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JP2023009525A - タッチパネル装置 - Google Patents

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博章 江口
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Abstract

【課題】視認性を損なわないようなタッチパネルの構造を提案する。【解決手段】本発明に係るタッチパネル装置は、圧電効果を有するピエゾフィルムと、前記ピエゾフィルムにおける厚み方向に直交する2面のうち第1面側に配置され、タッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造を有するタッチ検出部と、前記ピエゾフィルムにおける前記第1面とは逆側の面である第2面側に配置された導電層と、を備え、前記ピエゾフィルムは前記第1面にコーティング層が形成され、前記コーティング層を介して前記タッチ検出部と接着剤により接着されている。【選択図】図7

Description

本発明は、操作面におけるタッチ位置及び当該操作面への押圧を検出するタッチパネル装置に関する。
操作面に対するタッチ位置を検出する位置検出機能と、当該タッチの押圧力を検知する圧力検出機能とを有するタッチパネル装置が知られている。
例えば特許文献1には、静電容量感知式と圧力感知式とを組み合わせたタッチパネル装置が開示されている。このタッチパネル装置は、タッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造を有するタッチ検出部、圧電特性を有するピエゾフィルム、基準電位となる導電層の順に積層されており、ピエゾフィルムは厚み方向の圧力により誘電電界を生じさせ、これによりタッチ検出部と導電層の間に電位差を発生させる。当該電位差に基づいてタッチパネルに対する押圧力が検知される。
特表2018-504691号公報
上記特許文献1に示すようなタッチパネル装置では、ピエゾフィルムとタッチ検出部及び導電層がOCA(Optical Clear Adhesive)などの接着剤を介して接着されている。
このような構造を有するタッチパネル装置は、高温高湿環境下における接着剤の添加物によるピエゾフィルムの酸化反応(黄変)や、ピエゾフィルムの一軸延伸処理による形成の際に生じる傷などの要因により、タッチパネルの視認性が損なわれるおそれがある。
そこで本発明では、視認性を損なわないようなタッチパネルの構造を提案する。
本発明に係るタッチパネル装置は、圧電効果を有するピエゾフィルムと、前記ピエゾフィルムにおける厚み方向に直交する2面のうち第1面側に配置され、タッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造を有するタッチ検出部と、前記ピエゾフィルムにおける前記第1面とは逆側の面である第2面側に配置された導電層と、を備え、前記ピエゾフィルムは前記第1面にコーティング層が形成され、前記コーティング層を介して前記タッチ検出部と接着剤により接着されているものである。
これにより、接着剤の添加物などがピエゾフィルムに到達することが防止される。
本発明によれば、タッチパネルの視認性の低下を抑制することができる。
本発明の実施の形態におけるタッチパネル装置の構成例を示す図である。 本実施の形態におけるタッチパネルの積層構造の概要を模式的に示す図である。 先行例におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第1の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第1の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第1の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第2の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第2の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第2の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第2の実施の形態におけるタッチパネルの積層構造を模式的に示す図である。 第2の実施の形態におけるピエゾフィルムの黄変特性の推移を示すグラフである。
以下、実施の形態を図1から図11を参照して説明する。
なお、本実施の形態の説明にあたり参照する図面に記載された構成は、本実施の形態を実現するにあたり必要な要部及びその周辺の構成を抽出して示している。また図面は模式的なものであり、図面に記載された各構造の厚みと平面寸法の関係、比率等は一例に過ぎない。従って、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば設計などに応じて種々な変更が可能である。
<1.タッチパネル装置の構成例>
実施の形態におけるタッチパネル装置1の構成例について図1及び図2を参照して説明する。
タッチパネル装置1は、各種機器においてユーザインターフェース装置として装着される。ここで各種機器とは、例えば電子機器、通信機器、情報処理装置、製造設備機器、工作機械、車両、航空機、建物設備機器、その他非常に多様な分野の機器(表示装置)が想定される。タッチパネル装置1は、これらの多様な機器製品においてユーザの操作入力に用いるデバイスとして採用される。
ここでのユーザの操作入力には、ユーザがタッチパネル又はそれに被せた材料の層を、タッチしたり押圧したりすることを含むものとする。またこの操作入力には、ユーザの指、又はスタイラスによるものを含むものとする。
図1ではタッチパネル装置1と製品側MCU(Micro Control Unit)100を示しているが、製品側MCU100とは、タッチパネル装置1が装着される表示装置における制御装置を示しているものである。タッチパネル装置1は製品側MCU100に対してユーザの操作入力の情報を供給する動作を行うことになる。
タッチパネル装置1は、タッチパネル2、マルチプレクサ3及びコントローラ4を有する。タッチパネル2はマルチプレクサ3を介してコントローラ4と接続される。この接続を介してコントローラ4(後述するMCU43)はマルチプレクサ3の駆動(センシング)を制御する。
また操作入力デバイスとして機器に搭載される際には、コントローラ4は製品側MCU100と接続される。この接続によりコントローラ4は製品側MCU100にセンシングした操作情報dtを送信する。
タッチパネル2は、図2に示すような複数の層を有する積層構造5により形成される。積層構造5の詳細は後述するが、積層構造5は各層が概して平面状に形成され、少なくともピエゾフィルム11、タッチ検出部12及び導電層13を有する。ここで、以下の説明では図2に示すようなX、Y、Zの方向を定義する。具体的には、X方向は、タッチパネル2の厚み方向と垂直な方向を指す。Y方向は、タッチパネル2の厚み方向と垂直な方向であり、X方向と直交する方向を指す。Z方向は、XY面に垂直な方向であって、タッチパネル2の厚み方向と平行な方向を指す。この方向は、以降の各図においても同様である。
ピエゾフィルム11は圧電特性を有する透明なシート状の高分子ポリマーであり、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF:PolyVinylidene DiFluoride)や、その共重合体であるP(VDF-TrFE)などが適用される。ポリフッ化ビニリデンは高強度、耐薬品性、耐熱性に優れる強導電性ポリマーであり、加工性、透光性に優れた特徴を有している。またピエゾフィルム11は、電気的にどこにも接続されておらず、フローティングの状態とされている。
タッチ検出部12は、ピエゾフィルム11における厚み方向に直交する2面のうち第1面SA側に配置され、パネル平面にタッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造21を有する(図1参照)。
電極構造21に用いられる各電極は、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)などの堆積とパターン形成に適した金属やPEDOT(Poly(3,4-EthyleneDiOxyThiophene))などの透光性を有する導電性ポリマーにより形成される。これは後述する導電層13においても同様である。
導電層13は、ピエゾフィルム11における第1面SAとは逆側の面である第2面SB側に配置される。導電層13は、一定の電位を供給する電圧バイアス源6に接続される。なお、導電層13はグランドに接続されてもよい。
導電層13は、ピエゾフィルム11の基準電位として機能する。タッチパネル2に対するユーザの操作入力によりピエゾフィルム11に印加された応力により、ピエゾフィルム11上に圧電効果による電圧が生じる。この電圧変化はタッチ検出部12の電極構造21を介して検出される。このような電圧変化を検出することで、ユーザの操作入力の押圧の程度を検出することができる。
ここでタッチ検出部12の電極構造21について説明する。電極構造21では、複数の第1電極22及び複数の第2電極23が配置されている。
第1電極22は、それぞれがX方向に延在し、Y方向に等間隔で配列されている。第1電極22は、それぞれ第1導電経路24を介してマルチプレクサ3に接続される。
また第2電極23は、それぞれがY方向に延在し、X方向に等間隔で配列されている。第2電極23は、それぞれ第2導電経路25を介してマルチプレクサ3に接続される。
第1電極22及び第2電極23は、例えば長手方向に菱形が連続する形状に形成され、互いに交差するように配置されている。第1電極22と第2電極23の交差位置には導通を防ぐため例えば図示しない絶縁層が形成されている。第1電極22と第2電極23の間には静電容量(例えば交差位置における容量)が存在し、当該静電容量は、タッチパネル2に対するユーザの操作入力により変化する。このような静電容量の変化を検出することで、ユーザの操作入力の位置を検出することができる。
なお、第1電極22及び第2電極23は、図1に示すように交差して配設される場合もあれば、いわゆるシングルレイヤ電極構造として、交差が生じないように配設される場合もある。いずれにしても第1電極22及び第2電極23が配設される範囲内でタッチ操作面が形成され、タッチ操作時の容量変化により操作位置が検出される構造となる。
マルチプレクサ3により選択された第1電極22に、第1導電経路24を介してセンシングのための送信信号が順次出力されることで、ユーザの操作入力の検出走査が行われる。ここで、選択された第1電極22上でユーザの操作入力が行われることで、操作入力された位置付近の第2電極23から第2導電経路25を介して検出信号dslが受信される。当該検出信号dslに基づいてユーザの操作入力位置が特定される。
この検出信号dslには、ユーザの操作入力により生じる静電容量変化に基づく信号に、上述したピエゾフィルム11の圧電効果による電圧変化に基づく信号が重畳されている。検出信号dslは、マルチプレクサ3を介してコントローラ4に供給される。
コントローラ4は、フロントエンド回路41、信号処理部42及びMCU43を有している。またフロントエンド回路41は、増幅回路41a、第1信号フィルタ41b及び第2信号フィルタ41cを有している。
上述の特許文献特表2018-504691に示されるように、タッチパネル2での検出走査に応じて検出された検出信号dslがフロントエンド回路41に順次入力され、増幅回路41aにより増幅処理が施される。
増幅された検出信号dslは、第1信号フィルタ41b及び第2信号フィルタ41cに入力され、ピエゾフィルム11の圧電効果による電圧変化に基づく圧電信号pslと、ユーザの操作入力により生じる電極構造21での静電容量変化に基づく静電容量信号cslとが検出信号dslから分離して抽出される。
第1信号フィルタ41bは、例えば所定の基準周波数よりも低いカットオフ周波数を有するローパスフィルタなどであり、検出信号dslから圧電信号pslを抽出する。また第2信号フィルタ41cは、例えば当該基準周波数よりも低く、かつ第1信号フィルタ41bのカットオフ周波数よりも高いカットオフ周波数を有するハイパスフィルタなどであり、検出信号dslから静電容量信号cslを抽出する。
第1信号フィルタ41b及び第2信号フィルタ41cから抽出された静電容量信号csl及び圧電信号pslは、信号処理部42に出力される。
信号処理部42は、入力された静電容量信号cslに基づいて静電容量値cvを出力し、圧電信号pslに基づいて圧電値pvを出力する。
MCU43は、入力された静電容量値cvとマルチプレクサ3に対する制御情報などからユーザの操作入力の座標値といった位置情報を算出し、当該位置における圧電値pvから操作入力の押圧の程度を示す圧力情報を算出する。MCU43は、算出した位置情報及び圧力情報を有する操作情報dtを製品側MCU100に出力する。これにより、タッチパネル2に対するユーザの操作入力のセンシング結果がタッチパネル装置1を搭載する表示装置側に供給される。
<2.積層構造の先行例>
ここで先行例としてのタッチパネル2’における積層構造5’について、図3を参照して説明する。
ここでの積層構造5’は、図示のように表示パネル14上からZ方向に誘電体部材15、導電層13、ピエゾフィルム11、透明部材16、電極構造21、カバー部材17が順に配置されている。
表示パネル14は、液晶パネル、有機EL(electro-luminescence)パネルなどの薄型ディスプレイである。表示パネル14には、製品側MCU100による表示制御により画像が表示される。
誘電体部材15は透光性を有する例えばポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)などのポリマー誘電体により形成される。誘電体部材15は、一方の面が両面テープ18により表示パネル14の表面に接着され、他方の面には導電層13が形成されている。導電層13の表面は、ピエゾフィルム11の第2面SBと透光性を有する接着剤19Aにより接着されている。接着剤19Aは、例えばOCAである。これは後述の接着剤19B、19C、19Dについても同様である。
透明部材16は、透光性と絶縁性を有するガラス板や樹脂フィルムなどであり、一方の面が接着剤19Bによりピエゾフィルム11の第1面SAと接着される。透明部材16の他方の面には、電極構造21が形成される。ここでは透明部材16と電極構造21によりタッチ検出部12が形成される。接着剤19A、19Bにより、ピエゾフィルム11は外部から絶縁され、ピエゾフィルム11の表面に生じた電荷がタッチ検出部12や導電層13に流入することが防止される。
カバー部材17は、透光性と絶縁性を有するガラス板やアクリル板などであり、電極構造21と接着剤19Cにより接着されている。カバー部材17の表面は、ユーザが操作入力を行う操作面となり、タッチパネル装置1を搭載する表示装置の画像表示面となる。
上述した先行例における積層構造5’では、導電層13が形成された誘電体部材15をピエゾフィルム11に接着剤19Aにより貼り合わせるように形成することから、接着剤19Aの材料コストや貼り合わせの工数が必要となってしまう。また、接着剤19A等による貼り合わせの際には、気泡や異物混入のリスクが生じるため、当該貼り合わせの工程はできるだけ少ない方が望ましい。
またこのような積層構造5’を有するタッチパネル2’を高温高湿環境下にさらすと、接着剤19A等の添加物によってピエゾフィルム11の酸化反応が促進され、ピエゾフィルム11が目視できるほどに黄変してしまうことがあり、タッチパネル2’の光学特性が損なわれるおそれがある。また、ピエゾフィルム11は一軸延伸処理により形成されるが、このときに生じる傷によっても光学特性やタッチパネル2’の表示品位が損なわれるおそれがある。
以下、上記の課題を解決するための本発明の実施の形態について説明する。
<3.積層構造の第1の実施の形態>
タッチパネル2における積層構造5の第1の実施の形態について、図4から図6を参照して説明する。なお、以降、一度説明した構成については同一符号で示し、説明を省略するものとする。
本実施の形態の積層構造5では、図4に示すように、ピエゾフィルム11の第2面SBに対し絶縁層26Aが形成され、絶縁層26Aの表面に導電層13が形成される。
絶縁層26Aは、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系などの有機樹脂材料やSiなどの無機材料が用いられ、ピエゾフィルム11の第2面SBに対し所定の積層プロセスにより形成される。ここで積層プロセスとは、例えば樹脂についての湿式塗布や、Siなどの蒸着、スパッタリング等の乾式コーティングなど、接着剤を用いた積層を除いた積層の手法をいう。
ピエゾフィルム11の第2面SBに絶縁層26Aが形成された表面に、さらに導電層13が所定の積層プロセスにより形成される。ピエゾフィルム11と導電層13の間に絶縁層26Bを形成することで、ピエゾフィルム11の表面に生じた電荷が導電層13に流入することが防止される。
導電層13の表面は、枠状にされた両面テープ18により表示パネル14と接着されている。当該接着された状態において、導電層13と表示パネル14の間には空気層となる間隙20が形成される。
上述のようにピエゾフィルム11に絶縁層26Aと導電層13を直接形成することで、図3に示すように接着剤19Aを用いて導電層13の形成された誘電体部材15と接着する必要がなくなる。従って、接着剤19A及び誘電体部材15といった材料コストを削減することができ、また接着剤19Aを用いた貼り合わせの工数を削減することができる。
また本実施の形態では、図5に示すように、絶縁層26A上に積層された導電層13にさらに絶縁層26Bを形成することもできる。絶縁層26Bは上記と同様の積層プロセスにより形成される。絶縁層26Bの表面は、両面テープ18により表示パネル14と接着される。
このとき、図6に示すように、絶縁層26Bと表示パネル14を接着剤19Dにより接着することもできる。これにより、図5のような絶縁層26Bと表示パネル14の間隙20に形成された空気層が接着剤19Dにより充填されるため、反射率が抑えられ、タッチパネル2の視認性を向上させることができる。
<4.積層構造の第2の実施の形態>
続いて、タッチパネル2における積層構造5Aの第2の実施の形態について、図7から図11を参照して説明する。
本実施の形態の積層構造5Aでは、図7に示すように、ピエゾフィルム11の第1面SAにコーティング層27Aが形成され、ピエゾフィルム11は、コーティング層27Aを介してタッチ検出部12と接着剤19Bにより接着されている。
コーティング層27Aは、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系などの有機樹脂材料やSiなどの無機材料が用いられ、ピエゾフィルム11の第1面SAに対し上記と同様の積層プロセスにより形成される。このとき、例えばピエゾフィルム11の厚みが40μmなのに対し、コーティング層27Aの厚みは0.4から2.0μmとされる。
このように、接着剤19Bとピエゾフィルム11の間にコーティング層27Aを設けることで、接着剤19Bの添加物がピエゾフィルム11に到達することが防止され、ピエゾフィルム11の黄変を防ぐことができる。またコーティング層27Aを積層プロセスにより形成することで、ピエゾフィルム11の第1面SAの傷が埋まり、タッチパネル2の表示品質を向上することができる。
なお、上記の構成は、図8に示すような導電層13の表面にさらに絶縁層26Bが形成された積層構造5Aについても適用することができる。
また本実施の形態では、図9に示すように、導電層13が形成された誘電体部材15とピエゾフィルム11とが接着剤19Aにより接着されている場合において、ピエゾフィルム11の第2面SBにコーティング層27Bを形成することもできる。
コーティング層27Bは、コーティング層27Aと同様の積層プロセスにより形成される。これにより、接着剤19Aとピエゾフィルム11の間においてもコーティング層27Bが設けられ、接着剤19Aの添加物によるピエゾフィルム11の黄変が防止され、タッチパネル2の表示品質を向上することができる。
なお、上記では実施の形態の一例としてガラスタッチセンサー(GG(Glass/Glass Structure)構造)に適用する例について説明したが、上述した実施の形態は、図10に示すように、第1電極22と第2電極23にフィルム16A、16Bをコーティングしたフィルムタッチセンサー(GFF(CoverGlass + Film/Film Structure)構造)においても適用することができる。
ここで、図11を用いてピエゾフィルム11の黄変防止の効果について説明する。図11のグラフは、高温高湿環境下(温度:85度、湿度:85%)におけるピエゾフィルム11の時間に対する黄変特性を示す評価値ΔEの推移を示している。評価値ΔEが小さい程、黄変耐性が高いものとされる。
グラフAは、図3に示すようなコーティング層27A、27Bが形成されていないピエゾフィルム11の評価値ΔEの推移を示しており、グラフBは、図10に示すような厚み0.4μmのコーティング層27A、27Bが形成されているピエゾフィルム11の評価値ΔEの推移を示している。
ここで1000時間経過時の評価値ΔEを比較してみると、コーティング層27A、27Bが形成されていないピエゾフィルム11の評価値ΔEが6.3であるのに対し、コーティング層27A、27Bが形成されているピエゾフィルム11の評価値ΔEは2.2となっており、コーティング層27A、27Bを設けることでピエゾフィルム11の黄変が顕著に抑えられていることがわかる。
<5.まとめ及び変形例>
第1の実施の形態におけるタッチパネル装置1は、圧電効果を有するピエゾフィルム11と、ピエゾフィルム11における厚み方向(Z方向)に直交する2面のうち第1面SA側に配置され、タッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造21を有するタッチ検出部12と、ピエゾフィルム11における第1面SAとは逆側の面である第2面SBに対し積層プロセスより形成された絶縁層26Aと、絶縁層26A上に形成された導電層13と、を備える(図4参照)。
これにより、ピエゾフィルム11と導電層13が絶縁層26Aを介して一体に形成される。よって、図3に示すような接着剤19Aを用いて導電層13の形成された誘電体部材15と接着する必要がなくなる。従って、接着剤19A及び誘電体部材15といった材料コストを削減することができ、接着剤19Aを用いた貼り合わせの工数を削減することができる。また接着の工数が減ることで、貼り合わせの際に起こり得る気泡の発生や異物の混入などの品質不具合のリスクが軽減され、タッチパネル2の品質の維持が容易となる。
さらに、接着剤19A及び誘電体部材15による厚みや重量を削減することができるため、より軽量で薄型のタッチパネルを製造することができる。
また第1の実施の形態のタッチパネル装置1は、導電層13の表面に対し積層プロセスより形成された絶縁層26Bをさらに備える(図5参照)。
これにより、導電層13が絶縁層26A、26Bにより絶縁される。従って、導電層13における外部への電荷の流出や、外部からの流入が防止され、導電層13の基準電位を安定して保つことができる。
また第1の実施の形態のタッチパネル装置1を搭載した表示装置においては、表示パネル14が絶縁層26Bと接着剤19Dにより接着されている(図6参照)。
これにより、図5のような絶縁層26Bと表示パネル14の間隙20に形成された空気層が接着剤19Dにより充填されるため、反射率が抑えられ、タッチパネル2の視認性を向上させることができる。
第2の実施の形態におけるタッチパネル装置1は、圧電効果を有するピエゾフィルム11と、ピエゾフィルム11における厚み方向(Z方向)に直交する2面のうち第1面SA側に配置され、タッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造21を有するタッチ検出部12と、ピエゾフィルム11における第1面SAとは逆側の面である第2面SB側に配置された導電層13と、を備え、ピエゾフィルム11は第1面SAにコーティング層27Aが形成され、コーティング層27Aを介してタッチ検出部12と接着剤19Bにより接着されている(図7参照)。
このように、接着剤19Bとピエゾフィルム11の間にコーティング層27Aを設けることで、接着剤19Bの一部を構成する物質がピエゾフィルム11に到達することが防止され、ピエゾフィルム11の黄変を防ぐことができる。
また第2の実施の形態のタッチパネル装置1は、ピエゾフィルム11は第2面SBにさらにコーティング層27Bが形成され、コーティング層27Bを介して導電層13と接着剤19Aにより接着されている(図9参照)。
接着剤19Aとピエゾフィルム11の間にコーティング層27Aを設けることで、ピエゾフィルム11の第2面SB側の接着剤19Aとの接触を防止することができる。これにより、上記同様、ピエゾフィルム11の黄変の防止が図られる。
また第2の実施の形態のタッチパネル装置1は、コーティング層27A、27Bを樹脂系材料の湿式塗布や無機系材料の乾式塗布などの積層プロセスにより形成することができる。
このような積層プロセスにより、ピエゾフィルム11の第1面SA及び第2面SBの傷が埋まり目立たなくなるため、タッチパネル2の表示品質を向上することができる。さらに、ピエゾフィルム11とコーティング層27Aの積層体が皺になりにくくなり、貼り合わせ時の作業性の向上、及び皺による表示品位低下の防止を図ることができる。
最後に、本開示に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、他の効果を奏するものであってもよいし、本開示に記載された効果の一部を奏するものであってもよい。また本開示に記載された実施の形態はあくまでも一例であり、本発明が上述の実施の形態に限定されることはない。従って、上述した実施の形態以外であっても本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能なことはもちろんである。なお、実施の形態で説明されている構成の組み合わせの全てが課題の解決に必須であるとは限らない。
1 タッチパネル装置
2 タッチパネル
5 積層構造
11 ピエゾフィルム
12 タッチ検出部
13 導電層
14 表示パネル
15 誘電体部材
16 透明部材
19A、19B、19C、19D 接着剤
21 電極構造
26A、26B 絶縁層
27A、27B コーティング層

Claims (4)

  1. 圧電効果を有するピエゾフィルムと、
    前記ピエゾフィルムにおける厚み方向に直交する2面のうち第1面側に配置され、タッチ位置の検知が可能にパターニングされた電極構造を有するタッチ検出部と、
    前記ピエゾフィルムにおける前記第1面とは逆側の面である第2面側に配置された導電層と、を備え、
    前記ピエゾフィルムは前記第1面に第1コーティング層が形成され、前記第1コーティング層を介して前記タッチ検出部と接着剤により接着されている
    タッチパネル装置。
  2. 前記ピエゾフィルムは前記第2面に第2コーティング層が形成され、前記第2コーティング層を介して前記導電層と接着剤により接着されている
    請求項1に記載のタッチパネル装置。
  3. 前記第1コーティング層及び前記第2コーティング層は、樹脂系材料の湿式塗布により形成された
    請求項2に記載のタッチパネル装置。
  4. 前記第1コーティング層及び前記第2コーティング層は、無機系材料の乾式塗布により形成された
    請求項2に記載のタッチパネル装置。
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