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JP5406294B2 - ミシンの下糸張力制御装置及びミシン - Google Patents

ミシンの下糸張力制御装置及びミシン Download PDF

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JP5406294B2 JP2011519737A JP2011519737A JP5406294B2 JP 5406294 B2 JP5406294 B2 JP 5406294B2 JP 2011519737 A JP2011519737 A JP 2011519737A JP 2011519737 A JP2011519737 A JP 2011519737A JP 5406294 B2 JP5406294 B2 JP 5406294B2
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Description

本発明は、ミシンの下糸張力制御装置に関するものである。
従来より、ミシンの下糸の張力を制御する方法として、ボビンケースに付加した板バネの押さえ力をネジにより調整する方法がよく知られている。
また、特許文献1には、ミシンの下糸制御装置として、ボビンケースに永久磁石を配設するとともに、この永久磁石を選択的に吸引あるいは排斥するようにその極性ならびに磁力を変更可能とした電磁石をボビンケースに対し接離可能に配設し、電磁石のコイルに電流を流して電磁石を付勢することにより、電磁石が永久磁石を排斥するように作用して、永久磁石が押圧されてボビンを圧迫し、この結果、縫製速度に対応する制動力がボビンに作用し、これにより、下糸に所定の張力を与えるようにしたものが存在する。
また、特許文献2には、ミシンの下糸張力制御装置として、下糸が巻き付けられたボビンを保持する中釜に形成されて下糸を案内する下糸案内部に対して進退可能に設けられ、当該下糸案内部に案内された下糸への張力の付与又は解放が可能な磁性体6、下糸案内部を挟んで磁性体に対向する位置に設けられ、通電により周囲に磁界を発生させて磁性体を下糸案内部に進退させる電磁石と、下糸に付与すべき張力に応じて電磁石に通電する電流の流れる方向及び電流の大きさを変える通電制御手段とを備えたものが存在する。
特開平5−68764号公報 特開2008−119078号公報
しかし、上記特許文献1のミシンの下糸制御装置においては、永久磁石がボビンを圧迫して、ボビンの端部を支軸の大径部に圧接させることにより下糸の張力を発生させるので、下糸の張力はボビンと支軸の摩擦力に依存することになり、下糸張力をきめ細かく制御することができず、また、精度よく制御することができない。
また、上記特許文献2のミシンの下糸張力制御装置においては、電磁石により磁性体を下糸案内部に進退させることにより下糸張力を制御するので、下糸の張力は、下糸と磁性体との摩擦力に依存することになり、下糸張力をきめ細かく制御することができず、また、精度よく制御することができない。
特に、刺繍用ミシンにおいては、下糸の張力は、作成される刺繍のでき具合に大きく影響するので、下糸の張力をきめ細かく、かつ、精度よく制御することが望まれる。
そこで、本発明が解決しようとする問題点は、ミシン、特に、刺繍用ミシンにおける下糸張力の制御装置において、下糸張力を摩擦力に依存することなく、きめ細かく、かつ、精度よく制御することができるものを提供することである。
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、ミシンの下糸張力制御装置であって、円弧状の内周面における該内周面の軸線方向の一方の側である正面側にガイド溝が形成された外釜(110)と、外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、レース部の内周縁の背面側の端部から連設された背面部(161)と、背面部の正面側の面に形成され、背面部の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、を有し、少なくとも背面部と軸部とが非磁性体により形成された中釜(150)と、外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、中釜の軸部が挿通する穴部を有し、該穴部に該軸部を挿通することにより中釜内に軸支されるボビンで、軸部に軸支した際に中釜の背面部と対向する面である背面側の面に設けられた第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転軸を回転させる下糸張力制御用モータ(202、1202)と、下糸張力制御用モータにより回転され、中釜の背面部に近接して設けられた第2磁石部で、第1磁石部を回転させる第2磁石部(214、1214)と、を有する下糸張力制御機構部(200、1200)と、を有することを特徴とする。
上記第1の構成のミシンの下糸張力制御装置においては、下糸張力制御用モータを駆動することにより第2磁石部が回転し、これにより、ボビンに設けられた第1磁石部が回転してボビンが回転する。つまり、ボビンは、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転力を付与する。
よって、下糸張力制御用モータによって回転される第2磁石部とボビンに設けられた第1磁石部により下糸の張力を制御するので、下糸張力を摩擦力に依存することなく制御でき、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。また、下糸に付与される張力は下糸張力制御用モータに印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かく制御することができる。また、下糸の張力を下糸張力制御用モータによりミシンの動作中に自由に制御できる。また、ミシンが刺繍用ミシンの場合に、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合でも、下糸張力制御用モータを制御するためのデータである下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、中釜には軸部が設けられていて、軸部に軸支されたボビンは、第1磁石部が第2磁石部によって吸引されることにより、中釜内に安定して収納されるので、中釜にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。また、第1磁石部と第2磁石部の吸引力によりボビンを軸部に軸支させて容易に取り付けることができ、また、該吸引力に抗するか又はボビンを約180度回転することにより第1磁石部と第2磁石部を反発させて容易にボビンを軸部から取り出すことができ、結果として、ボビンを中釜に容易に着脱することができる。
また、第2には、上記第1の構成において、中釜の背面部におけるボビンの第1磁石部が設けられた面が対向する部分の外周側の部分に第3磁石部(190)が設けられ、第3磁石部に近接して設けられた第4磁石部(270、1270)を有し、第4磁石部を中釜の回転中心となる軸線を中心に回転させる釜駆動用モータ(252、1252)を有する釜駆動部(250、1250)が設けられていることを特徴とする。よって、釜駆動用モータを駆動することにより第4磁石部が中釜の回転中心となる軸線を中心に回転し、これにより、第4磁石部に近接した第3磁石部が回転して中釜が回転する。これにより、中釜も磁石の吸引力により回転させることができる。
また、第3には、上記第2の構成において、中釜における背面部が、中釜の回転中心となる軸線に対して直角をなしレース部の内径よりも小さい外径を有する略円形平板状の背面本体部(162)と、背面本体部の周囲とレース部間に形成されレース部側から背面本体部側に向けて小径となるテーパ状に形成された背面側テーパ状部(164)と、を有し、第3磁石部が、背面側テーパ状部の正面側又は背面側の面に設けられていることを特徴とする。これにより、下糸張力制御機構部の邪魔となることなく、第3磁石部に対して第4磁石部を近接させることができる。
また、第4には、上記第2又は第3の構成において、中釜が略半回転に往復回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)を有し、釜駆動部において、釜駆動用モータが下糸張力制御用モータの背面側に同軸に設けられ、釜駆動用モータの回転軸である第2回転軸には、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(264)とを有した略L字状のアーム(260)が設けられ、第4磁石部は、該アームの先端に設けられていることを特徴とする。
よって、中釜を半回転釜として使用でき、中釜が釜駆動部により駆動され、第4磁石部と第3磁石部とが吸引して、第4磁石部が周方向に回転するのに伴い中釜が回転するので、中釜を駆動する際の駆動音を低下させることができる。つまり、従来の半回転式の中釜のように、中釜の両側に接するドライバーが設けられていないので、ドライバーと中釜とが接する音を発生させないようにできる。
また、第5には、上記第2又は第3の構成において、中釜が全回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)を有し、釜駆動用モータは、下糸張力制御用モータと中釜との間の位置に設けられ、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能な挿通穴を有し、釜駆動用モータの回転軸である第2回転軸は、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能に筒状に形成され、該第2回転軸の軸線が下糸張力制御用モータの回転軸の軸線と同軸に設けられ、第2回転軸には、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(1262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(1264)とを有した略L字状のアーム(1260)が設けられ、第4磁石部は、該アームの先端に設けられていることを特徴とする。
よって、中釜を全回転釜として使用することができる。特に、下糸張力制御用モータは、釜駆動用モータの中釜とは反対側に設けられていて、第3磁石部の周囲が開放した構成とできるので、アームを全回転することが可能であり、中釜を全回転釜として使用することができる。
また、第6には、前記第1から第5までのいずれかの構成において、中釜の背面部における正面側の面に設けられ、軸部に軸支されたボビンを収納するための円筒状部(182)が設けられていることを特徴とする。よって、中釜に軸支されたボビンにおいて、ボビンに巻回された下糸が脱落するのを防止することができる。
また、第7には、前記第1から第6までのいずれかの構成において、下糸張力制御用モータの回転軸に中釜の背面部に近接して板状の回転板(212)が設けられ、該回転の正面側に第2磁石部(214)が設けられていることを特徴とする。
また、第8には、ミシンの下糸張力制御装置であって、内周面にガイド溝が形成された外釜(110)と、外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、レース部の内側の端部から連設された中釜本体部で、レース部の内周縁の軸線方向の一方の端部ある背面側の端部から連設された背面部で、中釜の回転中心となる軸線に対して直角をなしレース部の内径よりも小さい外径を有する略円形平板状の背面本体部(162)と、背面本体部の周囲とレース部間に形成されレース部側から背面本体部側に向けて小径となるテーパ状に形成された背面側テーパ状部(164)と、を有する背面部(161)と、レース部の内周縁の他方である正面側の端部から連設され、正面側に向けて小径となるテーパ状に形成された正面側テーパ状部(166)と、を有する中釜本体部(160)と、背面本体部の正面側の面に形成されたボビン収納部で、背面本体部の中央から中釜の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、背面本体部の正面側の面に設けられた円筒状部(182)と、を有するボビン収納部(180)と、背面側テーパ状部の正面側又は背面側の面に設けられた第3磁石部(190)と、を有し、中釜における第3磁石部以外の構成が非磁性体により形成された中釜(150)と、外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、中釜のボビン収納部に収納されるボビンで、回転中心となる軸線と直角の面に設けられた第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転軸を回転させる下糸張力制御用モータ(202)と、下糸張力制御用モータの回転軸に取り付けられ、中釜の背面部に近接して設けられた回転盤で、回転盤が回転することにより第1磁石部を回転させる第2磁石部(214)を有する回転盤(210)と、を有する下糸張力制御機構部(200)と、下糸張力制御用モータの背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸である第2回転軸を有する釜駆動用モータ(252)と、第2回転軸に設けられたアームで、該第2回転軸に取り付けられ、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(264)とを有した略L字状のアーム(260)と、アームの先端に設けられ、第3磁石部に近接して設けられた第4磁石部(270)を有する釜駆動部(250)と、中釜が略半回転に往復回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)と、を有することを特徴とする。
この第8の構成のミシンの下糸張力制御装置においては、釜駆動用モータを駆動することによりアームが回転し、第4磁石部が中釜の回転中心となる軸線を中心に回転して、これにより、第4磁石部に近接した第3磁石部が回転して中釜が回転する。また、下糸張力制御用モータを駆動することにより回転盤が回転して第2磁石部が回転し、これにより、ボビンに設けられた第1磁石部が回転してボビンが回転する。つまり、ボビン、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転力を付与する
よって、下糸張力制御用モータによって回転される第2磁石部とボビンに設けられた第1磁石部により下糸の張力を制御するので、下糸張力を摩擦力に依存することなく制御でき、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。また、下糸に付与される張力は下糸張力制御用モータに印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かく制御することができる。また、下糸の張力を下糸張力制御用モータによりミシンの動作中に自由に制御できる。
また、ミシンが刺繍用ミシンの場合に、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合でも、下糸張力制御用モータを制御するためのデータである下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、中釜にはボビン収納部が設けられていて、ボビン収納部に収納されたボビンは、第1磁石部が第2磁石部によって吸引されることにより、ボビン収納部内に安定して収納されるので、中釜にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。また、第1磁石部と第2磁石部の吸引力によりボビンを容易にボビン収納部内に収納でき、また、該吸引力に抗するか又はボビンを約180度回転することにより第1磁石部と第2磁石部を反発させて容易にボビンをボビン収納部から取り出すことができ、結果として、ボビンをボビン収納部に容易に着脱することができる。
また、中釜を半回転釜として使用でき、中釜が釜駆動部により駆動され、第4磁石部と第3磁石部とが吸引して、第4磁石部が周方向に回転するのに伴い中釜が回転するので、中釜を駆動する際の駆動音を低下させることができる。つまり、従来の半回転式の中釜のように、中釜の両側に接するドライバーが設けられていないので、ドライバーと中釜とが接する音を発生させないようにできる。
また、第9には、ミシンの下糸張力制御装置であって、内周面にガイド溝が形成された外釜(110)と、外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、レース部の内側の端部から連設された中釜本体部で、レース部の内周縁の軸線方向の一方の端部ある背面側の端部から連設された背面部で、中釜の回転中心となる軸線に対して直角をなしレース部の内径よりも小さい外径を有する略円形平板状の背面本体部(162)と、背面本体部の周囲とレース部間に形成されレース部側から背面本体部側に向けて小径となるテーパ状に形成された背面側テーパ状部(164)と、を有する背面部(161)と、レース部の内周縁の他方である正面側の端部から連設され、正面側に向けて小径となるテーパ状に形成された正面側テーパ状部(166)と、を有する中釜本体部(160)と、背面本体部の正面側の面に形成されたボビン収納部で、背面本体部の中央から中釜の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、背面本体部の正面側の面に設けられた円筒状部(182)と、を有するボビン収納部(180)と、背面側テーパ状部の正面側又は背面側の面に設けられた第3磁石部(190)と、を有し、中釜における第3磁石部以外の構成が非磁性体により形成された中釜(150)と、外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、中釜のボビン収納部に収納されるボビンで、回転中心となる軸線と直角の面に設けられた第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転軸を回転させる下糸張力制御用モータ(1202)と、下糸張力制御用モータの回転軸に取り付けられ、中釜の背面部に近接して設けられた回転盤で、回転盤が回転することにより第1磁石部を回転させる第2磁石部(1214)を有する回転盤(1210)と、を有する下糸張力制御機構部(1200)と、下糸張力制御用モータと中釜との間の位置に設けられ、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能な挿通穴を有する釜駆動用モータで、釜駆動用モータの回転軸である第2回転軸は、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能に筒状に形成され、該第2回転軸の軸線が下糸張力制御用モータの回転軸の軸線と同軸に設けられた釜駆動用モータ(1252)と、第2回転軸に設けられたアームで、該第2回転軸に取り付けられ、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(1262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(1264)とを有した略L字状のアーム(1260)と、アームの先端に設けられ、第3磁石部に近接して設けられた第4磁石部(1270)を有する釜駆動部(1250)と、中釜が全回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)と、を有することを特徴とする。
この第9の構成のミシンの下糸張力制御装置においては、釜駆動用モータを駆動することによりアームが回転し、第4磁石部が中釜の回転中心となる軸線を中心に回転して、これにより、第4磁石部に近接した第3磁石部が回転して中釜が回転する。また、下糸張力制御用モータを駆動することにより回転盤が回転して第2磁石部が回転し、これにより、ボビンに設けられた第1磁石部が回転してボビンが回転する。つまり、ボビン、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転力を付与する
よって、下糸張力制御用モータによって回転される第2磁石部とボビンに設けられた第1磁石部により下糸の張力を制御するので、下糸張力を摩擦力に依存することなく制御でき、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。また、下糸に付与される張力は下糸張力制御用モータに印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かく制御することができる。また、下糸の張力を下糸張力制御用モータによりミシンの動作中に自由に制御できる。
また、ミシンが刺繍用ミシンの場合に、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合でも、下糸張力制御用モータを制御するためのデータである下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、中釜にはボビン収納部が設けられていて、ボビン収納部に収納されたボビンは、第1磁石部が第2磁石部によって吸引されることにより、ボビン収納部内に安定して収納されるので、中釜にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。また、第1磁石部と第2磁石部の吸引力によりボビンを容易にボビン収納部内に収納でき、また、該吸引力に抗するか又はボビンを約180度回転することにより第1磁石部と第2磁石部を反発させて容易にボビンをボビン収納部から取り出すことができ、結果として、ボビンをボビン収納部に容易に着脱することができる。
また、中釜を全回転釜として使用することができ、特に、下糸張力制御用モータは、釜駆動用モータの中釜とは反対側に設けられていて、第2磁石部の周囲が開放した構成とできるので、アームを全回転することが可能であり、中釜を全回転釜として使用することができる。
また、第10には、前記第1から第9までのいずれかの構成において、第1磁石部がリング状を呈し、径方向とは略直角方向の面方向に磁化された永久磁石であり、第2磁石部がリング状又は円柱状を呈し、面方向に磁化された永久磁石であることを特徴とする。
なお、上記第10の構成において、第1磁石部の片面の極数及び第2磁石部の片面の極数がm(mは2のn乗(nは1以上の整数))であるものとしてもよい。
また、第11には、前記第1から第9までのいずれかの構成において、中釜の背面部が、レース部の内周縁の背面側の端部から連設され、中央に開口部を有する円形の背面部板状部(162a)と、該背面部板状部の開口部に形成された背面部凹部(162b)とを有し、ボビンに設けられた第1磁石部が、リング状を呈し、径方向とは略直角の方向である面方向に磁化された永久磁石であり、下糸張力制御機構部における第2磁石部が、第1磁石部の内径よりも小さい外径を有し径方向に磁化された永久磁石であり、該背面部凹部内に、第2磁石部の正面側の端部が中釜の背面部の背面部板部の正面側の面よりも正面側となり、該背面部凹部と間隔を介して設けられていることを特徴とする。
よって、第1磁石部の磁化方向が面方向であるとともに、第2磁石部の磁化方向が径方向であり、かつ、第1磁石部の内径は、第2磁石部の外径よりも大きく形成されていて、第2磁石部の正面側の面が、中釜における背面部の背面部板状部の正面側の面よりも正面側となるように設定されているので、第1磁石部の背面側の面と第2磁石部の正面側の面とが前後方向において略一致する状態で両磁石の磁力が釣り合い、ボビンにおける第1磁石部は、中釜の背面部の背面部板状部の正面側の面に接することがなく、第1磁石部と中釜の背面部板状部が接することによる摩擦を防止することができる。よって、ボビンの回転を円滑にすることができ、下糸の張力をよりきめ細かく制御することが可能となる。
なお、第11の構成を以下のようにしてもよい。すなわち、「ミシンの下糸張力制御装置であって、円弧状の内周面における該内周面の軸線方向の一方の側である正面側にガイド溝が形成された外釜(110)と、外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、レース部の内周縁の背面側の端部から連設された背面部で、レース部の内周縁の背面側の端部から連設され、中央に開口部を有する円形の背面部板状部(162a)と、該背面部板状部の開口部に形成された背面部凹部(162b)とを有する背面部(161)と、背面部の正面側の面に形成され、背面部の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、を有し、少なくとも背面部と軸部とが非磁性体により形成された中釜(150)と、外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、中釜の軸部が挿通する穴部を有し、該穴部に該軸部を挿通することにより中釜内に軸支されるボビンで、軸部に軸支した際に中釜の背面部と対向する面である背面側の面に設けられた第1磁石部でリング状を呈し径方向とは略直角の方向である面方向に磁化された永久磁石により構成された第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転する下糸張力制御用モータ(202)と、下糸張力制御用モータにより回転され、中釜の背面部に近接して設けられた第2磁石部で、第1磁石部を回転させる第2磁石部で第1磁石部の内径よりも小さい外径を有し径方向に磁化された永久磁石により構成された第2磁石部(214)と、を有し、第2磁石部が、背面部凹部内に、第2磁石部の正面側の端部が中釜の背面部の背面部板部の正面側の面よりも正面側となり、該背面部凹部と間隔を介して設けられている下糸張力制御機構部(200)と、を有することを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。」としてもよい。
なお、上記第11の構成において、第1磁石部の片面の極数がm(mは2のn乗(nは1以上の整数))であり、第2磁石部の極数がm(mは2のn乗(nは1以上の整数))であるものとしてもよい。
また、第12には、上記第11の構成において、背面部凹部が、背面部板状部の開口部から連設され、正面側に向けて徐々に径が小さくなるテーパ状の筒状を呈する凹部周設部(162b−1)と、凹部周設部の背面部板状部側とは反対側の端部を閉じる凹部奥設部(162b−2)とを有し、下糸張力制御用モータの回転軸に、略円錐台形状の周面で凹部周設部の周面と略平行な周面を有し、正面側に第2磁石部を取り付ける凹部を有する回転体(212)が設けられ、該回転体の凹部に第2磁石部が設けられていることを特徴とする。よって、上糸が中釜の背面側を通過する際に円滑に通過することができる。
また、第13には、上記第11又は第12の構成において、中釜に設けられた軸部が凹部の正面側に設けられ、第1磁石部の厚みが、第1磁石部の磁力と第2磁石部の磁力とが釣り合って、第1磁石部の背面側の面が第2磁石部の正面側の面と前後方向において略一致する状態において、ボビンにおける第1磁石部を除く部分(302)の背面側の端部が軸部の背面側の端部位置よりも正面側となるような厚みに形成されていることを特徴とする。
よって、ボビンにおける第1磁石部を除く部分の背面側の端部が背面部凹部の内側に接することがなく、背面部凹部との間に摩擦が発生せず、ボビンの回転を円滑にすることができ、下糸の張力をよりきめ細かく制御することが可能となる。
また、第14には、上記第4又は第5又は第8又は第9の構成のミシンの下糸張力制御装置を有するミシンであって、上記制御部(40)が、天秤上死点から針棒下死点までの期間又は該期間の少なくとも一部の期間で天秤が下降中の状態から縫い針が加工布に挿針するまでの期間を含む期間である特定期間において、ボビンを下糸を引き出す場合の回転方向に対して逆方向に第2磁石部が回転するように下糸張力制御用モータを回転制御することにより、ボビン該逆方向に回転力を付与することを特徴とする。これにより、上糸と下糸の締付け具合をきめ細かく、かつ、精度よく制御することができる。
本発明に基づくミシンの下糸張力制御装置によれば、下糸張力制御用モータによって回転される第2磁石部とボビンに設けられた第1磁石部により下糸の張力を制御するので、下糸張力を摩擦力に依存することなく制御でき、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。また、下糸に付与される張力は下糸張力制御用モータに印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かい制御することができる。また、下糸の張力を下糸張力制御用モータによりミシンの動作中に自由に制御できる。
また、ミシンが刺繍用ミシンの場合に、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合でも、下糸張力制御用モータを制御するためのデータである下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、中釜にはボビン収納部が設けられていて、ボビン収納部に収納されたボビンは、第1磁石部が第2磁石部によって吸引されることにより、ボビン収納部内に安定して収納されるので、中釜にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。また、第1磁石部と第2磁石部の吸引力によりボビンを容易にボビン収納部内に収納できる。
実施例1及び実施例2の刺繍用ミシンの構成を示す説明図である。 実施例1及び実施例2の刺繍用ミシンの要部説明図である。 実施例1及び実施例2の刺繍用ミシンの要部斜視図である。 実施例1における刺繍用ミシンの縦断面図である。 実施例1における刺繍用ミシンの横断面図であり、図4におけるG−G断面図である。 実施例1の刺繍用ミシンにおける釜と下糸張力制御機構部と釜駆動部とボビンの前方分解斜視図である。 実施例1の刺繍用ミシンにおける釜と下糸張力制御機構部と釜駆動部とボビンの後方分解斜視図である。 中釜の正面図である。 磁石部214と磁石部310の構成を示す説明図である。 仮想主軸データを示す説明図である。 針棒用データを示す説明図である。 釜駆動用データを示す説明図である。 下糸張力制御用データを示す説明図である。 実施例1における中釜の動作を示す説明図である。 実施例1における中釜の動作を示す縦断面図である。 実施例1における刺繍用ミシンの動作を示す説明図である。 実施例2の刺繍用ミシンにおける釜と下糸張力制御機構部と釜駆動部とボビンの前方分解斜視図である。 実施例2における刺繍用ミシンの動作を示す説明図である。 磁石部の例を示す説明図である。 実施例3における刺繍用ミシンの縦断面図である。 図19の要部拡大図である。 実施例3における刺繍用ミシンの横断面図であり、図20におけるH−H断面図である。 実施例3の刺繍用ミシンにおける釜と下糸張力制御機構部と釜駆動部とボビンの前方分解斜視図である。 実施例3の刺繍用ミシンにおける釜と下糸張力制御機構部と釜駆動部とボビンの後方分解斜視図である。 実施例3の刺繍用ミシンにおける要部分解斜視図であり、特に、下糸張力制御機構部の要部とボビンの構成を示す要部分解斜視図である。 実施例3の刺繍用ミシンにおける磁石部214と磁石部310の作用を説明するための説明図である。 磁石部の例を示す説明図である。 磁石部の例を示す説明図である。
本発明においては、ミシンにおける下糸張力の制御装置において、下糸張力を摩擦力に依存することなく、きめ細かく、かつ、精度よく制御することができるものを提供するという目的を以下のようにして実現した。
本発明に基づくミシンとしての刺繍用ミシン1は、図1〜図13に示すように構成され、ミシンテーブル3と、刺繍ヘッド10−1〜10−nと、縫製枠(保持枠、刺繍枠としてもよい)22dと、枠駆動用モータ32dと、釜100と、下糸張力制御機構部200と、釜駆動部250と、ボビン300と、演算装置400と、記憶装置500とを有している。
ここで、ミシンテーブル3は、略平板状を呈し、図4に示すように、板状のテーブル本体4と、テーブル本体4に形成された開口部に設けられた針板5とを有している。
また、刺繍ヘッド10−1〜10−nは、ミシンテーブル3の上方に設けられ、刺繍ヘッド10−1〜10−nにおける各刺繍ヘッドは、所定の間隔を介して略直線状に配列されている。つまり、ミシンテーブルの上面からはフレーム(図示せず)が立設して設けられ、このフレームの正面側に各刺繍ヘッドが設けられている。
刺繍ヘッド10−1〜10−nにおける各刺繍ヘッドは同様の構成であるので、刺繍ヘッド10−1を例にとって説明すると、刺繍ヘッド10−1は、図2に示すように構成され、機械要素群20と、制御装置30と、ケース部(図示せず)と、を有している。
この機械要素群20は、刺繍ヘッドにおいて駆動される各機械要素であり、機械要素としては、天秤22aと、針棒22bと、布押え22cとが設けられている。
ここで、天秤22aは、ケース部に対して左右方向(X1−X2方向)の軸線を中心に揺動可能に形成されている。つまり、天秤22aにおいては、図3に示すように、その基端部分に天秤用モータ32aの回転軸(モータ軸)32a−1が挿通され、この回転軸32a−1を中心に回動する。
つまり、天秤22aは、上糸90を引っ張る機能を有するものであり、図3に示すように、天秤用モータ32aの回転軸32a−1に取り付けられた天秤アーム部24と、複数の針棒における各針棒に対応して設けられた天秤先端部26とを有し、これら複数の天秤先端部26は、針棒ケース(図示せず)の支持板部50に配設され、針棒ケースが左右方向にスライドすることにより天秤アーム部24と係合した天秤先端部26が、天秤アーム部24に支持されて回転することになる。
すなわち、天秤アーム部24は、弓状の板状を呈し、先端に行くほど下方に湾曲した板状を呈している。この天秤アーム部24の基端部分には、左右方向に穴部が形成され、回転軸32a−1が挿通されて回転軸32a−1に固定されている。つまり、天秤アーム部24の基端部分に設けられた穴部と回転軸32a−1の軸線J1は、左右方向を向いている。また、天秤アーム部24の先端側は、天秤先端部26と係合可能に形成され、図3の例では、側面視において凸状に形成されている。
なお、天秤用モータ32aは、ケース部におけるアーム側に設けられている。つまり、天秤用モータ32aや天秤アーム部24は、針棒ケースが左右方向にスライドしてもスライドすることはない。
また、複数の天秤先端部26における各天秤先端部26は同一の構成であり、天秤先端部26は、糸通し部26aと、糸通し部26aと一体に形成された接続部26bとを有している。
複数の天秤先端部26は、天秤アーム部24に係合されて駆動されない状態では、針棒ケースにおける左右方向に設けられた支持板部50に配設され、針棒ケースが左右方向にスライドすることにより天秤アーム部24と係合した天秤先端部26が天秤アーム部24に支持された状態で回転する。
また、針棒22bは、上下動可能に設けられ、針棒22bには、下端に縫い針22b−1(この縫い針22b−1の針穴22b−2に上糸を挿通される)が固定して設けられ、上端には針棒抱き(図示せず)が固定して設けられている。針棒22bについては、実際には、針棒22bが1つの刺繍ヘッドにおいて複数設けられていて、該複数の針棒22bは、針棒ケースに支持され、針棒ケースを左右方向にスライドすることにより選択された針棒が上下動駆動される。
また、布押え22cは、昇降ロッド(図示せず)の下端に固定され、この昇降ロッドが上下動することにより布押えが上下動するようになっている。なお、布押え22cは、刺繍ヘッドごとに1つ設けられている。
また、制御装置30は、図2に示すように、天秤用モータ32aと、針棒用モータ32bと、布押え用モータ32cと、制御回路(制御部)40とを有している。
ここで、天秤用モータ32aは、天秤22aを揺動させるためのモータであり、その回転軸は正逆回転し、回転軸の軸線は左右方向(X1−X2方向)を向いている。また、針棒用モータ32bは、針棒22bを上下動させるためのモータである。また、布押え用モータ32cは、布押え22cを上下動させるためのモータである。
また、制御回路40は、天秤用モータ32aと針棒用モータ32bと布押え用モータ32cと枠駆動用モータ32dと下糸張力制御用モータ202と釜駆動用モータ252の各モータの動作を制御する回路で、演算装置400からのデータに従い、各モータの動作を制御する。すなわち、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと各機械要素用データ(針棒の場合のデータとして図11参照)とに基づき、各機械要素についてのモータ(例えば、天秤用モータ32a、針棒用モータ32b、布押え用モータ32c、枠駆動用モータ32d、下糸張力制御用モータ202、釜駆動用モータ252)の動作を制御する。
例えば、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと釜駆動用データ(図12参照)のデータに従い、釜駆動用モータ252の動作を制御し、また、演算
装置400から送信された仮想主軸データと下糸張力制御用データ(図13参照)とに基づき、下糸張力制御用モータ202の動作を制御する。
また、ケース部(図示せず)は、刺繍ヘッド10−1の筐体を構成し、フレームに固定されたアームと、アームの正面側に設けられアームに対して左右方向(X1−X2方向)に摺動する針棒ケースとを有している。天秤用モータ32a、針棒用モータ32b、布押え用モータ32c、制御回路40は、アーム内に設けられている。
また、縫製枠22dは、加工布を張設保持するための枠状部材であり、ミシンテーブル3の上方(上面としてもよい)に設けられている。また、枠駆動用モータ32dは、縫製枠22dを駆動するためのモータである。
また、釜100は、刺繍ヘッド10−1〜10−nの下方でミシンテーブル3の上面よりも下側の位置に各刺繍ヘッドごとに設けられている。具体的には、ミシンテーブル3の下側に設けられた釜土台7に支持されている。なお、本実施例において、釜土台7は、テーブル本体4の下面に取り付けられた側面部7b、7cと、側面部7bの下端と側面部7cの下端間に設けられた底面部7aとを有した構成となっている。
ここで、釜100は、図4〜図8に示すように、外釜110と、中釜押さえ130と、中釜150とを有している。
外釜110は、上部が開口した略リング状の部材であり、外釜本体部112と、外釜本体部112の両側から突出した取付部116とを有している。
外釜本体部112は、内側に略円柱状の切欠き114が形成され、該切欠部114の横断面形状は、円形の上端を水平に欠切した形状を呈している。切欠部114は、円弧状の内周面を形成する。該切欠部114には、周状に段差が形成され、中釜押さえ130側がその反対側よりも径が大きく形成されていて、中釜押さえ130側(正面側)の大径部(ガイド溝)114aと、その反対側の小径部114bとから構成されている。この大径部114aには、中釜150のレース部152が配置されて、レース部152が大径部114aに沿って摺動することになる。すなわち、この大径部114aの内径は、レース部152の外径と略同一又は若干大きく形成されている。また、小径部114bは、中釜150のレース部152の外径よりも小さく形成され、これにより、外釜110内に配置された中釜150が中釜押さえ130とは反対側に脱落することがない。
また、外釜110の両側には、中釜押さえ130を外釜110に固定するためのレバー122を取り付けるとともに、釜土台7に外釜110を取り付けるための取付部116が突出して形成されている。つまり、取付部116には、レバー122を回転可能に軸支するための支持穴118が設けられ、該支持穴118の外側には、釜土台7に外釜110を取り付けるためのネジ部124を挿通するための穴部120が設けられている。
また、中釜押さえ130は、上部が開口した略リング状の板状部材であり、内側に略円柱状の切欠部132が形成され、該切欠部132の正面視の形状は、円形の上端を水平に欠切した形状を呈している。中釜押さえ130に設けられた切欠部132の内径は、中釜150のレース部152の外径よりも小さく形成され、外釜110の小径部114bと略同一の内径となっている。これにより、外釜110内に配置された中釜150が中釜押さえ130側がカバーされ、中釜150が中釜押さえ130側に脱落することがない。
中釜押さえ130は、外釜110の下糸張力制御用モータ202とは反対側の面に当接させて、レバー122を中釜押さえ130に係止させることにより、外釜110と中釜押さえ130とが一体に構成される。
また、中釜150は、中釜押さえ130が取り付けられた外釜110内に回転可能に配置され、レース部152と、中釜本体部160と、先端部170と、ボビン収納部180と、磁石部(第3磁石部)190とを有している。中釜150における磁石部190以外の構成、すなわち、レース部152と、中釜本体部160と、先端部170と、ボビン収納部180とが、本体構成部を構成する。
ここで、レース部152は、略円弧状の板状、すなわち、棒状の板状部を円弧状に形成した形状を呈していて、その外側の面が外釜110の大径部114a内に沿って摺動可能に形成されている。
また、中釜本体部160は、全体に板状部材により形成され、レース部152の内側の背面側の端部から背面側に連設された背面部161と、レース部152の内側の正面側の端部から正面側に連設された正面側テーパ状部166とを有している。
背面部161は、円形板状の背面本体部162と、背面本体部162の辺部から連設されるとともに、レース部152の内側の背面側の端部から連設された背面側テーパ状部164とを有している。
すなわち、背面本体部162は、レース部152の内径よりも小さい外径を有し、中釜150の回転中心に対して直角の面をなしている。この背面本体部162は、レース部152の背面側の端部よりも背面側に位置している。
また、背面側テーパ状部164は、レース部152の内側の背面側の端部と背面本体部162の辺部の間に略テーパ状の板状に形成され、レース部152の内側の背面側の端部と背面本体部162の辺部間に形成された円錐(厳密には、円錐の側面部)の一部を欠切した形状をなしている。すなわち、背面側テーパ状部164は、正面視の下端位置Pから正面視における糸掛け部174の位置よりも左周方向の位置Q(この位置Qは、周方向において、先端部170の尖鋭部176と正面側テーパ状部166間の切欠部192の基端位置と略一致する)までの範囲である第1領域164aと、該第1領域164a以外の領域である第2領域164bとから構成され、第1領域164aは、背面本体部162の周端からレース部152の内側の端部にまで形成されていて、正面視における背面本体部162の中心を通る直線の方向の幅はαに形成されているが、第2領域164bは、第1領域164aに比べて幅狭に形成されていて、正面視における背面本体部162の中心を通る直線の方向の幅はβに形成され、α>βとなっている。この幅βは、上糸が糸掛け部174に掛止された上糸が糸掛け部174から離脱して上方に引き上げられる際に支障となることがなく、かつ、磁石部190を取付け可能な幅に形成されている。なお、幅βは、幅αの約1/2以下に形成されているが、位置Pから正面視左回りに90度と180度の間の位置Sの間は、略同一幅に形成され、位置Sから正面視左回りに第1領域164aの端部までは、左回りに徐々に幅狭となる形状となっている。なお、図8の例では、正面視における位置Pと位置Q間の角度は、140〜150度であり、位置Pと位置S間の角度は、120〜130度となっている。背面側テーパ状部164における各所には、略楕円形状の開口部Kが形成されている。
また、正面側テーパ状部166は、レース部152の内側の正面側の端部から正面側に形成され、内側(回転中心側)に傾斜した傾斜面を呈した板状に形成されている。つまり、背面側テーパ状部164がなす円錐形状と対称の円錐形状の一部により形成され、正面視において、位置Qの位置から右回りの方向に幅狭に形成され、位置Qから左回りにもレース部152の尾端部152aに向けて幅狭に形成されている。なお、正面側テーパ状部
166の正面視の右回り方向の端部は、剣先172よりも周方向に突出して形成され、なお、正面側テーパ状部166の正面視の左回り方向の端部は、周方向に尾端部152aの位置まで形成されている。なお、正面側テーパ状部166の正面側の端部は、図8に示すように、円筒状の筒状部182の外周よりも外側に形成され、ボビン収納部180にボビン300を収納する際に正面側テーパ状部166が邪魔にならないように形成されている。
また、先端部170は、レース部152の端部(尾端部152aとは反対側の端部)から周方向に形成され、外側面は、レース部152の外周面に沿って形成され、その先端に尖鋭な剣先172が形成され、また、剣先172の基端の内側には、周方向に対して直角の平面を呈する糸掛け部174が形成されている。糸掛け部174の内側には、糸掛け部174から周方向に突出した尖鋭な形状の尖鋭部176が形成されている。また、該尖鋭部176と正面側テーパ状部166との間には、尖鋭な形状の切欠部192が形成されていて、尖鋭部176と正面側テーパ状部166の先端とで二股状に形成されている。また、先端部170の背面側(尖鋭部176の背面側と背面側テーパ状部164との間の領域)は、背面側テーパ状部164の端部に向けてなだらかな凹状に形成されている。
また、ボビン収納部180は、円筒状の筒状部182と、軸部184とを有し、筒状部182は、背面本体部162の正面側の面に固着されている。つまり、筒状部182の外径は、背面本体部162の径と略同一であり、背面本体部162の正面側の面に筒状部182が固着されている。筒状部182は、当然ボビン300が収納可能な大きさに形成され、筒状部182の前後方向(Y1−Y2方向)の長さは、ボビン300の前後方向の長さ以上に形成されている。また、軸部184は、ボビン300に挿通可能な軸状に形成され、背面本体部162の正面側の面に固着されている。つまり、軸部184の軸芯と筒状部182の軸芯とが一致するように形成されている。筒状部182が設けられていることにより、ボビン300に巻回された下糸320がボビン300から脱落することを防止することができる。特に、下糸の材質によっては、例えば、ポリエステルの場合には、巻回された下糸が膨出することがあるため、筒状部182を設けることにより下糸320のボビン300からの脱落を防止することができる。
また、磁石部190は、永久磁石であり、背面側テーパ状部164における第2領域164bの正面側の面に固着して設けられている。具体的には、磁石部190は、背面側テーパ状部164における第2領域164b(具体的には、第2領域164bにおける同一幅の領域)の正面側の面における筒状部182よりも外側の領域における正面視右端から下端にかけて設けられ、扇状の板状を呈し、背面側テーパ状部164の正面側の面の形状に合わせて湾曲して形成されている。なお、磁石部190を背面側テーパ状部164における第2領域164bの背面側の面に固着して設けてもよい。すなわち、磁石部190は、中釜150の背面部161におけるボビン300の磁石部310が設けられた面が対向する部分(つまり、背面本体部162)の外周側の部分(つまり、背面側テーパ状部164)における正面側又は背面側に設けられる。これにより、下糸張力制御機構部200の邪魔となることなく、磁石部190に磁石部270を近接させることができる。
なお、中釜150における磁石部190以外の構成(少なくとも背面部161とボビン収納部180)は、非磁性体(例えば、アルミニウム、ステンレス)により形成されている。すなわち、ボビン300には、磁石部310が設けられているので、磁石部310が背面本体部162に接着してしまわないように、中釜150における磁石部190以外の構成は、非磁性体により形成されている。
また、下糸張力制御機構部200は、外釜110の背面側に設けられ、下糸張力制御用モータ202と、下糸張力制御用モータ202の回転軸203に取り付けられた回転盤210と、下糸張力制御用モータ202を外釜110に支持するための支持部220とを有している。
ここで、下糸張力制御用モータ202は、正逆回転可能に構成され、その回転軸203の軸芯は中釜150における軸部184の軸芯と一致するように形成されている。下糸張力制御用モータ202の上端の正面側の端部と背面側の端部には、支持部220に取り付けるための取付部204、206が設けられている。
また、回転盤210は、円形板状の回転盤本体(回転板)(「回転体」としてもよい)212と、回転盤本体212の正面側の面に取り付けられたリング状の磁石部(第2磁石部)214と、回転盤本体212の背面側の面に設けられた筒状部216とを有し、筒状部216が下糸張力制御用モータ202の回転軸203に軸支して固定されている。これにより、下糸張力制御用モータ202の回転軸203が回転することにより、回転盤本体212が回転し、回転盤本体212が回転することにより、磁石部214も回転する。この磁石部214は、永久磁石であり、図9に示すように、回転中心に沿った平面で区画した一方がN極で他方がS極となるように構成され、磁石部214の磁化方向は、面方向(厚み方向としてもよい)となっている。ここで、磁化方向が面方向であるとは、磁力線が主として磁石部214から磁石部214の厚み方向に出る(つまり、磁石部214の厚み方向の面(磁石部214の平面部分)から厚み方向に出る)ことを意味し、磁石部214が回転盤本体212に取り付けられた状態では、磁力線が主として磁石部214から下糸張力制御用モータ202の回転軸203の軸線と略平行に出ることを意味している。つまり、この磁石部214は、具体的には、図19(a)に示すような両面4極の磁石であり、図19(b)に示すような片面2極の磁石であってもよい。なお、磁石部214は、面方向に磁化されたものであればリング状でなくてもよく、例えば、円柱状であってもよい。つまり、磁石部214は、図19(c)に示す両面4極の磁石でもよく、また、図19(d)に示す片面2極の磁石であってもよい。つまり、磁石部214における少なくとも一方の面が2極に形成されている。
また、支持部220は、板状のプレート部221と、プレート部221の下面から下方に突出した取付部226、228とを有している。すなわち、プレート部221は、略コ字状のコ字状部222と、コ字状部222の背面側の端部から背面側に伸びた板状部224とを有し、コ字状部222の正面側の一対の先端の一方が外釜110の一対の上端の一方に固着され、コ字状部222の他方の先端が、外釜110の他方の上端に固着される。また、取付部226は、取付部204と固着され、取付部228は、取付部206に取り付けられて、下糸張力制御用モータ202が支持部220に支持される。
下糸張力制御機構部200における支持部220が外釜110に取り付けられた状態では、回転盤210の磁石部214は、外釜110内に配置された中釜150の背面本体部162の背面側の面に間隔を介して近接した状態となっている。
また、釜駆動部250は、釜駆動用モータ252と、釜駆動用モータ252の回転軸(第2回転軸)253に軸支されたアーム260と、アーム260の先端に設けられた磁石部(第4磁石部)270とを有している。
釜駆動用モータ252は、下糸張力制御用モータ202の背面側に設けられ、釜駆動用モータ252の回転軸253の軸線は、下糸張力制御用モータ202の回転軸203の軸芯と一致するように設けられている。この釜駆動用モータ252は、釜土台7の底面部7aに取り付けられている。
また、アーム260は、全体に略L字状を呈し、略棒状の基端部262と、基端部262の先端から連設された先端部264とを有し、基端部262は、釜駆動用モータ252の回転軸253の軸線に対して直角方向に設けられ、先端部264は、釜駆動用モータ252の回転軸253の軸線と平行に設けられている。なお、基端部262の長さは、先端部264が釜駆動用モータ252に接触しないとともに、先端部264の先端に取り付けられた磁石部270が磁石部190の背面側に位置するような長さに設定されている。同様に、先端部264の長さも、磁石部270が背面側テーパ状部164の背面側に近接するような長さに設定されている。
また、磁石部270は、永久磁石であり、扇状の板状を呈し、中釜150の背面側テーパ状部164の背面側の面になるべく近接するように、背面側テーパ状部164の背面側の面の形状に合わせて湾曲して形成されている。
なお、磁石部270と磁石部190とは互いに吸引するように構成され、磁石部270の中釜150の背面側テーパ状部164側の面がN極とS極の一方とした場合に、磁石部190の背面側テーパ状部164側の面がN極とS極の他方となるように設定されている。これにより、釜駆動用モータ252を駆動することにより、釜駆動用モータ252の回転軸253が回転し、該回転軸253が回転することによりアーム260が回転し、磁石部270が周方向に回転する。そして、磁石部270と磁石部190とが吸引しているので、磁石部270の回転に伴い中釜150が回転することになる。
また、ボビン300は、ボビン本体302と、ボビン本体302の背面側の面(軸部184に軸支した際に中釜150の背面部161と対向する面)に設けられた磁石部(第1磁石部)310とを有している。
ボビン本体302は、通常のボビンと同様の構成であり、円形の開口部が中心に設けられた円形の板状部302aと、板状部302aと同大同形状の板状部302bと、板状部302aの開口部と板状部302bの開口部間に設けられた円筒状の円筒状部302cとを有していて、板状部302aと板状部302b間の空間に下糸を巻回できるようになっている。円筒状部302c内の穴部304が中釜150の軸部184が挿通する穴部となる。
また、磁石部310は、永久磁石であり、下糸張力制御機構部200の磁石部214と同様の構成であり、回転中心に沿った平面で区画した一方がN極で他方がS極となるように構成されている。すなわち、磁石部310の磁化方向は面方向となっている。ここで、磁化方向が面方向であるとは、磁力線が主として磁石部310から磁石部310の厚み方向に出る(つまり、磁石部310の厚み方向の面(磁石部310の平面部分)から厚み方向に出る)ことを意味し、磁石部310がボビン本体302に取り付けられた状態では、磁力線が主として磁石部310からボビン300の軸線(回転中心を通る軸線)と略平行に出ることを意味している。つまり、磁石部310は、具体的には、図19(a)に示すような両面4極の磁石であり、図19(b)に示すような片面2極の磁石であってもよい。つまり、磁石部310は、リング状で、磁石部310における少なくとも一方の面が2極に形成されている。なお、磁石部310は、磁石部214と略同大同形状に形成されていて、磁石部310と磁石部214の外径も略同一となっている。これにより、下糸張力制御用モータ202を駆動することにより、下糸張力制御用モータ202の回転軸203が回転し、回転盤210が回転し、磁石部214が回転する。磁石部214が回転することにより、磁石部214と磁石部310におけるN極とS極とが互いに吸引して、ボビン300も回転する。
なお、縫製枠22dと中釜150とボビン300についても、上記機械要素(天秤22a、針棒22b、布押え22c)と同様に、機械要素となる。
なお、釜100と下糸張力制御機構部200と釜駆動部250とボビン300とで、釜関連機構部を構成する。
また、釜100と、下糸張力制御機構部200と、釜駆動部250と、ボビン300と、下糸張力制御用モータ202と釜駆動用モータ252の動作を制御する制御回路40とによって、「ミシンの下糸張力制御装置」を構成する。
また、演算装置400は、主として、記憶装置500に記憶されている刺繍データに従い、各モータを制御するためのデータを制御回路40に送信する。すなわち、演算装置400は、仮想主軸データを作成する。この仮想主軸データは、図10に示すように、時間と主軸角度との対応を示すデータである。本実施例の刺繍用ミシン1においては、従来の刺繍用ミシンとは異なり、各刺繍ヘッドにおける機械要素と機械的に連結した1本の主軸は設けられていないが、各機械要素の動作を同期させるために仮想の主軸としての主軸データを用意し、この仮想主軸データと機械要素に対応した対応データ(例えば、天秤用データ、針棒用データ、布押え用データ、下糸張力制御用データ、釜駆動用データ)に従い各機械要素の動作を制御するのである。ここで、主軸角度とは、仮想主軸の角度、すなわち、回転方向の位置を示すものである。
また、記憶装置500には、刺繍を行なうための刺繍データが記憶されている。この刺繍データは、例えば、ステッチ幅、ステッチ方向、糸種類についてのデータが各ステッチごとに設けられたものである。また、この記憶装置500には、各機械要素ごとに、主軸角度と該機械要素の角度との対応を規定する角度対応データ(位置パターンデータとしてもよい)(例えば、天秤用データ、針棒用データ、布押え用データ、下糸張力制御用データ、釜駆動用データ)が記憶されている。
例えば、針棒用データ(針棒用角度対応データ)(図11参照)においては、主軸角度と、主軸角度に対応した針棒角度とが規定されている。ここでいう針棒角度とは、針棒用モータ32bの回転方向の位置を示すものである。
また、釜駆動用データにおいては、主軸角度と中釜の角度との対応を規定する角度対応データが記憶され(図12参照)、下糸張力制御用データにおいては、主軸角度とトルクの値との対応を規定する角度・トルク対応データが記憶されている(図13参照)。なお、中釜の角度とは、釜駆動用モータ252の回転方向の位置を示すものであり、下糸張力制御用データにおけるトルクとは、下糸張力制御用モータ202のトルクを示すものである。
次に、上記構成の刺繍用ミシン1の動作、特に、下糸張力制御装置の動作について、図14〜図16を使用して説明する。
まず、演算装置400は、記憶装置500に記憶されている刺繍データに従い、仮想主軸データを作成する。記憶装置500には、作成する刺繍についてステッチごとにステッチ幅、ステッチ方向、糸種類等の情報が記憶されているので、各ステッチのステッチ幅、ステッチ方向、糸種類に応じて仮想主軸データを作成する。この仮想主軸データは、時間ごとの仮想主軸角度のデータであり、例えば、ステッチ幅が大きい場合には、仮想主軸の角度変化を小さくし、ステッチ幅が小さい場合には、仮想主軸の角度変化を大きくする。また、ステッチの方向が前回のステッチの方向と逆の方向となる場合には、仮想主軸の角度変化を小さくする。
この演算装置400による仮想主軸データの作成は、実際に各機械要素(針棒、天秤、釜、布押え等)により刺繍縫いを行なうステッチよりも数ステッチ前の仮想主軸データを作成することにより、仮想主軸データを作成しながら実際の刺繍縫いを行なう。なお、予め演算装置400により、ある刺繍データの全体について仮想主軸データを作成しておいてもよい。
演算装置400は、作成した仮想主軸データを制御回路40に送信するとともに、記憶装置500に記憶されている、各機械要素ごとの主軸角度と該機械要素の角度との対応を規定する角度対応データ(機械用要素用データ)(例えば、天秤用データ、針棒用データ、布押え用データ、下糸張力制御用データ、釜駆動用データ)を制御回路40に送信する。
すると、制御回路40は、演算装置400からのデータに従い、各モータの動作を制御する。すなわち、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと各機械要素用データとに基づき、各機械要素についてのモータ(例えば、天秤用モータ32a、針棒用モータ32b、布押え用モータ32c、枠駆動用モータ32d、下糸張力制御用モータ202、釜駆動用モータ252)の動作を制御する。
例えば、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと釜駆動用データ(図12参照)のデータに従い、釜駆動用モータ252の動作を制御し、また、演算装置400から送信された仮想主軸データと下糸張力制御用データ(図13参照)とに基づき、下糸張力制御用モータ202の動作を制御する。
釜駆動用モータ252の動作制御に従い、釜駆動用モータ252の回転軸253が回転すると、該回転軸253が回転することによりアーム260が回転し、磁石部270が周方向に回転する。そして、磁石部270と磁石部190とが吸引しているので、磁石部270の回転に伴い中釜150が回転することになる。具体的には、本実施例における中釜150は半回転釜であるので、半回転の回転範囲を往復動するように制御される。
中釜150の具体的な動作について図14を使用して説明すると、中釜150は、図14(a)に示す回転範囲の一方の端部にある状態から図14(e)に示す回転範囲の他方の端部にある状態との間を往復回転し、図14(a)の状態から正面視において右回転すると、図14(b)に示すように、剣先172が上糸90に挿通される。図14(b)は、糸掛け部174の位置が上死点(回転中心に対して最も上方の位置)にある場合を示す。中釜150が正面視においてさらに右回転すると、図14(c)に示すように、糸掛け部174に掛止された上糸90が引っ張られ、図14(d)の状態を経て図14(e)の状態となる。図14(d)は、糸掛け部174の位置が下死点(回転中心に対して最も下方の位置)にある場合を示す。図14(e)の状態になると、糸掛け部174に掛止されていた上糸90は、縫製枠が移動するとともに天秤22aが上昇することにより、上方に引き上げられて下糸320ととともに縫製される。
なお、上記の動作において、ループ状の上糸90の一方は背面本体部162の背面側を通るが(図14(d)参照)、回転盤210と中釜150の背面本体部162との間には、間隔が設けられているので、上糸が背面本体部162の背面側を通る際の支障となることがない。
中釜と針棒と天秤の1ステッチ分の期間のモーションダイヤグラムを示すと図16に示すようになり、図16における(a)の位置が、図14(a)の状態に対応し、図16における(b)の位置が、図14(b)の状態に対応し、図16における(d)の位置が、図14(d)の状態に対応し、図16における(e)の位置が、図14(e)の状態に対応する。なお、縫製枠22dは、少なくとも針棒が針板位置よりも上方にある場合に移動する。
また、下糸張力制御用モータ202の動作制御に従い、下糸張力制御用モータ202の回転軸203が回転すると、回転盤210が回転し、磁石部214が回転する。磁石部214が回転することにより、磁石部214と磁石部310におけるN極とS極とが互いに吸引して、ボビン300も回転する。
なお、下糸張力制御用モータ202の動作制御の方法としては、ボビン300下糸320を引き出す場合の回転方向(順方向)に対して逆方向に回転盤210を回転させることにより、上糸90と下糸320の係止部分を強く締めることができる。該係止部分を強く締めてより固い仕上げの刺繍にする場合には、下糸張力制御用モータ202に流れる電流値を高くすることにより、下糸張力制御用モータ202のトルクを大きくする。つまり、下糸を強く締める場合には、下糸張力制御用データにおけるトルク値を大きくしておく。すなわち、下糸に対して張力を付与するタイミングで下糸張力制御用モータ202をトルク制御して、ボビン300順方向に対して逆方向に回転力を付与する。
具体的に下糸張力制御用モータ202をトルク制御するタイミングとしては、例えば、縫い針が加工布から抜けた状態から天秤22aの上死点を過ぎた位置までの期間T(図16参照)とし、少なくとも、天秤22aの下死点から上死点までの中間位置から天秤22aの上死点までの期間とする。つまり、縫い針が加工布から抜けて天秤22aが上昇していく期間においては、天秤22aが上糸90を引き上げて上糸90と下糸320の係止部分を締めるので、上記の期間において、下糸張力制御用モータ202をトルク制御することにより、係止部分の締付け具合を制御でき、上糸と下糸の締付け具合を制御することができる。つまり、該期間における下糸張力制御用モータ202のトルク制御のトルク値を大きくすることにより固い仕上げの刺繍にすることができ、一方、該期間における下糸張力制御用モータ202のトルク制御のトルク値を小さくすることにより柔らかい仕上げの刺繍にすることができる。
また、本実施例においては、刺繍用ミシン1は、刺繍ヘッド10−1〜10−nを有するいわゆる多頭式であるが、各刺繍ヘッドにおいて、同じように下糸張力制御を行なうことにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。つまり、適用する下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。また、各刺繍ヘッドごとに、適用する下糸張力制御用データを異なるものとすることにより、各刺繍ヘッドごとに異なる下糸張力制御を行なうことができる。
なお、刺繍用ミシン1の使用に際して、ボビン300を交換する場合には、ボビン300はボビン収納部180内に磁石部310と磁石部214の吸引力により保持されているので、中釜押さえ130の側から該吸引力に抗してボビン300を引き出すようにする。また、新たなボビン300をボビン収納部180内に収納するには、ボビン300を中釜押さえ130側からボビン収納部180内に収納することにより、磁石部310と磁石部214とが吸引するので、容易にボビン300をボビン収納部180内に収納することができる。
以上のように、本実施例の刺繍用ミシン1によれば、下糸320の張力を下糸張力制御用モータ202により刺繍用ミシン1の動作中に自由に制御できる。
また、下糸張力制御用モータ202により回転制御される回転盤210に設けられた磁石部214とボビン300に設けられた磁石部310とによって下糸320の張力を制御するので、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。特に、従来のように、下糸張力を下糸と他の部材との摩擦により付与する場合には、湿度等により摩擦力は変化するので精度よく制御することができないが、本実施例の場合には、精度のよい制御が可能となる。
また、下糸320に付与される張力は下糸張力制御用モータ202に印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かく制御することができる。
また、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合には、従来では、下糸を他の部材との摩擦により下糸張力を制御するので、各刺繍ヘッドにおいて等しく下糸張力制御を行なうことができなかったが、本実施例の場合には、適用する下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、中釜150にはボビン収納部180が設けられていて、ボビン収納部180に収納されたボビン300は、磁石部310が回転盤210の磁石部214によって吸引されることにより、ボビン収納部180内に安定して収納されるので、中釜150にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。すなわち、従来では、ボビンをボビンケースに収納し、ボビンを収納したボビンケースを中釜に取り付ける構成であるが、本実施例の場合には、ボビンケースを必要としない。また、本実施例においては、ボビン300は、ボビン収納部180に容易に着脱することができる。つまり、磁石部310と磁石部214の吸引力によりボビン300を容易にボビン収納部180内に収納できる。
また、本実施例の刺繍用ミシン1においては、中釜150が釜駆動部250により駆動され、磁石部270と磁石部190とが吸引して、磁石部270が周方向に回転するのに伴い中釜150が回転するので、中釜を駆動する際の駆動音を低下させることができる。すなわち、従来では、半回転式の中釜は中釜の両側に接するドライバーにより回転駆動され、中釜が正回転と逆回転を繰り返す際に、ドライバーと中釜とが接する音が発生するが、本実施例の場合には、ドライバーは設けられておらず、2つの磁石の吸引力を利用して回転制御するので、そのような音が発生することがない。
実施例2における刺繍用ミシンは、上記実施例1と略同様の構成であるが、中釜が全回転する構成である点が異なる。すなわち、上記実施例1における中釜は半回転式であるのに対して、実施例2における中釜は全回転式であり、実施例1と比べて、下糸張力制御機構部と釜駆動部の構成が異なる。
本実施例における釜100と、下糸張力制御機構部1200と、釜駆動部1250の構成は、図17に示すように構成され、釜100の構成は、実施例1における釜100と同様の構成である。
下糸張力制御機構部1200は、下糸張力制御用モータ1202と、下糸張力制御用モータ1202の回転軸1203に取り付けられた回転盤1210とを有している。
下糸張力制御用モータ1202は、正逆回転可能に構成され、その回転軸1203の軸芯は中釜150における軸部184の軸芯と一致するように形成されている。なお、下糸張力制御用モータ1202は、実施例1とは異なり、釜駆動用モータ1252の背面側に設けられている。また、下糸張力制御用モータ1202の回転軸1203は、実施例1の回転軸203と比べて長く形成されていて、釜駆動用モータ1252内の挿通穴と釜駆動用モータ1252の筒状の回転軸を挿通して、釜駆動用モータ1252の正面側に突出している。なお、下糸張力制御用モータ1202は、釜土台に固定されている。
回転盤1210は、実施例1の回転盤210と同様の構成であり、円形板状の回転盤本体1212と、回転盤本体1212の正面側の面に取り付けられたリング状の磁石部(第2磁石部)1214とを有している。回転盤本体1212は、実施例1の回転盤本体212と同様の構成であり、磁石部1214は、実施例1の磁石部214と同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。また、回転盤本体1212の背面側の面には、実施例1の筒状部216と同様の構成の筒状部が設けられ、該筒状部が下糸張力制御用モータ1202の回転軸1203に軸支して固定されている。なお、釜100と下糸張力制御機構部1200とを釜土台に固定した状態では、回転盤1210の磁石部1214は、外釜110内に配置された中釜150の背面本体部162の背面側の面に間隔を介して近接した状態となっている。
また、釜駆動部1250は、釜駆動用モータ1252と、釜駆動用モータ1252の回転軸に軸支されたアーム1260と、アーム1260の先端に設けられた磁石部(第4磁石部)1270とを有している。
釜駆動用モータ1252は、筒状に形成され、軸線に沿って円柱状の挿通穴が形成されている。また、釜駆動用モータ1252の回転軸も筒状に形成され、釜駆動用モータ1252の回転軸の軸線は、下糸張力制御用モータ1202の回転軸1203の軸芯と一致するように設けられている。この釜駆動用モータ1252も、下糸張力制御用モータ1202と同様に、釜土台に取り付けられている。なお、釜駆動用モータ1252は、中釜150が全回転式となるので、一方向のみに回転すれば足りる。なお、正逆回転する構成であってもよい。
また、アーム1260は、全体に略L字状を呈し、略棒状の基端部1262と、基端部1262の先端から連設された先端部1264とを有し、基端部1262は、釜駆動用モータ1252の回転軸の軸線に対して直角方向に設けられ、先端部1264は、釜駆動用モータ1252の回転軸の軸線と平行に設けられている。なお、基端部1262の長さは、先端部1264が回転盤1210に接触しないとともに、先端部1264の先端に取り付けられた磁石部1270が磁石部190の背面側に位置するような長さに設定されている。同様に、先端部1264の長さも、磁石部1270が背面側テーパ状部164の背面側に近接するような長さに設定されている。
また、磁石部1270は、実施例1の磁石部270と同様の構成であり、扇状の板状を呈し、中釜150の背面側テーパ状部164の背面側の面になるべく近接するように、背面側テーパ状部164の背面側の面の形状に合わせて湾曲して形成されている。
なお、磁石部1270と磁石部190とは互いに吸引するように構成され、磁石部1270の中釜150の背面側テーパ状部164側の面がN極とS極の一方とした場合に、磁石部190の背面側テーパ状部164側の面がN極とS極の他方となるように設定されている。これにより、釜駆動用モータ1252を駆動することにより、釜駆動用モータ1252の回転軸が回転し、該回転軸が回転することによりアーム1260が回転し、磁石部1270が周方向に回転する。そして、磁石部1270と磁石部190とが吸引しているので、磁石部1270の回転に伴い中釜150が回転することになる。
なお、下糸張力制御機構部1200と釜駆動部1250とは上記のように構成されていて、特に、釜駆動用モータ1252の背面側に下糸張力制御用モータ1202が設けられていて、回転盤1210の周囲が開放されているので、アーム1260は全回転することが可能である。
本実施例の下糸張力制御機構部1200と釜駆動部1250以外の構成は、上記実施例1と同様である(例えば、釜100やボビン300の構成は実施例1と同様である)ので詳しい説明を省略する。
本実施例の刺繍用ミシンの動作は、上記実施例1の刺繍用ミシン1の動作と同様であり、制御回路40は、演算装置400からのデータに従い、各モータの動作を制御する。すなわち、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと各機械要素用データとに基づき、各機械要素についてのモータ(例えば、天秤用モータ32a、針棒用モータ32b、布押え用モータ32c、枠駆動用モータ32d、下糸張力制御用モータ1202、釜駆動用モータ1252)の動作を制御する。
例えば、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと釜駆動用データ(図12参照)のデータに従い、釜駆動用モータ1252の動作を制御し、また、演算装置400から送信された仮想主軸データと下糸張力制御用データ(図13参照)とに基づき、下糸張力制御用モータ1202の動作を制御する。
釜駆動用モータ1252の動作制御に従い、釜駆動用モータ1252の回転軸が回転すると、該回転軸が回転することによりアーム1260が回転し、磁石部1270が周方向に回転する。そして、磁石部1270と磁石部190とが吸引しているので、磁石部1270の回転に伴い中釜150が回転することになる。具体的には、本実施例における中釜150は全回転釜であるので、釜駆動用モータ1252は、一方向に回転する。
中釜150の具体的な動作については、図14(a)〜(e)に示すように動作し、その後、中釜150は同一方向に回転して、図14(a)に示す状態となり、その後、さらに、上糸90を掛止することなく一回転して、図14(a)に示す状態となって、1ステッチ分の動作となる。
中釜と針棒と天秤の1ステッチ分の期間のモーションダイヤグラムを示すと図18に示すようになり、中釜150は1ステッチの期間で2回転する。また、図18における(a)の位置が、図14(a)の状態に対応し、図18における(b)の位置が、図14(b)の状態に対応し、図18における(d)の位置が、図14(d)の状態に対応し、図18における(e)の位置が、図14(e)の状態に対応する。なお、縫製枠22dは、少なくとも針棒が針板位置よりも上方にある場合に移動する。
また、下糸張力制御用モータ1202の動作制御に従い、下糸張力制御用モータ1202の回転軸1203が回転すると、回転盤1210が回転し、磁石部1214が回転する。磁石部1214が回転することにより、磁石部1214と磁石部310におけるN極とS極とが互いに吸引して、ボビン300も回転する。
なお、下糸張力制御用モータ1202の動作制御の方法としては、実施例1の場合と同様に、ボビン300を下糸320を引き出す場合の回転方向(順方向)に対して逆方向に回転盤1210を回転させることにより、上糸90と下糸320の係止部分を強く締めることができる。
すなわち、具体的に下糸張力制御用モータ1202をトルク制御するタイミングとしては、実施例1の場合と同様に、例えば、縫い針が加工布から抜けた状態から天秤22aの上死点を過ぎた位置(又は上死点の位置)までの期間T(図18参照)とし、少なくとも、天秤22aの下死点から上死点までの略中間位置から天秤22aの上死点までの期間とする。つまり、該期間における下糸張力制御用モータ1202のトルク制御のトルク値を大きくすることにより固い仕上げの刺繍にすることができ、一方、該期間における下糸張
力制御用モータ1202のトルク制御のトルク値を小さくすることにより柔らかい仕上げの刺繍にすることができる。
以上のように、本実施例の刺繍用ミシンによれば、実施例1の刺繍用ミシン1と同様の効果を得ることができる。
つまり、下糸320の張力を下糸張力制御用モータ1202により刺繍用ミシン1の動作中に自由に制御できる。
また、下糸張力制御用モータ1202により回転制御される回転盤1210に設けられた磁石部1214とボビン300に設けられた磁石部310とによって下糸320の張力を制御するので、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。特に、従来のように、下糸張力を下糸と他の部材との摩擦により付与する場合には、湿度等により摩擦力は変化するので精度よく制御することができないが、本実施例の場合には、精度のよい制御が可能となる。
また、下糸320に付与される張力は下糸張力制御用モータ1202に印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かい制御することができる。
また、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合には、従来では、下糸を他の部材との摩擦により下糸張力を制御するので、各刺繍ヘッドにおいて等しく下糸張力制御を行なうことができなかったが、本実施例の場合には、適用する下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、中釜150にはボビン収納部180が設けられていて、ボビン収納部180に収納されたボビン300は、磁石部310が回転盤1210の磁石部1214によって吸引されることにより、ボビン収納部180内に安定して収納されるので、中釜150にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。また、本実施例においては、ボビン300は、ボビン収納部180に容易に着脱することができる。
なお、上記の説明、すなわち、実施例1及び実施例2の説明においては、ミシンとして刺繍用ミシンを例にとって説明したが、他のミシン、すなわち、刺繍用ミシン以外のミシンであってもよい。
次に、実施例3の刺繍用ミシンを主として図20〜図28を使用して説明する。実施例3における刺繍用ミシンは、上記実施例1と略同様の構成であるが、中釜150と下糸張力制御機構部200における回転盤210の構成が異なる。
すなわち、図20〜図25に示すように、中釜150における中釜本体部160の背面部161は、背面本体部162と、背面側テーパ状部164とが構成されるが、背面本体部162の構成が実施例1の場合とは異なる。
すなわち、背面本体部162は、図20〜図22、図24に示すように、リング状の板状の平板状部(背面部板状部)162aと、平板状部162aの中央に形成された凹部(背面部凹部)162bとを有している。
つまり、平板状部162aは、中央に円形の開口部を有する円形板状を呈し、背面側テーパ状部164の内側の辺部から連設されている。この平板状部162aは、中釜150の回転中心に対して直角の面をなしていて、レース部152の内径よりも小さい外径を有し、レース部152の背面側の端部よりも背面側に位置している。
また、凹部162bは、平板状部162aの円形の開口部に正面側(図20〜図22におけるY1側)に向けて凹状に形成され、平板状部162aの内側の辺部から正面側に連設された凹部周設部(「凹部筒状部」としてもよい)162b−1と、凹部周設部(「凹部板状部」としてもよい)162b−1の正面側の端部に設けられた凹部奥設部162b−2とを有している。
この凹部周設部162b−1は、正面側に向けて径が小さくなるテーパ状の筒状を呈している。また、凹部奥設部162b−2は、凹部周設部162b−1の正面側の開口部を塞ぐように形成され、円形板状を呈している。なお、凹部奥設部162b−2の背面側の面は、平板状部162aの正面側の面よりも正面側にあり、これにより、平板状部162aの正面側の面と凹部奥設部162b−2の背面側の面の間には、回転中心を通る前後方向(軸線方向)(Y1−Y2方向)に間隔が設けられ、下糸張力制御機構部200の回転盤210に設けられた磁石部214の正面側の面が平板状部162aの正面側の面よりも正面側に位置することができるようになっている。
なお、ボビン収納部180における軸部184は、凹部奥設部162b−2の正面側の面に設けられている。
中釜150における上記背面本体部162以外の構成は、実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。また、釜100における中釜150以外の構成は、実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。
次に、下糸張力制御機構部200における回転盤(「磁石ユニット」としてもよい)210は、下糸張力制御用モータ202の回転軸203に取り付けられ、回転軸203に固定して取り付けられた回転盤本体(回転体)(「ユニット本体」としてもよい)212と、回転盤本体212の正面側に設けられた凹部に固定して設けられた磁石部214とを有している。
ここで、回転盤本体212は、全体に略円錐台形状を呈し、正面側(先端側)に円柱状の穴部を有している。回転盤本体212の周面はテーパ状を呈するが、回転盤本体212の周面は、中釜150における背面本体部162の凹部162bの凹部周設部162b−1の内周面と平行に形成されている。つまり、回転盤本体212の周面がその回転中心を通る軸線となす角度γ1は、凹部周設部162b−1の内周面が中釜150の回転中心を通る軸線となす角度γ2と略同一となっている。これにより、回転盤本体212の周面と凹部周設部162b−1の内周面間の隙間の幅U1は、略均等に形成されている。これにより、回転盤本体212の正面側の端部の径(直径)(磁石部214の径とも略一致する)は、凹部奥設部162b−2の径(直径)よりも小さく形成されている。また、回転盤本体212の周面と凹部周設部162b−1の内周面間の隙間の幅U1と、磁石部214と凹部奥設部162b−2間の隙間の幅U2とは、略同一に形成されている。
また、磁石部214は、回転盤本体212の正面側の穴部内に固定して設けられ、略円柱状を呈している。磁石部214の前後方向の長さは、回転盤本体212の穴部の前後方向の長さと略同一であり、磁石部214は、正面側の円形の面のみが露出した状態となっている。これにより、下糸張力制御用モータ202の回転軸203が回転することにより、回転盤本体212が回転し、回転盤本体212が回転することにより、磁石部214も回転する。
この磁石部214は、永久磁石であり、回転中心(つまり、回転中心を通る軸線)に沿った平面で区画した一方がN極で他方がS極となるように構成され、磁石部214の磁化方向は、径方向となっている。ここで、磁化方向が径方向であるとは、磁力線が主として磁石部214から磁石部214の径方向に出る(つまり、磁石部214の周面から径方向(磁石部214の軸線から該軸線に対して直角の方向に出る)ことを意味し、磁石部214が回転盤本体212に取り付けられた状態では、磁力線が主として磁石部214から下糸張力制御用モータ202の回転軸203の軸線に対して略直角に出ることを意味している。つまり、実施例3における磁石部214は、具体的には、図28(a)に示すような径方向2極の磁石である。磁石部214は、径方向に磁化されたものであれば略円柱状でなくてもよく、例えば、リング状であってもよい。つまり、磁石部214は、図28(b)に示す外周2極の磁石でもよい。すなわち、少なくとも、磁石部214の周面が2極に形成されている。
なお、回転盤210と中釜150との前後方向の位置関係は、磁石部214の正面側の面が、中釜150における背面本体部162の平板状部162aの正面側の面よりも正面側(つまり、凹部162bの奥側)となるように設定されている。また、磁石部214の正面側の面は、凹部奥設部162b−2の背面側の面とは、間隔が設けられている。これにより、中釜150における背面本体部162においては、平板状部162aと凹部162bはともに回転盤210と間隔を介して設けられている。
なお、実施例1と同様に、中釜150における磁石部190以外の構成(少なくとも背面部161とボビン収納部180)は、非磁性体(例えば、アルミニウム、ステンレス)により形成されている。すなわち、ボビン300には、磁石部310が設けられているので、磁石部310が背面本体部162を吸引して、下糸張力制御用モータ202の回転によるボビン300の回転制御に支障がないように、中釜150における磁石部190以外の構成は、非磁性体により形成されている。
下糸張力制御機構部200における回転盤210以外の構成は、実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。
また、ボビン300は、実施例1におけるボビン300と同様の構成であるが、磁石部310の厚み(前後方向の厚み)は、磁石部310の背面側の面が磁石部214の正面側の面と前後方向に略一致するように、実施例1のボビン300における磁石部310の厚みよりも厚く形成されている。すなわち、磁石部310の厚みは、磁石部310と磁石部214の磁力が釣り合って、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向に略一致する状態の場合に、ボビン本体302の背面側の端部が、凹部奥設部162b−2の正面側の面と前後方向において一致するか、又は、ボビン本体302の背面側の端部が、凹部奥設部162b−2の正面側の面よりも正面側に位置するような厚みとなっている。なお、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向に略一致する状態の場合に、ボビン本体302の背面側の端部が軸部184の背面側の端部位置に位置し、ボビン本体302の背面側の端部が凹部162bに接してしまうと、ボビン本体302と凹部162bとの間に摩擦が発生してしまうので、磁石部310と磁石部214の磁力が釣り合って、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向に略一致する状態の場合に、ボビン本体302の背面側の端部は、凹部162bの正面側の端部にまで達しないように、磁石部の厚みを設定するのが好ましい(図20〜図22参照)。
なお、実施例3における磁石部310は、上記実施例1と同様に、永久磁石であり、リング状を呈し、回転中心(つまり、回転中心を通る軸線)に沿った平面で区画した一方がN極で他方がS極となるように構成され、磁石部310の磁化方向は、面方向(厚み方向としてもよい)となっている。ここで、磁化方向が面方向であるとは、磁力線が主として磁石部310から磁石部310の厚み方向に出る(つまり、磁石部310の厚み方向の面(磁石部310の平面部分)から厚み方向に出る)ことを意味し、磁石部310がボビン本体302に取り付けられた状態では、磁力線が主として磁石部310からボビン300の軸線(回転中心を通る軸線)と略平行に出ることを意味していており、この面方向は、径方向とは略直角の方向である。つまり、この磁石部310は、具体的には、図27(a)に示すような両面4極の磁石であり、図27(b)に示すような片面2極の磁石であってもよい。つまり、磁石部310における少なくとも一方の面が2極に形成されている。
また、磁石部310の内径は、磁石部214の外径よりも大きく形成されていて、特に、図20、図21に示すように、磁石部310と磁石部214の間に中釜150の背面本体部162が存在しても、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向において略一致し、かつ、中釜150の背面本体部162と回転盤210の間に隙間が形成されるように、磁石部310の内径と磁石部214の外径が設定される。
ボビン300における上記以外の構成は、実施例1と同様であるので詳しい説明を省略する。
また、実施例3における上記以外の構成、例えば、ミシンテーブル3と、刺繍ヘッド10−1〜10−nと、縫製枠22dと、枠駆動用モータ32dと、釜駆動部250と、演算装置400と、記憶装置500の構成は、上記実施例1と同様であるので、詳しい説明を省略する。
次に、実施例3の刺繍用ミシンの動作、特に、下糸張力制御装置の動作について説明する。
実施例3の刺繍用ミシンにおける下糸張力制御装置の動作は、実施例1と同様であり、制御回路40は、演算装置400から送信された仮想主軸データと釜駆動用データのデータに従い、釜駆動用モータ252の動作を制御し、また、演算装置400から送信された仮想主軸データと下糸張力制御用データとに基づき、下糸張力制御用モータ202の動作を制御する。
そして、下糸張力制御用モータ202の動作制御に従い、下糸張力制御用モータ202の回転軸203が回転すると、回転盤210が回転し、磁石部214が回転する。磁石部214が回転することにより、磁石部214と磁石部310におけるN極とS極とが互いに吸引して、ボビン300も回転する。
なお、下糸張力制御用モータ202の動作制御の方法としては、ボビン300下糸320を引き出す場合の回転方向(順方向)に対して逆方向に回転軸203を回転し、回転盤210を回転させることにより、上糸90と下糸320の係止部分を強く締めることができる。該係止部分を強く締めてより固い仕上げの刺繍にする場合には、下糸張力制御用モータ202に流れる電流値を高くすることにより、下糸張力制御用モータ202のトルクを大きくする。つまり、下糸を強く締める場合には、下糸張力制御用データにおけるトルク値を大きくしておく。すなわち、下糸に対して張力を付与するタイミングで下糸張力制御用モータ202をトルク制御して、ボビン300順方向に対して逆方向に回転力を付与する。
また、具体的に下糸張力制御用モータ202をトルク制御するタイミングとしては、実施例1の場合と同様に、例えば、縫い針が加工布から抜けた状態から天秤22aの上死点を過ぎた位置(又は上死点の位置)までの期間T(図16参照)とし、少なくとも、天秤22aの下死点から上死点までの略中間位置から天秤22aの上死点までの期間とする。つまり、該期間における下糸張力制御用モータ202のトルク制御のトルク値を大きくすることにより固い仕上げの刺繍にすることができ、一方、該期間における下糸張力制御用モータ202のトルク制御のトルク値を小さくすることにより柔らかい仕上げの刺繍にすることができる。
その際、磁石部310の磁化方向が面方向であるとともに、磁石部214の磁化方向が径方向であり、かつ、磁石部310の内径は、磁石部214の外径よりも大きく形成されていることから、図26に示すように、磁石部310のN極と磁石部214のS極が対向するとともに、磁石部310のS極と磁石部214のN極が対向し、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向において一致する(つまり、同一平面上にある)(少なくとも略一致する)状態で両磁石の磁力が釣り合うことになる。すなわち、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが、前後方向において、図21、図26における点Lの位置で一致する。そして、その状態で、磁石部214が回転することにより、磁石部310と磁石部214の前後方向の位置関係を保ったまま、互いのN極とS極とが対向するように互いに吸引しながらボビン300が回転することになる。よって、磁石部214の正面側の面が、中釜150における背面本体部162の平板状部162aの正面側の面よりも正面側となるように設定されているので、ボビン300の磁石部310と中釜150の平板状部162aとは間には隙間Vが形成され、ボビン300における磁石部310は、中釜150の平板状部162aの正面側の面に接することがなく、磁石部310と中釜150の平板状部162aが接することによる摩擦を防止することができる。
また、釜駆動用モータ252の動作制御に従い、釜駆動用モータ252の回転軸253が回転すると、該回転軸253が回転することによりアーム260が回転し、磁石部270が周方向に回転する。そして、磁石部270と磁石部190とが吸引しているので、磁石部270の回転に伴い中釜150が回転することになる。実施例3における中釜150は半回転釜であるので、半回転の回転範囲を往復動するように制御される。
中釜150の具体的な動作は、実施例1と同様に図14に示すようになり、ループ状の上糸90の一方は背面本体部162の背面側を通るが(図14(d)参照)、回転盤210と中釜150の背面本体部162との間には、間隔が設けられているので、上糸が背面本体部162の背面側を通過する際の支障となることがない。また、特に、回転盤210の周面と凹部162bの凹部周設部162b−1の周面はテーパ状に形成されているので、上糸が背面本体部162の背面側を通過する際に円滑に通過することができる。
以上のように、実施例3の刺繍用ミシンによれば、実施例1の場合と同様に、下糸320の張力を下糸張力制御用モータ202により刺繍用ミシン1の動作中に自由に制御できる。
また、実施例1の場合と同様に、下糸張力制御用モータ202により回転制御される回転盤210に設けられた磁石部214とボビン300に設けられた磁石部310とによって下糸320の張力を制御するので、下糸と他の部材との摩擦により張力を制御する場合に比べて精度よく張力制御を行なうことができる。
また、実施例1の場合と同様に、下糸320に付与される張力は下糸張力制御用モータ202に印加される電流値により制御され、下糸張力は電流値に比例するので、電流値を細かく制御することにより、下糸の張力をきめ細かく制御することができる。
また、特に、実施例3の場合には、磁石部310の磁化方向が面方向であるとともに、磁石部214の磁化方向が径方向であり、かつ、磁石部310の内径は、磁石部214の外径よりも大きく形成されていて、磁石部214の正面側の面が、中釜150における背面本体部162の平板状部162aの正面側の面よりも正面側となるように設定されているので、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向において略一致する状態で両磁石の磁力が釣り合い、ボビン300における磁石部310は、中釜150の平板状部162aの正面側の面に接することがなく、磁石部310と中釜150の平板状部162aが接することによる摩擦を防止することができる。よって、ボビン300の回転を円滑にすることができ、下糸の張力をよりきめ細かく制御することが可能となる。
また、実施例1の場合と同様に、複数の刺繍ヘッドを有する多頭式の場合には、従来では、下糸を他の部材との摩擦により下糸張力を制御するので、各刺繍ヘッドにおいて等しく下糸張力制御を行なうことができなかったが、本実施例の場合には、適用する下糸張力制御用データを同じデータとすることにより、各刺繍ヘッドにおいて下糸張力を等しく制御することができる。
また、実施例1の場合と同様に、中釜150にはボビン収納部180が設けられていて、ボビン収納部180に収納されたボビン300は、磁石部310が回転盤210の磁石部214によって吸引されることにより、ボビン収納部180内に安定して収納されるので、中釜150にボビンを取り付ける機構を別途設ける必要がない。すなわち、従来では、ボビンをボビンケースに収納し、ボビンを収納したボビンケースを中釜に取り付ける構成であるが、本実施例の場合には、ボビンケースを必要としない。また、本実施例においては、ボビン300は、ボビン収納部180に容易に着脱することができる。つまり、磁石部310と磁石部214の吸引力によりボビン300を容易にボビン収納部180内に収納できる。
また、実施例1の場合と同様に、本実施例の刺繍用ミシンにおいては、中釜150が釜駆動部250により駆動され、磁石部270と磁石部190とが吸引して、磁石部270が周方向に回転するのに伴い中釜150が回転するので、中釜を駆動する際の駆動音を低下させることができる。すなわち、従来では、半回転式の中釜は中釜の両側に接するドライバーにより回転駆動され、中釜が正回転と逆回転を繰り返す際に、ドライバーと中釜とが接する音が発生するが、本実施例の場合には、ドライバーは設けられておらず、2つの磁石の吸引力を利用して回転制御するので、そのような音が発生することがない。
なお、実施例3における中釜150と回転盤210とボビン300の構成は、上記実施例2の構成に適用してもよい。すなわち、実施例2における中釜150の代わりに実施例3の中釜を適用し、実施例2における回転盤1210の代わりに実施例3の回転盤210を適用し、実施例2におけるボビン300の代わりに実施例3のボビンを適用するのである。
そのように構成することにより、磁石部310の磁化方向が面方向であるとともに、磁石部214の磁化方向が径方向であり、磁石部310の内径は、磁石部214の外径よりも大きく形成されていて、磁石部214の正面側の面が、中釜150における背面本体部162の平板状部162aの正面側の面よりも正面側となるように設定されているので、磁石部310の背面側の面と磁石部214の正面側の面とが前後方向において略一致する状態で両磁石の磁力が釣り合い、ボビン300における磁石部310は、中釜150の平板状部162aの正面側の面に接することがなく、磁石部310と中釜150の平板状部162aが接することによる摩擦を防止することができる。よって、下糸の張力をよりきめ細かく制御することが可能となる。
なお、上記実施例3の説明においては、磁石部310の少なくとも一方の面が2極に形成され、磁石部214の周面が2極に形成されているとしたが、磁石部310が面方向に
磁化されていれば、少なくとも一方の面を多極に形成してもよく、磁石部214の周面を多極に形成してもよい。すなわち、磁石部310の片面の極数をm(mは2のn乗(nは1以上の整数))とし、磁石部214の極数をm(mは2のn乗(nは1以上の整数))とする。例えば、磁石部310を図27(c)の両面多極又は図27(d)の片面多極に形成してもよく、また、磁石部214を図28(c)の径方向多極又は図28(d)の外周多極に形成してもよい。図27(c)は具体的には両面8極であり、図27(d)は片面4極であり、図28(c)は具体的には径方向4極であり、図28(d)は外周4極となる。
なお、そのように多極に形成する場合には、磁石部310の片面の極数と磁石部214の極数は同一にする必要があり、例えば、磁石部310を片面4極にする場合には、磁石部214を径方向4極又は外周4極とする。
また、上記実施例1及び実施例2においても、磁石部310の少なくとも一方の面が2極に形成され、また、磁石部214の少なくとも一方の面が2極に形成されているとしたが、磁石部310及び磁石部214が面方向に磁化されていれば、少なくとも一方の面を多極に形成してもよい。すなわち、磁石部310と磁石部214の片面の極数をm(mは2のn乗(nは1以上の整数))とする。例えば、磁石部310及び磁石部214を図27(c)の両面多極又は図27(d)の片面多極に形成してもよい。なお、磁石部214については、図27(c)、図27(d)のようにリング状でなくても、円柱状の両面多極や片面多極としてもよい。なお、そのように多極に形成する場合には、磁石部310の片面の極数と磁石部214の極数は同一にする必要がある。
なお、上記の説明、すなわち、実施例1〜3の説明においては、刺繍データに従い仮想主軸データを作成し、仮想主軸データと各機械要素データのデータに従い、各機械要素についてのモータを制御するとしたが、刺繍データに基づき直接各機械要素についてのモータを制御するようにしてもよい。
なお、上記の説明、すなわち、実施例3の説明においては、ミシンとして刺繍用ミシンを例にとって説明したが、他のミシン、すなわち、刺繍用ミシン以外のミシンであってもよい。
1 刺繍用ミシン
10−1〜10−n 刺繍ヘッド
20 機械要素群
22a 天秤
22b 針棒
22c 布押え
30 制御装置
32a 天秤用モータ
32b 針棒用モータ
32c 布押え用モータ
40 制御回路
100 釜
110 外釜
130 中釜押さえ
150 中釜
152 レース部
160 中釜本体部
161 背面部
162 背面本体部
162a 平板状部
162b 凹部
162b−1 凹部周設部
162b−2 凹部奥設部
164 背面側テーパ状部
164a 第1領域
164b 第2領域
166 正面側テーパ状部
170 先端部
172 剣先
174 糸掛け部
180 ボビン収納部
182 筒状部
184 軸部
190、214、270、310、1214、1270 磁石部
200、1200 下糸張力制御機構部
202、1202 下糸張力制御用モータ
210、1210 回転盤
212、1212 回転盤本体
220 支持部
250、1250 釜駆動部
252、1252 釜駆動用モータ
260、1260 アーム
300 ボビン
302 ボビン本体
400 演算装置
500 記憶装置

Claims (14)

  1. ミシンの下糸張力制御装置であって、
    円弧状の内周面における該内周面の軸線方向の一方の側である正面側にガイド溝が形成された外釜(110)と、
    外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、
    中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、
    レース部の内周縁の背面側の端部から連設された背面部(161)と、
    背面部の正面側の面に形成され、背面部の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、を有し、少なくとも背面部と軸部とが非磁性体により形成された中釜(150)と、
    外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、
    中釜の軸部が挿通する穴部を有し、該穴部に該軸部を挿通することにより中釜内に軸支されるボビンで、軸部に軸支した際に中釜の背面部と対向する面である背面側の面に設けられた第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、
    中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転軸を回転させる下糸張力制御用モータ(202、1202)と、下糸張力制御用モータにより回転され、中釜の背面部に近接して設けられた第2磁石部で、第1磁石部を回転させる第2磁石部(214、1214)と、を有する下糸張力制御機構部(200、1200)と、
    を有することを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。
  2. 中釜の背面部におけるボビンの第1磁石部が設けられた面が対向する部分の外周側の部分に第3磁石部(190)が設けられ、
    第3磁石部に近接して設けられた第4磁石部(270、1270)を有し、第4磁石部を中釜の回転中心となる軸線を中心に回転させる釜駆動用モータ(252、1252)を有する釜駆動部(250、1250)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  3. 中釜における背面部が、中釜の回転中心となる軸線に対して直角をなしレース部の内径よりも小さい外径を有する略円形平板状の背面本体部(162)と、背面本体部の周囲とレース部間に形成されレース部側から背面本体部側に向けて小径となるテーパ状に形成された背面側テーパ状部(164)と、を有し、第3磁石部が、背面側テーパ状部の正面側又は背面側の面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  4. 中釜が略半回転に往復回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)を有し、釜駆動部において、釜駆動用モータが下糸張力制御用モータの背面側に同軸に設けられ、釜駆動用モータの回転軸である第2回転軸には、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(264)とを有した略L字状のアーム(260)が設けられ、第4磁石部は、該アームの先端に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  5. 中釜が全回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)を有し、釜駆動用モータは、下糸張力制御用モータと中釜との間の位置に設けられ、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能な挿通穴を有し、釜駆動用モータの回転軸である第2回転軸は、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能に筒状に形成され、該第2回転軸の軸線が下糸張力制御用モータの回転軸の軸線と同軸に設けられ、第2回転軸には、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(1262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(1264)とを有した略L字状のアーム(1260)が設けられ、第4磁石部は、該アームの先端に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  6. 中釜の背面部における正面側の面に設けられ、軸部に軸支されたボビンを収納するための円筒状部(182)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の下糸張力制御装置。
  7. 下糸張力制御用モータの回転軸に中釜の背面部に近接して板状の回転板(212)が設けられ、該回転の正面側に第2磁石部(214)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  8. ミシンの下糸張力制御装置であって、
    内周面にガイド溝が形成された外釜(110)と、
    外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、
    中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、
    レース部の内側の端部から連設された中釜本体部で、レース部の内周縁の軸線方向の一方の端部ある背面側の端部から連設された背面部で、中釜の回転中心となる軸線に対して直角をなしレース部の内径よりも小さい外径を有する略円形平板状の背面本体部(162)と、背面本体部の周囲とレース部間に形成されレース部側から背面本体部側に向けて小径となるテーパ状に形成された背面側テーパ状部(164)と、を有する背面部(161)と、レース部の内周縁の他方である正面側の端部から連設され、正面側に向けて小径となるテーパ状に形成された正面側テーパ状部(166)と、を有する中釜本体部(160)と、
    背面本体部の正面側の面に形成されたボビン収納部で、背面本体部の中央から中釜の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、背面本体部の正面側の面に設けられた円筒状部(182)と、を有するボビン収納部(180)と、
    背面側テーパ状部の正面側又は背面側の面に設けられた第3磁石部(190)と、を有し、中釜における第3磁石部以外の構成が非磁性体により形成された中釜(150)と、
    外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、
    中釜のボビン収納部に収納されるボビンで、回転中心となる軸線と直角の面に設けられた第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、
    中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転軸を回転させる下糸張力制御用モータ(202)と、下糸張力制御用モータの回転軸に取り付けられ、中釜の背面部に近接して設けられた回転盤で、回転盤が回転することにより第1磁石部を回転させる第2磁石部(214)を有する回転盤(210)と、を有する下糸張力制御機構部(200)と、
    下糸張力制御用モータの背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸である第2回転軸を有する釜駆動用モータ(252)と、第2回転軸に設けられたアームで、該第2回転軸に取り付けられ、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(264)とを有した略L字状のアーム(260)と、アームの先端に設けられ、第3磁石部に近接して設けられた第4磁石部(270)を有する釜駆動部(250)と、
    中釜が略半回転に往復回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)と、
    を有することを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。
  9. ミシンの下糸張力制御装置であって、
    内周面にガイド溝が形成された外釜(110)と、
    外釜のガイド溝に沿って回転し、上糸を掛止する中釜で、
    中釜の周縁に沿って円弧状に形成され、ガイド溝に摺動可能に支持されるレース部(152)と、
    レース部の内側の端部から連設された中釜本体部で、レース部の内周縁の軸線方向の一方の端部ある背面側の端部から連設された背面部で、中釜の回転中心となる軸線に対して直角をなしレース部の内径よりも小さい外径を有する略円形平板状の背面本体部(162)と、背面本体部の周囲とレース部間に形成されレース部側から背面本体部側に向けて小径となるテーパ状に形成された背面側テーパ状部(164)と、を有する背面部(161)と、レース部の内周縁の他方である正面側の端部から連設され、正面側に向けて小径となるテーパ状に形成された正面側テーパ状部(166)と、を有する中釜本体部(160)と、
    背面本体部の正面側の面に形成されたボビン収納部で、背面本体部の中央から中釜の回転中心に沿って形成された軸部(184)と、背面本体部の正面側の面に設けられた円筒状部(182)と、を有するボビン収納部(180)と、
    背面側テーパ状部の正面側又は背面側の面に設けられた第3磁石部(190)と、を有し、中釜における第3磁石部以外の構成が非磁性体により形成された中釜(150)と、
    外釜の正面側に設けられ、外釜に収納された中釜が外釜から脱落するのを防ぐための中釜押さえ(130)と、
    中釜のボビン収納部に収納されるボビンで、回転中心となる軸線と直角の面に設けられた第1磁石部(310)を有するボビン(300)と、
    中釜の背面側に設けられ、中釜の回転中心と同軸の回転軸を有し、ボビンに巻回された下糸を引き出す際のボビンの回転方向に対して反対方向に回転軸を回転させる下糸張力制御用モータ(1202)と、下糸張力制御用モータの回転軸に取り付けられ、中釜の背面部に近接して設けられた回転盤で、回転盤が回転することにより第1磁石部を回転させる第2磁石部(1214)を有する回転盤(1210)と、を有する下糸張力制御機構部(1200)と、
    下糸張力制御用モータと中釜との間の位置に設けられ、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能な挿通穴を有する釜駆動用モータで、釜駆動用モータの回転軸である第2回転軸は、下糸張力制御用モータの回転軸を挿通可能に筒状に形成され、該第2回転軸の軸線が下糸張力制御用モータの回転軸の軸線と同軸に設けられた釜駆動用モータ(1252)と、第2回転軸に設けられたアームで、該第2回転軸に取り付けられ、該第2回転軸の軸芯と直角な基端部(1262)と、基端部から連設され該第2回転軸の軸芯と平行に設けられた先端部(1264)とを有した略L字状のアーム(1260)と、アームの先端に設けられ、第3磁石部に近接して設けられた第4磁石部(1270)を有する釜駆動部(1250)と、
    中釜が全回転するように釜駆動用モータを回転制御する制御部(40)と、
    を有することを特徴とするミシンの下糸張力制御装置。
  10. 第1磁石部がリング状を呈し、径方向とは略直角方向の面方向に磁化された永久磁石であり、第2磁石部がリング状又は円柱状を呈し、面方向に磁化された永久磁石であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  11. 中釜の背面部が、レース部の内周縁の背面側の端部から連設され、中央に開口部を有する円形の背面部板状部(162a)と、該背面部板状部の開口部に形成された背面部凹部(162b)とを有し、
    ボビンに設けられた第1磁石部が、リング状を呈し、径方向とは略直角の方向である面方向に磁化された永久磁石であり、
    下糸張力制御機構部における第2磁石部が、第1磁石部の内径よりも小さい外径を有し径方向に磁化された永久磁石であり、該背面部凹部内に、第2磁石部の正面側の端部が中釜の背面部の背面部板部の正面側の面よりも正面側となり、該背面部凹部と間隔を介して設けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  12. 背面部凹部が、背面部板状部の開口部から連設され、正面側に向けて徐々に径が小さくなるテーパ状の筒状を呈する凹部周設部(162b−1)と、凹部周設部の背面部板状部側とは反対側の端部を閉じる凹部奥設部(162b−2)とを有し、
    下糸張力制御用モータの回転軸に、略円錐台形状の周面で凹部周設部の周面と略平行な周面を有し、正面側に第2磁石部を取り付ける凹部を有する回転体(212)が設けられ、該回転体の凹部に第2磁石部が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  13. 中釜に設けられた軸部が凹部の正面側に設けられ、
    第1磁石部の厚みが、第1磁石部の磁力と第2磁石部の磁力とが釣り合って、第1磁石部の背面側の面が第2磁石部の正面側の面と前後方向において略一致する状態において、ボビンにおける第1磁石部を除く部分(302)の背面側の端部が軸部の背面側の端部位置よりも正面側となるような厚みに形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のミシンの下糸張力制御装置。
  14. 請求項4又は5又は8又は9に記載のミシンの下糸張力制御装置を有するミシンであって、
    上記制御部(40)が、縫い糸が加工布から抜けた状態から天秤の上死点までの期間又は該期間の少なくとも一部の期間である特定期間において、ボビンを下糸を引き出す場合の回転方向に対して逆方向に第2磁石部が回転するように下糸張力制御用モータを回転制御することにより、ボビン該逆方向に回転力を付与することを特徴とするミシン。
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