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JP5438581B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示装置に使用される偏光板の製造に用いる偏光フィルムの製造方法および、この製造方法で得られた偏光フィルムを用いる偏光板の製造方法に関する。
偏光フィルムとしては、従来から、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性色素を吸着配向させたものが用いられている。すなわち、ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムは、通常、その少なくとも片面、好ましくは両面にポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロース等の保護フィルムを貼合して、偏光板とされ、液晶表示装置(LCD)として、例えば、液晶テレビ、パソコン用モニター、携帯電話の表示画面等に用いられる
偏光フィルムの製造方法としては、ニップロール、ガイドロールを使用し、ポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬させて膨潤させた後、前記二色性色素で染色し、これを延伸し、ついでヨウ素をフィルムに定着させるためにポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸処理(架橋処理)し、水洗した後、乾燥する方法が知られている。
また、近年では、液晶表示装置の大型化、機能向上及び輝度向上に伴い、それに用いられる偏光フィルムも大型化と同時に、光学特性の向上及び面内均一性の向上が求められている。しかしながら、大型の偏光フィルムを得るためには、広幅の原反フィルムを均一に一軸延伸することが必要であるが、得られる偏光フィルムの光線吸収軸(以下、吸収軸ということがある)がばらつき、光学特性(コントラスト等)が悪化する傾向にある。
一方、特許文献1には、ホウ酸処理工程でフィルムをホウ酸溶液に浸漬させる際に、ロールに非接触の状態で浸漬させ、フィルムを浸漬してからホウ酸溶液中で初めにロールに接触するまでの時間を0 . 4 〜 5 秒とすることにより、色むらが少なく、膜厚の均一な偏光フィルムが得られることが記載されている。
しかし、このような方法でも、吸収軸のバラツキによる光学特性の悪化を充分に抑制することができなかった。ここで、偏光フィルムの吸収軸(°)とは、偏光成分が吸収される方向を示し、吸収軸のバラツキ(最大と最小の差)が小さければ小さいほど、良好な光学特性を持つことになる。すなわち、偏光フィルムは、入射する光の直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収(或いは反射、散乱)して遮蔽するものであるので、吸収軸のバラツキが大きいと、画像のコントラストが悪くなり、良好な光学特性が得られなくなる。
特開2006−189559号公報
本発明の課題は、良好な光学特性を有する偏光フィルムの製造方法および、この製造方法で得られた偏光フィルムを用いる偏光板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ホウ酸処理工程の直前に、ホウ酸処理工程と同一の処理液に浸漬しつつ、気中および液中の順に配置された2つのニップロールにより一軸延伸を行う延伸工程を設け、該工程で一軸延伸を行うにあたり、浸漬時間を短くするなどして、フィルム幅の減少率を小さくすることにより、色ムラや膜厚の不均一化を抑制しつつ、吸収軸のバラツキが改善され、良好な光学特性を有する偏光フィルムが得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の偏光フィルムの製造方法は、以下の構成を有する。
(1)ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、洗浄処理の順に処理する工程の前または工程中に2つのニップロール間の周速差を利用して一軸延伸を行う偏光フィルムの製造方法において、前記ホウ酸処理工程の直前に、ホウ酸処理工程と同一の処理液に浸漬しつつ、気中および液中の順に配置された2つのニップロールにより一軸延伸を行う延伸工程を設け、該工程での浸漬直前のフィルム幅に対する浸漬後のフィルム幅の減少率を6%以下にすることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
(2)前記延伸工程における処理液への浸漬時間が0.5〜3秒、延伸倍率が1.01倍〜1.3倍である(1)に記載の偏光フィルムの製造方法。
(3)前記ホウ酸処理工程において、フィルムを浸漬してから液中ニップロールに搬送されるまでの間に1本以上のガイドロールを配置する(1)または(2)に記載の偏光フィルムの製造方法。
(4)前記ホウ酸処理工程おけるガイドロールがスポンジゴムロールであり、そのスポンジの硬度がJISショアCスケールで20〜60度、密度が0.4〜0.6g/cm3および表面粗さが10〜30Sである(1)〜(3)のいずれかにに記載の偏光フィルムの製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合されてなる偏光板の製造方法。
本発明の偏光フィルムの製造方法は、偏光フィルムの吸収軸のバラツキを抑制することができ、光学特性に優れた偏光フィルムおよび偏光板を製造することが可能になる。
本発明におけるホウ酸処理前の延伸工程の一実施形態を示す説明図である。
(偏光フィルムの製造方法)
本発明におけるポリビニルアルコール系フィルムを形成するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものが例示される。ケン化度としては、約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度としては、約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用しうる。通常、偏光フィルム製造の開始材料としては、厚さが約20μm〜100μm、好ましくは約30μm〜80μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムを用いる。工業的には、フィルムの幅は約1500mm〜6000mmが実用的である。
この未延伸フィルムを、膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理(架橋処理)、水洗処理の順に処理し、最後に乾燥して得られるポリビニルアルコール系偏光フィルムの厚みは、例えば約5〜50μm程度である。
本発明の偏光フィルムは、二色性色素を吸着配向せしめたポリビニルアルコール系一軸延伸フィルムであるが、その作製方法としては、未延伸のポリビニルアルコール系フィルムを水溶液で膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に溶液処理し、ホウ酸処理工程および必要ならその前の工程で湿式または乾式にて一軸延伸を行い、最後に乾燥を行う方法である。
本発明における一軸延伸は、ホウ酸処理工程を含む1つの工程で行ってもよく、2つ以上の工程で行ってもい。延伸方法は、後述するホウ酸処理工程における一軸延伸を除き、公知の方法を採用することができ、フィルムを搬送する2つのニップロール間に周速差をつけて延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載のような熱ロール延伸法、テンター延伸法などがある。また、基本的に工程の順序は、上記の通りであるが、処理浴の数や、処理条件などに制約はい。
また、上記工程に記載のい工程を別の目的で挿入することも自由であることは言うまでもない。この工程の例として、ホウ酸処理後に、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液による浸漬処理(ヨウ化物処理)またはホウ酸を含まない塩化亜鉛等を含有する水溶液による浸漬処理(亜鉛処理)工程等が挙げられる。
膨潤工程は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、次工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行われる。処理条件はこれらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。あらかじめ気体中で延伸したフィルムを膨潤させる場合には、例えば約20℃〜70℃、好ましくは約30℃〜60℃の水溶液にフィルムを浸漬して行われる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、更に好ましくは約60秒〜240秒程度である。はじめから未延伸の原反フィルムを膨潤させる場合には、例えば約10℃〜50℃、好ましくは約20℃〜40℃の水溶液にフィルムを浸漬して行われる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、更に好ましくは約60秒〜240秒程度である。
膨潤処理工程では、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいので、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなど公知の拡幅装置でフィルムのシワを取りつつフィルムを搬送することが好ましい。浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用したりすることも有用である。本工程では、フィルムの走行方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみをくすために、例えば処理槽前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。また、使用する膨潤処理浴は、純水の他、ホウ酸(特開平10−153709号公報に記載)、塩化物(特開平06−281816号公報に記載)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを約0.01重量%〜10重量%の範囲で添加した水溶液も使用可能である。
二色性色素による染色工程は、フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で行われる。処理条件はこれらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、例えば、約10℃〜45℃、好ましくは約20℃〜35℃の温度で、かつ重量比でヨウ素/KI/水=約0.003〜0.2/約0.1〜10/100の濃度で約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行う。ヨウ化カリウムに代えて、他のヨウ化物、例えばヨウ化亜鉛などを用いてもよい。また、他のヨウ化物をヨウ化カリウムと併用してもい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合、ヨウ素を含む点で下記のホウ酸処理と区別される。水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいるものであれば染色槽と見なせる。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、例えば約20℃〜80℃、好ましくは約30℃〜70℃の温度で、かつ重量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100の濃度で約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行う。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを有していてもよく、例えば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は単独でもよいし、2種類以上の二色性染料を同時に用いることもできる。
前記したように染色槽でフィルムを延伸させてもよい。延伸は染色槽の前後のニップロールに周速差を持たせるなどの方法で行われる。また、膨潤工程と同様に、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、染色浴中および/または浴出入り口に設置することもできる。
ホウ酸処理は、水100重量部に対してホウ酸を約1〜10重量部含有する水溶液に、二色性色素で染色したポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われる。二色性色素がヨウ素の場合、ヨウ化物を約1〜30重量部含有させることが好ましい。
ヨウ化物としてはヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させてもい。
このホウ酸処理は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等のために実施される。架橋による耐水化のための場合には、必要に応じて、ホウ酸以外に、またはホウ酸と共に、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤も使用することができる。
なお、耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。また、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
このホウ酸処理は、その目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更して行なわれる。
耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理は特に区別されるものではないが、下記の条件で実施される。
原反フィルムを膨潤、染色、ホウ酸処理をする場合で、ホウ酸処理が架橋による耐水化を目的としている時は、水100重量部に対してホウ酸を約3〜10重量部、ヨウ化物を約1〜20重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約50℃〜70℃、好ましくは53℃〜65℃の温度で行われる。浸漬時間は、通常、10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒、より好ましくは20〜200秒である。
なお、予め延伸したフィルムを染色、ホウ酸処理を行う場合、ホウ酸処理浴の温度は、通常、約50℃〜85℃、好ましくは約55℃〜80℃である。
耐水化のためのホウ酸処理後、色相調整のためのホウ酸処理を行ってもい。例えば二色性染料がヨウ素の場合、この目的のためには、水100重量部に対してホウ酸を約1〜5重量部、ヨウ化物を約3〜30重量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約10℃〜45℃の温度で行われる。浸漬時間は、通常、1〜300秒程度、好ましくは10〜240秒である。
これらのホウ酸処理は複数の工程で行ってもく、通常、2〜5の工程で行われることが多い。この場合、各工程で使用するホウ酸処理槽の水溶液組成や温度は上記の範囲内で同じであっても、異なっていてもよい。上記耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理をそれぞれ複数の工程で行ってもい。
ホウ酸処理後、水洗処理される。水洗処理は、例えば、耐水化および/または色調調整のためにホウ酸処理したポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬、水をシャワーとして噴霧、あるいは浸漬と噴霧を併用することによって行われる。水洗処理における水の温度は、通常、約2〜40℃程度であり、浸漬時間は約2〜120秒程度であるのがよい。
その後、ポリビニルアルコール系フィルムを水洗し、乾燥炉中で約40〜100℃の温度で約60〜600秒乾燥させることにより、偏光フィルムを得ることができる。
(ホウ酸処理前の延伸工程における一軸延伸)
図1は、本発明におけるホウ酸処理前の延伸工程での一軸延伸の一実施形態を示す説明図である。
図1に示す延伸処理槽1には、ホウ酸処理工程と同一の処理液4が入れられており、この処理液4中に浸漬されるポリビニルアルコール系フィルム10の搬送方向上流側のニップロール3が気中に、下流側のニップロール3'が液中にそれぞれ設置されている。
このように気中および液中の順に2つのニップロール3、3'を設置するのは、次のホウ酸処理工程においてフィルム10の面内均一にホウ酸処理して一軸延伸するためには、該延伸を液中で行うのが好ましいからである。
前記延伸工程において、上流側と下流側に配置された2つのニップロール3、3'間には、必要に応じてガイドロール2を1または複数配置することができる。ガイドロール2は気中および液中のいずれであってもよい。
前記したホウ酸処理前の延伸工程での一軸延伸は、前記したように上流側のニップロール3が気中に、下流側のニップロール3'が液中にそれぞれ設置した状態で、ポリビニルアルコール系フィルム10の浸漬時間を0.5〜3秒、延伸倍率を1.01倍〜1.3倍とし、浸漬直前のフィルム幅に対する浸漬後のフィルム幅の減少率(以下、単に「フィルム幅の減少率」という)を6%以下にする。
浸漬時間が0.5秒より短いと色むらが発生しやすく、またフィルム幅方向の膜厚が不均一になる。一方、3秒より長いと、フィルム幅の減少率が6%を超え、そのため吸収軸のバラツキを小さくすることが困難になる。
また、前記ホウ酸処理前の延伸工程における延伸倍率が1.01倍より小さいと、フィルムに皺が入ったり、フィルムが切れやすくなり、逆に延伸倍率が1.3倍より大きいと、フィルム幅の減少率が6%を超えやすく、そのため吸収軸のバラツキを小さくすることが困難になる。
なお、全工程での最終的な積算延伸倍率は、約4.5〜7.0倍、好ましくは約5.0〜6.5倍であるのがよい。
本発明では、浸漬によるフィルム幅の減少率(%)は6%以下、より好ましくは5%以下である。浸漬によるフィルム幅の減少率が6%より大きいと、吸収軸のバラツキが大きくなり、得られる偏光フィルムの光学特性が低下する。
前記ガイドロール2は、ゴムロール、ステンレス鋼製研磨ロールおよびスポンジゴムロールのいずれであってもよいが、スポンジゴムロールであることが好ましい。
ゴムロールとしては、N B R 等からなり、その硬度がJ I S K 6 3 0 1 の試験方法で測定したJ I S ショアC スケールで約6 0 〜 9 0 度、好ましくは約7 0 〜 8 0 度、表面粗さがJ I S B 0 6 0 1 ( 表面粗さ) の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔S で表して約0 . 1 〜 5 S 、好ましくは約0 . 5 〜 1 であることが好ましい。
ステンレススチール製研磨ロールとしては、S U S 3 0 4 、S U S 3 1 6 等からなり、膜厚の均一化を図る上から、その表面粗さが、J I S B 0 6 0 1 ( 表面粗さ) の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔S で表して約0 . 2 〜 1 . 0 S であるものが好ましく、またその動摩擦係数が約0 . 1 〜 0 . 4 、好ましくは約0 . 1 5 〜 0 . 3 5 であるものが好ましい。本発明における動摩擦係数は、J I S K 7 1 2 5 の試験方法に準拠して、ポリビニルアルコール系フィルムと水中で測定した値で表す。
本発明において使用されるスポンジゴム製のガイドロールとしては、スポンジの硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで20〜60度、好ましくは25〜50度、密度が0.4〜0.6g/cm3、好ましくは0.42〜0.57g/cm3および表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して10〜30S、好ましくは15〜25Sである。
延伸処理後のそれぞれの工程において、フィルムの張力がそれぞれ実質的に一定になるように張力制御を行ってもよい。
ホウ酸処理後に、上記したヨウ化物処理または亜鉛処理を行う場合には、これらの工程についても張力制御を行う。
それぞれの工程における張力は同じであってもく、異なっていてもい。張力制御におけるフィルムへの張力は、特に限定されるものではなく、単位幅当たり、約150N/m〜2000N/m、好ましくは約600N/m〜1500N/mの範囲内で適宜設定される。張力が約150N/mを下回ると、フィルムにシワなどができやすくなる。一方、張力が約2000N/mを超えると、フィルムの破断やベアリングの磨耗による低寿命化などの問題が生じる。また、この単位幅当たりの張力は、その工程の入口付近のフィルム幅と張力検出器の張力値から算出する。
なお、張力制御を行った場合に、不可避的に若干延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、これは延伸処理に含めない。
(偏光板の製造)
以上のようにして製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムを接着剤で貼合して偏光板が得られる。
保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリカーボネート系樹脂からなるフィルム、シクロオレフィン系樹脂からなるフィルム、さらにアクリル系樹脂からなるフィルム、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムなどが挙げられる。
接着剤と偏光フィルム及び/又は保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルム及び/又は保護フィルムに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。各実施例におけるフィルム幅の減少率および吸収軸は以下の方法にて測定した。
(フィルム幅の減少率)
浸漬直前のフィルム幅から液中ニップロールを通過直後のフィルム幅を引き、これを浸漬直前のフィルム幅で割って求めたものである。
(吸収軸の測定方法)
フィルムの幅方向を基準とし、その基準軸に対して長手方向50mm、幅方向は全幅で帯状フィルム片を採取し、自動複屈折測定装置(大塚電子社製、商品名「RETS」を用いて、当該フィルム片を幅方向に9等分した各箇所について、吸収軸角度を測定した。得られた軸角度のうち、最大値と最小値を差し引いた値を吸収軸のバラツキとして採用した。
〔実施例1〕
厚さ75μm、幅450mmのポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロンVF−PS#7500、重合度2,400 、ケン化度99.9モル%以上 )を30℃の純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったまま浸漬しフィルムを十分に膨潤させた。
次にヨウ素/ヨウ化カリウム/水が重量比で0.02/2.0/100 の染色槽に浸漬しつつ、積算倍率で2.4倍となるように一軸延伸を行った。
次に気中及び液中ニップロールを用いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で12/4.4/100 の55℃水溶液に2秒間浸漬させながら1.1倍の延伸を行った(ホウ酸処理前の延伸工程)。さらに同一の液に浸漬しつつ原反からの積算延伸倍率が5.5倍になるまで一軸延伸を行った後(第一のホウ酸処理工程)、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で9/2.9/100の40℃水溶液に浸漬した(第二のホウ酸処理工程)。
続いて5℃の純水で8秒間洗浄し、70℃で3分乾燥して、偏光フィルムを得た。このときの前記延伸工程におけるフィルム幅の減少率は2.5%、得られた偏光フィルムの吸収軸のバラツキ(最大と最小の差)は0.08°であった。
〔実施例2〕
前記ホウ酸処理前の延伸工程における延伸倍率を1.3倍とした以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。このときの前記延伸工程におけるフィルム幅の減少率は5.0%、得られた偏光フィルムの吸収軸のバラツキ(最大と最小の差)は0.12°であった。
〔実施例3〕
前記ホウ酸処理前の延伸工程において、液中ニップロールの直前にスポンジゴム製のガイドロール(スポンジの硬度がJISショアCスケールで25度、密度が0.42g/cm3、および表面粗さが20S)を配置し、浸漬時間を2.5秒とした以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。このときの前記延伸工程におけるフィルム幅の減少率は4.0%、得られた偏光フィルムの吸収軸のバラツキ(最大と最小の差)は0.11°であった。
〔比較例1〕
前記ホウ酸処理前の延伸工程における浸漬時間を5秒とした以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。このときの前記延伸工程におけるフィルム幅の減少率は6.7%、得られた偏光フィルムの吸収軸のバラツキ(最大と最小の差)は0.21°であった。
〔比較例2〕
前記ホウ酸処理前の延伸工程における延伸倍率を1.4倍とした以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを得た。このときの前記延伸工程におけるフィルム幅の減少率は7.5%、得られた偏光フィルムの吸収軸のバラツキ(最大と最小の差)は0.22°であった。
〔比較例3〕
前記ホウ酸処理前の延伸工程における延伸倍率を1.0倍とした以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムを得ようとしたが、フィルムに皺が入って、切断が多発し偏光フィルムを得ることができなかった。
上記した実施例1〜3および比較例1〜3の結果を以下に示す。
Figure 0005438581
上記した表1より、実施例1〜3は、フィルム幅の減少率が6%以下であると、吸収軸のバラツキが少なくなることがわかる。また、比較例1、2は、いずれもフィルム幅の減少率が6%を超えているため、吸収軸のバラツキが大きくなっていることがわかる。
1: 延伸処理槽、2:ガイドロール、3、3':ニップロール、4:処理液、10:ポリビニルアルコール系フィルム、

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、洗浄処理の順に処理し、そのうち少なくとも染色処理およびホウ酸処理の各工程中に、それぞれ2つのニップロール間の周速差を利用して一軸延伸を行う偏光フィルムの製造方法において、
    前記ホウ酸処理工程の直前に、ホウ酸処理工程と同一の処理液に浸漬しつつ、気中および液中の順に配置された2つのニップロールにより一軸延伸を行う延伸工程を設け、該延伸工程での浸漬時間を0.5〜3秒、延伸倍率を1.01倍〜1.3倍とし、浸漬直前のフィルム幅に対する浸漬後のフィルム幅の減少率を6%以下にし、かつ
    前記洗浄処理を経て得られる偏光フィルムの積算延伸倍率を5.0〜6.5倍とすることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記延伸工程において、フィルムが浸漬してから液中ニップロールに搬送されるまでの間に1本以上のガイドロールを配置する請求項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記延伸工程おけるガイドロールがスポンジゴムロールであり、そのスポンジの硬度がJISショアCスケールで20〜60度、密度が0.4〜0.6g/cm3および表面粗さが10〜30Sである請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法によって製造される偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルム貼合することを特徴とする偏光板の製造方法。
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