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JP5544344B2 - 欠陥観察方法及び欠陥観察装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェーハを観察する欠陥観察方法及び欠陥観察装置に関する。
半導体の製造プロセスにおいて、歩留まりを向上させるため、半導体ウェーハ上の欠陥の発生原因を早急に究明することが重要となっている。現状、半導体製造現場においては、欠陥検査装置と欠陥観察装置とを用いて欠陥の解析を行っている。
欠陥検査装置とは、光学的な手段または電子線を用いてウェーハを観測し、検出された欠陥の位置座標を出力する装置である。欠陥検査装置は広範囲を高速に処理することが重要であるため、可能な限り取得する画像の1画素における面積(以後「画素寸法」と記す)を大きく(つまり低解像度化)することによって画像データ量の削減を行っており、多くの場合、検出した低解像度の画像からは欠陥の存在は確認できても、その欠陥の種類(欠陥種)を詳細に判別することは困難である。
そこで、欠陥検査装置にて確認した欠陥の種類を詳細に判別するために欠陥観察装置が用いられる。欠陥観察装置とは、欠陥検査装置の出力情報を用い、ウェーハの欠陥座標を高解像度で撮像し、画像を出力する装置である。半導体製造プロセスは微細化が進み、それに伴い欠陥サイズも数十nmのオーダに達していることもあり、欠陥を詳細に観察するためには数nmオーダの分解能が必要である。
そのため、近年では走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いた欠陥観察装置(レビューSEM)が広く用いられている。半導体の量産ラインでは観察作業の自動化が望まれており、レビューSEMは試料内の欠陥座標における画像を自動収集するADR(Automatic Defect Review)機能を搭載している。
ADRとは、欠陥検査装置により得られた欠陥座標を用いて欠陥部位を高い倍率で撮像した画像を自動で収集する機能である。ここで課題となるのが、欠陥検査装置が出力する欠陥座標と実際の欠陥座標の誤差である。一般的には欠陥検査装置が出力する欠陥座標の誤差として±4[μm]程度のばらつきが存在するため、欠陥検査装置が出力した欠陥座標を視野2.5[μm]程度の高倍率(例えば、50、000倍)で撮像した場合、欠陥が視野内に入らない可能性がある。そこで、まず視野9[μm]程度の第1の倍率(例えば15、000倍)で撮像し、次に低倍画像から欠陥を検出し、最後に検出した欠陥を第2の倍率(例えば50、000倍)で撮像する。
ADRの具体的な実現方式が、特許第3893825号(特許文献1)に開示されている。特許文献1では、まず、欠陥部位を低倍率(第一の倍率)で撮像した欠陥画像と欠陥部位と同一のパターンが形成されている部位を低倍率(第一の倍率)で撮像した良品画像をそれぞれ取得する。そして、これら二枚の画像間を比較し、その差異を欠陥と判断して欠陥座標を検出する。検出された欠陥座標について、欠陥部位を高倍率(第二の倍率)で撮像した高倍欠陥画像を撮像する。半導体ウェーハにおいては、同一チップが複数配置されているため、欠陥が存在する座標から1チップ分移動した場所を撮像した画像を良品画像として用いることが可能である。
近年、半導体ウェーハの大口径化に伴い、ウェーハ1枚あたりにおけるレビューすべき欠陥数が増大していることと、レビュー装置が検査装置に比べスループットが低いことから、ADRの高速化が必要となってきているが、特許文献1に開示されている一般的なADRの処理フローでは、初期位置から目的位置までステージ移動および良品・欠陥画像の撮像に多くの時間がかかってしまう。
そこで、ADRの高速化において、これらの処理自体の高速化に加え、これらの画像撮像手順のうちのいくつかを省略する方法が有効となる。特許文献2(特開2007−40910号)には、一般的に省略される場合の多い良品画像の撮像に関する技術として、欠陥画像から良品画像を合成し、比較検査する技術が開示されている。特許文献2では、欠陥画像に撮像されている回路パターンの繰り返し周期を利用して良品画像を合成し、合成した良品画像との比較検査により欠陥を検出する方式が開示されている。
特許第3893825号公報 特開2007−40910号公報
特許文献1に開示されている一般的なADRの処理フローでは、初期位置から目的位置までステージ移動および良品・欠陥画像の撮像に多くの時間がかかってしまうため、画像撮像を含めた画像取得時間の短縮がなされないという課題がある。
また、特許文献2には良品画像なしに欠陥を検出する方式が開示されているが、欠陥画像取得時間の短縮については考慮されていない。
画像取得時間は、取得する画像において加算平均するフレーム数(以後「フレーム加算数」と記す)、撮像画素数(以後「画像サイズ」と記す)などの画像取得条件の組合せに依存する。一般に、SEMの撮像画像はS/Nが低く、同一の領域の画像をFフレーム(F≧1)撮像し、F枚の画像の加算平均画像を取得画像として出力する。フレーム加算数Fが多いほどS/Nの高い画像が得られるが、画像取得時間は長くなる。また、画像サイズが大きいほど多量の情報が得られるが、やはり画像取得時間は長くなる。なお、画像サイズ、撮像視野、1画素における面積(画素寸法)には関連があり、例えば、画像サイズを大きくすると、画素寸法が小さくなり、より微細な欠陥を検出可能となる。また、撮像視野を広くすると、欠陥検査装置の欠陥位置座標精度(以後「欠陥座標精度」と記す)が低くても欠陥検出が可能となるが、画像サイズを大きくしなければ欠陥検出に十分な画素寸法が得られない場合がある。
ADRにて低倍率で撮像して得られる低倍画像に対する欠陥検出処理では、欠陥検出による欠陥座標の確からしさ(以後「欠陥検出確度」と記す)が重要であるため、画像取得条件は基本的にはどの様な種類や大きさの欠陥であっても十分な欠陥検出確度が得られる条件(フレーム加算数が多く、撮画像サイズが大きい)で固定し、低倍欠陥画像を取得する。一般に、画像取得に時間を要する画像取得条件で取得した画像(例えば、高S/Nなど)の方が、高い欠陥検出確度が得られやすい。しかし、欠陥の種類(例えば大きい欠陥など)や、欠陥座標精度などによっては、より短時間で画像取得可能な画像取得条件で取得した画像でも高い欠陥検出確度が得られる場合(即ち、欠陥検出が容易な場合)がある。具体的には、大きい欠陥の場合は多少S/Nが低い画像取得条件や、画素寸法が大きい(即ち、画像サイズが小さい)画像取得条件の画像でも高い欠陥検出確度を得ることが可能である。また、欠陥座標精度が高い場合には、撮像視野が狭い(即ち、画像サイズが小さい)画像取得条件の画像でも高い欠陥検出確度を得ることが可能である。
特許文献2には、良品画像の撮像を省略することによってADRスループットを向上させる方法が開示されている。しかしこの手法では、上述の様に欠陥検出が容易な場合においても、欠陥検出が容易でない場合に合わせて固定した画像取得条件を用いて欠陥画像の取得を行うことが前提となっており、欠陥画像取得時間を短縮することについては考慮されていない。
そこで本発明は、欠陥画像取得時間を短縮することが可能な欠陥観察方法および欠陥観察装置を提供する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
(1)複数の画像取得条件から選択した任意の画像取得条件を用いて検査対象である試料の表面を撮像して欠陥画像を取得する画像取得工程と、前記画像取得工程にて取得した欠陥画像を処理して、該試料の表面上の欠陥位置を算出する欠陥位置算出工程と、前記欠陥位置算出工程にて算出した欠陥位置の確からしさである欠陥検出確度を求める欠陥検出確度算出工程と、前記欠陥検出確度算出工程にて求めた欠陥検出確度が予め定めた条件を満たすかどうかを判定する終了判定工程と、を備え、前記終了判定工程にて該条件を満たすと判断するまで、前記複数の画像取得条件から画像取得条件を選択し直し、前記画像取得工程と前記欠陥位置算出工程と前記欠陥検出確度算出工程と前記終了判定工程とを繰り返すことを特徴とする欠陥観察方法である。
本発明によれば、欠陥画像取得時間を短縮することが可能な欠陥観察方法および欠陥観察装置を提供することができる。
本発明に係る欠陥観察装置の構成図である。 本発明に係る欠陥観察時の処理フローの例である。 本発明に係る欠陥画像取得および欠陥検出時の処理フローの例である。 本発明に係る欠陥画像取得および欠陥検出時のタイミングチャートである。 本発明の実施例1に係るフレーム加算数が異なる画像取得条件が登録されている場合の欠陥画像取得時の処理フローの例である。 本発明の実施例2に係る、画像サイズと画素寸法がそれぞれ異なる画像取得条件を用いて欠陥の大きさが異なる欠陥について画像取得を行った際の、取得画像例とそれぞれの画像に対する欠陥検出確度を示した図である。 本発明の実施例3に係る、画像サイズと撮像視野がそれぞれ異なる画像取得条件を用いて欠陥座標精度がそれぞれ異なる場合について画像取得を行った際の、取得画像例とそれぞれの画像に対する欠陥検出確度を示した図である。 本発明に係る画像取得条件を登録するためのGUIの一例である。 本発明に係る登録した画像取得条件によるADR結果を表示し、画像取得条件を修正するためのGUIの一例である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下に、本発明に関わる一実施例として走査電子顕微鏡を用いた半導体レビューSEMについて説明する。
図1は、本発明に係る欠陥観察装置(レビューSEM装置)の構成図である。本発明の実施例1に係るレビューSEM装置は、SEM画像撮像部125と処理部126とを備えて構成され、その間がバス127で繋がれており、被検査対象物の試料106は後述のステージ107の上に載置されている。
SEM画像撮像部125は、1次電子108を発生させる電子源101、1次電子108を加速する為の加速電極102、1次電子108を収束する為の集束レンズ103、1次電子108を2次元走査偏向する偏向器104、1次電子108を試料106上に収束させるための対物レンズ105、試料106を搭載するXY平面内で移動可能なステージ107、試料106より発生した2次電子109を検出する検出器110、試料106面で反射した1次電子を検出する検出器111、検出された信号をデジタル化(A/D変換)するためのデジタル化手段112を備えて構成されており、これらのSEM画像撮像部125の各部位は、バス127を通じて全体制御部113に接続されている。
信号処理部126は、演算部120、記憶部114、装置に対し指示を与える為のキーボードやマウスなどのデバイス、及び装置からのデータを出力するモニタやプリンタなどを有する入出力部124、全体制御部113を備えて構成されており、それらの間はバス127により互いに接続されている。
記憶部114には、撮像した画像データを格納する画像記憶部115、フレーム加算数や画像サイズおよび画像撮像する際の各種の電子光学系条件などのパラメータにおける値の組合せ(以後「画像取得条件」と記す)などの情報(以後「画像取得レシピ」と記す)を格納する画像取得レシピ記憶部116、光学式検査装置など他の欠陥検査装置により検出された欠陥座標を格納する欠陥座標記憶部117、欠陥検出する際の画像処理パラメータを格納する欠陥検出レシピ記憶部118を含む。画像取得レシピ記憶部116に記憶する画像取得レシピに含まれる情報や画像取得条件の詳細については後述する。
また、演算部120には、欠陥を含むように撮像した画像から欠陥を検出する欠陥検出部121、欠陥検出部121での検出結果から画像取得および欠陥検出処理の終了判定を行う処理終了判定部122、SEM画像撮像部125によって撮像された画像に対して加算平均処理やS/N向上処理などの画像処理を実行する画像処理部123、画像取得レシピ記憶部116に格納された画像取得レシピ内の情報(画像取得条件、画像取得条件を用いる順番など)を修正する画像取得レシピ修正部119が含まれる。処理終了判定部122及び画像処理部123における処理内容の詳細については後述する。
次に、図1を用いて本発明に係るレビューSEMにおける自動欠陥観察方法について説明する。
(半導体ウェーハ106の載置)
先ず撮像に先立ち、半導体ウェーハ106をステージ107に搭載する。
(レシピ選択)
オペレータは、入出力部124を通して、画像取得レシピ記憶部116および欠陥検出レシピ記憶部118に登録された複数の画像取得レシピおよび欠陥検出レシピからADRに用いるレシピを選択する。入出力部124は、入力された情報に基づきそこに格納された条件でADRを行うように全体制御部113に指示を与える。
なお、欠陥検出レシピには、欠陥検出する際の画像処理パラメータ(欠陥検出感度、可視レイヤ情報)等が格納されているものとする。また、画像取得レシピには画像撮像する際の各種の電子光学系条件(例えば、加速電圧、プローブ電流、撮像視野)や取得画像のフレーム加算数、画像サイズ、画素寸法など、画像取得に用いるパラメータについて、パラメータ値の組合せ(画像取得条件)が複数格納されているとし、各画像取得条件には画像取得に用いられる順序などの情報も一緒に格納されていることとする。
また、格納された画像取得条件について、各パラメータは値が格納されていることに限定せず、値のとり得る範囲が格納されていても良い。パラメータに値のとり得る範囲が指定されている場合は、そのパラメータ値を範囲内で変更した画像取得条件を複数生成可能であり、画像取得レシピ内に複数の画像取得条件が存在することと同意味である。以下では、画像取得レシピ内の画像取得条件が一つしか格納されていなかったとしても、画像取得レシピ内にパラメータ値の取り得る範囲などの情報が一緒に格納されており、複数の画像取得条件を生成可能であるならば、画像取得レシピ内に複数の画像取得条件が存在するとして説明する。
(欠陥座標情報の読み込み)
全体制御部113は、入出力部124より格納された条件でADRを行うように指示された後、自動観察対象となる欠陥の座標情報を欠陥座標記憶部117から読み込む。
(観察画像の収集)
読み込んだ各欠陥の座標を用いて、各欠陥に対して以下に説明するS201〜S203(図2)の処理を行うことで試料上の欠陥の詳細を観察するための画像(以後「観察画像」と記す)の収集を行う。
ここで、自動観察対象となる欠陥の座標は、他の検査装置により検出された欠陥の座標であり、他の検査装置とは、
(i)光学的な手段を用いて信号を取得し、欠陥を検出する装置
(ii)試料に荷電粒子ビームを照射する手段を用いて信号を取得し、欠陥を検出する装置
などを用いれば良い。
試料上の欠陥についてその詳細を観察可能な画像を撮像するためには、以下のような段階に分けて撮像する必要がある。
(観察画像の収集(1)ステージ移動)
まず、電子光学系の撮像範囲に欠陥座標が含まれるようにステージ107を移動させる。
(観察画像の収集(2)第1の倍率での撮像)
次に撮像を行うが、欠陥座標記憶部117から読み出したあらかじめ他の欠陥検査装置で検査して検出した欠陥座標と実際の欠陥座標には±4[μm]程度の誤差があるのが一般的である。そのため、欠陥が視野内に入るように視野が9[μm]程度の第1の倍率(例えば15、000倍)で撮像する。
(観察画像の収集(3)第2の倍率での撮像)
ただし、第1の倍率で撮像した場合、欠陥の詳細を観察することができないため、撮像した画像から欠陥座標を検出し、検出した欠陥の座標を第2の倍率(例えば50、000倍)で撮像する。
図2は、本発明に係る欠陥観察時の処理フローの例である。本発明に係るレビューSEMにおいて、観察画像を自動収集するためのフロー(観察画像の収集(2)−(3))について以下で説明する。他の欠陥検査装置で検査して検出した欠陥座標のうち、ユーザが指定した観察対象の欠陥座標全て(あるいはサンプリングされた一部欠陥座標)について、S201〜S203の処理を繰り返すことで観察画像を自動収集する。
(観察画像の収集(2)第1の倍率での撮像の詳細)
S201では、欠陥部位と同一のパターンが形成されている部位を第1の倍率で撮像し良品画像を得る。半導体ウェーハにおいては、同一チップが複数配置されているため、欠陥が存在する座標から1チップ分移動した場所を撮像した画像を良品画像として用いることが可能である。ただし、本実施例においてS201は必須の処理ではなく、例えば予め生成した画像を良品画像として用いたり、複数の欠陥画像を合成することで良品画像として用いたりして、S201の処理を省略しても良い。
S202では、第1の倍率で欠陥を含む画像(以後「欠陥画像」と記す)を取得し、取得した欠陥画像から欠陥検出部121を用いて欠陥を検出する。S202の処理の詳細については図3を用いて後述する。
(観察画像の収集(3)第2の倍率での撮像の詳細)
S203では、S202にて検出した欠陥位置について第2の倍率で画像を撮像し、観察画像を得る。
(S202の詳細説明)
以下、S202の処理の詳細について説明する。前述の通り、S202における画像取得に要する時間(画像取得時間)は、取得する画像におけるフレーム加算数、画像サイズなどの画像取得条件に依存する。一般に、SEMの撮像画像はS/Nが低いことから、S202では同一の領域の画像をFフレーム(F≧1)撮像し、F枚の画像の加算平均画像を取得する。そして、その加算平均画像に対して欠陥検出処理を実行することによって欠陥検出による検出座標の確からしさ(欠陥検出確度)を向上させている。欠陥検出確度が低い場合、ノイズなどの欠陥以外の座標を検出するなど欠陥検出に失敗する可能性が高い。ここで、フレーム加算数Fが多いほど、S/Nの高い画像が得られるが、画像取得時間は長くなる。また、画像サイズは大きいほど多量の情報が得られるが、画像取得時間は長くなる。なお、画像サイズ、撮像視野、画素寸法には関連があり、例えば、画像サイズを大きくすると、画素寸法が小さくなり、より微細な欠陥を検出可能となる。また、撮像視野を広くすると、検査装置から得られた欠陥位置座標精度(欠陥座標精度)が低くても十分に撮像視野内に欠陥を捉えることができるため欠陥検出確度が高くなるが、画像サイズを大きくしなければ十分な欠陥検出確度を得るために必要な画素寸法が得られない場合がある。
一般に、画像取得に時間を要する画像取得条件で取得した画像(例えば、高S/Nなど)の方が、欠陥検出確度が高くなりやすい。しかし、欠陥の種類(例えば、大きい欠陥など)や、欠陥座標精度などによっては、より短時間で画像取得可能な条件でも高い欠陥検出確度を得ることが可能な場合(即ち、欠陥検出が容易な場合)がある。具体的には、大きい欠陥の場合は多少S/Nが低い画像取得条件や、画素寸法が大きい(即ち、画像サイズが小さい)画像取得条件の画像でも高い欠陥検出確度を得ることが可能である。また、欠陥座標精度が高い場合には、撮像視野が狭い(即ち、画像サイズが小さい)画像取得条件の画像でも高い欠陥検出確度を得ることが可能である。
そこで、本発明では、予め一つ以上の画像取得条件が定義されている画像取得レシピを画像取得レシピ記憶部116に登録しておき、S202にて、画像取得レシピに記載された画像取得条件にて画像取得および欠陥検出処理を実行する。短時間で画像取得が可能な取得条件から順に画像取得および欠陥検出処理を実行し、得られた欠陥検出結果の欠陥検出確度が高ければ処理を途中終了する。本手法では、欠陥検出が容易な場合(例えば大きい欠陥などを対象とした場合)、短時間で画像取得可能な条件に対する画像取得および欠陥検出処理にて処理が終了するため、S202の処理速度が向上するという効果を奏する。画像取得レシピの登録方法については後述する。なお、欠陥検出に用いる条件は欠陥検出レシピ記憶部118に記憶されている条件を用いるとする。
図3は、本発明に係る欠陥画像取得および欠陥検出時(図2のS202)の処理フローの例である。画像取得レシピ記憶部116に記憶されている画像取得レシピ内の画像取得条件を用いて画像取得を行い、取得された画像に対して欠陥検出処理を行う。なお、ここで使用する画像取得条件は、画像取得レシピ内の画像取得条件の内、一部の条件のみでも良いし、記憶されている全ての条件でも良い。以下、N個(N≧2)の画像取得条件を用いて欠陥画像取得および欠陥検出処理を実行する場合について説明する。
S301では、i番目(1≦i≦N)の画像取得条件を用いて欠陥画像を取得する。
S302では、S301で取得した欠陥画像に対し、欠陥検出部121にて欠陥検出処理を実行する。欠陥検出の方法としては、欠陥画像と良品画像を比較し、これら2枚の画像間の差異のある位置を欠陥位置として検出する比較検査の方法などを用いれば良い。具体的には、欠陥画像と良品画像について画素毎に輝度値の差分をとった画像に対し、予め設定されたしきい値などを用いて二値化し、しきい値以上の値となった画素の中心位置を欠陥位置として検出するなどが考えられる。
ここで、欠陥画像のS/Nが低い場合、欠陥画像と良品画像の差異を欠陥として検出する方法を用いると、ノイズによって画面全体に多量の領域が検出され、ノイズを欠陥領域として誤検出する可能性がある。この様な場合に適切な欠陥領域を検出するには、欠陥検出処理S302において、二値化しきい値を高めに設定するなどにより検出感度を低くしておき、ノイズを誤検出しない様にする方法が考えられる。
また、i番目の画像取得条件で欠陥画像取得処理S301を実行後、連続して次の条件i+1の欠陥画像画像取得処理S301を行うのも良い。その場合、i番目の画像取得条件で取得された欠陥画像に対するS302およびS303は、次の条件i+1の画像取得と並行して実行することとなる。並列処理を行う場合のタイミングについては、図4(b)を用いて後述する。
S303では、処理終了判定部122にて、S302の欠陥検出結果から欠陥画像取得及び欠陥検出処理を終了するか、あるいは処理を継続するかのいずれかを判定する(以後S303を「処理終了判定」と記す)。具体的には、S302の欠陥検出結果に対して、欠陥検出確度を計算する。この際、欠陥検出確度が高ければ(例えば、しきい値以上なら)、処理終了と判定し、S304の処理を実行してループ1から抜ける。S302の欠陥検出結果における欠陥検出結果の確度が低ければ(例えば、しきい値未満なら)、処理継続と判定し、次の画像取得条件i+1の画像取得および欠陥検出処理を行う。欠陥検出確度のしきい値などの情報については、入出力部124からユーザによって入力されても良いし、ファイルなどから読み込んでも良い。
ここで、欠陥検出確度は、S302の欠陥検出結果の確からしさを定量化した値であり、欠陥検出S302における良品画像及び欠陥画像の差分の二値化結果における検出された座標付近のの二値化結果の疎密の程度などから計算すればよい。欠陥検出結果の確からしさが低くなる原因としては、ノイズの誤検出などが挙げられる。ノイズによる誤検出は画面全体にランダムに発生することが多く、検出された座標における二値化結果が密集していない場合、ノイズを検出している可能性が高いため、低い欠陥検出確度を出力すれば良い。対して、検出された座標における二値化結果が密集している場合、欠陥領域を正確に検出している可能性が高く、高い欠陥検出確度を出力すれば良い。また、二値化結果で領域が検出できなかった場合(即ち欠陥座標が得られなかった場合)は欠陥が画像内に無いとし、低い欠陥検出確度を出力し、S301〜S303の処理を継続させればよい。
S304は欠陥画像取得を終了し、ループ1から抜ける処理である。また、S304では、i番目の画像取得条件で取得された欠陥画像に対するS302およびS303と、次の条件(i+1番目)における画像取得S301が並行して実行されている場合、S301の処理を途中終了させても良い。通常、S302およびS303とS301の並列処理を行った場合、S301の処理時間の方が長く、S303で終了と判定されたタイミングでは、S301の処理が終了していないことが多い。
図4は、本発明に係る欠陥画像取得および欠陥検出時のタイミングチャートである。図4を用いて以上の処理を実施した場合のタイミングチャートを説明する。
図4(a)は、画像取得S301と欠陥検出処理S302とを連続的に実行する場合(並列実行しない場合)、(b)は、i番目の欠陥検出処理S302とi+1番目の画像取得S301とを並列して実行する場合(並列実行する場合)のタイミングチャートの一例であり、それぞれ、画像取得条件M(1≦M<N)における処理終了判定S303にて、処理終了と判定された場合の例である。
図4(b)の並列実行をする場合では、終了と判定をされた条件が条件Mの場合、条件Mの欠陥検出処理が終了した時点で条件M+1の欠陥画像取得が並列実行されていると考えられる。よって、条件Mの欠陥検出処理が終了し、処理終了判定で終了と判定された時点で、欠陥画像取得終了処理S304によって条件M+1の画像取得処理が途中終了する。それにより、画像取得及び欠陥検出に要する時間は条件Mの処理終了判定までの時間となる。途中終了させない場合は、条件M+1の欠陥画像取得終了時までの時間が、画像取得及び欠陥検出に要する時間となる。欠陥画像取得と欠陥検出を並列実行することによって、図4(a)の処理と比較して、各条件における欠陥検出処理分時間短縮が可能であり、欠陥画像取得および欠陥検出(図3)処理を高速化できるという効果を奏する。
次に、画像取得レシピ記憶部116において記憶する画像取得レシピに含まれるパラメータについて説明する。パラメータには、フレーム加算数、画像サイズ(撮像視野と画素寸法にも関連する)などが考えられる。本発明では、各パラメータ値の組合せ(画像取得条件)について欠陥画像取得及び欠陥検出S202を実行するが、以下では画像取得レシピ記憶部116に、各パラメータを変更した複数の画像取得条件(説明対象のパラメータ以外は固定値とする)が登録されており、登録された条件全てに対してS301〜S303の処理を実行する場合について説明する。
(フレーム加算数)
以下、画像取得レシピに、フレーム加算数が異なる画像取得条件が登録されている場合について説明する。
一般に、フレーム加算数が多いほど、S/Nの高い画像が得られるが、画像取得時間は長くなる。大きい欠陥の場合は、多少S/Nが低い画像取得条件で取得した画像においても高い欠陥検出確度を得ることが可能であり、短時間にて画像取得及び欠陥検出が終了可能である。
フレーム加算数が異なる複数の画像取得条件を用いる場合のS301の処理方法を示す。以下、フレーム加算数が1〜Nと連続した異なる値を格納した条件(N個)が画像取得レシピ記憶部116に登録されているとして説明する。この場合、フレーム加算数のみが異なるため、各条件にて欠陥画像を1フレーム目から毎回撮像しなおすのは効率が悪い。そこで、フレーム加算数が少ない条件の順番(フレーム加算数が1〜Nの順番)に条件を使うものとして設定しておく(即ち、画像取得条件のインデックスi=フレーム加算数となる)。1フレーム撮像毎に画像を画像記憶部115に保存しておき、i番目の条件(1<i≦N)で指定されたフレーム数iまで画像が撮像されたら、前フレームまでの画像(1〜i−1フレーム目の画像)を画像記憶部115から読み出して加算平均することによって、フレーム加算数iの加算平均像を作成する方法を用いる。この方法により、画像撮像の重複を省くことが可能となり、欠陥撮像時間の短縮を図ることができるという効果を奏する。
図5は、本発明の実施例1に係るフレーム加算数が異なる画像取得条件が登録されている場合の欠陥画像取得時の処理フローの例である。図3のS301(i番目の画像取得条件で欠陥画像取得、1<i≦N)の処理フローについて以下で説明する。
先ず、S501では、SEM画像撮像部125にて1フレーム分欠陥画像を撮像する。
続いて、S502にて、撮像した1フレーム分の欠陥画像をiフレームの画像として画像記憶部115に記憶する。
S503では、S501にて各フレーム撮像後に記憶した1〜i−1フレームの画像を、画像記憶部115から読み出す。
S504では、読み出した画像とS501にて撮像したiフレームの画像から、画像処理部123にてフレーム加算数iの加算平均像を生成する。
S505では、画像処理部123にて、S504で生成した加算平均像に対してS/N向上のためのノイズ除去処理を実行する。S/N向上処理では、例えば移動平均フィルタやガウシアンフィルタなどの平滑化フィルタなどによる一般的なノイズ除去手法を用いてS/Nを向上させれば良い。他の手法としては、ダウンサンプリング処理を用いてS/Nを向上させる方法も考えられる。例えば、倍率1/2のダウンサンプリング処理は、縦及び横方向の画像サイズを1/2にする(即ち画像サイズとしては1/4となる)処理である。この際、縦2画素×横2画素(計4画素)の輝度値を平均化した値を1画素の値とする。そのため、1画素あたり4画素分を平均化した情報を有することとなり、フレーム加算数として4フレームの加算平均を実行した画像に相当する画像(相当フレーム数4)を生成可能である。ただし、ダウンサンプリング処理では、画像サイズが小さくなるため、ダウンサンプリング倍率を小さくすると、小さい欠陥の場合、欠陥検出確度が低下する。
なお、S505はフレーム加算数iによって処理内容や処理のパラメータを変更しても良い。例えば、フレーム加算数iが少ない場合にS/Nを大きく向上させるため、ダウンサンプリングの倍率を小さくする(例えば、1/4など)し、フレーム加算数iが多い場合には、S/N向上はあまりダウンサンプリングの倍率を大きくする(例えば、1/2など)、あるいはダウンサンプリング処理をしない(即ち、S505の処理をスキップする)などが考えられる。ノイズ除去処理やダウンサンプリング処理などはそれぞれ組み合わせて用いても良い。
なお、1フレーム目(i=1)について画像取得を行う場合は、図5のフローにおいてS503、S504の処理はスキップする処理を実行すれば良い。
従来技術では、フレーム加算数が固定であったためN枚と設定された場合、N枚まで画像撮像後、欠陥検出処理を実行していた。それに対して、図3および図4を用いた本発明に係る処理は、画像撮像1フレーム毎に欠陥検出および処理終了判定を実行する処理であるとみなせる。そのため、図3の処理における撮像フレーム枚数の合計は、画像取得条件で設定された最大加算数N枚(即ち、従来技術の撮像枚数と同じ枚数)であり、画像取得及び欠陥検出処理における最大処理時間は従来技術と同じとなる。しかし、本発明では、図4の処理終了判定S303にて、高い欠陥検出確度が得られた時点で処理が終了するため、必ず従来技術以下の時間で処理が終了することができる(即ち、ADRスループットが向上する)。
ここで、S301を図5で示したフローを用いた場合における、欠陥画像取得および欠陥検出処理(図3)に要する時間について述べる。N=4、画像撮像1フレーム毎の撮像に要する時間を50msec、欠陥検出処理(S302)に要する時間を30msecとし、図4(b)並列実行する場合を例にとって図3の処理時間を述べる。なお、図3のフローにて、1フレームの画像撮像(S501)および欠陥検出(S302)以外の処理は処理時間が十分短く、無視できるとした。1〜4番目の画像取得条件(即ち、フレーム加算数がそれぞれ1〜4)の時点でS303にて終了と判定された場合の処理時間はそれぞれ、80msec(50+30)、130msec(50×2+30)、180msec(50×3+30)、230msec(50×4+30)である。ここで、1〜4番目の画像取得条件でS303にて終了と判定された欠陥の割合が同じ場合(即ち、各画像取得条件で終了と判定された割合がそれぞれ25%の場合)を例にとると、図3のフローにおける平均処理時間155msec(80×0.25+130×0.25+180×0.25+230×0.25)となる。対して、従来技術では、すべての欠陥にてNフレームの画像撮像を行うため、処理時間は常に230msecである。
以上では、フレーム加算数が1〜Nと連続したフレーム加算数の値を格納した条件が画像取得レシピ記憶部116に登録されている場合について説明した。しかし、登録されているフレーム加算数が1、2、3・・・N(1〜N)と連続でなく、例えば、1、3、7・・・N(計M個:M<N)といった不連続の場合にも本手法は適用可能である。その場合は、S501及びS502をフレーム加算数の不足回数分実行すれば良い。
(画像サイズ(画素寸法))
次に、画像取得レシピに、画像サイズ(画素寸法)が異なる画像取得条件(但し、説明のため撮像視野は一定とする)が格納されている場合について説明する。画像サイズ、画素寸法、撮像視野には関連があり、撮像視野が一定の場合、画像サイズが大きいほど、小さい画素寸法(即ち高解像度)の画像が得られるが、画像取得時間は長くなる。
画像サイズが(1)小、(2)中、(3)大(画素寸法はそれぞれ、(1)大、(2)中、(3)小)の3種類の値を格納した条件(3個)が画像取得レシピに登録されているとして説明する。
図6は、本発明の実施例1に係る、画像サイズ(画素寸法)がそれぞれ異なる画像取得条件を用いて欠陥の大きさが異なる欠陥について画像取得を行った際の、取得画像例とそれぞれの画像に対する欠陥検出確度を示した図である。
(1)〜(3)の画像取得条件で欠陥の大きさが大、中、小の3種の欠陥の画像取得した際の、取得される欠陥画像の例と欠陥検出確度の程度を示す。ここで、601は欠陥画像、602は欠陥画像中の欠陥領域である。また、(1)〜(3)の画像取得条件では、撮像視野は全て同じであるため、図6中の欠陥の大きさが同じ列の画像については、全て同じ領域について取得した画像である。
欠陥検出処理S302では、一般に画像上の欠陥領域における画素数が多いほど得られた検出結果の欠陥検出確度は高くなる。図6に示す様に、欠陥の大きさが大きい場合は、(1)画像サイズ小(画素寸法大)の画像取得条件で取得した画像においても高い欠陥検出確度が得られるが、欠陥の大きさが中及び小の欠陥では、画像中の欠陥領域の画素が最小検出画素数よりも少なく、低い欠陥検出確度しか得られない。対して、(3)画像サイズ大(画素寸法小)の画像取得条件で取得した画像では、欠陥の大きさが大、中、小のどの欠陥でも欠陥検出に対して欠陥領域の画素数が十分に確保でき、高い欠陥検出確度を得ることが可能である。
そのため、画像サイズ及び画素寸法が異なる画像取得条件を用いる場合、図3の画像取得条件のループ1を、画像サイズが小さい画像取得条件の順番(即ち、画素寸法が大きい順番)で実行することで、欠陥の大きさが大きい欠陥に対して、短時間で画像取得及び欠陥検出を終了することが期待できる。つまり、欠陥径が大きい場合には、画像サイズが小さい(画素寸法が大きい)画像取得条件であっても高い欠陥検出確度を得ることができるため、全体的に見ると全ての欠陥について高解像度で撮像する場合よりも平均的に短い時間で欠陥画像撮像処理を終了させることができるという効果を奏する。
ここで、実施例2の方法を用いた場合における、欠陥画像取得および欠陥検出処理(図3)に要する時間について述べる。図6で示した画像取得条件(1)〜(3)(画像サイズが(1)小、(2)中、(3)大の条件)における画像取得に要する時間がそれぞれ、(1)50msec、(2)100msec、(3)150msecとし、欠陥検出処理(S302)に要する時間を30msecとした時に、図4(b)並列実行する場合を例にとって図3の処理時間を述べる。なお、図3のフローにて、S301およびS302以外の処理は処理時間が十分短く、無視できるとした。1〜3番目の画像取得条件の時点でS303にて終了と判定された場合の処理時間はそれぞれ、80msec(50+30)、180msec(50+100+30)、330msec(50+100+150+30)である。ここで、図6で示した欠陥の大きさが大、中、小の欠陥が入力される確率がそれぞれ80%、10%、10%の場合を例にとると、図3のフローにおける処理時間の期待値は115msec(80×0.8+180×0.1+330×0.1)となる。対して、従来技術では、どの大きさの欠陥でも高い欠陥検出確度が得られる(3)の条件で画像取得を行うため、処理時間は常に180msec(150+30)である。
(画像サイズ(撮像視野))
次に、画像取得レシピに画像サイズ(撮像視野)が異なる画像取得条件(但し、説明のため画素寸法は一定とする)が登録されている場合について説明する。画像サイズ、画素寸法、撮像視野には関連があり、画素寸法が一定の場合、画像サイズが大きいほど、広い撮像視野(即ち、広範囲)の画像が得られるが、画像取得時間は長くなる。画像サイズが(1)小、(2)中、(3)大(撮像視野はそれぞれ、(1)狭、(2)中、(3)広)の3種類の値を格納した画像取得条件(3個)が画像取得レシピに登録されているとして説明する。
図7は、本発明の実施例1に係る、画像サイズと撮像視野がそれぞれ異なる画像取得条件を用いて欠陥座標精度がそれぞれ異なる場合について画像取得を行った際の、取得画像例とそれぞれの画像に対する欠陥検出確度を示した図である。
(1)〜(3)の画像取得条件で欠陥座標精度が高、中、低の3つの場合において画像取得した際の、取得される欠陥画像の例と欠陥検出確度の程度を示す。図7に示す様に、欠陥座標精度が高い場合は、(1)画像サイズ小(撮像視野狭)の画像取得条件で取得した画像においても高い欠陥検出確度を得ることが可能であるが、欠陥座標精度が中及び低の場合では、欠陥領域を含む画像を取得できず、欠陥検出結果を得ることができない(仮にノイズを検出した場合についても、欠陥検出確度低くなる)。対して、(3)画像サイズ大(撮像視野広)の画像取得条件で取得した画像では、欠陥座標精度が高、中、低のどの場合でも、欠陥領域を画像内に含めることができ、高い欠陥検出確度を得ることが可能である。
そのため、画像サイズ及び撮像視野が異なる画像取得条件を用いる場合、図3の画像取得条件のループ1を、画像サイズが小さい条件の順番(即ち、撮像視野が狭い順番)で実行することで、欠陥座標精度が高い場合に、短時間で画像取得及び欠陥検出を終了することが期待できる。
また、(1)〜(3)の画像取得条件では、撮像視野は異なるが画像中心は全て同じであるため、(3)画像サイズ大(撮像視野広)の条件で取得された画像には(1)画像サイズ小(撮像視野狭)及び(2)画像サイズ中(撮像視野中)の条件で取得された画像の一部を含むこととなる。また、(2)の条件で取得した画像についても同様に、(1)の条件で取得した画像の一部が含まれる。そのため、(1)、(2)、(3)の条件の順に画像取得及び欠陥検出を行った場合、(2)、(3)の条件にて重複した領域の画像取得を行うこととなる。そこで、(2)の条件の画像取得では、(1)の条件で取得した画像以外の領域を撮像するなどの方法によって画像取得を高速化することができる。また、(3)の条件についても同様に、(2)及び(1)の条件で取得された領域以外の画像取得を行えば良い。この方法を用いることによって、固定条件(常に画像サイズ大、撮像視野広)を用いる場合以下の時間で画像取得及び欠陥検出処理を終了することが可能である。
ここで、実施例3の方法を用いた場合における、欠陥画像取得および欠陥検出処理(図3)に要する時間について述べる。図7で示した画像取得条件(1)〜(3)(画像サイズが(1)小、(2)中、(3)大の条件)の画像取得に要する時間がそれぞれ、(1)50msec、(2)100msec、(3)150msecと仮定する。また、欠陥検出処理(S302)に要する時間を30msecとした時に、図4(b)並列実行する場合を例にとって図3の処理時間を述べる。なお、図3のフローにて、S301およびS302以外の処理は処理時間が十分短く、無視できるとした。1〜3番目の画像取得条件の時点でS303にて終了と判定された場合の処理時間はそれぞれ80msec(50+30)、180msec(50+100+30)、330msec(50+100+150+30)である。ここで、図7で示した欠陥座標精度が高、中、低の欠陥座標が入力される確率がそれぞれ80%、10%、10%の場合を例にとると、図3のフローにおける処理時間の期待値は115msec(80×0.8+180×0.1+330×0.1)となる。対して、従来技術では、どんな欠陥座標精度の欠陥座標が入力されても高い欠陥検出確度が得られる(3)の条件で画像取得を行うため、処理時間は常に180msec(150+30)である。
なお、以上では、フレーム加算数、画像サイズ(画素寸法)、画像サイズ(撮像視野)の3つの画像取得パラメータについて、その他パラメータを固定してそれぞれ1種類ずつ値を変更した画像取得条件が登録されている画像取得レシピを用いる場合の例を示したが、本発明はそれら1種類の値を変更した場合に限定せず、複数種類の値変更を組み合わせた画像取得条件を用いても良い。例えば、画像サイズ及び画素寸法を変更するだけでなく、フレーム加算数も変更した条件を用いても良い。
ところで、画像取得レシピ記憶部116に登録する画像取得レシピは、フレーム加算数や画素サイズなどの値の組合せを直接指定して画像取得条件を登録しても良いし、各パラメータについて最大・最小値など値の変更範囲および基準値や刻み幅などを指定しておき、それらをそのまま画像取得レシピに登録しても良いし、その範囲内の値から条件を自動的に生成して登録するのもよい。
また、画像取得レシピや画像取得条件、あるいは各パラメータの値の変更範囲などは、入出力部124からユーザによって入力されても良いし、画像取得レシピや画像取得条件などが記述されたファイルなどから読み込んでも良い。
図8は、本発明の実施の形態1に係る画像取得条件を登録するためのGUIの一例である。図8のGUIを用いて画像取得条件(画像取得レシピ)をユーザが登録することができる。
チェックボックス801は、複数の画像取得条件を用いて画像取得及び欠陥検出処理を行うか否かを設定する複数画像取得条件使用チェックボックスである。チェックボックスにチェックが入っている場合、本発明の図3のフローを用いて処理を実行する。チェックが入っていない場合は、従来の手法(固定条件)にて画像取得及び欠陥検出処理を行う。
コンボボックス802は、画像取得条件を画像取得レシピに登録するための画像取得条件登録コンボボックスであり、コンボボックス802で指定した画像取得条件を登録ボタン803にて登録する。画像取得条件を登録するには、各画像取得のパラメータ(フレーム加算数、画像サイズ、撮像視野など)について、各パラメータの最大値、最小値、刻み幅をコンボボックス802で入力し、最大値から最小値までを刻み幅で分割した値のそれぞれの組合せを画像取得条件として一括して登録する方法などが考えられる。図8の例では、フレーム加算数のパラメータ以外は最小値と最大値が同じとなっており、固定値と設定されている。そのため、フレーム加算数を1〜10までを1刻みで変更した条件(計10個)を登録することとなる。また、値の範囲をそのまま画像取得レシピに登録してもよい。
画像取得レシピリスト804は、登録ボタン803によって画像取得レシピに登録された画像取得条件のリストである。リストの各行に登録された画像取得条件における各パラメータの値が表示されている。画像取得レシピリスト804中の805は、各画像取得条件の処理順を示しており、この番号の順に図3のループ1が実行される。また、画像取得レシピリスト804中の806は各条件を使用するか否かを設定するチェックボックスである。チェックされた条件には805にて番号が振られ、その画像取得条件は処理対象となる。
最適化ボタン807は、画像取得レシピリスト804の画像取得レシピ内の画像取得条件の順番を最適化して番号を振りなおすボタンである。最適化ボタン807による処理は画像取得レシピ修正部119にて実行される。
番号を振りなおした後、画像取得レシピリスト804の番号の順番に条件を並び替えて表示しても良い。最適化の方法としては、各条件における画像取得時間が短い順に並べる方法などが考えられる。各条件における画像取得時間は予めルックアップテーブルなどに記載しておいて、それらを読み出して用いても良いし、各条件のパラメータ値の情報を用いて計算するのも良い。他には、全画像取得条件について重複する処理が少ない順番などを探索するのも良い。例えば、フレーム加算数が異なる条件がある場合、上述の通り、少数フレームの条件から順に番号を振ることで、重複処理を省略することが可能である。また、最適化ボタン807による最適化は、806でチェックされている条件のみを順番最適化の対象とすればよい。また、図3の処理後にADRの結果から登録する条件及び順番の最適化を行っても良い。
ボタン808は、順番が振られた画像取得条件に対して、ユーザが任意に順番を変更するボタンである。ユーザによる順番の変更した際、処理に無駄が発生する場合がある。例えば、フレーム加算数のみが異なる複数の条件があり、フレーム加算数が多い条件が先の順番に設定された場合を考える。ここで、先に実行されたフレーム加算数が多い条件にて欠陥検出確度が低く処理継続となった場合、順番が後のフレーム加算数が少ない条件に対して処理を実行する。しかし、前の処理よりもフレーム加算数が少ない条件による取得画像はS/Nが低下することから、欠陥検出確度は、フレーム加算数が多い条件の欠陥検出確度に比べて低くなり、後段の処理で処理は終了しない。この様な順番になった場合、その条件を枠で囲ったり背景色を変更したりするなどの方法で、ユーザに対して警告するなどしても良い。
削除ボタン809は、画像取得レシピリスト804に表示された画像取得条件のうちユーザによって指定された画像取得条件を画像取得レシピから削除するボタンである。
OKボタン810は、画像取得レシピの設定を終了するボタンである。設定後、ADRを実行すると、画像取得レシピリスト804で設定された画像取得条件の順に、図2および図3の処理が実行される。 ここで、図8で画像取得レシピに登録および設定した画像取得条件で図3のフロー処理を実行し、そのADR結果から図8で設定した内容を修正することも考えられる。
図9は、本発明の実施の形態1に係る登録した画像取得条件によるADR結果を表示し、画像取得条件を修正するためのGUIの一例である。。図9に示すGUIでは、図8で登録した画像取得レシピを用いて図3のフローで処理した際の処理結果を示し、画像取得レシピの修正をする。
901は、観察対象の欠陥数および図3のフローが終了するまでに要した時間を示している。
902は、各画像取得条件におけるADRの結果を示している。例えば、実行された回数(実行回数)、処理終了判定S303で終了と判定された回数(終了回数)、実行回数に対する終了回数の比率(終了率)、処理に要した平均時間など示せば良い。
最適化ボタン807は、902のADR結果に基づき、処理時間の期待値を最小化する様、画像取得条件804の順番を修正するボタンである。具体的にはしきい値以下の終了率の条件の使用フラグのチェックを外し、順番を振りなおすなどの方法を用いれば良い。
以下、図9の順番1を例にとり、ADR結果を用いて画像取得条件を修正する方法を説明する。図9の順番1における条件の終了回数は0であり、この条件では1欠陥も欠陥検出が成功しなかったことを意味する。同様の半導体デバイスおよびプロセスのウェーハを観察対象とする場合、同様のADR結果となると想定され、順番1の条件では欠陥検出が成功しないと予想できる。この様な場合、最適化ボタン807を押すことによって、順番1を削除するあるいは、使用フラグのチェックを外して順番2以降の条件の順番を繰り上げることで処理速度を高速化することが可能である。また、ここで最適化ボタン807の修正結果に基づいて、図8における802の各条件の範囲などを修正しても良い。なお、903による処理は画像取得レシピ修正部119にて実行される。903は最適化ボタン80703による修正の結果の処理時間の期待値を示している。
以上、本実施例では、複数の画像取得条件を画像取得レシピ登録しておき、画像取得時間が短い画像取得条件から順に、画像取得条件を用いて画像取得及び欠陥検出処理を実行することで、欠陥検出が容易な場合に対してADR速度を高速化する方法について述べた。ADRスループットが向上することにより、時間当たりに撮像可能な欠陥数が増え、統計的プロセス管理の信頼性が向上する欠陥観察方法及び欠陥観察装置を提供することができる。
以上の説明では、フレーム加算数、画像サイズを変更した画像取得条件を用いる例を示したが、電子光学系条件(例えば、加速電圧、プローブ電流)などについて変更した条件を用いるのも良い。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
S301…画像取得条件を用いた欠陥画像取得処理、S302…欠陥検出処理、S303…処理終了判定処理、S304…欠陥画像取得終了処理

Claims (17)

  1. 複数の画像取得条件から選択した任意の画像取得条件を用いて検査対象である試料の表面を撮像して欠陥画像を取得する画像取得工程と、
    前記画像取得工程にて取得した欠陥画像を処理して、該試料の表面上の欠陥位置を算出する欠陥位置算出工程と、
    前記欠陥位置算出工程にて算出した欠陥位置の確からしさである欠陥検出確度を求める欠陥検出確度算出工程と、
    前記欠陥検出確度算出工程にて求めた欠陥検出確度が予め定めた条件を満たすかどうかを判定する終了判定工程と、を備え、
    前記終了判定工程にて該条件を満たすと判断するまで、前記複数の画像取得条件から画像取得条件を選択し直し、前記画像取得工程と前記欠陥位置算出工程と前記欠陥検出確度算出工程と前記終了判定工程とを繰り返すものであり、前記画像取得工程では、前記複数の画像取得条件のうち欠陥画像の取得に必要な時間が短い順に選択した画像取得条件にて、該試料の表面の欠陥画像を取得することを特徴とす
    る欠陥観察方法。
  2. 前記画像取得工程では、予め算出した該試料の表面上の欠陥位置の情報に基づいた該試料の表面領域を撮像し欠陥画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の欠陥観察方法。
  3. 前記画像取得工程では、前記予め算出した該試料の表面上の欠陥位置座標の近傍の画像を取得することを特徴とする請求項2記載の欠陥観察方法。
  4. 前記複数の画像取得条件は、異なるフレーム加算数または異なる画像サイズの組み合わせにより生成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の欠陥観察方法。
  5. 前記複数の画像取得条件が異なるフレーム加算数の組み合わせにより生成される場合に、前記欠陥位置算出工程では、前記画像取得工程にて取得した複数の欠陥画像を加算平均して求めた画像を用いて該試料の表面上の欠陥位置を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の欠陥観察方法。
  6. 前記画像取得工程にて取得した欠陥画像を前記欠陥位置算出工程および前記欠陥検出確度算出工程および前記終了判定工程にて処理している間に、前記複数の画像取得条件から選択し直した画像取得条件を用いて前記画像取得工程を並列して行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の欠陥観察方法。
  7. 前記画像取得工程では、さらに、前記予め算出した該試料の表面上の欠陥位置の情報に基づき、該欠陥位置と概略同一のパターンが形成されている該試料上の領域の画像を良品画像として取得し、
    前記欠陥位置算出工程では、前記画像取得工程にて取得した良品画像と欠陥画像とを比較して、該試料の表面上の欠陥位置を算出することを特徴とする請求項2記載の欠陥観察方法。
  8. 前記欠陥位置算出工程では、前記画像取得工程で取得した複数の欠陥画像を加算または平均することにより求めた良品画像と、前記画像取得工程で取得した欠陥画像とを比較し、該試料の表面上の欠陥位置を算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の欠陥観察方法。
  9. 前記終了判定工程にて、前記欠陥検出確度算出工程で算出した欠陥検出確度が前記予め定めた条件を満たすと判定した場合に、前記欠陥位置算出工程にて算出した欠陥位置座標の近傍のみを前記画像取得工程における撮像条件よりも高倍率にて撮像して観察画像を得る観察画像取得工程を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の欠陥観察方法。
  10. 複数の画像取得条件から選択した任意の画像取得条件を用いて検査対象である試料の表面を撮像して欠陥画像を取得する画像取得部と、
    前記画像取得部にて取得した欠陥画像を処理して、該試料の表面上の欠陥位置を算出する欠陥検出部と、
    前記欠陥検出部にて算出した欠陥位置の確からしさである欠陥検出確度を求め、求めた欠陥検出確度が予め定めた条件を満たすかどうかを判定する終了判定部と、を備え、
    前記終了判定部にて該条件を満たすと判断するまで、前記複数の画像取得条件から画像取得条件を選択し直し、前記画像取得部による欠陥画像の取得と、前記欠陥検出部による前記画像取得部にて取得した欠陥画像の欠陥位置の算出と、前記終了判定部による前記欠陥検出部にて算出した欠陥位置に基づく終了判定とを繰り返すものであり、前記画像取得部では、前記複数の画像取得条件のうち欠陥画像の取得に必要な時間が短い順に選択した画像取得条件にて、該試料の表面の欠陥画像を取得することを特徴とする欠陥観察装置。
  11. 前記画像取得部では、予め算出した該試料の表面上の欠陥位置の情報に基づいた該試料の表面領域を撮像し欠陥画像を取得することを特徴とする請求項10に記載の欠陥観察装置。
  12. 前記画像取得部では、前記予め算出した該試料の表面上の欠陥位置座標の近傍の画像を取得することを特徴とする請求項11に記載の欠陥観察装置。
  13. 前記複数の画像取得条件は、異なるフレーム加算数または異なる画像サイズの組み合わせにより生成されることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の欠陥観察装置。
  14. 前記複数の画像取得条件が異なるフレーム加算数の組み合わせにより生成される場合に、前記欠陥検出部では、前記画像取得部にて取得した複数の欠陥画像を加算平均して求めた画像を用いて該試料の表面上の欠陥位置を算出することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の欠陥観察装置。
  15. 前記画像取得部にて取得した欠陥画像を前記欠陥検出部および前記終了判定部にて処理している間に、前記複数の画像取得条件から選択し直した画像取得条件を用いて前記画像取得部における欠陥画像の取得を並列して行うことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の欠陥観察装置。
  16. 前記画像取得部では、さらに、前記予め算出した該試料の表面上の欠陥位置の情報に基づき、該欠陥位置と概略同一のパターンが形成されている該試料上の領域の画像を良品画像として取得し、
    前記欠陥検出部では、前記画像取得部にて取得した良品画像と欠陥画像とを比較して、該試料の表面上の欠陥位置を算出することを特徴とする請求項11記載の欠陥観察装置。
  17. 前記欠陥検出部では、前記画像取得部で取得した複数の欠陥画像を加算または平均することにより求めた良品画像と、前記画像取得部で取得した欠陥画像とを比較して、該試料の表面上の欠陥位置を算出することを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載の欠陥観察装置。
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