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JP4199488B2 - 位相差板および円偏光板 - Google Patents

位相差板および円偏光板 Download PDF

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JP4199488B2
JP4199488B2 JP2002209982A JP2002209982A JP4199488B2 JP 4199488 B2 JP4199488 B2 JP 4199488B2 JP 2002209982 A JP2002209982 A JP 2002209982A JP 2002209982 A JP2002209982 A JP 2002209982A JP 4199488 B2 JP4199488 B2 JP 4199488B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長手方向を有する透明支持体と光学異方性層とを有する位相差板およびそれを用いた円偏光板に関する。特に本発明は、反射型液晶表示装置、光ディスクの書き込み用のピックアップ、あるいは反射防止膜に利用されるλ/4板として有効な位相差板に関する。
【0002】
【従来の技術】
λ/4板は、非常に多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4を達成しているものが大部分である。
特開平10−68816号および同10−90521号公報に、光学異方性を有する二枚のポリマーフイルムを積層することにより得られる位相差板が開示されている。特開平10−68816号公報記載の位相差板は、複屈折光の位相差が1/4波長である1/4波長板と、複屈折光の位相差が1/2波長である1/2波長板とを、それらの光軸が交差した状態で貼り合わせている。特開平10−90521号公報記載の位相差板は、レターデーション値が160〜320nmである位相差板を少なくとも2枚、その遅相軸が互いに平行でも直交でもない角度になるように積層している。いずれの公報に記載の位相差板も、具体的には、二枚のポリマーフイルムの積層体からなる。いずれの公報も、これにより広い波長領域でλ/4を達成できると説明している。
【0003】
しかしながら、特開平10−68816号および同10−90521号公報記載の位相差板の製造では、二枚のポリマーフイルムの光学的向き(光軸や遅相軸)を調節するために、二種類のポリマーフイルムを所定の角度にカットして、得られるチップを貼り合わせる必要がある。チップの貼り合わせで位相差板を製造しようとすると、処理が煩雑であり、軸ズレによる品質低下が起きやすく、歩留まりが低下し、コストが増大し、汚染による劣化も起きやすい。また、ポリマーフイルムでは、レターデーション値を厳密に調節することも難しい。
【0004】
二枚のポリマーフイルムを用いる方法に対し、液晶性化合物から形成される光学異方性層とポリマーフイルムとの組み合わせ、または液晶性化合物から形成される光学異方性層を二層組み合わせた広帯域λ/4板が提案されている。特開2001−4837号、同2001−21720号の各公報は、特定の波長(λ)におけるレターデーション値がλ/2である光学異方性層と、その波長(λ)におけるレターデーション値がλ/4である(第2)光学異方性層とを組み合わせた広帯域λ/4板において、一方の光学異方性層を液晶性分子から形成し、他方の光学異方性層をポリマーフイルムまたは液晶性分子から形成することを提案している。少なくとも一方の光学異方性層を液晶性化合物から形成すると、二枚のポリマーフイルムを用いる場合と比較して、位相差板の製造が容易になり、位相板の厚さも薄くできる。
特開2001−4837号公報に記載の位相差板は、光学異方性層の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を、実質的に75゜となるように調節しているため、カットしたチップを貼り合わせる必要がなく、ロールツーロールで円偏光板を製造することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開2001−4837号、同2001−21720号の各公報に記載の位相差板は、薄型であり、位相差板そのものや円偏光板をロールツーロールで製造できるとの利点がある。
しかし、本発明者が、各公報に記載の位相差板や円偏光板を反射型液晶表示装置に応用したところ、黒表示の部分に青味がかかるとの問題が判明した。
本発明の目的は、液晶性化合物から形成される光学異方性層の位相差を的確に調整することである。
また、本発明の目的は、正確な広帯域λ/4を実現できる位相差板を提供することでもある。
さらに、本発明の目的は、広帯域で正確な円偏光を生じる円偏光板を提供することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(4)、(7)〜(10)の位相差板および下記(5)、(6)、(11)、(12)の円偏光板を提供する。
(1)長手方向を有する透明支持体および液晶性化合物から形成される光学異方性層を有し、光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜であることを特徴とする位相差板。
(2)光学異方性層が、下記式(I)で表される液晶性化合物の重合反応により形成される層である(1)に記載の位相差板:
(I)Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
[式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基であり;L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基であり;L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基であり;Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基であり;そして、nは、0、1または2である]。
【0007】
(3)長手方向を有する透明支持体、液晶性化合物から形成される第1光学異方性層および液晶性化合物から形成される第2光学異方性層を有し、第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が60乃至170nmであり、第1光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜であり、第2光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜であり、そして、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜であることを特徴とする位相差板。
(4)第1光学異方性層または第2光学異方性層が、前記式(I)で表される液晶性化合物の重合反応により形成される層である(3)に記載の位相差板。
【0008】
(5)直線偏光膜、長手方向を有する透明支持体、液晶性化合物から形成される第1光学異方性層および液晶性化合物から形成される第2光学異方性層を有し、直線偏光膜と第2光学異方性層との間に第1光学異方性層が配置され、第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が60乃至170nmであり、直線偏光膜の偏光軸と透明支持体の長手方向とが実質的に直交しており、第1光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜であり、第2光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜であり、そして、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜である円偏光板。
(6)第1光学異方性層または第2光学異方性層が、前記式(I)で表される液晶性化合物の重合反応により形成される層である(5)に記載の位相差板。
円偏光板は、直線偏光膜、透明支持体、第1光学異方性層、そして第2光学異方性層の順序で積層されていることが好ましい。
【0009】
(7)長手方向を有する透明支持体および液晶性化合物から形成される光学異方性層を有し、光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜であることを特徴とする位相差板。
(8)光学異方性層が、前記式(I)で表される液晶性化合物の重合反応により形成される層である(7)に記載の位相差板。
【0010】
(9)長手方向を有する透明支持体、液晶性化合物から形成される第1光学異方性層および液晶性化合物から形成される第2光学異方性層を有し、第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が60乃至170nmであり、第1光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜であり、第2光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜であり、そして、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜であることを特徴とする位相差板。
(10)第1光学異方性層または第2光学異方性層が、前記式(I)で表される液晶性化合物の重合反応により形成される層である(9)に記載の位相差板。
【0011】
(11)直線偏光膜、長手方向を有する透明支持体、液晶性化合物から形成される第1光学異方性層および液晶性化合物から形成される第2光学異方性層を有し、直線偏光膜と第2光学異方性層との間に第1光学異方性層が配置され、第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が60乃至170nmであり、直線偏光膜の偏光軸と透明支持体の長手方向とが実質的に直交しており、第1光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜であり、第2光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜であり、そして、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜である円偏光板。
(12)第1光学異方性層または第2光学異方性層が、前記式(I)で表される液晶性化合物の重合反応により形成される層である(11)に記載の位相差板。円偏光板は、直線偏光膜、透明支持体、第1光学異方性層、そして第2光学異方性層の順序で積層されていることが好ましい。
【0012】
本明細書において、「実質的に15゜」、「実質的に75゜」、「実質的に60゜」、「実質的に平行」あるいは「実質的に直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましく、2゜未満がさらに好ましく、1゜未満が最も好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。そして、「偏光軸」は、透過率が最大となる方向を意味する。
【0013】
【発明の効果】
本発明者が、液晶性化合物を光学的異方性層に用いた位相差板や円偏光板を検討した結果、液晶性分子の波長分散が大きく、厳密なλ/4や円偏光にならない場合があることが判明した。この問題は、円盤状液晶性化合物を用いる場合では比較的軽微であるが、棒状液晶性化合物を用いる場合には顕著になる。
前記特開2001−4837号、同2001−21720号の各公報に記載の各実施例では、円盤状液晶性化合物を用いていたため、この問題は若干の誤差の範囲内として考えられていた。しかし、本発明者が、位相差板や円偏光板をさらに薄くする目的で、円盤状液晶性化合物に代えて棒状液晶性化合物を使用したところ、上記の問題が明らかになった。厳密なλ/4や円偏光にならない位相差板や円偏光板を反射型液晶表示装置に応用した場合、前述したように黒表示の部分に青味がかかる。
【0014】
本発明者は、さらに研究を進め、従来は特定の波長でλ/2に近似させていた液晶性化合物から形成する光学異方性層を、従来のλ/2よりも小さなレターデーション値に調整する方が、正確な広帯域λ/4を実現できることを発見した。液晶性化合物を使用する場合は、より短波長領域にレターデーションを調整する方が、従来よりも広帯域でλ/4を達成できる。従来よりも正確な広帯域λ/4や円偏光を実現することで、反射型液晶表示装置の黒表示の部分における青味を解消することができた。
そして、本発明に従う位相差板および円偏光板は、液晶性化合物を使用するため、厚さが薄く、製造が容易である。
【0015】
本発明は、円盤状液晶性化合物よりも棒状液晶性化合物(特に前記式(I)で表される化合物)を用いる場合に、特に有効である。液晶性化合物から形成する光学異方性層は、従来のポリマーフイルムよりも厚さを薄くできる。そして、棒状液晶性化合物は、円盤状液晶性化合物よりも、光学異方性層の厚さをさらに薄くすることができる。液晶性化合物は、一般に、ホモジニアス配向させて光学異方性層を形成する。ホモジニアス配向の円盤状液晶性化合物は、円盤が立っている状態であって一定の厚さが必要である。これに対して、ホモジニアス配向の棒状液晶性化合物が、棒が寝ている状態であって、薄い層を構成できる。
さらに、本発明に従うと、長尺状の透明支持体上に配向膜を塗布し、透明支持体の長手方向に対して75゜または15゜の方向にラビング処理してから、液晶性分子を含む光学異方性層を形成することができる。これにより、直線偏光膜とロールツーロールで貼り合わせできる位相差板が得られる。位相差板と直線偏光膜との貼り付けをロール状態で連続に実施すれば、円偏光板の製造が極めて容易になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[光学異方性層の光学的性質]
従来の技術では、特定の測定波長におけるレターデーション値をλ/2、すなわち、光学異方性層の測定波長550nmでは275nm前後に調整していた。本発明では、光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値を、180乃至240nm(180nm以上、240nm未満)に調整する。光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値は、190乃至238nmであることが好ましく、200乃至236nmであることがさらに好ましく、210乃至234nmであることが最も好ましい。
【0017】
位相差板を広帯域λ/4板として使用する場合は、上記の(第1)光学異方性層に加えて、第2光学異方性層を用いる。第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値は、60乃至170nm(60nm以上、170nm未満)であることが好ましく、70乃至150nmであることがより好ましく、80乃至135nmであることがさらに好ましく、80乃至120nmであることが最も好ましい。
第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値(Re(B))は、(第1)光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値(Re(A))の実質的に半分であることが好ましい。具体的に、Re(B)とRe(A)とは、下記式を満足することが好ましい。
0.45Re(A)<Re(B)<0.55Re(A)
【0018】
レターデーション値は、光学異方性層の法線方向から入射した光に対する面内のレターデーション値を意味する。具体的には、下記式により定義される値である。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
上記式において、nxおよびnyは光学異方性層の面内の主屈折率であり、そしてdは光学異方性層の厚み(nm)である。
従って、透明支持体の上に、液晶性分子を含んだ光学異方性層を、上記関係式から導かれる適度な厚みで設けることによって、レターデーション値を容易に調整することができる。
【0019】
[位相差板および円偏光板の構成]
図1は、本発明の位相差板の基本的な構成を示す模式図である。
図1に示すように、基本的な位相差板は、長尺状の透明支持体(S)および光学異方性層(A)からなる。
光学異方性層(A)の位相差はλ/2(波長550nmでは275nm)よりも少し小さい値(波長550nmで180乃至240nm)に調整されている。
透明支持体(S)の長手方向(s)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。
図1に示す光学異方性層(A)は、棒状液晶性分子(r)を含む。棒状液晶性分子(r)はホモジニアスに配向している。棒状液晶性分子(r)の長軸方向が、光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)に相当する。
棒状液晶性分子(r)に代えて、円盤状液晶性分子を用いることもできる。円盤状液晶性分子を用いる場合も、円盤状液晶性分子をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性分子の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0020】
図2は、本発明の位相差板の代表的な構成を示す模式図である。
図2に示す位相差板は、図1に示した透明支持体(S)および第1光学異方性層(A)に加えて、さらに第2光学異方性層(B)を有する。
図1と同様に、第1光学異方性層(A)の位相差はλ/2(波長550nmでは275nm)よりも少し小さい値(波長550nmで180乃至240nm)に調整されている。第2光学異方性層(B)の位相差は、λ/4程度(波長550nmで60乃至170nm)に調整されている。
図1と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。
図2に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性分子(r1およびr2)を含む。棒状液晶性分子(r1およびr2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性分子(r1およびr2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性分子(r1およびr2)に代えて、円盤状液晶性分子を用いることもできる。円盤状液晶性分子を用いる場合も、円盤状液晶性分子をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性分子の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0021】
図3は、本発明の円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
図3に示す円偏光板は、図2に示した透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)に加えて、さらに直線偏光膜(P)を有する。
図2と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は75゜であり、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は15゜であり、そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。さらに、直線偏光膜(P)の偏光軸(p)と透明支持体(S)の長手方向(s)とは直交している。
図3に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性分子(r1およびr2)を含む。棒状液晶性分子(r1およびr2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性分子(r1およびr2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性分子(r1およびr2)に代えて、円盤状液晶性分子を用いることもできる。円盤状液晶性分子を用いる場合も、円盤状液晶性分子をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性分子の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0022】
図4は、本発明の位相差板の別の基本的な構成を示す模式図である。
図4に示すように、基本的な位相差板は、長尺状の透明支持体(S)および光学異方性層(A)からなる。
光学異方性層(A)の位相差はλ/2(波長550nmでは275nm)よりも少し小さい値(波長550nmで180乃至240nm)に調整されている。
透明支持体(S)の長手方向(s)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は15゜である。
図4に示す光学異方性層(A)は、棒状液晶性分子(r)を含む。棒状液晶性分子(r)はホモジニアスに配向している。棒状液晶性分子(r)の長軸方向が、光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)に相当する。
棒状液晶性分子(r)に代えて、円盤状液晶性分子を用いることもできる。円盤状液晶性分子を用いる場合も、円盤状液晶性分子をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性分子の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0023】
図5は、本発明の位相差板の別の代表的な構成を示す模式図である。
図5に示す位相差板は、図4に示した透明支持体(S)および第1光学異方性層(A)に加えて、さらに第2光学異方性層(B)を有する。
図4と同様に、第1光学異方性層(A)の位相差はλ/2(波長550nmでは275nm)よりも少し小さい値(波長550nmで180乃至240nm)に調整されている。第2光学異方性層(B)の位相差は、λ/4程度(波長550nmで60乃至170nm)に調整されている。
図4と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は15゜である。また、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は75゜である。そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。
図5に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)は、それぞれ棒状液晶性分子(r1およびr2)を含む。棒状液晶性分子(r1およびr2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性分子(r1およびr2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
少なくとも一種の棒状液晶性分子(r1およびr2)に代えて、少なくとも一種の円盤状液晶性分子を用いることもできる。円盤状液晶性分子を用いる場合も、円盤状液晶性分子をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性分子の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0024】
図6は、本発明の円偏光板の別の代表的な構成を示す模式図である。
図6に示す円偏光板は、図5に示した透明支持体(S)、第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)に加えて、さらに偏光膜(P)を有する。
図5と同様に、透明支持体(S)の長手方向(s)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(α)は15゜であり、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(f)と透明支持体(S)の長手方向(s)との角度(β)は75゜であり、そして、第2光学異方性層(B)の面内の遅相軸(b)と第1光学異方性層(A)の面内の遅相軸(a)との角度(γ)は60゜である。さらに、偏光膜(P)の偏光軸(p)と透明支持体(S)の長手方向(s)とは直交している。
図6に示す第1光学異方性層(A)および第2光学異方性層(B)も、それぞれ棒状液晶性分子(r1およびr2)を含む。棒状液晶性分子(r1およびr2)は、それぞれホモジニアスに配向している。棒状液晶性分子(r1およびr2)の長軸方向が、光学異方性層(AおよびB)の面内の遅相軸(aおよびb)に相当する。
棒状液晶性分子(r1およびr2)に代えて、円盤状液晶性分子を用いることもできる。円盤状液晶性分子を用いる場合も、円盤状液晶性分子をホモジニアス(円盤を立てた状態)に配向させる。円盤状液晶性分子の円盤面の方向が、光学異方性層の遅相軸に相当する。
【0025】
[光学異方性層]
光学異方性層は、液晶性化合物から形成される。
液晶性化合物は、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましい。液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。液晶性分子の配向は、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜または15゜となるように調整する。液晶性分子は、ホモジニアス配向にすることが好ましい。
【0026】
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。棒状液晶性分子を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性分子は、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号の各明細書、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号の各公報に記載がある。
【0027】
下記式(I)で表される重合性棒状液晶性分子が特に好ましい。
(I)Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
【0028】
式(I)において、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。
重合性基の例を以下に示す。
【0029】
【化1】
Figure 0004199488
【0030】
重合性基(Q1およびQ2)は、不飽和重合性基(Q−1〜Q−7)、エポキシ基(Q−8)またはアジリジニル基(Q−9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q−1〜Q−6)であることが最も好ましい。
【0031】
式(I)において、L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基である。
L1およびL4は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR1−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R1は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy2)に結合する。
【0032】
L−1:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−
L−6:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−二価の鎖状脂肪族基−CO−O−
L−7:−CO−O−二価の鎖状脂肪族基−O−二価の環状基−O−CO−二価の鎖状脂肪族基−
【0033】
二価の鎖状脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、3乃至8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換アルキレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換アルケニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至4であることが最も好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換アルキニレン基の置換基の例には、ハロゲン原子が含まれる。
【0034】
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R1は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0035】
式(I)において、L2またはL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
二価の連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状脂肪族基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は、炭素原子数が1乃至7のアルキル基または水素原子である。
二価の鎖状脂肪族基の定義および例は、L1およびL4の定義および例と同様である。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1〜Cy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1または2のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0036】
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環である方が好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
【0037】
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、1,4−フェニレンまたは1,4−シクロへキシレンであることが特に好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が1乃至5のアシル基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアミド基が含まれる。
【0038】
式(I)において、nは、0、1または2である。nが2の場合、二つのL3およびCy2は、異なっていてもよい。nは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
以下に、式(I)で表される重合性液晶化合物の例を示す。
【0039】
【化2】
Figure 0004199488
【0040】
【化3】
Figure 0004199488
【0041】
【化4】
Figure 0004199488
【0042】
【化5】
Figure 0004199488
【0043】
【化6】
Figure 0004199488
【0044】
【化7】
Figure 0004199488
【0045】
【化8】
Figure 0004199488
【0046】
【化9】
Figure 0004199488
【0047】
【化10】
Figure 0004199488
【0048】
【化11】
Figure 0004199488
【0049】
【化12】
Figure 0004199488
【0050】
【化13】
Figure 0004199488
【0051】
【化14】
Figure 0004199488
【0052】
【化15】
Figure 0004199488
【0053】
【化16】
Figure 0004199488
【0054】
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0055】
(II)D(−L−Q)n
式(II)において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは重合性基であり、そして、nは4乃至12の整数である。
式(II)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
【0056】
【化17】
Figure 0004199488
【0057】
【化18】
Figure 0004199488
【0058】
【化19】
Figure 0004199488
【0059】
【化20】
Figure 0004199488
【0060】
【化21】
Figure 0004199488
【0061】
【化22】
Figure 0004199488
【0062】
【化23】
Figure 0004199488
【0063】
式(II)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0064】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L−11:−AL−CO−O−AL−
L−12:−AL−CO−O−AL−O−
L−13:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L−14:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L−15:−CO−AR−O−AL−
L−16:−CO−AR−O−AL−O−
L−17:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−18:−CO−NH−AL−
L−19:−NH−AL−O−
L−20:−NH−AL−O−CO−
【0065】
L−21:−O−AL−
L−22:−O−AL−O−
L−23:−O−AL−O−CO−
L−24:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L−25:−O−AL−S−AL−
L−26:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L−27:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L−28:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−29:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L−30:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L−31:−S−AL−
L−32:−S−AL−O−
L−33:−S−AL−O−CO−
L−34:−S−AL−S−AL−
L−35:−S−AR−AL−
【0066】
式(II)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の定義および例は、式(I)におけるQ1およびQ2の定義および例と同様である。
【0067】
複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
【0068】
光学異方性層は、液晶性分子および下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成する。光学異方性層中の液晶性分子の割合は、10乃至50質量%であることが好ましい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0069】
配向させた液晶性分子は、配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性分子に導入した重合性基(Q)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0070】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましい。
【0071】
[配向膜]
液晶性分子を配向させるために配向膜を用いることが好ましい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
【0072】
本発明では、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子をホモジニアスに配向させる。ただし、同じ「ホモジニアス」と称していても、棒状液晶性分子とディスコティック液晶性分子とは、著しく相違する。従って、配向膜に使用するポリマーは、液晶化合物の種類(棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子)に応じて決定する必要がある。
棒状液晶性分子をホモジニアス(水平)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向膜用ポリマー)を用いる。
ディスコティック液晶性分子をホモジニアス(垂直)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポリマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させるためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10乃至100の炭化水素基を導入することが好ましい。
【0073】
具体的なポリマーの種類については、液晶セル(主に棒状液晶性分子)または光学補償シート(主にディスコティック液晶性分子)についての様々な文献に記載がある。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて、光学異方性層の液晶化合物を配向させてから、液晶層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された液晶化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
【0074】
本発明では、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜または15゜に設定する。
一般的な配向膜は、ラビング方向と、液晶性分子からなる光学異方性層の遅相軸方向とが平行になる。光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に15゜に設定する場合は、一般的な配向膜(平行型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。すなわち、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度は、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)になることが好ましい。
【0075】
一方、光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度を実質的に75゜に設定する場合は、特別な配向膜(直交型配向膜)を用いて、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向にラビング処理を実施することが好ましい。直交型配向膜を用いると、ラビング方向と、液晶性分子からなる光学異方性層の遅相軸方向とを実質的に垂直にすることができる。その結果、透明支持体の長手方向と、ラビング方向との角度を、なるべく小さい角度(75゜よりも15゜)に設定できる。
【0076】
直交型配向膜は、下記式(III)または(IV)で表される繰り返し単位と、下記式(V)で表される繰り返し単位とを含むコポリマーを含むことが好ましい。
【0077】
【化24】
Figure 0004199488
【0078】
式(III)において、R1 は、水素原子(アクリル酸コポリマー)またはメチル(メタクリル酸コポリマー)である。
式(III)において、Mは、プロトン,アルカリ金属(例、Li、Na、K)イオンまたはアンモニウムイオンである。アンモニウムイオンは、有機基(例、メチル、エチル)により置換されていてもよい。
式(III)において、mは、10乃至95モル%である。
【0079】
式(V)において、R2 は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R2 は、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチルまたはエチルであることがさらに好ましく、水素原子またはメチルであることが最も好ましい。
【0080】
式(V)において、Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基である。
脂肪族環基の脂肪族環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン環が含まれる。脂肪族環に、他の脂肪族環、芳香族環または複素環が縮合していてもよい。
芳香族基の芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環およびナフタセン環が含まれる。芳香族環に、脂肪族環または複素環が縮合していてもよい。
複素環基の複素環は、5員乃至7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。複素環は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和であり、好ましくは最多二重結合を有する。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環およびピラジン環が含まれる。複素環に、他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。
【0081】
脂肪族環基、芳香族基および複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例、メチル、エチル、t−ブチル)、置換アルキル基(例、クロロメチル、ヒドロキシメチル、塩化トリメチルアンモニオ)、アルコキシ基(例、メトキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、カルボキシル、アシル基(例、ホルミル)、アミノ、スルホ、アリール基(例、フェニル)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)およびオキソが含まれる。
式(V)において、nは、90乃至5モル%である。
以下に式(V)で表される繰り返し単位の例を示す。
【0082】
【化25】
Figure 0004199488
【0083】
【化26】
Figure 0004199488
【0084】
【化27】
Figure 0004199488
【0085】
【化28】
Figure 0004199488
【0086】
【化29】
Figure 0004199488
【0087】
以下に、下記式(III)で表される繰り返し単位と、下記式(V)で表される繰り返し単位とを含むコポリマー、すなわち、アクリル酸コポリマーまたはメタクリル酸コポリマーの例を示す。AAはアクリル酸から誘導される繰り返し単位であり、MAはメタクリル酸から誘導される繰り返し単位である。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0088】
PA101:−(AA)70−(V−1)30
PA102:−(AA)60−(V−1)40
PA103:−(AA)50−(V−1)50
PA104:−(AA)40−(V−1)60
PA105:−(AA)60−(V−2)40
PA106:−(AA)60−(V−3)40
PA107:−(AA)60−(V−4)40
PA108:−(AA)60−(V−5)40
PA109:−(AA)40−(V−6)40
PA110:−(AA)50−(V−7)50
PA111:−(AA)70−(V−8)30
【0089】
PA112:−(AA)60−(V−9)40
PA113:−(AA)60−(V−10)40
PA114:−(AA)60−(V−11)40
PA115:−(AA)50−(V−12)50
PA116:−(AA)50−(V−13)50
PA117:−(AA)70−(V−14)30
PA118:−(AA)50−(V−15)50
PA119:−(AA)60−(V−16)40
PA120:−(AA)60−(V−17)40
PA121:−(AA)60−(V−18)40
PA122:−(AA)60−(V−19)40
【0090】
PA123:−(AA)75−(V−20)25
PA124:−(AA)60−(V−20)40
PA125:−(AA)70−(V−21)30
PA126:−(AA)80−(V−22)20
PA127:−(AA)70−(V−22)30
PA128:−(AA)60−(V−22)40
PA129:−(AA)70−(V−23)30
PA130:−(AA)70−(V−24)30
PA131:−(AA)80−(V−25)20
PA132:−(AA)70−(V−25)30
PA133:−(AA)60−(V−25)40
【0091】
PA134:−(AA)60−(V−26)40
PA135:−(AA)70−(V−27)30
PA136:−(AA)80−(V−28)20
PA137:−(AA)70−(V−29)30
PA138:−(AA)60−(V−30)40
PA139:−(AA)70−(V−31)30
PA140:−(AA)70−(V−32)30
PA141:−(AA)60−(V−33)40
PA142:−(AA)70−(V−34)30
PA143:−(AA)70−(V−35)30
【0092】
PA201:−(MA)70−(V−1)30
PA202:−(MA)60−(V−1)40
PA203:−(MA)50−(V−1)50
PA204:−(MA)40−(V−1)60
PA205:−(MA)60−(V−2)40
PA206:−(MA)60−(V−3)40
PA207:−(MA)60−(V−4)40
PA208:−(MA)60−(V−5)40
PA209:−(MA)40−(V−6)40
PA210:−(MA)50−(V−7)50
PA211:−(MA)70−(V−8)30
【0093】
PA212:−(MA)60−(V−9)40
PA213:−(MA)60−(V−10)40
PA214:−(MA)60−(V−11)40
PA215:−(MA)50−(V−12)50
PA216:−(MA)50−(V−13)50
PA217:−(MA)70−(V−14)30
PA218:−(MA)50−(V−15)50
PA219:−(MA)60−(V−16)40
PA220:−(MA)60−(V−17)40
PA221:−(MA)60−(V−18)40
PA222:−(MA)60−(V−19)40
【0094】
PA223:−(MA)75−(V−20)25
PA224:−(MA)60−(V−20)40
PA225:−(MA)70−(V−21)30
PA226:−(MA)80−(V−22)20
PA227:−(MA)70−(V−22)30
PA228:−(MA)60−(V−22)40
PA229:−(MA)70−(V−23)30
PA230:−(MA)70−(V−24)30
PA231:−(MA)80−(V−25)20
PA232:−(MA)70−(V−25)30
PA233:−(MA)60−(V−25)40
【0095】
PA234:−(MA)60−(V−26)40
PA235:−(MA)70−(V−27)30
PA236:−(MA)80−(V−28)20
PA237:−(MA)70−(V−29)30
PA238:−(MA)60−(V−30)40
PA239:−(MA)70−(V−31)30
PA240:−(MA)70−(V−32)30
PA241:−(MA)60−(V−33)40
PA242:−(MA)70−(V−34)30
PA243:−(MA)70−(V−35)30
【0096】
式(IV)において、mは、10乃至95モル%である。
式(IV)で表される繰り返し単位と、下記式(V)で表される繰り返し単位とを含むコポリマーは、変性ポリビニルアルコールの一種である。変性ポリビニルアルコールのポリビニルアルコール部分に相当する式(IV)で表される繰り返し単位は、ケン化度が100%である必要はない。言い換えると、変性ポリビニルアルコールは、下記式(VI)で表される酢酸ビニルに対応する繰り返し単位を含むことができる。
【0097】
【化30】
Figure 0004199488
【0098】
式(VI)において、kは、0.01乃至20モル%である。
以下に、好ましい変性ポリビニルアルコールの例を示す。IVは、式(IV)で表されるビニルアルコールに対応する繰り返し単位であり、VIは、式(VI)で表される酢酸ビニルに対応する繰り返し単位である。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0099】
VA101:−(IV)58−(V−1)30−(VI)12
VA102:−(IV)48−(V−1)40−(VI)12
VA103:−(IV)38−(V−1)50−(VI)12
VA104:−(IV)28−(V−1)60−(VI)12
VA105:−(IV)48−(V−2)40−(VI)12
VA106:−(IV)48−(V−3)40−(VI)12
VA107:−(IV)48−(V−4)40−(VI)12
VA108:−(IV)48−(V−5)40−(VI)12
VA109:−(IV)28−(V−6)40−(VI)12
VA110:−(IV)38−(V−7)50−(VI)12
VA111:−(IV)58−(V−8)30−(VI)12
【0100】
VA112:−(IV)48−(V−9)40−(VI)12
VA113:−(IV)48−(V−10)40−(VI)12
VA114:−(IV)48−(V−11)40−(VI)12
VA115:−(IV)38−(V−12)50−(VI)12
VA116:−(IV)38−(V−13)50−(VI)12
VA117:−(IV)58−(V−14)30−(VI)12
VA118:−(IV)38−(V−15)50−(VI)12
VA119:−(IV)48−(V−16)40−(VI)12
VA120:−(IV)48−(V−17)40−(VI)12
VA121:−(IV)48−(V−18)40−(VI)12
VA122:−(IV)48−(V−19)40−(VI)12
【0101】
VA123:−(IV)63−(V−20)25−(VI)12
VA124:−(IV)48−(V−20)40−(VI)12
VA125:−(IV)58−(V−21)30−(VI)12
VA126:−(IV)68−(V−22)20−(VI)12
VA127:−(IV)58−(V−22)30−(VI)12
VA128:−(IV)48−(V−22)40−(VI)12
VA129:−(IV)58−(V−23)30−(VI)12
VA130:−(IV)58−(V−24)30−(VI)12
VA131:−(IV)68−(V−25)20−(VI)12
VA132:−(IV)58−(V−25)30−(VI)12
VA133:−(IV)48−(V−25)40−(VI)12
【0102】
VA134:−(IV)48−(V−26)40−(VI)12
VA135:−(IV)58−(V−27)30−(VI)12
VA136:−(IV)68−(V−28)20−(VI)12
VA137:−(IV)58−(V−29)30−(VI)12
VA138:−(IV)48−(V−30)40−(VI)12
VA139:−(IV)58−(V−31)30−(VI)12
VA140:−(IV)58−(V−32)30−(VI)12
VA141:−(IV)48−(V−33)40−(VI)12
VA142:−(IV)58−(V−34)30−(VI)12
VA143:−(IV)58−(V−35)30−(VI)12
【0103】
二種類以上のポリマーを併用してもよい。
【0104】
[透明支持体]
透明支持体としては、ポリマーフイルムを用いることが好ましい。透明支持体は、波長分散が小さいことが好ましい。また、透明支持体は、光学異方性が小さいことも好ましい。
支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0105】
長尺状の透明支持体は、ロール状または長方形のシート状の形状を有する。ロール状の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。
ポリマーフイルム支持体を形成するポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、セルロースアセテートがさらに好ましく、セルローストリアセテートが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0106】
[円偏光板]
本発明の位相差板は、反射型液晶表示装置において使用されるλ/4板、光ディスクの書き込み用のピックアップに使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として、特に有利に用いることができる。λ/4板は、一般に直線偏光膜と組み合わせた円偏光板として使用される。よって、位相差板と直線偏光膜とを組み合わせた円偏光板として構成しておくと、容易に反射型液晶表示装置のような用途とする装置に組み込むことができる。
直線偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。直線偏光膜の透過軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。直線偏光膜は、一般に両側に保護膜を有する。ただし、本発明では、透明支持体を直線偏光膜の片側の保護膜として機能させることができる。透明支持体とは別に保護膜を用いる場合は、保護膜として光学的等方性が高いセルロースエステルフイルム、特にセルローストリアセテートフイルムを用いることが好ましい。
【0107】
広域帯λ/4とは、具体的には、波長450nm、550nmおよび650nmで測定したレターデーション値/波長の値が、いずれも0.20乃至0.30の範囲内であることを意味する。レターデーション値/波長の値は、0.21乃至0.29の範囲内であることが好ましく、0.22乃至0.28の範囲内であることがより好ましく、0.23乃至0.27の範囲内であることがさらに好ましく、0.24乃至0.26の範囲内であることが最も好ましい。
【0108】
【実施例】
[実施例1]
(第1配向膜の形成)
厚さ100μm、幅500mm、長さ500mの光学的に等方性のロール状セルローストリアセテートフイルムを透明支持体として用いた。
下記のコポリマー(PA−132)の希釈液を透明支持体の片面に連続塗布して、厚さ0.5μmの第1(直交型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し右手16°の方向に連続的にラビング処理を実施した。
【0109】
【化31】
Figure 0004199488
【0110】
(第1光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.6μmの第1光学的異方性層を形成した。第1光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して74°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は225nmであった。
【0111】
Figure 0004199488
【0112】
【化32】
Figure 0004199488
【0113】
(第2配向膜の形成)
第1光学異方性層の上に、下記のコポリマーの希釈液を連続塗布して、厚さ0.5μmの第2(平行型)配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向に対し左手16°の方向(第1光学異方性層の遅相軸に対して右手58゜の方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0114】
【化33】
Figure 0004199488
【0115】
(第2光学異方性層の形成)
第2配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.8μmの第2光学的異方性層を形成した。第2光学的異方性層は、透明支持体の長手方向に対して左手16°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は113nmであった。
【0116】
Figure 0004199488
【0117】
(位相差板の評価)
作製した位相差板に、光(測定波長は450nm、550nm、650nm)を照射し、通過した光の位相差(レターデーション値:Re)を測定した。結果を第1表に示す。
【0118】
(円偏光板の作製)
直線偏光膜と透明保護膜とを、位相差板に貼りあわせ円偏光板を作製した。直線偏光膜の偏光軸と位相差板の長手方向との角度が90°(直線偏光膜の偏光軸と位相差板の遅相軸との角度が45°)になるように配置した。
作製した円偏光板を調べたところ、広い波長領域で円偏光を達成していた。
【0119】
[実施例2]
(第1配向膜の形成)
厚さ100μm、幅500mm、長さ500mの光学的に等方性のロール状セルローストリアセテートフイルムを透明支持体として用いた。
ステロイド変性ポリアミック酸の希釈液を、透明支持体の片面上に連続塗布し、厚さ0.5μmの第1(垂直)配向膜を形成した。次に、透明支持体の長手方向に対して右手15゜の方向に、連続的にラビング処理を実施した。
【0120】
(第1光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線を照射して、厚さ1.61μmの第1光学異方性層を形成した。
第1光学異方性層は、透明支持体の長手方向に対して右手15°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は226nmであった。
【0121】
Figure 0004199488
【0122】
【化34】
Figure 0004199488
【0123】
【化35】
Figure 0004199488
【0124】
(第2配向膜の形成)
第1光学異方性層の上に、ステロイド変性ポリアミック酸の希釈液を連続塗布し、厚さ0.5μmの第2(垂直)配向膜を形成した。次に、透明支持体の長手方向に対して右手75゜の方向(第1光学異方性層の遅相軸に対し右手60゜の方向)に、連続的にラビング処理を実施した。
【0125】
(第2光学異方性層の形成)
第2配向膜の上に、第1光学異方性層と同じ組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線を照射して、厚さ0.80μmの第2光学異方性層を形成した。
第2光学異方性層は、透明支持体の長手方向に対して右手75゜の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は113nmであった。
【0126】
(位相差板の評価)
作製した位相差板に、光(測定波長は450nm、550nm、650nm)を照射し、通過した光の位相差(レターデーション値:Re)を測定した。結果を第1表に示す。
【0127】
[比較例1]
(第1配向膜の形成)
厚さ100μm、幅500mm、長さ500mの光学的に等方性のロール状セルローストリアセテートフイルムを透明支持体として用いた。
ステロイド変性ポリアミック酸の希釈液を、透明支持体の片面上に連続塗布し、厚さ0.5μmの第1(垂直)配向膜を形成した。次に、透明支持体の長手方向に対して右手15゜の方向に、連続的にラビング処理を実施した。
【0128】
(第1光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、実施例2の第1光学異方性層と組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線を照射して、厚さ1.96μmの第1光学異方性層を形成した。
第1光学異方性層は、透明支持体の長手方向に対して右手15°の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は275nmであった。
【0129】
(第2配向膜の形成)
第1光学異方性層の上に、ステロイド変性ポリアミック酸の希釈液を連続塗布し、厚さ0.5μmの第2(垂直)配向膜を形成した。次に、透明支持体の長手方向に対して右手75゜の方向(第1光学異方性層の遅相軸に対し右手60゜の方向)に、連続的にラビング処理を実施した。
【0130】
(第2光学異方性層の形成)
第1配向膜の上に、実施例2の第1光学異方性層と同じ組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線を照射して、厚さ0.98μmの第2光学異方性層を形成した。
第2光学異方性層は、透明支持体の長手方向に対して右手75゜の方向に遅相軸を有していた。波長550nmにおけるレターデーション値は138nmであった。
【0131】
(位相差板の評価)
作製した位相差板に、光(測定波長は450nm、550nm、630nm)を照射し、通過した光の位相差(レターデーション値:Re)を測定した。結果を第1表に示す。
【0132】
【表1】
Figure 0004199488
【0133】
第1表に示される結果から明らかなように、実施例1および2で作製した位相差板は、特に短波長領域で理論的なλ/4に近い位相差を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相差板の基本的な構成を示す模式図である。
【図2】本発明の位相差板の代表的な構成を示す模式図である。
【図3】本発明の円偏光板の代表的な構成を示す模式図である。
【図4】本発明の位相差板の別の基本的な構成を示す模式図である。
【図5】本発明の位相差板の別の代表的な構成を示す模式図である。
【図6】本発明の円偏光板の別の代表的な構成を示す模式図である。
【符号の説明】
S 長尺状透明支持体
s 透明支持体の長手方向
A (第1)光学異方性層
a (第1)光学異方性層の面内の遅相軸
B 第2光学異方性層
b 第2光学異方性層の面内の遅相軸
r、r1、r2 棒状液晶性分子
P 直線偏光膜
p 直線偏光膜の偏光軸
α aとsとの角度
β bとsとの角度
γ aとbとの角度

Claims (7)

  1. 長手方向を有する透明支持体液晶性化合物から形成される第1光学異方性層および液晶性化合物から形成される第2光学異方性層を有し、第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が60乃至170nmであり、第1光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜又は15゜であり、第2光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜又は75゜であり、そして、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜であることを特徴とする位相差板。
  2. 第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が210乃至234nmである請求項1に記載の位相差板。
  3. 第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が80乃至120nmである請求項1に記載の位相差板
  4. 第1光学異方性層または第2光学異方性層が、棒状液晶性分子から形成される層である請求項1に記載の位相差板。
  5. 第1光学異方性層および第2光学異方性層が、棒状液晶性分子から形成される層である請求項4に記載の位相差板。
  6. 第1光学異方性層または第2光学異方性層が、下記式(I)で表される棒状液晶性分子の重合反応により形成される層である請求項4に記載の位相差板:
    (I)Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
    [式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基であり;L1およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基であり;L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基であり;Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基であり;そして、nは、0、1または2である]。
  7. 直線偏光膜、長手方向を有する透明支持体、液晶性化合物から形成される第1光学異方性層および液晶性化合物から形成される第2光学異方性層を有し、直線偏光膜と第2光学異方性層との間に第1光学異方性層が配置され、第1光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が180乃至240nmであり、第2光学異方性層の測定波長550nmにおけるレターデーション値が60乃至170nmであり、直線偏光膜の偏光軸と透明支持体の長手方向とが実質的に直交しており、第1光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に75゜又は15゜であり、第2光学異方性層の面内の遅相軸と透明支持体の長手方向との角度が実質的に15゜又は75゜であり、そして、第2光学異方性層の面内の遅相軸と第1光学異方性層の面内の遅相軸との角度が実質的に60゜である円偏光板。
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