピーダンス(Zin_c)が1[Ω]である場合について、説明する。交流電源の最大電圧である300[V]がインピーダンス602に印加されると、インピーダンス602である給電回路には、300[A]の電流が流れる。しかし、交流電源601の最大電流が30[A]であるため、当該給電回路に流れる電流は30[A]となり、当該給電回路の電圧は30[V]となる。そのため、インピーダンス602である給電回路に供給される電力は900[W]となり、交流電源601の最大電力を給電回路に供給することができない。
また、インピーダンス602の入力インピーダンス(Zin_c)が100[Ω]である場合について、説明する。交流電源の最大電圧である300[V]がインピーダンス602に印加されると、インピーダンス602である給電回路には、3[A]の電流が流れる。交流電源601の最大電流は30Aであるが、入力インピーダンス(Zin_c)が高いため、給電回路に流れる電流は3[A]となる。そして、給電回路の電圧は300[V]となる。そのため、インピーダンス602である給電回路に供給される電力は900[W]となり、交流電源601の最大電力を給電回路に供給することができない。
また、インピーダンス602の入力インピーダンス(Zin_c)が10[Ω]である場合について、説明する。交流電源の最大電圧である300[V]がインピーダンス602に印加されると、インピーダンス602である給電回路には、30[A]の電流が流れ、交流電源601の最大電流が流れることになる。そのため、インピーダンス602である給電回路に供給される電力は900[W]となり、交流電源601の最大電力を給電回路に供給することができる。
すなわち、交流電源601のインピーダンスに対して、インピーダンス602の入力インピーダンス(Zin_c)が変化する場合には、交流電源601の最大電力を効率よく給電回路に供給することができない。そして、図5a及び図5bに示すように、従来回路a及びbの入力インピーダンスは、交流電源のインピーダンス(グラフcを参照)に対して大きく変化するため、交流電源601の最大電力を効率よく給電回路に供給することができない。
そこで、本例の非接触給電装置において、高周波交流電源回路6の出力側から見た一次側のみのインピーダンスの特性及び二次巻線201に接続される負荷7側から見た二次側のみのインピーダンスの特性が、以下に示すような特性とするように、一次巻線101と二次巻線201のインダクタンスの大きさと、コンデンサ102、103、202の容量の大きさの条件を設定することで、結合状態が変化する条件下で、高周波交流電源回路6の出力側からみた入力インピーダンスの変化を抑制する。
まず、本例の非接触給電装置における、インピーダンス(Z1)及びインピーダンス(Z2)について説明する。インピーダンス(Z1)は、図7aに示すように、図1に示す回路において、結合係数をゼロとして、高周波交流電源6側(送電側)からみた一次側のみのインピーダンスである。またインピーダンス(Z2)は、図6bに示すように、図1に示す回路において、結合係数をゼロとして、負荷部7側(受電側)からみた二次側のみのインピーダンスである。図7aはインピーダンス(Z1)を説明するための回路図であって、非接触給電部5の一次側のみの回路を示し、図7bはインピーダンス(Z2)を説明するための回路図であって、非接触給電部5の二次側のみの回路を示す。
なお、図7a及び図7bに示すように、コンデンサ102の電気容量をC1sとし、コンデンサ103の電気容量をC1pとし、一次巻線101のインダクタンスをL1とし、コンデンサ202の電気容量をC2pとし、二次巻線201のインダクタンスをL2とする。
本例の非接触給電装置において、インピーダンス(Z1)及びインピーダンス(Z2)の絶対値の特性は、図8a及び図8bに示す特性をそれぞれ有する。すなわち図8aに示すように、インピーダンス(Z1)の絶対値の特性は、極小値(ZMIN)をとる周波数(f1)と、極大値(ZMAX)をとる周波数(f2)との間に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)を有する。周波数(f1)は、インピーダンス(Z1)の共振周波数のうち、最も周波数(f0)に近い周波数であり、周波数(f2)は、インピーダンス(Z1)の共振周波数のうち、最も周波数(f0)に近い周波数である。また周波数(f2)は周波数(f1)より高い。言い換えると、インピーダンス(Z1)の特性は、極小値(ZMIN)の周波数(f1)と極大値(ZMAX)の周波数(f2)により、周波数(f0)を挟む特性である。
また、図8bに示すように、インピーダンス(Z2)の絶対値の特性は、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)の付近に極大値(ZMAX)を有する。当該極大値(ZMAX)に相当する周波数(f3)は周波数(f0)付近に設定される。なお、周波数(f3)は必ずしも周波数(f0)と等しくする必要はなく、例えば、回路設計上の誤差による、周波数(f3)と周波数(f0)のずれは許容される。少なくとも、インピーダンス(Z2)の絶対値の特性において、周波数(f0)より低い周波数帯域で、周波数(f0)に向かって周波数が増加するにつれて、インピーダンス(Z2)の絶対値が上昇し、周波数(f0)より高い周波数帯域で、周波数が減少するにつれて、インピーダンス(Z2)の絶対値が下降すればよい。
次に、本例における、コンデンサ102、103、202の電気容量、一次巻線101及び二次巻線201のインダクタンスについて説明する。
図7bに示す回路により、インピーダンス(Z2)の共振周波数(f3)は、式(2)により表される。
そして、共振周波数(f
3)は、交流電源回路6の基本波成分の周波数(f
0)の付近に設定されるため、f
3=f
0とすると、コンデンサ202の電気容量(C
2p)は、式(3)により表される。
すなわち、交流電源回路6の基本波成分の周波数(f
0)に対して、インダクタンス(L
2)及び電気容量(C
2p)を式(3)に満たすように設定することで、図8bに示すような特性を得ることができる。また、共振周波数(f
3)を交流電源回路6の基本波成分の周波数(f
0)の付近に設定することで、非接触給電部5の二次側で受電するために必要な電流を抑えることができる。
図7aに示す回路により、インピーダンス(Z1)の共振周波数(f1)及び共振周波数(f2)は、式(4)及び式(5)によりそれぞれ表される。
上記の通り、基本波成分の周波数(f
0)は共振周波数(f
1)より高く、基本波成分の周波数(f
0)は共振周波数(f
2)より低いため、f
1<f
0<f
2が成り立ち、各周波数に式(3)〜式(5)を代入し展開すると、式(6)が得られる。
そして、式(6)を展開することで、式(7)が得られる。
すなわち、式(3)を満たすように設定された、インダクタンス(L
2)及び電気容量(C
2p)を用いて、式(6)又は式(7)を満たすように、インダクタンス(L
1)、電気容量(C
1p)及び電気容量(C
1s)を設定することで、図8aに示すような特性を得ることができる。
従って、式(3)及び式(6)、又は、式(3)及び式(7)を満たすように、電気容量(C1s)、電気容量(C1p)、インダクタンス(L1)、インダクタンス(L2)及び電気容量(C2p)を設定することで、図8に示す、インピーダンス(Z1)の特性及びインピーダンス(Z2)の特性を有することができる。
次に、図9を用いて、本例の非接触給電装置の入力インピーダンス(Zin)の特性を説明する。図9は、周波数に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値の特性を示す。κ1〜κ4は、結合係数を示しており、κ1が最も小さい結合係数を、κ4が最も大きい結合係数を示す。入力インピーダンス(Zin)は、高周波交流電源回路6の出力側からみた非接触給電部5の入力インピーダンスを示す。
図9に示すように、結合係数(κ)がκ1からκ4の範囲内で変化する場合に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)に対する、入力インピーダンス(Zin)の絶対値は、絶対値(|Zin_s|)となる。すなわち、一次巻線101に対する二次巻線201の相対的な位置がずれることにより、結合係数(κ)がκ1からκ4の範囲内で変化する場合に、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は一定の値をとる、または、入力インピーダンス絶対値(|Zin_s|)は変化の小さい範囲内で変化するため、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の変化が抑えられる。これにより、本例において、インピーダンス(Z1)及びインピーダンス(Z2)が、図7a及び図7bに示す特性を持つことにより、結合係数が変化する場合に、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値の変化を抑制することができる。なお、結合係数(κ)がκ1からκ4の範囲内で変化する場合に、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値は、図9に示すように絶対値(|Zin_s|)の一定値となる必要はなく、絶対値(|Zin_s|)の付近の値で変化すればよい。
次に、図10a〜図10cを用いて、入力インピーダンス(Zin)の極及び零点の軌跡を説明する。図10aは非接触給電部5及び負荷部7の等価回路を示し、図10bは、結合係数(κ)を変化させた場合における、入力インピーダンス(Zin)の極及び零点の軌跡を示し、図10cは等価負荷抵抗(R)を変化させた場合における、入力インピーダンス(Zin)の極及び零点の軌跡を示す。
負荷部7を等価負荷抵抗701(R)と置き換えると、非接触給電部5及び負荷部7の等価回路は、図10aの回路により表される。等価負荷抵抗701(R)には、負荷72に含まれるバッテリ(図示しない)の抵抗が含まれており、当該バッテリの抵抗値は、バッテリの充電状態(SOC:State of Charge)により変化する。そのため、等価負荷抵抗701(R)の抵抗値は、常に一定な値ではなく、バッテリ等の状態に応じて変化する。図10aに示す等価回路に基づき、高周波交流電源回路6の出力側から見た入力インピーダンス特性(Zin)を、ラプラス演算子(s)を用いて表すと、式(8)により表される。
式(8)に示すZ
inを、回路特性に影響が大きい代表根近似を行うことで、式(9)により示される。
ただし、Aは回路パラメータからなる係数を、λは極を、γは零点を示す。
そして、結合係数(κ)をゼロ付近から増加させると、極及び零点は図10bに示すような軌跡を描く。ただし、図10bに示す極1は、式(9)の極の中で最も虚軸側に近い値の極(ただしゼロを含まない)を示し、零点は、式(9)の零点の中で最も虚軸側に近い値の零点を示す。また点線の矢印は、結合係数(κ)を離散的に増加させた場合の、極1及び零点の軌跡の方向を示している。図10bに示すように、極1及び零点は、結合係数(κ)の増加に伴い、虚軸から遠ざかりつつ、点線を境とした対称の軌跡を描く。当該点線は、駆動点を虚値にとる直線を示しており、駆動点(点の虚値)は、基本波成分の周波数に対応する値(2πf0)である。すなわち、極1及び零点は、結合係数(κ)の増加に伴い、虚軸上における虚値(2πf0)に対して対称な軌跡とる。これにより、結合係数(κ)を変化させた場合において、駆動点から各極1までの距離は、駆動点から該各極1に対応する零点までの距離と等しくなるため、結合係数(κ)の変化に伴う入力インピーダンス特性(Zin)の変化を抑制することができる。
また、等価負荷抵抗(R)をゼロ付近から増加させると、極及び零点は図10cに示すような軌跡を描く。ただし、図10cに示す極1は、式(9)の極の中で最も虚軸側に近い値の極(ただしゼロを含まない)を示し、零点は、式(10)の零点の中で最も虚軸側に近い値の零点を示す。また点線の矢印は、等価負荷抵抗(R)を離散的に増加させた場合の、極1及び零点の軌跡の方向を示している。図10cに示すように、極1及び零点は、等価負荷抵抗(R)の増加に伴い、虚軸から遠ざかりつつ、点線を境とした対称の軌跡を描く。当該点線は、駆動点を虚値にとる直線を示しており、駆動点(点の虚値)は、基本波成分の周波数に対応する値(2πf0)である。すなわち、極1及び零点は、等価負荷抵抗(R)の増加に伴い、虚軸上における虚値(2πf0)に対して対称な軌跡とる。これにより、等価負荷抵抗(R)を変化させた場合に、駆動点から各極1までの距離は、駆動点から該各極1に対応する零点までの距離と等しくなるため、等価負荷抵抗(R)の変化に伴う入力インピーダンス特性(Zin)の変化を抑制することができる。
次に、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)の設定方法について説明する。まず、インピーダンス(Z1)の絶対値の特性と絶対値(|Zin_s|)との関係について、図11a〜図11cを用いて説明する。図11a及び図11bは、周波数に対するインピーダンス(Z1)の特性を示す。図11cは、結合係数に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)の特性を示す。
図11aに示すように、極小値(ZMIN)の周波数(f1)から極大値(ZMAX)の周波数(f2)までの周波数帯域をF1(=f2−f1)とし、図11bに示すように、極小値(ZMIN)の周波数(f1)から極大値(ZMAX)の周波数(f2)までの周波数帯域をF2(=f2−f1)とすると、周波数帯域(F1)は周波数帯域(F2)より狭くする。なお、周波数(f1)及び周波数(f2)は、式(4)及び式(5)で、それぞれ表される。そして、周波数帯域をF1に設定し、結合係数(κ)を変化させると、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は、図11cのグラフxに示すような特性となる。また、周波数帯域をF2に設定し、結合係数(κ)を変化させると、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は、図11cのグラフyに示すような特性となる。すなわち、Zinの極大値の周波数と極小値の周波数との間の周波数帯域を狭くすると、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は高くなり、当該周波数帯域を広くすると、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は低くなる。そのため、本例は、Zinの極大値の周波数と極小値の周波数との間の周波数帯域に応じて、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(|Zin_s|)を設定することができる。
入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)と、高周波交流電源部6のインピーダンスとの関係について、図12a及び図12bを用いて説明する。図12a及び図12bは、高周波交流電源部6の出力電流−出力電圧特性を示し、一例として、図12aは、出力電流に対して出力電圧が一定である場合の特性を示し、図12bは、出力電流に対して出力電圧が変化する場合の特性を示す。なお、高周波交流電源部6の出力電流−出力電圧特性は、高周波交流電源部6に含まれるインバータや冷却器(図示しない)等の特性に応じて決まる。また図12a及び図12bの点線で示す曲線は、定電力線を示しており、当該定電力線上において同じ電力値となる。
図12aに示すように、出力電流に対して出力電圧が一定である場合には、高周波交流電源部6の供給可能な最大電力は、最大電圧(VMAX)と最大電流(IMAX)の積で求まる電力である。図6を用いて説明したように、高周波交流電源部6から最大電力を供給させるためには、交流電源601のインピーダンスに対して、高周波交流電源回路6の入力インピーダンスを調整する必要がある。図12aの例では、高周波交流電源部6のインピーダンス(ZM)は、最大電圧(VMAX)と最大電流(IMAX)より、VMAX/IMAXとなる。そして、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)に対する入力インピーダンス(|Zin_s|)を、高周波交流電源部6のインピーダンス(ZM)と等しくすることで、高周波交流電源部6から最大電力を、非接触給電部5に供給することができる。
図12bに示すように、出力電流に対して出力電圧が変化する場合には、高周波交流電源部6の供給可能な最大電力は、最も高い定電力線と、電流−電圧特性との交点に相当する電力である。高周波交流電源部6のインピーダンス(Zp)は、当該交点に相当する電圧(Vp)及び電流(Ip)より、Vp/Ipとなる。そして、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)に対する入力インピーダンス(|Zin_s|)を、高周波交流電源部6のインピーダンス(Zp)と等しくすることで、高周波交流電源部6から最大電力を、非接触給電部5に供給することができる。
すなわち、本例において、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)が、高周波交流電源部6の最大電力に相当するインピーダンス値と等しくなるように、Zinの極大値の周波数と極小値の周波数との間の周波数帯域を設定する。これにより、高周波交流電源部6の供給可能な電力を非接触給電部5へ効率よく供給することができ、高周波交流電源部6と非接触給電部5との間の電力損失を抑制することができる。
そして、上記のように非接触給電部5の回路を設定することにより、本例の非接触給電部5の入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)の特性は、図13a及び図13bに示すような特性を有する。図13aは結合係数(κ)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)の特性を示し、図13bは等価負荷抵抗(R)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)の特性を示す。図13a及び図13bのグラフaは入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)を示し、グラフbは高周波交流電源部6のインピーダンスの絶対値を示す。なお、当該高周波交流電源部6のインピーダンスは、図12aのインピーダンス(ZM)及び図12bのインピーダンス(Zp)に相当する。また図13aにおいて、結合係数(κ)は、少なくとも0.01〜0.5を含む、0.01〜0.8までの範囲内で変化する。
図13aに示すように、結合係数(κ)の変化に対して、入力インピーダンス(Zin)の絶対値はほぼ一定であり、高周波交流電源部6のインピーダンスと同値である。すなわち、結合係数(κ)が変化する状況においても、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値は入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)から大きく変化せず、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値は高周波交流電源部6のインピーダンスの絶対値と等しくなるため、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給される電力の損失を抑制することができる。
また、図13bに示すように、等価負荷抵抗(R)の変化に対して、入力インピーダンス(Zin)の絶対値はほぼ一定であり、高周波交流電源部6のインピーダンスと同値である。すなわち、等価負荷抵抗(R)が変化する状況においても、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値は入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)から大きく変化せず、周波数(f0)に対する入力インピーダンス(Zin)の絶対値は高周波交流電源部6のインピーダンスの絶対値と等しくなるため、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給される電力の損失を抑制することができる。
また上記のように非接触給電部5の回路を設定することにより、結合係数が変化する場合に、非接触給電部5から負荷部7へ出力される電力(Pout)の低下を防ぐことができる。ここで、負荷部7へ出力される出力電力(Pout)について、以下に説明する。図1に示す非接触給電装置において、負荷部7への出力電力(Pout)は、式(10)に示すように、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給される供給電力(Pin)と、非接触給電部5において損失される電力(PLoss)により表される。
非接触給電部5において損失される電力(P
Loss)は、供給電力(P
in)に比べて十分小さく、P
in≫P
Lossと仮定すると、出力電力(P
out)は供給電力(P
in)とほぼ等しいと近似される。また、高周波交流電源部6から非接触給電部5に入力される入力電圧及び入力電流をV
in及びI
inとすると、供給電力(P
in)は、高周波交流電源部6の出力側からみた非接触給電部5の入力インピーダンス(Z
in)と、入力電圧(V
in)と入力電流(I
in)との位相差(θ)により表される。そのため、式(10)は、式(11)により近似される。
すなわち、入力電圧(V
in)を一定として場合には、結合係数の変化に対して、出力電力係数(cosθ
in/|Z
in|)を高い値で維持することで、負荷部7への出力電力(P
out)を高くすることができる。
図14(a)を用いて、結合係数(κ)が変化に伴う、負荷部7へ出力される電力(Pout)の特性を説明する。図14(a)は結合係数(κ)に対する出力電力(Pout)の特性を示すグラフであり、グラフaは非接触給電部5に従来回路aを用いた場合の特性であり、グラフbは非接触給電部5に従来回路bを用いた場合の特性であり、グラフcは本例の特性である。図14aに示すように、本例の非接触給電装置は、結合係数(κ)の変化に対して、広い結合係数の範囲で、従来回路a及び従来回路bの出力電力より高い出力電力をとることができる。
ここで、負荷部7への出力電力(Pout)が閾値電力(Pc)以上である場合に、負荷72に含まれるバッテリに対して十分な充電電力を供給することできるとして、電力条件を設定する。図14bは当該電力条件を満たす、結合係数(κ)の範囲を説明するための概略図である。図14bにおいて、グラフaは従来回路aにおいて電力条件を満たす範囲を表し、グラフbは従来回路bにおいて電力条件を満たす範囲を表し、グラフcは本例において電力条件を満たす範囲を表す。なお、閾値電力(Pc)未満の電力が負荷72に供給させる場合でも、バッテリを充電できるが、充電時間が長くなる可能性があるため、本例の電力条件では、閾値電力(Pc)未満の電力は条件を満たさない電力とする。
図14bに示すように、本例では、電力条件を満たす結合係数(κ)の範囲が、従来回路a及び従来回路bより、広くなる。従来回路a及び従来回路bでは、結合係数の変化に対して、周波数(f0)のインピーダンスは大きく変化する。そして、周波数(f0)のインピーダンスの値と高周波交流電源部6のインピーダンスの値とのずれが大きくなると、高周波交流電源部6の最大電圧(定格電圧)又は最大電流(定格電流)で制限される。そのため、従来回路a及び従来回路bでは、電力条件を満たす結合係数(κ)の範囲が狭くなる。一方、本例では、結合係数の変化に対して周波数(f0)のインピーダンスの絶対値(|Zin_s|)の変化を抑制し、周波数(f0)のインピーダンスの絶対値(|Zin_s|)を高周波交流電源部6のインピーダンスの絶対値と等しくする。そのため、本例は、従来回路a及び従来回路bより、出力電力(Pout)を大きくすることができ、電力条件を満たす結合係数(κ)の範囲を広くすることができる。
上記のように、本例において、インピーダンス(Z1)の周波数に対するインピーダンスの絶対値の特性は、高周波交流電源部6の基本波成分の周波数(f0)に最も近く、極大値(ZMAX)をとる周波数(f2)と、高周波交流電源部6の基本波成分の周波数(f0)に最も近く、極小値(ZMIN)をとる周波数(f1)との間に、周波数(f0)を有し、インピーダンス(Z2)の周波数に対するインピーダンスの絶対値の特性は、周波数(f0)の付近に極大値を有する。これにより、結合係数が変化する場合に、高周波交流電源部6側からみた入力インピーダンス(Zin)の変化を抑制することができるため、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給させる電力の損失を防ぐことができる。また、本例は、一次巻線101と二次巻線201との相対的な位置ずれが生じ、結合係数が変化しても、非接触給電部5への供給電力の損失を防ぐことができるため、一次巻線101と二次巻線201との間の距離に相当する送電距離を延ばすことができる。
また本例は、式(3)及び式(7)を満たすように、電気容量(C1s)、電気容量(C1p)、インダクタンス(L1)、インダクタンス(L2)及び電気容量(C2p)を設定する。これにより、結合係数が変化する場合に、高周波交流電源部6側からみた入力インピーダンス(Zin)の変化を抑制することができるため、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給させる電力の損失を防ぐことができる。また、本例は、一次巻線101と二次巻線201との相対的な位置ずれが生じ、結合係数が変化しても、非接触給電部5への供給電力の損失を防ぐことができるため、一次巻線101と二次巻線201との間の距離に相当する送電距離を延ばすことができる。
また本例は、高周波交流電源部6の基本波成分の周波数(f0)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は、高周波交流電源部6のインピーダンスの値に応じて設定される。これにより、周波数(f0)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)を高周波交流電源部6のインピーダンスの値と等しくすることができるため、結合係数が変化しても、高周波交流電源部6の出力可能な最大電力を非接触給電部5に供給することができる。
また本例は、一次巻線101と二次巻線201との結合係数が0.01以上から0.5以下の範囲内で変化する場合に、周波数(f0)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は、高周波交流電源部6のインピーダンスの値の付近で変化する。これにより、本例は結合係数が変化しても、高周波交流電源部6の出力可能な最大電力を非接触給電部5に供給することができる。
また本例において、高周波交流電源部6側からみた非接触給電部5の入力インピーダンス(Zin)の特性を複素平面で示す場合に、虚軸に最も近い極及び零点は、虚軸上における、周波数(f0)に対応する値(2πf0)に対して対称な軌跡をとる。これにより、結合係数(κ)を変化させた場合において、虚軸上の虚値(2πf0)を示す点から極までの距離は、虚軸上の虚値(2πf0)を示す点から零点までの距離と等しくなるため、結合係数(κ)の変化に伴う入力インピーダンス特性(Zin)の変化を抑制することができ、その結果として、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給させる電力の損失を防ぐことができる。
また本例において、式(4)及び式(5)によりそれぞれ表される周波数(f1)及び周波数(f2)の周波数の差を、高周波交流電源部6のインピーダンスに応じて設定する。すなわち、周波数(f0)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)が高周波交流電源部6のインピーダンスと等しくなるように、周波数(f1)と周波数(f2)との周波数の差を設定するため、結合係数が変化しても、高周波交流電源部6の出力可能な最大電力を非接触給電部5に供給することができる。
なお、結合係数(κ)の変化に対して、入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は、必ずしも固定値と等しくする必要はなく、当該固定値を含む所定の範囲内で変化すればよい。すなわち、図9に示すように、結合係数(κ)の変化に対して、インピーダンスの絶対値の特性を示した場合に、周波数(f0)以外の他の周波数帯と比較して、周波数(f0)におけるインピーダンスの絶対値の変化が抑えられていればよい。
また周波数(f0)に対する入力インピーダンスの絶対値(|Zin_s|)は、変化させる結合係数の範囲内の全てにおいて、高周波交流電源部6のインピーダンスの値と等しくする必要はなく、図13aに示すように、入力インピーダンスの絶対値(Zin_s)が、変化させる結合係数の範囲内において、高周波交流電源部6のインピーダンスの値の付近になるような特性を示せばよい。
なお、本例のコンデンサ102が本発明の「第1のコンデンサ」に相当し、コンデンサ103が本発明の「第2のコンデンサ」に、コンデンサ202が本発明の「第3のコンデンサ」に、非接触給電部4が「給電回路」に、高周波交流電源部6が「交流電源」に相当する。
《第2実施形態》
図15は、発明の他の実施形態に係る非接触給電装置の給電回路部5の回路図である。本例では上述した第1実施形態に対して、給電回路部5の送電回路上において、コンデンサ102を接続する位置が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を援用する。
図15に示すように、給電回路部5は、送電回路として、一次巻線101と、一次巻線101に直列に接続されるコンデンサ102と、一次巻線101に並列に接続されるコンデンサ103とを有し、コンデンサ102は、コンデンサ103と一次巻線101との間に接続される。また給電回路部5は、受電回路として、二次巻線201と、二次巻線201に並列に接続されるコンデンサ202とを有する。
次に、図15に示す回路において、結合係数をゼロとして、高周波交流電源6側(送電側)からみた一次側のみのインピーダンス(Z1)を、図16を用いて説明する。図16は、周波数に対するインピーダンス(Z1)の絶対値の特性を示す。
第1実施形態に係るインピーダンス(Z1)の特性は、図8aに示すように、低い周波数(f1)に対して極小値(ZMIN)をとり、高い周波数(f2)に対して極大値(ZMAX)をとる。一方、本例のインピーダンス(Z1)の特性は、図16に示すように、低い周波数(f1)に対して極大値(ZMAX)をとり、高い周波数(f2)に対して極小値(ZMIN)をとる。
そして、インピーダンス(Z1)の絶対値の特性は、極大値(ZMAX)をとる周波数(f1)と、極小値(ZMIN)をとる周波数(f2)との間に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)を有する。
上記のように、本例の非接触給電部5の送電側は、第1実施形態に示すように、コンデンサ102と一次巻線101との接続点にコンデンサ103の一端を接続してもよく、第2実施形態に示すように、コンデンサ103と一次巻線101との間にコンデンサ102を接続してもよい。これにより本例は、結合係数が変化する場合に、高周波交流電源部6側からみた入力インピーダンス(Zin)の変化を抑制することができるため、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給させる電力の損失を防ぐことができる。また、本例は、一次巻線101と二次巻線201との相対的な位置ずれが生じ、結合係数が変化しても、非接触給電部5への供給電力の損失を防ぐことができるため、一次巻線101と二次巻線201との間の距離に相当する送電距離を延ばすことができる。
《第3実施形態》
図17は、発明の他の実施形態に係る非接触給電装置の給電回路部5の回路図である。本例では上述した第1実施形態に対して、給電回路部5の送電回路において、コイル104を有する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を援用する。
図17に示すように、給電回路部5は、送電回路として、一次巻線101と、一次巻線101に直列に接続されるコンデンサ102と、一次巻線101に並列に接続されるコンデンサ103と、コイル104を有し、一次巻線101とコンデンサ103との接続点がコンデンサ102の一端に接続され、コイル104がコンデンサ102の他端に接続される。コイル104は、高周波交流電源部6の出力の高調波を抑制するためのチョークコイルとして挿入され、あるいは、短絡防止等のために挿入される。
次に、図17に示す回路において、結合係数をゼロとして、高周波交流電源6側(送電側)からみた一次側のみのインピーダンス(Z1)を、図18を用いて説明する。図18は、周波数に対するインピーダンス(Z1)の絶対値の特性を示す。本例は非接触給電部5にコイル104を接続するため、L1とC1s+C1p+L1sからなる共振系が形成されるため、第1実施形態の非接触給電部5に対して、共振周波数(f4)が1つ増える。図18に示すように、インピーダンス(Z1)の絶対値の特性は、極小値(ZMIN_1)をとる周波数(f1)と、極大値(ZMAX)をとる周波数(f2)との間に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)を有する。周波数(f1)は、インピーダンス(Z1)の共振周波数のうち、最も周波数(f0)に近い極小値に対する周波数であり、周波数(f2)は、インピーダンス(Z1)の共振周波数のうち、最も周波数(f0)に近い極大値に対する周波数である。また、インピーダンス(Z1)の絶対値の特性は、周波数(f1)から周波数(f2)までの周波数帯域以外の帯域に、極小値(ZMIN_2)の共振周波数(f4)を有する。言い換えると、インピーダンス(Z1)の絶対値の特性は、周波数(f1)から周波数(f2)までの周波数帯域に、周波数(f0)を有し、極小値(ZMIN_2)をとる共振周波数(f4)を有さない。
上記のように、本例の非接触給電部5の送電側には、コイル104がコンデンサ102に接続されてもよく、少なくともインピーダンス(Z1)の絶対値の特性が、極小値(ZMIN_1)をとる周波数(f1)と、極大値(ZMAX)をとる周波数(f2)との間に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)を有すればよい。これにより本例は、結合係数が変化する場合に、高周波交流電源部6側からみた入力インピーダンス(Zin)の変化を抑制することができるため、高周波交流電源部6から非接触給電部5へ供給させる電力の損失を防ぐことができる。また、本例は、一次巻線101と二次巻線201との相対的な位置ずれが生じ、結合係数が変化しても、非接触給電部5への供給電力の損失を防ぐことができるため、一次巻線101と二次巻線201との間の距離に相当する送電距離を延ばすことができる。
なお、本例において、非接触給電部5の送電側には、コイル104以外の回路素子を接続してもよく、また複数の回路素子を接続してもよく、少なくともインピーダンス(Z1)の絶対値の特性が、極小値(ZMIN_1)をとる周波数(f1)と、極大値(ZMAX)をとる周波数(f2)との間に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)を有すればよい。
また、本例において、非接触給電部5の送電側には、図15に示す回路に対して他の回路素子を接続してもよく、少なくともインピーダンス(Z1)の絶対値の特性が、極小値(ZMIN_1)をとる周波数(f1)と、極大値(ZMAX)をとる周波数(f2)との間に、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)を有すればよい。
また、本例において、非接触給電部5の受電側に、他の回路素子を接続してもよく、少なくともインピーダンス(Z2)の絶対値の特性が、高周波交流電源回路6の基本波成分の周波数(f0)の付近に極大値(ZMAX)を有すればよい。