以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムの概略を示す図であり、図2は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムのブロック構成の概略を示す図である。
本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおいては、自車両の位置情報の確からしさに係る指標として「自信度」という概念が導入される。そして、このような「自信度」に基づいて、HUDユニットによってウインドシールドに重畳表示する矢印などの案内画像情報を補正・調整するように構成されている。このような補正によれば、矢印の重畳表示内に、案内ポイントが含まれる可能性が高まり、運転者が違和感を覚えることなく曲がるべきポイントを的確に把握することが可能となるのである。
以下、本実施形態にあっては、上記自信度を算出する際における、認識対象となる自位置が、車が走行路に沿って走行している状況における走行方向に沿った走行路上の位置である例に基づいて説明するが、認識対象となる自位置が、走行方向に対してその巾方向での位置としてもよい(より、具体的には走行レーンrを認識するようにしてもよい)。並行路等、複数の走行路を自車が走行していると認識される可能性がある状況において、実際に走行している走行路がどの走行路であるかを認識対象とするようにしてもよい。すなわち、本実施形態で実行可能な走行路に沿った方向での自位置の認識機能に加えて、走行路巾方向の認識、走行路自体の認識を可能とするような構成を追加的に設けるようにすることもできる。
本実施の形態においては、自位置補正の実行に際して、自車Ci内で、予め自位置が認識されているとともに、この自位置の自信度が求められており、他車Coから、他車Coが認識している自位置とその自信度とを受信して、先ず、自信度間の比較を行い、他車Coの自信度が自車の自信度より高い場合にのみ、他車Coの自位置に基づいて自車Ciの自位置を補正するようにしている。
本実施形態は、認識対象となる自位置が走行方向に沿った走行路R上の位置である例であり、例えば、図6、図7に示すように、紙面上下方向における走行路R上の位置を認識する例である。これらの図は、走行路Rを下から上に車が走行している状態を示している。
図上、上側に図示される車が、これまで説明してきた他車Coに相当し、下側に図示される車が、自車Ciに相当する。従って、これらの例では、下側に図示される自車Ciにおいて、他車Coからの自位置情報に基づいて、自位置の補正を行うか否かが問題となる。
この実施形態に係る運転アシストシステムにおける、自車側の自位置認識システム1の形態を図2に示す。
自位置認識システム1は、自車Ciの自位置を決定するためのシステムとして構築されており、この自位置認識システム1により求められた自位置の情報が、ナビゲーション情報を生成するためのナビゲーション装置本体2、あるいは走行制御を行うための走行制御装置3に送られ、適確に使用される。また、自位置認識システム1により求められた自位置の情報は、HUD(ヘッドアップディスプレイ)ユニット100における重畳表示のための画像生成においても利用される。
ナビゲーション装置本体2にあっては、例えば、自位置の情報は、現在の正確な自位置に基づいて、新たなルート探索、案内に使用されるとともに、地図上に現在位置を正確に
表示するのに使用される。
走行制御装置3では、例えば、前方に停止線があり、自車Ciが停止の必要がある場合に、適確な減速制御を行うために使用される。
自位置認識システム1は、システム本体となる演算制御装置4と、この演算制御装置4に接続された種々の附属機器を備えて構成されている。
演算制御装置4には、自律航法センサ5からの検出情報が取り込み可能に構成されている。この自律航法センサ5は、具体的には自車の向いている方位を検出するための方位センサ5aと、例えば、ドライブシャフトといった、車輪に連結されている回転体の回転数から車両の走行距離を求める距離センサ5bとを備えて構成されている。
自律航法センサ5からの検出情報は、自車の移動軌跡の演算に使用される。即ち、予め設定されている特定の時間間隔間で、距離センサ5bから判明する走行距離分だけ、方位センサ5aにより検出された方位に移動したものとして、自車の移動軌跡を求めていくことで、逐次的に自位置を求めることができる。
演算制御装置4には、GPS受信機6が接続されており、逐次、GPS衛星7から送られてくるGPS情報を受信して、演算制御装置4内で、このGPS情報から、GPS情報に基づいた自位置の認識が可能となっている。GPS情報に基づいて求められる自位置は、経度及び緯度の組み合わせとして得られる情報である。
演算制御装置4には、前方カメラ8a及び後方カメラ8bからの撮像情報である画像情報が入力されるように構成されており、画像認識により、それぞれのカメラ8の撮像範囲内にある例えば地物Mを認識可能に構成されている。図8が、前方カメラ8aにより撮像された画像の例である。
演算制御装置4には、車車間通信モジュール9(車車通信手段の一例)が接続されており、このモジュール9から車車間通信により受信された情報が入ってくるように構成されている。本願にあっては、この車車間通信で通信の対象となる情報は、他車Coである送信車両の自位置の情報およびその自信度である。
演算制御装置4には、車間距離検出モジュール10(位置関係検出手段の一例)が接続されており、この車間距離検出モジュール10から、自車Ciに対する送信車両Coの相対位置情報が入ってくるように構成されている。図6、図7に示す例においては、車間距離検出モジュール10は、前方車両Coとの間の車間距離を検出する。即ち、走行路Rにおいて、その走行方向前方に存する送信車両Coと自車Ciとの間の車間距離が演算制御装置4に入力される。
演算制御装置4には、データベースDBが備えられており、このデータベースDBとして、地図データベースDBm、自信度演算データベースDBc、位置誤差データベースDBdが備えられている。このデータベースDBは、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウエア構成として備えている。
地図データベースDBmは、地図情報を格納したデータベースである。図3は地図データベースDBmに格納されている地図情報の内容を示す説明図である。この図に示すように、地図データベースDBmには、地図情報として、道路ネットワークレイヤL1、道路
形状レイヤL2、地物レイヤL3が格納されている。
道路ネットワークレイヤL1は、走行路Rである道路間の接続情報を示すレイヤである。具体的には、緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数のノードNの情報と、2つのノードNを連結して道路を構成する多数のリンクLの情報とを有して構成されている。また、各リンクLは、そのリンク情報として、道路名、道路の種別(高速道路、有料道路、国道、県道等の種別)やリンク長さ等の情報を有している。
道路形状レイヤL2は、道路ネットワークレイヤL1に関連付けられて格納され、道路の形状を示すレイヤである。具体的には、2つのノードNの間(リンクL上)に配置されて緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数の道路形状補完点Sの情報と、各道路形状補完点Sにおける道路幅Wの情報とを有して構成されている。
地物レイヤL3は、道路ネットワークレイヤL1及び道路形状レイヤL2に関連付けられて格納され、道路上及び道路の周辺に設けられた各種地物の情報を示すレイヤである。この地物レイヤL3に格納される地物Mの情報としては、少なくともカメラ等で撮像可能な画像認識の対象となる地物Mが、その関連情報とともに格納されている。
具体的には地物Mとして、道路の路面に設けられたペイント表示の地物Mp、道路に沿って設けられた各種の道路標識Mfや信号機Ms等の立体物の地物等の各種の地物についての情報が地物レイヤL3に格納されている。ここで、ペイント表示には、例えば、車線を分ける白線(実線、破線、中央線等の区画線の種類の情報も含む。)、ゼブラゾーン、停止線、横断歩道、各レーンの進行方向を指定する進行方向別通行区分表示、速度表示等が含まれる。また、正確にはペイントによるものではないが、同じく道路の路面に設けられるマンホールもここではペイント表示に含めてもよい。また、立体物としては、各種の道路標識や信号機のほか、ガードレール、建物、電柱、看板等の道路上又は道路の周辺に設けられる様々な立体物が含まれる。また、この地物レイヤL3には、道路沿いに存在する店舗やサービス施設などのランドマークMlに係る情報についても格納されている。本実施形態に係る運転アシストシステムにおいては、このようなランドマークMlに係るデータを用いて、HUDユニット100にて表示を行う重畳表用データを作成するようにしている。
上記のような地図データベースDBmを使用することで、上記の自律航法センサ5からの走行軌跡あるいはGPS情報から求まる現在の位置(緯度・経度)に基づいて、現在の自車Ciの位置を地図上でマッチングすることができる。
さらに、この地図データベースDBmには、地物レイヤL3に様々な地物Mがその位置とともに登録されているため、先に説明したカメラ8により撮像される画像内に特定の地物Mが撮像された場合に、その地物Mの地図データベースDBmに登録された位置と、画像から判明する地物Mと自車Ciとの位置関係から、自車Ciの位置(絶対座標位置)を認識することができる。
自信度演算データベースDBcは、得点データベースDBc1及び自信度換算データベースDBc2を備えて構成されている。
得点データベースDBc1は、以下の表1に示すように、自位置の認識のタイミングで、加算又は減算される得点(表1左欄に示す)と、その得点の事例要因(表1右欄に示す)との関係を纏めたデータテーブルである。得点の加算及び減算は、左欄に示されるプラスマイナスで決まる。
表1に示す事例要因に関して例示的に説明しておくと、「道路上の地物を認識し位置補正が成された直後」に、得点が50点加算される。これは、地物Mの認識を行って位置補正をすると、その確からしさが最も増す状況となるためである。
一方、「地物認識位置補正後10m毎」に得点は5点ごと減算される。この状況は、地物認識で位置補正をした後、通常の自律航法で自位置を認識しながら走っている状況では、走行距離に応じて自信度が低下することに対応している。
GPSの受信状況に関しては、その受信状況が比較的良好な場合は、比較的高い得点を与えることができる(20点加算)が、悪い場合は、得点に変化がない(0点加算)ことを示している。
交差点右左折直後、カーブでの補正後には、それらの地点情報に基づいて、ある程度の得点を与えることができる(前者で20点加算、後者で10点加算)。一方、トンネル内において、自信度は低下する(10点減算)。さらに、カメラ等の画像認識システム、GPS受信機の故障等により自信度が低下する(前者で40点減算、後者で30点減算)。
自信度換算データベースDBc2の構造を表2に示した。
この表は、得点の積算値として得られる総得点(表2右欄)と自信度(表2左欄)との関係を示したものであり、総得点が高いほど、自信度が高く設定されていることが判る。
位置誤差データベースDBdのデータ構造を表3に示す。この表は、表2で算出される自信度(表3右欄)とナビゲーション装置の推定位置誤差(表3左欄)との関係を示したものであり、自信度が高いほど、推定位置誤差が低く設定されているものである。
HUDユニット100はインストルメントパネルに内蔵され重畳表示用の光を投影し、運転者に認識可能なウインドシールド上の虚像を再現するユニットであり、例えば、重畳表示用のデータを生成し、このデータをウインドシールドに投影する光学系などからなるものである。HUDユニット100で投影された光は、車両10前方のウインドシールド12の実像に重畳表示される。なお、HUDユニット100としては、例えば、特開2009−67333号公報、特開2009−137491号公報、特開2009−145540号公報、特開2009−217682号公報に記載のものなどを用いることができる。
本実施形態に係る運転アシストシステムにおいては、特にHUDユニット100の制御部101として、重畳表示データを作成する重畳表示データ作成手段102と、この重畳表示データ作成手段102で作成されたデータを補正する重畳表示データ補正手段103とを有している。データ投影手段104は、制御部101で作成・補正された重畳表示データをウインドシールド上に投影するレーザーやレンズなどの光学系である。
以上が、演算制御装置4に接続されている機器およびその機能の説明であるが、以下に
演算制御装置4内の構成に関して説明する。
図2からも判明するように、この装置4には、自位置認識部41、自位置決定部42、自信度決定部43及び自信度比較部44が設けられている。
自位置認識部41は、演算制御装置4に送られてくる情報から自位置の認識を実行する機能部であり、自位置決定部42は、これまで認識されていた自位置を補正して、現在の自位置として最も確からしさの高い自位置を補正・決定する機能部である。
一方、自信度決定部43は、上記のようにして決定される自位置に関する自信度を演算する機能部であり、自信度比較部44は、車車間通信モジュール9を介して送られてくる、他車Coの自信度と現在の自車Ciの自信度とを比較し、その比較結果に基づいて、自位置決定部42において、他車情報依存の補正を行い、自位置を決定するべきか否かの判定を行う機能部である。
この例にあっては、自位置認識部41には、第一自位置認識手段41a、第二自位置認識手段41b及び第三自位置認識手段41cの3種の認識手段が備えられている。
第一自位置認識手段41aは、自律航法により自位置を求める手段であり、方位センサ5a及び距離センサ5bからの情報に基づいて、自車の移動軌跡を順次、自位置の認識処理タイミング毎に求め、自位置を認識する手段である。
第二自位置認識手段41bは、GPS衛星から所定のタイミングで受信されるGPS情報に基づいて、自位置を認識する手段である。
第三自位置認識手段41cは、カメラ8等の撮像情報と、地図データベースDBm内に記憶されている地物Mの情報とを対比し、同一の地物Mが撮像画像内に認められた場合に、その地物Mの位置情報に基づいて自位置を認識する手段である。この手段による自位置認識は、地物Mの存在を前提とするため、地物Mが存在する地点に自車が到達したタイミングにおいてのみ、認識が行われる。
自位置決定部42には、自車情報依存の自位置補正を行う自車情報依存補正手段42aと、他車情報にも基づいた自位置補正を行う他車情報依存補正手段42bが設けられている。
自車情報依存補正手段42aは、過去に決定された自位置に対して、新たな自位置が自位置認識部41で認識された場合に、新たな認識情報に基づいて、現在の自位置を補正・決定する機能手段である。即ち、自位置認識部41に備えられる、それぞれの自位置認識手段41a,41b,41cは、一定のタイミング(第一自位置認識手段41aは一定の時間間隔毎、第二自位置認識手段41bはGPS情報の取り込みタイミング毎、第三自位置認識手段41cは自位置認識に使用可能な地物が画像認識される毎)で、自位置を認識するが、この決定手段42aにあっては、原則的には、第一自位置認識手段41aにより認識される自位置を補正・決定に使用しながら、第二、第三の自位置認識手段41b,41cにより認識された自位置が存在する場合は、第一自位置認識手段41aにより認識される自位置より後者手段により認識される自位置ほど優先して、自位置を補正・決定する。
すなわち、本例の場合、後者側ほど、自位置認識の確からしさが高いため、後者側の情報を優先して自位置の補正・決定に使用する。ここで、自位置認識の頻度は、前者側ほど高いため、第二、第三自位置認識手段41b,41cで、自位置認識が行えない状況にあ
っては、自律航法に基づいて認識された自位置が自動的に使用される。
このようにすることで、自車情報依存補正手段42aにおいては、常時、自車で得られる情報から自位置が補正・決定される。
他車情報依存補正手段42bは、本発明独特の補正手法を実行する機能手段である。
この手段は、自車情報に基づいて自車情報依存補正手段42aにより決定された自位置に対して、他車Coの自位置が受信され、他車Coの自位置についての自信度が高いことを条件として、他車Coの自位置を基準として自車Ciの自位置を補正・決定する。
この他車情報依存補正手段42bへは、他車Coの自位置と、自車Ciと他車Coとの車間距離が入力される。そこで、この手段42bでは、他車Coの自位置を基準として、車間距離だけ離れた位置を自位置として求める。
このようにして求められた自位置は、自車情報依存補正手段42aにより決定された自位置に対して優先するものとされ、この手段42bが働く場合は、他車情報依存補正手段42bにより決定された自位置が、現在の自位置として決定される。
このように決定してよい理由は、この他車情報依存補正手段42bに位置決定に必要な情報が送られ、この手段における処理を実行する段階にあっては、自信度比較部44において他車Coの自信度が自車Ciの自信度より高いとの判定結果がでている状態だからである。
自信度決定部43には、得点積算手段43aと自信度演算手段43bが備えられている。
得点積算手段43aは、自位置決定部42において自位置決定が行われる毎に、その決定状況を判定し、決定状況が得点の加算・減算に相当する状況である場合には、表1に示した得点表に従って、得点の加算・減算を実行し、これを総得点として積算する。同時に、常時実行されている自律航法による自位置の決定が行われると、表1に示すように、地物認識位置補正後、10mの走行毎に、5点の減算を行う。
この総得点には、その上限値(例えば100点)と下限値(例えば−100点)が設けられており、特定事象が連続して起こっても総得点は、一定の範囲内に収まるように構成されている。
この積算状況を、図4に基づいて説明する。
図4において、上図は車Cの走行状態を示しており、下図は上図に示す走行が行われた場合の総得点(得点積算値)の変化を示したものである。
上図は、車Cが右側から左側へ走行する状況を示したものであり、走行方向に、自位置を認識可能な地物Mである横断歩道Xがあり、その先にトンネルTがある状況を示している。一方、下向きの矢印は、矢印が記載されている位置で、自位置の決定が逐次なされたことを示している。この例では、最初に地物Mである横断歩道Xにより、自位置が認識・決定され、以降、自律航法による自位置認識状態がしばらく継続し、その間、2回、GPS情報が受信されて、GPS情報に基づく自位置認識、補正を行った後、トンネルTに到達している。
総得点の変化は、最初、総得点が0であるとして、先ず地物Mによる自位置の認識である横断歩道Xを利用した自位置認識が行われた時点で50点の加算がおこなわれる。その後、自律航法状態で、総得点は逐次減少していくが、GPS情報を利用した自位置認識が行われた時点毎に20点の加算が行われ、総得点は、図示するようなのこぎり歯状の変化となる。トンネルTに突入することで、その進入時に10点が減算されることを示している。
自信度演算手段43bは、得点積算手段43aにより積算される総得点に基づいて表2に示す自信度換算テーブルから自信度を演算する。
従って、走行状態にある車において、常時、演算された自信度が保持される。
以上が、この実施形態における演算制御装置4の構成の説明であるが、以下、図5、図6、図7に基づいて、走行方向に沿った走行路上での位置の補正に関して説明する。
説明においては、自車Ci及び他車Coの存在を前提とするが、両車Ci,Coは、自位置の認識、補正・決定を可能とする機能部、補正・決定した自位置の自信度を演算する機能部、車車通信モジュール9が備えられている。さらに、自車Ciには他車Coとの車間距離を検出するための車間距離検出モジュール10が備えられている。
図6、図7は、他車Coが先行して横断歩道Xがある位置に到達した状況を示しており、自車Ciは、他車Coに後続する状態で、他車Coに近接しようとしている。従って、他車Coは送信車両となり、自車Ciは受信車両となる。
図6、図7とは、ともに他車Coが地物Mである横断歩道Xに近づいた状況を示しているが、図6に示す状態では、地物認識が良好に行われ、横断歩道Xの位置を基準として他車Coの自位置が良好に決定された状況を示している。従って、他車Coの自信度は2から10に変更されている。
一方、図7に示す状態では、地物認識が良好に行われなかったため、横断歩道Xの位置を基準として他車Coの自位置が良好に決定されなかった状況を示している。従って、他車Coの自信度は2のままである。
この状態から、自車Ciと他車Coとの間における車車間通信を利用しての自車Ciの自位置の補正・決定が実行される。
図5は、この状態における自車Ciにおける処理フローを示したものである。以下、このフローに従って、説明を進める。
処理の開始に伴って他車Co(前方車両)の情報を取得する(ステップ1)。このとき取得される情報には、他車Coの識別番号、車種、通信形態等が含まれる。他車Coの情報の取得ができず、他車Coの認識が行えない場合(ステップ2:NO)は、情報取得を繰り返す。情報の取得ができ、通信を確立できた場合(ステップ2:YES)は、他車Coの自信度を取得する(ステップ3)。
そして、自信度比較部44で、他車Coと自車Ciとの自信度を比較する(ステップ4)。比較の結果、他車Coの自信度が自車Ciの自信度より高い場合(ステップ4:YES)は、他車Coの自位置の情報に基づいて自車Coの自位置を補正する処理に移る(ステップ5〜8)。
一方、比較の結果、他車Coの自信度が自車Ciの自信度より低い場合(ステップ4:NO)は、ステップ1に戻り、他車Coの自信度が自車Ciの自信度を上回るまで、ステップ1〜4の処理を繰り返す。この状況が、図7に示される状況であり、この図では、後続車である自車Ciの自位置が他車の情報に従って補正されることはない。
図6に示すように、自車Ciの自信度が他車Coの自信度より低い場合の処理は、以下の処理を順次実行する。即ち、他車Co(前方車両)の自位置の情報を取得する(ステップ5)。そして、車間距離検出モジュール10により、他車Coと自車Ciとの車間距離を検出し、取得する(ステップ6)。引き続いて、他車情報依存補正手段42bは、このようにして得られる他車Coの自位置と車間距離から自車Ciの自位置を求め、得られた自位置を現在の位置として自車Ciの自位置を補正・決定する(ステップ7)。この補正が良好に完了した場合は、自位置の補正・決定処理を完了し(ステップ8:YES)、何らかの理由で完了できなかった場合は、ステップ5に戻って処理を実行する。完了した場合、自車Ciの自位置認識の自信度は、他車の自信度に置換する。
この状況が図6に示した状況であり、自車Ciの自信度が5から10に変更されている。
次に、上記のようにして求められる自信度に基づいて実行される、本実施形態に係る運転アシストシステムの処理・動作について説明する。図9は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムの運転アシスト処理・動作のフローチャートを示す図である。図9のフローチャートによる処理は、車両におけるエンジン・モーターなどの動力源が起動されたときに開始され、動力源の動作がとめられるときに終了するものである。
図9において、ステップS100で、運転アシストシステムの処理が開始されると、続いて、ステップS101に進み、ナビゲーション装置側から車両位置と地図データとのマッチング結果等のデータを取得する。また、ステップS102においては、ナビゲーション装置で所定のルートを案内中であるか否かが判定される。ステップS102における判定の結果がYESであるときには次のステップS103に進む。
ステップS103では、ナビゲーション装置で案内中のルートを取得し、ステップS104では、ルート中の最寄り交差点情報を取得する。このような情報には、案内交差点までの距離に係る情報も含まれている。
ステップS105では、次の最寄り交差点までの距離が300m以下であるかが判定され、この判定がYESであるときにはステップS106に進む。ステップS106においては、ナビゲーション装置位置誤差判定処理のサブルーチンが実行される。ここで、このサブルーチンについて説明する。
図10は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおけるナビゲーション装置位置誤差判定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図10において、ステップS200で、ナビゲーション装置位置誤差判定処理サブルーチンがスタートすると、続くステップS201においては、自位置認識システム1により求められた自信度を取得する。次のステップS202においては、位置誤差データベースDBdより、自信度に対応するナビゲーション装置における位置誤差を取得し、ステップ203で元のルーチンにリターンする。
図9に戻りステップS107では、先のサブルーチンで求められた位置誤差が±20m未満であるか否かが判定される。ステップS107における判定結果がYESであるときにはステップS108に進み、NOであるときにはステップS110に進む。
ステップS108においては、重畳表示データ作成・補正処理のサブルーチンが実行される。図11は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおける重畳表示データ作成・補正処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
図11に示す重畳表示データ作成・補正処理サブルーチンは、HUDユニット100における制御部101で実行されるものであり、このサブルーチンで生成された重畳表示データを案内情報として、データ投影手段104でウインドシールドに投影表示する。このサブルーチンで生成される案内情報は、左折や右折する交差点、分岐点などの案内ポイントにおける曲がる方向を示す矢印と、案内ポイントを認識する上で有用なランドマークからなっている。また、重畳表示のための矢印に係るデータを作成する際には、矢印の根もと部と、矢尻部とに分けて作成されるようになっている。
この重畳表示データ作成・補正処理サブルーチンは、さらに、矢印根もと部作成処理(ステップS301)、矢印矢尻部作成処理(ステップS302)、ランドマーク作成処理(ステップS303)、矢印幅補正処理(ステップS304)、ランドマーク補正処理(ステップS305)から構成されているので、以下、それぞれのサブルーチンについて説明する。なお、矢印の根もと部データと矢尻部データとの間を連結する処理は、適宜行うものとする。
以下のサブルーチンを説明する上では図17を適宜参照する。図17は重畳表示データ作成・補正処理の各サブルーチンを説明する上で参照する案内状況を示す図であり、運転アシストシステムのHUDユニットで案内情報を表示する際の状況を鳥瞰的にみた図である。また、この図17における状況は、図33に示す車両前方の景色と対応するものである。
図12は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおける矢印根もと部作成処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図12に示すサブルーチンにおいては、重畳表示用の矢印の根もと部が作成される。このために、ステップS401では、地図データベースの道路形状レイヤL2から、案内交差点までの道路形状情報を取得する。ステップS402乃至ステップS403に係るループにおいては、道路形状レイヤL2から道路形状補完点Sの情報の情報を取得し、方位と長さに応じた線分の配置を行うことによって、矢印根もと部のデータを作成する。このような矢印根もと部作成処理サブルーチンで実行される処理イメージを図18に示す。図18は、図17に示す道路のうねりを誇張的に表現したものであり、本サブルーチンにおいては、図18に示す1乃至6の道路形状補完点Sに基づいて、矢印根もと部のデータを作成するようにしている。
次に、矢印の矢尻部の重畳表示用データを作成するサブルーチンを説明する。図13は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおける矢印矢尻部作成処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。なお、以下のフローチャートの説明に先立って、非2条化道路と2条化道路のデータ構成について説明する。図19は非2条化道路のデータ構造を説明する図であり、図20は2条化道路のデータ構造を説明する図であり、図19及び図20において、(×)印は道路形状補完点Sを示すものである。
図19に示す非2条化道路は、一本の道路に対して道路形状補完点Sが進行方向毎に1
点ずつ設けられている道路である。一方、図20に示す2条化道路は、一本の道路に対して道路形状補完点Sが進行方向毎に2点ずつ設けられている道路である。通常、ナビゲーション装置が取り扱う地図データベースにおいては、非2条化道路が主となるが、分離帯が設けられている道路については、先のような2条化道路としてデータ化されている場合が多い。本サブルーチンにおいては、このような非2条化道路、2条化道路の別に応じて
、矢尻部のデータ作成を行うようにしている。
図13に示すフローチャートにおいて、ステップS500で、矢印矢尻部作成処理サブルーチンがスタートすると、続くステップS501では、地図データベースから、進行予定の道路幅Wが取得される。
また、次のステップS502では、進行予定道路は2条化道路であるか否かが判定される。ステップS502における判定がYESであるときにはステップS503に進み、2条化道路に対応した矢尻部作成のアルゴリズムが実行され、判定がYESであるときにはステップS507に進み、非2条化道路に対応した矢尻部作成のアルゴリズムが実行される。
ステップS503では、2条化道路の矢尻部の幅を、(矢印幅)=(道路幅)÷2によって算出する。
ステップS504では、左折であるか否かが判定され、この判定がYESであるときにはステップS505に進み、矢尻を作成するための基準位置を、(基準位置)=(案内対象交差点)−(道路幅)÷4によって算出し、判定がNOであるときにはステップS506に進み、同基準位置を、(基準位置)=(案内対象交差点)+(道路幅)÷4によって算出する。このような基準位置の算出においては、図20が参照図面となる。
また、ステップS502における判定がNOであるとき、すなわち、進行予定道路が非2条化道路である場合には、ステップS507に進み、非2条化道路の矢尻部の幅を、(矢印幅)=(道路幅)によって算出する。また、ステップS508では、矢尻を作成するための基準位置を、(基準位置)=(案内対象交差点)によって、算出する。このような基準位置の算出においては、図19が参照図面となる。
次に、ランドマークの重畳表示用データを作成するサブルーチンを説明する。図14は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおけるランドマーク作成処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
図14において、ステップS600において、ランドマーク作成処理が開始されると、続いて、ステップS601に進み、案内交差点近傍にランドマークが存在するか否かが判定される。当該判定がNOである場合にはステップS605に進み、ランドマークのためのデータを作成する機となく元のルーチンに戻り、YESである場合にはステップS602に進む。
ステップS602では、地図データベースからランドマークの座標を取得し、ステップS603では、案内交差点の座標を取得する。そして、ステップS604においては、図21に示すように、案内交差点とランドマークの相対位置(Xm,Ym)を算出する。このような相対位置によって、矢印データとランドマークと相対位置から、HUDユニットで重畳表示するランドマークデータの位置を求めるようにする。
次に、作成された矢印データの矢印幅の補正を行う処理のサブルーチンを説明する。図15は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおける矢印幅補正処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
図15において、ステップS700で矢印幅補正処理が開始されると、続いて、ステップS701に進み、ステップS106で算出されたナビゲーション装置における自位置誤差データを取得する。そして、ステップS702では、ナビゲーション装置の位置誤差分、案内矢印の幅を拡張し、ステップS703元のルーチンにリターンする。
ここで、矢印幅補正処理サブルーチンによって、具体的にどのような処理が行われるかについて図22を参照して説明する。仮に、車両の現在位置の確からしさに係る自信度が3であるときには、表3から位置誤差は±20m未満として推定される。このとき、図22に示すようにナビゲーション装置が認識する自車両の位置は、±20m未満ずれているものと推定される。そこで、矢印幅補正処理においては、重畳表示用の矢印データの矢尻部の幅を、+方向(車両からみて奥側方向)、−方向(車両からみて手前側)のそれぞれ
の方向に20mずつ拡張する補正処理を実行する。
次に、作成されたランドマークデータの補正を行う処理のサブルーチンを説明する。図16は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおけるランドマーク補正処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
図16において、ステップS800で、ランドマーク補正処理が開始されると、続くステップS801では、案内対象の交差点近傍にランドマークが存在するか否かが判定される。当該判定の結果がNOであれば、ステップS807に進み、元のルーチンにリターンし、結果がYESであれば、ステップS802に進む。
ステップS802では、ランドマークが存在するのが交差点の手前側であるか否かが判定される。ステップS802における判定の結果がYESであるときには、ステップS803に進み、ランドマークの位置をナビゲーション装置の位置誤差分手前側にオフセットして配置すると共に、ステップS804において、ランドマークを拡大する補正を実行する。
一方、ステップS802における判定の結果がYESであるときには、ステップS805に進み、ランドマーク位置をナビゲーション装置の位置誤差分奥側にオフセットして配置すると共に、ステップS806において、ランドマークを縮小する補正を実行する。
ここで、ランドマーク補正処理サブルーチンによって、具体的にどのような処理が行われるかについて図22を参照して説明する。図22においては、ナビゲーション装置による位置誤差は±20m未満として判定されるので、先の矢印幅補正処理においては、矢印データの矢尻部の幅を、+方向(車両からみて奥側方向)、−方向(車両からみて手前側
)のそれぞれの方向に20mずつ拡張する補正処理を実行した。これに併せて、ランドマーク補正処理では、車両からみて奥側に存在するランドマークデータを+方向に20mオ
フセットし、さらにこれを縮小する処理を実行する。
図9のフローチャートに戻り、ステップS109においては、上記のようなステップS108で作成されたデータ(例えば、図22に示すもの)をデータ投影手段104によって、ウインドシールド上に重畳表示処理する。ステップS109による案内情報表示例が図24である。
図23はナビゲーション装置による位置誤差は±20m未満として判定されている場合(図22に示す場合)で、実際の車両の位置誤差は10mであったときの、重畳表示用矢印データと、ランドマークデータの配置を鳥瞰的に示す図であり、図24はこれらの重畳表示用の案内情報をウインドシールドに投影・重畳表示したときの運転席からの様子を示す図である。図22に示すように、自車両位置の確からしさに応じて、矢印データの矢尻部分を拡幅すると共に、これに併せて、ランドマークデータをオフセットするようにしているので、図24に示す運転席からは、矢印の幅内に、進行予定である道路が入ることとなる。
すなわち、本発明に係る運転アシストシステムは、車両のウインドシールド上に重畳表示する画像情報における案内方向を示す矢印の太さを補正するように構成されているので、補正された矢印の重畳表示内に、案内ポイントが含まれる可能性が高まり、運転者が違和感を覚えることなく曲がるべきポイントを的確に把握することが可能となる。
図9のフローチャートに戻り、ステップS107における判定がNOであるとき、すなわち、位置誤差が所定値より大きい場合は、上記のような重畳表示用データの矢尻幅の補正、ランドマークデータのオフセットでは、対応しきれない。そこで、当該判定がNOである場合には、ステップS110では、案内ポイントの位置を指示するような表示を行わず、アイコンによる表示処理を行う。図25は本発明の実施形態に係る運転アシストシステムにおけるHUDユニット100によるアイコン表示例を示す図である。このような図25によるアイコン表示は、案内ポイント・進行予定道路をトレースするような表示を行うものではないので、運転者に無用な混乱をきたすことがない。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図26は本発明の他の実施形態に係る運転アシストシステムにおける重畳表示用矢印データ作成の概念を説明する図である。先の実施形態においては、矢印データの矢尻幅を補正する処理を実行するものであったが、本実施形態はさらに矢尻部の長さを補正する処理を実行するものである。本実施形態では、自位置認識システム1から取得される自信度に応じて、矢尻部の長さを、例えば表4に示される規則に応じて変更する処理を実行する。例えば、図26に示すように自信度が3である場合には、矢尻部長さを5mとして重畳表示用データを作成する。
このような実施形態は、車両位置の確からしさに応じて、進行予定方向を示す矢尻の長さを変更するものである。すなわち、自位置認識システム1で算出される自信度が高いほど、矢尻の長さは長くなるように表示される。逆に、自信度が低い場合には、矢尻の長さが短くなるので、特に、車両位置の確からしさが低いときには、方向の指示を抑制したような表示となり、運転者に無用な混乱をきたすことがなくなる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図27は本発明の他の実施形態に係る運転アシストシステムにおける重畳表示用矢印データ作成の概念を説明する図である。これまで説明した実施形態においては、案内前の進行方向と、案内後の進行予定方向との間のなす角度については考慮されていなかったが、本実施形態ではこのことを考慮して、重畳表示用の矢印データを作成するものである。なお、本実施形態はこれまで説明した実施形態と組み合わせて、実施することもできるし、これのみ単独で実施することもできる。
本実施形態では、案内前の進行方向と、案内後の進行予定方向との間のなす角度θに応じて、例えば表5に規定される倍率に応じて、矢尻の幅を拡大する処理を実行する。例えば、図26に示すようにθが略90°である場合には、矢尻幅の拡幅補正処理は等倍処理とするが、θが30°であるような場合には、矢尻幅の拡幅補正は1.5倍として処理す
る。
このような実施形態は、案内前の進行方向と、案内後の進行予定方向との間のなす角度に応じて、重畳表示用矢印データが作成されるので、運転者にとっては視覚的な違和感が少なくなるという効果を享受することができる。
以上、本発明に係る運転アシストシステムは、車両のウインドシールド上に重畳表示する画像情報における案内方向を示す矢印の太さを補正するように構成されているので、補正された矢印の重畳表示内に、案内ポイントが含まれる可能性が高まり、運転者が違和感を覚えることなく曲がるべきポイントを的確に把握することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これまでに説明してきた実施形態においては、推定される位置誤差に応じて、案内方向を示す矢印の幅を、+方向(車両からみ
て奥側方向)、−方向(車両からみて手前側)のそれぞれの方向に所定の長さ拡張する補正処理を実行することによって、補正された矢印の重畳表示内に、案内ポイントが含まれるようにしていた。
案内ポイントと車両の位置が所定距離以上離れているような場合においては、上記のような補正処理を実行することで、所定の効果を上げることが可能となるが、車両が案内ポイントに接近した場合には、案内情報を直感的に把握することが困難となることがある。図28は案内ポイントと車両との間の距離が接近した場合におけるウインドシールド上の案内情報重畳表示例を示す図である。図28に示すように、案内ポイントは矢印の範囲内に入ることとなり、誤った案内情報が運転者に伝わるわけではないが、案内のための矢印表示がウインドシールド上の多くの面積を占めることとなる。このため、運転者は広い画角にわたる案内矢印を、視線を移動させながら参照する必要があり、案内情報自体を直感的に把握することが難しくなっている。
そこで、本実施形態では、車両が案内ポイントに接近した場合における表示形態を変更することで、案内のための矢印表示をコンパクトにし、より直感的に把握しやすいように構成している。なお、本実施形態は、先の実施形態と矢印幅補正処理サブルーチンが相違するのみであるので、矢印幅補正処理サブルーチンについて詳しく説明する。
図29は本発明の他の実施形態に係る運転アシストシステムにおける矢印幅補正処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図29において、ステップS900で矢印幅補正処理のサブルーチンが開始されると、次にステップS901に進み、ステップS901で、ナビゲーション装置で案内中のルートを取得し、ルート中の最寄り交差点情報を取得する。このような情報には、案内交差点までの距離に係る情報も含まれている。
ステップS902では、次の最寄り交差点までの距離が30m以下であるかが判定され、この判定がYESであるときにはステップS905に進み、NOであるときにはステップS903に進む。ステップS902における判定基準である30mが、表示形態変更の
ための閾値として用いられるが、この閾値が30mに限定されるわけではなく、他の距離としてもよい。
ステップS902における判定がNOである場合、すなわち、案内ポイントと車両の距離が閾値より離れており、重畳表示する案内矢印のウインドシールド占有面積が少ない場合に進むステップS903及びステップS904は、先の実施形態におけるステップS701及びステップS702と同様の処理を行うものであるので、説明を省略する。
ステップS902における判定がYESである場合、すなわち、案内ポイントと車両の距離が閾値以下で、重畳表示する案内矢印のウインドシールド占有面積が大きい場合に進むステップS905においては、ステップS106で算出されたナビゲーション装置における自位置誤差データを取得する。そして、ステップS906では、案内矢印の幅及び長さを所定のテーブルに従って補正を行う。ステップS906で用いるテーブルの一例を表6に示す。
表6のテーブルは、ナビゲーション装置の位置誤差レベルと、それに応じた案内矢印の幅及び長さに関する補正処理の内容を規定するものである。例えば、ナビゲーション装置の位置誤差が±10m未満である場合には、矢印の幅を±5m拡張し、長さを一段階短くするように補正する。
ところで、表6のテーブルにおいては、位置誤差が大きくなればなるほど、それに応じて幅を広げる範囲は、誤差レベルが±1m〜±5mの範囲であり、±10m以上の誤差があっても、矢印の幅補正は±5mに留めるようにしている。また、表6のテーブルにおいては、位置誤差レベルが±10mのときには矢印長さを一段短く、位置誤差レベルが±20mのときには矢印長さをさらに一段短くするように規定している。このように、本実施形態においては、位置誤差レベルが所定以上の場合であっても、車両が案内ポイントに接近したときには、案内のための矢印をコンパクトに表示するようにしている。このため、運転者にとって、案内情報の把握が直感的に行えるようになっている。
ここで、上記のような他の実施形態における矢印幅補正処理サブルーチンによって、具体的にどのような処理が行われるかについて図30を参照して説明する。仮に、車両の現
在位置の確からしさに係る自信度が3であるときには、表3から位置誤差は±20m未満として推定される。このとき、ナビゲーション装置が認識する自車両の位置は、±20m未満ずれているものと推定される。しかし交差点までの距離が30m以下であるので、表6のテーブルに従って、矢印の拡幅は±5mに留めるようにする。また、同テーブルに従い、矢尻部の長さについては、通常より2段階短くなるように(およそ車道外側線程度までの長さとなるように)補正処理を実行する。
図31はナビゲーション装置による位置誤差は±20m未満として判定されている場合(図30に示す場合)で、実際の車両の位置誤差は10mであったときの、重畳表示用矢印データと、ランドマークデータの配置を鳥瞰的に示す図であり、図32はこれらの重畳表示用の案内情報をウインドシールドに投影・重畳表示したときの運転席からの様子を示す図である。交差点が接近しており、自車両位置の確からしさに応じて、矢印データの矢尻部分を拡幅すると矢印のウインドシールド専有面積が大きくなりすぎてしまうので、表6のテーブルに従って拡幅を限定するようにしている。また、これに併せて、ランドマークデータをオフセットするようにしている。
このような他の実施形態によれば、位置誤差レベルが所定以上の場合であっても、車両が案内ポイントに接近したときには、案内のための矢印をコンパクトに表示することで、運転者にとっては、案内情報の把握が直感的に行えるようになっている。