本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の画像形成装置)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置を示す概略の構成図である。
この画像形成装置1は、発光素子(例えば、LED)を用いた被駆動素子ヘッド(例えば、LEDヘッド)が搭載された電子写真カラープリンタであり、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の画像を各々に形成する4個のプロセスユニット10−1〜10−4を有し、これらが記録媒体(例えば、用紙)20の搬送経路の上流側から順に配置されている。各プロセスユニット10−1〜10−4の内部構成は共通しているため、例えば、マゼンタのプロセスユニット10−3を例にとり、これらの内部構成を説明する。
プロセスユニット10−3には、像担持体としての感光体ドラム11が図2中の矢印方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム11の周囲には、この回転方向上流側から順に、感光体ドラム11の表面に電荷を供給して帯電させる帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置(例えば、LEDヘッド)13が配設されている。更に、静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面に、マゼンタ(所定色)のトナーを付着させて顕像を発生させる現像器14と、感光体ドラム11上のトナーの顕像を転写した際に残留したトナーを除去するクリーニング装置15が配設されている。なお、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源からギア等を経由して動力が伝達され回転する。
画像形成装置1の下部には、用紙20を堆積した状態で収納する用紙カセット21が装着され、その上方に、用紙20を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ22が配設されている。用紙20の搬送方向におけるホッピングローラ22の下流側には、ピンチローラ23,24と共に用紙20を挟持することによってこの用紙20を搬送する搬送ローラ25と、用紙20の斜行を修正し、プロセスユニット10−1に搬送するレジストローラ26とが配設されている。これらのホッピングローラ22、搬送ローラ25及びレジストローラ26は、図示しない駆動源からギア等を経由して動力が伝達され回転する。
プロセスユニット10−1〜10−4の各感光体ドラム11に対向する位置には、それぞれ半導電性のゴム等によって形成された転写器27が配設されている。各転写器27には、感光体ドラム11上に付着されたトナーによる顕像を用紙20に転写する転写時に、各感光体ドラム11の表面電位とこれら各転写器27の表面電位に電位差を持たせるための電位が印加されている。
プロセスユニット10−4の下流には、定着器28が配設されている。定着器28は、ヒータを内蔵した加熱ローラとバックアップローラとを有し、用紙20上に転写されたトナーを加圧・加熱することによって定着する装置であり、この下流に、排出ローラ29,30、排出部のピンチローラ31,32、及び用紙スタッカ部33が設けられている。排出ローラ29,30は、定着器28から排出された用紙20を、排出部のピンチローラ31,32と共に挟持し、用紙スタッカ部33に搬送する。これら定着器28及び排出ローラ29等は、図示しない駆動源からギア等を経由して動力が伝達されて回転する。
このように構成される画像記録装置1は、次のように動作する。
先ず、用紙カセット21に堆積した状態で収納されている用紙20が、ホッピングローラ22によって、上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて、この用紙20は、搬送ローラ25、レジストローラ26及びピンチローラ23,24に挟持されて、プロセスユニット10−1の感光体ドラム11と転写器27の間に搬送される。その後、用紙20は、感光体ドラム61及び転写器27に挟持され、その記録面にトナー像が転写されると同時に感光体ドラム10−1の回転によって搬送される。同様にして、用紙20は、順次プロセスユニット10−2〜10−4を通過し、その通過過程で、各LEDヘッド13により形成された静電潜像を各現像器14によって現像した各色のトナー像が、その記録面に順次転写されて重ね合わされる。
このようにして記録面上に各色のトナー像が重ね合わされた後、定着器28によってトナー像が定着された用紙20は、排出ローラ29,30及びピンチローラ31,32に挟扶持されて、画像形成装置1の外部の用紙スタッカ部33に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が用紙20上に形成される。
(プリンタ制御回路)
図3は、図2の画像形成装置1におけるプリンタ制御回路の構成を示すブロック図である。
このプリンタ制御回路は、画像形成装置1における印字部の内部に配設された印刷制御部40を有している。印刷制御部40は、マイクロプロセッサ、読み出し専用メモリ(ROM)、随時読み書き可能なメモリ(RAM)、信号の入出力を行う入出力ポート、タイマ等によって構成され、図示しない画像処理部からの制御信号SGl、及びビデオ信号(ドットマップデータを一次元的に配列したもの)SG2等によって画像形成装置全体をシーケンス制御して印刷動作を行う機能を有している。
印刷制御部40には、プロセスユニット10−1〜10−4の4個のLEDヘッド13、定着器28のヒータ28a、ドライバ41,43、用紙吸入口センサ45、用紙排出口センサ46、用紙残量センサ47、用紙サイズセンサ48、定着器用温度センサ49、帯電用高圧電源50、及び転写用高圧電源51等が接続されている。ドライバ41には現像・転写プロセス用モータ(PM)42が、ドライバ43には用紙送りモータ(PM)44が、帯電用高圧電源50には現像器14が、転写用高圧電源51には転写器27が、それぞれ接続されている。
このような構成のプリンタ制御回路では、次のように動作する。
印刷制御部40は、画像処理部からの制御信号SGlによって印刷指示を受信すると、先ず、温度センサ49によって定着器28内のヒータ28aが使用可能な温度範囲にあるか否かを検出し、温度範囲になければヒータ28aに通電し、使用可能な温度まで定着器28を加熱する。次に、ドライバ41を介して現像・転写プロセス用モータ42を回転させ、同時にチャージ信号SGCによって帯電用高圧電源50をオンにし、現像器14の帯電を行う。
そして、セットされている図2中の用紙20の有無及び種類が用紙残量センサ47、用紙サイズセンサ48によって検出され、その用紙20に合った用紙送りが開始される。ここで、用紙送りモータ44には図示しない遊星ギア機構が接続され、ドライバ43を介して双方向に回転させることが可能になっている。これにより、用紙送りモータ44の回転方向を変えることにより、図示しない画像形成装置内部の異なる紙送りローラを選択的に駆動することができる構成になっている。例えば、1ページの印刷開始毎に、用紙紙送りモータ44を最初に逆転させて、用紙吸入口センサ45が検知するまで、セットされた用紙20を予め設定された量だけ送る。続いて、正回転させて用紙20を画像形成装置内部の印刷機構内に搬送する。
印刷制御部40は、用紙20が印刷可能な位置まで到達した時点において、画像処理部に対してタイミング信号SG3(主走査同期信号、副走査同期信号を含む。)を送信し、ビデオ信号SG2を受信する。画像処理部においてページ毎に編集され、印刷制御部40に受信されたビデオ信号SG2は、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0として各LEDヘッド13に転送される。各LEDヘッド13は、それぞれ1ドット(ピクセル)の印字のために設けられたLEDを複数個線上に配列したものである。
印刷制御部40は1ライン分のビデオ信号SG2を受信すると、各LEDヘッド13にラッチ信号HD−LOADを送信し、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0を各LEDヘッド13内に保持させる。又、印刷制御部40は、画像処理部から次のビデオ信号SG2を受信している最中においても、各LEDヘッド13に保持した印刷データ信号HD−DATA3〜HDDATA0について印刷することができる。
なお、印刷制御部40から各LEDヘッド13に送信されるクロック信号HD−CLK、及びストローブ信号HD−STB−N(ここで「−N」は負論理信号の意味である。)の内、クロック信号HD−CLKは、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0をLEDヘッド13へ送信するための信号である。
ビデオ信号SG2の送受信は、印刷ライン毎に行われる。各LEDヘッド13からの発光は、マイナス電位に帯電された感光体ドラム11上に照射される。これにより、各LEDヘッド13によって印刷される情報は、各感光体ドラム11上において電位の上昇したドットとして潜像化される。そして、現像器14において、マイナス電位に帯電された画像形成用のトナーが、電気的な吸引力によって各ドットに吸引され、トナー像が形成される。
その後、トナー像は転写器27へ送られ、一方、転写信号SG4によってプラス電位に転写用高圧電源51がオン状態になり、転写器27は感光体ドラム11と転写器27との間隔を通過する用紙20上にトナー像を転写する。転写されたトナー像を有する用紙20は、ヒータ28aを内蔵する定着器28に当接して搬送され、この定着器27の熱によって用紙20に定着される。この定着された画像を有する用紙20は、更に搬送されて画像形成装置1の印刷機構から用紙排出口センサ46を通過して画像形成装置外部へ排出される。
印刷制御部40は、用紙サイズセンサ48、及び用紙吸入口45の検知に対応して、用紙20が転写器27を通過している間だけ転写用高圧電源51からの電圧を転写器27に印加する。印刷が終了し、用紙20が用紙排出口センサ46を通過すると、帯電用高圧電源50による現像器14への電圧の印加を終了し、同時に現像・転写プロセス用モータ42の回転を停止させる。以後、上記の動作を繰り返す。
(LEDヘッド)
図4は、図3中のLEDヘッド13の構成を示す概略の断面図である。
このLEDヘッド13は、ベース部材13aを有し、このベース部材13a上にプリント配線板13bが固定されている。プリント配線板13b上には、駆動回路等が集積された複数個のチップ状のドライバIC100と複数個のチップ状のLEDアレイ200とが接着剤等により固着され、これらの複数個のドライバIC100と複数個のLEDアレイ200とが、図示しないボンディングワイヤ等により相互に接続されている。複数個のLEDアレイ100上には、柱状の光学素子を多数配列してなるロッドレインズアレイ13cが配置され、このロッドレインズアレイ13cがホルダ13dにより固定されている。ベース部材13a、プリント配線板13b及びホルダ13dは、クランプ部材13e,13fにより固定されている。
図5は、図4のLEDヘッド13の回路構成を示すブロック図である。
本実施例1の説明においては、一例として、A4サイズの用紙20に1インチ当たり600ドットの解像度で印刷可能なLEDヘッド13について採り上げ、この具体的な構成を説明する。
本実施例1では、LEDの総数は4992ドットであり、これを構成するために26個のLEDアレイ200(=200−1〜200−26)が配列され、更に、これらに隣接して駆動回路チップである26個のドライバIC100(=100−1〜100−26)が配列されている。各LEDアレイ200は各々192個のLEDを有し、これらの各LEDのカソードが、グランドに接続され、各アノードが、LEDアレイ200と隣接して配置されたドライバ1C100のLED駆動端子に対してワイヤボンディング配線等の手法により接続されている。
各ドライバIC100は、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA−0、クロック信号HD−CLK、ラッチ信号HD−LOAD、印刷駆動信号HD−STB−N、電源電圧VDD、及び基準電圧VREFが供給されると動作して各LEDアレイ200を駆動する回路であり、これらの各ドライバIC100が、隣接するドライバIC100とカスケード(縦続)に接続されている。各ドライバIC100は、制御電圧発生回路101、シフトレジスタ102、ラッチ回路103、インバータ104、論理積回路(以下「AND回路」という。)105、及びLED駆動回路106等によりそれぞれ構成され、その各制御電圧発生回路101に、基準電圧発生回路110が接続されている。基準電圧発生回路110は、LEDヘッド13毎に1回路ずつ設けられ、各制御電圧発生回路101に対する指令電圧値である基準電圧VREFを生成する回路である。基準電圧VREFは、前述のLEDの温度変化による発光出力の変動を補償する特性を有している。
各ドライバIC100において、制御電圧発生回路101は、LED駆動回路106から出力する駆動電流値を指令するための制御電圧を発生してそのLED駆動回路106に与える回路である。シフトレジスタ102は、複数のフリップフロップ回路(以下「FF」という。)により構成され、クロック信号HD−CLKに同期して、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA−0を取り込み、例えば、A4サイズの用紙20に印刷可能であり、1インチ当たり600ドットの解像度を持つ画像形成装置1においては4992ドット分のビットデータがFF中を順次転送されてパラレルに出力する回路であり、この出力側に、ラッチ回路103が接続されている。
ラッチ回路103は、ラッチ信号HD−LOADに基づき、シフトレジスタ102から出力されるビットデータをラッチする回路であり、この出力側に、AND回路105が接続されている。AND回路105は、印刷駆動信号HD−STB−Nがインバータ104で反転された信号と、ラッチ回路103から出力されるビットデータとの論理積を求め、LED駆動回路106に与える回路であり、この出力側に、LED駆動回路106が接続されている。LED駆動回路106は、電源電圧VDDが供給され、AND回路105の出力信号を駆動して、各LEDアレイ200中のLEDのうち、高レベル(以下「“H”」という。)のドットデータに対応するLEDを点灯する回路である。
このような構成のLEDヘッド13においては、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA−0が4本であり、隣接するLED4素子(4画素)分のデータをクロック信号HD−CLK毎に同時に送出することができる。そのため、印刷制御部40から出力される印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA−0は、クロック信号HD−CLKと共に各ドライバIC100に入力され、4992ドット分のビットデータが、FFからなるシフトレジスタ102中を順次転送される。次に、ラッチ信号HD−LOADが各ドライバIC100に入力され、シフトレジスタ102から出力されたビットデータが、ラッチ回路103にラッチされる。続いて、印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されると、LED駆動回路106により、LEDのうち、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA−0が“H”であるドットデータに対応するLEDが点灯される。
図5に示すように、LEDヘッド13には多数のLEDアレイ200−1〜200−26が搭載されるため、各LEDに製造ばらつきによる特性変動があると、各LEDアレイ200間及び同一LEDアレイ200内の各ドット間においてさえも発光パワーに変動を生じ、感光体ドラム11への露光エネルギー量が異なる結果となる。このような現象は、感光体ドラム11を現像するときのドット面積の変動となって現れ、印刷濃度にむらを生じる原因となるため望ましくない。そのため、LEDの各ドットの駆動電流を、発光パワーが一定になるように調整することが行われることが通例であり、図5においては図示を省略しているが、ドライバIC100−1〜100−26においても、そのための回路手段を備えている。
(LEDヘッド基板ユニット)
図6(a)〜(c)は、図4中のLEDヘッド基板ユニットを示す構成図であり、同図(a)は平面図、同図(b)はその平面図の一部の拡大図、及び、同図(c)は同図(b)に対比するように描かれた断面図である。
図6(a)において、プリント配線板13bの平面(即ち、上面)上には、26個のドライバIC(IC)100(=100−1〜100−26)がそのプリント配線板13bの長辺方向に沿って配列されると共に、これらのドライIC100に隣接して、26個のLEDアレイ(CHP)200(=200−1〜200−26)がプリント配線板13bの長手方向に沿って配列されている。更に、プリント配線板13bの上面上に、LEDヘッド基板ユニットを制御する制御信号端子や電源端子、及びグランド端子等を含んだコネクタ210が搭載されている。
図6(b)において、プリント配線板13bの上面上には、ドライバIC100−1,100−2,100−3,・・・に隣接して、端子パッド列107が形成され、この端子パッド列107における所要箇所間が配線211により接続されている。
図6(c)において、プリント配線板13bの端子パッド列107と各ドライバIC100−1,・・・の制御端子パッドとが、ボンディングワイヤ212により接続され、各ドライバIC100−1,・・・の駆動端子パッドと各LEDアレイ200−1,・・・の図示しないアノードパッドとが、ボンディングワイヤ213により接続され、各LEDアレイ200−1,・・・の図示しないカソードパッドとプリント配線板13b上の電極パッドとが、ボンディングワイヤ214により接続されている。
(ドライバ1C)
図7は、図6中のチップ状のドライバIC100(=100−1,100−2,・・・)における構成を示す平面図である。
この図7には、1チップ分のドライバIC100における端子パッド部と内部回路の配置状況が示されている。
ドライバIC100のチップには、端子パッド列107、電源配線108、駆動回路列109、及び、LED駆動回路106の192個のLED駆動端子D01〜DO192が設けられている。192個のLED駆動端子DO1〜DO192は、192個のLEDを駆動する端子であり、ドライバICチップの長手方向に延びる一方の長辺に沿って配置されている。端子パッド列107は、電源電圧VDD、ビットデータDATAI0〜DATAI3、ラッチ信号LOAD、クロック信号CLK、電源電圧VDD、グランド電圧GND、基準電圧VREF、印刷駆動信号STB、ビットデータDATAO3〜DATAO0、電源電圧VDDの各端子パッドを有し、これらがドライバICチップの他方の長辺に沿って順に配置されている。
電源配線108は、分岐配線部を有する略E字形状の帯状配線からなり、駆動回路列109の上部に沿って配置され、端子パッド列107の内の3箇所に設けられたVDD端子と接続されている。駆動回路列109における各駆動回路は、図5の制御電圧発生回路101、シフトレジスタ102、ラッチ回路103、インバータ104、AND回路105、及びLED駆動回路106等の1ビットからなるセル回路によりそれぞれ構成されている。
(基準電圧発生回路)
図8は、図5中の基準電圧発生回路110を示す回路図である。
この基準電圧発生回路110は、LEDヘッド13毎に1回路ずつ設けられ、3個のPチャネルMOSトランジスタ(以下「PMOS」という。)111〜113、2個のNPNトランジスタ(以下「NPNTr」という。)114,115、及び3個の抵抗116〜118を有している。NPNTr114,115の素子面積比は1:Kに設定されている。なお、K>1であって、実際には整数となるよう、NPNTr115はNPNTr114と同一形状のトランジスタK個を並列に接続して構成されている。
電源電圧VDD端子は、各PMOS111〜113のソースに接続され、この各PMOS111〜113のゲートが、PMOS112のドレイン端子(以下単に「ドレイン」という。)に共通に接続されている。PMOS111のドレインは、抵抗116,117を介して、NPNTr114のコレクタ端子(以下単に「コレクタ」という。)に接続されている。抵抗116及び抵抗117の接続点は、NPNTr114のベース端子(以下単に「ベース」という。)に接続され、このNPNTr114のエミッタ端子(以下単に「エミッタ」という。)が、グランドGNDに接続されている。
PMOS112のドレインは、NPNTr115のコレクタに接続され、このNPNTr115のベースが、NPNTr114のコレクタに接続されている。NPNTr115のエミッタは、グランドGNDに接続されている。PMOS113のドレインは、基準電圧VREFの出力端子、及び抵抗118を介して、グランドGNDに接続されている。
このような基準電圧発生回路110では、電源電圧VDDが印加されると、PMOS111、抵抗116,117及びNPNTr114を介してグランドGNDへ電源電流が流れる。PMOS111から抵抗116を介して流れる電流は、NPNTr114のベースに流れる電流と、抵抗117を介してNPNTr115のベースに流れる電流とに分流される。ここで、NPNTr114のベースに流れる電流によりNPNTr114がオン状態になる。一方、NPNTr115のベースに流入する電流によりNPNTr115がオン状態になる。すると、PMOS112のソース・ドレイン間及びNPNTr115のコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、そのPMOS112に対してカレントミラー回路を構成しているPMOS113及び抵抗118に、そのPMOS112に流れる電流に比例した電流が流れる。そのため、PMOS113と抵抗118との接続点から、絶対温度に略比例する基準電圧VREFが出力される。
(ウェハ上のTEGチップ配置)
図5のドライバIC100(=100−1〜100−26)や基準電圧発生回路110は、半導体製造技術を用いてモノリシックに形成されるものであり、一般にフォトリソグラフィ技術が用いられ、露光処置のためには露光マスクパターンを1/5や1/10のサイズに縮小しつつ、位置をずらしながら複数回にわたってウェハ全面に露光するステッパと呼ばれる縮小投影露光装置が用いられる。又、モノリシック半導体製造技術においては、製造プロセスが支障なく行われたか否かを確認するため、IC完成後にトランジスタ特性等を測定する必要から、ウェハの所定位置にモニタチップであるモニタ用TEGチップを配置することが通例である。
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1におけるドライバ1C100を製造するとき、これに用いられるウェハ上へのチップの配置を示す図であり、同図(a)はウェハの外形の平面図、及び、同図(b)は同図(a)の部分拡大図である。
図1(a)に示すように、シリコンウェハ等のウェハ300には、半導体製造プロセスにおいて、フォトリソグラフィ技術により、1Cの回路パターンがステッパを用いて露光される。ウェハ300上の破線で囲まれた矩形の領域301は、ステッパにより露光されるショット領域であり、露光の各領域の境界腺を示していて、これは又、半導体製造プロセスが終了し検査測定の後に行われるダイシング工程のダイシング領域とも略等しい。
なお、図1(a)においては、ショット領域301の周辺に同一ピッチで同様のパターンが重なり無く配置され、周辺6個分だけが図示されているが、実際にはウェハ300の全領域に渡って配置されている。
又、図1(b)は、ショット領域301の拡大図であり、このショット領域301内において斜線にてハッチングして示される矩形の領域310は、モニタ素子を搭載したTEGチップである。TEGチップ310内の一部の領域には、駆動回路の付帯回路である図5中の基準電圧発生回路110が配置されている。基準電圧発生回路110と隣接して、複数個(例えば、26個)のドライバIC100(=100−1〜100−26)のチップが配置されている。各ドライバIC100は、同一の図形パターンを有し、TEGチップ310のみがドライバ1C100と異なる図形パターンを有しているが、半導体製造プロセスにおいてはステッパが用いられており、TEGチップ310及びドライバIC100−1〜100−26は、同一のステッパ用露光マスクに属していて、一括して形成される。
このように、本実施例1では、ウェハ300上にドライバIC100(=100−1〜100−26)共に形成したTEGチップ310内に、各ドライバIC100を試験するための回路に加えて、LEDヘッド実装時に各ドライバIC100に基準電圧VREFを供給するための基準電圧発生回路110を作り込んでおく。
そのため、半導体製造プロセスが完了した後には、TEGチップ310とドライバ1C100−1〜100−26のチップとは、歩留まり等による僅かな数量変動はあるものの、図1(b)による配置状況を反映して、所定の数量比率で完成チップが得られる。
例えば、図1(b)において、ドライバIC100−1〜100−26が26個あり、TEGチップ310が1個であるので、ウェハ全体で得られるTEGチップ310とドライバ1C100−1〜100−26の数量比は、1:26が期待できる。
TEGチップ310内の一部には、基準電圧発生回路110が配置されているため、ドライバICウェハが完成した後には、基準電圧発生回路110とドライバIC100−1〜100−26とは、1:26の比率で良品が得られることになって、図5の構成のLEDヘッド13を実現するのに必要な基準電圧発生回路110とドライバIC100−1〜100−26とをまかなうことが可能になる。
なお、前記説明では、TEGチップ310とドライバIC100−1〜100−26の数量比を1:26としたが、一般に、ショット領域301内のドライバIC100の個数をNdとし、LEDヘッド当たりに必要になるドライバIC100の総数をNとするとき、
N>Nd
となるようにすれば、LEDヘッド製造に必要とする基準電圧発生回路110の所要数量を満たすことができる。基準電圧発生回路110の余剰を少なくするためには、
N≒Nd
とすることが望ましい。
(画像形成装置の印刷動作)
図9は、図5のLEDヘッド13における動作を示すタイムチャートである。
この図9のタイムチャートでは、画像形成装置1の電源投入後に、LEDヘッド13に対して行われる補正データ転送処理と、この補正データ転送処理後に行われる印刷データ転送の様子が示されている。
A部において、補正データの転送開始に先立ち、引き続くデータ転送が補正データであることを示すためにラッチ信号HD−LOADを“H”とする。
LEDlドット当たりビット(bit)3〜bit0の4bitからなる補正データの転送と、図5において図示しない補正メモリに対するデータ格納は次の4ステップにより行われる。
[ステップ1]
B部に示すように、1ドット当たりbit3〜bit0の4bitからなる補正データのうち、bit3のものを印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0をクロック信号HD−CLKに同期して入力して、シフトレジスタ102中へシフト入力する。
シフト入力が完了すると、F部に示すように、印刷駆動信号HD−STB−Nが3パルス入力され、このパルスの2パルス目で信号W3にJ部で示すようにパルス信号を生じる。このパルス信号により、図示しない補正メモリのbit3位置への補正データの書き込みが行われる
[ステップ2]
C部に示すように、1ドット当たりbit3〜bit0の4bitからなる補正データのうち、bit2のものを印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0をクロック信号HD−CLKに同期して入力して、シフトレジスタ102中へシフト入力する。
シフト入力が完了すると、G部に示すように、印刷駆動信号HD−STB−Nが3パルス入力され、このパルスの2パルス目で信号W2にK部で示すようにパルス信号を生じる。このパルス信号により、図示しない補正メモリのbit2位置への補正データの書き込みが行われる
[ステップ3]
D部に示すように、1ドット当たりbit3〜bit0の4bitからなる補正データのうち、bit1のものを印刷データ信号HD−DATA3−HD−DATA0をクロック信号HD−CLKに同期して入力して、シフトレジスタ102中へシフト入力する。
シフト入力が完了すると、H部に示すように、印刷駆動信号HD−STB−Nが3パルス入力され、このパルスの2パルス目で信号WlにL部で示すようにパルス信号を生じる。このパルス信号により、図示しない補正メモリのbit1の位置への補正データの書き込みが行われる。
[ステップ4]
E部に示すように、1ドット当たりbit3〜bit0の4bitからなる補正データのうち、bit0のものを印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0をクロック信号HD−CLKに同期して入力して、シフトレジスタ102中へシフト入力する。
シフト入力が完了すると、I部に示すように、印刷駆動信号HD−STB−Nが3パルス入力され、このパルスの2パルス目で信号WOにM部で示すようにパルス信号を生じる。このパルス信号により、図示しない補正メモリのbit0の位置への補正データの書き込みが行われる。
図9に示すように、前記信号W3〜W0の各パルス信号が発生する毎に、図示しない補正メモリにデータの書き込みが行われ、補正データのbit3〜bit0の全てのデータの書き込みが完了すると、N部のようにラッチ信号HD−LOADを“L”として、印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0の転送が可能な状態に遷移する。
次いで、O部で印刷データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が転送され、P部のラッチ信号HD−LOADのパルスにより、シフトレジスタ102にシフト入力されたデータを、ラッチ回路103へラッチする。更に、Q部のように、印刷駆動信号HD−STB−Nが“L”へと遷移して、LED駆動回路106によるLEDの発光駆動が行われ、印刷駆動信号HD−STB−Nが“L”となっている期間に、LEDは点灯状態となり、印刷駆動信号HD−STB−Nが“H”に戻ると消灯される。
(LEDヘッドの製造例)
図10は、図1中のチップのピックアップ工程を模式的に示す図である。
この図10では、図1のドライバ1Cウェハにおいて、半導体製造プロセスとプロービング検査の後、ダイシングされ、次いで行われるLEDヘッド基板へのダイスボンディングのためのピックアップ工程が模式的に示されている。
図1のウェハ300のダイシングのために、このウェハ300の裏面にはダイシング用の粘着性のフィルム320が貼付される。粘着性のフィルム320は、例えば、紫外線照射することによってその粘着力を減少させることが可能な素材が用いられる。
ウェハ300上を高速回転する薄刃砥石を用いてX軸に沿って位置を変えながら、ウェハ裏面に貼付されたフィルム位置に達する深さで、順次切削加工が行われる。引き続き、Y軸方向に位置を変えながら、ウェハ裏面に貼付されたフィルム位置に達するように順次切削加工が行われ、チップ状に切り分けられ個片化される。次いで、貼付されたフィルム320をウェハ300の半径方向に延伸させて、前記チップ相互の間隔が開くように展開される。この後行われるのが、図10に示すチップのピックアップである。
図10において、ダイシング用フィルム320上には、TEGチップ310とドライバIC100−1〜100−4,・・・のチップとが貼着されている。本来、これらのTEGチップ310とドライバIC100−1〜100−4,・・・のチップとは、ウェハ外周部に配置されたチップから順にピックアップされるのが普通であるが、図示を容易にするために、図10においてはドライバIC100−2のチップをピックアップするものとして図解されている。
ドライバIC100−2のチップをピックアップするため、このチップの裏面方向よりダイシング用フィルム320を介して先端を針状に加工したニードル321,322を用いて突き上げ、フィルム320が伸び上がることで、ピックアップしようとするドライバIC100−2のチップを他と分離して上昇させることができる。次いで、ドライバIC100−2のチップの外周寸法に合うような角錐状の凹部を備えたコレット323が下降して、その凹部中心に穿たれた給気口323aから真空吸着することで、ドライバIC100−2を吸着して、フィルム320から分離して所望の搭載位置に移動することができる。
このように、着目のドライバIC100−2のチップをピックアップすることで、このチップを図6中のプリント配線板13bの所定位置に移動させ、熱硬化性樹脂によりそのプリント配線板13b上にダイスボンディングさせる。
なお、前述したようにウェハ表面には、半導体製造プロセスを経ることで微細な回路パターンが形成されており、ドライバIC100−2のチップには表面保護膜が形成されているとは言っても、その表面は機械的な損傷には脆弱である。そのため、ドライバIC100−2のチップの外周寸法とコレット323の角錐の斜面寸法とを適切に設定して、チップの稜線面とコレット323の角錐面とを接触するように保持することで、チップ表面がコレット323と直に接触することが無いように、コレット各部の寸法が決定されている。
ここで、従来構成における基準電圧発生回路を有するTEGチップがどうようなものであったのかを説明する。
従来の基準電圧発生回路を有するTEGチップが配置されるウェハ上には、そのTEGチップのみが配置されており、そのチップ形状も、前記ドライバ1C100のチップが横長形状であったのに対して、略正方形状にレイアウトされ、当然ながら外形寸法も異なるものであった。そのため、前記ピックアップコレットも、ドライバ1Cチップ用とTEGチップ用とでは異なるものを用いざるを得ず、LEDヘッド基板組み立て工程で行われるダイスボンディングのためには、ドライバ1Cチップのピックアップ及びダイスボンディングと、TEGチップのピックアップ及びダイスボンディングとの2回の工程を経なければならず、実際にはこの他にLEDアレイチップのピックアップとダイスボンディングも必要となるので、実に煩雑な作業を必要としていた。
これに対し、本実施例1の構成においては、図1に示す基準電圧発生回路110を有するTEGチップ310とドライバ1C100(=100−1〜100−26)のチップとを同一の外形寸法にしているので、チップのピックアップとダイスボンディングも同一のコレット323を備えた実装装置により同一工程で順次行うことが可能となって、作業時間が大幅に短縮される。
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(a)〜(c)のような効果がある。
(a) 本実施例1の画像形成装置1によれば、前記LEDヘッド13を採用するため、スペース効率及び光取り出し効率に優れた高品質の画像形成装置1を提供することができる。即ち、前記LEDヘッド13を用いることにより、上記説明したフルカラーの電子写真カラープリンタに限らず、モノクロ、マルチカラーのプリンタ、あるいは他の複写機、複合機等の画像形成装置においても効果が得られるが、特に露光装置を数多く必要とするフルカラーの画像形成装置において一層大きな効果が得られる。
(b) 従来用いられていたTEGチップの構成においては、ウェハ完成試験におけるトランジスタ特性等の確認後には、TEGチップが不要となって廃棄されることになるので、資源の無駄である上、地球環保護を重視する立場から言えば到底許容することのできないものであった。これに対し、本実施例1の構成においては、TEGチップ310内の空き領域に基準電圧発生回路110を搭載しておくことで、前記チップを廃棄することなく有効に活用することができる。
(c) 前記(b)に加えて、本実施例1の構成においては、基準電圧発生回路110が搭載されたTEGチップ310と、ドライバ1C100(=100−1〜100−26)のチップとは、同一の外形寸法を有しているので、これらのチップのピックアップとダイスボンディングを、同一のコレット323を備えた実装装置により同一工程で順次行うことが可能となって、従来2回に分けてダイスボンディングしていた工程を1回に削減できる。そのため、作業時間を大幅に短縮でき、LEDヘッド13の組み立てコストを大幅に削減することが可能となる。
(実施例2の構成)
図11(a)〜(c)は、従来と本発明の実施例2のドライバICウェハにおけるドライバIC及びTEGチップの構成を示す模式的な平面図であり、同図(a)は従来のTEGチップの平面図、同図(b)は本発明の実施例2におけるTEGチップの平面図、及び、同図(c)は本発明の実施例2におけるドライバICのチップの平面図である。
本実施例2において、ウェハ上のTEGチップ310やドライバIC100(=100−1〜100−26)のチップの配置状況は、実施例1の図1とほぼ同様であるので、その説明を省略する。
図11(a)には、従来構成によるTEGチップ310Aにおける製造プロセスのモニタ素子の配置状況が概略的に示されており、実施例1の図1(b)に示すTEGチップ310に対応している。
TEGチップ310Aは、NMOS311A及びPMOS312Aを有している。このNMOS311A及びPMOS312Aは、半導体製造プロセスを用いてウェハ300上に多数のトランジスタを形成するとき、このNMOS311A及びPMOS312Aの電気特性を測定することで、多数のトランジスタの仕上がり状況をモニタする目的で設けられている。
NMOS311Aのソースにはソース用パッド311sが接続され、ゲートにはゲート用パッド311gが接続され、ドレインにはドレイン用パッド311dが接続され、更に、サブストレートにはサブストレート用パッド311ssが接続されている。これらのパッド311s,311g,311d,311ssは、NMOS311Aの電気特性を測定するためにプローバ装置を用いて針当て測定するために設けられている。
同様に、PMOS312Aのソースにはソース用パッド312sが接続され、ゲートにはゲート用パッド312gが接続され、ドレインにはドレイン用パッド312dが接続され、更に、サブストレートにはサブストレート用パッド312ssが接続されている。これらのパッド312s,312g,312d,312ssは、PMOS312Aの電気特性を測定するためにプローバ装置を用いて針当て測定するために設けられている。
これに対し、図11(b)には本実施例2のTEGチップ310の構成が、図11(c)には本実施例2のドライバIC100のチップの構成が、対比のためにそれぞれ示されている。本実施例2の構成においては、TEGチップ310とドライバIC100とは、端子パッドがそれぞれ対応する位置に配設されており、図11(b)に示すTEGチッフ310においても、便宜上、対応する位置の端子パッドには対応する端子名が付与されている。
図11(b)において、TEGチップ310は、NMOS311、PMOS312、及び図8の基準電圧発生回路110を有している。
NMOS311のゲートにはデータDATAI0端子パッドが接続され、ソースにはデータDATAI1端子パッドが接続され、サブストレートにはデータDATAI2端子パッドが接続され、ドレインにはデータDATAI3端子パッドが接続されている。又、PMOS312のゲートにはデータDATAO3端子パッドが接続され、ドレインにはデータDATAO2端子パッドが接続され、サブストレートにはデータDATAO1端子パッドが接続され、ソースにはデータDATAO0端子パッドが接続されている。
基準電圧発生回路110は、略記して示される端子1,2,3を有している。端子1は電源端子であり、図8における電源電圧VDD端子に対応しており、電源電圧VDD端子パッドに接続されている。端子2はグランド端子であり、グランドGND端子パッドに接続されている。更に、端子3は基準電圧VREF端子に対応しており、基準電圧VREF端子パッドに接続されている。
その他、図11(c)に示すドライバ1C100に備えている端子パッドにおいて、図11(b)に示すTEGチップ310の対応する箇所の未使用となる端子パッドにおいても、ダミーの端子パッドが設けられているが、必要により他の回路を搭載してそれぞれの制御機能に割り当てることも可能であるし、あるいは、そのダミーの端子パッドを削除して構成することも可能である。
(実施例2の動作)
図11(b)に示されるように、本実施例2の構成のTEGチップ310は、ドライバIC100に対し、端子パッドがそれぞれ対応する位置に配設されているため、プロービング測定におけるプロービング冶具も同一のものとすることができ、例えば、プローブカードも、ドライバIC100の測定用と基準電圧発生回路110の測定用とで同一のものを用いて測定することが可能になる。
もし、プローブカードとして異なるものが必要ということになると、異なるテスタ装置を用いて2回に分けて測定作業を行う必要を生じて、その作業は著しく煩雑なものとなってしまう。これに対し、本実施例2の構成とすることで、ドライバIC100と基準電圧発生回路110とで測定プログラムを変える必要があるものの、1つの測定装置による1度の測定工程でウェハ測定作業を完了することが可能となり、前記測定のための段取り作業が不要となって製造コストの削減が可能になる。
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の(a)〜(c)の効果と同様の効果があり、更に、次のような効果もある。
本実施例2の構成の基準電圧発生回路110では、複数の端子パッドがドライバIC100の複数の端子パッドにそれぞれ対応する位置に配設されているので、ウェハ300のプロービング測定におけるプロービング冶具も同一のものとすることができ、1つの測定装置による1度の測定工程でウェハ測定作業を完了することが可能となって、LEDヘッド13の組み立てコストを大幅に削減することが可能となる。つまり、TEGチップ310の端子パッドとドライバ1C100(=100−1〜100−26)の端子パッドとの位置を対応させることで、ウェハ300のプロービング試験を1回の工程で行うことが可能となって、試験のためのプローブカードを用意する必要が無くなり、更に、2回に分けてプロービング試験を行うといった工程上の無駄を無くすることができ、併せて製造コストの大幅な削減が可能となる。
(実施例1、2の変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(1)〜(4)のようなものがある。
(1) 図12(a)、(b)は、実施例1、2の変形例を示すもので、ドライバ1C100を製造するとき、これに用いられるウェハ上へのチップの配置を示す図であり、同図(a)はウェハの外形の平面図、及び、同図(b)は同図(a)の部分拡大図である。
この図12(a)、(b)において、実施例1、2における図1(a)、(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この変形例の図12(a)、(b)において、図12(a)は実施例1、2の図1(a)と同一であるが、図12(b)が実施例1、2の図1(b)と異なる。即ち、本変形例の図12(b)において、ショット領域301には、実施例1、2と同様に斜線にてハッチングして示される矩形のTEGチップ310と、新たに追加された縦線にてハッチングして示される矩形のTEGチップ330と、実施例1、2と同様に複数個(例えば、52個)のドライバIC100(=100−1〜100−52)とが設けられている。
TEGチップ330内の一部の領域には、TEGチップ310内の基準電圧発生回路110と同様の基準電圧発生回路331が配置されている。TEGチップ310とTEGチップ330とは、同じ回路要素を搭載するものであっても、あるいは異なる回路要素を搭載するものであってもよい。
TEGチップ330と隣接して配置された複数個のドライバIC100(=100−1〜100−52)は、実施例1、2と同様に、同一の図形パターンを有している。TEGチップ310,330とドライバ1C100とは異なる図形パターンを有しているが、半導体製造プロセスにおいてはステッパが用いられており、TEGチップ310,330とドライバIC100−1〜100−52とは、同一のステッパ用露光マスクに属していて、一括して形成される。
このため、実施例1、2と同様に、半導体製造プロセスが完了した後には、TEGチップ310,330とドライバ1C100−1〜100−52のチップとは、歩留まり等による僅かな数量変動はあるものの、図12(b)による配置状況を反映して、所定の数量比率で完成チップが得られる。
例えば、図12(b)において、ドライバIC100−1〜100−52が52個あり、TEGチップ310とTEGチップ330とが各1個であるので、ウェハ全体で得られるTEGチップ310,330とドライバ1C100−1〜100−52との数量比は2:52(即ち、1:26)の比で、完成チップが期待できる。
前述したように、各TEGチップ310,330内の一部には各基準電圧発生回路110,331がそれぞれ配置されているため、ドライバ1Cウェハが完成した後には、基準電圧発生回路110もしくは331とドライバ1C100−1〜100−52のチップとは1:26の比率で良品が得られることになって、図5の構成のLEDヘッド13を実現するために必要な基準電圧発生回路110とドライバIC100−1〜100−26とをまかなうことが可能になる.
なお、前記説明では、TEGチップ310,330の合計とドライバ1C100−1〜100−52との数量比を1:26としたが、一般にドライバIC100−1〜100−52の個数をNdとし、LEDヘッド当たりに必要になるドライバ1Cの総数をNとするとき、
N>Nd/2
となるようにすれば、LEDヘッド製造に必要とする基準電圧発生回路110,331の所要数量を満たすことができる。基準電圧発生回路110,331の余剰を少なくするためには、
N≒Nd/2
とすることが望ましい。
更に一般化した場合を説明すると、図12(a)のウェハ300において、ステッパのショット領域301におけるTEGチップ310,330の総数をNm、ドライバIC100のチップ総数をNdとして、LEDヘッド13におけるドライバ1Cチップの搭載数をNとするとき、
N>Nd/Nm
とすることで、基準電圧発生回路チップの必要数をまかなうことが可能となる。より好ましくは、
N≒Nd/Nm
とすることで、TEGチップ310,330の余剰による廃棄数を最小化することができる。
(2) 実施例1、2及び変形例では、被駆動素子としてLEDを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、有機EL素子や発熱抵抗体等の他の被駆動素子への電圧印加制御を行う場合にも適用可能である。例えば、有機EL素子のアレイで構成される有機ELヘッドを備えたプリンタや、発熱抵抗体の列で構成されるサーマルプリンタにおいて利用することができる。更に、表示素子(例えば、列状あるいはマトリクス状に配列された表示素子)の駆動にも適用可能である。更に又、2端子構造を備えたLED等の被駆動素子に限らず、3端子構造を備えた発光サイリスタの他、第1と第2の2つのゲートを備えた4端子サイリスタ(SCS;(Silicon)Semiconductor Controlled Switch)を駆動する場合にも適用可能である。
(3) 本発明の趣旨及び技術的思想を考察して明らかなように、本発明は、同一構成要素の連続的配置からなる被駆動素子列の駆動回路に限定されるものではなく、複数もしくは単数の駆動端子を備えた任意形状のICチップに広く応用することが可能である。