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JP5419934B2 - インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法 Download PDF

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JP5419934B2
JP5419934B2 JP2011153700A JP2011153700A JP5419934B2 JP 5419934 B2 JP5419934 B2 JP 5419934B2 JP 2011153700 A JP2011153700 A JP 2011153700A JP 2011153700 A JP2011153700 A JP 2011153700A JP 5419934 B2 JP5419934 B2 JP 5419934B2
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Description

本発明は、インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェットインク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の記録媒体に印字できる点で優れた方式である。
また、従来のインクジェットインク組成物としては、特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。
特開2011−84643号公報 特開2010−180376号公報 特開2008−248071号公報
本発明の目的は、吐出安定性に優れ、得られる硬化膜の基材密着性及び耐衝撃性に優れたインクジェットインク組成物、及び、前記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法を提供することである。
本発明の上記課題は、下記の<1>及び<10>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<9>、及び<11>と共に以下に記載する。
<1>(成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、(成分A−2)式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、(成分A−3)N−ビニルラクタム類、及び/又は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、並びに、(成分B)重合開始剤、を少なくとも含有し、成分A−1の含有量が1〜35重量%であり、成分A−1〜A−3の総含有量が60〜90重量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物、
Figure 0005419934
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
<2>25℃における表面張力が、33.0〜39.0mN/mである、上記<1>に記載のインクジェットインク組成物、
<3>成分A−2として、式(1)で表される化合物を含有する、上記<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物、
<4>成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及び/又はチオキサントン化合物を少なくとも含有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<5>成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及びチオキサントン化合物を含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<6>成分A−1と成分A−2との含有量の重量比が、1:1〜1:8である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<7>成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートを含有する、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<8>成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートを含有する、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<9>成分A−3として、N−ビニルカプロラクタムを含有する、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<10>(a1)記録媒体上に、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性放射線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法、
<11>前記記録媒体として、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂又は複合アルミ板を用いる、上記<10>に記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、吐出安定性に優れ、得られる硬化膜の基材密着性及び耐衝撃性に優れたインクジェットインク組成物、及び、前記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(インクジェットインク組成物)
本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、(成分A−2)式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、(成分A−3)N−ビニルラクタム類、及び/又は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、並びに、(成分B)重合開始剤、を少なくとも含有し、成分A−1の含有量が1〜35重量%であり、成分A−1〜A−3の総含有量が60〜90重量%であることを特徴とする。
Figure 0005419934
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は「A以上B以下」と同義である。また、前記「(成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート」等を単に「成分A−1」等ともいう。
また、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを表す。
本発明のインク組成物は、活性放射線(活性エネルギー線ともいう。)により硬化可能な油性のインク組成物である。「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
本発明のインク組成物は、成分A−1〜A−3、及び成分Bを組み合わせて用いることにより、吐出安定性に優れ、得られる硬化膜の基材密着性及び耐衝撃性に優れたインクジェットインク組成物、及び、前記インクジェットインク組成物を使用したインクジェット記録方法が得られる。
硬化膜の耐衝撃性に優れる理由としては、成分A−1の自由度の高い直鎖構造のジエチレングリコールモノブチル構造が衝撃を吸収し、硬化膜の破壊を抑制するものと推定される。
硬化膜の基材密着性に優れる理由として、特にポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、又は複合アルミ板(アルミニウム蒸着又はラミネートされた紙又はプラスチック板であり、更に前記アルミニウム蒸着又はラミネートされた紙又はプラスチック板の最表面がポリエステル樹脂等でコーティング処理されたものも含む)の基材に対して、成分A−1〜A−3の化合物が、高い親和性を有すると共に硬化膜の硬度が高くなりアンカー効果が作用し高い基材密着性が得られるものと推定している。
インク組成物が吐出安定性に優れる理由としては、成分A−1〜A−3を組み合わせたインク組成物の揮発性が低く抑えられることで、ノズル近辺でのインクの濃縮が起こりにくいことや、インクジェットプリンタヘッドのノズルプレートに対して、安定したメニスカスを形成しやすいことなどが推定されるが、理由は定かではない。
以下、本発明のインク組成物の各成分や物性値等について、説明する。
本発明のインク組成物は、以下に説明する成分A−1〜A−3の化合物を少なくとも含み、成分A−1の含有量がインク組成物全重量の1〜35重量%であり、成分A−1〜A−3の総含有量がインク組成物全重量の60〜90重量%である。以下に、A−1〜A−3について説明する。
(成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート
本発明のインク組成物は、成分A−1として、ジエチレングリコールモノブチル構造とエチレン性不飽和基をもつアクリレート化合物であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート(2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレートともいう。)を含有する。本発明のインク組成物は、成分A−1をインク組成物全重量の1〜35重量%含有する。成分A−1の含有量が、1重量%未満又は35重量%を超えると、所望の吐出安定性及び基材密着性が得られなくなる。
成分A−1の含有量は、インク組成物全体の重量に対して、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
成分A−1を含有することで、硬化膜の耐衝撃性及び基材密着性、特に、アクリル樹脂基材への密着性に優れ、連続吐出性に優れるインク組成物が得られる。耐衝撃性に優れる理由としては、成分A−1の自由度の高い直鎖構造のジエチレングリコールモノブチル構造が衝撃を吸収し、硬化膜の破壊を抑制するものと推定される。
(成分A−2)式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物
本発明のインク組成物は、成分A−2として、式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する。
成分A−2は、いずれも分子内に環状構造部分及びエチレン性不飽和基をもつアクリレート化合物である。これらの環状構造を有するアクリレート化合物の中でも、式(1)で表される化合物、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を、A−1及びA−3と組み合わせて用いることにより、吐出安定性が優れ、得られる硬化膜の耐衝撃性及び基材密着性に優れるインクジェットインク組成物が得られる。
成分A−2のエチレン性不飽和基は、1分子内に1個又は複数個含有してもよいが、1個すなわち成分A−2が単官能アクリレート化合物であることが好ましい。
成分A−2は、上記化合物を1種で用いても、又は複数併用してもよい。用途に合わせ複数組み合わせて使用するのが好ましい。
成分A−2の好ましい態様としては、フェノキシエチルアクリレートと、式(1)で表される化合物、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物との併用が挙げられ、より好ましい態様として、フェノキシエチルアクリレートと式(1)で表される化合物との併用が挙げられる。
<式(1)で表される化合物>
以下に、本発明のインク組成物の成分A−2として使用できる、式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 0005419934
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
前記式(1)で表される化合物は、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物、すなわち、R1が水素原子であることが好ましい。
式(1)のXにおける二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基と、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合及びアミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合とを組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。
Xは、二価の炭化水素基であることが好ましい。二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の二価の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜5の二価の炭化水素基が更に好ましく、炭化水素基の中でもアルキレン基が好ましく、炭素数1すなわちメチレン基が特に好ましい。
また、Xが、炭化水素基と、エステル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合及びアミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合とを組み合わせた二価の連結基である場合、炭化水素基としては炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。1つ以上のアルキレン基と、エステル結合(−COO−又は−OCO−)、ウレタン結合(−NRCOO−又は−OCONR−(Rは、水素原子又はアルキル基を表す。))、ウレア結合(−NRCONR’−(R、R’は、水素原子又はアルキル基を表す。)))、エーテル結合(−O−)及びアミド結合(−NRCO−又は−CONR−(Rは、水素原子又はアルキル基を表す。))よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合とを組み合わせた二価の連結基が好ましい。これらの中でも、1つ以上のアルキレン基と1つ以上のエーテル結合とを組み合わせた二価の連結基がより好ましい。
アルキレン基とエーテル結合とを組み合わせた二価の連結基としては、*−(アルキレン基)−O−**又は*−(アルキレン基)−O−(アルキレン基)−**が好ましい(*はXと(メタ)アクリルオキシ基の−O−との結合部、**はXと4級炭素原子との結合部を示す。)。
上記のアルキレン基とエーテル結合とを組み合わせた二価の連結基としては、−(アルキレン基)−O−部分を複数個有する、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることが好ましく、この場合の連結基の総炭素数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、以下に示す化合物(A−2−1)〜(A−2−4)を好ましく例示できるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005419934
これらの中でも、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(Cyclic trimethylolpropane formal acrylate、A−2−1)及びサイクリックトリメチロールプロパンフォーマルメタクリレート(A−2−2)がより好ましく、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(A−2−1)が特に好ましい。
本発明のインク組成物における成分A−2の含有量は、インク組成物の全重量に対し、20〜80重量%であることが好ましく、30〜75重量%であることが更に好ましく、40〜70重量%であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物が、成分A−2として式(1)で表される化合物を含有することがより好ましい。特にアクリル樹脂基材への基材密着性に優れるインク組成物が得られる。式(1)で表される化合物として、特にサイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートを含有することが好ましい。更に、成分A−2の態様として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートとフェノキシエチルアクリレートを併用する態様が好ましい。
式(1)で表される化合物の含有量は、インク組成物全体の3〜70重量%含有することが好ましく、10〜65重量%が更に好ましく、25〜60重量%が特に好ましい。
本発明のインク組成物中の成分A−1と成分A−2との重量比は、好ましくは1:1〜1:8であり、より好ましくは1:2〜1:8であり、更に好ましくは1:4〜1:7である。
(成分A−3)N−ビニルラクタム類及び/又はテトラヒドロフルフリルアクリレート
本発明のインク組成物は、成分A−3として、N−ビニルラクタム類及び/又はテトラヒドロフルフリルアクリレートを含有する。
成分A−3の化合物は、分子内に環状構造を有し、分子量160以下である比較的分子量の小さい重合性化合物であり、これらを含有することにより、硬化性及び基材密着性が良好なインク組成物が得られる。
以下に、成分A−3として使用できるN−ビニルラクタム類について説明する。
<N−ビニルラクタム類>
本発明のインク組成物は、成分A−3としてN−ビニルラクタム類を好ましく含有する。N−ビニルラクタム類としては、式(a)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005419934
式(a)中、nは2〜6の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは3〜5の整数であることが好ましく、nが3又は5であることがより好ましく、nが5である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の記録媒体への良好な密着性が得られるので好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上の水素原子がアルキル基、アリール基等の置換基により置換されていてもよく、ラクタム環と飽和又は不飽和環構造とが連結していてもよい。
式(a)で表される化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、成分A−2としてテトラヒドロフルフリルアクリレートを好ましく含有する。テトラヒドロフルフリルアクリレートは、式(a−2)で表される化合物である。
Figure 0005419934
本発明のインク組成物における成分A−3の含有量、すなわちN−ビニルラクタム類又はテトラヒドロフルフリルアクリレートの含有量は、インク組成物全重量に対し、5〜35重量%であることが好ましく、8〜24重量%であることがより好ましく、9〜20重量%であることが更に好ましく、10〜18重量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、印刷物内部の硬化性を強く促進し、硬化性及び基材密着性に優れるインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物における、成分A−1〜A−3の総含有量は、インク組成物全体の60〜90重量%であり、より好ましくは、65〜90重量%、更に好ましくは、70〜90重量%である。
上記範囲であると、吐出安定性に優れ、支持体基材との親和性に優れたインク組成物となり、特にPVC、アクリル樹脂、複合アルミ板等に対し、基材密着性に優れるインク組成物が得られる。
<他の重合性化合物>
本発明のインク組成物は、成分A−1〜A−3以外の、他の重合性化合物を含有していてもよい。
他の重合性化合物としては、特に制限はないがエチレン性不飽和化合物が好ましい。
他の重合性化合物としては、公知の重合性化合物を用いることができ、成分A−1〜A−3以外の(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
本発明のインク組成物は、成分A−1〜A−3以外の2官能(メタ)アクリレート化合物を、好ましく使用できる。2官能(メタ)アクリレート化合物としては、炭素数5以上の分岐を有していてもよい炭化水素鎖を有する2官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい例としては、炭素数5以上の炭化水素鎖を分子内に有する2官能(メタ)アクリレート化合物であり、具体的には、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、及び、シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましく挙げられる。
本発明のインク組成物は、重合性化合物として更に3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。3官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。4官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
その他の多官能(メタ)アクリレートとしては、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
他の重合性化合物としては、フェノキシエチルアクリレート以外の芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物の芳香族基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物が有していてもよい芳香環構造としては、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェン、ビフェニル、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアデン、フラン、チオフェン、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリン、イソオキサゾリン、イソチアゾリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール及びテトラゾールよりなる群から選ばれた環構造が好ましく例示できる。
また、他の重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
他の重合性化合物として具体的には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、(株)シーエムシー出版);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知のラジカル重合性又は架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
他の重合性化合物の分子量は、80〜2,000であることが好ましく、80〜1,000であることがより好ましく、80〜800であることが更に好ましい。
他の重合性化合物として、単官能ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。
好適に用いられる単官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテル化合物を用いることもできる。好適に用いられる多官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物が挙げられる。
本発明のインク組成物が成分A−1〜A−3以外の他の重合性化合物を含有する場合、本発明のインク組成物における他の重合性化合物の含有量は、インク組成物の全重量に対し、0.1〜30重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ましく、1.5〜15重量%が特に好ましい。
<インク組成物の表面張力>
本発明のインク組成物は、25℃における表面張力が、好ましくは33.0〜39.0mN/mであり、より好ましくは、34.0〜39.0mN/m、特に好ましくは、36.0〜39.0mN/mである。
25℃における表面張力が、上記範囲であると、優れた吐出安定性及び優れた基材密着性が得られる。
インク組成物の表面張力の測定方法としては、一般的に用いられる表面張力計(例えばKSV INSTRUMENTS LTD社製、表面張力計SIGMA702等)を用いて、吊環法で液温25℃にて測定する方法が例示できる。
(成分B)重合開始剤
本発明のインク組成物は、(成分B)重合開始剤を含む。支持体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。
なお、本発明における重合開始剤は、活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる、増感剤)も含まれる。本発明のインク組成物において、重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。増感剤としては例えば、特開2008−208190号公報に記載のものが挙げられる。
前記重合開始剤は、ラジカル重合反応に用いられる重合開始剤であり、本発明のインク組成物は、重合開始剤として、少なくとも、ビスアシルホスフィン化合物又はチオキサントン化合物を含有する。前記重合開始剤と、前記成分A−1〜A−3の組み合わせにより、吐出安定性に優れ及び基材密着性に優れたインク組成物が得られる。
以下に、ビスアシルホスフィン化合物及びチオキサントン化合物について説明する。
<(成分B−1)ビスアシルホスフィン化合物>
(成分B−1)ビスアシルホスフィン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、下記式(b−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005419934
(式(b−1)中、R1E、R2E及びR3Eはそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
ビスアシルホスフィン化合物としては、公知のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が使用できる。例えば、特開平3−101686号公報、特開平5−345790号公報、特開平6−298818号公報に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、ビスアシルホスフィン化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバ・ジャパン(株)製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどが好ましい。
成分B−1の含有量は、インク組成物全体の2〜9重量%が好ましく、2.5〜8.5重量%であることがより好ましい。
<(成分B−2)チオキサントン化合物>
本発明のインク組成物は、重合開始剤として(成分B−2)チオキサントン化合物を好ましく含有することができる。
チオキサントン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、下記式(b−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005419934
前記式(b−2)において、R1F、R2F、R3F、R4F、R5F、R6F、R7F及びR8Fはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基(一置換及び二置換の場合を含む。なお、以下においても同様である。)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。上記アルキル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、及び、アシル基におけるアルキル部分の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
1F、R2F、R3F、R4F、R5F、R6F、R7F及びR8Fは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基が挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,3−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、4−シクロヘキシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリドが例示できる。これらの中でも、入手容易性や硬化性の観点から、チオキサントン、2,3−ジエチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、4−シクロヘキシルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンが好ましく、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンがより好ましい。
成分B−2の含有量は、インク組成物全体の0.1〜7.0重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましい。
<(成分B−3)α−ヒドロキシケトン化合物>
本発明のインク組成物は、重合開始剤として(成分B−3)α−ヒドロキシケトン化合物を好ましく含有することができる。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられ、中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物が好ましい。なお、本発明において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが任意の置換基で置換された化合物も含まれる。置換基としては、ラジカル重合開始剤としての能力を発揮し得る範囲で任意に選択することができ、具体的には炭素数1〜4のアルキル基が例示できる。中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、チバ・ジャパン(株)製)がより好ましい。
成分B−3の含有量は、インク組成物全体の1.0〜5.0重量%が好ましく、2.0〜4.0重量%がより好ましい。
本発明における成分Bの好ましい態様は、成分B−1〜B−3の少なくとも1つを含有することであり、より好ましくは成分B−1とB−2とを含有することであり、更に好ましくは成分B−1〜B−3を含有することである。
本発明における成分Bの総含有量は、インク組成物全体の5.0〜11.0重量%であることが好ましく、6.0〜10.0重量%であることがより好ましく、7.0〜9.0重量%であることが更に好ましい。
上記範囲であると、成分A−1〜A−3と組み合わせて使用することにより、吐出安定性に優れ、支持体基材との親和性に優れたインク組成物となり、特にPVC、アクリル樹脂、複合アルミ板等に対し、基材密着性に優れるインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物は、成分B−1〜B−3の重合開始剤以外のその他の重合開始剤を含んでもよい。その他の重合開始剤としては、モノアシルホスフィン化合物、α−アミノアルキルケトン、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、及び、炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されている。
<着色剤>
本発明のインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、好ましくは着色剤を含有する。着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド3(「Pigment Red 3」ともいう。)、5、19、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、202、208、216、226、257、C.I.ピグメントバイオレット3(「Pigment Violet 3」ともいう。)、19、23、29、30、37、50、88、C.I.ピグメントオレンジ13(「Pigment Orange 13」ともいう。)、16、20、36、青又はシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1(「Pigment Blue 1」ともいう。)、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7(「Pigment Green 7」ともいう。)、26、36、50、黄顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(「Pigment Yellow 1」ともいう。)、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、120、137、138、139、150、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、C.I.ピグメントブラック7(「Pigment Black 7」ともいう。)、28、26、白色顔料としては、C.I.ピグメントホワイト6(「Pigment White 6」ともいう。)、18、21などが目的に応じて使用できる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、201、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9等が挙げられる。
着色剤は、インク組成物に添加された後、適度に当該インク組成物内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分と共に直接添加してもよい。また、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散あるいは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。すなわち、溶剤を含まないことが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、インク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
<分散剤>
本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製);イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜15重量%であることが好ましい。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の総含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01重量%未満であることが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、0.005重量%以下であることがより好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないことが特に好ましい。
なお、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤も、含有しないか、又は、その含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01重量%未満であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、0.005重量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<オリゴマー>
本発明のインク組成物は、オリゴマーを含有することが好ましい。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、オリゴマーと称される公知の化合物を任意に選択可能であるが、本発明においては、重量平均分子量が400〜10,000(より好ましくは500〜5,000)の重合体を選択することが好ましい。
前記オリゴマーは、ラジカル重合性基を有していてもよい。前記ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
本発明におけるオリゴマーとしては、いかなるオリゴマーでもよいが、例えば、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステルアクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)等を挙げることができる。この中で、オリゴエステル(メタ)アクリレートが好ましく、その中では、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが更に好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく挙げられるが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、4官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましく、2官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、基材の密着性に優れ、硬化性に優れるインク組成物が得られる。
オリゴマーについて、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)も参照することができる。
また、オリゴマーの市販品としては、以下に示すものが例示できる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、第一工業製薬(株)製のR1204、R1211、R1213、R1217、R1218、R1301、R1302、R1303、R1304、R1306、R1308、R1901、R1150等や、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL230、270、4858、8402、8804、8807、8803、9260、1290、1290K、5129、4842、8210、210、4827、6700、4450、220)、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU−4HA、U−6HA、U−15HA、U−108A、U200AX等、東亞合成(株)製のアロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、Sartomer社製のCN964 A85等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL770、IRR467、81、84、83、80、675、800、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811等)、東亞合成(株)製のアロニックスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050等が挙げられる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL600、860、2958、3411、3600、3605、3700、3701、3703、3702、3708、RDX63182、6040等)等が挙げられる。
オリゴマーは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物におけるオリゴマーの含有量としては、インク組成物の全重量に対して、0.1〜50重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明のインク組成物は、必要に応じて、前記各成分以外に、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、塩基性化合物等を含んでいてもよい。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、保存性、及び、ヘッド詰まりの抑制という観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全重量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
(インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線(活性エネルギー線、ともいう。)を照射し、インク組成物を硬化して画像を形成する方法である。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a1)記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して前記インク組成物を硬化する工程、を含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物である。
本発明のインクジェット記録方法における(a1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
本発明で用いることができるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性エネルギー線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、本発明のインク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。 温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
本発明のインクジェット記録方法に使用されるインクジェットヘッドは、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドであることが好ましい。
インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドとしては、例えばFUJIFILM Dimatix社製のピエゾ駆動方式によるオンデマンド・インクジェットヘッドが挙げられる。その具体例として、S−class、Q−class Sapphireが挙げられる。
前記ノズルプレートは、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートであり、インク吐出側の面の少なくとも一部が親インク処理されたものであればよく、インク吐出側の面の全面が親インク処理されたものが好ましい。
親インク処理の方法として、ノズルプレートの表面の少なくとも一部に非撥インク性の層を1層以上形成する方法が挙げられる。
具体的には、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金、ステンレス、鉄、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、ニッケル、クロム、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることが好ましく、金、ステンレス、鉄、チタン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることがより好ましく、金、ステンレス及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることが更に好ましく、酸化ケイ素により形成された層を備えることが最も好ましい。
親インク処理方法としては、公知の方法を用いることができ、限定されないが、例えば(1)シリコン製のノズルプレートの表面を熱酸化して酸化ケイ素膜を形成する方法、(2)シリコンやシリコン以外の酸化膜を酸化的に形成する方法、若しくは、スパッタリングにより形成する方法、(3)金属膜を形成する方法、が挙げられる。これらの方法の詳細については、米国特許出願公開第2010/0141709号明細書を参照することができる。
次に、(b1)吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程について説明する。
記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性エネルギー線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性エネルギー線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、320〜420nmであることが更に好ましく、活性エネルギー線が、ピーク波長が340〜400nmの範囲の紫外線であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性エネルギー線であっても十分な感度を有するものである。したがって、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性エネルギー線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学工業(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギー線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性エネルギー線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性エネルギー線の照射条件及び基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の高い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の高いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクセットを使用することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれるインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。
本発明において、記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム(複合アルミ板等)等が挙げられる。また、本発明における記録媒体として、非吸収性記録媒体を好適に使用することができる。
記録媒体としては、PVC、アクリル樹脂、複合アルミ板がより好ましく、本発明のインク組成物は、特にPVC、アクリル樹脂、複合アルミ板との基材密着性が良好である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
本発明で使用した素材は下記に示す通りである。
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバ・ジャパン(株)製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
・SOLSPERSE32000(Noveon社製分散剤)
・SOLSPERSE41000(Noveon社製分散剤)
・V−CAP(N−ビニルカプロラクタム、ISP社製)
・SR278(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、Sartomer社製)
・SR9003(PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、Sartomer社製)
・SR531(サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(CTFA)、Sartomer社製)
・SR285(テトラヒドロフルフリルアクリレート、Sartomer社製)
・SR339(フェノキシエチルアクリレート、Sartomer社製)
・SR256(2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、Sartomer社製)
・SR506(イソボロニルアクリレート、Sartomer社製)
・CD420(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、Sartomer社製)
・CD217(4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、Sartomer社製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩(10重量%)とフェノキシエチルアクリレート(90重量%)との混合物、Chem First社製)
・IRGACURE819(ビスアシルホスフィン光重合開始剤、チバ・ジャパン(株)製)
・IRGACURE184(光重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・ジャパン(株)製)
・SPEEDCURE ITX(光重合開始剤、イソプロピルチオキサントン、LAMBSON社製)
・TEGORAD 2100(シリコーン系界面活性剤、デグサ社製)
(シアンミルベースAの調製)
IRGALITE BLUE GLVOを300重量部と、SR339を620重量部と、SOLSPERSE32000を80重量部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。なお、シアンミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
(マゼンタミルベースBの調製)
CINQUASIA MAGENTA RT−355−Dを300重量部と、SR339を600重量部と、SOLSPERSE32000を100重量部とを撹拌混合し、マゼンタミルベースBを得た。なお、マゼンタミルベースBの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
(イエローミルベースCの調製)
NOVOPERM YELLOW H2Gを300重量部と、SR339を600重量部と、SOLSPERSE32000を100重量部とを撹拌混合し、イエローミルベースCを得た。なお、イエローミルベースCの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
(ブラックミルベースDの調製)
SPECIAL BLACK 250を400重量部と、SR339を520重量部と、SOLSPERSE32000を80重量部とを撹拌混合し、ブラックミルベースDを得た。なお、ブラックミルベースDの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散を行った。
(ホワイトミルベースEの調製)
タイペークCR60−2を500重量部と、SR339を440重量部と、SOLSPERSE41000を60重量部とを撹拌混合し、ホワイトミルベースEを得た。なお、ホワイトミルベースEの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
<インク組成物の作製方法>
表1に記載の素材を混合、撹拌することで、実施例1〜18及び比較例1〜5の各インク組成物をそれぞれ得た。
〔表面張力の測定方法〕
インク組成物の表面張力は、表面張力計SIGMA702(吊環法、KSV INSTRUMENTS LTD社製)を用い、25℃で測定を行った。
<インクジェット記録方法>
UV硬化型インクジェットプリンター Acuity Advance(富士フイルム(株)製)を用い、インクジェット画像を双方向印刷モード(高生産性モード)、且つ、Fineartモード(高解像度モード)で印刷した。Fineartモードは、同一画像部分を8パスで描画するマルチパスモードで行われる印刷である。該プリンターにはUVランプ光源がヘッドユニットの左右に装着されており、双方向印刷モードは、8回のマルチパス描画において、画像同一部分に、16回のUV露光が施される。
インクジェット記録媒体として、Avery Permanent400(Avery社製、PVC(ポリ塩化ビニル))上に、解像度600×450dpi、サイズ30cm×30cmで、100%ベタ画像の印刷を行った。ランプはIntegration Technology社製SUB ZERO 085H bulbランプユニットを装着した。印字中、路面照度を測定したところ、745mW/cm2であった。
<基材密着性評価方法:クロスカット、テープ剥離テスト>
支持体を、複合アルミ板(Di−bond、厚さ5mm)、又は、アクリル樹脂(REPSOL GLASS、Repsol社製、厚さ22mm)とする以外は、上記インクジェット記録方法に記載の内容と同等の方法で印刷物の作成を行った。
ASTM D3359 DIN53 151に準拠し、クロスカットテープ剥離テストを実施し、以下の基準で評点を行った。スコアが高いほど印刷物の性能は高いが、加工適性等でハンドリング可能なレベルとして、ランク2以上を許容とした。
5:画像の剥離面積が1%未満である。
4:画像の剥離面積が1%以上5%未満である。
3:画像の剥離面積が5%以上10%未満である。
2:画像の剥離面積が10%以上30%未満である。
1:画像の剥離面積が30%以上である。
<硬化性評価>
上記インクジェット記録方法にて得られた画像を触診により、画像のべとつきの程度を以下の基準で評価した。ランク3以上を許容とした。
5:画像にべとつきなし。
4:画像に僅かなべとつき感があるが、実用上問題ないレベル
3:画像がややべとついているが、未硬化のインク組成物又は硬化膜は手に転写しない。
2:画像がややべとついており、未硬化のインク組成物又は硬化膜がわずかに手に転写した。
1:画像がかなりべとついており、未硬化のインク組成物又は硬化膜の一部が手に転写した。
<耐衝撃性評価>
本実施例では、硬化膜の耐衝撃性を評価する方法として、たたき付け試験を実施した。
前記インクジェット記録方法にて、100%、200%、300%のベタ画像を作成し、画像を丸めて机上に設置し、上から手で印刷物を強くたたきつけた。以下の基準で評価を行った。ランク3以上を許容とした。
5:100%、200%、300%のサンプルでは割れが発生しない。
4:100%、200%のサンプルでは割れが発生しないが、300%のサンプルで画像部に割れが発生した。
3:100%のサンプルでは割れが発生しないが、平均膜厚200%、300%のサンプルで、画像部に割れが入った。
2:平均膜厚100%、200%、300%いずれのサンプルでも、画像部に割れが入った。
1:平均膜厚100%、200%、300%いずれのサンプルで、画像の破片が飛び散るほど大きく割れが入った。
<画像筋ムラ評価>
上記インクジェット記録方法によって得られた画像の筋ムラを画像から一定距離離れた地点から目視で評価した。評価基準は、以下の通りである。ランク3以上を許容とした。
なお、目視評価は平均視力0.8〜1.2の評価者10名で実施し、下記基準で評価した10名の評価点の最高値及び最低値を除いた残りの評価点の平均値を四捨五入し評価点とした。
5:筋ムラが画像から0.3mの距離にて、目視ではっきりと見えない。
4:筋ムラが画像から0.3mの距離にて、目視で確認できるが、0.6mの距離では見えない
3:筋ムラが画像から0.6mの距離にて、目視で確認できるが、1.0mの距離では見えない
2:筋ムラが画像から1.0mの距離にて、目視で確認できるが、2.0mの距離では見えない
1:筋ムラが画像から2.0mではっきり確認できる。
<吐出安定性(10pL)の評価>
得られたインク組成物を室温で二週間保存後、親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/10(FUJIFILM DIMATIX製、ノズル数256個、液滴量10pL、50kHz、親インク処理:酸化ケイ素)を有するインクジェット記録装置を用いて、吐出液滴を10pLに固定し、記録媒体への記録を行い、常温(25℃)で15分間の連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。ランク3以上を許容とした。
5:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが発生しない
4:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが1〜3回発生
3:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが4〜10回発生
2:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが11〜20回発生
1:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが21回以上発生
<吐出安定性(30pL)の評価>
得られたインク組成物を室温で二週間保存後、親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/30(FUJIFILM DIMATIX社製、ノズル数256個、液滴量30pL、16kHz、親インク処理:酸化ケイ素)を有するインクジェット記録装置を用いて、吐出液滴を30pLに固定し、記録媒体への記録を行い、常温(25℃)で15分間の連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、下記基準により評価した。ランク3以上を許容とした。
5:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが発生しない
4:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが1〜3回発生
3:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが4〜10回発生
2:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが11〜20回発生
1:ドット抜け、又は、インクの飛び散りが21回以上発生
以上の評価結果を表1に記した。なお、表中の「−」は当該成分が非含有であることを表す。
Figure 0005419934

Claims (10)

  1. (成分A−1)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、
    (成分A−2)サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、
    (成分A−3)N−ビニルラクタム類、及び/又は、テトラヒドロフルフリルアクリレート、並びに、
    (成分B)重合開始剤、を少なくとも含有し、
    成分A−1の含有量が1〜35重量%であり、
    成分A−1〜A−3の総含有量が60〜90重量%であることを特徴とする
    インクジェットインク組成物
  2. 25℃における表面張力が、33.0〜39.0mN/mである、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及び/又はチオキサントン化合物を少なくとも含有する、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 成分Bとして、ビスアシルホスフィン化合物及びチオキサントン化合物を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 成分A−1と成分A−2との含有量の重量比が、1:1〜1:8である、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 成分A−2として、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 成分A−3として、N−ビニルカプロラクタムを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. (a1)記録媒体上に、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を吐出する工程、及び、
    (b1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性放射線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  10. 前記記録媒体として、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂又は複合アルミ板を用いる、請求項に記載のインクジェット記録方法。
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