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JP5427575B2 - オーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法ならびにこれを用いて切削加工された原子力プラントの機器および配管 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法ならびにこれを用いて切削加工された原子力プラントの機器および配管 Download PDF

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JP5427575B2 JP2009274517A JP2009274517A JP5427575B2 JP 5427575 B2 JP5427575 B2 JP 5427575B2 JP 2009274517 A JP2009274517 A JP 2009274517A JP 2009274517 A JP2009274517 A JP 2009274517A JP 5427575 B2 JP5427575 B2 JP 5427575B2
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Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法ならびにこれを用いて切削加工された原子力プラントの機器および配管に関するものである。
原子力プラントにおける機器および配管などの素材として主としてオーステナイト系ステンレス鋼が用いられている。このオーステナイト系ステンレス鋼は、通常の切削、研削等の冷間機械加工を行うと、表面に硬化層が形成されることが知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
たとえば、沸騰水型原子力プラントの再循環系配管等では、一般にこの硬化層の硬さがビッカース硬さで300HV以上となると、応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)が発生する可能性があると言われており、加圧水型原子力プラントの水が循環する機器および配管においても同様と考えられている。
また、従来の切削加工方法では、切削工具は刃先強度(カケ防止)上および寿命向上の観点から、すくい角は大きなもので15度程度であり、切込み量、切削速度等の切削条件を調整しても切削加工に伴い上述の硬さ(ビッカース硬さで300HV)を超える硬化層が形成される。
従来、これらの配管では、SCCの発生を抑制するために、切削加工した後、加工表面に対してバフ研磨等を行い切削加工によって発生した表面の硬化層を除去する、あるいは、加工表層に圧縮応力を付与しSCCの発生を抑制する等の対策が採られている。
すなわち、従来の切削加工方法では、切削工具は刃先強度を確保するという観点から選択され、すくい角は大きなもので15度程度であるので、切込み量、切削速度等の切削条件を調整しても切削加工に伴い上述の硬さを超える硬化層が形成されるのが業界における常識となっている。
特開2005−257589号公報(段落[0001]、[0002]) 特開2008−96174号公報
しかしながら、上述した従来のものは、いずれにしても切削加工後に硬化層の除去および/または圧縮応力の付与等の後処理が必要であるので、作業時間がかかり、コストも増加する。
また、圧縮応力を付与してSCCの発生を抑制するものでは、後工程で、たとえば、溶接等の引張応力が発生する加工を行う場合、付与した圧縮応力が低減あるいは除去されるので、SCC発生の抑制効果が低減あるいは失われる。
本発明は、このような事情に鑑み、硬化層の発生を抑制し、後処理を行わなくともSCCの発生を抑制でき、作業時間の短縮およびコストの低減をはかり得るオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法およびこれを用いて切削加工された原子力プラントの機器および配管を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1態様は、すくい角が+29°以上である仕上切削工具を用いて切削加工し、表面の加工硬化を抑制する仕上処理工程を備えていることを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法である。
発明者等は、鋭意検討した結果、すくい角が+29°以上である仕上切削工具を用いて切削加工すると、加工された表層の硬さがビッカース硬さで300HV未満に抑制できることを見出した。なお、表層の硬さは、表面から深さ0.01mmの位置の硬さとした。
これは、すくい角が+29°以上と大きくすると、切屑のせん断角が大きくなり、切屑厚みが薄くなるので、切削に必要な切削力(切削抵抗)が小さくなる。これによりオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管に作用する切削抵抗が低減されるので、表層の硬化が抑制されるものと考えられる。
このように工具先端がシャープで、すくい角が+29°以上である仕上切削工具を用いて切削加工する仕上処理により仕上げると、切削加工された表層の硬さは、ビッカース硬さ300HV未満に抑制できる。
このため、従来行われていた硬化層の除去および/または圧縮応力の付与等の後処理を行わなくとも、切削加工のみでSCCの発生を抑制できる。このように後処理を省略できるので、作業時間の短縮およびコストの低減をはかることができる。
また、表層の硬さが低いので、切削加工後に、引張応力が生じる、たとえば、溶接等の加工を行ったとしても、必要な耐SCC性を維持することができる。
上記態様では、前記仕上切削工具の仕上切込み量は、0.1mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
表面から深さ0.1mmまでは、特に前処理工程による加工硬化が著しい領域であるため、これ未満の領域を切削加工すると、工具摩耗の促進により工具先端の丸みが増し工具先端のシャープさが失われる。このため、仕上切込み量が0.1mm未満であると、かえって表面の硬化をもたらすことになる。また、仕上切込み量が0.2mmを越えると、オーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管(被削材)から作用する切削力(切削抵抗)が大きくなり、刃先が欠け易くなるので、工具先端がシャープで、すくい角が+29°以上の工具の適用が困難になる。
上記態様では、前記仕上処理工程の前に、すくい角が前記仕上切削工具よりも小さな下地切削工具を用いて前記仕上切込み量よりも大きな切込み量である下地切込み量で切削加工する下地処理工程を備えていることが好ましい。
仕上処理工程の切削条件では、仕上切削工具の仕上切込み量は、0.1mm以上0.2mm以下であるので、所定の寸法の切削を行う場合、全てに仕上処理工程の切削条件を用いて行うと、加工回数が多くなり、作業時間が多くなることが考えられる。
本態様では、下地処理工程で下地切削工具を用いて仕上処理工程の切削条件よりも大きな切込み量である下地切込み量で切削加工するので、仕上処理工程での切削加工厚さを小さくすることができる。これにより切削加工全体の効率を向上させることができる。
また、この場合、下地処理工程で切削された表層の硬さがあまり大きくならないようにすることが、仕上げ処理工程において工具先端がシャープで、すくい角が+29°以上の工具の適用を可能にする。
上記態様では、前記下地切込み量は、1mm以下、好ましくは0.2mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
下地切込み量が1mmを越えるような切削を行うと、切削された表面の硬さが相当大きくなるので、仕上処理工程で、所定の大きさ、すなわち、ビッカース硬さ300HV未満の硬さにすることが困難となる。仕上処理工程での処理をより効果的にするには、下地切込み量は、0.2mm以上0.3mm以下とすることが好ましい。
上記構成では、前記下地処理工程の処理厚さは、0.5mm以上、2mm以下、好ましくは1mm前後であることが好ましい。
切削加工の処理厚さが、この範囲を超える場合には、切削加工効率を考慮して下地処理工程の前に粗加工処理を行う粗加工処理工程を行う。
本発明の第2態様は、前記第1態様にかかるオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法を用いて切削加工が行なわれている原子力プラントの機器および配管である。
原子力プラントの機器および配管は、硬化層の除去および/または圧縮応力の付与等の後処理を行わなくとも、SCCの発生を抑制でき、切削加工後に、引張応力が生じる、たとえば、溶接等の加工を行ったとしても、耐SCC性を維持することができるオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法によって製造されるので、製造時間の短縮および製造にかかるコストの低減をはかることができる。
本発明によれば、すくい角が+29°以上である仕上切削工具を用いて切削加工する仕上処理によって仕上げるので、切削加工された表層の硬さがビッカース硬さ300HV未満に押さえることができる。
このため、従来行われていた硬化層の除去および/または圧縮応力の付与等の後処理を行わなくとも、切削加工のみでSCCの発生を抑制できる。このように後処理を省略できるので、作業時間の短縮およびコストの低減をはかることができる。
また、表層の硬さが低いので、切削加工後に、引張応力が生じる、たとえば、溶接等の加工を行ったとしても、必要な耐SCC性を維持することができる。
本発明の一実施形態にかかるオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法が用いられる加圧水型原子力プラントの一般配管のシンニング加工を説明する断面図である。 一般配管の切削加工状態を示す縦断面図である。 一般配管の切削加工状態を示す横断面図である。 切削加工に用いられるスローアウェイチップを示す斜視図である。 切削加工に用いられるスローアウェイチップの刃物先端部を示す正面図である。 スローアウェイチップによる切削状態を示すブロック図である。 切削試験における切削工具のすくい角と表層の硬さとの関係を示すグラフである。 切削試験における深さと硬さとの関係を示すグラフである。 すくい角14°の切削工具で加工した被切削材料における表面近傍の断面ミクロ組織を示す写真である。 すくい角35°の切削工具で加工した被切削材料における表面近傍の断面ミクロ組織を示す写真である。 すくい角14°の切削工具で加工した被切削材料表面近傍のEBSP観察結果を示す写真である。 すくい角35°の切削工具で加工した被切削材料表面近傍のEBSP観察結果を示す写真である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態にかかるオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法が用いられる加圧水型原子力プラントの一般配管のシンニング加工の内容が示されている。
加圧水型原子力プラントの1次系には、一次冷却材が循環する主冷却材管以外に、たとえば、一次冷却水喪失事故時および主蒸気管破断時に緊急炉心冷却および緊急ほう酸注入を行う配管系、一次冷却材が負荷の減少で収縮したとき、体積維持のために補給水を供給する配管系、炉を停止した後に、一次冷却材の熱を除去し、温度を下げさせるために冷却材喪失事故時に、燃料取替用水ポンプのほう酸水を炉心に注入する配管系等が備えられている。これらの配管系に用いられる配管は、主冷却材管に対比して一般配管と言われている。
これらの一般配管1は、SUS316、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼で形成されている。
一般配管1は、溶接等を用いて接合され、配管系とされる。このとき、接合される一般配管1同士の突合せ溶接部を平滑化するために接合部内面を切削加工するシンニング加工を行う。シンニング加工は、図1に一点鎖線で示される表面3まで切削加工して一般配管端1の内径を揃え、接合される一般配管1同士の突合せ溶接部が滑らかに連続するようにする。このシンニング加工の切削量は、たとえば、1〜2mm程度の厚さである。
切削加工は、図2および図3に示されるように、たとえば、一般配管1を軸線回りに自転させ、スローアウェイチップ(仕上切削工具、下地切削工具)5を送り方向に送ることによって行われる。
図4および図5は、スローアウェイチップ5の構成を示し、図4は斜視図を、図5は、スローアウェイチップ5の刃物先端部を示している。図6はスローアウェイチップ5による切削状態を示している。
スローアウェイチップ5の切削方向の前面には切屑9が発生し、この切屑9をすくい取るすくい面11が設けられている。このすくい面11の垂直面13に対する角度をすくい角αという。
スローアウェイチップ5の刃物先端部の角度を刃物角βといい、スローアウェイチップ5と被削材である一般配管1との間に空間を作るための角度を逃げ角γという。
スローアウェイチップ5は、切削向へ送られることによって、切込み方向15へ切込み(仕上切込み量、下地切込み量)17の切削が行われ、これを繰り返して所定厚さの切削加工を行う。
図7は、上記したシンニング加工をスローアウェイチップ5のすくい角αを変化させて行い、そのときの切削加工面の表面部の硬さを測定した結果を示している。
切削面の硬さは、荷重10gfでのビッカース硬さを測定した。
試験に用いたスローアウェイチップ5のすくい角αは、11°、14°、15°、20°、24°、27°、32°および35°である。
すくい角αが、11°〜27°のものは、切削方向の速度が7〜87m/min、切込み17が0.1〜1mm、送りが0.08〜0.25mm/rの範囲で、種々切削条件を変えて切削している。
切削は、同じスローアウェイチップ5を用いて、最初は切込み17を大きくした粗加工をし、その後切込み17を小さくして略1mm程度の仕上切削を行っている。
すくい角αが、32°および35°のものは、切削速度が18〜35m/min、切込み17が0.1〜0.2mm、送りが0.08〜0.13mm/rの範囲で、種々切削条件を変えて切削している。
なお、すくい角αが、32°および35°のものの切削は、すくい角αが、11°〜27°のものの切削が終了した後、スローアウェイチップ5をすくい角αが32°および35°のものに取り替えて切削している。
すなわち、すくい角αが、32°および35°のものの切削は、すくい角αが、11°〜27°を用いて粗加工をし、次いで、切込み17を小さくして略1mm程度の下地切削を行った後、さらに、小さな切込み17で行われている。
このすくい角αが、11°〜27°を用いて切込み17を小さくして略1mm程度の下地切削を行うことが、すくい角αが、32°および35°であるスローアウェイチップ5による切削の下地処理工程となっている。
すくい角αが、32°および35°の(すくい角が+29°以上である)スローアウェイチップ5では、切込み17は、0.1mm以上0.2mm以下としている。
表面から深さ0.1mmまでは、特に前処理工程による加工硬化が著しい領域であるため、これ未満の領域を切削加工すると、スローアウェイチップ5先端の摩耗が促進し、スローアウェイチップ5先端の丸みが増し、シャープさが失われる。このため、切込み17が0.1mm未満であると、かえって表面の硬化をもたらすことになる。
切込み17が、0.2mmを越えると、一般配管1からスローアウェイチップ5に作用する切削抵抗が大きくなり、スローアウェイチップ5の刃先が欠け易くなるので、そのメンテナンスに時間とコストとが掛かることになる。
図7からわかるように、すくい角αが、11°〜27°のスローアウェイチップ5は、切削条件を変えてもビッカース硬さが320HVよりも大きくなっている。
これに比べてすくい角αが、32°および35°のスローアウェイチップ5は、切削条件を変えてもビッカース硬さが300HVを超えることはなく、すくい角αが、11°〜27°のスローアウェイチップ5での切削加工に比べて表面の硬さが減少していることがわかる。
たとえば、各すくい角αにおける中央硬さを結ぶと、すくい角αが27°と32°の略中間位置であるすくい角αが29°のとき、ビッカース硬さが300HVよりも小さくなる。
これは、すくい角が+29°以上と大きくすると、切屑9のせん断角が大きくなり、切屑9厚みが薄くなるので、切削に必要な切削力(切削抵抗)が小さくなる。これにより一般配管1に作用する切削抵抗が低減されるので、切削面の硬化が抑制されるものと考えられる。
図8は、上記したシンニング加工をすくい角αが、14°、35°のスローアウェイチップ5を用いて行い、そのときの切削加工面の深さ方向の硬さを測定した結果を示している。
硬さの測定は、表層から0.01mm位置を10点測定し、その内の1位置については、深さ0.02、0.05mmおよび0.1mm〜1.0mmまで0.1mmピッチで測定した。硬さは、荷重10gfでのビッカース硬さを測定した。
各スローアウェイチップ5の切削条件は、上述と同様にして行っている。
図8からわかるように、表面付近(深さ0.01mm以内)の硬さは、すくい角35°のものがすくい角14°のものよりも、略100HVの規模で低くなっている。
表面からの深さが0.2mm以上の領域では、両者とも略同等となっている。これは母材硬度を示している。
これは、従来の切削加工方法であるすくい角14°のものは、切削加工によって元々の母材硬度から200HV以上の表層加工硬化を生じていたのに対し、本発明による切削加工方法であるすくい角35°のものは、切削抵抗の低減により加工硬化が大幅に減じられていることが理解できる。
図9および図10は、図7の一例である被切削材料における表面近傍の断面ミクロ組織を示す写真である。図9は、すくい角αが14°のものを、図10は、すくい角αが35°のものを示す。
図9では、表面付近に斜めに走るひずみ線(すべり線)が狭い間隔で多数はいっているのがわかる。このように切削加工に伴い多数のひずみ線が発生することは、切削加工によって表層加工硬化が起きたことを示している。これは、図8の結果を裏付けている。
一方、図10では、このひずみ線がほとんど見られず、切削抵抗の低減により加工硬化が大幅に減じられていることが理解できる、すなわち、図8の結果を裏付けている。
図11および図12は、被切削材料表面近傍のEBSP(Electron Back Scattering Pattern:電子後方散乱パターン)観察結果を示す写真である。図11は、すくい角αが14°のものを、図12は、すくい角αが35°のものを示す。
この分析法では結晶粒毎に各々の結晶方位が色分け(図11および図12では濃度の違いと)して示される。
図11では、表面付近に細かい結晶粒の層が厚く形成されており、表層付近に厚く結晶粒が微細化されている様子がわかる。このように表層付近に厚く結晶粒が微細化していることは、切削抵抗が大きく、それによって表層付近が厚く変形させられていることを示している。すなわち、切削加工によって表層加工硬化が起きたことを示している。これは、図8の結果を裏付けている。
図12では、表層付近の極浅い部分に細かい結晶粒の層が形成されているが、全体として顕著な微細化は見られない。これは、切削抵抗の低減により加工硬化が大幅に減じられていることが理解できる、すなわち、図8の結果を裏付けている。
このようにすくい角が+29°以上であるスローアウェイチップ5を用いて切削加工する仕上処理によって仕上げると、切削加工された加工表面は、確実に硬さがビッカース硬さ300HV未満に押さえることができる。
なお、より確実に表層硬さをビッカース硬さ300HV未満に押さえるには、たとえば、すくい角αを30°以上あるいは31°以上としてもよい。
このように切削加工のみで表層硬さがビッカース硬さ300HV未満に押さられる、すなわち、SCC感受性を有さない表面状態に仕上げられるので、従来行われていた、たとえば、バフ研磨、酸洗、電解研磨等による硬化層の除去および/またはピーニング、加熱処理(たとえば、レーザ等を用いた)等による圧縮応力の付与等の後処理を行わなくとも、切削加工のみでSCCの発生を抑制できる。
このように切削加工のみで後処理を省略できるので、シンニング加工の作業時間を短縮し、そのコストを低減することができる。
また、表層の硬さが低いので、切削加工後に、引張応力が生じる、たとえば、溶接等の加工を行ったとしても、耐SCC性を維持することができる。
このとき、上述のように、すくい角αが、+29°以上のスローアウェイチップ5の切削に先立って、すくい角αが11°〜27°のスローアウェイチップ5によって大きな切込み17で切削加工する、いわゆる、下地処理工程を備えている。これにより、事前に大きな切込み17で切削加工する、いわゆる下地処理工程で大きく、早く切削を行って、すくい角が+29°以上であるスローアウェイチップ5により切削厚さを小さくすることができる。耐久性の面から切込み17を大きくできないすくい角が+29°以上であるスローアウェイチップ5による切削厚さを低減できるので、切削加工の効率を向上させることができる。
なお、下地処理工程における切込み17は、1mm以下、好ましくは0.2mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
切込み17が1mmを越えるような切削を行うと、切削された表面の硬さが相当高くなるので、すくい角αが、+29°以上のスローアウェイチップ5によって切削しても、ビッカース硬さ300HV未満の硬さにすることが困難となる。また、工具先端がシャープで、すくい角が+29°以上のスローアウェイチップ5の適用が困難となる。
下地処理工程の切込み17は、より硬さを軟化させられるので、0.2mm以上0.3mm以下とすることが好ましい。
また、下地処理工程の処理厚さは、0.5mm以上、2mm以下、好ましくは1mm前後であることが好ましい。
切削加工の処理厚さが、この範囲を超える場合には、切削加工効率を考慮して下地処理工程の前により大きな切込み17にて粗加工処理を行う粗加工処理工程を行うのが好ましい。
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行ってもよい。
たとえば、本実施形態では、加圧水型原子力プラントの一般配管のシンニング加工に適用しているが、シンニング加工に限定されるものではなく、一般配管やその他の加工にも適用できる。加圧水型原子力プラントの二次系等の配管、沸騰水型原子力プラントの再循環系配管あるいはその他の配管等の切削加工にも適用できる。さらに、化学プラントや火力プラント等の配管の切削加工に適用することができる。
配管の切削加工に限らず、板材、ブロック材等の各種オーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工に適用することができる。
また、オーステナイト系ステンレス鋼と同様な挙動を示す材料、たとえば、ニッケル基合金であるインコネル等の切削加工に用いることも可能である。
1 一般配管
5 スローアウェイチップ
17 切込み

Claims (6)

  1. すくい角が+29°以上である仕上切削工具を被研削材に対して切削方向に移動させることにより前記被研削材を切削する切削加工を繰り返して前記被切削材に表面を形成し、前記表面のビッカース硬さが300HVよりも小さくなるように前記表面の加工硬化を抑制する仕上処理工程と、
    前記仕上処理工程の前に、すくい角が前記仕上切削工具よりも小さな下地切削工具を前記被研削材に対して前記切込み方向に移動させることにより前記被研削材を切削加工する下地処理工程とを備え、
    前記切削加工のうちの第1切削加工は、第1切削加工面を前記被切削材に形成し、
    前記切削加工のうちの前記第1切削加工の後に実行される第2切削加工は、前記第1切削加工面より切込み方向の側に配置される第2切削加工面を前記被切削材に形成し、
    前記下地処理工程により前記被切削材が切削される処理厚さは、前記仕上処理工程により前記被切削材が切削される処理厚さより大きいことを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法。
  2. 前記仕上切削工具の仕上切込み量は、0.2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法。
  3. 前記下地処理工程は、前記仕上切込み量よりも大きな切込み量である下地切込み量で切削加工することを特徴とする請求項2に記載のオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法。
  4. 前記下地切込み量は、1mm以下であることを特徴とする請求項3に記載のオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法。
  5. 前記下地処理工程の処理厚さは、0.5mm以上、2mm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼製機器および配管の切削加工方法を用いて切削加工が行なわれていることを特徴とする原子力プラントの機器および配管。
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