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JP5540797B2 - センサ装置および表示装置 - Google Patents

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JP5540797B2 JP2010063642A JP2010063642A JP5540797B2 JP 5540797 B2 JP5540797 B2 JP 5540797B2 JP 2010063642 A JP2010063642 A JP 2010063642A JP 2010063642 A JP2010063642 A JP 2010063642A JP 5540797 B2 JP5540797 B2 JP 5540797B2
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Description

本発明は、例えばユーザによる押圧操作を検出するためのセンサ装置およびこれを備えた表示装置に関する。
近年、携帯電話に代表される携帯型の情報処理装置の多機能化が進められており、筐体に設けられた表示部をユーザインターフェースとして機能させる構成が提案されている。例えば特許文献1には、表示部に対する入力操作位置を検出するタッチパネルと、入力操作力を電極間の電気抵抗の変化として検出する押圧検知センサとを備えた電子機器が記載されている。また、特許文献2には、タッチ面への押圧を電極間の電気容量の変化として検出する力検知タッチパッドが記載されている。
一般に、押圧による静電容量変化を検出するセンサは、押圧により電極間距離が可変な構造を用いて電極間の静電容量を変化させる手法を採用している。静電容量は電極間距離に逆比例して変化するため、押圧によって電極間距離が例えば2%減少した場合、電極間の静電容量は略2%上昇する。一方、駆動回路や検出速度等の制約により、静電容量センサ自体の容量値を大きくすることが困難な場合、センサ容量は、検出回路の方式にもよるが、数pF〜数十pF程度に制約されることが多い。従って、電極間距離の変化が2%程度の微小である場合、電極間の容量変化も微小であるため、検出感度を確保することが非常に難しい。
特開2009−134473号公報 特開平10−198503号公報
以上のように、押圧による静電容量変化を検出するセンサにおいて、従来の電極間距離に大きく依存する検出方式では容量制限の中で押圧による良好な容量変化を得ることが難しい。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、電極間距離の変化が微小でも良好な容量変化を得ることができるセンサ装置およびこれを備えた表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るセンサ装置は、第1の部材と、第2の部材と、検出機構とを具備する。
上記第2の部材は、上記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能である。
上記検出機構は、弾性部材と、支持体と、電極対とを有する。上記弾性部材は、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置される。上記支持体は、上記第1の部材と上記弾性部材との間に設けられ、上記弾性部材の弾性変形によって厚みが変化する空気層を上記第1の部材と上記弾性部材との間に形成する。上記電極対は、上記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。上記検出機構は、上記電極対の合成容量の変化に基づいて上記第1の方向への上記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する。
上記センサ装置においては、第1の部材に対する第2の部材の相対移動に伴って、弾性部材が弾性変形し、これにより第1の部材と弾性部材との間に形成される空気層の厚みが変化する。一方、電極対は、空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。空気層の厚みの変化は、上記電極対に挟まれる誘電体(空気層、弾性部材、あるいは、空気層と弾性部材との混合体)の誘電率(比誘電率)の変化に相当し、上記静電容量成分は当該誘電体の誘電率の変化を含む。従って、検出機構は、上記電極対の間に形成される誘電体の誘電率の変化を、第1の部材に対する第2の部材の移動量に関する検出信号として出力することになる。よって、上記センサ装置によれば、両部材間の位置変化が微小な場合でも、大きな静電容量変化を発生させることができ、これにより良好な検出感度を確保することが可能となる。
上記第1の部材は、上記空気層に面して形成された誘電体層を有し、上記電極対は、第1の電極部と、第2の電極部とを含んでもよい。上記第1の電極部および上記第2の電極部は、上記空気層に面して上記誘電体層の上に配置された、上記第1の方向と直交する方向にそれぞれ対向する。
この場合、上記電極対は、上記空気層を挟む両電極部間に第1の静電容量を形成し、上記誘電体層を挟む両電極部間に第2の静電容量を形成する。上記検出機構は、これら第1および第2の静電容量の合成容量の変化に基づいて、上記検出信号を出力する。
上記センサ装置は、接地電位に接続された第3の電極部をさらに具備してもよい。上記第3の電極部は、上記電極対と上記第1の方向に対向するように上記第2の部材の上に配置される。
上記構成において、第3の電極部は、シールド電極としての機能を果たす。これにより、検出機構への導体の接近による電極対の容量変化を抑制でき、検出機構による検出信号の出力精度の向上を図ることができる。
上記の例に代えて、上記電極対は、以下のように構成されてもよい。すなわち、上記第1の電極部は、上記空気層に面して上記第1の部材の上に配置される。上記第2の電極部は、上記第1の電極部と上記第1の方向に対向する、上記第2の部材の上に配置される。
この場合、上記電極対は、上記空気層と上記弾性部材との界面と上記第1の電極部との間に第1の静電容量を形成し、上記界面と上記第2の電極部との間に第2の静電容量を形成する。上記検出機構は、これら第1および第2の静電容量の合成容量の変化に基づいて、上記検出信号を出力する。
本発明の他の形態に係るセンサ装置は、第1の部材と、第2の部材と、検出機構とを具備する。
上記第2の部材は、上記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能である。
上記検出機構は、弾性部材と、誘電部材と、電極対とを有する。上記弾性部材は、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置される。上記誘電部材は、前記弾性部材に隣接して配置される。上記誘電部材は、上記第1の部材に対して上記第1の方向に対向することで形成される空気層の厚みを上記弾性部材の弾性変形によって変化させる。上記電極対は、上記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。上記検出機構は、上記電極対の合成容量の変化に基づいて上記第1の方向への上記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する。
上記センサ装置においては、第1の部材に対する第2の部材の相対移動に伴って、弾性部材が弾性変形し、これにより第1の部材と誘電部材との間に形成される空気層の厚みが変化する。一方、電極対は、空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。空気層の厚みの変化は、上記電極対に挟まれる誘電体(空気層、誘電部材、あるいは、空気層と誘電部材との混合体)の誘電率(比誘電率)の変化に相当し、上記静電容量成分は当該誘電体の誘電率の変化を含む。従って、検出機構は、上記電極対の間に形成される誘電体の誘電率の変化を、第1の部材に対する第2の部材の移動量に関する検出信号として出力することになる。よって、上記センサ装置によれば、両部材間の位置変化が微小な場合でも、大きな静電容量変化を発生させることができ、これにより良好な検出感度を確保することが可能となる。
本発明の一形態に係る表示装置は、第1の部材と、第2の部材と、検出機構と、表示素子とを具備する。
上記第1の部材は、透光性を有する。
上記第2の部材は、上記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能である。
上記検出機構は、弾性部材と、支持体と、電極対とを有する。上記弾性部材は、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置される。上記支持体は、上記第1の部材と上記弾性部材との間に設けられ、上記弾性部材の弾性変形によって厚みが変化する空気層を上記第1の部材と上記弾性部材との間に形成する。上記電極対は、上記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。上記検出機構は、上記電極対の合成容量の変化に基づいて上記第1の方向への上記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する。
上記表示素子は、上記第2の部材に収容され、上記第1の部材に対向する表示面を有する。
本発明の他の形態に係る表示装置は、第1の部材と、第2の部材と、検出機構と、表示素子とを具備する。
上記第1の部材は、透光性を有する。
上記第2の部材は、上記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能である。
上記検出機構は、弾性部材と、誘電部材と、電極対とを有する。上記弾性部材は、上記第1の部材と上記第2の部材との間に配置される。上記誘電部材は、前記弾性部材に隣接して配置される。上記誘電部材は、上記第1の部材に対して上記第1の方向に対向することで形成される空気層の厚みを上記弾性部材の弾性変形によって変化させる。上記電極対は、上記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。上記検出機構は、上記電極対の合成容量の変化に基づいて上記第1の方向への上記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する。
上記表示素子は、上記第2の部材に収容され、上記第1の部材に対向する表示面を有する。
本発明によれば、電極間距離の変化が微小でも大きな容量変化を発生させることができる。これにより、良好な検出感度を確保することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るセンサ装置の概略断面図である。 図1のセンサ装置の要部の基本構成を示す断面図である。 (A)は図1のセンサ装置の作用を説明する要部の断面図であり、(B)は当該センサ装置を構成する電極対の等価回路図である。 (A)は図1のセンサ装置の作用を説明する要部の断面図であり、(B)は当該センサ装置を構成する電極対の等価回路図である。 典型的なミューチャルキャパシタンス方式の容量検出法を説明する図である。 図1のセンサ装置の作動状態を示す概略断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るセンサ装置の要部の概略断面図である。 (A)は本発明の第3の実施形態に係るセンサ装置の作用を説明する要部の断面図であり、(B)は当該センサ装置を構成する電極対の等価回路図である。 (A)は本発明の第3の実施形態に係るセンサ装置の作用を説明する要部の断面図であり、(B)は当該センサ装置を構成する電極対の等価回路図である。 典型的なセルフキャパシタンス方式の容量検出法を説明する図である。 本発明の第4の実施形態に係るセンサ装置の概略断面図である。 本発明の第5の実施形態に係るセンサ装置の概略断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る表示装置の概略断面図である。 図13の表示装置の内部構造を示す概略平面図である。 (A)は図1のセンサ装置の構成の変形例を示す概略平面図であり、(B)はその概略断面図である。 (A)は上記表示装置の構成の変形例を示す概略平面図であり、(B)はその概略断面図である。 上記表示装置の構成の他の変形例を示す概略平面図である。 上記表示装置の構成の他の変形例を示す概略平面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
[センサ装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサ装置を示す概略断面図である。本実施形態のセンサ装置1は、ユーザによる押圧入力操作を検知する押圧検知センサとして構成されている。ここで、図1においてZ軸方向は、センサ装置1に対する押圧入力方向を示し、X軸およびY軸は、Z軸方向に垂直な、相互に直交する2軸方向を示している。
センサ装置1は、筐体10(第1の部材)と、入力部材11(第2の部材)と、入力部材11に対する押圧操作を検出する検出機構12と、検出機構12を駆動する制御ユニット13を有する。
入力部材11は、ユーザより押圧操作を受ける入力操作面11aを有しており、入力操作面11aを外側(図1において上方側)に向けて筐体10に取り付けられている。入力操作面11aには、ユーザに対して押圧操作を促す適宜の文字、図形等が形成されてもよい。入力部材11を押圧する操作子としては、ユーザの指、スタイラスペンなど、人体の一部や補助具が含まれる。
入力部材11は、円形状あるいは多角形状の板状部品で形成されている。上記板状部品は、単層の板部材であってもよいし、板部材の積層体であってもよい。入力部材11は、透光性を有する材料で形成されてもよいし、非透光性であってもよい。また、上記板状部品は、タッチパネル等のセンサパネルであってもよい。入力部材11がタッチパネルで構成されることで、Z軸方向の押圧検出だけでなく、XY平面内における押圧位置の座標検出が可能となる。
筐体10は、例えば、電気絶縁性のプラスチック材料で形成されている。筐体10は、入力部材11の周囲を囲むようにZ軸方向に突出する環状の第1の壁部101と、第1の壁部101から筐体10の内部に向かってZ軸方向と垂直に突出する第2の壁部102とを有する。
[検出機構]
検出機構12は、筐体10と入力部材11との間に配置されており、筐体10に対する入力部材11の相対移動量を検出する。検出機構12は、筐体10に対する入力部材11の相対移動を静電的に検出し、Z軸方向への入力部材11の移動量に関する検出信号を制御ユニット13に出力する。制御ユニット13は、検出機構12を駆動する駆動回路と、検出機構12から出力された検出信号に基づいて入力部材11の移動量を算出する演算回路とを有する。
検出機構12は、弾性部材120を有する。弾性部材120は、入力部材11の周囲に沿って環状に形成され、入力部材11の周縁部と筐体10の第2の壁部102との間に配置される。入力部材11は、弾性部材120によって弾性的に支持される。
図2は、検出機構12の基本構成を模式的に示す要部の断面図である。入力部材11の周縁部と筐体10の第2の壁部102との間には、第1の接着層121、弾性部材120、第2の接着層122、誘電体層124および第3の接着層123が積層されている。接着層121〜123は、粘着テープ、接着剤の塗膜などで形成される。第1の接着層121は入力部材11と弾性部材120とを相互に接合し、第2の接着層122は、弾性部材120と誘電体層124との間を相互に接合する。そして、第3の接着層123は、誘電体層124と筐体10の第2の壁部102との間を相互に接着する。
図2に示すように、第1の接着層121、誘電体層124および第3の接着層123は、弾性部材120の幅(W1)と同等以上の幅で形成されているのに対して、第2の接着層122は、幅W1より小さい幅(W2)で形成されている。これにより、弾性部材120の内周側において、弾性部材120と誘電体層124との間に幅A(W1−W2)の空隙Gが形成される。空隙Gは、空気層であり、その厚み(Z軸方向の大きさ)は、第2の接着層122の厚み(D2=D−D1)で定められる。ここで、「D」は、第1の接着層121、第2の接着層122および弾性部材120の積層厚みであり、「D1」は、第1の接着層121および弾性部材120の積層厚みである。
上記構成においては、筐体10に対して入力部材11がZ軸方向に押圧操作されると、弾性部材120がZ軸方向に圧縮変形する。このとき、空隙Gと対向する弾性部材120の下面領域は、空隙Gを埋めるように弾性変形し、押圧力の大きさに応じて、空隙Gの厚み(D2)が減少あるいは消失する。検出機構12は、空隙Gの厚み変化を静電的に検出するための電極対125(図1)を有する。
図3(A)は、電極対125の構成例を示す要部の模式断面図である。説明を分かり易くするため、図では検出機構12を構成する各要素間の厚みの関係は無視するとともに、第1の接着層121および第3の接着層123の図示は省略する(図4(A)、図7(A)〜(C)、図8(A)、図9(A)および図11においても同様)。
本実施形態では、電極対125は、空隙G内の空気層に面するように誘電体層124上に配置された第1の電極部125aおよび第2の電極部125bを有する。第1の電極部125aおよび第2の電極部125bは、所定の間隔をあけて相互に対向しており、第1の電極部125aは第2の電極部125bよりも、弾性部材120の内周側に配置されている。これにより、電極対125は、空隙Gを挟む電極部125a、125b間に第1の静電容量C1を形成し、誘電体層124を挟む電極部125a、125b間に第2の静電容量C2を形成する。
図3(B)は、図3(A)に示した電極対125の等価回路である。電極対125の容量は、第1の静電容量C1を形成するコンデンサと第2の静電容量C2を形成するコンデンサとの合成容量に相当する。第1の静電容量C1および第2の静電容量C2は、以下の式で定義される。
C1=εr1・ε0・S/d …(1)
C2=εr2・ε0・S/d …(2)
ここで、εr1およびεr2は誘電体の比誘電率、ε0は真空の誘電率、Sは電極間の対向面積、dは電極間の対向距離である。
図3(A)に示した構成例では、第1の静電容量C1を形成する誘電体は空隙G内の空気(εr1≒1)であり、第2の静電容量C2を形成する誘電体は誘電体層124を構成する誘電材料(εr2>1)である。電極部125a、125b間の対向面積(S)および対向距離(d)は相互に同一である。第1の静電容量C1を形成するコンデンサと第2の静電容量C2を形成するコンデンサは相互に並列的に接続されているため、電極対125の合成容量Cは、以下の式で算出される。
C=C1+C2 …(3)
図4(A)は、入力部材11にZ軸方向に押圧力Fが加わった様子を模式的に示す検出機構12の断面図である。図4(B)は、図4(A)に示した電極対125の等価回路である。入力部材11が筐体10の内部に押し込まれると、弾性部材120が圧縮変形し、弾性部材120の一部が空隙Gに侵入する。空隙Gへの弾性部材120の侵入量は、弾性部材120の変形量すなわち入力部材11の移動量にほぼ比例する。図4(A)は、空隙Gが弾性部材120の侵入によって消失し、空気層の厚みが0となった状態を示す。この場合、電極125a、125b間に空気の比誘電率(≒1)よりも大きな比誘電率(>1)を有する弾性部材120が介在することで、第1の静電容量はC1からC1’へ増加する。一方、第2の静電容量C2は、電極部125a、125b間の比誘電率に変動が生じないため、変化しない。以上のように、入力部材11が押圧操作されると、電極対125の合成容量Cは、(C1’−C1)に相当する量だけ増加することになる。
入力部材11の移動に伴う電極対125の合成容量Cの変化量は、弾性部材120の弾性率、空隙Gの面積および高さ(厚み)、電極対125の構成等によって調整することができる。例えば、空隙Gの幅(A)は、電極対125の形成に必要なエリアを考慮して適宜決定される。弾性部材120の幅(W1)は、空隙Gの幅(A)と、弾性部材120の支持体として機能する接着層122の幅(W2)を考慮して決定される。幅W2は、入力部材11を支持するのに必要な強度と、押圧による弾性部材120の変形量を決定する設計パラメータである。
弾性部材120の構成材料は特に限定されず、例えば、ゴム系の弾性体、ポリウレタン発泡体などの有機樹脂発泡体などが用いられる。弾性部材120の弾性率は、接着層122よりも低いことが必要であるが、その上限および下限は限定されない。
接着層122の厚みは、センサ装置1の初期状態における空隙Gの厚み(D2)を決定するため、入力部材11への押圧操作による電極対125の合成容量(C)の変化状態を考慮した上で決定される。
誘電体層124の構成材料は、電極対125の形成のし易さ、接着層122との密着性等を考慮して適宜選定される。誘電体層124は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の樹脂フィルムで形成される。誘電体層124の厚みは特に限定されず、検出機構12あるいはセンサ装置1の全厚等を考慮して決定される。誘電体層124の誘電率は限定されないが、誘電体層124の誘電率は小さいほどよく、これにより電極対125の合成容量の変化率を大きくすることができる。
電極対125を形成する第1および第2の電極部125a、125bは、誘電体層124の上に形成された導体層で構成される。電極部125a、125bは、アルミニウムや銅などの金属箔でもよいし、導電ペーストでもよい。電極部125a、125bは制御ユニット13に電気的に接続され、互いに静電結合が可能なように各々の配置間隔あるいは入力電圧が決定される。電極部125a、125bと制御ユニット13との間の電気的接続には、誘電体層124の上に形成された配線層が用いられてもよいし、誘電体層124とは独立して設けられた配線基板が用いられてもよい。
[制御ユニット]
制御ユニット13は、電極対125へ入力される駆動信号を発生する駆動回路と、電極対125から出力される検出信号を処理する演算回路とを有する。本実施形態では、ミューチャルキャパシタンス方式と呼ばれる検出方式で、電極部125a、125b間の静電容量を検出する。
ミューチャルキャパシタンス方式は双電極方式とも呼ばれ、図5に示すように容量結合している二つの電極E11、E12を有し、これらの結合容量の変化を検出する。一般的には、容量結合している領域に接地された物体が近づくと、容量が減少する。この容量減少を検出して指などの座標位置を計算する方式のタッチパネルが実用化されている。
本実施形態において、一対の電極部125a、125bのうち一方は上記駆動回路へ接続され、他方は上記演算回路へ接続される。上記駆動信号には所定周波数のパルス信号が用いられるが、これに限られず、高周波を含む交流信号や直流信号であってもよい。駆動信号の入力により両電極部は静電的に結合し、上記第1および第2の静電容量C1、C2を形成する。ミューチャルキャパシタンス方式を検出原理とする本実施形態の制御ユニット13は、入力部材11への押圧操作時の弾性部材120の変形量に応じて変化する電極対125の静電容量の変化を検出する。電極対125へ弾性部材120が接近するほど空隙Gの厚みは減少し、電極間の結合領域の誘電率は弾性部材120の誘電率に近づく。これにより、上記第1の静電容量C1は増加し、上記演算回路は、静電容量C1の変化量に基づいて入力部材11の移動量を算出する。制御ユニット13は、算出された入力部材11の移動量に基づいて制御信号を生成し、当該制御信号は、センサ装置1の出力を受けて動作する機器へ供給される。
[センサ装置の動作]
上記構成のセンサ装置1において、図6に示すように入力部材11の中央部が押圧操作されると、弾性部材120はその全周にわたってほぼ均等な圧縮変形を受けることで、空隙Gの厚みが変化する。検出機構12の電極対125は、空隙Gの厚みの変化に基づく静電容量の変化を検出信号として出力する。制御ユニット13は、上記検出信号に基づいて入力部材11の押圧操作を判定し、所定の制御信号を生成する。
本実施形態のセンサ装置1において、検出機構12は、電極対125の間に形成される誘電体の誘電率の変化を、筐体10に対する入力部材11の移動量に関する検出信号として出力する。これにより、電極間距離に基づいて静電容量の変化を検出する方式に比べて、容量変化率を大きくすることができる。従って、本実施形態のセンサ装置1によれば、入力部材11の移動量が微小な場合でも、大きな容量変化を発生させることができ、これにより良好な検出感度を確保することが可能となる。
例えば、弾性部材120の厚みを0.5mm、弾性部材120の比誘電率を3、接着層122の厚みを0.05mm、誘電体層124の比誘電率を3として、押圧操作前後の電極対125の容量変化率を試算する。
電極対125の合成容量は、(3)式に示したとおり、空隙G側の第1の静電容量C1と誘電体層124側の第2の静電容量C2との和となる。原理的に、C1とC2の違いは誘電率の差によるので、C2はC1の3倍になる。つまり、
C=C1+C2=C1+3×C1=4C1 …(4)
となる。入力部材11への押圧により、空隙Gに弾性部材120が張り出し、空気層が消失すると、空隙G側の誘電層の誘電率が1から3へ変化することで、C1の値は3倍となる。誘電体層124側の容量C2は変化しないので、押圧操作後における電極対125の合成容量は、以下のようになる。
C’=3×C1+C2=3×C1+3×C1=6C1 …(5)
つまり、本実施形態によれば、入力部材11への押圧操作によって、電極対125の合成容量は、4C1から6C1に変化することになり、容量変化率は50%(1.5倍)になる。接着層122の厚みは弾性部材120の厚みの10%であるため、電極間距離の変化に基づいて静電容量の変化を検出する方式では容量変化率は10%にとどまる。これに対して本実施形態によれば、その5倍近い容量変化を得ることができる。勿論、弾性部材120および誘電体層124の比誘電率、空隙Gの厚みによって、押圧操作の前後における電極対125の容量変化率の試算結果は異なる。
以上のように、本実施形態によれば、入力部材11の押圧による移動量が微小な場合でも、電極対125の大きな容量変化に基づいて押圧操作を確実に検知することができる。また、入力部材11の移動量に対応して電極対125の容量が連続的に変化するため、筐体10に対する入力部材11の相対移動量を精度よく検出することができる。
<第2の実施形態>
図7(A)および(B)は、本発明の第2の実施形態に係るセンサ装置を模式的に示す要部の断面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7(A)に示すセンサ装置2Aは、入力部材11の周縁部と弾性部材120との間に第1のシールド電極131(第3の電極部)が配置されている。第1のシールド電極131は、接地電位に接続されており、空隙Gに面して誘電体層124の上に配置された電極対125とZ軸方向に対向している。第1のシールド電極131は、入力部材11の周縁部または弾性部材120の上面部に貼り付けられた、アルミニウムや銅などの金属箔で形成される。
上記構成のセンサ装置2Aにおいて、第1のシールド電極131は、入力部材11へのユーザの手指の近接による電極対125の容量変化を抑制する機能を有する。これにより、入力部材11に対する押圧操作を高精度に検出することが可能となり、信頼性の高い押圧検知機能を確保することができる。
また、上記センサ装置2Aにおいて、制御ユニット13の演算回路に接続される電極部はいずれであってもよいが、上記演算回路は、内周側に位置する第1の電極部125aに接続されることで、筐体10への手指の近接等によって発生するノイズが、上記演算回路へ侵入することを抑制することができる。
一方、図7(B)に示すセンサ装置2Bは、第1のシールド電極131に加えて、第2のシールド電極132を有する。第2のシールド電極132は、接地電位に接続されており、接着層122(支持体)と誘電体層124との間に配置されている。第2のシールド電極132は、接着層122の下面部あるいは誘電体層124の上面部に貼り付けられた、アルミニウムや銅などの金属箔で形成される。
上記構成のセンサ装置2Bにおいて、第2のシールド電極132は、電極対125と同一平面上に位置するように誘電体層124上に配置されることで、筐体10への手指の近接による電極対125の容量変化を抑制する機能を有する。このような構成によっても、入力部材11に対する押圧操作を高精度に検出することが可能となり、信頼性の高い押圧検知機能を確保することができる。
なお、図7(B)に示したセンサ装置2Bにおいては、第1のシールド電極131と第2のシールド電極132とが各々形成されたが、必要に応じて、第1のシールド電極131は省略されてもよい。また、上記センサ装置2Bにおいて、第1の電極部125aおよび第2の電極部125bのうち、制御ユニット13の演算回路に接続される電極部はいずれであってもよい。
<第3の実施形態>
図8(A)は、本発明の第3の実施形態に係るセンサ装置を模式的に示す要部の断面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のセンサ装置3は、入力部材11と筐体10との間に複数の静電容量を形成する電極対225を有する検出機構22を備える。電極対225は、空隙G内の空気層に面するように誘電体層124上に配置された第1の電極部225aと、入力部材11と弾性部材120との間に配置された第2の電極部225bとを有する。第1の電極部225aおよび第2の電極部225bは、Z軸方向に相互に対向している。これにより、電極対225は、空隙G(空気層)と弾性部材120との界面Pと第1の電極部252aとの間に第1の静電容量C1を形成し、上記界面Pと第2の電極部252bとの間に第2の静電容量C2を形成する。
図8(B)は、図8(A)に示した電極対225の等価回路である。電極対225の容量は、第1の静電容量C1を形成するコンデンサと第2の静電容量C2を形成するコンデンサとの合成容量に相当する。第1の静電容量C1を形成するコンデンサと第2の静電容量C2を形成するコンデンサは相互に直列的に接続されているため、電極対225の合成容量Cは、以下の式で算出される。
(1/C)=(1/C1)+(1/C2)
すなわち、C=(C1×C2)/(C1+C2) …(6)
図9(A)は、入力部材11にZ軸方向に押圧力Fが加わった様子を模式的に示す検出機構22の断面図である。図9(B)は、図9(A)に示した電極対225の等価回路である。入力部材11が筐体10の内部に押し込まれると、弾性部材120が圧縮変形し、弾性部材120の一部が空隙Gに侵入する。空隙Gへの弾性部材120の侵入量は、弾性部材120の変形量すなわち入力部材11の移動量にほぼ比例する。図9(A)は、空隙Gが弾性部材120の侵入によって消失し、空気層の厚みが0となった状態を示す。この場合、電極225a、225b間に空気の比誘電率(≒1)よりも大きな比誘電率(>1)を有する弾性部材120が介在することで、第1の静電容量はC1からC1’へ増加する。一方、第2の静電容量C2は、弾性部材120の厚みが減少することで、C2からC2’へ増加する。以上のように、入力部材11が押圧操作されると、C1およびC2がいずれも増加することで電極対225の合成容量Cが増加することになる。
電極対225を形成する第1および第2の電極部225a、225bは、アルミニウムや銅などの金属箔でもよいし、導電ペーストでもよい。電極部225a、225bは制御ユニット23に電気的に接続され、互いに静電結合が可能なように各々の配置間隔あるいは入力電圧が決定される。
制御ユニット23は、電極対225へ入力される駆動信号を発生する駆動回路と、電極対225から出力される検出信号を処理する演算回路とを有する。本実施形態では、セルフキャパシタンス方式と呼ばれる検出方式で、電極部225a、225b間の静電容量を検出する。
セルフキャパシタンス方式は、単電極方式とも呼ばれ、センシングに用いる電極は1つである。図10に示すように、センシング用の電極E21は、接地電位に対して浮遊容量をもっている。この電極E21に、接地された物体が近づくと、電極E21の浮遊容量は増加する。この容量増加を検出して指などの座標位置を計算する方式のタッチパネルが実用化されている。
本実施形態においては、一対の電極部225a、225bのうち、第1の電極部225aがセンシング用電極として制御ユニット23へ接続される。上記駆動信号には所定周波数のパルス信号が用いられるが、これに限られず、高周波を含む交流信号や直流信号であってもよい。駆動信号の入力により両電極部225a、225bは静電的に結合し、上記第1および第2の静電容量C1、C2を形成する。セルフキャパシタンス方式を検出原理とする本実施形態の制御ユニット23は、入力部材11への押圧操作時の弾性部材120の変形量に応じて変化する電極対225の静電容量の変化を検出する。第1の電極部225aへ弾性部材120が接近するほど空隙Gの厚みは減少し、第1の電極部225aと界面Pとの間の距離が接近する。そして、更なる押圧操作により、空隙Gに侵入した弾性部材120が入力部材11と誘電体層124との間で圧縮変形を受けることで、第2の電極部225bと界面Pとの距離が短くなる。これにより、第1の静電容量C1および第2の静電容量C2はそれぞれ増加し、上記演算回路は、静電容量C1、C2の変化量に基づいて入力部材11の移動量を算出する。制御ユニット13は、算出された入力部材11の移動量に基づいて制御信号を生成し、当該制御信号は、センサ装置1の出力を受けて動作する機器へ供給される。
本実施形態のセンサ装置3において、検出機構22は、電極対225の間に形成される誘電体の誘電率の変化を、筐体10に対する入力部材11の移動量に関する検出信号として出力する。これにより、電極間距離に基づいて静電容量の変化を検出する方式に比べて、容量変化率を大きくすることができる。従って、本実施形態のセンサ装置3によれば、入力部材11の移動量が微小な場合でも、大きな容量変化を発生させることができ、これにより良好な検出感度を確保することが可能となる。
例えば、電極間の対向面積を10mm、電極間に挟まれる弾性体の厚みを0.5mm、その誘電率を3とすると、電極間の容量C0は、真空の誘電率を8.85×10−12[F/m]として、C0=0.53124pFと計算される。このとき、上記弾性体が厚みの10%だけ圧縮変形すると、このときの電極間の容量C0’は、C0’=0.59027pFと計算され、容量変化量(C0’−C0)は、0.05903pFとなる。すなわち、電極間距離の変化に基づく従来の容量検出方式では、容量変化率は上記の例において約10%の増加となる。
これに対して本実施形態のセンサ装置3においては、電極部225a、225bの対向面積を10mm、弾性部材120の厚みを0.5mm、誘電率を3、空隙Gの厚みを0.05mmとすると、非押圧操作時の電極対225の合成容量は、C=0.408646pFと計算される。次に、押圧操作により、空隙Gに弾性部材120が張り出したと仮定すると、このときの容量は、C’=0.482945pFと計算される。このときの容量変化量(C’−C)は0.0743pFとなり、初期容量に対して約18%の増加となる。
以上の例を比較すると、どちらも押圧方向の弾性体の変形量は0.05mmであるが、本実施形態によれば、従来方式に比べて倍近い容量変化率を得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、入力部材11の押圧による移動量が微小な場合でも、電極対225の大きな容量変化に基づいて押圧操作を確実に検知することができる。また、入力部材11の移動量に対応して電極対225の容量が連続的に変化するため、筐体10に対する入力部材11の相対移動量を精度よく検出することができる。
<第4の実施形態>
図11(A)〜(C)は、本発明の第4の実施形態に係るセンサ装置を模式的に示す要部の断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11(A)に示すセンサ装置4Aは、電極対225を構成する2つの電極部225a、225bのうち、第2の電極部225bを接地電位に接続している。これにより、第2の電極部225bは、入力部材11へのユーザの手指の近接による電極対225の容量変化を抑制する機能を有する。したがって、入力部材11に対する押圧操作を高精度に検出することが可能となり、信頼性の高い押圧検知機能を確保することができる。
図11(B)に示すセンサ装置4Bは、さらに、第1のシールド電極231を有する。第1のシールド電極231は、接地電位に接続されており、接着層122(支持体)と誘電体層124との間に配置されている。第1のシールド電極231は、接着層122の下面部あるいは誘電体層124の上面部に貼り付けられた、アルミニウムや銅などの金属箔で形成される。
上記構成のセンサ装置4Bにおいて、第1のシールド電極231は、第1の電極部225aと同一平面上に位置するように誘電体層124上に配置されることで、筐体10への手指の近接による電極対225の容量変化を抑制する機能を有する。このような構成によっても、入力部材11に対する押圧操作を高精度に検出することが可能となり、信頼性の高い押圧検知機能を確保することができる。
図11(C)に示すセンサ装置4Cは、さらに、第2のシールド電極232を有する。第2のシールド電極232は、接地電位に接続されており、誘電体層124上に第1の電極部225aと隣接して形成されている。第2のシールド電極232は、第1の電極部225aよりも内周側に形成されることで、筐体10の内部から電極部225aへ侵入する電磁ノイズを抑制する機能を有する。これにより、入力部材11に対する押圧操作をさらに高精度に検出することが可能となる。
<第5の実施形態>
図12(A)、(B)は、本発明の第5の実施形態に係るセンサ装置を模式的に示す要部の断面図である。なお、図において上述の第1および第2の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12(A)に示すセンサ装置5Aは、入力部材11を弾性的に支持する弾性部材320と、弾性部材320に隣接して配置された誘電部材326とを有する検出機構32Aを備える。
弾性部材320は、入力部材11と筐体10上の誘電体層124との間に配置される。弾性部材320は、入力部材11の周縁部に対して、弾性部材320よりも大きな幅を有する接着層121を介して接合されている。また、弾性部材320は、誘電体層124に対して、弾性部材320と同等の幅を有する接着層122を介して接合されている。
誘電部材326は、弾性部材230と同等の厚みを有している。誘電部材326は、入力部材11に対して、接着層121を介して接合されている。また、誘電部材326の下面は、誘電体層124に対して、接着層122と同等の厚みを有する空隙Gを介して対向している。誘電部材326は、空隙Gの厚みを弾性部材320の弾性変形によって変化させる。誘電部材326の構成材料は特に限定されず、樹脂やゴム、セラミックス材料などを用いることができる。
誘電体層124には、空隙Gを介して誘電部材326の下面に対向するように、一対の電極部125a、125bからなる電極対125が形成されている。電極対125は、空隙Gの厚みに応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量(図3に示した容量C1およびC2に相当)を形成し、これらの合成容量の変化に基づいてZ軸方向への入力部材11の移動量に関する検出信号を出力する。
図12(B)に示すセンサ装置5Bは、検出機構の構成がセンサ装置5Aと異なる。すなわち、センサ装置5Bの検出機構32Bは、空隙Gに面して誘電体層124上に配置された第1の電極部225aと、入力部材11と誘電部材326との間に配置された第2の電極部225bとからなる電極対225を有する。電極対225は、空隙Gの厚みに応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量(図8に示した容量C1およびC2に相当)を形成し、これらの合成容量の変化に基づいてZ軸方向への入力部材11の移動量に関する検出信号を出力する。
上記センサ装置5A、5Bにおいては、筐体10に対する入力部材11の相対移動に伴って、弾性部材320が弾性変形し、これにより空隙Gの厚みが変化する。一方、電極対125、225は、空隙Gの厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する。空隙Gの厚みの変化は、電極対125、225に挟まれる誘電体(空気層、誘電部材326、あるいは、空気層と誘電部材326との混合体)の誘電率の変化に相当し、上記静電容量成分は当該誘電体の誘電率の変化を含む。従って、検出機構32A、32Bは、電極対125、225の間に形成される誘電体の誘電率の変化を、筐体10に対する入力部材11の移動量に関する検出信号として出力することになる。よって、本実施形態のセンサ装置5A、5Bによれば、上述の第1の実施形態および第3の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、押圧操作時における空隙G内への弾性部材の侵入による容量変化を伴わないため、電極対125あるいは電極部225aの形成領域を狭くすることができる。例えば、図12(A)の構成例においては、電極部125a、125bの電極幅を50μm、電極間隔を50μm、電極部125aから誘電体層124の内周縁部までの距離を50μm、電極部125bから接着層122までの距離を50μmとすると、空隙Gの幅(図5の寸法Aに相当)は、200μm(50μm×2+50μm+50μm)とすることができる。
<第6の実施形態>
続いて、本発明の第6の実施形態を示している。図13は本発明の実施形態に係る表示装置の概略断面図であり、図14はその内部構造を示す平面図である。本実施形態の表示装置51は、センサ部32と、制御部33と、表示部34とを備える。センサ部32は、第1の実施形態において説明したセンサ装置1と同様な構成を有しているが、ユーザにより押圧操作される入力部材31がタッチパネルで構成されている。
タッチパネル31は、例えばX方向およびY方向に平行な複数本の透明電極と、これらの透明電極を支持する透明な基材とを有し、XY平面内におけるユーザの押圧操作位置に応じた検出信号を生成する。タッチパネル31は、制御部33によって駆動され、上記検出信号を制御部33へ出力する。制御部33は、上記検出信号に基づいて、入力位置座標を特定する。
表示部34は、筐体10に収容される。表示部34は、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子等の表示素子で構成され、タッチパネル31の内面側(図13において下面側)にタッチパネル31と一体的に接合されている。表示部34は、ユーザにより選択される画像(アイコン)や所定の操作で切り替えられる画像をタッチパネル31の入力操作面に表示させる。表示部34の表示画像は、制御部33によって制御される。表示部34は、図14に示すように、センサ部32の環状の弾性部材120の内部に配置されている。
センサ部32は、ユーザによるタッチパネル31への押圧操作を検出する検出機構12を有し、その検出信号を制御部33へ出力する。制御部33は、センサ部32を駆動するとともに、センサ部32からの検出信号に基づいて、表示部34の表示画像を制御し、あるいは、予め決定された制御信号を生成する。センサ部32の構成および作用は上述の第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
以上のように構成される本実施形態の表示装置51においては、ユーザによる操作位置の座標検出およびタッチパネル31への押圧検出が可能となる。また、押圧検出に際してタッチパネル31の大きな移動量を必要とすることなく高感度に押圧操作を検出することができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、以上の実施形態では、センサ装置の検出機構を構成する電極対を環状の弾性部材120に沿って環状に形成した例を説明した。これに限られず、電極対は、図15(A)および(B)に示すように、弾性部材120の周囲に沿って複数に分割されていてもよい。
図15(A)および(B)は、検出機構12を複数の検出機構部12A、12B、12C、12D、12E、12F、12Gおよび12Hに分割した例を示すセンサ装置の概略平面図および断面図である。電極対は、検出機構部12A〜12Hごとにそれぞれ独立して形成されている。当該センサ装置によれば、各検出機構部12A〜12Hの検出信号の加算値あるいは平均値に基づいて、押圧操作を検出することができる。また、入力部材11への押圧位置に応じて各検出機構部12A〜12Hが異なる検出信号を出力するため、押圧検知だけでなく、押圧位置の検出も可能となる。
また、以上の実施形態では、センサ装置の検出機構を構成する弾性部材120および誘電体層124をそれぞれ環状に形成した例を説明した。これに代えて、図16(A)および(B)に示すように、弾性部材120および誘電体層124はそれぞれシート状に形成されてもよい。この場合、弾性部材120と誘電体層124との間に形成される空隙Gは、環状の接着層122(支持体)の内周側全域に形成され、容量検出用の電極対は、空隙Gに面して配置される。これにより、空隙G内への弾性部材120の侵入に基づく容量変化を検出することで、入力部材11に対する押圧操作を検知することが可能となる。
また、図16に示すセンサ装置においては、入力部材11の押圧操作領域に検出機構を配置することができるため、電極対の配置自由度を高めることができる。また、当該センサ装置を表示装置に適用する場合、図16(B)に示すように、表示部34は入力部材(あるいはタッチパネル)11と弾性部材120との間に配置することができる。
また、図17に示すように、シート状の弾性部材120を支持する接着層122(支持体)の面内に所定形状のパターンを形成することで、空隙Gの形状を任意に設定することも可能である。この場合、当該空隙Gの形成領域に容量変化検出用の電極対が配置され、入力部材の押圧操作を検出する検出機構12Jが構成される。空隙Gが任意の形状に形成されることで、電極対の配置自由度が高まるとともに、押圧操作が必要な領域にのみ選択的に検出機構を構成することができる。
同様に、図18は、シート状の弾性部材120を支持する接着層122(支持体)の面内に複数の空隙Gを形成し、これらに検出機構部12K、12L、12M、12N、12P、12Q、12Rおよび12Sを設けた例を示している。本例の場合、入力操作領域に複数の検出機構が各々独立して設けられているため、押圧操作の検出だけでなく、押圧位置の検出も可能となる。
また、以上の第6の実施形態では、図1に示すセンサ装置1をセンサ部32とする表示装置51を例に挙げて説明したが、センサ部32の構成は上記の例に限られず、第2〜第5の実施形態で説明したセンサ装置が用いられてもよい。
さらに、以上の実施形態では、ユーザによる入力部材への押圧操作を検出するセンサ装置を例に挙げて説明したが、これに限られず、例えば気圧や水圧等の外圧を検出するセンサ装置に本発明を適用することも可能である。
1、2A,2B、3、4A、4B、4C、5A、5B…センサ装置
10…筐体
11…入力部材
11a…入力操作面
12、22、32A、32B…検出機構
13、23…制御ユニット
31…タッチパネル(入力部材)
32…センサ部
33…制御部
34…表示部
51…表示装置
120、320…弾性部材
122…接着層
124…誘電体層
125、225…電極対
125a、225a…第1の電極部
225a、225b…第2の電極部
131、132…シールド電極
326…誘電部材

Claims (10)

  1. 第1の部材と、
    前記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能な第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に配置された弾性部材と、前記第1の部材と前記弾性部材との間に設けられ、前記弾性部材の弾性変形によって前記弾性部材の一部が侵入することで厚みが変化する空気層を前記第1の部材と前記弾性部材との間に形成する支持体と、前記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する電極対とを有し、前記電極対の合成容量の変化に基づいて前記第1の方向への前記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する検出機構と
    を具備するセンサ装置。
  2. 請求項1に記載のセンサ装置であって、
    前記第1の部材は、前記空気層に面して形成された誘電体層を有し、
    前記電極対は、前記空気層に面して前記誘電体層の上に配置された、前記第1の方向と直交する方向にそれぞれ対向する第1の電極部と第2の電極部とを有し、
    前記検出機構は、前記空気層を挟む前記第1および前記第2の電極部間の第1の静電容量と、前記誘電体層を挟む前記第1および前記第2の電極部間の第2の静電容量との合成容量の変化に基づいて、前記検出信号を出力するセンサ装置。
  3. 請求項2に記載のセンサ装置であって、
    接地電位に接続され、前記電極対と前記第1の方向に対向するように前記第2の部材の上に配置された第3の電極部をさらに具備するセンサ装置。
  4. 請求項1に記載のセンサ装置であって、
    前記電極対は、
    前記空気層に面して前記第1の部材の上に配置された第1の電極部と、
    前記第1の電極部と前記第1の方向に対向する、前記第2の部材の上に配置された第2の電極部とを有し、
    前記検出機構は、前記空気層と前記弾性部材との界面と前記第1の電極部との間の第1の静電容量と、前記界面と前記第2の電極部との間の第2の静電容量との合成容量の変化に基づいて、前記検出信号を出力するセンサ装置。
  5. 請求項1に記載のセンサ装置であって、
    前記支持体は、前記弾性部材を前記第1の部材の上に接着する粘着層であるセンサ装置。
  6. 請求項1に記載のセンサ装置であって、
    前記検出機構に電気的に接続され、前記検出信号に基づいて前記第1の方向への前記第2の部材の移動量を演算する演算部をさらに具備するセンサ装置。
  7. 請求項1に記載のセンサ装置であって、
    前記第2の部材は、前記第1の方向と直交する平面内における操作子の位置を検出するタッチパネルであり、
    前記第1の部材は、前記タッチパネルを収容する筐体であるセンサ装置。
  8. 第1の部材と、
    前記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能な第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に配置された弾性部材と、前記第1の部材に対して前記第1の方向に対向することで形成される空気層の厚みを前記弾性部材の弾性変形によって変化させる、前記弾性部材に隣接して配置された誘電部材と、前記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する電極対とを有し、前記電極対の合成容量の変化に基づいて前記第1の方向への前記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する検出機構と
    を具備するセンサ装置。
  9. 第1の部材と、
    前記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能な透光性を有する第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に配置された弾性部材と、前記第1の部材と前記弾性部材との間に設けられ、前記弾性部材の弾性変形によって前記弾性部材の一部が侵入することで厚みが変化する空気層を前記第1の部材と前記弾性部材との間に形成する支持体と、前記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する電極対とを有し、前記電極対の合成容量の変化に基づいて前記第1の方向への前記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する検出機構と、
    前記第2の部材に収容され、前記第1の部材に対向する表示面を有する表示素子と
    を具備する表示装置。
  10. 第1の部材と、
    前記第1の部材に対して第1の方向へ相対移動可能な透光性を有する第2の部材と、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に配置された弾性部材と、前記第1の部材に対して前記第1の方向に対向することで形成される空気層の厚みを前記弾性部材の弾性変形によって変化させる、前記弾性部材に隣接して配置された誘電部材と、前記空気層の厚みの変化に応じて変化する静電容量成分を含む複数の静電容量を形成する電極対とを有し、前記電極対の合成容量の変化に基づいて前記第1の方向への前記第2の部材の移動量に関する検出信号を出力する検出機構と、
    前記第2の部材に収容され、前記第1の部材に対向する表示面を有する表示素子と
    を具備する表示装置。
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