JP5427595B2 - 捩れ配向モード液晶表示装置 - Google Patents
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Description
[1] 互いの吸収軸を直交にして配置されている第1及び第2の偏光膜、
前記第1及び第2の偏光膜の間に配置される、第1及び第2のセル基板(但し、第1のセル基板が前記第1の偏光膜により近い位置に配置され、及び第2のセル基板が前記第2の偏光膜により近い位置に配置されるものとする)と、その間に配置される液晶層とを少なくとも有する捩れ配向モードの液晶セル、並びに
前記第1の偏光膜と前記液晶セルとの間、及び前記第2の偏光膜と前記液晶セルとの間にそれぞれ、少なくとも3つの光学異方性層、光学異方性層A、B及びCを有する第1及び第2の光学異方性積層体を有する液晶表示装置であって、
前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれの、前記光学異方性層A、B及びCの配置の順序が、液晶セルを中心として対称的であり;
前記光学異方性層A及びBが、傾斜配向状態に固定された棒状液晶を含有し、及び波長550nmにおける面内レターデーションが0〜200nmであり;
前記光学異方性層Cの面内レターデーションが0〜350nmであり、且つ厚み方向のレターデーションが−50〜300nmであり;
前記第1の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Cの面内遅相軸と前記第1の偏光膜との吸収軸が平行又は直交であり、及び前記第2の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Cの面内遅相軸と前記第2の偏光膜との吸収軸が平行又は直交であり;
前記第1の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aと前記光学異方性層Bの面内遅相軸が互いに直交であり、前記第2の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aと前記光学異方性層Bの面内遅相軸が互いに直交であり;
前記第1の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aの遅相軸と前記液晶層の第1のセル基板における光軸を同一面内に投影した軸が、互いに45°であり、且つ前記第2の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aの遅相軸と前記液晶層の第2のセル基板における光軸を同一面内に投影した軸が、互いに45°であり;
前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸がそれぞれ互いに平行であって、且つ第1及び第2の光学異方性積層体が同一である、又は
前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸が互いに直交である;
捩れ配向モード液晶表示装置。
[2] 前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸がそれぞれ互いに平行であって、且つ第1及び第2の光学異方性積層体が同一である[1]の捩れ配向モード液晶表示装置。
[3] 前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸がそれぞれ互いに直交である[1]の捩れ配向モード液晶表示装置。
[4] 前記光学異方性層A及びBの棒状液晶の平均傾斜角が、5〜80°である[1]〜[3]のいずれかの捩れ配向モード液晶表示装置。
[5] 前記光学異方性層A及びBの面内レターデーションが、0〜150nmである[1]〜[4]のいずれかの捩れ配向モード液晶表示装置。
[6] 前記光学異方性層A及びBの棒状液晶の平均傾斜角が互いに同一であり、且つ面内レターデーションが同一である[1]〜[5]のいずれかの捩れ配向モード液晶表示装置。
[7] 前記光学異方性層Cが、面内レターデーションが逆分散性を示すフィルムからなる[1]〜[6]のいずれかの捩れ配向モード液晶表示装置。
なお、本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(単位:nm)及び厚さ方向のレターデーション(単位:nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(21)及び数式(22)よりRthを算出することもできる。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、本明細書において、Re、Rth及び屈折率について特に測定波長が付記されていない場合は、測定波長550nmであるものとする。
図1に、本発明の液晶表示装置の第1の実施形態の分解斜視図を示す。図1に示す液晶表示装置LCD1は、第1の偏光子4及び第2の偏光子5と、その間にTNモード液晶セル10を有する。液晶セル10と第1の偏光子4、及び液晶セル10と第2の偏光子5の間にはそれぞれ、光学異方性層A(6、6’)、光学異方性層B(7、7’)、及び光学異方性層C(8、8’)を含む第1及び第2の光学異方性積層体12、12’が配置されている。第1及び第2の光学異方性積層体12、12’中、各光学異方性層は、液晶セル10を中心にして、光学異方性層A(6、6’)、光学異方性層B(7、7’)、及び光学異方性層C(8、8’)の順番で配置されていて、即ち、液晶セル10を中心として対称的配置になっている。第1及び第2の偏光子4、5は、それぞれの吸収軸4a、5aを、互いに直交にして配置されている。
本発明では、上記特性を満足する光学異方性A、B及びCを組み合わせ、液晶セル10を中心に対称的に、且つ各層の遅相軸等を所定の関係で配置することにより、画面左右方位(図1の下に記載の座標中、0−180°方位)及び画面上下方位(図1中の下に記載の座標中、90−270°方位)のいずれにおいても、斜め方向のコントラストを改善している。その結果、棒状液晶を利用した光学異方性層を2層積層した構造を有する従来の光学補償シート(例えば、上記特許文献1〜3に開示されている光学補償シート等)によっては達成し得ない、コントラストが10以上となる上下左右の視野角の総和が320°以上となる、優れた広視野角特性を達成し得る。
具体的には、第1及び第2の光学異方性積層体12及び12’中、光学異方性層A(6、6’)の面内遅相軸(6b、6’b)がそれぞれ270°方位及び90°方位であり、互いに平行になっている。光学異方性層B(7、7’)の面内遅相軸(7b、7’b)はいずれも180°方位であり、光学異方性層A(6、6’)の面内遅相軸(6b、6’b)とそれぞれ直交関係になっていて、また光学異方性層B(7、7’)の面内遅相軸(7b、7’b)を同一面内に投影した軸は互いに平行になっている。さらに、第1の偏光子4の吸収軸4aが45°−225°方位、及び第2の偏光子5の吸収軸5aが135°−315°方位であり、並びに光学異方性層C(8、8’)の面内遅相軸(8a、8’a)はそれぞれ135°及び45°方位であるので、光学異方性層C(8、8’)の面内遅相軸(8a、8’a)は、第1の偏光子4の吸収軸4a及び第2の偏光子5の吸収軸5aとそれぞれ直交している。また、第1のセル基板2の内面に形成された配向膜のラビング方位が45°方位、第2のセル基板3のラビング方位が135°方位になっていて、即ち、それぞれの基板近傍の分子2a及び3aの配向に起因する光軸を基板表面に投影すると、ラビング軸2b及び3bと一致していて、45°方位及び135°方位になっている。よって、第1及び第2の光学異方性積層体(12、12’)中の光学異方性層A(6、6’)の面内遅相軸(6b、6’b)と、それぞれより近くに位置する第1及び第2の基板(2、3)の基板近傍の光軸(2b、3bとして示す)とは、互いに45°になっている。また、図2中に示す通り、第1の光学異方性積層体12と第2の光学異方性積層体12’とは、同一の構成の積層体であり、即ち、本態様は、同一の積層体を、上記関係を満足するように、液晶セルの上下に配置した態様である。
図3の構成例では、第1及び第2の光学異方性積層体12及び12’中、光学異方性層A(6、6’)の面内遅相軸(6b、6’b)は、いずれも180°方位であり、互いに平行になっている。光学異方性層B(7、7’)の面内遅相軸(7b、7’b)はそれぞれ、270°方位及び90°方位であり、光学異方性層A(6、6’)の面内遅相軸(6b、6’b)とそれぞれ直交関係になっていて、また光学異方性層B(7、7’)の面内遅相軸(7b、7’b)を同一面内に投影した軸は互いに平行になっている。第1の偏光子4の吸収軸4aと、第1の光学異方性体12中の光学異方性層C(8)の面内遅相軸(8a)との関係、並びに第2の偏光子5の吸収軸5aと、第2の光学異方性体12’中の光学異方性層C(8’)の面内遅相軸(8’a)との関係は、図2と同様である。また、図2と同様、第1のセル基板2の内面に形成された配向膜のラビング方位が45°方位、第2のセル基板3のラビング方位が135°方位になっていて、即ち、それぞれの基板近傍の分子2a及び3aの配向に起因する光軸を基板表面に投影すると、ラビング軸2b及び3bと一致していて、45°方位及び135°方位になっている。よって、第1及び第2の光学異方性積層体(12、12’)中の光学異方性層A(6、6’)の面内遅相軸(6b、6’b)と、それぞれより近くに位置する第1及び第2の基板(2、3)の基板近傍の光軸(2b、3bとして示す)とは、図2と同様、互いに45°になっている。また、図2中に示す通り、第1の光学異方性積層体12と第2の光学異方性積層体12’とは、同一の構成の積層体であり、即ち、本態様は、同一の積層体を、上記関係を満足するように、液晶セルの上下に配置した態様である。
図6の構成例では、第1及び第2の光学異方性積層体12”及び12'''中、光学異方性層A(6”、6''')の面内遅相軸(6”b、6'''b)は、それぞれ180°方位及び90°方位であり、互いに直交関係になっている。光学異方性層B(7”、7''')の面内遅相軸(7”b、7'''b)はそれぞれ、270°方位及び180°方位であり、光学異方性層A(6”、6''')の面内遅相軸(6”b、6'''b)とそれぞれ直交関係になっていて、また光学異方性層B(7”、7''')の面内遅相軸(7”b、7'''b)を同一面内に投影した軸が互いに直交関係になっている。第1の偏光子4の吸収軸4aと、第1の光学異方性体12”中の光学異方性層C(8”)の面内遅相軸(8”a)との関係、並びに第2の偏光子5の吸収軸5aと、第2の光学異方性体12'''中の光学異方性層C(8''')の面内遅相軸(8'''a)との関係は、図5と同様である。また、図5と同様、第1のセル基板2の内面に形成された配向膜のラビング方位が45°方位、第2のセル基板3のラビング方位が135°方位になっていて、即ち、それぞれの基板近傍の分子2a及び3aの配向に起因する光軸を基板表面に投影すると、ラビング軸2b及び3bと一致していて、45°方位及び135°方位になっている。よって、第1及び第2の光学異方性積層体(12”、12''')中の光学異方性層A(6”、6''')の面内遅相軸(6”b、6'''b)と、それぞれより近くに位置する第1及び第2の基板(2、3)の基板近傍の光軸(2b、3b)とは、図5と同様、互いに45°になっている。
図1中に示す様に、光学異方性層A(6、6’)中、及び光学異方性層B(7、7’)中、棒状液晶分子6a、6’a、7a、7’aは、所定の傾斜方位6c、6’c、7c、7’cで、例えば、平均傾斜角5〜80°程度で、配向している。各光学異方性層中、棒状液晶は、例えば、各光学異方性層を形成する際に利用した配向膜に施されているラビング処理の方向に対して長軸を平行にして配向するので、傾斜配向であっても、光軸を層面に投影した軸はラビング軸と一致する。この例では、ラビング軸が、各光学異方性層の面内遅相軸6b、6’b、7b、7’bとなる。光軸を、層面に投影する際に、傾斜方位6c、6’c、7c、7’cも反映し、単なる軸としてではなく、棒状液晶が立ち上がっている方向のベクトルとして投影したのが、図2及び図3中の、遅相軸6b、6’b、7b、7’bとして示した矢印である。第1及び第2の光学異方性積層体を、図2及び図3に示す通り、各層を対応させて並べた際に、この矢印が、互いに等しい向きで平行である関係を、光軸の投影軸が「平行」と表現し、図7及び図8に示す通り、この矢印が互いに逆の向きで平行である関係を、光軸の投影軸が「反平行」と表現する。
但し、光学異方性層A及びBの傾斜角度は、厚み方向で増加も減少もせずに、一様であるのがより好ましい。
また、上記では、第1及び第2の光学異方性積層体がそれぞれ、光学異方性層A、B及びCの3層からなる実施形態を示したが、4層以上の光学異方性層を含んでいてもよい。但し、4層以上含む態様では、光学異方性層A及びB以外の光学異方性層の面内レターデーションの総和を0〜300nmに調整するのが好ましい。また、3層以上の光学異方性層を含む第1及び第2の光学異方性積層体は、全部又は一部を積層して一体化した部材として液晶表示装置に組み込んでもよいし、また各光学異方性層が自己支持性のある部材である場合は、それぞれ独立した部材として組み込むこともできる。但し、光学異方性層A及びBは、棒状液晶組成物からなる層であるので、通常、自己支持性はなく、ポリマーフィルム等の当該層を支持する支持体を伴うであろう。該支持体が、光学異方性層Cであってもよい。
また、本発明は、TNモード、ECBモード、OCBモード等の捩れ配向モードを利用した液晶表示装置のいずれについても、画面左右方位及び上下方位の斜め方向のコントラストを改善するという効果を奏する。特に、黒表示時の平均傾斜角が60〜80°程度のTNモード液晶表示装置の態様において有効である。
(光学異方性層A及びB)
本発明の液晶表示装置は、傾斜配向状態に固定された棒状液晶を含有し、及び波長550nmにおける面内レターデーション(Re)が0〜200nm(好ましくは0〜190nm、より好ましくは10〜190nm)である光学異方性層A及びBを有する。光学異方性層A及びBは同一の光学異方性層であるのがより好ましく、即ち、同一の材料を用いて、同一の平均傾斜角で配向させた棒状液晶を含有する、Reが同一の光学異方性層であるのが好ましい。
ここで、配向状態に固定された棒状液晶を含有する光学異方性層において、光学異方性層の一方の面における傾斜角(「チルト角」ともいう。棒状液晶分子の物理的な対象軸が光学異方性層の界面となす角度をチルト角とする)θ1、及び他方の面のチルト角θ2を、直接的かつ正確に測定することは困難である。そこで、本明細書においては、θ1及びθ2は、以下の手法で算出する。本手法は、実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では、算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層は棒状化合物や棒状化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。更に、それを構成する最小単位の層(棒状液晶性化合物のチルト角は該層内において一様と仮定する。)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。該測定及び計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、例えば、KOBRA−21ADH、KOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP−100((株)島津製作所製)、M150、M520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)などで行うことができる。
(2)各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(no及びneは各々すべての層において同じ値とする。)、多層体全体の厚みをdとする。更に、各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の極角依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1及び他方の面のチルト角θ2及び厚みdを変数としてフィッティングを行い、θ1、θ2およびdを算出する。
ここで、no及びneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合は、アッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定することもできる。
また、一般にクリスタル・ローテーション法により光学異方性層の平均傾斜角θを求めることができる。
棒状液晶性化合物の複屈折率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001〜0.7が好ましい。
重合性基を有する前記液晶性化合物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アクリレート基及び/又はメタクリレート基を、1〜5つを有する液晶性化合物が好ましく、1〜4つを有する液晶性化合物がより好ましく、アクリレート基及び/又はメタクリレート基を1〜2つを有する液晶性化合物が更に好ましい。それぞれ、アクリレート基を有する棒状液晶性化合物が特に好ましい。1つ以上とすることにより、配向秩序度は減少するものの重合性基が多くなるため、密着性が向上し好ましい。5つ以下とすることにより、配向秩序度が増加する傾向にあり好ましい。また、光学異方性層は、同じ重合性基を有している液晶性化合物を含有していることが好ましく、アクリレート基を1〜4つの重合性基の異なる棒状液晶化合物を2つ以上有することが好ましく、1〜2つの重合性基の異なる棒状液晶化合物を2つ以上有することがより好ましい。
また、前記液晶性化合物は、高分子液晶性化合物であってもよく、低分子液晶性化合物であってもよい。更に、配向状態を維持して固定されていることが好ましい。前記液晶性化合物としては、光学異方性層を形成する際に架橋され、その後、液晶を示さなくなったものも含まれる。
重合性モノマーとしては、例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。他には、ラジカル重合性もしくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量としては、液晶性化合物に対して、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%であるのがより好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が3以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることができ、より好ましい。
棒状液晶化合物の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基及びスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。
前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
前記配向膜に使用されるポリマーとしては、例えば、特開平8−338913号公報の段落番号[0022]記載の化合物が挙げられる。中でも、水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましい。
ポリビニルアルコールの重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜3000であることが好ましい。
本明細書では、光学異方性層CのReの符号が正である場合は、光学異方性層の遅相軸が隣接する偏光板吸収軸と直交していることを意味し、及び光学異方性層CのReの符号が負である場合は、光学異方性層の遅相軸が隣接する偏光板吸収軸と平行を意味することとする。
本発明では、面内レターデーションが0〜350nm(好ましくは10〜350nm、より好ましくは20〜330nm、さらに好ましくは25〜330nm)である光学異方性層Cを利用する。光学異方性層Cの位置については特に制限はない。光学異方性層Cの双方の表面に、光学異方性層A及びBを形成してもよい。
また、光学異方性層Cの厚み方向のレターデーションについては特に制限はないが、視野角特性の改善の観点では、−50〜300nm(好ましくは−10〜290nm、より好ましくは−10〜200nm)であるのが好ましい。
セルロースアシレート類としては、アセチル基を有するセルロースアセテートが代表的な例として挙げられるが、それ以外にも、アセチル基とともにプロピオニル基又はブチリル基を有する、いわゆるCAP及びCAB等を用いることもできる(これについては後述する)。
また、額縁ムラ改善の観点からは、光学異方性層Cとして用いるポリマーフィルムは、厚みが薄い(例えば40μm程度)のフィルムが好ましい。また、用途によっては、Re及びRthの波長分散が逆分散性であるものも好ましい。Reが逆分散性であると、視野角の拡大のみならず、斜め方向において生じる色味つきも軽減できるので好ましい。
また、アセチル基とともに、他の脂肪酸エステル残基を有する混合脂肪酸エステルも好ましい。脂肪酸エステル残基の脂肪族アシル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。中でも、アセチル基とともに、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、及びヘキサノイル基から選ばれるアシル基を有するセルロースアシレートを用いるのが好ましく、その置換度が、下記式(1)〜(3)を満足するセルロースアシレートを用いるのがより好ましい。
(1) 2.0 ≦X+Y ≦3.5
(2) 0 ≦X ≦2.5
(3) 0.4 ≦Y ≦2.9
式(1)〜(3)中、Xはセルロースアシレート中のアセチル基の置換度を示し、Yは、セルロースアシレート中のプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、及びヘキサノイル基から選ばれるアシル基の置換度の総和を示す。
シクロオレフィン系ホモポリマー及びコポリマーの例には、たとえば多環式単量体の開環重合体等が挙げられる。多環式単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、これらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの分子量については特に制限はないが、一般的には、5000〜500000であるのが好ましく、10000〜100000であるのがより好ましい。また、上市されているシクロオレフィン系ポリマーとしては、ARTONシリーズ(JSR(株)製)、ZEONORシリーズ(日本ゼオン(株)製)、ZEONEXシリーズ(日本ゼオン(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)を使用することができる。市販のポリマーフィルムを用いる場合は、延伸処理を施して、上記数式を満足するように、光学特性を調整してもよい。例えば、ZEONORシリーズのポリマーフィルムを用いる場合は、縦延伸(フィルム長手方向に対する延伸)及び/又は横延伸(フィルム幅方向に対する延伸)を施すことによって、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足するポリマーフィルムとすることができる。縦延伸倍率は1〜150%であるのが好ましく、横延伸倍率は2〜200%であるのが好ましい。
使用可能な厚さ方向のレターデーションRth発現剤としては、延伸により発現する面内レターデーションReに影響しないことが好ましく、円盤状の化合物を用いることが好ましい。
使用可能な面内レターデーションRe発現剤の例には、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物が含まれる。
使用可能な厚さ方向のレターデーションRth低減剤の例には、特開2005−301227号に記載の化合物が含まれる。
これら添加剤の使用量は、ポリマー成分100質量部に対して0.01〜30質量部とするのが好ましい。
マット剤の使用量は、ポリマー成分100質量部に対して0.01〜0.3質量部とするのが好ましい。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
セルロースアシレート溶液の調製:
平均アセチル置換度が2.85のセルロースアセテートの粉体を用いた。セルロースアシレートAの粘度平均重合度は300、6位のアセチル基置換度は0.89、アセトン抽出分は7質量%、質量平均分子量/数平均分子量比は2.3、含水率は0.2質量%、6質量%ジクロロメタン溶液中の粘度は305mPa・s、残存酢酸量は0.1質量%以下、Ca含有量は65ppm、Mg含有量は26ppm、鉄含有量は0.8ppm、硫酸イオン含有量は18ppm、イエローインデックスは1.9、遊離酢酸量は47ppmであった。粉体の平均粒子径は1.5mm、標準偏差は0.5mmであった。
セルロースアシレートは120℃に加熱して乾燥し、含水率を0.5質量%以下とした。
――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレートA 15質量部
ジクロロメタン(第1溶媒) 83質量部
メタノール(第2溶媒) 15質量部
ブタノール(第3溶媒) 1質量部
二酸化ケイ素微粒子(粒子サイズ20nm) 0.08質量部
添加剤(下記化合物A) 10質量部
――――――――――――――――――――――――――――
攪拌羽根を有し外周を冷却水が循環する400リットルのステンレス製溶解タンクに、前記溶媒及び添加剤を投入して撹拌、分散させながら、前記セルロースアシレートを徐々に添加した。投入完了後、室温にて2時間撹拌し、3時間膨潤させた後に再度撹拌を実施し、セルロースアシレート溶液を得た。 なお、攪拌には、15m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2〔4.9×105N/m/sec2〕)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸及び中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2〔9.8×104N/m/sec2〕)で攪拌する攪拌軸を用いた。膨潤は、高速攪拌軸を停止し、アンカー翼を有する攪拌軸の周速を0.5m/secとして実施した。
膨潤した溶液をタンクから、ジャケット付配管で50℃まで加熱し、さらに2MPaの加圧化で90℃まで加熱し、完全溶解した。加熱時間は15分であった。この際、高温にさらされるフィルター、ハウジング、及び配管はハステロイ合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の熱媒を流通させるジャケットを有する物を使用した。
次に36℃まで温度を下げ、セルロースアシレート溶液を得た。
得られた溶液を、絶対濾過精度10μmの濾紙(#63、東洋濾紙(株)製)で濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの金属焼結フィルター(FH025、ポール社製)にて濾過してセルロースアシレート溶液を得た。
前記セルロースアシレート溶液を30℃に加温し、流延ギーサー(特開平11−314233号公報に記載)を通して15℃に設定したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延スピードは50m/分、塗布幅は200cmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルムをバンドから剥ぎ取り、45℃の乾燥風を送風した。次に110℃で5分、さらに140℃で10分乾燥して、セルロースアシレートの膜厚80μmの透明フィルムを得た。
得られたフィルムを、2つのニップロール間に加熱ゾーンを有する装置を用いて熱処理した。縦横比(ニップロール間の距離/ベース幅)は3.3となるように調整し、加熱ゾーンは熱処理温度150℃及び熱処理時間2分とし、2つのニップロールを通過した後、フィルムを1000℃/分で25℃まで冷却した。また、フィルムの伸びは、フィルムの搬送方向と直交する方向に一定間隔の標線を入れ、その間隔を熱処理前後で計測し、下記式から求めた。フィルムの伸びは19%であった。
フィルムの伸び(%)=100×(熱処理後の標線の間隔−熱処理前の標線の間隔)/熱処理前の標線の間隔
セルロースアシレートフィルムの鹸化処理した表面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。形成した膜に連続的にラビング処理を行った。このとき、ラビング処理の方向は前記セルロースアシレートフィルムの遅層軸と45°の角度をなすように設定した。
(配向膜塗布液の組成)
――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
――――――――――――――――――――――――――
前記配向膜上に、下記組成の液晶組成物を、#1のワイヤーバーで塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及び棒状液晶化合物の配向熟成のために、90℃の温風で60秒間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層Bを形成した。
(液晶組成)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の棒状液晶化合物 100質量部
光重合開始剤(例示化合物A−1) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマーA 0.2質量部
メチルエチルケトン 315質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は29nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は39°であることを、フィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長550nmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHから確認した。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
前記光学異方性層Bと同様の液晶組成、同様の方法によって光学異方性層Aを形成した。
この様にして、セルロースアシレートフィルムからなる光学異方性層Cの上に、光学異方性層B及び光学異方性層Aを有する光学補償フィルム1(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。上記で作製した光学補償フィルム1の支持体(光学異方性層C)側の面と、前記偏光膜の一方の面とを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けた。市販のセルロースアセテートフィルム(商品名「フジタック」、富士フイルム(株)製)を鹸化処理した後、偏光膜の他方の面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、楕円偏光板(偏光板1)を得た。
図1に示す態様であって図2と同様の構成のTNモード液晶表示装置を作製した。具体的には、TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W、日本エイサー(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記作製した偏光板1を、光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板1の透過軸と、バックライト側の偏光板1の透過軸とが直交するように配置した。この様にして、TNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、及び使用した各光学異方性層の光学特性、及び構成を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製し、光学異方性層Cとして用いた。
得られたフィルムの厚さは76μmであった。エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、97nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、131nmであった。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。但し、ラビング処理は実施例1と異なる方向に行った(下記表参照)。
実施例1と同様の方法で、配向膜上に光学異方性層Bを形成した。
(光学特性の測定)
同一の方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は29nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は39°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。この時、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
実施例1と同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム2(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1の代わりに、光学補償フィルム2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板2を作製した。
偏光板1の代わりに偏光板2を用いた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図5に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製し、光学異方性層Cとして用いた。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。但し、ラビング処理は実施例1と異なる方向で行った(下記表参照)。
実施例1と同様の方法で光学異方性層Bを形成した。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
実施例1と同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム3(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1の代わりに、光学補償フィルム3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板3を作製した。
偏光板1の代わりに偏光板3を用いた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図6に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製し、光学異方性層Cとして用いた。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。ただし、ラビング処理は実施例1と異なる方向に行った(下記表参照)。
実施例1と同様の方法で光学異方性層Bを形成した。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
実施例1と同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム4(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1の代わりに、光学補償フィルム4を用いた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板4を作製した。
偏光板1の代わりに偏光板4を用いた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図3に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
光学異方性層A及びBの形成時に、ラビング処理方向を変えることにより、各異方性層を下記表に示す配置に変更した以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図7に示す構成の比較例である。
光学異方性層A及びBの形成時に、ラビング処理方向を変えることにより、各異方性層を下記表に示す配置に変更した以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図8に示す構成の比較例である。
[TNモード液晶表示装置の評価]
・上下左右の視野角
実施例1〜4、ならびに比較例1及び2で作製した液晶表示装置について、測定機“EZ−Contrast160D”(ELDIM社製)を用いて、黒表示(L0)及び白表示(L7)で視野角を測定した。上下左右で、コントラスト比(白透過率/黒透過率)が10以上の領域を視野角として求めた。以下の基準で評価した。結果を下記表に示す。
コントラスト10以上を達成する上下左右視野角の合計が320°以上であると、実用上、表示特性に優れている。
評価 ◎:上下左右CR≧10となる角度の合計が320°以上
○:上下左右CR≧10となる角度の合計が240°を超え320°未満
×:上下左右CR≧10となる角度の合計が240°以下
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
・セルロースアシレート
アセチル置換度が2.81のセルローストリアセテートを調製した。6位のアセチル基置換度は0.9であった。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することでアシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後の40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
・セルロースアシレート溶液
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
セルロースアシレート溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェイト(TPP) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェイト(BDP) 3.8質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
マット剤分散液
――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、添加剤溶液を調製した。
添加剤溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記レターデーション発現剤(1) 20.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ここで、上記の添加剤及び可塑剤の略称は下記の通り。(TPP:トリフェニルフォスフェート、BDP:ビフェニルジフェニルフォスフェート)。
レターデーション発現剤(1)
このフィルムを光学異方性層Cとして用いた。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。
下記の組成の棒状液晶化合物を含む塗布液を配向膜上に#1.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及び棒状液晶化合物の配向熟成のために、90℃の温風で60秒間加熱した。続いて、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し、光学補償フィルムを作製した。
光学異方性層Bの組成
────────────────────────────────
光学異方性層Bの塗布液組成
────────────────────────────────
上記の棒状液晶化合物 14.5質量%
下記のフッ素系界面活性剤 0.03質量%
下記の増感剤 0.15質量%
下記の光重合開始剤 0.29質量%
メチルエチルケトン 233.6質量%
下記の含フッ素化合物 0.03質量%
────────────────────────────────
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は15nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は60°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム5(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1に代えて、光学補償フィルム5を用いた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板5を作製した。
偏光板1に代えて、偏光板5を用いた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
特開2005−104148号公報に記載の実施例12の方法に従って、フィルムを作製し、光学異方性層Cとして用いた。
(熱処理)
得られたフィルムを、2つのニップロール間に加熱ゾーンを有する装置を用いて熱処理した。縦横比(ニップロール間の距離/ベース幅)は3.3となるように調整し、加熱ゾーンは温度を240℃とし、2つのニップロールを通過した後、フィルムを25℃まで冷却した。また、フィルムの伸びは、フィルムの搬送方向と直交する方向に一定間隔の標線を入れ、その間隔を熱処理前後で計測し、下記式から求めた。フィルムの伸びは40%であった。
フィルムの伸び(%)=
100×(熱処理後の標線の間隔−熱処理前の標線の間隔)/熱処理前の標線の間隔
続いて、熱処理後のフィルムの両端をテンタークリップで把持した後、加熱ゾーン内で搬送方向と直交する方向に延伸した。加熱ゾーンの温度は160℃とし、延伸倍率は、フィルムの搬送方向と平行な方向に一定間隔の標線を入れ、その間隔を延伸前後で計測し、下記式から求めた。延伸倍率は20%であった。
延伸倍率(%)=
100×(延伸後の標線の間隔−延伸前の標線の間隔)/延伸前の標線の間隔
上記セルロースアシレートフィルムの表面をケン化処理後、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
添加剤(オニウム塩、特開2005−196015号公報記載の例示化合物I−1)
0.06質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層Bの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の棒状液晶化合物B 18質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 0.54質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.18質量部
メチルエチルケトン 75質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
この塗布液を前記配向膜の表面に、#2のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層Bを作製した。
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は81nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は21°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム6(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1に代えて、光学補償フィルム6を用いた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板6を作製した。
偏光板1に代えて、偏光板6を用いた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
置換度が2.85のセルロースアセテートの粉体を用いた。セルロースアシレートAの粘度平均重合度は300、6位のアセチル基置換度は0.89、アセトン抽出分は7質量%、質量平均分子量/数平均分子量比は2.3、含水率は0.2質量%、6質量%ジクロロメタン溶液中の粘度は305mPa・s、残存酢酸量は0.1質量%以下、Ca含有量は65ppm、Mg含有量は26ppm、鉄含有量は0.8ppm、硫酸イオン含有量は18ppm、イエローインデックスは1.9、遊離酢酸量は47ppmであった。粉体の平均粒子径は1.5mm、標準偏差は0.5mmであった。セルロースアシレートは120℃に加熱して乾燥し、含水率を0.5質量%以下とした後、15質量部を使用した。
・溶媒
ジクロロメタン/メタノール/ブタノール(83/15/2質量部)の混合溶媒を使用した。なお、溶媒の含水率は、0.2質量%以下であった。
・添加剤
二酸化ケイ素微粒子(粒子サイズ20nm、モース硬度約7)0.08質量部を使用した。また、添加化合物として下記記載の添加剤7を1質量部使用し、製膜用ドープを調製した。
攪拌羽根を有し外周を冷却水が循環する400リットルのステンレス製溶解タンクに、前記溶媒及び添加剤を投入して撹拌、分散させながら、前記セルロースアシレートを徐々に添加した。投入完了後、室温にて2時間撹拌し、3時間膨潤させた後に再度撹拌を実施し、セルロースアシレート溶液を得た。 なお、攪拌には、15m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2〔4.9×105N/m/sec2〕)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸及び中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2〔9.8×104N/m/sec2〕)で攪拌する攪拌軸を用いた。膨潤は、高速攪拌軸を停止し、アンカー翼を有する攪拌軸の周速を0.5m/secとして実施した。
膨潤した溶液をタンクから、ジャケット付配管で50℃まで加熱し、さらに2MPaの加圧化で90℃まで加熱し、完全溶解した。加熱時間は15分であった。この際、高温にさらされるフィルター、ハウジング、及び配管はハステロイ合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の熱媒を流通させるジャケットを有する物を使用した。
次に36℃まで温度を下げ、セルロースアシレート溶液を得た。
・ろ過
得られた溶液を、絶対濾過精度10μmの濾紙(#63、東洋濾紙(株)製)で濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの金属焼結フィルター(FH025、ポール社製)にて濾過してセルロースアシレート溶液を得た。
前記セルロースアシレート溶液を30℃に加温し、流延ギーサー(特開平11−314233号公報に記載)を通して15℃に設定したバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延スピードは50m/分、塗布幅は200cmとした。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルムをバンドから剥ぎ取り、45℃の乾燥風を送風した。次に110℃で5分、さらに140℃で10分乾燥して、セルロースアシレートの膜厚80μmの透明フィルムを得た。
(熱処理)
得られたフィルムを、2つのニップロール間に加熱ゾーンを有する装置を用いて熱処理した。縦横比(ニップロール間の距離/ベース幅)は3.3となるように調整し、加熱ゾーンは温度240℃及び熱処理時間4分とし、2つのニップロールを通過した後、フィルムを1000℃/分で25℃まで冷却した。また、フィルムの伸びは、フィルムの搬送方向と直交する方向に一定間隔の標線を入れ、その間隔を熱処理前後で計測し、下記式から求めた。フィルムの伸びは40%であった。
フィルムの伸び(%)=
100×(熱処理後の標線の間隔−熱処理前の標線の間隔)/熱処理前の標線の間隔
上記フィルムを遅相軸が平行になるように2枚積層させて光学異方性層Cを作成した。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける光学異方性層Cのレターデーション値(Re)を測定したところ、202nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、−20nmであった。
このフィルムを光学異方性層Cとして用いた。
下記の組成の配向膜形成塗布液をpH10.0になるように水酸化カリウムで調整した。前記配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥して、配向膜を得た。次に、光学異方性層Bの遅相軸と直交する方向にラビング処理を行った。
配向膜塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水酸化カリウム 0.05質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層Bの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記アクリレート基を2つ有する棒状液晶性化合物A1 43.72質量部
下記アクリレート基を2つ有する棒状液晶性化合物A2 1.36質量部
ポリマーA(特開2007−121996例示化合物P−15) 0.01質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
メチルエチルケトン 147質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は136nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は11°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム7(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1を光学補償フィルム7に代えた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板7を作製した。
偏光板1を偏光板7に代えた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
特開2007−262359号公報に記載の実施例103の処方及び作製方法に基づいて、セルロースアシレートフィルムを作製し、光学異方性層Cとして用いた。
上記フィルムを遅相軸が平行になるように2枚積層させて光学異方性層Cを作成した。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける光学異方性層Cのレターデーション値(Re)を測定したところ、242nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、32nmであった。なお、特開2007−262359号公報に記載のフィルムと同一の値になっていないのは、測定波長が異なるからである。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。
実施例7と同様の方法で光学異方性層Bを形成した。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
実施例7と同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム8(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1を光学補償フィルム8に代えた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板8を作製した。
偏光板1を偏光板8に代えた以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層Cの作製)
特開2008−3126号公報に記載のフィルム14の処方及び作製方法を参照して、厚み61μmのフィルムを作製し、光学異方性層Cとして利用した。
作製した光学異方性層C用のフィルムの面内レターデーションRe(550)は39nm、厚さ方向のレターデーションRth(550)は139nmであった。上記フィルムを遅相軸が平行になるように2枚積層させて光学異方性層Cを作成した。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける光学異方性層Cのレターデーション値(Re)を測定したところ、79nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、278nmであった。なお、特開2008−3126号公報に記載の値と一致していないのは、測定波長が異なるからである。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。
前記配向膜上に、下記組成の液晶組成物を、#2のワイヤーバーで塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及び棒状液晶化合物の配向熟成のために、90℃の温風で60秒間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層Bを作製した。
光学異方性層B形成用塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記の棒状液晶化合物 100質量部
上記の光重合開始剤(例示化合物A−1) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマーC 0.2質量部
下記のフッ素系ポリマーD 0.2質量部
下記ピリジニウム塩E 2質量部
空気界面チルト制御剤(例示化合物AD−24) 1質量部
メタノール 30質量部
メチルエチルケトン 176質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は3nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は79°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム9(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1を光学補償フィルム9に代えた以外は、実施例1と同様の方法で偏光板9を作製した。
偏光板1を偏光板9に変更した以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層Cの作製)
・マット剤分散液
下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
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平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに下記セルロースアシレートを添加し、過熱して溶解させた後、ろ過した。セルロースアシレート溶液を攪拌しながら、マット剤分散液を添加し、さらに分散を行った。これをろ過し、マット剤添加液を調整した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤添加液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート
(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.8、
プロピオニル基置換度0,7) 4質量部
メチレンクロライド 99質量部
上記マット剤分散液 11質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液100質量部とマット剤添加液2質量部となるように加えて混合し、次いでバンド流延機を用い、バンド支持体に均一に流延した。バンド支持体上で残留溶媒量が110%になるように溶媒を蒸発させ、バンド流延機からはく離した。はく離の際に縦延伸倍率が1.0%となるように延伸し、ついで延伸開始時の残留溶剤量20質量%、温度130℃にて横方向に延伸倍率が1.3倍となるように延伸した。延伸後、125℃にて30分間乾燥を行い、セルロースアシレートフィルムを作製した。これを光学異方性層Cとして用いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート
(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.8、
プロピオニル基置換度0,7) 73質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 60質量部
下記エステル化化合物A 25質量部
紫外線吸収剤(チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
1.3質量部
紫外線吸収剤(チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
0.6質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。
光学異方性層Bの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の棒状液晶化合物B 18質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 0.54質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.18質量部
空気界面側チルト制御剤(例示化合物AD−22) 0.18質量部
メチルエチルケトン 57質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
この塗布液を前記配向膜の表面に、#2のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層Bを作製した。
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は83nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は30°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム10(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1を光学補償フィルム10に変更した以外は、実施例1と同様の方法で偏光板10を作製した。
偏光板1を偏光板10に変更した以外は、実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層Cの作製)
特開2007−256938号公報に記載の実施例107の処方及び作成方法に基づいてフィルムを作製し、光学異方性層Cとして用いた。
上記フィルムを遅相軸が平行になるように2枚積層させて光学異方性層Cを作成した。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける光学異方性層Cのレターデーション値(Re)を測定したところ、326nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、−22nmであった。なお、特開2007−256938号公報に記載の値と一致していないのは、測定波長が異なるからである。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。
メチルケチルエトンを99質量部に変更した以外は実施例7と同様の方法で光学異方性層Bを作製した。
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は181nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は10°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム11(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
光学補償フィルム1を光学補償フィルム11に変更した以外は、実施例1と同様の方法で偏光板11を作製した。
実施例1と同様の方法でTNモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置は、図2に示す構成の実施例である。
作製した液晶表示装置について、後述の方法で視野角特性を評価した。評価結果、各光学異方性層の特性及び配置を下記表に示す。
(光学異方性層C(セルロース・アシレートフィルム)の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
このフィルムを光学異方性層Cとして利用した以外は、実施例1と同様にして、光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製し、同様に評価した。
(光学異方性層Cの作製)
実施例5における光学異方性層Cの遅相軸が平行になるように2枚積層させて本比較例の光学異方性層Cを作製した。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける光学異方性層Cのレターデーション値(Re)を測定したところ、112nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、399nmであった。
このフィルムを光学異方性層Cとして利用した以外は、実施例9と同様にして、光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製し、同様に評価した。
(光学異方性層Cの作製)
特開2007−262359号公報に記載の実施例116の処方及び作製方法に基づいて、光学異方性層Cを作製した。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける光学異方性層Cのレターデーション値(Re)を測定したところ、358nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、−108nmであった。なお、特開2007−262359号公報に記載の値と一致していないのは、測定波長が異なるからである。
このフィルムを光学異方性層Cとして利用した以外は、実施例11と同様にして、光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製し、同様に評価した。
(光学異方性層Cの作製)
特開2008−3126号公報に記載のフィルム18の処方及び作製方法を参照して、厚み80μmのフィルムを作製し、光学異方性層Cとして利用した。
作製した光学異方性層C用のフィルムの面内レターデーションRe(550)は48nm、厚さ方向のレターデーションRth(550)は117nmであった(なお、特開2008−3126号公報の測定波長と本件の測定波長が異なるので、同一の値にはなっていない。)。
実施例1と同様の方法で配向膜を形成した。
前記配向膜上に、下記組成の液晶組成物を、#1のワイヤーバーで塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及び棒状液晶化合物の配向熟成のために、90℃の温風で60秒間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、UV照射し、棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷し、光学異方性層Bを作製した。
光学異方性層B用の塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記の棒状液晶化合物 100質量部
光重合開始剤(例示化合物A−1) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
上記のフッ素系ポリマーA 0.2質量部
メチルエチルケトン 215質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
同一方法でガラス基板上に形成した光学異方性層Bを自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、波長550nmの面内レターデーションンRe(550)を測定したところ、面内レターデーションRe(550)は38nmであった。また、光学異方性層B中、棒状液晶長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は40°であった。
光学異方性層Bと同様の方法で配向膜を形成した。
このとき、光学異方性層Bのラビング方向と直交する方向にラビング処理を行った。
光学異方性層Bと同様の方法で光学異方性層Aを形成した。この様にして、光学異方性層C、光学異方性層B及び光学異方性層Aの順番で積層体した光学補償フィルム12(第1及び第2の光学異方性積層体)を作製した。
この光学補償フィルム12を光学補償フィルム1に代えて用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製し、同様にして評価した。CR視野角の評価結果は、○であった。
市販されているノルボルネン系ポリマーフィルム“ZEONOR”(日本ゼオン)製を、140℃にて縦方向を固定して、横方向に30%延伸して作製したフィルムを、光学異方性層Cとして用いた。この光学異方性層C用のフィルムのReは52nm、及びRthは118nmであった。Re(450)/Re(550)を算出したところ、ほぼフラット分散であった。
このフィルムを光学異方性層Cとして利用した以外は、実施例12と同様にして、光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製し、同様にして評価した。CR視野角の評価結果は、○であった。
また、本実施例の液晶表示装置は、実施例12の液晶表示装置に比べ、環境変化に対する黒表示のCR視野角変化が少ないことが確認された。これは、光学異方性層C用に用いたフィルムの耐湿性が良いためであると考えられる。
下記に記載の割合になるように各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。各セルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後140℃の条件下、TD方向に26%延伸した。なおTD方向とは搬送方向と垂直な方向を意味する。延伸後乾燥して、40μmの光学フィルムを得た。このフィルムを光学異方性層Cとして用いた。
(セルロースアシレート溶液)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度1.54、プロピオニル置換度0.84のセルロースアシレート
100質量部
下記の添加剤 K−1 5質量部
下記の添加剤 K−2 4質量部
メチレンクロライド 416質量部
エタノール 79質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このフィルムを光学異方性層Cとして利用した以外は、実施例12と同様にして、光学補償フィルム、偏光板、及びTNモード液晶表示装置を作製し、同様に評価した。CR視野角の評価結果は、○であった。
また、本実施例の液晶表示装置は、実施例12の液晶表示装置に比べ、環境変化に対する黒表示のCR視野角変化が少ないことが確認された。これは、光学異方性層C用に用いたフィルムの耐湿性が良いためであると考えられる。
さらに、本実施例の液晶表示装置は、実施例13の液晶表示装置に比べ、黒表示での正面に対する斜め方向の色味変化が少ないことが確認された。これは、光学異方性層C用のフィルムとして、Reが逆分散性のフィルムを使用しているためと考えられる。
Claims (7)
- 互いの吸収軸を直交にして配置されている第1及び第2の偏光膜、
前記第1及び第2の偏光膜の間に配置される、第1及び第2のセル基板(但し、第1のセル基板が前記第1の偏光膜により近い位置に配置され、及び第2のセル基板が前記第2の偏光膜により近い位置に配置されるものとする)と、その間に配置される液晶層とを少なくとも有する捩れ配向モードの液晶セル、並びに
前記第1の偏光膜と前記液晶セルとの間、及び前記第2の偏光膜と前記液晶セルとの間にそれぞれ、少なくとも3つの光学異方性層、光学異方性層A、B及びCを有する第1及び第2の光学異方性積層体を有する液晶表示装置であって、
前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれの、前記光学異方性層A、B及びCの配置の順序が、液晶セルを中心として対称的であり;
前記光学異方性層A及びBが、傾斜配向状態に固定された棒状液晶を含有し、及び波長550nmにおける面内レターデーションが0〜200nmであり;
前記光学異方性層Cの面内レターデーションが0〜350nmであり、且つ厚み方向のレターデーションが−50〜300nmであり;
前記第1の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Cの面内遅相軸と前記第1の偏光膜との吸収軸が平行又は直交であり、及び前記第2の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Cの面内遅相軸と前記第2の偏光膜との吸収軸が平行又は直交であり;
前記第1の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aと前記光学異方性層Bの面内遅相軸が互いに直交であり、前記第2の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aと前記光学異方性層Bの面内遅相軸が互いに直交であり;
前記第1の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aの遅相軸と前記液晶層の第1のセル基板における光軸を同一面内に投影した軸が、互いに45°であり、且つ前記第2の光学異方性積層体中の前記光学異方性層Aの遅相軸と前記液晶層の第2のセル基板における光軸を同一面内に投影した軸が、互いに45°であり;
前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸がそれぞれ互いに平行であって、且つ第1及び第2の光学異方性積層体が同一である、又は
前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸が互いに直交である;
捩れ配向モード液晶表示装置。 - 前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸がそれぞれ互いに平行であって、且つ第1及び第2の光学異方性積層体が同一である請求項1に記載の捩れ配向モード液晶表示装置。
- 前記第1及び第2の光学異方性積層体のそれぞれに含まれる光学異方性層A同士及び光学異方性層B同士の面内遅相軸がそれぞれ互いに直交である請求項1に記載の捩れ配向モード液晶表示装置。
- 前記光学異方性層A及びBの棒状液晶の平均傾斜角が、5〜80°である請求項1〜3のいずれか1項に記載の捩れ配向モード液晶表示装置。
- 前記光学異方性層A及びBの面内レターデーションが、0〜150nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の捩れ配向モード液晶表示装置。
- 前記光学異方性層A及びBの棒状液晶の平均傾斜角が互いに同一であり、且つ面内レターデーションが同一である請求項1〜5のいずれか1項に記載の捩れ配向モード液晶表示装置。
- 前記光学異方性層Cが、面内レターデーションが逆分散性を示すフィルムからなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の捩れ配向モード液晶表示装置。
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