JP4569304B2 - 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法及びそれを用いた半導体デバイスの製造方法。 - Google Patents
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応用物理 第71巻 第5 号(2002)548頁 J. Appl. Phys. 37 (1998) 309頁 J. Crystal Growth 178 (1977) 174頁 J. Crystal Growth 218 (2000) 712頁 第29回溶融塩化学討論会要旨集 (1997) 11頁 Acta Physica Polonica A Vol.88 (1995) 137頁
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、低圧又は常圧で良質のGaN結晶等の第13族金属窒化物結晶の製造方法を提供することにある。
前記第13族金属を含有するイオン源が低価のイオン種を含んでおり、
前記第13族金属を含有するイオン源および前記窒素を含有するイオン源の他に、前記反応に関わらない溶融塩が溶媒として存在しており、
前記窒素を含有するイオン源が前記溶融塩に溶解していることを特徴とする第13族金属窒化物結晶の製造方法。
(2) 前記溶融塩が、あらかじめ精製されたものであることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3) 前記第13族金属を含有するイオン源および前記窒素を含有するイオン源が溶融塩であることを特徴とする(1)または(2)に記載の製造方法。
(4) 前記窒素を含有するイオン源を生成する反応に供される溶融塩が存在することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法。
(5) 前記窒素を含有するイオン源を生成する反応を、該反応に供される前記溶融塩中に窒素ガス又は窒素化合物を導入して行うことを特徴とする(4)に記載の製造方法。
(6) 前記イオン源を生成するために、電気化学反応を少なくとも一部の反応として用いることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の製造方法。
(7) 前記第13族金属を含有するイオン源が、前記溶融塩に溶解していることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法。
(8) 前記第13族金属を含有するイオン源として、第13族金属とハロゲンガスとを前記溶融塩中で反応させたもの又は第13族金属のハロゲン化物を前記溶融塩中に溶解させたものを用いることを特徴とする(7)に記載の製造方法。
(9) 前記溶融塩として、第13族金属よりイオン化傾向が高い金属塩を用いることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか一項に記載の製造方法。
(10) 前記溶融塩として、アルカリ金属塩を用いることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか一項に記載の製造方法。
(11) 前記溶融塩として、金属ハロゲン化物を用いることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか一項に記載の製造方法。
(12) 前記溶融塩として、窒素を含有する金属化合物を用いることを特徴とする(1)〜(11)のいずれか一項に記載の製造方法。
(13) アノード室とカソード室内で前記イオン源を別々に生成することを特徴とする(1)〜(12)のいずれか一項に記載の製造方法。
(14) 低圧または常圧で行うことを特徴とする(1)〜(13)のいずれか一項に記載の製造方法。
(15) (1)〜(14)のいずれか一項の製造方法により第13金属窒化物結晶を製造する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明で用いる第13族金属を含有するイオン源としては、周期律第13族(IIIB族)の金属を含む全ての化合物が挙げられるが、Alイオン、Gaイオン、Inイオンを含有する化合物であることが好ましい。これらのイオンは単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
図1は、本発明で用いられる第13族金属窒化物結晶成長のための製造装置の構成例を示す図である。図2は、溶融塩の精製装置であり、結晶成長に溶媒として用いる溶融塩は予めこの装置により精製(主に脱水)される。
なお、Gaイオン源、Nイオン源の反応を溶融塩2中で制御できる場合は、電解セル1から混合された状態で同一の連通管で結晶成長用セル11に導いても構わない。
図3に示す装置から隔膜27を外し、アノード室3及びカソード室8における反応生成物を結晶成長室26で反応させた。溶融塩としては、図2に示される装置を用いて精製した融点約265℃のLiCl−KCl−CsCl3元共晶塩(51/20/29モル%)約30gを用いた。LiCl−KCl−CsCl3元系の各塩は、それぞれ単独で図2で示される装置を用いて塩を精製した後、サンプルを秤量して混合塩とした。
電解セル1中の温度は約350℃とし、電解及びGaN結晶成長を行った。電解条件は、定電流法で行い、電流20〜500mA、アノード−カソード間の電圧約3〜5V(うち電解浴中での電圧降下約1〜3V)、カソード室8のタングステン網電極(面積約10cm2)へ供給する窒素ガス量は5〜30ml/分とした。カソード室8では、窒素ガスを供給するため浴が攪拌されるため、結晶成長室26の浴内でも対流が発生していた。Ga金属の電極として働いている面積は約1cm2であった。電流100mAを一定時間で流したところ、カソード室8は数分で薄い黄色味がかつた透明塩となり、そのまま電解反応を継続していくと、1時間30分〜2時間ぐらいから白濁し始めたが、そのまま3時間まで電解反応を継続した。カソード室8で生成されたLi3Nは、低濃度のうちは全て溶融塩中で溶解していたが、濃度が高くなるに従い飽和状態となり、微小な固体が懸濁し、白濁したものと推測される。
結晶成長室26には、灰黒色状の粉体が生成された。セルを壊して生成物を取り出し、蒸留水で濾過した後、得られた固形物をEDAXで分析した。図4にSEM像、図5にEDAXの分析チャートを示す。
図5の分析チャートのGa及びNのピークから、図4に示される灰黒色状粉体は、微細なGaN結晶の凝集体であることが判明した(右側の丸形のもの)。また図4には、セルの破壊時に入ったとみられるガラスの細かな破片も観察された(左側の細長形のもの)。
電解セルの構造及び装置の稼動条件は実施例1と同一とし、結晶成長室26とアノード室3及びカソード室8との境界にパイレックス(登録商標)製の多孔質フィルターを隔膜27として使用し、結晶成長室26内における溶融塩の対流を抑え、溶解しているGaCl3及びLi3Nが拡散によって成長室26内に入り込むようにした。
反応終了後、セルを壊して生成物を取り出し、蒸留水で生成物を溶かし濾過した後の固形物のSEM観察像を図6(a)及び(b)に示す。また、得られた固形物のX線回折によるデータを図6(c)に示す。
図6(c)X線回折データから分かるように、得られた結晶は、h−GaN結晶であることが確認された。
また、図6(b)から明らかなように、細かな燐片状のGaN結晶が観察され、またこの結晶に紫外光ランプを照射すると黄色の蛍光を発した。これはGaN結晶に存在する窒素欠損に起因する典型的な発光と考えられるが、実施例1と比較すると結晶性は改善されていた。
実施例1で得られた結晶に紫外光を照射しても蛍光を発しなかったことを考慮すると、合成速度を遅くすることにより、実施例1よりも結晶性が高まったと推測される。
電解セルの構造及びその他の条件は実施例2と同一とし、結晶成長室26中に窒化ガリウム試薬(三津和化学製:数ミクロンの微結晶)1mgを種晶として入れた。この試薬のSEM写真を図7に示す。
反応終了後、セルを壊して生成物を取り出し、蒸留水で生成物を溶かして濾過した後の固形物のSEM観察像を図8(a)及び(b)に示す。図8より直径約20〜50μm、長さ約100〜200μmの六角柱状の結晶が多数観察された。また、図示していないが、これらのX線回折データを調べた結果、得られた固形物はh−GaN結晶であることが確認された。
これより、GaN結晶の成長過程において種晶を用いると多角形状のGaN結晶が容易に得られることが分かる。
電解セルの構造及び装置の稼動条件は実施例2と同一とし、アノード室3でカーボン電極棒5を2本使用し、1本はガリウム金属4中に入れ、他の1本は溶融塩2の部分に保持したものを使用した。
先ず、溶融塩2中のカーボン電極棒に約1時間通電して電解を行った後、ガリウム金属4を電極として電解を行った。この初期電解では溶融塩2中のカーボン電極からは塩素が発生したため、塩素を電解セル1外に排気するようにした。このようにすることにより、カソード室8の生成物質Li3Nの量をアノード室3の生成物GaCl3よりも相対的に多くすることができた。また、実施例2と同様に、結晶成長室26とアノード室3及びカソード室8との境界には、パイレックス製の多孔質フィルターを隔膜27として使用し、成長室26内における溶融塩の対流を抑え、溶解しているGaCl3、Li3Nが拡散によって成長室26内に入り込むようにした。また、結晶成長室26には、窒化ガリウム試薬(三津和化学製:数ミクロンの微結晶)1mgを種晶として入れておいた。
反応終了後、セルを壊して生成物を取り出し、蒸留水で生成物を溶かして濾過した後の固形物のSEM観察像を図9に示す。図9より実施例3で観察されたような6角柱状の結晶の他に、長さ約20〜100μmの非常に薄い板状GaN結晶等も観察された。
これより本発明の製造方法は、GaCl3とLi3Nの反応量を変化させることにより結晶成長の様子が変化し、また最適な種晶と組み合わせることによりさらに多様な結晶製造条件を選択できることが分かる。
電解セルの構造は実施例2と同一とし、また実施方法は実施例4と同一にした。実施例4の窒化ガリウム粉の代わりに、結晶成長室26には5mm四方の気相法で成長させたGaN基板を入れた。
反応終了後、セルを壊して生成物を取り出し、蒸留水で生成物を洗浄して基板を取り出した。SEM観察を行った結果を第10図(a)及び(b)に示す。図10より、GaN基板上に板状結晶が多数付着しているのが観察された。これらは、EDX分析よりGaNであることが確認された。
本実施例では、GaN結晶の成長は局在化しており、均一な膜にはなっていなかったが、温度又は基板を回転する等して、基板表面と浴との相対速度を上げることにより薄膜化が十分可能であることが判明した。
窒素を含有するイオン源としてNH4Clを用い、ガリウムを含有するイオン源としてGaCl3を用いて実験を行った。
図11に、図2に示した溶融塩の生成装置にトラップ29を付けた塩化ガリウム生成装置を示す。300℃で多孔質フィルター23の上に液体Ga金属4を置き、ガス導入管22から塩素ガスを供給した。ガス供給開始後、Ga金属の上には液相が形成され、Ga金属の量は減少して行った。この段階では、ガス排出口21からは、塩素ガスおよび気化した生成物は検出されず、反応はほとんど100%進行しているものと考えられた。Ga金属が無くなった後も塩素ガスの吹き込みをさらに続けると塩化物が気化し、ガス排出口21を通して接続されているトラップ29に凝集した。トラップに溜まったものは、分析の結果、GaCl3であることが判明した。
窒素を含有するイオン源としてNH4Clを用い、ガリウムを含有するイオン源としてGaCl2を用いて実験を行った。
比較例1と同じ塩化ガリウム生成装置を用いた。ただし、低価の塩化物を作成するため、GaとClがモル比で1:2になるようにGa金属とGaCl3を秤量した後、ガラス管に封入し220℃で約10時間反応させた。反応速度は緩やかであるが、Ga金属は消滅しGaおよびClがモル比で1:2の低価の塩化物が生成した。
得られた低価の塩化物と塩化アンモニウムを比較例1と同様にモル比2:1になるように単結晶14とともにガラス管に封入し、比較例1とまったく同じ実験を行った。400℃で一定温度にしていたときにガラス管が破裂し、それ以後の実験は困難となった。単結晶14を回収し光学顕微鏡で観察した結果を図14に示す。結晶の表面をEPMAで分析したが、GaとN以外の元素は検出されておらず、結晶の表面にGaNがエピタキシャル成長したものと考えられた。ガラスの封入管が割れたのは、GaNの生成に伴い、塩化水素及び水素が発生して、ガラス管の内圧が上がったことによると思われ、装置を工夫して、長時間の結晶成長実験をできるようにすれば、バルク状の結晶も作れるものと考えられる。
2 溶融塩
3 アノード室
4 Ga金属
5 カーボン電極棒
6 網状タングステン電極
7 窒素ガス
8 カソード室
9 多孔質隔膜
10 連通管
11 結晶成長用セル
12 仕切り板
13 種晶又は基板支持装置
14 種晶又は基板
15 生成物の輸送管
16 未反応物質用の外部反応器
17 ポンプ
18 電解セル用電気炉
19 結晶成長用電気炉
20 塩精製用反応ガス
21 ガス排出口
22 ガス導入管
23 多孔質フィルター
24 試料溜め
25 塩精製装置用電気炉
26 結晶成長室
27 隔膜
28 ハロゲン化金属塩
29 トラップされて固化したハロゲン化金属塩
30 Gaおよび窒素イオン源を含む混合溶融塩
31 ガラス封入管
Claims (15)
- 周期表第13族金属(以下「第13族金属」という)を含有するイオン源と、窒素を含有するイオン源とを反応させる第13族金属窒化物結晶の製造方法であって、
前記第13族金属を含有するイオン源が低価のイオン種を含んでおり、
前記第13族金属を含有するイオン源および前記窒素を含有するイオン源の他に、前記反応に関わらない溶融塩が溶媒として存在しており、
前記窒素を含有するイオン源が前記溶融塩に溶解していることを特徴とする第13族金属窒化物結晶の製造方法。 - 前記溶融塩が、あらかじめ精製されたものであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記第13族金属を含有するイオン源および前記窒素を含有するイオン源が溶融塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記窒素を含有するイオン源を生成する反応に供される溶融塩が存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記窒素を含有するイオン源を生成する反応を、該反応に供される前記溶融塩中に窒素ガス又は窒素化合物を導入して行うことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- 前記イオン源を生成するために、電気化学反応を少なくとも一部の反応として用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記第13族金属を含有するイオン源が、前記溶融塩に溶解していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記第13族金属を含有するイオン源として、第13族金属とハロゲンガスとを前記溶融塩中で反応させたもの又は第13族金属のハロゲン化物を前記溶融塩中に溶解させたものを用いることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
- 前記溶融塩として、第13族金属よりイオン化傾向が高い金属塩を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記溶融塩として、アルカリ金属塩を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記溶融塩として、金属ハロゲン化物を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記溶融塩として、窒素を含有する金属化合物を用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
- アノード室とカソード室内で前記イオン源を別々に生成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
- 低圧または常圧で行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜14のいずれか一項の製造方法により第13金属窒化物結晶を製造する工程を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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