JP5419934B2 - インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェットインク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の記録媒体に印字できる点で優れた方式である。
また、従来のインクジェットインク組成物としては、特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。
<1>(成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、(成分A−2)式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、(成分A−3)N−ビニルラクタム類、及び/又は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、並びに、(成分B)重合開始剤、を少なくとも含有し、成分A−1の含有量が1〜35重量%であり、成分A−1〜A−3の総含有量が60〜90重量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物、
<3>成分A−2として、式(1)で表される化合物を含有する、上記<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物、
<4>成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及び/又はチオキサントン化合物を少なくとも含有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<5>成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及びチオキサントン化合物を含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<6>成分A−1と成分A−2との含有量の重量比が、1:1〜1:8である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<7>成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートを含有する、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<8>成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートを含有する、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<9>成分A−3として、N−ビニルカプロラクタムを含有する、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<10>(a1)記録媒体上に、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性放射線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法、
<11>前記記録媒体として、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂又は複合アルミ板を用いる、上記<10>に記載のインクジェット記録方法。
本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、(成分A−2)式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、(成分A−3)N−ビニルラクタム類、及び/又は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、並びに、(成分B)重合開始剤、を少なくとも含有し、成分A−1の含有量が1〜35重量%であり、成分A−1〜A−3の総含有量が60〜90重量%であることを特徴とする。
また、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを表す。
硬化膜の耐衝撃性に優れる理由としては、成分A−1の自由度の高い直鎖構造のジエチレングリコールモノブチル構造が衝撃を吸収し、硬化膜の破壊を抑制するものと推定される。
硬化膜の基材密着性に優れる理由として、特にポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、又は複合アルミ板(アルミニウム蒸着又はラミネートされた紙又はプラスチック板であり、更に前記アルミニウム蒸着又はラミネートされた紙又はプラスチック板の最表面がポリエステル樹脂等でコーティング処理されたものも含む)の基材に対して、成分A−1〜A−3の化合物が、高い親和性を有すると共に硬化膜の硬度が高くなりアンカー効果が作用し高い基材密着性が得られるものと推定している。
インク組成物が吐出安定性に優れる理由としては、成分A−1〜A−3を組み合わせたインク組成物の揮発性が低く抑えられることで、ノズル近辺でのインクの濃縮が起こりにくいことや、インクジェットプリンタヘッドのノズルプレートに対して、安定したメニスカスを形成しやすいことなどが推定されるが、理由は定かではない。
以下、本発明のインク組成物の各成分や物性値等について、説明する。
本発明のインク組成物は、成分A−1として、ジエチレングリコールモノブチル構造とエチレン性不飽和基をもつアクリレート化合物であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート(2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレートともいう。)を含有する。本発明のインク組成物は、成分A−1をインク組成物全重量の1〜35重量%含有する。成分A−1の含有量が、1重量%未満又は35重量%を超えると、所望の吐出安定性及び基材密着性が得られなくなる。
成分A−1を含有することで、硬化膜の耐衝撃性及び基材密着性、特に、アクリル樹脂基材への密着性に優れ、連続吐出性に優れるインク組成物が得られる。耐衝撃性に優れる理由としては、成分A−1の自由度の高い直鎖構造のジエチレングリコールモノブチル構造が衝撃を吸収し、硬化膜の破壊を抑制するものと推定される。
本発明のインク組成物は、成分A−2として、式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する。
成分A−2は、いずれも分子内に環状構造部分及びエチレン性不飽和基をもつアクリレート化合物である。これらの環状構造を有するアクリレート化合物の中でも、式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を、A−1及びA−3と組み合わせて用いることにより、吐出安定性が優れ、得られる硬化膜の耐衝撃性及び基材密着性に優れるインクジェットインク組成物が得られる。
成分A−2のエチレン性不飽和基は、1分子内に1個又は複数個含有してもよいが、1個すなわち成分A−2が単官能アクリレート化合物であることが好ましい。
成分A−2は、上記化合物を1種で用いても、又は複数併用してもよい。用途に合わせ複数組み合わせて使用するのが好ましい。
成分A−2の好ましい態様としては、フェノキシエチルアクリレートと、式(1)で表される化合物、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物との併用が挙げられ、より好ましい態様として、フェノキシエチルアクリレートと式(1)で表される化合物との併用が挙げられる。
以下に、本発明のインク組成物の成分A−2として使用できる、式(1)で表される化合物について説明する。
式(1)のXにおける二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基と、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合及びアミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合とを組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。
Xは、二価の炭化水素基であることが好ましい。二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の二価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜5の二価の炭化水素基が更に好ましく、炭化水素基の中でもアルキレン基が好ましく、炭素数1すなわちメチレン基が特に好ましい。
また、Xが、炭化水素基と、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合及びアミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合とを組み合わせた二価の連結基である場合、炭化水素基としては炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。1つ以上のアルキレン基と、エステル結合(−COO−又は−OCO−)、ウレタン結合(−NRCOO−又は−OCONR−(Rは、水素原子又はアルキル基を表す。))、ウレア結合(−NRCONR’−(R、R’は、水素原子又はアルキル基を表す。)))、エーテル結合(−O−)及びアミド結合(−NRCO−又は−CONR−(Rは、水素原子又はアルキル基を表す。))よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合とを組み合わせた二価の連結基が好ましい。これらの中でも、1つ以上のアルキレン基と1つ以上のエーテル結合とを組み合わせた二価の連結基がより好ましい。
アルキレン基とエーテル結合とを組み合わせた二価の連結基としては、*−(アルキレン基)−O−**又は*−(アルキレン基)−O−(アルキレン基)−**が好ましい(*はXと(メタ)アクリルオキシ基の−O−との結合部、**はXと4級炭素原子との結合部を示す。)。
上記のアルキレン基とエーテル結合とを組み合わせた二価の連結基としては、−(アルキレン基)−O−部分を複数個有する、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることが好ましく、この場合の連結基の総炭素数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、成分A−3として、N−ビニルラクタム類及び/又はテトラヒドロフルフリルアクリレートを含有する。
成分A−3の化合物は、分子内に環状構造を有し、分子量160以下である比較的分子量の小さい重合性化合物であり、これらを含有することにより、硬化性及び基材密着性が良好なインク組成物が得られる。
以下に、成分A−3として使用できるN−ビニルラクタム類について説明する。
本発明のインク組成物は、成分A−3としてN−ビニルラクタム類を好ましく含有する。N−ビニルラクタム類としては、式(a)で表される化合物が好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上の水素原子がアルキル基、アリール基等の置換基により置換されていてもよく、ラクタム環と飽和又は不飽和環構造とが連結していてもよい。
式(a)で表される化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記範囲であると、吐出安定性に優れ、支持体基材との親和性に優れたインク組成物となり、特にPVC、アクリル樹脂、複合アルミ板等に対し、基材密着性に優れるインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物は、成分A−1〜A−3以外の、他の重合性化合物を含有していてもよい。
他の重合性化合物としては、特に制限はないがエチレン性不飽和化合物が好ましい。
他の重合性化合物としては、公知の重合性化合物を用いることができ、成分A−1〜A−3以外の(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物が有していてもよい芳香環構造としては、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェン、ビフェニル、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアデン、フラン、チオフェン、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリン、イソオキサゾリン、イソチアゾリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール及びテトラゾールよりなる群から選ばれた環構造が好ましく例示できる。
他の重合性化合物の分子量は、80〜2,000であることが好ましく、80〜1,000であることがより好ましく、80〜800であることが更に好ましい。
好適に用いられる単官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、25℃における表面張力が、好ましくは33.0〜39.0mN/mであり、より好ましくは、34.0〜39.0mN/m、特に好ましくは、36.0〜39.0mN/mである。
25℃における表面張力が、上記範囲であると、優れた吐出安定性及び優れた基材密着性が得られる。
本発明のインク組成物は、(成分B)重合開始剤を含む。支持体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。
なお、本発明における重合開始剤は、活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる、増感剤)も含まれる。本発明のインク組成物において、重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。増感剤としては例えば、特開2008−208190号公報に記載のものが挙げられる。
前記重合開始剤は、ラジカル重合反応に用いられる重合開始剤であり、本発明のインク組成物は、重合開始剤として、少なくとも、ビスアシルホスフィン化合物又はチオキサントン化合物を含有する。前記重合開始剤と、前記成分A−1〜A−3の組み合わせにより、吐出安定性に優れ及び基材密着性に優れたインク組成物が得られる。
以下に、ビスアシルホスフィン化合物及びチオキサントン化合物について説明する。
(成分B−1)ビスアシルホスフィン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、下記式(b−1)で表される化合物であることが好ましい。
具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、重合開始剤として(成分B−2)チオキサントン化合物を好ましく含有することができる。
チオキサントン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、下記式(b−2)で表される化合物であることが好ましい。
R1F、R2F、R3F、R4F、R5F、R6F、R7F及びR8Fは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基が挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
本発明のインク組成物は、重合開始剤として(成分B−3)α−ヒドロキシケトン化合物を好ましく含有することができる。
上記範囲であると、成分A−1〜A−3と組み合わせて使用することにより、吐出安定性に優れ、支持体基材との親和性に優れたインク組成物となり、特にPVC、アクリル樹脂、複合アルミ板等に対し、基材密着性に優れるインク組成物が得られる。
上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されている。
本発明のインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、好ましくは着色剤を含有する。着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
赤又はマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド3(「Pigment Red 3」ともいう。)、5、19、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、202、208、216、226、257、C.I.ピグメントバイオレット3(「Pigment Violet 3」ともいう。)、19、23、29、30、37、50、88、C.I.ピグメントオレンジ13(「Pigment Orange 13」ともいう。)、16、20、36、青又はシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1(「Pigment Blue 1」ともいう。)、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7(「Pigment Green 7」ともいう。)、26、36、50、黄顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(「Pigment Yellow 1」ともいう。)、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、120、137、138、139、150、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、C.I.ピグメントブラック7(「Pigment Black 7」ともいう。)、28、26、白色顔料としては、C.I.ピグメントホワイト6(「Pigment White 6」ともいう。)、18、21などが目的に応じて使用できる。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、201、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9等が挙げられる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。すなわち、溶剤を含まないことが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜15重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01重量%未満であることが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、0.005重量%以下であることがより好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないことが特に好ましい。
なお、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤も、含有しないか、又は、その含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01重量%未満であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、0.005重量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、オリゴマーを含有することが好ましい。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、オリゴマーと称される公知の化合物を任意に選択可能であるが、本発明においては、重量平均分子量が400〜10,000(より好ましくは500〜5,000)の重合体を選択することが好ましい。
前記オリゴマーは、ラジカル重合性基を有していてもよい。前記ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく挙げられるが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、4官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましく、2官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、基材の密着性に優れ、硬化性に優れるインク組成物が得られる。
オリゴマーについて、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)も参照することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、第一工業製薬(株)製のR1204、R1211、R1213、R1217、R1218、R1301、R1302、R1303、R1304、R1306、R1308、R1901、R1150等や、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL230、270、4858、8402、8804、8807、8803、9260、1290、1290K、5129、4842、8210、210、4827、6700、4450、220)、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU−4HA、U−6HA、U−15HA、U−108A、U200AX等、東亞合成(株)製のアロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、Sartomer社製のCN964 A85等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL770、IRR467、81、84、83、80、675、800、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811等)、東亞合成(株)製のアロニックスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050等が挙げられる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL600、860、2958、3411、3600、3605、3700、3701、3703、3702、3708、RDX63182、6040等)等が挙げられる。
本発明のインク組成物におけるオリゴマーの含有量としては、インク組成物の全重量に対して、0.1〜50重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、前記各成分以外に、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、塩基性化合物等を含んでいてもよい。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全重量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線(活性エネルギー線、ともいう。)を照射し、インク組成物を硬化して画像を形成する方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物である。
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドとしては、例えばFUJIFILM Dimatix社製のピエゾ駆動方式によるオンデマンド・インクジェットヘッドが挙げられる。その具体例として、S−class、Q−class Sapphireが挙げられる。
具体的には、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金、ステンレス、鉄、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、ニッケル、クロム、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることが好ましく、金、ステンレス、鉄、チタン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることがより好ましく、金、ステンレス及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることが更に好ましく、酸化ケイ素により形成された層を備えることが最も好ましい。
記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学工業(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギー線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
活性エネルギー線の照射条件及び基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれるインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。
記録媒体としては、PVC、アクリル樹脂、複合アルミ板がより好ましく、本発明のインク組成物は、特にPVC、アクリル樹脂、複合アルミ板との基材密着性が良好である。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
・SOLSPERSE32000(Noveon社製分散剤)
・SOLSPERSE41000(Noveon社製分散剤)
・V−CAP(N−ビニルカプロラクタム、ISP社製)
・SR278(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、Sartomer社製)
・SR9003(PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、Sartomer社製)
・SR531(サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(CTFA)、Sartomer社製)
・SR285(テトラヒドロフルフリルアクリレート、Sartomer社製)
・SR339(フェノキシエチルアクリレート、Sartomer社製)
・SR256(2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、Sartomer社製)
・SR506(イソボロニルアクリレート、Sartomer社製)
・CD420(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、Sartomer社製)
・CD217(4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、Sartomer社製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩(10重量%)とフェノキシエチルアクリレート(90重量%)との混合物、Chem First社製)
・IRGACURE819(ビスアシルホスフィン光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製)
・IRGACURE184(光重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・ジャパン(株)製)
・SPEEDCURE ITX(光重合開始剤、イソプロピルチオキサントン、LAMBSON社製)
・TEGORAD 2100(シリコーン系界面活性剤、デグサ社製)
IRGALITE BLUE GLVOを300重量部と、SR339を620重量部と、SOLSPERSE32000を80重量部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。なお、シアンミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
CINQUASIA MAGENTA RT−355−Dを300重量部と、SR339を600重量部と、SOLSPERSE32000を100重量部とを撹拌混合し、マゼンタミルベースBを得た。なお、マゼンタミルベースBの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
NOVOPERM YELLOW H2Gを300重量部と、SR339を600重量部と、SOLSPERSE32000を100重量部とを撹拌混合し、イエローミルベースCを得た。なお、イエローミルベースCの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
SPECIAL BLACK 250を400重量部と、SR339を520重量部と、SOLSPERSE32000を80重量部とを撹拌混合し、ブラックミルベースDを得た。なお、ブラックミルベースDの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散を行った。
タイペークCR60−2を500重量部と、SR339を440重量部と、SOLSPERSE41000を60重量部とを撹拌混合し、ホワイトミルベースEを得た。なお、ホワイトミルベースEの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
表1に記載の素材を混合、撹拌することで、実施例1〜18及び比較例1〜5の各インク組成物をそれぞれ得た。
インク組成物の表面張力は、表面張力計SIGMA702(吊環法、KSV INSTRUMENTS LTD社製)を用い、25℃で測定を行った。
UV硬化型インクジェットプリンター Acuity Advance(富士フイルム(株)製)を用い、インクジェット画像を双方向印刷モード(高生産性モード)、且つ、Fineartモード(高解像度モード)で印刷した。Fineartモードは、同一画像部分を8パスで描画するマルチパスモードで行われる印刷である。該プリンターにはUVランプ光源がヘッドユニットの左右に装着されており、双方向印刷モードは、8回のマルチパス描画において、画像同一部分に、16回のUV露光が施される。
インクジェット記録媒体として、Avery Permanent400(Avery社製、PVC(ポリ塩化ビニル))上に、解像度600×450dpi、サイズ30cm×30cmで、100%ベタ画像の印刷を行った。ランプはIntegration Technology社製SUB ZERO 085H bulbランプユニットを装着した。印字中、路面照度を測定したところ、745mW/cm2であった。
支持体を、複合アルミ板(Di−bond、厚さ5mm)、又は、アクリル樹脂(REPSOL GLASS、Repsol社製、厚さ22mm)とする以外は、上記インクジェット記録方法に記載の内容と同等の方法で印刷物の作成を行った。
ASTM D3359 DIN53 151に準拠し、クロスカットテープ剥離テストを実施し、以下の基準で評点を行った。スコアが高いほど印刷物の性能は高いが、加工適性等でハンドリング可能なレベルとして、ランク2以上を許容とした。
5:画像の剥離面積が1%未満である。
4:画像の剥離面積が1%以上5%未満である。
3:画像の剥離面積が5%以上10%未満である。
2:画像の剥離面積が10%以上30%未満である。
1:画像の剥離面積が30%以上である。
上記インクジェット記録方法にて得られた画像を触診により、画像のべとつきの程度を以下の基準で評価した。ランク3以上を許容とした。
5:画像にべとつきなし。
4:画像に僅かなべとつき感があるが、実用上問題ないレベル
3:画像がややべとついているが、未硬化のインク組成物又は硬化膜は手に転写しない。
2:画像がややべとついており、未硬化のインク組成物又は硬化膜がわずかに手に転写した。
1:画像がかなりべとついており、未硬化のインク組成物又は硬化膜の一部が手に転写した。
本実施例では、硬化膜の耐衝撃性を評価する方法として、たたき付け試験を実施した。
前記インクジェット記録方法にて、100%、200%、300%のベタ画像を作成し、画像を丸めて机上に設置し、上から手で印刷物を強くたたきつけた。以下の基準で評価を行った。ランク3以上を許容とした。
5:100%、200%、300%のサンプルでは割れが発生しない。
4:100%、200%のサンプルでは割れが発生しないが、300%のサンプルで画像部に割れが発生した。
3:100%のサンプルでは割れが発生しないが、平均膜厚200%、300%のサンプルで、画像部に割れが入った。
2:平均膜厚100%、200%、300%いずれのサンプルでも、画像部に割れが入った。
1:平均膜厚100%、200%、300%いずれのサンプルで、画像の破片が飛び散るほど大きく割れが入った。
上記インクジェット記録方法によって得られた画像の筋ムラを画像から一定距離離れた地点から目視で評価した。評価基準は、以下の通りである。ランク3以上を許容とした。
なお、目視評価は平均視力0.8〜1.2の評価者10名で実施し、下記基準で評価した10名の評価点の最高値及び最低値を除いた残りの評価点の平均値を四捨五入し評価点とした。
5:筋ムラが画像から0.3mの距離にて、目視ではっきりと見えない。
4:筋ムラが画像から0.3mの距離にて、目視で確認できるが、0.6mの距離では見えない
3:筋ムラが画像から0.6mの距離にて、目視で確認できるが、1.0mの距離では見えない
2:筋ムラが画像から1.0mの距離にて、目視で確認できるが、2.0mの距離では見えない
1:筋ムラが画像から2.0mではっきり確認できる。
得られたインク組成物を室温で二週間保存後、親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/10(FUJIFILM DIMATIX製、ノズル数256個、液滴量10pL、50kHz、親インク処理:酸化ケイ素)を有するインクジェット記録装置を用いて、吐出液滴を10pLに固定し、記録媒体への記録を行い、常温(25℃)で15分間の連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。ランク3以上を許容とした。
5:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが発生しない
4:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが1〜3回発生
3:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが4〜10回発生
2:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが11〜20回発生
1:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが21回以上発生
得られたインク組成物を室温で二週間保存後、親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/30(FUJIFILM DIMATIX社製、ノズル数256個、液滴量30pL、16kHz、親インク処理:酸化ケイ素)を有するインクジェット記録装置を用いて、吐出液滴を30pLに固定し、記録媒体への記録を行い、常温(25℃)で15分間の連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。ランク3以上を許容とした。
5:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが発生しない
4:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが1〜3回発生
3:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが4〜10回発生
2:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが11〜20回発生
1:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが21回以上発生
Claims (10)
- (成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、
(成分A−2)サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、
(成分A−3)N−ビニルラクタム類、及び/又は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、並びに、
(成分B)重合開始剤、を少なくとも含有し、
成分A−1の含有量が1〜35重量%であり、
成分A−1〜A−3の総含有量が60〜90重量%であることを特徴とする
インクジェットインク組成物。 - 25℃における表面張力が、33.0〜39.0mN/mである、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及び/又はチオキサントン化合物を少なくとも含有する、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及びチオキサントン化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分A−1と成分A−2との含有量の重量比が、1:1〜1:8である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分A−3として、N−ビニルカプロラクタムを含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- (a1)記録媒体上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を吐出する工程、及び、
(b1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性放射線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする
インクジェット記録方法。 - 前記記録媒体として、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂又は複合アルミ板を用いる、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
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