JP5573225B2 - 第13族金属窒化物結晶の製造方法、該製造方法により得られる第13族金属窒化物結晶および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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法により気相エピタキシャル成長を行う方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
このような問題に対処する技術として、Li3GaN2などの複合金属窒化物をイオン性溶媒に溶解した溶液または融液を作成し、その溶液や融液中でGaNの結晶を成長させる方法が提案されている(特許文献4参照)。ここでは、気相法で作成したGaN薄膜の
シード上にGaNの結晶を成長させた具体例が記載されている。
特許文献4に記載される方法は、低圧または常圧において良質な結晶を製造できることから工業的に有利であるという利点を有するが、得られる結晶の成長表面の凹凸が大きいと、電子素子の基板等に利用する際には凹凸の有する部分をすべて研磨して取り除く必要が生じ、利用効率が低下してしまうという問題がある。
[1]溶融塩中に窒素元素と第13族金属元素とを含む溶液において、シード上に第13族金属窒化物結晶を成長させる第13族金属窒化物結晶の製造方法であって、該シードの主面が半極性面である、第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[2]第13族金属元素と第13族以外の金属元素とを含有する複合金属窒化物を溶融塩に溶解して前記溶液を得る工程を有する、[1]に記載の第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[3]前記シードの主面が第13族金属窒化物結晶で構成されている、[1]または[2]に記載の第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[4]前記シードの主面が(hkil)面であって、hとkはh+k≠0を満たす整数、iはi=−(h+k)となる整数、lは正の整数である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[5]前記溶融塩が、第13族金属窒化物結晶の原料とならない溶融塩である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載の第13族金属窒化物結晶の製造方法により得られる、第13族金属窒化物結晶。
[7][1]〜[5]のいずれか一項に記載の第13族金属窒化物結晶の製造方法により、基板上に第13族金属窒化物結晶を製造する工程を有することを特徴とする半導体デバ
イスの製造方法。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また第13族金属は、周期表第13族金属を意味する。
本発明の製造方法により得られる第13族金属窒化物結晶は、第13族金属を含むナイトライドであれば特に限定されず、例えば窒素ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)などの単独金属のナイトライド、または窒化ガリウム・インジウム(GaInN)、窒化ガリウム・アルミニウム(GaAlN)等の固溶体組成のナイトライドが挙げられる。好ましくは第13族金属として少なくともガリウム(Ga)を含む結晶、特に好ましくはGaN結晶の製造方法として好適に用いることができる。
本発明の製造方法では溶融塩中に窒素元素と第13族金属元素とを含む溶液を用いる。
ここで、溶融塩とは常温で固体の塩を高温で融解させたものである。溶融塩の種類は、シード上での結晶のエピタキシャル成長を阻害しないものであれば良く、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、イオウ化物等を挙げることができる。一般には、第13族金属元素を金属イオンとして安定に溶解させる能力が高いことから、ハロゲン化物を用いることが好ましい。具体的には、溶融塩がLiCl、KCl、NaCl、CsCl、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2、AlCl3、GaCl3、LiBr、KBr、N
aBr、CsBr、LiF、KF、NaF、AlF3、GaF3、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、BaI2等の金属ハロゲン化物であることが好ましく、LiCl、KCl、NaCl、CsCl、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2およびそれらの混合塩のいずれかであると、溶液の融点が下がるため好ましい。溶液の融点が下がると、結晶成長を比較的低温で行うことが可能になるため、得られる結晶の結晶性や工業的な実施の面で好ましい。
この場合、本願発明の製造方法は、溶融塩に窒素元素および/または第13族金属元素を含む化合物を第13族金属窒化物結晶の原料として溶解し、窒素元素と第13族金属元素とを含む溶液を得る工程を有する。
第13族金属窒化物結晶を成長させる溶液は、溶融塩中に窒素元素と第13族金属元素とを含む溶液であり、上記の溶融塩の他に、第13族金属元素と窒素元素を含む。
第13族金属元素と窒素元素は、第13族金属や第13族金属元素を含む化合物、窒素ガスや窒素元素を含む化合物をそれぞれ溶融塩に溶解させることにより溶液中に存在させることができる。ここで溶液中に含まれる第13族金属元素は、結晶成長させようとしている第13族金属窒化物結晶の第13族金属元素である。したがって、GaN結晶を成長させようとしている場合は、溶融塩中にGaかGa化合物を溶解させる。
窒素元素を含む化合物としては、例えばアンモニアやアンモニア塩、金属アミド、金属窒化物が挙げられる。窒化物としては、Li3N、Ca3N2、Mg3N2、Sr3N2、Ba3N2などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の窒化物を例示することができる。溶融塩の主成分としてLiClを用いる場合には、窒化物としてLi3Nを採用することが好ましい。
第13族金属窒化物結晶を成長させる溶液は、溶媒である溶融塩に第13族金属と第13族以外の金属元素とを含有する複合金属窒化物を溶解することによっても作成することができる。
第13族金属と第13族以外の金属元素とを含有する複合金属窒化物は、第13族金属の窒化物粉体と第13族金属以外の金属の窒化物粉体(例えばLi3N、Ca3N2)とを
混合した後、温度を上げて固相反応させるなどの方法により得ることができる。第13族金属としては、Ga、Al、In、GaAl、GaIn等を好ましい例として挙げることができる。また、第13族以外の金属元素としては、Li、Na、Ca、Sr、Ba、Mg等を挙げることができ、中でもLi、Ca、Ba、Mgを好ましい元素として挙げることができる。
本発明の製造方法で用いられる複合金属窒化物は、通常第13族金属と第13族以外の金属との合金をつくっておき、窒素雰囲気中で加熱することによっても容易に作製できる。例えばLi3GaN2は、Ga−Li合金を窒素雰囲気中で600〜800℃で加熱処理することによって作製することができる。通常、アモノサーマル法等では、目的の第13族金属窒化物結晶の微粉または微結晶を合成し、これを溶媒に溶解するが、こうしたプロセスから較べると、非常に容易に原料を作ることができ、工業的な価値は大きい。また、複合金属窒化物は化学的に合成された結晶性のものでなくともよく、例えば、それらの合金からなるターゲットを反応性スパッターにより、窒素プラズマとの反応で作製したサファイア基板や石英等の基板上に生成した化学量論組成からずれた混合窒化物膜であってもよい。こうしたドライプロセスで作られた複合金属窒化物薄膜は、溶融塩と接触させておくと、窒化物薄膜から溶融塩へ窒化物が少しずつ溶解し、界面付近に拡散支配の窒化物溶解相を形成でき、シードをこの界面付近に置くことによって容易に結晶成長が達成できる。また、ドライプロセスを用いる特徴としては、化学的に合成が難しいような窒化物でも容易に作製ができることが挙げられる。なお、ここでは固体状の複合金属窒化物の合成法を説明したが、本発明では溶液中で2種の窒化物を反応させて溶液中に溶解した複合金属窒化物を合成し、そのまま結晶成長に用いても構わない。
本発明の製造方法では、シードの主面が半極性面であるシード上に第13族金属窒化物結晶を成長させる。シードの主面とは、シードの総表面積に対してその面の占める表面積が最も広い面を意味する。例えば、シードが板状の場合には2つの主面が存在する場合が考えられるが、そのうちいずれか一方の主面が半極性面であればよい。
また、ホモエピタキシャル成長用のシードであってもよいし、ヘテロエピタキシャル成長用のシードであってもよい。具体的には、気相成長させたGaN、InGaN、AlGaN等の13族金属窒化物のシードを挙げることができる。また、サファイア、シリカ、ZnO、BeO等の金属酸化物や、SiC、Si等の珪素含有物や、GaAs等の気相成長法等で基板として用いられる材料を挙げることもできる。これらのシードの材料は、本発明で成長させる第13族金属窒化物結晶の格子定数にできるだけ近いものを選択することが好ましい。
GaN結晶における極性面とは、表面にGaまたはNのどちらか一方のみが配列している面である。極性面は、表面に存在する原子の偏りにより表面が電気的に正または負に帯電している。非極性面とは、GaとNが表面に同数存在している面であり、表面は電気的に中性である。半極性面とは、表面のGaとNが両方存在しているが存在比が1:1ではない面であり、このため極性面と比べ表面の帯電が少ない。
このことから、本発明の製造方法では、シードの主面が半極性面であるシード上に第13族金属窒化物結晶を成長させる。
本発明で用いる反応容器は、本発明の製造方法における反応を阻害しないものであれば特に制限されないが、熱的および化学的に安定な金属、酸化物、窒化物、炭化物を主成分とする反応容器であることが好ましい。周期表第4族元素(Ti、Zr、Hf)を含む金属であることが好適であり、好ましくはTiを用いる場合である。
また、これらの反応容器の部材の表面は、前記周期表第4族元素の窒化物からなることが好ましく、後述する窒化処理方法によってあらかじめ窒化物を形成することが好適である。
本発明において、窒化処理とは前記反応容器の部材の少なくとも表面を窒化する工程のことを指す。結晶成長の前にあらかじめ部材を窒化処理しておき、溶液または融液と接触する部材の表面に強固かつ安定な窒化物を形成しておくことが好ましい。また、部材の割れにくさや機械的な強度を考慮して、窒化物を窒化膜の形態で形成してもよい。
更には、高温下でアルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物を窒化剤として使用して前記部材表面を窒化することも可能であり、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物やアルカリ土類金属ハロゲン化物と前記アルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物との混合融液中に保持することで、安定な窒化膜を形成することができる。また、実際に結晶成長を行なう条件と同様の条件下に部材を保持することで、簡便に窒化処理を行なうこともできる。
反応容器内において第13族金属窒化物結晶を成長させる際の温度は、原料及び溶融塩の分解や蒸発を抑え、且つ、成長速度を速くできることから、通常200〜1000℃で
あり、好ましくは400〜850℃、より好ましくは600〜800℃である。また、第13族金属窒化物結晶を成長させる際の反応容器内の圧力は、条件によって適宜選択することができとくに限定されないが、製造装置が簡便になり工業的に有利に製造できることから、通常10MPa以下であり、好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、より好ましくは0.11MPa以下であって、通常0.01MPa以上、より好ましくは0.09MPa以上である。特に結晶成長速度を速くしたい場合には、0.0
9MPa以下とすることも好ましい。
本発明の製造方法は、半導体デバイスの製造方法における第13族金属窒化物結晶を製造する工程に用いることができる。その他の工程における原料、製造条件および装置は一般的な半導体デバイスの製造方法で用いられる原料、条件および装置をそのまま適用できる。本発明の製造方法によれば、パワーIC、高周波対応可能な半導体デバイス等を製造することができる。
固体のLi3GaN2 1.44gを外径34mm、内径30mm、高さ200mmの窒化処理を施したTi製の反応容器に入れ、次いで溶媒として8.64gのNaClと20.16gのLiClとを炭化タングステン製乳鉢でよく粉砕混合し、Ti製の反応容器に入れた。固体のLi3GaN2は篩を使用して、600μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は事前に28.8gのLiClと0.10gのLi3NをTi製反応容器に入れて窒素雰囲気下で745℃、2時間熱することにより施した。
次に、石英製反応管(4)をArボックスから取り出し、電気炉(3)にセットした。この石英製反応管(4)にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、石英製反応管のガス導入口(1)を開いて石英製反応管(4)内を減圧にしてからN2で大気圧まで復圧し、石英製反応管(4)内をN2雰囲気とした。その後、石英製反応管(4)のガス排気口(2)を開き、N2を100ccmで流通させた。
シード(6)を石英製反応管(4)から取り出したところ、シード上にGaN成長層が
形成されたGaN結晶が得られた。
得られたGaN結晶を温水に投入して、NaClやLiClなどの付着している塩を溶解させた。GaN結晶の重量は、結晶成長前のシードの重量に比べて12.6wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層ができていた。GaN成長層を含むGaN結晶の断面をカソードルミネッセンス−走査型電子顕微鏡(CL−SEM)で観察したところ、図2に示す成長表面が平坦なGaN成長層が確認できた。
シードとして(20−21)面を主面とするGaN基板を用いた点を除いて、実施例1と同じ方法でシード上にGaN成長層が形成されたGaN結晶を得た。GaN結晶の重量は、結晶成長前のシードの重量に比べて15.3wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層ができていた。GaN成長層を含むGaN結晶の断面をCL−SEMで観察したところ、図3に示す成長表面が平坦なGaN成長層が確認できた。
固体のLi3GaN2を2.88gとし、溶媒を11.52gのNaClと17.28gのLiClとして、溶液を形成した後の745℃での保持を10.5時間、シードを浸漬して結晶成長させる時間を304時間とした以外は、実施例1と同じ方法でシード上にGaN成長層が形成されたGaN結晶を得た。GaN結晶の重量は、結晶成長前のシードの重量に比べて61.9wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層ができていた。GaN成長層を含むGaN結晶の断面をCL−SEMで観察したところ、図5に示す成長表面が平坦なGaN成長層が確認できた。
シードとして(10−20)面を主面とするGaN基板を用いた点を除いて、実施例1と同じ方法でシード上にGaN成長層が形成されたGaN結晶を得た。GaN結晶の重量は、結晶成長前のシードの重量に比べて12.1wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層ができていた。GaN成長層を含むGaN結晶の断面をCL−SEMで観察したところ、図4に示すような、成長表面に鋸歯状の凹凸が確認できた。
2 ガス排出口
3 電気炉
4 石英製反応管
5 反応容器
6 シード
7 原料
8 シード保持棒
9 溶液
Claims (6)
- 溶融塩中に窒素元素と第13族金属元素とを含む溶液中において、第13族金属窒化物結晶の(10−11)面または(20−21)である主面を有するシードの該主面上に第13族金属窒化物結晶を成長させる結晶成長工程を有することを特徴とする、第13族金属窒化物結晶の成長方法。
- 前記結晶成長工程の前に、第13族金属元素と第13族以外の金属元素とを含有する複合金属窒化物を溶融塩に溶解して前記溶液を得る工程を有する、請求項1に記載の成長方法。
- GaN結晶の成長方法である、請求項1または2に記載の成長方法。
- 前記シードの主面がGaN結晶の(10−11)面または(20−21)面である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成長方法。
- 前記溶融塩が、第13族金属元素および窒素元素を含まない溶融塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の成長方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の成長方法により、基板上に第13族金属窒化物結晶を成長させる工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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