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JP5412258B2 - 車両用ホイールの振動研磨方法及びその振動研磨装置 - Google Patents

車両用ホイールの振動研磨方法及びその振動研磨装置 Download PDF

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JP5412258B2
JP5412258B2 JP2009276056A JP2009276056A JP5412258B2 JP 5412258 B2 JP5412258 B2 JP 5412258B2 JP 2009276056 A JP2009276056 A JP 2009276056A JP 2009276056 A JP2009276056 A JP 2009276056A JP 5412258 B2 JP5412258 B2 JP 5412258B2
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Description

本発明は、車両用ホイールの振動研磨方法及び振動研磨装置に関する。
従来、車両用ホイールを研磨する技術として、例えば、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1に開示する研磨技術は、回転シャフトの先端部に取り付けた車両用ホイールを、研磨媒体を収容した研磨媒体収容槽内に挿入し、回転シャフトをこれの軸心を含む面に沿って円振動又は前後左右に振動させるようにしたものである。
特許文献2に開示する研磨技術は、回転軸の一端側に取り付けた車両用ホイールを、研磨媒体を収容したタンク内に挿入し、車両用ホイールを回転軸の軸心を中心に回転させながら水平面に対して傾斜状態にして直線移動させるようにしたものである。
特許文献3に開示する研磨技術は、ワーク支持シャフトの先端部に取り付けた車両用ホイールの前面を、研磨媒体収容槽内の研磨媒体を適宜手段で流動させた研磨媒体の流れに対向させてワーク支持シャフトを軸心を中心に回転させ、さらに車両用ホイールの裏面における下方の近傍に邪魔板部材を設置するようにしたものである。
特開平11−216660号公報 特開2001−353654号公報 特開2003−136394号公報
上記従来技術は、いずれも3次元形状の複雑な形状を有する車両用ホイールの内側面への研磨媒体の移動量を増大させるように改善するものであるが、依然として、車両用ホイールの内側面への研磨媒体の流動を活発に行わせるには不十分であった。特に、車両用ホイールのディスク部の窓孔に対して研磨媒体の面圧を十分に作用させることができず、窓孔のバリを良好に研磨することができなかった。そのため、車両用ホイールの内外面を全体に渡って均一に研磨するのが困難であり、しかも研磨時間の更なる短縮を図ることも困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも短時間で車両用ホイールの内外面を全体に渡って均一に研磨することができ、しかもディスク部の窓孔をも良好に研磨することができる車両用ホイールの振動研磨方法及びその振動研磨装置を提供することを課題とする。
本発明に係る車両用ホイールの振動研磨方法は、
複数の窓孔が設けられた円盤状のディスク部とディスク部周囲の円筒状のリム部との3次元形状を有する車両用ホイールを研磨する方法であって、
研磨媒体を収容した有底円筒状の研磨媒体収容槽を首振り揺動させて振動させることにより、研磨媒体収容槽内の研磨媒体を、渦状に流動させると共に、渦の中心部で下方へ流動し外周部で上方へ流動する対流、あるいは渦の中心部で上方へ流動し外周部で下方へ流動する対流を発生させ、
車両用ホイールの裏側から支持シャフトを接続して車両用ホイールをディスク部の裏面を上向きにした横向き姿勢にして、上記対流による研磨媒体の上方への流れと下方への流れの間にリム部が配置されるように車両用ホイールを研磨媒体収容槽内の研磨媒体内に埋没させて研磨媒体をホイール外側及びホイール内側で流動させると共にディスク部の窓孔を通過するように流動させ、さらに、支持シャフトを介して車両用ホイールを振動させることにより、車両用ホイールを振動研磨する構成とする。
上記構成によれば、研磨媒体収容槽の振動により発生させた研磨媒体の渦状の流動と上下の流動による対流とによって、車両用ホイールの外側面のみならず内側面にも研磨媒体を活発に接触させることができ、しかもディスク部の窓孔にも研磨媒体を活発に接触させることができる。さらには、支持シャフトを介して車両用ホイールを振動させることによって、車両用ホイールの外側面、内側面及び窓孔に接触する研磨媒体の面圧、密度を増大させることができる。従って、3次元形状の複雑な形状の車両用ホイールの内外面を全体に渡って均一に研磨することができ、窓孔のバリ取りも良好に行うことができ、しかも、従来よりも短時間で研磨することができる。
上記振動研磨方法において、
研磨媒体がリム部上端を越えてホイール外側とホイール内側の間で移動すると共に車両用ホイールより下部の研磨媒体収容槽底部で中心部と外周部の間で移動する深さに、車両用ホイールを研磨媒体収容槽内の研磨媒体内に埋没させるのが望ましい。
これにより、研磨媒体収容槽内の研磨媒体は、車両用ホイールの上下で中心部と外周部の間で確実に且つ良好に移動されるので、研磨媒体の上記対流を車両用ホイールの内外面に沿って確実に実行させることができる。従って、車両用ホイールの内外面の均一な研磨、窓孔のバリ取りを確実に且つ短時間に行うことができる。
上記振動研磨方法において、
研磨媒体収容槽の直径が、車両用ホイールのリム径に対して1.2〜1.8倍の大きさとするのが望ましい。
研磨媒体収容槽の直径が車両用ホイールのリム径の1.2倍未満となると研磨媒体の上記対流が車両用ホイールの内側で活発に発生する一方、1.8倍を超えると上記対流が車両用ホイールの外側で活発に発生するおそれがある。従って、研磨媒体収容槽の直径が車両用ホイールのリム径に対して1.2〜1.8倍の大きさとすれば、研磨媒体の上記対流を車両用ホイールの内外面に沿って確実に実行させることができる。よって、車両用ホイールの内外面の均一な研磨、窓孔のバリ取りを確実に且つ短時間に行うことができる。
上記振動研磨方法において、
車両用ホイールを研磨媒体収容槽の中心線と同軸上に位置させ、支持シャフトを上下動させることにより車両用ホイールを振動させたり、あるいは支持シャフトを研磨媒体収容槽と対称に首振り揺動させることにより車両用ホイールを振動させるのが望ましい。
これにより、車両用ホイールに接触する研磨媒体の面圧及び密度を効率よく増大させるができ、車両用ホイールの内外面の均一な研磨を確実に且つ短時間に行うことができる。
また、本発明に係る車両用ホイールの振動研磨装置は、
上記振動研磨方法を実施する装置であって、
研磨媒体を充填した有底円筒状の研磨媒体収容槽を有し、この研磨媒体収容槽に下部側振動モータを接続すると共に下部側支持弾性部材により研磨媒体収容槽を支持する下部ユニットと、
車両用ホイールの裏側から接続して車両用ホイールをディスク部の裏面を上向きにした横向き姿勢で研磨媒体収容槽内の研磨媒体内に埋没させる支持シャフトを有し、この支持シャフトに上部側振動モータを接続すると共に上部側支持弾性部材により支持シャフトを支持する上部ユニットとを備える。
これにより、上記作用を奏する振動研磨方法を実施することができる。
以上のように、本発明に係る車両用ホイールの振動研磨方法及び振動研磨装置によれば、3次元形状の複雑な形状の車両用ホイールの内外面を全体に渡って均一に研磨することができ、また、従来よりも短時間で研磨することができる。しかも、研磨媒体をディスク部の窓孔に活発に接触させることにより、窓孔のバリ取りも良好に行うことができる。
実施形態1による車両用ホイールの振動研磨装置の全体構成を示す断面図である。 実施形態1による車両用ホイールの振動研磨装置の全体構成を示す側面図である。 研磨媒体収容槽内で研磨媒体が流動する様子を示す模式図である。 車両用ホイールの外観構成を示す説明図である。 実施形態2による車両用ホイールの振動研磨装置の全体構成を示す断面図である。 支持シャフトの他の例を示す模式図である。
(実施形態1)
図1、図2に示すように、実施形態1の振動研磨装置10は、鋳造又は鍛造等により製造されたアルミ合金等の軽合金製の車両用ホイール1を研磨する装置であり、下部ユニット10aと、上部ユニット10bと、これらユニット10a,10bを設置する基台9とを有する。なお、ワークとなる車両用ホイール1は、例えば、図4に示すように、ディスク部11の外周に円筒状のリム部12を備えた3次元形状を有し、ディスク部11には、複数の窓孔13とスポーク14とが設けられ、また、ディスク部11の中心のハブには、センターホール15が設けられ、このセンターホール15の周囲に複数の取り付けボルト用の孔部16が設けられている。なお、車両用ホイール1は、1ピース、2ピース、3ピース等のいずれでもよい。
基台9は、ベースフレーム91とサブフレーム92とから構成されている。ベースフレーム91は、円形の底板部91aと、底板部91aの縁部から対向して立ち上がる長尺板状の2本の柱部91bと、底板部91aの中央部に突設され、上端開口部に内方に向かって延びるフランジ部91dを有する筒状の支持台91cとから構成される。サブフレーム92は、各柱部91bに接続される脚部92aと、各脚部92aを連結し、中央に支持軸挿通孔92cを有する円形板状の支持板部92bとから構成される。
ベースフレーム91における柱部91bの上端部は、図1に示すように板厚が厚くなるように形成されており、楔型となる複数の傾斜面を有するように形成されている。また、サブフレーム92における脚部92aは、支持板部92bの縁部から水平方向に延びる部分とこの水平部分から下方に向けて屈曲する部分とを有し、屈曲した部分の肉厚が柱部91bの上端部の厚みと同じ厚みとなっており、柱部91bの上端の形状に嵌め合わされる楔型形状に形成されている。従って、柱部91bの上端と脚部92aの下端とを係合することにより、サブフレーム92は水平方向の何れの方向へも動きが阻止される。
下部ユニット10aは、ベースフレーム91に設置され、研磨媒体3を収容する研磨媒体収容槽2と、研磨媒体収容槽2の下部に取り付けられる下部側支持フレーム5と、下部側支持フレーム5に取り付けられる下部側振動モータ4と、下部側支持フレーム5に取り付けられ研磨媒体収容槽2を支持する下部側支持バネ(下部側弾性部材)93とを備える。なお、研磨媒体3は、プラスチック製メディア、セラミック製メディア等の通常使用される全てのメディアを使用することができ、材質、形状、大きさは研磨仕上げにより任意に選択することができる。また、本振動研磨装置10による振動研磨においては湿式研磨、乾式研磨のいずれにも適用することができる。
研磨媒体収容槽2は、研磨媒体3が収容される有底円筒状に形成されており、上端の開放部から研磨媒体収容槽2内に車両用ホイール1が投入される。また、研磨媒体収容槽2の底面には、外周縁に周方向に等間隔で複数の排水口21が形成されている。この排水口21は、湿式研磨を行った場合に研磨媒体収容槽2から水のみを排水させるときに開口される。従って、この排水口21は、研磨媒体3が落下しない開口面積を有する大きさに形成されており、粒径の小さい研磨媒体3を使用する時は、排水口21にフィルタを配置して研磨媒体3が落下しないようにして水のみを排水させる。
下部側振動モータ4は、ロータが収容される本体ケース41を備え、モータ回転軸には回転軸42が接続され、回転軸42の両端部にアンバランスウエイト43が取り付けられている。回転軸42は研磨媒体収容槽2の中心と同軸上に配置され、回転軸42の軸心が垂直方向に向くように配置される。
アンバランスウエイト43は、一方を他方よりも重くするか、または、軸心に対する偏心位置の角度をずらしており、下部側振動モータ4を駆動させた際に回転軸42の上端が大きく円軌道を描くように回転軸42を首振り回転させる。このように回転軸42を首振り回転させると、回転軸42のブレにより研磨媒体収容槽2が首振り揺動して3次元的な振動を起こし、研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3を、渦状に流動させると共に、渦の中心部で下方へ流動し外周部で上方へ流動する対流、あるいは渦の中心部で上方へ流動し外周部で下方へ流動する対流を発生させることができる。なお、下部側振動モータ4は、車両用ホイール1の研磨媒体収容槽2内への挿入作業中、研磨動作中、取り出し作業中に駆動させるようにする。
下部側支持フレーム5は、円形板状で中心に回転軸42の上端部が挿通され、下面に下部側振動モータ4の本体ケース41が固定されるモータ固定板51と、このモータ固定板51の縁部に固定されるフランジ部53を有する筒状の収容槽支持筒52とから構成されている。
モータ固定板51に下部側振動モータ4を固定した状態で、モータ固定板51の上面外周縁に収容槽支持筒52のフランジ部53を固定して、収容槽支持筒52の上端に研磨媒体収容槽2の底面を固定する。このように組み付けることにより、下部側支持フレーム5を介して研磨媒体収容槽2の下方に下部側振動モータ4が支持された状態になる。
さらに、下部側支持フレーム5は、下部側支持バネ93を介して基台9に支持される。具体的には、下部側支持フレーム5におけるモータ固定板51の下面と、ベースフレーム91における支持台91cのフランジ部91d上面との間に8つのコイルバネからなる下部側支持バネ93を配置させることにより、下部側支持フレーム5が下部側支持バネ93を介して基台9に支持される。
下部側支持フレーム5が下部側支持バネ93を介して基台9に支持されると、筒状の支持台91cの内部に下部側振動モータ4が配置された状態になり、支持台91cの上方に研磨媒体収容槽2が配置された状態になる。これにより、下部側振動モータ4と研磨媒体収容槽2とが基台9に弾性支持されることになり、下部側振動モータ4を駆動させると下部側支持バネ93が下部側振動モータ4の駆動に伴って伸縮し、研磨媒体収容槽2が3次元的な動きの振動を起こす。
上部ユニット10bは、サブフレーム92に設置され、下端に車両用ホイール1が取り付けられる支持シャフト6と、支持シャフト6の上端が固定される上部側支持フレーム7と、上部側支持フレーム7に取り付けられる上部側振動モータ8と、上部側支持フレーム7に取り付けられ支持シャフト6を支持する上部側支持バネ(上部側弾性部材)94とを備える。
支持シャフト6は、その下端に車両用ホイール1のディスク部11の裏面側からセンターホール15に締結させ、ディスク部11の裏面を上向きにして車両用ホイール1を横向き状態で研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3内に埋没させるようにする。
上部側振動モータ8は、ロータが収容される本体ケース81を備え、モータ回転軸を回転軸82に接続する。回転軸82の両端部にはアンバランスウエイト83が取り付けられている。回転軸82は研磨媒体収容槽2の中心と同軸上に配置され、回転軸82の軸心が垂直方向に向くように配置される。
上部側支持フレーム7は、円形の底面を有する有底筒状で上端に外側に向けて張り出す第1フランジ72を有する支持軸固定部71と、支持軸固定部71の開口部を覆い、中央部に上部側振動モータ8のモータ回転軸と接続する回転軸82が挿通される挿通孔を有し、第1フランジ72と重ね合わされる第2フランジ74を有するモータ固定部73とから構成されている。
上部側支持フレーム7は、支持軸固定部71の底面の中心部に支持シャフト6の上端が固定され、モータ固定部73の上面に上部側振動モータ8の本体ケース81が固定され、第1フランジ72と第2フランジ74とを重ね合わせて固定することにより支持軸固定部71とモータ固定部73とにより空間が形成され、この空間内に回転軸82の下端部と下部側のアンバランスウエイト83が配置される。なお、支持シャフト6の軸心と回転軸82の軸心は同軸上に配置される。
そして、支持シャフト6の上端を上部側支持フレーム7の下面に固定し、上部側支持フレーム7の上面に上部側振動モータ8を固定することにより、上部側振動モータ8の駆動により生じる振動が上部側支持フレーム7を介して支持シャフト6に伝わるようになっている。
さらに、上部側支持フレーム7は、上部側支持バネ94を介して基台9に支持される。具体的には、上部側支持フレーム7における支持軸固定部71の第1フランジ72の下面と、サブフレーム92における支持板部92bの上面との間に、8つのコイルバネからなる上部側支持バネ94を配置させることにより、上部側支持フレーム7が上部側支持バネ94を介して基台9に支持される。
上部側支持フレーム7が上部側支持バネ94を介して基台9に支持されると、サブフレーム92の支持板部92bに形成される支持軸挿通孔92c内に支持シャフト6が挿通され、支持板部92bの上方に上部側振動モータ8が配置された状態になる。なお、支持板部92bに形成される支持軸挿通孔92cの大きさは、上部側支持バネ94の伸縮により上部側支持フレーム7が上下方向に振動したときに、この上部側支持フレーム7の支持軸固定部71も支持軸挿通孔92cに収まるような大きさに形成されている。これにより、上部側振動モータ8と支持シャフト6とが基台9に弾性支持されることになり、上部側振動モータ8を駆動させると上部側支持バネ94が振動に伴って伸縮し、支持軸6は上下方向の振動を起こす。
次に、上記構成の振動研磨装置10を用いて、車両用ホイール1を振動研磨する方法を説明する。
まず、下部側振動モータ4を駆動して研磨媒体収容槽2を首振り揺動させ振動させて、研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3を、渦状に流動させると共に、渦の中心部で下方へ流動し外周部で上方へ流動する対流(図3参照)、あるいは渦の中心部で上方へ流動し外周部で下方へ流動する対流を発生させる。なお、この渦状の流動方向や対流の形態は、下部側振動モータ4の回転数、アンバランスウエイト43の配置等により、設定することができる。
次いで、車両用ホイール1をディスク部11の裏面側からセンターホール15に支持シャフト6を締結させてディスク部11の裏面を上向きにした横向き姿勢にして、車両用ホイール1を研磨媒体収容槽2の中心線と同軸上に位置させ、振動している研磨媒体収容槽2の上方の開放部から研磨媒体3内に投入する。このとき、上記対流による研磨媒体3の上方への流れと下方への流れの間にリム部12が配置されるように車両用ホイール1を研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3内に埋没させて研磨媒体3をホイール外側及びホイール内側で流動させると共にディスク部11の窓孔13を通過するように流動させる(図1、図3参照)。これにより、研磨媒体収容槽2の振動により発生させた研磨媒体3の渦状の流動と上下の流動による対流とによって、車両用ホイール1の外側面のみならず内側面にも研磨媒体3を活発に接触させることができ、しかもディスク部11の窓孔13にも研磨媒体3を活発に接触させることができる。
この場合、研磨媒体収容槽2の直径は、車両用ホイール1のリム径に対して1.2〜1.8倍の大きさとするのが好ましく、更には1.4〜1.8倍とするのがより好ましい。このことは、研磨媒体収容槽2の直径が車両用ホイール1のリム径の1.2倍未満となると研磨媒体3の上記対流が車両用ホイール1の内側だけで活発に発生する一方、1.8倍を超えると上記対流が車両用ホイール1の外側だけで活発に発生するおそれがある。従って、研磨媒体収容槽2の直径が車両用ホイール1のリム径に対して1.2〜1.8倍の大きさとすれば、研磨媒体3の上記対流を車両用ホイール1の内外面に沿って確実に実行させることができる。具体的には、車両用ホイール1がリム径500mmの場合、研磨媒体収容槽2は、直径が600mm〜900mmのものが使用される。すなわち、車両用ホイール1の外側面と研磨媒体収容槽2の内壁面との間が50mm〜200mmの間隔となるようにする。
また、研磨媒体収容槽2内での車両用ホイール1の投入位置は、研磨媒体3がリム部12上端を越えてホイール外側とホイール内側の間で移動すると共に車両用ホイール1より下部の研磨媒体収容槽2底部で中心部と外周部の間で移動する深さに、車両用ホイール1を研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3内に埋没させる。これにより、研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3は、車両用ホイール1の上下で中心部と外周部の間で確実に且つ良好に移動されるので、研磨媒体3の上記対流を車両用ホイール1の内外面に沿って確実に実行させることができる。
この場合、車両用ホイール1の投入位置は、研磨媒体3のサイズや種類、下部側振動モータ4の回転速度、研磨媒体収容槽2の首振り角等によって適宜に設定され、研磨媒体収容槽2の静止状態で車両用ホイールの下面と研磨媒体収容槽2の底部との間のクリアランスが少なくとも研磨媒体3の平均高さ以上となる深さに投入される。なお、研磨媒体収容槽2内の研磨媒体3の充填量は、研磨媒体収容槽2の振動時に車両用ホイール1のリム部12上端を越えてホイール外側とホイール内側の間で移動する充填量であればよく、研磨媒体収容槽2の静止時にリム部12上端に達しない充填量となっていてもよい。
そして、上部側振動モータ8を駆動して支持シャフト6を研磨媒体収容槽2と対称に首振り揺動させて車両用ホイール1を振動させることにより、図3に示すように、研磨媒体収容槽2内を渦状に流動する研磨媒体3を、ホイール外側から上方へ流動させ、ホイール内側へ導いて、ホイール内側で下方へ流動させ、ディスク部11の窓孔13を通過させて研磨媒体収容槽2の底部へ流動させるように対流させながら、車両用ホイール1を振動させることとなる。これにより、支持シャフト6を介して車両用ホイール1を振動させることによって、車両用ホイール1の外側面、内側面及び窓孔13に接触する研磨媒体3の面圧、密度を増大させることができる。従って、3次元形状の複雑な形状の車両用ホイール1の内外面を全体に渡って均一に研磨することができ、窓孔13のバリ取りも良好に行うことができ、しかも、従来よりも短時間(例えば、従来は30分かかるところを10分以下)で研磨することができる。なお、上部側振動モータ8の回転方向は、車両用ホイール1に研磨媒体3を激しく衝突させるためには車両用ホイール1の首振り揺動による回転の向きが研磨媒体3の渦の回転の向きと反対となる回転方向とするのが好ましいが、研磨媒体3の渦の回転の向きと同じ向きとなる回転方向でもよい。
以上のように、上記振動研磨によれば、3次元形状の複雑な形状の車両用ホイール1の内外面を全体に渡って均一に研磨することができ、また、従来よりも短時間で研磨することができる。しかも、研磨媒体3をディスク部11の窓孔13に活発に接触させることにより、窓孔13のバリ取りも良好に行うことができる。
上記振動研磨装置10において、下部ユニット10aをベースフレーム91に設置すると共に、上部ユニット10bをサブフレーム92に設置し、ベースフレーム91の上端にサブフレーム92を着脱可能に楔嵌合させて取り付けられるので、これにより、研磨媒体収容槽2を振動させることにより研磨媒体収容槽2内における研磨媒体3の渦状の流れ等の回転トルクの影響を受けて上部ユニット10bが回動するのを防止することができる。従って、研磨媒体3の上記対流を確実に実行させることができ、車両用ホイール1の内外面の均一な研磨を確実に且つ短時間に行うことができる。また、ベースフレーム91の上端にサブフレーム92を着脱可能に楔嵌合させて取り付けることにより、車両用ホイール1を研磨媒体収容槽2内の適切な向き・位置へ容易に収容させることができる。
さらに、サブフレーム92、上部側支持バネ94、上部側支持フレーム7、支持軸6及び上部側振動モータ8を一体化して上部ユニット10bを構成しているので、車両用ホイール1を支持シャフト6の下端に取り付けて、サブフレーム92をベースフレーム91に取り付け、取り外しするだけの簡単な作業で、車両用ホイール1の研磨媒体収容槽2に対する出し入れ作業を行なえる。
(実施形態2)
実施形態1では、上部側振動モータ8及び回転軸82を支持シャフト6及び研磨媒体収容槽2の中心と同軸上に配置させたが、実施形態2の振動研磨装置10では、図5に示すように、上部側支持フレーム7のモータ固定部73の形状が板状に形成されて上部側振動モータ8を横置きにし、回転軸82は、支持シャフト6と直交する方向で支持シャフト6の軸心を通るように配置している。これにより、上部側振動モータ8の駆動によって支持シャフト6が上下動され車両用ホイール1が上下振動される。また、上部側振動モータ8を寝かせた分だけ装置高さを低く抑えることができる。その他の構成は実施形態1と同じであり、作用・効果も同じである。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、支持シャフト6Aは、リム部上端のフランジ12aを掴む把持機構を備える複数本の支持シャフト6Aで構成してもよい。この場合、把持機構は、油圧シリンダ等の進退機構62により駆動するカム61等で構成することができる。これによれば、支持シャフト6Aでの車両用ホイール1の着脱作業を自動化することができ、付設の取出ロボットとの間で研磨前後の車両用ホイール1の受渡しをすることで研磨作業全体の自動化を図るのに有利となる。
また、上記実施形態では、下部側振動モータ4をアンバランスウエイト43を設けた回転軸42と同軸上に接続するが、下部側振動モータを研磨媒体収容槽2の横に立設するようにし、回転軸42を固定板51に回動可能に軸支するようにし、その下部側振動モータのモータ回転軸とアンバランスウエイト43を設けた回転軸42との間にベルトを巻架するかギヤを歯合する等して回転軸42を回転させてアンバランスウエイト43を回転させる機構としてもよい。これにより、下部側振動モータを研磨媒体収容槽2の下方から排除した分だけ装置高さを低く抑えることができる。
また、研磨媒体収容槽2内に車両用ホイール1を搬入、搬出するに際して、外部に設置したロボット等により上部ユニット10bを保持し搬送させるようにしてもよい。
また、上部ユニット10bは、車両用ホイール1の脱着作業が容易に行えるように、90度〜180度の範囲で旋回可能に構成してもよい。
また、下部ユニット10aに対して上部ユニット10bをドッキングすると上部ユニット10bの上部側振動モータ8を駆動させるために給電され、下部ユニット10aから上部ユニット10bをドッキング解除すると上部側振動モータ8を駆動停止させるために給電停止されるように、上部ユニット10bの締結・解除と同期して上部側振動モータ8への電力供給を制御する構成としてもよい。
1 車両用ホイール
2 研磨媒体収容槽
3 研磨媒体
4 下部側振動モータ
5 下部側支持フレーム
6 支持シャフト
7 上部側支持フレーム
8 上部側振動モータ
9 基台
10 振動研磨装置
10a 下部ユニット
10b 上部ユニット
11 ディスク部
12 リム部
13 窓孔
15 センターホール
91 ベースフレーム
92 サブフレーム
93 下部側支持バネ(下部側支持弾性部材)
94 上部側支持バネ(上部側支持弾性部材)

Claims (6)

  1. 複数の窓孔が設けられた円盤状のディスク部とディスク部周囲の円筒状のリム部との3次元形状を有する車両用ホイールを研磨する方法であって、
    研磨媒体を収容した有底円筒状の研磨媒体収容槽を首振り揺動させて振動させることにより、研磨媒体収容槽内の研磨媒体を、渦状に流動させると共に、渦の中心部で下方へ流動し外周部で上方へ流動する対流、あるいは渦の中心部で上方へ流動し外周部で下方へ流動する対流を発生させ、
    車両用ホイールの裏側から支持シャフトを接続して車両用ホイールをディスク部の裏面を上向きにした横向き姿勢にして、上記対流による研磨媒体の上方への流れと下方への流れの間にリム部が配置されるように車両用ホイールを研磨媒体収容槽内の研磨媒体内に埋没させて研磨媒体をホイール外側及びホイール内側で流動させると共にディスク部の窓孔を通過するように流動させ、さらに、支持シャフトを介して車両用ホイールを振動させることにより、車両用ホイールを振動研磨する車両用ホイールの振動研磨方法。
  2. 請求項1に記載の車両用ホイールの振動研磨方法において、
    研磨媒体がリム部上端を越えてホイール外側とホイール内側の間で移動すると共に車両用ホイールより下部の研磨媒体収容槽底部で中心部と外周部の間で移動する深さに、車両用ホイールを研磨媒体収容槽内の研磨媒体内に埋没させる車両用ホイールの振動研磨方法。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用ホイールの振動研磨方法において、
    研磨媒体収容槽の直径が、車両用ホイールのリム径に対して1.2〜1.8倍の大きさである車両用ホイールの振動研磨方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用ホイールの振動研磨方法において、
    車両用ホイールを研磨媒体収容槽の中心線と同軸上に位置させ、支持シャフトを上下動させることにより車両用ホイールを振動させる車両用ホイールの振動研磨方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用ホイールの振動研磨方法において、
    車両用ホイールを研磨媒体収容槽の中心線と同軸上に位置させ、支持シャフトを研磨媒体収容槽と対称に首振り揺動させることにより車両用ホイールを振動させる車両用ホイールの振動研磨方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法を実施する装置であって、
    研磨媒体を充填した有底円筒状の研磨媒体収容槽を有し、この研磨媒体収容槽に下部側振動モータを接続すると共に下部側支持弾性部材により研磨媒体収容槽を支持する下部ユニットと、
    車両用ホイールの裏側から接続して車両用ホイールをディスク部の裏面を上向きにした横向き姿勢で研磨媒体収容槽内の研磨媒体内に埋没させる支持シャフトを有し、この支持シャフトに上部側振動モータを接続すると共に上部側支持弾性部材により支持シャフトを支持する上部ユニットとを備える車両用ホイールの振動研磨装置。
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