以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係るテープ印刷装置1の斜視図であり、図1(a)は、テープ印刷装置1の開閉カバー103を閉じた状態の斜視図であり、図1(b)は、テープ印刷装置1の開閉カバー103を開いた状態の斜視図である。なお、図1(b)では、テープカートリッジ15を装着部110から取り出した状態の図を示している。図1を参照してテープ印刷装置1の外観的な構成を説明する。
なお、図1において、テープ印刷装置1の操作パネル101からテープカートリッジ15方向(図面の右から左方向)をY軸(+Y軸)方向とし、テープ排出口104からテープカートリッジ15方向(図面の下から上方向)をX軸(+X軸)方向とし、Y軸方向とX軸方向とに直交する方向をZ軸方向(裏面から表面方向を+Z軸方向)とする。以降の図面は、図1において定義したXYZ直交座標系で示す。なお、Z軸方向は、テープ印刷装置1の高さ方向、厚み方向、及び上下方向となる。また、以降の説明において、方向を説明する場合、適宜、XYZ直交座標系を用いる。
テープ印刷装置1は、外装ケース100によりテープ印刷装置1の外装が形成されている。テープ印刷装置1は、図1に示すように、外装ケース100の−Y側上面に各種入力キーを備えた操作パネル101を有している。また、外装ケース100の+Y側上面には、ディスプレイ102を有している。また、ディスプレイ102に隣接して、開閉自在の開閉カバー103を有している。また、図示省略するが、外装ケース100には、電源装置、各種表示ランプ、トリマー装置等が設置され、外装ケース100内部には、テープ印刷装置1の動作を統括制御する制御部を実装した回路基板等が設置されている。
図1(b)に示すように、開閉カバー103の下側(−Z側)には、テープカートリッジ15を着脱自在に収容する装着部110が設けられている。装着部110には、プラテンローラー回転軸122や、インクリボン巻取り軸123や、印刷ヘッドユニット130等が延出している。なお、テープカートリッジ15を着脱する際には、開閉カバー103を開いて行う。また、テープカートリッジ15の着脱後は、開閉カバー103を閉じる。
図1(b)に示すように、外装ケース100内部において、装着部110のテープ送り方向下流側(−X側)には、テープ状部材160に対してフルカット及びハーフカットを行うカット装置20が設置されている。また、カット装置20のテープ送り方向下流側の外装ケース100の側面には、フルカットされて分離したテープ状部材160を装置外部に排出するテープ排出口104が開設されている。
図2は、テープ印刷装置1内部におけるテープカートリッジ15、印刷駆動装置120、及びカット装置20の斜視図である。図3は、図2におけるテープカートリッジ15、印刷駆動装置120、及びカット装置20を個々に示す斜視図であり、図3(a)は、テープカートリッジ15の斜視図であり、図3(b)は、印刷駆動装置120の斜視図であり、図3(c)は、カット装置20の斜視図である。図2、図3を参照して、テープカートリッジ15、印刷駆動装置120、及びカット装置20の概略の構成に関して説明する。
図2に示すように、テープカートリッジ15は、装着部110(装着ケース111)に装着される。装着部110の下側(−Z側)には、テープカートリッジ15を駆動してテープ状部材160に印刷を行う印刷駆動装置120(図3(b)参照)が配置されている。また、この印刷駆動装置120の下側(−Z側)及び装着ケース111の側面側(−X側及び+Y側)に本実施形態のカット装置20が配置される。特に、印刷駆動装置120の下側(−Z側)には、後述する、カット装置20(カッター作動機構300)の動力伝達機構600を構成する回動円板610が配置されている。
テープカートリッジ15の内部には、図3(a)に示すように、ロール状に巻回されたテープ状部材160が装着されるテープ供給スプール151が設置され、テープ状部材160の先端部は、カット装置20側の側壁に開設されたテープ送出口154から送り出された状態となっている。なお、テープ状部材160は、印刷される部材となる粘着剤付きの印刷テープ161と、剥離紙162とを積層して構成されている。
テープ送出口154の近傍には、後述するプラテンローラー回転軸122と係合して回転するプラテンローラー180が設置され、その対向する側には、テープ状部材160を挟んで印刷ヘッド131が臨む開口部155を有している。また、開口部155の近傍には、リボン供給スプール152とリボン巻取りスプール153が設置されている。リボン供給スプール152は、インクリボン170をプラテンローラー180と印刷ヘッド131との間に供給する。リボン巻取りスプール153は、後述するインクリボン巻取り軸123と係合して回転し、インクリボン170を巻き取る。
印刷駆動装置120には、図3(b)に示すように、平板状の駆動装置フレーム121上に、プラテンローラー回転軸122とインクリボン巻取り軸123が回転可能に立設される。また、駆動モーター124の回転力がギヤ列(図示省略)を介して、プラテンローラー回転軸122とインクリボン巻取り軸123とに、それぞれ同時伝達可能に構成されている。そして、これら構成部は、装着ケース111の下側に隠蔽するように配置されている。
また、印刷駆動装置120には、印刷ヘッドユニット130が構成されている。印刷ヘッドユニット130には、サーマルヘッド等の印刷ヘッド131が、プラテンローラー回転軸122に対向してヘッドホルダー132により保持されている。ヘッドホルダー132はヘッドホルダー軸(図示省略)を中心に回動可能である。
テープカートリッジ15を装着部110に装着した場合(図2参照)、プラテンローラー回転軸122とプラテンローラー180が係合し、インクリボン巻取り軸123とリボン巻取りスプール153が係合する。また、印刷ヘッドユニット130は、ヘッドホルダー132の下端部から装着ケース111の側面に渡って延設されるリレーズレバー134を有している。そして、リレーズレバー134は、開閉カバー103の開閉動作と連動して操作され、開閉カバーが閉じられた状態で、テープカートリッジ15の開口部155内に臨む印刷ヘッド131が、インクリボン170及びテープ状部材160を挟持してプラテンローラー180を押圧する。
ここで、制御部から印刷指示がされた場合、駆動モーター124が作動し、プラテンローラー180とリボン巻取りスプール153が回転を開始する。そして、テープ状部材160が送られて印刷ヘッド131により、印刷テープ161に、インクリボン170のインクが熱転写されて印刷される。印刷済みのテープ状部材160は、テープ送出口154からテープ排出口104側に向かって順次送られる。また、印刷済みのインクリボン170は、リボン巻取りスプール153に順次巻き取られる。
更に、テープカートリッジ15のテープ送出口154から送り出された印刷済みのテープ状部材160は、カット装置20のベースフレーム310に形成される案内口320からカット装置20内部に送り出される(図3(c)参照)。案内口320からカット装置20内部に進入したテープ状部材160は、テープ受け面843a(図9参照)及びテープ排出ローラー820(図9参照)を有するテープ排出機構800と、テープ排出ローラー820に対峙して設置されたテープ押えローラー910を有するテープ押え機構900とにより形成される隙間に沿って、テープ排出口104側に送り出される。
なお、テープカートリッジ15を装着部110に装着する場合、テープ送出口154から延出しているテープ状部材160を、テープ排出機構800のテープ排出ローラー820と、テープ押え機構900のテープ押えローラー910との隙間に上方(+Z方向)から挿入する。
図3(c)を参照して、カット装置20を構成する機構系の概略を説明する。
カット装置20は、ベースフレーム310を基準に、その上部に構成されている。カット装置20は、後述するカッター刃210(図4参照)を有するカッターユニット200(図4参照)と、カッターユニット200に切断準備動作、切断動作、離脱動作、及び復帰動作を含む循環運動を行わせる後述するカッター作動機構300とを備えている。また、カット装置20には、後述するテープ排出機構800及びテープ押え機構900が備えられている。また、本実施形態のカット装置20は、1つの共通のカッターユニット200でフルカット及びハーフカットを行うことが可能である。言い換えると、カッターユニット200を共有化してフルカット及びハーフカットを行うことができる。
図4は、カッターユニット200を示す斜視図であり、図4(a)は、カッターユニット200の完成図であり、図4(b)は、カッターユニット200の組立図である。カッターユニット200の構成を説明する。
カッターユニット200は、後述するガイドシャフト430にスライド自在に案内され、テープ状部材160を切断するユニットである。カッターユニット200は、斜刃で構成されるカッター刃210と、カッター刃210を保持するカッターホルダー220と、カッター刃210をカッターホルダー220に挟み込んで固定するカッターカバー230とから構成されている。
図4(a)に示すように、カッターユニット200は、カッター刃210の刃先211をカッターホルダー220の取付け面222の端面から+Y方向に突出させた状態で固定される。また、カッターユニット200は、カッターカバー230に形成した傾斜面234により、刃先211を一様に露出させた状態でカッター刃210を固定する。
カッターユニット200の組立ては、図4(b)に示すように、刃先211を上方向(+Z方向)に向け、カッターホルダー220の位置決め突起223にカッター刃210の位置決め孔212を係合させる。また、カッター刃210の位置決め孔212を貫通した位置決め突起223に、カッターカバー230の位置決め孔231を係合させ、カッター刃210を覆う。
次に、固定ネジ237をカッターホルダー220の背面側(−X側)から固定孔224とカッター刃210の固定孔213を貫通させて、カッターカバー230の固定孔232にネジ締めする。また、固定ネジ238をカッターカバー230の表面側(+X側)から固定孔233を貫通させてカッターホルダー220の固定孔225にネジ締めする。これにより、カッターホルダー220は、カッター刃210をカッターカバー230とで挟持して、カッター刃210を固定する。
カッター作動機構300は、第1移動機構400と第2移動機構500と動力伝達機構600とを備えている。第1移動機構400は、カッターユニット200をテープ状部材160に対して前後方向(Y軸方向)に移動させる機構である。また、第2移動機構500は、カッターユニット200をテープ状部材160に対して上下方向(Z軸方向)に移動させる機構である。また、動力伝達機構600は、第1移動機構400及び第2移動機構500に動力を分岐して伝達し、第1移動機構400及び第2移動機構500を連動させてカッターユニット200に循環運動を行わせる機構である。また、動力伝達機構600は、テープ排出機構800にも動力を分岐して伝達している。
図5は、第1移動機構400を示す斜視図であり、図5(a)は、第1移動機構400の完成図であり、図5(b)は、第1移動機構400の組立図である。図5を参照して第1移動機構400の構成を説明する。
第1移動機構400は、カッターユニット200をテープ状部材160に対して前後方向(Y軸方向)に移動させる機構である。第1移動機構400は、本実施形態では、カッターユニット200に切断準備動作と、離脱動作と、併せて、切断動作の一部を行わせる。第1移動機構400は、カッタースライドユニット410と、動力伝達機構600の回動円板610と平面カム機構670を構成する第1プレート450とで構成される。カッタースライドユニット410は、ガイドシャフトユニット420と、ガイドシャフトユニット420に対して適切な押圧力を付与して支持するユニット支持ケース440と、押圧力の発生源となる2つの押圧バネ447,448とで構成される。
第1プレート450は、回動円板610とカッタースライドユニット410とを連動させる。第1プレート450は板材で形成され、カッタースライドユニット410を連結保持するユニット保持部451と、回動円板610と連結するカム用アーム部452とで構成される。
カム用アーム部452は、後述する回動円板610に形成される平面カム溝620に、下側からカム突起460を係合させるためのカム突起孔456が形成される。また、カム突起460をカム突起孔456に伸縮自在(Z方向に伸縮自在)に保持固定するためのバネ部材としての押圧バネ471を備えて、突起保持部470が構成されている。
図6は、第2移動機構500を示す斜視図であり、図6(a)は、第2移動機構500の完成図であり、図6(b)は、揺動プレート510の斜視図である。なお、図6では、説明の便宜上、カッタースライドユニット410(ガイドシャフトユニット420を有する第1移動機構400)は図示を省略している。図6を参照して第2移動機構500及び揺動プレート510の構成を説明する。
第2移動機構500は、カッターユニット200をガイドシャフト430に沿って上下方向(Z軸方向)に移動させる機構である。また、第2移動機構500は、カッターユニット200を上下方向に移動させることにより、テープ状部材160に対する切断動作や復帰動作を行わせる。第2移動機構500は、上述したカッタースライドユニット410と、動力伝達機構600の回動円板610とクランク機構680を構成する第2プレート550と、一端部をカッターユニット200と揺動自在に連結して他端部を第2プレート550と揺動自在に連結する揺動プレート510とで構成される。
第2プレート550は、回動円板610とカッタースライドユニット410とを連動させる。第2プレート550は、揺動プレート510を揺動自在に連結して保持する揺動プレート保持部551と、回動円板610と連結するクランク用アーム部552とで構成される。揺動プレート保持部551の壁部553には、後述する揺動プレート510を揺動させるためのスライド孔554が形成されている。クランク用アーム部552は、回動円板610に突設されるクランク突起630に下側から係合させるためのクランク穴556が形成される。
揺動プレート510は、図6(b)に示すように、プレート本体511を有し、その外形角部近傍には、揺動中心となる回動孔512と、プレート本体511の面に垂直な方向(−X方向)に立設される第1スライド軸513と第2スライド軸514とが構成されている。なお、第1スライド軸513は第2プレート550とスライド自在に連結し、第2スライド軸514はカッターユニット200とスライド自在に連結する。これにより、揺動プレート510は、結果として、回動孔512を中心とした揺動を行う。
図7は、カッター作動機構300の動力伝達機構600と駆動部700とを下方から見た斜視図である。なお、図7は、サブフレーム330、テープ排出機構800、及びテープ押え機構900を設置した状態を示している。
動力伝達機構600は、駆動部700から入力した動力により回動する回動円板610を備えている。駆動部700は、駆動モーター710と、駆動モーター710の回転に従動して回動円板610を回動させるギヤ列720とを有している。
なお、詳細は後述するが、駆動部700により回動円板610(動力伝達機構600)が回転し、その回転による動力が分岐されて第1移動機構400と第2移動機構500に伝達し、連動してカッター作動機構300が作動する。このカッター作動機構300の作動により、切断準備動作と切断動作と離脱動作と復帰動作とを含む循環運動を行うことにより、カッターユニット200は、テープ状部材160をカットする。
ここで、駆動部700の構成を説明する。
駆動部700は、動力伝達機構600を構成する回動円板610に回転する動力を伝達する構成部である。駆動部700は、図7に示すように、駆動モーター710と、駆動モーター710の回動に従動して回動円板610に動力を伝達するギヤ列720と、カッター刃210が切断待機位置にあるか否かを検出する検出スイッチ部730とにより構成される。ギヤ列720は、駆動モーター710のモーター軸711に圧入されるウォーム721と、ウォーム721に噛み合うウォームホイール722で構成される。また、ウォームホイール722は、下部に、回動円板610の外周部に形成されるギヤ部650に噛み合って動力を伝達する伝達ギヤ723が一体に形成されている。
なお、駆動モーター710は、順方向回転及び逆方向回転を行う。従って、駆動部700により、回動円板610も、順方向回転及び逆方向回転を行う。また、モーター軸711には、回転数検出部材725が設置されているため、駆動モーター710の回転数を検出することも可能となっている。
検出スイッチ部730は、図7に示すように、検出レバー732を有する検出スイッチ731と、検出レバー732に当接する検出アーム733とで構成される。検出スイッチ部730は、カット装置20によるハーフカットまたはフルカットが完了したか否かを検出する構成部である。なお、検出スイッチ部730は、検出結果(ON/OFF)をテープ印刷装置1に備える制御部(図示省略)に出力している。検出スイッチ部730は、回動円板610の平面カム溝620に係合して動作し、ハーフカットまたはフルカットが完了したか否かを検出している。
図8は、テープ押え機構900の斜視図である。図8を参照して、テープ押え機構900の構成を説明する。
テープ押え機構900は、第1移動機構400に従動して移動し、カッターユニット200がテープ状部材160をフルカットまたはハーフカットの切断動作を行っている間、対向して設置される後述するテープ排出機構800と共に、テープ状部材160を押圧して挟持し、テープ状部材160の移動を阻止する装置である。テープ押え機構900は、テープ押えローラー910と、テープ押えローラー910を回動自在に保持するテープ押えケース920とで構成される。テープ押えローラー910は、回動軸910a(図3(c)参照)を有し、回動軸910aの外周部に、略円柱状の部材で形成される押圧部911が設置されている。押圧部911は、上段と下段とを分けるように略中心部に凹形状の溝部911aが形成されている。なお、押圧部911は、弾性部材で構成され、本実施形態ではゴム系部材を用いている。
テープ押えケース920は、対向して設置されるテープ排出機構800(図9参照)側(+Y側)を開口した略箱状に形成されている。詳細には、テープ押えケース920は、テープ押えローラー910を上下で回動自在に保持する上板921及び下板922と、上板921及び下板922の3方向の端面間を連結する3つの側板923,924,925(図7参照)とで構成されている。
図9は、テープ排出機構800の斜視図である。図10は、テープ排出機構800を含む要部平面図である。なお、図10は、テープ排出機構800の動作を説明するため、必要な構成部を抜き出して図示している。図9、図10を参照して、テープ排出機構800の構成及び動作の概略に関して説明する。
テープ排出機構800は、カッターユニット200がテープ状部材160をハーフカットまたはフルカットを行っている間、対向して設置されるテープ押え機構900と共に、テープ状部材160を押圧して挟持し、テープ状部材160の移動を阻止する装置である。また、テープ排出機構800は、カッターユニット200がテープ状部材160をフルカットして切断動作の動作終了後、後述するテープ排出ローラー820を回転させることにより、切断分離されたテープ状部材160をテープ印刷装置1のテープ排出口104に向けて移動(排出)させる装置である。
テープ排出機構800は、テープ排出ローラーユニット810と排出駆動部850とで構成されている。テープ排出ローラーユニット810は、テープ排出ローラー820と、テープ排出ローラー820を回動自在に保持するテープ排出ケース830とで構成される。また、テープ排出ケース830は、機能的に、テープ排出ローラー820を収容するローラー収容部831と、カッターユニット200がテープ状部材160を切断する場合のカッター刃210(刃先211)を逃がすカッター刃逃げ部832とを有している。
テープ排出ローラー820は、回動軸820aの外周部に、略円柱状の部材で形成される押圧部821が設置されている。また、テープ排出ローラー820は、押圧部821の下方で回動軸820aに固定されるローラー回転ギヤ822が設置されている。
次に、排出駆動部850の構成を説明する。
排出駆動部850は、図9、図10に示すように、回動円板610の回転をテープ排出ローラー820に伝達してテープ排出ローラー820を回転させ、また、伝達を切断してテープ排出ローラー820の回転を禁止させる機構部である。
排出駆動部850は、伝達ギヤ列870と、クラッチ部880と、伝達ギヤ列870及びクラッチ部880を組み込む駆動部ケース860とで構成されている。伝達ギヤ列870は、テープ排出ローラー820を駆動(回転)させる基となる動力をクラッチ部880に伝達する。クラッチ部880は、伝達ギヤ列870の動力を伝達してテープ排出ローラー820を回転させ、また、伝達ギヤ列870の動力を切断してテープ排出ローラー820の回転を禁止させる。
伝達ギヤ列870は、回動円板610の外周部に形成するギヤ部650に係合して回動円板610の回転を伝達する第1ギヤ871と、第1ギヤ871に結合する伝達ギヤ871aを有する。また、この第1ギヤ871(伝達ギヤ871a)に係合して回転を後段ギヤに伝達する第2ギヤ872と、第2ギヤ872に結合する伝達ギヤ872aを有する。なお、排出駆動部850は、伝達ギヤ列870とギヤ部650とが係合して回動円板610との間に伝達機構660を構成している。
クラッチ部880は、第2ギヤ872の回動軸872bに所定の摩擦を持って嵌合されるクラッチケース881を有する。また、クラッチ部880は、クラッチケース881の+X側端部から延出するクラッチレバー882を有する。また、クラッチ部880は、クラッチケース881の−Y側端部の一方のコーナー部に回動自在に設置され、第2ギヤ872(伝達ギヤ872a)に係合するクラッチギヤ部としてのクラッチギヤ883を有する。なお、クラッチギヤ883は、後段ギヤとなるテープ排出ローラー820のローラー回転ギヤ822に係合した場合には、第2ギヤ872(伝達ギヤ872a)の回転をローラー回転ギヤ822に伝達し、テープ排出ローラー820を回転させる。
また、クラッチ部880は、クラッチケース881の−Y側端部の他方のコーナー部に固定して設置される固定ギヤ部としてのギヤストッパー884を有する。ギヤストッパー884が、テープ排出ローラー820のローラー回転ギヤ822に係合した場合には、ローラー回転ギヤ822の回転を禁止することにより、テープ排出ローラー820の回転を禁止する。
クラッチケース881は、上述したように、第2ギヤ872の回動軸872bに所定の摩擦を持って嵌合されることにより、摺動負荷が与えられ、第2ギヤ872の回転方向に回転しようとする。従って、クラッチケース881に設置されるクラッチレバー882、クラッチギヤ883、及びギヤストッパー884もクラッチケース881の動作に従動する。
なお、図10に示す図は、カッター刃210がフルカットを終了し、切断完了位置から離脱位置に後退し、切断待機位置に下降している状態を示している。この状態では、回動円板610は、矢印Aで示す順方向回転(時計回りの回転)を行っており、伝達ギヤ列870の第2ギヤ872も矢印Cで示す順方向回転を行う。これにより、排出駆動部850のクラッチギヤ883がテープ排出ローラー820のローラー回転ギヤ822に噛み合うことにより、テープ排出ローラー820が回転して、切断されたテープ状部材160を−X側に設置されるテープ送出口154から排出される。
図11は、回動円板610の斜視図であり、図11(a)は、回動円板610の上面側から見た斜視図であり、図11(b)は、回動円板610の底面側から見た斜視図である。図12は、回動円板610を示す図であり、図12(a)は、回動円板610の平面図であり、図12(b)は、平面カム溝620のF−F´断面図であり、図12(c)は、平面カム溝620のG−G´断面図である。なお、図12は、回動円板610を上面側(+Z側)から見た平面図を示しており、平面カム溝620、クランク突起630は、実際は回動円板610の底面側に形成及び設置されているが、説明の便宜上、透視図として実線で図示している。また、回動円板610の下側(−Z側)に設置されるカム突起460は実線で、クランク穴556は二点鎖線で図示している。図10、図11、図12を参照して、回動円板610の構成と概略の動作に関して説明する。
図10、図11(a)に示すように、回動円板610の上面には、回動孔611を中心に、一部を同距離で、また他部を異距離で接続した凸状のカム突部としての側面カム突部640が形成されている。側面カム突部640は、回動円板610の係合部615を構成している。側面カム突部640は、テープ排出ローラー820の動作(回転及び回転の禁止)を制御している。また、回動円板610は、側面カム突部640と、この側面カム突部640の側面(側面カム)に係合(当接)して従動するクラッチ部880とにより、排出駆動部850との間にカム機構としての側面カム機構690を構成している。言い換えると、テープ排出機構800の排出駆動部850は、回動円板610の側面カム突部640と、この側面カム突部640と係合するクラッチ部880とにより、回動円板610との間にカム機構としての側面カム機構690を構成している。
図7、図10、図11に示すように、回動円板610の外周部に回動円板610の係合部615を構成するギヤ部650が形成されている。また、上述したように、ギヤ部650は、駆動部700の伝達ギヤ723と係合(噛み合い)して、駆動モーター710からの回転動力を回動円板610に伝達する。また、図10に示すように、ギヤ部650は、上述したように、テープ排出機構800の第1ギヤ871(伝達ギヤ列870)と係合した伝達機構660により、回動円板610の回転動力をクラッチ部880(最終的にはテープ排出ローラー820)に伝達する。
なお、排出駆動部850(伝達ギヤ列870、クラッチ部880)は、回動円板610の回転により、側面カム機構690と、上述した伝達機構660とが連動してテープ排出ローラー820の回転を行わせる。あるいは、回転を禁止させる(詳細は後述する)。
図11(a)に示すように、回動孔611を中心に、同距離で形成された側面カム突部640の側面(側面カム)にクラッチレバー882のレバー突部882aが当接して摺動することにより、クラッチ部880が従動して動作する。これにより、図10に示す、テープ排出ローラー820のローラー回転ギヤ822にギヤストッパー884が係合し、テープ排出ローラー820の回転を禁止する。
図11(b)、図12(a)に示すように、回動円板610の底面には、回動孔611を中心に、回動孔611からの距離を異ならせ、溝幅が略一定のカム溝としての平面カム溝620が連結してリング状に形成されている。平面カム溝620は、回動円板610の係合部615を構成している。この平面カム溝620に第1プレート450に設置されるカム突起460が係合する。なお、図12(a)では、平面カム溝620をドットで表示している。また、回動円板610の底面には、図11(b)、図12(a)に示すように、第2プレート550に形成されるクランク穴556と係合するクランク突起630が突設されている。クランク突起630は、リング状に形成される平面カム溝620に囲まれる内側に突設されている。クランク突起630は、回動円板610の係合部615を構成している。
なお、第1プレート450のカム突起460、第2プレート550のクランク穴556は、第1移動機構400及び第2移動機構500の構成により、回動円板610が回動孔611(支持ピン314)を中心に回転した場合、カム突起460は、平面カム溝620に沿って、Y軸方向にスライドする。また、クランク突起630がクランク穴556の穴形状に沿って回転することで、クランク穴556(第2プレート550)は、Y軸方向にスライドする。
なお、回動円板610は、本実施形態では、回転方向を異ならせることにより、ハーフカットまたはフルカットを行い、一周(一回転)させることにより、ハーフカットまたはフルカットの一連の動作(循環運動)が完了する。なお、回動円板610は、矢印Aで示す順方向回転(時計回り方向の回転)により、フルカット動作を行い、矢印Bで示す逆方向回転(反時計回り方向の回転)により、ハーフカット動作を行う。
平面カム機構670は、図12に示すように、平面カム溝620とカム突起460(第1プレート450)等により構成され、回動円板610の回転動力を第1プレート450のスライド運動に変換し、第1移動機構400(カッターユニット200)をY軸方向にスライドさせる機構である。また、クランク機構680は、クランク突起630とクランク穴556(第2プレート550)と揺動プレート510等により構成され、回動円板610の回転動力を、第2プレート550のスライド運動に変換し、平面カム機構670によりスライドしたカッターユニット200をZ軸方向にスライドさせる機構である。なお、平面カム機構670及びクランク機構680は、動力伝達機構600を構成している。
ここで、平面カム機構670及びクランク機構680は、回動円板610が一周することで、フルカットまたはハーフカットの一連の循環運動を行う。また、平面カム機構670及びクランク機構680は、フルカット時及びハーフカット時の切断待機位置(初期位置)が一致するように構成されている。
平面カム溝620において、回動円板610が回転した場合、回動円板610の中心(回動孔611の中心)からカム溝までの距離の変化がない場合は、カッターユニット200の現在の位置(Y軸方向の位置)を保持する。また、回動円板610の中心からカム溝までの距離が徐々に短くなる場合は、カッターユニット200の位置を前進(+Y方向への移動)させる。また、回動円板610の中心からカム溝までの距離が徐々に長くなる場合は、カッターユニット200の位置を後退(−Y方向への移動)させる。なお、図12において、平面カム溝620の経路に対して、上述する距離の変化に対応する区間毎に、区間aから区間iまでの符号を付記する。なお、区間aと区間iとは、回動円板610の中心からカム溝までの距離は同じである。
なお、平面カム溝620における区間a,c,e,g,iでは、距離の変化がない区間、即ちカッターユニット200の現在の位置(Y軸方向の位置)を保持する区間となる。また、区間b,d,f,hでは、回転方向により逆となるが、距離が徐々に短くなるまたは長くなる区間、即ちカッターユニット200の位置を前進(+Y方向への移動)または後退(−Y方向への移動)させる区間となる。
また、回動円板610の中心から、カム溝の区間cまでの距離とカム溝の区間gまでの距離とを異ならせることにより、フルカット時における切断開始位置とハーフカット時における切断開始位置とを異ならせている。また、回動円板610の中心から、カム溝の区間iまでの距離とカム溝の区間gまでの距離とを異ならせることにより、ハーフカット時における離脱位置とフルカット時における離脱位置とを異ならせている。
クランク穴556において、回動円板610を回転させ、クランク突起630が回転(円運動)する場合、回動円板610の中心(回動孔611の中心)からクランク穴556までの距離の変化がない場合は、カッターユニット200の現在の高さ位置(Z軸方向の位置)を保持する。また、回動円板610の中心からクランク穴556までの距離が短くなる場合は、カッターユニット200の位置を上昇(+Z方向への移動)させる。また、回動円板610の中心からクランク穴556までの距離が長くなる場合は、カッターユニット200の位置を下降(−Z方向への移動)させる。なお、図12において、クランク穴556の形状に対して、上述する距離の変化に対応する区間毎に、区間kから区間nまでの符号を付記する。
なお、クランク穴556における区間k,mでは、距離の変化がない区間、即ちカッターユニット200の現在の高さ位置(Z軸方向の位置)を保持する区間となる。また、区間l,nでは、回転方向により逆となるが、距離が短くなるまたは長くなる区間、即ちカッターユニット200の位置を上昇(+Z方向への移動)または下降(−Z方向への移動)させる区間となる。
側面カム突部640において、回動円板610が回転した場合、回動円板610の中心から側面カムまでの距離が最も長く、変化がない区間(区間p)では、側面カムがクラッチレバー882のレバー突部882aに当接して強制的にクラッチ部880を回転させる。これにより、ギヤストッパー884がローラー回転ギヤ822に噛み合い、テープ排出ローラー820の動作(回転)を禁止する。また、回動円板610の中心から側面カムまでの距離が区間pよりも短い区間(区間q)では、側面カムがクラッチレバー882のレバー突部882aに当接せず、クラッチレバー882は自由となる。この状態では、クラッチ部880は、第2ギヤ872の回転方向と同様の方向に回転を行う。
図12に示すように、平面カム溝620は、経路が異なるカム溝が形成されており、その異なる経路となるカム溝に対して、溝深さ方向に段差部620a,620bを有することでそれぞれ接続している。なお、異なる経路の一方(区間b、区間c)は、フルカットを行う場合にのみカム突起460が係合して使用される経路である。詳細には、区間bは、切断準備動作においてカッターユニット200を切断待機位置から切断開始位置まで+Y方向に前進させる経路であり、区間cは、切断動作においてカッターユニット200のY軸方向の位置を保持させる経路である。また、異なる経路の他方(区間dの一部、区間i)は、ハーフカットを行う場合にのみカム突起460が係合して使用される経路である。詳細には、区間dの一部(区間iに連結する領域)は、離脱動作においてカッターユニット200を切断完了位置から離脱位置まで−Y方向に後退させる経路であり、区間iは、復帰動作においてカッターユニット200のY軸方向の位置を保持させる経路である。
図12(b)に示すF−F´断面で示す経路が、上述したフルカットの場合の経路であり、図12(c)に示すG−G´断面で示す経路が、ハーフカットの場合の経路である。なお、説明の便宜上、カム突起460を図示している。
図12(b)に示すように、カム突起460に対して、フルカットの場合には、回動円板610が図中矢印の方向に回転する。そして段差部620aに近づくにつれて、溝深さが浅くなる。この溝深さの変化に対応し、カム突起460は押圧されて回動円板610の底面側(下側)に、押し下げられる。段差部620aの位置で最大に押し下げられ、段差部620aが過ぎた直後には、カム突起460は、突起保持部470の押圧バネ471の押圧力により通常の位置に戻る。この動作により、共通の経路に復帰することができる。
図12(c)に関しても、回動円板610の回転方向が異なるだけであり、段差部620bに対するカム突起460の動作は、上述した段差部620aに対するカム突起460の動作と同様であるため、説明は省略する。なお、回動円板610は、段差部620a,620bにより、カム突起460の進行方向を規制するため、異なる経路には進入させない。詳細には、フルカットの場合には、段差部620bにより、カム突起460の進行方向を規制し、ハーフカットの場合には、段差部620aにより、カム突起460の進行方向を規制している。
図13〜図18を参照して、本実施形態の循環運動の概要を説明する。
本実施形態での循環運動は、切断準備動作、切断動作、離脱動作および復帰動作を含んでいる。そして、循環運動は、動力伝達機構600により、第1移動機構400及び第2移動機構500に動力を分岐して伝達し、カッターユニット200、テープ排出機構800およびテープ押え機構900を動作させることで行われる。
図13〜図18は、テープ状部材160をフルカットする場合のカット装置20の動作を動作順に説明する図である。また、各図共通で、(a)は、平面カム機構670とクランク機構680によるカッターユニット200の動作を示す要部側面図であり、(b)は、(a)の要部平面図であり、(c)は、側面カム機構690によるテープ排出機構800とテープ押え機構900の動作を示す要部側面図であり、(d)は、(c)の要部平面図である。説明の便宜上、各図共に要部のみを示している。
また、各図共通で、(b)において、回動円板610の底面に構成される平面カム溝620及びクランク突起630は、説明の便宜上、透視図として実線で示している。また、フルカットを行う場合、回動円板610は、駆動部700の動作により、矢印Aで示すように順方向回転(時計回り回転)を行う。
切断準備動作は、カッターユニット200を、切断待機位置から切断開始位置までテープ状部材160に向かって前進させる動作となる。前進は、カッターユニット200を前方に移動(+Y方向へ移動)させることで行う。
なお、切断待機位置は、カット装置20が動作しない状態での初期位置であり、フルカットやハーフカットを行う場合の共通の初期位置となる。また、切断開始位置は、本実施形態では、フルカットを行う場合と、ハーフカットを行う場合とで、位置を異ならせている。言い換えると、切断開始位置は、フルカットを行う場合と、ハーフカットを行う場合とで、切断待機位置からの距離を異ならせている。
詳細には、フルカットを行う場合には、切断開始位置は、カッターユニット200のカッター刃210の斜刃となる刃先211が印刷テープ161および剥離紙162の両方が切断される位置に設定している。また、ハーフカットを行う場合には、切断開始位置は、カッター刃210の刃先211の切っ先211aが印刷テープ161のみが切断される位置に設定している。
これにより、後述する切断動作により、カッターユニット200(カッター刃210)のテープ状部材160への切り込み量を変えることができる。そのため、フルカットを行った場合には、テープ状部材160を完全に切り離すことができる。また、ハーフカットを行った場合には、剥離紙162は繋がった状態で、印刷テープ161のみを完全に切断することができる。
切断動作は、カッターユニット200を、切断開始位置から切断完了位置まで移動させる動作となり、この動作により、カッターユニット200はテープ状部材160を切断する。なお、本実施形態では、切断動作は、第1切断動作と第2切断動作とから構成されている。第1切断動作は、テープ状部材160に対し、カッターユニット200を切断開始位置から所定位置まで幅方向に移動(上昇)させて切断を行う動作となる。また、第2切断動作は、カッターユニット200を所定位置から切断完了位置までテープ状部材160のテープ面に対して略垂直方向に移動(前進)させて切断を行う動作となる。
離脱動作は、カッターユニット200を、切断完了位置から離脱位置に後退させる動作となる。後退は、カッターユニット200を後方に移動(−Y方向へ移動)させることで行う。なお、離脱位置は、本実施形態では、フルカットを行う場合と、ハーフカットを行う場合とで、位置を異ならせている。言い換えると、離脱位置は、フルカットを行う場合と、ハーフカットを行う場合とで、切断完了位置からの距離を異ならせている。詳細には、フルカットを行う場合には、離脱位置は、カッター刃210の切っ先211aがテープ状部材160と重なる位置に設定している。
また、ハーフカットを行う場合には、離脱位置は、カッター刃210の切っ先211aがテープ状部材160のテープ面(テープ状部材160の印刷テープ161において、インクリボン170のインクが熱転写される側の面)に対して離間する位置に設定している。そして、本実施形態では、ハーフカット時の離脱位置は、切断待機位置の上方(+Z方向)に位置するように設定している。
復帰動作は、カッターユニット200を、離脱位置から切断待機位置に復帰させる動作となる。復帰は、フルカット時とハーフカット時では、離脱位置が異なるため、切断待機位置に至る経路が異なる。詳細には、フルカット時には、最初に、離脱位置から下降(−Z方向に移動)させ、その後、後方に移動(−Y方向へ移動)させることで、切断待機位置(初期位置)に復帰させる。また、ハーフカット時には、離脱位置から下降(−Z方向に移動)させるだけで、切断待機位置(初期位置)に復帰させることができる。
以上のように循環運動が行われる。
ここで、循環運動において、フルカット及びハーフカットを行う場合のテープ排出機構800とテープ押え機構900との動作に関して説明する。
切断準備動作において、フルカット及びハーフカットを行う場合、テープ排出機構800は、テープ排出ローラー820の回転を禁止する。また、テープ押え機構900は、カッターユニット200が切断待機位置から切断開始位置までテープ状部材160に向かって前進する動作に従動して、同様に前進する。従って、テープ押えローラー910はテープ排出ローラー820に向かって前進する。そして、カッターユニット200が切断開始位置に位置した場合、テープ押え機構900は、テープ押えローラー910をテープ排出ローラー820と押圧させる。この動作により、テープ排出ローラー820とテープ押えローラー910との間に設置されるテープ状部材160に対し、テープ状部材160をテープ排出ローラー820とテープ押えローラー910とにより押圧挟持する状態となる。
切断動作において、フルカット及びハーフカットを行う場合、テープ排出機構800は、テープ排出ローラー820の回転を禁止した状態を維持する。また、テープ押え機構900は、テープ押えローラー910とテープ排出ローラー820とによりテープ状部材160を挟持する状態を維持する。
離脱動作において、フルカットを行う場合、テープ排出機構800は、テープ状部材160を排出する方向にテープ排出ローラー820を回転させる。また、テープ押え機構900は、テープ押えローラー910とテープ排出ローラー820とによりテープ状部材160を挟持する状態を維持する。従って、テープ押えローラー910は、テープ排出ローラー820の回転に従動して、テープ状部材160を排出する方向に回転を行う。なお、離脱動作は、切断動作終了後の動作となる。
なお、離脱動作において、ハーフカットを行う場合、テープ排出機構800は、テープ排出ローラー820の回転を禁止する。また、テープ押え機構900は、カッターユニット200が切断完了位置から離脱位置に後退する動作に従動して後退する。従って、テープ押えローラー910はテープ排出ローラー820から後退することで、テープ状部材160は、押圧挟持される状態から解除される。
復帰動作において、フルカットを行う場合、カッターユニット200が切断待機位置に位置するまでは、テープ排出機構800及びテープ押え機構900は、離脱動作での状態を維持する。従って、テープ押えローラー910は、テープ排出ローラー820の回転に従動して、テープ状部材160を排出する方向に回転を行う。
なお、復帰動作において、ハーフカットを行う場合、カッターユニット200が切断待機位置に位置するまでは、テープ排出機構800及びテープ押え機構900は、離脱動作での状態を維持する。従って、テープ排出ローラー820は回転を禁止され、テープ押えローラー910がテープ排出ローラー820から離間した状態となり、テープ状部材160は、押圧挟持が解除された状態を維持する。
以上のように、循環運動において、テープ排出機構800とテープ押え機構900とが連動して動作を行う。
フルカット及びハーフカットを行う場合の切断準備動作及び切断動作においては、テープ排出ローラー820の回転が禁止され、テープ押えローラー910とテープ排出ローラー820とがテープ状部材160を挟持する状態となる。これにより、テープ状部材160を、テープ印刷装置1のテープ排出口104から引き出されることを防止することができる。また、フルカットを行った場合、切断動作の終了後の動作となる離脱動作及び復帰動作において、テープ排出ローラー820が回転し、テープ押えローラー910とテープ排出ローラー820とによりテープ状部材160を挟持して回転することにより、切断分離されたテープ状部材160をテープ排出口104から排出することができる。
図13〜図18を参照して、テープ状部材160をフルカットする場合のカット装置20の動作を説明する。
図13に示す図は、フルカット時において、カッターユニット200が切断待機位置(初期位置)に位置する状態を示している。なお、ハーフカット時においても、切断待機位置は同位置となる。この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間aに位置し、第1プレート450は、テープ状部材160から最も−Y方向に離間している。従ってカッターユニット200もテープ状部材160から最も−Y方向に離間している。この第1プレート450の移動に従動するテープ押えローラー910もテープ排出ローラー820から最も−Y方向に離間している。また、クランク突起630は、クランク穴556の区間kに位置し、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って、最も−Z方向に下降した位置となる。
なお、クラッチレバー882は、排出駆動部850の第2ギヤ872の回転と同方向に回転するため、フルカット時の回動円板610の回転方向と同様に順方向に回転を行う。しかし、クラッチレバー882は、この回転を、区間pとなる側面カム突部640に押圧されることにより、逆側に戻される状態となっている。従って、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間pに位置することで、テープ排出ローラー820の回転を禁止する。なお、この状態では、テープ状部材160は、テープ排出ローラー820とテープ押えローラー910とによる押圧状態が解除された状態である。
図14に示す図は、カッターユニット200が切断待機位置から前進して切断開始位置に位置(切断準備動作が完了)した状態を示している。この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間aを通過し、区間bに入り、区間cとの境界に位置する。なお、カム突起460は、区間aを通過して区間bに入る場合、区間iと区間aとを接続する段差部620bの段差面で進行方向を規制され、この段差面に沿って区間bに入る。
なお、カム突起460が、平面カム溝620の区間aを通過している間は、カッターユニット200は、図13の状態と同様に、切断待機位置に位置している。そして、カム突起460が、区間bに侵入すると同時に、カッターユニット200は、切断待機位置からテープ状部材160に向かって前進(+Y方向への移動)を開始する。そして、カム突起460が、区間bの最後(区間cとの境界)に位置した場合、前進を停止する。この位置が切断開始位置となる。この状態ではカッター刃210の刃先211の切っ先211aは、テープ状部材160の位置より+Y方向に位置している。従って、カッター刃210の刃先211の部分(斜刃の部分)がテープ状部材160の下側に位置する。このように、第1移動機構400の動作により切断準備動作が行われる。
これに従動して、テープ押えローラー910は、テープ状部材160を介してテープ排出ローラー820を押圧する状態となり、テープ排出ローラー820とテープ押えローラー910とで、テープ状部材160を挟持する。なお、クランク突起630は、クランク穴556の区間kに位置し、カッターユニット200は、図13に示すと同様に、ガイドシャフト430に沿って最も−Z方向に下降した位置を保持している。また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間pに位置するため、テープ排出ローラー820は、図13に示すと同様に、回転が禁止される。
その後、回動円板610が回転することにより、フルカットの切断動作(第1切断動作)が開始される。
詳細には、カム突起460は、平面カム溝620の区間cに位置し、カッターユニット200のY軸方向の位置(切断開始位置と同位置)を保持する。また、クランク突起630がクランク穴556の区間lに位置して、+Y方向へ押圧を開始し、第2プレート550も同様に移動を開始する。
この動作により、第2プレート550に回動自在に保持される揺動プレート510の第1スライド軸513も従動して+Y方向に移動する。なお、揺動プレート510は、ベースフレーム310の支持ピン321を中心に回動するため、第2プレート550の+Y方向への移動により、揺動プレート510の第2スライド軸514は、カッターユニット200のスライド孔226を上方に押圧すると共にスライド孔226内を移動する。
揺動プレート510の動作により、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って上方(+Z方向)に移動(上昇)する。カッターユニット200の動作により、カッター刃210(刃先211)がテープ状部材160のフルカットを開始する。このように、第2移動機構500の動作により切断動作(第1切断動作)が開始される。この時、テープ排出ローラー820は、回転が禁止され、テープ押えローラー910と共にテープ状部材160を挟持する状態を維持している。
なお、テープ状部材160を切断する際には、テープ状部材160の下流側(−X方向)は、テープ排出ローラー820とテープ押えローラー910とに挟持される。また、テープ状部材160の上流側(+X方向)は、テープカートリッジ15のプラテンローラー180と印刷ヘッドユニット130の印刷ヘッド131に挟持されている。その状態で、カッターユニット200(カッター刃210)は、テープ状部材160に対して、テープ状部材160の幅方向(+Z方向)に移動して切断すると共に、テープ面に対して略垂直に切断する。また、カッター刃210が切断を行う際には、テープ状部材160を、テープ受け面843a(図9参照)に押し付けて切断するため、安定した切断を行うことができる。
図15に示す図は、カッターユニット200が最も上昇した状態を示している。なお、この状態は、カッターユニット200が切断開始位置から所定位置に移動し、フルカット時における第1切断動作が完了した状態を示している。なお、第1切断動作が完了した状態では、テープ状部材160の上部が切断されていない(未切断)状態となっている。
この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間cの最後に位置する。そのため、カッターユニット200のY軸方向の位置を保持する状態であり、切断開始位置と同様の位置を保持している。また、クランク突起630は、クランク穴556の区間lと区間mの境界に位置してクランク穴556を+Y方向へ最も移動させた状態となる。このクランク穴556(第2プレート550)の移動に従動して揺動プレート510が動作し、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って最も上昇した位置(本実施形態での所定位置)となる。
この時、テープ排出ローラー820は、図14に示すと同様に、回転が禁止され、テープ押えローラー910と共にテープ状部材160を挟持する状態を維持している。
図16に示す図は、カッターユニット200が所定位置から切断完了位置に移動し、フルカット時における第2切断動作が完了した状態を示している。第2切断動作を行うことにより、カッターユニット200を所定位置から前進(+Y方向への移動)させ、カッターユニット200を上昇させずに、カッター刃210の刃先211の傾斜部分を利用して、テープ状部材160の上部の未切断の部分を切断させている。また、この状態のカッター刃210の位置が切断完了位置となる。なお、ハーフカット時においても、切断完了位置は同位置となる。
この状態に至るまでの動作を説明する。カム突起460が図15に示す状態(平面カム溝620の区間cの状態)から平面カム溝620の段差部620aを通過して区間dに侵入した後、カッターユニット200は前進を開始(第2切断動作を開始)する。そして、平面カム溝620の区間d,eの境界位置で、前進を停止(第2切断動作を完了)する。この状態では、図16(a)に示すように、カッターユニット200(カッター刃210)の刃先211は、テープ状部材160より+Y方向に移動している。このように、第1移動機構400の動作により切断動作(第2切断動作)が行われる。
この状態で、クランク突起630は、クランク穴556の区間mに位置しているため、カッターユニット200のZ方向の位置を保持している。また、テープ排出ローラー820は、図14に示すと同様に、回転が禁止され、テープ押えローラー910と共にテープ状部材160を挟持する状態を維持している。
カッターユニット200を前進(+Y方向への移動)させて切断を行うことにより、カッターユニット200の上下方向(テープ状部材160の幅方向)の移動距離を短くすることができ、カット装置20を小型化することができる。
なお、カッターユニット200(カッター刃210)の刃先211が、切断開始位置からこの切断完了位置まで移動する軌跡に対応して、テープ排出ケース830に備えるカッター刃逃げ部832(図9参照)が形成されている。そして、刃先211は、切断動作中は、このカッター刃逃げ部832内を移動する。
その後、回動円板610が回転することにより、切断完了位置から離脱位置に後退を開始(離脱動作が開始)する。
詳細には、カム突起460は、平面カム溝620の区間eから区間fを移動し、カッターユニット200の切断完了位置のY軸方向の位置を−Y方向へ移動(後退)させる。また、クランク突起630は、クランク穴556の区間mに位置し、カッターユニット200の切断完了位置のZ軸方向の位置を保持する。
クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間pから区間qに移動することで、レバー突部882aが側面カムに当接せず、クラッチレバー882は自由となる。この状態では、クラッチ部880は、第2ギヤ872の回転方向と同様の方向に回転を行う。第2ギヤ872は回動円板610と同様に、順方向回転(時計回りの回転)を行っているため、クラッチ部880は、順方向に回転する。このクラッチ部880の回転により、クラッチ部880のクラッチギヤ883が、ローラー回転ギヤ822に噛み合う。
通常、クラッチギヤ883は、第2ギヤ872の伝達ギヤ872aに噛み合っているため、第2ギヤ872の回転の動力が伝達されて回転している。このクラッチギヤ883が、ローラー回転ギヤ822に噛み合うことにより、クラッチギヤ883の回転の動力がローラー回転ギヤ822に伝達され、テープ排出ローラー820が回転を開始する。なお、このテープ排出ローラー820の回転方向は、順方向とは逆の回転方向となる。即ち、テープ排出ローラー820の回転方向は、テープ状部材160をテープ印刷装置1のテープ排出口104の方向に向けて送る回転を行う。
また、テープ排出ローラー820は、テープ押えローラー910と共にテープ状部材160を挟持する。また、テープ状部材160の幅よりはみ出る部分では、テープ押えローラー910とテープ排出ローラー820とは直接相互に押圧している。このため、テープ排出ローラー820が回転してテープ状部材160をテープ排出口104に向けて移動させる際、テープ押えローラー910も従動して回転する。この動作により、切断分離されたテープ状部材160は、滑ることなく確実にテープ排出口104に向けて移動する。テープ排出機構800は、側面カム機構690の動作により、フルカットされ切断分離されたテープ状部材160を、テープ排出ローラー820の回転によりテープ排出口104から排出させる。
図17に示す図は、カッターユニット200が切断完了位置から離脱位置に移動(離脱動作が完了)した状態を示している。また、この時のカッター刃210の位置が離脱位置となる。この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間fと区間gの境界に位置する。カム突起460は、平面カム溝620の区間fを通過することにより、カッターユニット200のY軸方向の位置を−Y方向へ移動(後退)させる。そして、カム突起460が、平面カム溝620の区間fと区間gの境界に位置することで、カッターユニット200の−Y方向へ移動(後退)が終了して離脱位置となる。このように、第1移動機構400の動作により離脱動作が行われる。なお、この離脱位置のY軸方向の位置は、ハーフカットを行った場合の切断開始位置のY軸方向の位置と同一となっている。
また、クランク突起630は、クランク穴556の区間mの最後に位置しているため、カッターユニット200の切断完了位置のZ軸方向の位置を保持している。また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間qに位置するため、クラッチギヤ883が、ローラー回転ギヤ822に噛み合い、テープ排出ローラー820が回転を持続している状態である。また、テープ押えローラー910は、テープ排出ローラー820と共にテープ状部材160を挟持する状態を維持している。
なお、この状態のとき、カッター刃210の切っ先211aは、テープ状部材160と重なっている。しかし、フルカットが完了して切断されたテープ状部材160は、テープ排出口104から排出されてしまうため、カッター刃210が、切断されたテープ状部材160に不具合を生じさせることはない。
その後、回動円板610が回転することにより、カッターユニット200が離脱位置から切断待機位置に復帰するため、下降を開始する。
詳細には、カム突起460は、平面カム溝620の区間gを移動する。そのため、カッターユニット200は離脱位置のY軸方向の位置を保持する。なお、クランク突起630は、クランク穴556の区間nに位置し、クランク穴556(第2プレート550)が−Y方向に移動を開始する。この動作により、第2プレート550に回動自在に保持される揺動プレート510の第1スライド軸513も従動して−Y方向に移動する。
このとき、揺動プレート510は、第1プレート450の支持ピン321を中心に回動するため、第2プレート550の−Y方向への移動により、揺動プレート510の第2スライド軸514は、カッターユニット200のスライド孔226を下方に押圧すると共にスライド孔226内を移動する。この揺動プレート510の動作により、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って下方(−Z方向)に移動(下降)を開始する。このように、第2移動機構500の動作によりZ軸方向の復帰動作が開始される。
また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間qに位置するため、クラッチギヤ883が、ローラー回転ギヤ822に噛み合い、テープ排出ローラー820が回転を持続している。また、テープ押えローラー910は、テープ排出ローラー820と共にテープ状部材160を挟持する状態を維持している。
図18に示す図は、カッターユニット200が離脱位置から最も下降して、カッターユニット200が切断待機位置に移動を開始する状態を示している。なお、この状態は、復帰動作の途中の状態である。この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間gと区間hの境界に位置する。このため、カッターユニット200は離脱位置のY軸方向の位置を保持している。そして、カム突起460は、平面カム溝620の区間hに侵入すると、カッターユニット200は切断待機位置に向かって、−Y方向に移動を開始する。このように、第1移動機構400の動作によりY軸方向の復帰動作が行われる。
なお、クランク突起630は、クランク穴556の区間kに位置している。このため、カッターユニット200が離脱位置からY方向の位置を保持し、Z軸方向に最も下降した位置を保持している。また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間qに位置するため、クラッチギヤ883が、ローラー回転ギヤ822に噛み合い、テープ排出ローラー820が回転を持続している。また、テープ押えローラー910は、テープ排出ローラー820と共にテープ状部材160を挟持している。
その後、回動円板610が回転することにより、カッターユニット200は、離脱位置から図13で示す切断待機位置に復帰する。
切断待機位置までの復帰動作を説明する。カム突起460は、平面カム溝620の区間hを通過することにより、カッターユニット200は、−Y方向への移動を行う。なお、クランク突起630は、クランク穴556の区間kを移動し、カッターユニット200が離脱位置から最も下降した切断待機位置でのZ軸方向の位置を保持している。この動作に従動して、テープ押えローラー910も−Y方向への移動を行い、テープ排出ローラー820との接触から離れる。
この状態で、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間qから区間pに接続する形状部分を移動し、クラッチギヤ883が、側面カム突部640に当接され、押圧され始めることになる。そのため、クラッチギヤ883が、ローラー回転ギヤ822の噛み合いを緩める状態で、除々にギヤストッパー884と噛み合う状態(テープ排出ローラー820の回転を禁止する状態)となる。
そして、回動円板610が一周してカム突起460が、図13に示す状態と同様となる。また、この状態となった場合、ベースフレーム310に設置される検出スイッチ部730(図7参照)により、カッター刃210が切断待機位置(初期位置)に位置したことが検出され、循環運動が終了したことを制御部(図示省略)に出力する。この検出信号により、制御部は、ベースフレーム310に設置される駆動部700(駆動モーター710)の駆動を停止する。
なお、カッター作動機構300は、動力伝達機構600の駆動(回動円板610の回動)により、第1移動機構400及び第2移動機構500に動力を分岐して伝達し、第1移動機構400及び第2移動機構500を連動させてカッターユニット200にフルカットを行うための循環運動を行わせる。また、動力伝達機構600の動作により、テープ排出機構800やテープ押え機構900の一連の動作を、循環運動に連動させると共に、同期させて行っている。
なお、テープ印刷装置1は、フルカットの動作が終了した場合、次の印刷を開始することができる。テープ印刷装置1が次の印刷を開始した場合、カッターユニット200(カッター刃210の刃先211)は、切断待機位置にあり、テープ状部材160から離間しているため、テープ状部材160が印刷送りされるための妨げとはならない。
図19〜図22は、テープ状部材160をハーフカットする場合のカット装置20の動作を説明する図である。また、各図共通で、(a)は、平面カム機構670とクランク機構680によるカッターユニット200の動作を示す要部側面図であり、(b)は、(a)の要部平面図であり、(c)は、側面カム機構690によるテープ排出機構800とテープ押え機構900の動作を示す要部側面図であり、(d)は、(c)の要部平面図である。説明の便宜上、各図共に要部のみを示している。
また、各図共通で、(b)において、回動円板610の底面に構成される平面カム溝620及びクランク突起630は、説明の便宜上、透視図として実線で示している。また、ハーフカットを行う場合、回動円板610は、駆動部700の動作により、矢印Bで示すように逆方向回転(反時計回り回転)を行う。
図19〜図22を参照して、テープ状部材160をハーフカットする場合のカット装置20の動作を説明する。なお、フルカットと共通する動作等に関しては簡略化して説明を行う。
ハーフカット時における、切断待機位置(初期位置)は、フルカット時の初期位置と同位置である。従って、図13で示すカッターユニット200の位置がハーフカット時における、切断待機位置(初期位置)となる。
図19に示す図は、カッターユニット200が切断待機位置から前進して切断開始位置に位置(切断準備動作が完了)した状態を示している。なお、この状態は、図13に示す切断待機位置から、回動円板610が逆回転(矢印Bで示す)することによる。切断準備動作が完了した状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間aを通過し、区間hに入り、区間gとの境界に位置する。なお、カム突起460が、平面カム溝620の区間aを通過している間は、カッターユニット200は、切断待機位置に位置している。そして、カム突起460が、区間hに侵入すると同時に、カッターユニット200は、切断待機位置からテープ状部材160に向かって前進(+Y方向への移動)する。そして、カム突起460が、区間hの最後(区間gとの境界)に位置した時にカッターユニット200は停止する。この位置が切断開始位置となる。
この状態では、カッター刃210の切っ先211aは、テープ状部材160を構成する印刷テープ161がカットされて、剥離紙162が残るように位置している。このように、ハーフカットを行う場合の切断開始位置は、本実施形態では、フルカットを行う場合の切断開始位置(図14参照)とでは、切断待機位置からの距離を異ならせている。
上述したように、第1移動機構400の動作により切断準備動作が行われる。これに従動して、テープ押えローラー910は、テープ状部材160を介してテープ排出ローラー820を押圧する状態となり、テープ排出ローラー820とテープ押えローラー910とで、テープ状部材160を挟持する。なお、クランク突起630は、クランク穴556の区間kに位置し、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って最も−Z方向に下降した位置にある。
クラッチレバー882は、排出駆動部850の第2ギヤ872の回転と同方向に回転するため、ハーフカット時の回動円板610の回転方向と同様に逆方向に回転を行う。この動作により、クラッチレバー882が、側面カム突部640の区間pに位置して、クラッチレバー882を若干押圧することで、テープ排出ローラー820の回転を禁止する。従って、ハーフカットを行う場合、ハーフカット時の循環運動の動作中は、テープ排出ローラー820の回転が禁止される。
図20に示す図は、カッターユニット200が最も上昇した状態を示している。なお、この状態は、カッターユニット200が切断開始位置から所定位置に移動し、ハーフカット時における第1切断動作が完了した状態を示している。この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間gの最後に位置する。
また、クランク突起630は、クランク穴556の区間nと区間mの境界に位置してクランク穴556を+Y方向へ最も移動させた状態となる。このクランク穴556(第2プレート550)の移動に従動して揺動プレート510が動作し、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って最も上昇した位置(所定位置)となる。
なお、クランク突起630が、クランク穴556の区間nを通過することにより、第2移動機構500が動作し、カッターユニット200は、切断開始位置(図19参照)からガイドシャフト430に沿って上昇する。カッターユニット200の上昇により、ハーフカットが開始(第1切断動作が開始)され、所定位置までカッターユニット200が上昇し、ハーフカットが行われる。なお、この状態では、テープ状部材160の上部は切断されていない(未切断)。
また、テープ排出ローラー820は、回転が禁止され、テープ押えローラー910は、テープ排出ローラー820と共にテープ状部材160を挟持している。
図21に示す図は、カッターユニット200が前進(+Y方向への移動)し、ハーフカットを完了した状態を示している。また、この状態は、カッターユニット200が所定位置から切断完了位置に移動し、ハーフカット時における第2切断動作が完了した状態を示している。また、この状態のカッター刃210の位置が切断完了位置となる。なお、フルカット時においても、切断完了位置は同位置となる。
しかし、図21に示すように、第2切断動作を行い、カッターユニット200を所定位置から前進(+Y方向への移動)させることにより、カッターユニット200を上昇させずに、カッター刃210の刃先211の傾斜部分を利用して、テープ状部材160の上部の未切断の部分が切断される。なお、この切断は、フルカット時の切断と同様に、印刷テープ161と剥離紙162とを共に切断する。この第2切断動作により、本実施形態のハーフカットは、テープ状部材160の幅方向において、ハーフカット領域D(図24参照)と、フルカット領域E(図24参照)とを有する。
なお、カッターユニット200を前進(+Y方向への移動)させて切断を行うことにより、カッターユニット200の上下方向(テープ状部材160の幅方向)の移動距離を短くすることができ、カット装置20を小型化することができる。
上記動作の詳細を説明する。カム突起460が図20に示す状態(平面カム溝620の区間gの状態)から区間fに侵入した直後において、カッターユニット200は第2切断動作を開始する。そして、図21に示すように、平面カム溝620の区間fと区間eの境界位置で、第2切断動作を完了する。この状態で、図21(a)に示すように、カッターユニット200(カッター刃210)の刃先211は、テープ状部材160より+Y方向に移動している。
なお、クランク突起630は、クランク穴556の区間mに位置しているため、カッターユニット200のZ軸方向の位置を保持している。また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間qに位置しており、テープ押えローラー910は、回転が禁止され、テープ排出ローラー820と共にテープ状部材160を挟持している。
なお、カッターユニット200(カッター刃210)の刃先211が、切断開始位置からこの切断完了位置まで移動する軌跡に対応して、テープ排出ケース830に備えるカッター刃逃げ部832(図9参照)が形成されている。そして、刃先211は、切断動作中は、このカッター刃逃げ部832内を移動する。
図22に示す図は、カッターユニット200の離脱動作が完了した状態を示している。また、この状態のカッター刃210の位置が離脱位置となる。この状態では、カム突起460は、平面カム溝620の区間dと区間iの境界に位置する。
カム突起460は、平面カム溝620の区間dを通過することにより、カッターユニット200のY軸方向の位置を−Y方向へ移動(後退)させる。なお、カム突起460は、区間dの途中で、区間cに接続する段差部620aを通過するが、この場合、段差部620aの段差面で進行方向が規制され、この段差面に沿って区間dを通過する。そして、カム突起460は、平面カム溝620の区間dと区間iの境界に位置することで、カッターユニット200の−Y方向への移動(後退)が終了し、カッターユニット200は、離脱位置に位置する。このように、第1移動機構400の動作により離脱動作が行われる。
また、クランク突起630は、クランク穴556の区間mの最後に位置している。なお、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間pに位置し、テープ排出ローラー820は、回転が禁止される。また、テープ押えローラー910は、第1プレート450の移動に従動して、テープ排出ローラー820から−Y方向に離間する。この動作により、テープ状部材160は、テープ排出ローラー820とテープ押さえローラー910とによる押圧挟持から解除される。
なお、この離脱位置は、図13に示す切断待機位置とY軸方向は同一となっている。また、離脱位置は、カッター刃210の切っ先211aが、ハーフカットされたテープ状部材160のテープ面に対して、離間する位置となる。このため、その後の復帰動作において、カッター刃210が下降(−Z方向に移動)した場合、ハーフカットされたテープ状部材160を傷つける等の不具合を生じさせることを防止している。
その後、回動円板610が回転することにより、カッターユニット200は、離脱位置から、切断待機位置に復帰動作(図13参照)する。以降にこの復帰動作について説明する。
回動円板610が回転することにより、カム突起460は、平面カム溝620の区間iを通過する。これにより、カッターユニット200は離脱位置のY軸方向の位置を保持する。クランク突起630は、クランク穴556の区間lに位置し、クランク穴556が−Y方向に移動を開始することにより、第2プレート550も同様に移動を開始する。この動作により、揺動プレート510が動作して、カッターユニット200は、ガイドシャフト430に沿って復帰動作を開始(−Z方向への移動)する。また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間pに位置し、テープ排出ローラー820は、回転が禁止された状態を維持する。
回動円板610が更に回転することにより、カム突起460は、平面カム溝620の区間iから、段差部620bを通過して区間aに侵入する。クランク突起630は、クランク穴556の区間kに移動し、カッターユニット200は、離脱位置から最も下降したZ軸方向の位置(切断待機位置でのZ軸方向の位置)を保持する。また、クラッチレバー882は、側面カム突部640の区間pに位置し、テープ排出ローラー820は、回転を禁止された状態を維持する。
上述した復帰動作により、カム突起460が、区間aの略中間位置(図13参照)に位置した場合、回動円板610は一周したことになる。また、この状態となった場合、ベースフレーム310に設置される検出スイッチ部730(図7参照)により、カッター刃210が切断待機位置(初期位置)にあることが検出され、ハーフカットが終了(ハーフカットの循環運動が終了)したことを制御部(図示省略)に出力する。この検出信号により、制御部は、ベースフレーム310に設置される駆動部700(駆動モーター710)の駆動を停止する。
なお、上述したように、カッター作動機構300は、動力伝達機構600の駆動(回動円板610の回動)により、第1移動機構400及び第2移動機構500に動力を分岐して伝達し、第1移動機構400及び第2移動機構500を連動させてカッターユニット200にハーフカットを行うための循環運動を行わせる。
なお、テープ印刷装置1は、ハーフカットの動作が終了した場合、次の印刷を開始することができる。テープ印刷装置1が次の印刷を開始した場合、カッターユニット200は、切断待機位置に位置しており、テープ状部材160から離間しているため、テープ状部材160が印刷送りされるための妨げとはならない。
ここで、図23を参照して、所定位置に関して説明する。図23は、ハーフカット時の切断動作におけるカッターユニット200が第1切断動作を完了した状態を示す要部側面図を示している。そして、図23は、カッターユニット200が第1切断動作を完了して所定位置に位置した状態を示している。図23に示すように、切断動作時における所定位置は、本実施形態において、カッター刃210の刃先211の移動方向側(+Z方向側)の端部211bが、カッター刃210の移動方向側(+Z方向側)に対応するテープ状部材160の端部160aを越える位置に設定している。
そして、切断開始位置から切断完了位置まで移動させて切断動作を行わせるには、最初に、第1切断動作を行う。第1切断動作は、切断開始位置から所定位置まで、カッターユニット200を上昇(+Z方向へ移動)させることで切断を行う。次に、第2切断動作を行う。第2切断動作は、所定位置から切断完了位置まで、前方に移動(+Y方向へ移動)させることで切断を行う。
また、第1切断動作において、フルカット時には、カッター刃210の刃先211で切断し、ハーフカット時には、切っ先211aで切断を行おこなう。また、第2切断動作においては、所定位置からカッターユニット200(カッター刃210)を前方に移動(+Y方向へ移動)させることにより、フルカット時及びハーフカット時共に、カッター刃210の斜刃の部分を利用して、テープ状部材160の端部160aまでの切断を行う。なお、フルカット及びハーフカットが完了したカッターユニット200の位置(切断完了位置)は、フルカット及びハーフカットとも共通の位置となる。
ここで、図24を参照して、ハーフカット時における切断動作により切断されたテープ状部材160の切断のされ方に関して説明する。図24は、ハーフカット時の切断動作により切断されたテープ状部材の平面図を示している。図24に示すように、ハーフカット時において、第1切断動作により、符号Dで示す領域(切断開始位置側(−Z側)に対応するテープ状部材160の端部160bから、所定位置に対応するテープ状部材160の幅方向の途中の位置αまでの領域)では、ハーフカットが行われる。また、第2切断動作により、カッター刃210の斜刃を利用して切断を行った符号Eで示す領域(途中の位置αから端部160aまでの領域)では、フルカットが行われ、剥離紙162まで切断された状態となる。
このように、カッター作動機構300は、切断動作によりハーフカットを行った場合、テープ状部材160に対してハーフカット領域Dとフルカット領域Eとを形成する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態のカット装置20によれば、回動円板610は、係合部615を両面に有し、駆動部700から入力した動力により回動し、その回動による動力を分岐して第1移動機構400や第2移動機構500に伝達する。従って、複雑な循環運動を行わせるための動力を伝達する動力伝達機構600を回動円板610を用いることにより簡易に構成することができる。また、回動円板610により薄型化が図れると共に、係合部615を両面に有することで小型化も図れる。
本実施形態のカット装置20によれば、回動円板610は、係合部615に第1移動機構400と第2移動機構500とを係合させて動作させる。これにより、動力伝達機構600をシンプルに構成できると共に、複雑な循環運動の動作を、回動円板610の回転に同期させながら第1移動機構400と第2移動機構500とを連動させて行わせることができる。
本実施形態のカット装置20によれば、動力伝達機構600は、回動円板610の回転方向を順方向と逆方向とに切替えて一周させるという効率的な方法により、フルカット及びハーフカットの一連の循環運動を行わせることができる。
本実施形態のカット装置20によれば、回動円板610は、係合部615として平面カム溝620とクランク突起630とを備えている。そして、平面カム溝620と第1移動機構400のカム突起460とが係合して平面カム機構670を構成し、クランク突起630と第2移動機構500のクランク穴556とが係合してクランク機構680を構成する。この構成により、回動円板610を回動させて平面カム機構670とクランク機構680とを連動させ動作させるための動力伝達機構600をシンプルに構成できる。また、回動円板610や平面カム機構670やクランク機構680の小型化や薄型化を図ることができる。
本実施形態のカット装置20によれば、平面カム溝620は、回動円板610の一方の面(底面)にリング状に形成し、クランク突起630は、回動円板610の一方の面(底面)で平面カム溝620に囲まれる内側に形成されている。この構成により、平面カム溝620及びクランク突起630を回動円板610の同じ側の面(本実施形態では、底面)に効率的に配置して形成でき、動力伝達機構600の備える回動円板610の小型化や薄型化が図れる。
本実施形態のカット装置20によれば、回動円板610の外周部(本実施形態では回動円板610の側端部)を利用して係合部615としてのギヤ部650を形成している。ギヤ部650は、駆動部700と係合して回動円板610を回転させることにより、回動円板610を1つのギヤとして構成できる。また、駆動部700の減速比が回動円板610を利用して確保することができるため、駆動部700のギヤ構成を簡易にできる。このため、回動円板610の中心に突設させて駆動部700から動力を伝達されるギヤを構成する必要がない。この構成により、動力伝達機構600の備える回動円板610に係合部615を効率的に配置できると共に、回動円板610の薄型化を図ることができる。
本実施形態のカット装置20によれば、回動円板610の他方の面(本実施形態では上面)に側面カム突部640を備え、カッター作動機構300はテープ排出機構800を回動円板610の側面カム突部640とギヤ部650とに係合させることにより、回動円板610の動作にテープ排出機構800の動作を連動させる。このように、テープ排出機構800を動作させる側面カム突部640を回動円板610の面(上面)を効率的に使用して形成することができる。なお、回動円板610の面(底面)には、上述したフルカットやハーフカットを行う場合に使用する平面カム溝620及びクランク突起630を形成する。この構成により、回動円板610の両面および外周面を、効率的で効果的に使用することができ、フルカット、ハーフカット、およびテープ状部材160の排出を行う機構を構成することができる。そのため、回動円板610の小型化や薄型化を図れると共に、動力伝達機構600の小型化を図ることができる。また、それぞれの動作を回動円板610の回転に同期させて連動させることができる。
本実施形態のテープ印刷装置1によれば、上述した効果を有するカット装置20を備えるため、フルカット及びハーフカットが可能で、カッターユニット200に切断動作を含む循環運動を行わせる動力伝達機構600を、回動円板610を用いる簡易な構造で構成でき、しかも小型化や薄型化を図れるテープ印刷装置1が実現できる。
本実施形態のテープ印刷装置1によれば、カット装置20の動力伝達機構600を構成する回動円板610を、印刷駆動装置120の下側(−Z側)に配置することにより、テープ印刷装置1の小型化・薄型化を更に図れる。
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
前記実施形態では、回動円板610に形成するギヤ部650は、回動円板610の側端部に形成している。しかし、これに限られず、側端部から内側に入った領域となる外周部に形成してもよい。
前記実施形態では、回動円板610に形成するギヤ部650は、1種類のギヤ形状で形成し、駆動部700と係合し、併せて、テープ排出機構800の排出駆動部850と係合している。しかし、ギヤ部650のギヤ形状は、複数で形成し、それぞれ係合させてもよい。
前記実施形態において、回動円板610に形成する平面カム溝620や側面カム突部640の形状は適宜変更することができる。また、回動円板610に突設するクランク突起630の位置や、ギヤ部650のギヤ形状も適宜変更することができる。
前記実施形態において、回動円板610の底面に平面カム溝620とクランク突起630を形成し、回動円板610の上面に側面カム突部640を形成している。しかし、平面カム溝620、クランク突起630、及び側面カム突部640を形成する面は、適宜変更することができる。