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JP5419430B2 - 駆動装置、露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

駆動装置、露光装置及びデバイス製造方法 Download PDF

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JP5419430B2 JP2008298788A JP2008298788A JP5419430B2 JP 5419430 B2 JP5419430 B2 JP 5419430B2 JP 2008298788 A JP2008298788 A JP 2008298788A JP 2008298788 A JP2008298788 A JP 2008298788A JP 5419430 B2 JP5419430 B2 JP 5419430B2
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Description

本発明は駆動装置に係り、特に、テーパ状の雄ねじを用いて被駆動部材の位置を調整する駆動装置に関する。
従来から、光学鏡筒の光学素子を所定の場所に位置決めする方法として、種々の方法が知られている。例えば、レンズを含む部品の精度を予め所定寸法に仕上げて組み込むことで光軸と基準中心を合わせる投込式による方法がある。また、この方法以外にも、レンズ組み込み部に削り代を設けてレンズの外径及び光軸方向の調整切削を行う玉押式、又は、調整側と被調整側の偏心調整を行いながら組立てる調整組立式等の方法がある。
半導体の製造に用いられる露光装置では、原版と基板の間の投影光学系により縮小投影が行われる。投影光学系では、組立時に各光学素子を高精度に位置決めし、収差を許容値以下に収める必要がある。このため、例えば特許文献1に開示されているように、切削加工性に優れた位置決め基準部位を有するセル構造による組立方式が用いられていた。
従来から、光学素子の位置調整を行う方法としては、調整ねじを用いる方法、又は、調整ねじと弾性部材とを合わせて用いる方法がある。調整ねじを用いる場合、ねじの回転に伴う軸方向の変位を調整に利用することが一般的である。これと異なるねじ調製方法には、特許文献2及び特許文献3に開示されているように、ねじの回転に伴い、ねじ部とは分けて設けられたテーパ部の径が変化することを利用して位置を調整する方法がある。
また、特許文献4には、テーパとねじとが一体化したテーパねじのねじ回転に伴うねじ径変化を利用する調整方法が開示されている。また、特許文献5には、圧電素子を用いて光学素子の位置を調整する方法が開示されている。
特開2001−124968号公報 特開2000−019380号公報 特開2001−208946号公報 特開2000−120679号公報 特開2001−343575号公報
光学鏡筒は、光軸方向に沿って積み重ねられた複数の光学素子により構成されている。光学性能の調整自由度を向上させるには、複数の光学素子の位置を調整する必要がある。このため、特に光軸方向の寸法が薄型である調整装置が求められている。
特許文献1に開示されている方法では、鏡筒を組立てて収差を計測した後、調整のために鏡筒を分解する必要がある。このため、位置調整に必要な時間が長くなる。
特許文献2及び特許文献3で開示されている方法では、テーパ部とねじ部が分けられているため、軸方向の寸法が大きくなり、また、ねじ部を基準としてテーパ部を調整対象部材に接触させる必要がある。このため、組立時の管理が煩雑となる。また、テーパ部に加わる力は、ねじ部ではモーメントとなるため、ねじ部のガタの影響により、精度が悪化するおそれがある。
特許文献4には、ねじ部がテーパ勾配を有するテーパねじが開示されている。しかし、特許文献4では、ねじ部のねじ穴が貫通していないため、テーパねじの回転に伴って軸方向の接触領域が変化し、調整精度(線形性)や他の成分に悪影響を与える。また、テーパねじと弾性部材による調整量を大きくするには、ねじ穴の内周を変形し易くする必要がある。しかし、特許文献4のように、ねじ穴が中心軸に対して全周に渡り連続している場合、弾性変形箇所がねじ穴近傍になるため、調整量を大きくすることが困難である。
特許文献5には、圧電素子を用いて光学素子を駆動する構成が開示されている。しかし、圧電素子を用いると、圧電素子を電気的に制御するための制御部が必要となり、駆動装置が大きくなってしまう。
本発明は、省スペースで被駆動部材の位置を高精度に調整可能な駆動装置を提供する。
本発明の一側面としての駆動装置は、被駆動部材の位置を調整する駆動装置であって、前記被駆動部材に結合され、弾性部材で形成された駆動部材と、前記駆動部材を貫通するように設けられた雌ねじと、前記雌ねじに螺合したテーパ状の雄ねじとを有し、前記駆動部材には、前記雌ねじの軸方向に貫通した切り欠き部が設けられていることにより、該雌ねじの内周は複数箇所に分割されて不連続となっており、分割された前記雌ねじの内周のそれぞれが互いに近接するように該雌ねじの内周のそれぞれの中心は互いにずれており、前記駆動部材は、前記雄ねじを前記雌ねじに螺合した状態で該雄ねじの軸方向に移動させることにより、前記被駆動部材を該雄ねじの軸方向と直交する方向に変位させる。
また、本発明の他の側面としての露光装置は、原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、光源からの光で前記原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを前記基板に転写する投影光学系とを有し、前記投影光学系は、光学素子、及び、該光学素子の光軸方向における位置を調整する駆動装置を有し、前記駆動装置は、弾性部材で形成された駆動部材、該駆動部材を貫通するように設けられた雌ねじ、及び、該雌ねじに螺合したテーパ状の雄ねじを有し、前記駆動部材には、前記雌ねじの軸方向に貫通した切り欠き部が設けられていることにより、該雌ねじの内周は複数箇所に分割されて不連続となっており、分割された前記雌ねじの内周のそれぞれが互いに近接するように該雌ねじの内周のそれぞれの中心は互いにずれており、前記駆動部材は、前記雄ねじを前記雌ねじに螺合した状態で該雄ねじの軸方向に移動させることにより、前記光学素子を該雄ねじの軸方向と直交する方向に変位させる。
また、本発明の他の側面としてのデバイス製造方法は、前記露光装置を用いて基板を露光するステップと、露光された前記基板を現像するステップとを有する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、省スペースで被駆動部材の位置を高精度に調整可能な駆動装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本発明の実施例1について説明する。図1は、本実施例における駆動装置の概略構成図である。
具体的には、図1(a)は駆動装置20aの斜視図であり、図1(b)はテーパねじ21の軸中心で、駆動装置20aの駆動方向であるZ方向とテーパねじ21の軸方向であるX方向の面内に切断した断面図である。本実施例の駆動装置20aは、被駆動部材の位置を調整する駆動装置である。
図1において、11は駆動部材であり、駆動部材11は弾性部材で形成されている。21はテーパねじであり、テーパねじ21は、ねじの軸方向に沿ってテーパ状となっている雄ねじである。本実施例におけるテーパねじ21は、一般的な管用テーパねじと同様に、円錐面上にねじが形成されており、ねじの軸方向への移動に伴って、ねじ径が変化する。
駆動部材11には、駆動部材11を貫通するように雌ねじ12が設けられている。駆動部材11は、雌ねじ12の周囲の全部又は一部において弾性変形が可能な弾性部材で形成されている。
図1(a)に示される駆動装置20aは、駆動部材11(雌ネジ12)にテーパねじ21を螺合させた状態の駆動装置である。駆動部材11に設けられた雌ねじ12としてストレートねじを用いてもよい。しかし、テーパねじ21(雄ねじ)と螺合した場合における接触状態を安定させるため、テーパねじ21に適合するようにテーパ状の雌ねじ12を採用することが望ましい。
図1(b)に示されるように、駆動部材11の一方の面(下面)は固定面13である。固定面13の位置は、テーパねじ21の移動量によらず、常に固定されている。駆動部材11の他方の面(上面)は駆動面14である。テーパねじ21を雌ねじ12に螺合した状態で右回りに回転させると、テーパねじ21はX軸方向(軸AXの方向)に移動して、破線211で示される位置に移動する。このようなテーパねじ21の移動に伴い、駆動面14は矢印で示されるZ軸方向(上方向)に移動して、破線141で示される位置へ移動する。
すなわち、駆動部材11は、テーパねじ21を雌ねじ12に螺合した状態でテーパねじ21の軸方向に移動させることにより、被駆動部材をテーパねじ21の軸方向と直交する方向に変位させる。ここで、「直交する方向」とは、厳密に直交する方向だけでなく、実質的に直交すると評価される方向をも含んでいる。
駆動装置20aにおいて、雌ねじ12は、駆動部材11を貫通するように設けられている。テーパねじ21は、このように貫通した雌ねじ12に螺合する。このため、テーパねじ21の回転によるテーパねじ21の移動の前後において、テーパねじ21の進行方向である軸方向(X軸方向)での接触領域(雌ねじ12とテーパねじ21との間の接触面積)は変化しない。このため、テーパねじ21を回転させる際、駆動部材11の駆動面14が、望まない方向であるX軸方向に変位する量は小さい。したがって、本実施例の駆動装置によれば、高精度な位置決め駆動を行うことができる。
また、駆動方向(Z軸方向)と異なる方向であるY軸方向(図1に示される断面の垂直方向)への駆動部材11の変位量を小さくするには、駆動装置20aの各構成要素を図1(b)に示される断面に対して対称に設けることが望ましい。
次に、本発明の実施例2について説明する。図2は、本実施例における駆動装置の概略構成図である。
具体的には、図2(a)は駆動装置20bの斜視図であり、図2(b)は駆動装置20bの正面図である。図2(a)では、テーパねじ21が駆動部材11(雌ねじ12)に螺合している状態を示している。一方、図2(b)では、テーパねじ21が駆動部材11に螺合していない状態を示している。
図2(a)、図2(b)に示されるように、駆動部材11(雌ねじ12の内周)には切り欠き部16が設けられている。切り欠き部16、17は、雌ねじ12の軸方向に貫通している。このため、雌ねじ12の内周は、複数箇所(例えば4箇所)に分割されて不連続となっている。
雌ねじ12の内周に設けられる切り欠き部16、17は、雌ねじ12の軸方向(X軸方向)に平行に貫通させることができる。ただしこれに代えて、雌ねじ12がテーパ状の場合、雌ねじ12の内周である円錐面に沿った稜線を残す形状に切り欠き部を形成してもよい。図2(a)において、テーパねじ21の回転調整部22は4方取り形状であるが、回転調整部22は、調整に用いる工具に適合する任意の形状にすることができる。
図2(b)に示されるように、駆動部材11には、Y軸方向を長手方向とする切り欠き部16が設けられている。また、駆動部材11には、雌ねじ12から離れた位置において、弾性変形部15が形成されている。弾性変形部15は、テーパねじ21を回転させることにより変形する。
本実施例の駆動装置20bでは、弾性変形部15が雌ねじ12から離れて配置されていることにより、弾性変形部15の弾性変形により生じるテーパねじ21への反力が小さくなる。また、テーパねじ21への反力が低下するとともに、弾性変形部15の応力が低減されるため、材料の許容応力により制限される駆動装置の変位可能量を大きくすることが可能となる。
なお、図2(b)には2つの切り欠き部16、17が示されているが、軸方向に貫通した切り欠き部は、その個数及び形状を任意に構成することができる。
図3は、本実施例におけるテーパねじ21の径と雌ねじ12の径の関係を示す図である。図3に示されるように、テーパねじ21の径と雌ねじ12の径の関係に依存して、これらのねじの接触位置は異なる。なお、図3(a)、図3(b)に示される駆動部材11には、1つの切り欠き部16のみが設けられている。
図3(a)は、雄ねじであるテーパねじ21の径が雌ねじ12の径より小さい場合を示している。このとき、テーパねじ21と雌ねじ12は2箇所で接触する(接触箇所19a)。一方、図3(b)は、雄ねじであるテーパねじ21の径が雌ねじ12の径より大きい場合を示している。このとき、テーパねじ21と雌ねじ12は、切り欠き部16により形成された稜線の4箇所で接触する(接触箇所19b)。それぞれの場合において、テーパねじ21の回転によりテーパねじ21の径が大きくなるにつれて、駆動部材11は、切り欠き部16の幅が拡大する方向に変位する。
図3(c)は、図3(a)と同じ状態において、図2(b)に示される切り欠き部17が駆動部材11に設けられている場合のテーパねじ21と雌ねじ12の接触位置を示す図である。
図3(c)では、テーパねじ21と雌ねじ12は、切り欠き部17により形成された稜線の4箇所で接触する(接触箇所19c)。このように、接触箇所が2箇所より4箇所の場合の方が、駆動部材11に対するテーパねじ21のY軸方向における位置を安定させることができる。
本発明の駆動装置では、図3(a)、図3(b)で示されるように、テーパねじ21と雌ねじ12の大小関係により、2つの異なる接触状態がある。駆動装置の使用範囲としては、いずれかの接触状態のみを使用することができる。また、ねじの径の大小関係が変わるテーパねじ21の所定の回転位置から両側の2つの状態に渡って使用することもできる。
ただし、図3(b)の接触箇所で駆動した場合、テーパねじ21の径の変化により、雌ねじ12上の接触位置が変化することに伴う駆動方向への変位の影響が比較的大きくなる。このため、駆動精度の観点からは、図3(a)の接触箇所で駆動するほうがより好ましい。
駆動部材11に貫通した雌ねじ12を加工すると、貫通した雌ねじ12の中心軸は、1つに定まっている。その加工した雌ねじ12の内周に切り欠き部16、17を設けても、周方向に不連続な雌ねじ12の各内径の中心は、まだ一致した状態である。次に、その各内径の中心が一致した雌ねじ12にテーパねじ21を螺合させ、駆動部材11を変位させると、図3(b)に示される状態となる。
一方、図3(a)に示される状態で使用可能な駆動装置とするには、周方向に不連続な雌ねじ12の各内径を近づけ、各内径の中心が一致しない状態にする必要がある。この状態を実現する構成については、以下の実施例3にて説明する。
次に、本発明の実施例3について説明する。図4は、本実施例における駆動装置の概略構成図である。なお、図4は、テーパねじ21が駆動部材11に螺合していない状態における駆動装置20cの正面図を示している。
図4に示されるように、本実施例の駆動装置20cには、駆動部材11の弾性変形部15を変形させるための調整ねじ31(調整手段)が設けられている。調整ねじ31は、強制変位又は外力を駆動部材11に加える。強制変位又は外力を駆動部材11(弾性変形部15)に加えて駆動部材11を変形させることにより、周方向に不連続な雌ねじ12の上側雌ねじ部121と下側雌ねじ部122(分割された雌ねじの内周)を互いに近接させることができる(破線部参照)。これにより、分割された雌ねじ12の内周(内径)の中心は互いにずれて一致しない状態となっている。
なお、駆動部材11を変形させて上側雌ねじ部121と下側雌ねじ部122とを互いに近接させる場合、弾性変形と塑性変形のいずれを利用してもよい。
図4に示される駆動装置20cにおいて塑性変形を利用する場合、調整ねじ31により塑性変形が生じるまで弾性変形部15を変形させた後、調整ねじ31を緩めるか、又は、調整ねじ31を外す。このとき、生じた塑性変形により、雌ねじ12の上側雌ねじ部121と下側雌ねじ部122は、互いに近接した状態となる。塑性変形を利用する場合には、変形後、変形させるために用いた部材を外すことができる。このため、駆動装置の省スペース化に寄与し、さらに部品点数を減らすこともできる。
本実施例では、駆動部材11を変形させるための調整手段として、図4に示されるように調整ねじ31が用いられている。ただしこれに限定されるものではなく、強制変位又は外力を駆動部材11に加えることが可能な手段であれば、例えば予圧ばね等の他の調整手段を用いてもよい。
また、本実施例の調整ねじ31は、テーパねじ21の挿入時(駆動装置20cの駆動時)に変形する弾性変形部15を変形させているが、これに限定されるものではない。駆動部材11に上側雌ねじ部121と下側雌ねじ部122を互いに近接させるための変形部を、駆動時の弾性変形部15とは異なる箇所に設けてもよい。
次に、本発明の実施例4について説明する。図5及び図6は、本実施例における駆動装置の概略構成図である。
具体的には、図5は、テーパねじ21が駆動部材11に螺合していない状態における駆動装置20dの正面図を示している。また、図6は、駆動部材の変位方向を規定するガイドがさらに設けられた駆動装置20d’の斜視図を示している。
図5に示されるように、本実施例の駆動装置20dにおいて、雌ねじ12は、その内周が不連続に構成されており、締結用ボルト32を用いることにより、上側雌ねじ部121と下側雌ねじ部122とが互いに近接している(破線部参照)。このため、上側雌ねじ部121と下側雌ねじ部122との各内周(内径)の中心は互いにずれており一致していない。
本実施例の駆動部材11は、雌ねじ12の内周を分割するように形成された二つの駆動部111、112から構成されている。駆動部111には上側雌ねじ部121が設けられており、駆動部112には下側雌ねじ部122が設けられている。これらの駆動部111、112が締結用ボルト32を用いて結合することにより、分割された雌ねじ12が形成される。分割された駆動部材11(駆動部111、112)は、雌ねじ12の上下の各内周が互いに近接した状態で結合されるため、図3(a)に示される接触箇所と同様の接触箇所で駆動される駆動装置を構成することができる。
なお、本実施例では、図5に示されるように、駆動部111、112の結合手段として締結用ボルト32が用いられている。ただしこれに限定されるものではなく、ピン結合や接合、接着等により駆動部111、112を結合してもよい。
図6は、二つの駆動部111、112を結合して駆動部材11を形成する場合における別の実施形態である。
図6に示される駆動装置20d’では、分割された駆動部材11(駆動部111、112)は、その両側にガイド33が設けられている。ガイド33は、駆動部材11(駆動部111、112)の変位方向を規定する。駆動部材11の両側にガイド33が設けられていることにより、駆動部材11の駆動方向が安定してZ軸方向に定められ、分割された雌ねじ12にテーパねじ21が螺合される。
なお、駆動部111、112は、被駆動装置を駆動する際、一方(駆動部112)を基準位置に固定させる固定部として、また、他方(駆動部111)をテーパねじ21により駆動可能な可動部として用いられる。
また、図5に示される駆動部材11にテーパねじ21を螺合させて形成された駆動装置20d、及び、図6に示される駆動装置20d’では、その駆動方向やテーパねじ21の移動方向(テーパねじ21の軸方向)に外力を加える予圧装置(不図示)を設けてもよい。予圧装置を設けることにより、雌ねじ12とテーパねじ21との接触をより確実にすることが可能となる。
特に、二つの駆動部111、112の結合がピン結合で行われる駆動装置20d(図5)や駆動装置20d’(図6)では、雌ねじ12に螺合するテーパねじ21の径が小さいと、雌ねじ12とテーパねじ21とを確実に接触できない可能性がある。これは、テーパねじ21の移動方向(テーパねじ21の軸方向)が重力方向と一致していない場合に顕著となる。
そこで、本実施例のような予圧装置を用いて、これらのねじの接触が仮に離れてしまった場合でも、分割された雌ねじ12を移動させるのに十分な外力が加えられていれば、雌ねじ12とテーパねじ21との接触が保持される。このため、本実施例の構成によれば、テーパねじ21を正負の両方向に安定して移動させることが可能となる。
次に、本発明の実施例5について説明する。図7は、本実施例における駆動装置の概略構成図である。
具体的には、図7は、テーパねじ21の軸中心で、駆動装置20eの駆動方向であるZ軸方向とテーパねじ21の移動方向であるX軸方向の面内(Y軸方向と直交する方向)で駆動装置20eを切断した断面図である。
図1(b)では、テーパねじ21の軸方向に駆動部材11の雌ねじ12のねじ部(雌ネジ12の内周)が連続していた。一方、本実施例では、図7に示されるように、雌ねじ12のねじ部は、逃げ加工部18により軸方向に分割されている。
図1(b)においてねじ山が理想的に形成されているとすると、テーパねじ21の回転による移動前後において、駆動部材11の雌ねじ12のテーパねじ21に対する軸方向の接触領域は変化しない。このため、望まない方向の変位である軸方向における駆動部材11の変位は小さい。しかし、テーパ角や各ねじ山の径には製造誤差が存在する。このため、テーパねじ21の回転による移動に伴い、駆動部材11にはY軸回りの傾きが生じ、テーパねじ21の軸方向の変位が発生する。
ねじ部に製造誤差が存在する場合、全てのねじ部を接触させて製造誤差を平均化するには、ねじ部へ一定以上の予圧が必要となる。図7に示される逃げ加工部18は、ねじ部のY軸回りの傾きに影響する軸方向(X軸方向)の接触間隔を保ちつつ、ねじ部の接触面積を小さくして、一定以上の予圧を容易に得ることを可能とする。
したがって、本実施例の構成によれば、駆動装置のねじ部の製造誤差による軸方向の変位を低減することができる。
次に、本発明の実施例6について説明する。図8は、本実施例における駆動装置の概略構成図であり、駆動装置の斜視図である。
図8に示されるように、本実施例の駆動装置20fには、駆動部材11に貫通した雌ねじ12が2箇所設けられており、2箇所の雌ねじ12のそれぞれにテーパねじ21が螺合している。
本実施例の駆動装置20fでは、2箇所のテーパねじ21の回転に伴う駆動部材11の移動方向が異なる。このため、本実施例によれば、Y軸方向とZ軸方向の2軸の並進方向へ被駆動部材を駆動することが可能となる。
また、本実施例では、2箇所のテーパねじ21に互いに異なるテーパ角を設定し、2箇所のテーパねじ21の回転に伴う駆動部材11の駆動方向を同一にすれば、粗微動調整を行うこともできる。テーパねじ21を2箇所以上設けると、テーパねじ21が1箇所設けられた駆動装置と比べて、駆動方向や駆動量の自由度を向上させることが可能となる。
以上、上記各実施例の駆動装置において、テーパねじを用いた駆動部材の駆動方向は、テーパねじの軸方向(移動方向)と直交する方向である。このため、テーパねじ21の軸方向の寸法に比べて移動方向の寸法の小さな駆動装置を容易に構成することができる。
また、上記各実施例の駆動装置では、テーパねじの回転によりテーパねじのねじ径が変化する。これに伴い、駆動部材は弾性変形し、駆動部材に貫通した雌ねじの内径が変位する。このとき、テーパねじと雌ねじとの接触領域(接触面積)は一定の状態で駆動される。このため、駆動部材が望まない方向へ変位するおそれは小さい。また、駆動部材に形成された切り欠き部により、駆動部材の弾性変形部を雌ねじから一定以上の距離だけ離すことができる。このため、弾性変形の調整量を大きくすることができる。
以上、上記各実施例によれば、省スペースで被駆動部材の位置を高精度に調整可能な駆動装置を提供することができる。
上記各実施例における駆動装置は、例えば、光学鏡筒における光学素子(被駆動装置)の調整に用いることができる。光学鏡筒では、複数の光学素子が光軸方向に沿って積み重ねられており、光学鏡筒内の各光学素子の光軸方向の位置と傾き、偏心調整を行う必要がある。光学性能の調整自由度を向上させるため、複数の光学素子を調整可能にする場合、光学素子調整装置は、特に光軸方向の寸法を小さくする必要が生じる。
図9は、本実施例における光学素子調整装置の概略構成図である。具体的には、図9(a)は本実施例における光学素子調整装置の平面図であり、図9(b)はその側面図である。
図9に示されるように、本実施例の光学素子調整装置は、光学素子51を中心としてそれぞれ120度異なる角度で配置された3個の上記各実施例の駆動装置20を備える。ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、上記各実施例の駆動装置20を少なくとも1個以上用いて、光学素子51を所望の位置へ調整可能に構成されていればよい。
図9(a)において、52は、光学素子51を保持し、3箇所の駆動装置20により保持される中間保持部材である。53は、駆動装置20を固定するための円筒保持部材53である。円筒保持部材53の外周付近には、上下の光学ユニットと結合するためのねじ穴や貫通穴である結合穴531が設けられている。
図9(b)に示されるように、光学素子調整装置が上下の光学ユニットと結合した状態であっても、駆動装置20のテーパねじ21を調整可能にするため、円筒保持部材53の外壁には調整穴532が設けられている。調整穴532からは、内部のテーパねじ21を確認することができる。このため、工具等を用いることにより、テーパねじ21の回転調整を行うことが可能である。円筒保持部材53に設けられた調整穴532は、テーパねじ21の調整が不要なとき、蓋により塞いでもよい。
図9(a)において、3箇所の駆動装置20のそれぞれは、テーパねじ21を回転させてこれを光軸方向(Z軸方向)と直交する方向に移動させることにより、光軸方向に駆動される。したがって、本実施例の光学素子調整装置では、光軸方向(Z軸方向)及び光軸方向に直交する2軸回り(X軸回り及びY軸回り)に、光学素子51の位置調整を行うことができる。このように、本実施例の光学素子調整装置は、3箇所に設けられた駆動装置を用いて、光学素子の光軸方向における位置及び傾きが調整可能に構成されている。
本実施例の光学素子調整装置において、テーパねじ21を回転調整させるための方法は、工具を用いた手動調整、アクチュエータを取付けて信号入力に基づく調整等があり、いずれかの適切な方法を選択して用いられる。
本実施例の光学素子調整装置は、光学素子51の位置を調整するために設けられており、光学性能を計測して所望の光学性能が得られるように、光学素子51の調整を行う。また、本実施例の光学素子調整装置に、中間保持部材52又は光学素子51の位置を検出する位置検出手段(不図示)を設けることもできる。このとき、光学素子調整装置は、位置検出手段にて検出される変位量を参照しながら光学素子51の調整を行うことが可能となる。
図10は、本実施例の光学素子調整装置を複数備えた光学鏡筒の断面図である。
図10に示されるように、テーパねじ21の軸AXの方向(軸方向)、及び、Z軸方向と平行な光軸OAの方向(光軸方向)は互いに直交している。また、駆動装置20の駆動方向(図中の上方向)は、光軸OAの方向と一致している。
本実施例の光学鏡筒においては、側壁に開けられた調整穴532からテーパねじ21を回転させることにより光学素子51の位置調整が行われる。60は、テーパねじ21を回転させるための調整工具である。調整工具60にジョイント機能を設ければ、テーパねじ21に加えられる回転以外の力を低減させることができる。
本実施例の光学素子調整装置を複数備えた光学鏡筒では、光学鏡筒の側壁から内部の光学素子51を調整できる。このため、光学性能の調整のために光学鏡筒を分解する必要がなく、光学性能の調整を短時間で行うことが可能となる。
また、本実施例の光学素子調整装置は、紫外領域の波長の光を用いて、レチクル上のパターンをウエハに縮小投影する露光装置に用いることができる。
次に、本実施例の光学素子調整装置(上記各実施例の駆動装置)を備えた露光装置の構成について説明する。図11は、本実施例における露光装置100の概略構成図である。露光装置100は、原版のパターンを基板に露光する露光装置である。
図11において、1は照明装置である。照明装置1は、光源からの光でレチクル(原版)のパターンを照明する照明光学系を構成し、その内部に光源及びシャッタ(不図示)を備える。2はレチクル(原版)である。レチクル2には回路パターンが描かれている。照明装置1を用いてレチクル2に光を照射することにより、レチクル2の上に形成された回路パターンがウエハ9上に投影される。
3はレチクルステージである。レチクルステージ3は、その上にレチクル2を搭載して移動するために設けられている。4はレチクル位置測定部である。レチクル位置測定部4は、レチクルステージ3の上に搭載されたレチクル2の位置(レチクルステージ3の位置)を測定する。
5は投影光学系である。投影光学系5は、光学鏡筒内に複数の光学素子(レンズ)を備え、レチクル2のパターンをウエハ(基板)に投影する。
6はウエハステージである。ウエハステージ6はウエハ9(基板)を搭載し、ウエハ9の面内方向(X方向、Y方向)に移動する。
7はレーザ干渉計である。レーザ干渉計7はウエハステージ6の位置を計測する。8はウエハチャックである。ウエハチャック8はウエハ9を吸着保持する。10はオートフォーカスユニットである。オートフォーカスユニット10は、ウエハ9のピント位置を計測する。
露光装置100では、投影光学系5を構成する複数の光学素子の位置を高精度に調整することが要求される。また、投影光学系5には大型の光学鏡筒が用いられる。このため、投影光学系5を構成する鏡筒を分解して調整し、分解した鏡筒を再び組立てるには、長い工程が必要となる。したがって、本実施例によれば、投影光学系5の鏡筒を分解することなく光学性能の調整を行うことが可能となる。
デバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)は、上述の露光装置を使用して感光剤を塗布した基板(ウエハ、ガラスプレート等)を露光する工程と、その基板を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される。
本実施例によれば、省スペースで光学素子の位置を高精度に調整可能な駆動装置及び露光装置を提供することができ、また、高精度なデバイス製造方法を提供することができる。
以上、本発明の実施例について具体的に説明した。ただし、本発明は上記実施例として記載された事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。
実施例1における駆動装置の概略構成図である。 実施例2における駆動装置の概略構成図である。 実施例2の駆動装置におけるテーパねじの径と雌ねじの径の関係を示す図である。 実施例3における駆動装置の概略構成図である。 実施例4における駆動装置の概略構成図である。 実施例4における他の駆動装置の概略構成図である。 実施例5における駆動装置の概略構成図である。 実施例6における駆動装置の概略構成図である。 本実施例における光学素子調整装置の概略構成図である。 本実施例の光学素子調整装置を複数備えた光学鏡筒の断面図である。 本実施例における露光装置の概略構成図である。
符号の説明
1 照明装置
2 レチクル
3 レチクルステージ
4 レチクル位置測定部
5 投影光学系
6 ウエハステージ
7 レーザ干渉計
8 ウエハチャック
9 ウエハ
10 オートフォーカスユニット
11 駆動部材
12 雌ねじ
13 固定面
14 駆動面
15 弾性変形部
16、17 切り欠き部
18 逃げ加工部
20 駆動装置
21 テーパねじ
22 回転調整部
31 調整ねじ
32 締結用ボルト
33 ガイド
51 光学素子
52 中間保持部材
53 円筒保持部材
60 調整工具
100 露光装置
121 上側雌ねじ部
122 下側雌ねじ部
531 結合穴
532 調整穴

Claims (9)

  1. 被駆動部材の位置を調整する駆動装置であって、
    前記被駆動部材に結合され、弾性部材で形成された駆動部材と、
    前記駆動部材を貫通するように設けられた雌ねじと、
    前記雌ねじに螺合したテーパ状の雄ねじと、を有し、
    前記駆動部材には、前記雌ねじの軸方向に貫通した切り欠き部が設けられていることにより、該雌ねじの内周は複数箇所に分割されて不連続となっており、
    分割された前記雌ねじの内周のそれぞれが互いに近接するように該雌ねじの内周のそれぞれの中心は互いにずれており、
    前記駆動部材は、前記雄ねじを前記雌ねじに螺合した状態で該雄ねじの軸方向に移動させることにより、前記被駆動部材を該雄ねじの軸方向と直交する方向に変位させることを特徴とする駆動装置。
  2. 分割された前記雌ねじの内周のそれぞれの中心を互いにずらすように、強制変位又は外力の少なくとも一つを前記駆動部材に加える調整手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
  3. 前記駆動部材は、前記雌ねじの内周を分割するように形成された少なくとも二つの駆動部を有し、
    前記少なくとも二つの駆動部が結合することにより、分割された前記雌ねじが形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の駆動装置。
  4. 前記駆動部材には、前記駆動部の変位方向を規定するガイドが設けられていることを特徴とする請求項3記載の駆動装置。
  5. さらに、前記雌ねじと前記雄ねじを接触させる外力を加える予圧装置を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の駆動装置。
  6. 前記駆動部材には少なくとも二つ以上の前記雌ねじが設けられており、
    前記少なくとも二つ以上の前記雌ねじのそれぞれに、テーパ状の前記雄ねじが螺合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の駆動装置。
  7. 原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、
    光源からの光で前記原版を照明する照明光学系と、
    前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、を有し、
    前記投影光学系は、光学素子、及び、該光学素子の光軸方向における位置を調整する駆動装置、を有し、
    前記駆動装置は、弾性部材で形成された駆動部材、該駆動部材を貫通するように設けられた雌ねじ、及び、該雌ねじに螺合したテーパ状の雄ねじ、を有し、
    前記駆動部材には、前記雌ねじの軸方向に貫通した切り欠き部が設けられていることにより、該雌ねじの内周は複数箇所に分割されて不連続となっており、
    分割された前記雌ねじの内周のそれぞれが互いに近接するように該雌ねじの内周のそれぞれの中心は互いにずれており、
    前記駆動部材は、前記雄ねじを前記雌ねじに螺合した状態で該雄ねじの軸方向に移動させることにより、前記光学素子を該雄ねじの軸方向と直交する方向に変位させることを特徴とする露光装置。
  8. 前記駆動装置は、前記光学素子の少なくとも3箇所に設けられており、
    前記3箇所に設けられた駆動装置を用いて、前記光学素子の光軸方向における位置及び傾きが調整可能に構成されていることを特徴とする請求項7記載の露光装置。
  9. 請求項7又は8記載の露光装置を用いて基板を露光するステップと、
    露光された前記基板を現像するステップと、を有することを特徴とするデバイス製造方法。
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