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JP5490967B1 - 蓄電素子および蓄電素子の製造方法 - Google Patents

蓄電素子および蓄電素子の製造方法 Download PDF

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JP5490967B1 JP2013539028A JP2013539028A JP5490967B1 JP 5490967 B1 JP5490967 B1 JP 5490967B1 JP 2013539028 A JP2013539028 A JP 2013539028A JP 2013539028 A JP2013539028 A JP 2013539028A JP 5490967 B1 JP5490967 B1 JP 5490967B1
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Abstract

蓄電素子は、発電要素が収容された容器と、電解液を注入する注液孔を封止する封止栓とを備え、注液孔は、容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられ、封止栓は、注液孔に挿入される挿入部と、凹部に嵌合される嵌合部とを有し、少なくとも嵌合部の周縁部および凹部の開口周縁部のいずれか一方には、複数の塑性変形部が形成され、塑性変形部は、嵌合部の外周または凹部の内周をn等分(nは3以上の整数)してなる各領域内に1つ以上配置され、かつ、任意の塑性変形部を起点として、嵌合部の外周または凹部の内周を2等分してなる各領域内に1つ以上配置され、嵌合部の外周側面と凹部の内周側面とが全周に亘って溶接されている。

Description

本発明は、蓄電素子および蓄電素子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの二次電池は、電池缶内に発電要素が収容され、電解液が注入されている。電池缶は、電池蓋により密封されている。電解液は電池蓋に設けられた注液用の開口部(以下、注液部と記す)から電池缶内に注入され、注入後、注液部は封止栓により封止される。封止栓は、注液部に挿入され、通常、レーザ溶接などにより注液部に接合される(特許文献1)。
日本国特開2009−199819号公報
封止栓の注液部への挿入性を考慮した場合、注液部と封止栓との間には隙間が必要となる。レーザ溶接や電子ビーム溶接等により封止栓を注液部に溶接する方法では、所定の位置を溶接開始点として、封止栓の外周に沿って溶接が行われる。このため、周方向に溶接が行われる過程において、溶接開始点において溶融された金属が凝固収縮を起こし、これに伴い封止栓に位置ずれが生じ、封止栓と注液部との隙間が不均一となるおそれがある。その結果、隙間の大きい部分では、隙間を封止するための溶接金属が不足して、溶接金属に割れ等の溶接欠陥が生じる可能性がある。
本発明の第1の態様によると、蓄電素子は、発電要素が収容された容器と、電解液を注入する注液孔を封止する封止栓とを備え、注液孔は、容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられ、封止栓は、注液孔に挿入される挿入部と、凹部に嵌合される嵌合部とを有し、少なくとも嵌合部の周縁部および凹部の開口周縁部のいずれか一方には、封止栓を注液孔に対して仮止めする複数の塑性変形部が形成され、塑性変形部は、嵌合部の外周または凹部の内周をn等分(nは3以上の整数)してなる各領域内に1つ以上配置され、かつ、任意の塑性変形部を起点として、嵌合部の外周または凹部の内周を2等分してなる各領域内に1つ以上配置され、嵌合部の外周側面と凹部の内周側面とが全周に亘って溶接されている。
本発明の第2の態様によると、容器内に発電要素を収容し、容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられた注液孔から容器内に電解液を注入し、封止栓により注液孔を封止してなる蓄電素子の製造方法は、封止栓により注液孔を封止するときには、封止栓に設けられた挿入部を注液孔に挿入し、封止栓に設けられた嵌合部を凹部に嵌合して、封止栓を注液孔に配置し、少なくとも嵌合部の周縁部および凹部の開口周縁部のいずれか一方における複数の所定位置を容器の外方から押圧して塑性変形部を形成することにより、封止栓を注液孔に対して仮止めし、嵌合部の外周側面と凹部の内周側面とを、全周に亘って溶接し、塑性変形部は、嵌合部の外周または凹部の内周をn等分(nは3以上の整数)してなる各領域内に1つ以上配置され、かつ、任意の塑性変形部を起点として、嵌合部の外周または凹部の内周を2等分してなる各領域内に1つ以上配置されている。
本発明によれば、封止栓を注液部に溶接する際に、封止栓の位置ずれが防止され、封止の信頼性を向上することができる。
本発明に係る蓄電素子の一実施の形態としての角形二次電池の外観斜視図。 図1に示された角形二次電池の分解斜視図。 図2に示された発電要素を、その捲回終端部側を展開した状態の斜視図。 封止栓と注液部とを示す封止構造の拡大分解斜視図。 角形二次電池100を作製する手順を示すフローチャート。 (a)は封止栓が注液部に配置された状態を示す断面模式図、(b)は封止栓が注液部に仮止めされた状態を示す断面模式図。 (a)は封止栓が注液部にレーザ溶接される様子を示す断面模式図、(b)は封止栓が注液部に溶接された後の状態を示す断面模式図。 (a)は封止栓が注液部に配置された状態を示す平面模式図、(b)は封止栓が注液部に仮止めされた状態を示す平面模式図。 (a)は封止栓に作用する力を説明する図、(b)は封止栓が注液部に溶接された後の状態を示す平面模式図。 (a)は鍔部の外周を3等分してなる領域を示す図、(b)は第1の位置を起点として鍔部の外周を2等分してなる領域を示す図。 (a)は第2の位置を起点として鍔部の外周を2等分してなる領域を示す図、(b)は第3の位置を起点として鍔部の外周を2等分してなる領域を示す図。 (a)は第1の位置、第2の位置および第3の位置と各領域との関係を示す図、(b)は封止栓に作用する力を説明する図。 図12の比較例を示す図。 第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する断面模式図。 第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する平面模式図。 第1の実施の形態の変形例に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する断面模式図。 第2の実施の形態の変形例に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法を説明する断面模式図。 条件Aのnが4以上の整数の場合には、条件Bが必然的に満足されることを説明する図。 封止栓の鍔部に4つの塑性変形部が形成された例を説明する図。 封止栓の鍔部に6つの塑性変形部が形成された例を説明する図。 3等分されてなる各領域に1つ以上の塑性変形部が形成された例を説明する図。 周方向に不等間隔で形成された塑性変形部が形成された例を説明する図。
以下、この発明の蓄電素子および蓄電素子の製造方法の一実施形態を図面を参照して説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明に係る蓄電素子の一実施の形態としての角形二次電池の外観斜視図であり、図2は図1に示された角形二次電池の分解斜視図である。以下の説明では、角形二次電池をリチウムイオン角形二次電池として説明する。なお、説明の便宜上、図示するように上下方向を規定する。
図1に示すように、角形二次電池100は、電池缶101と電池蓋102とから構成される角形の電池容器(容器)103を備えている。電池缶101および電池蓋102の材質は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウム系金属である。
電池蓋102は、矩形平板状であって、電池缶101の開口部101d(図2参照)を塞ぐように接合されている。つまり、電池蓋102は、電池缶101を封止している。電池蓋102には、正極端子141および負極端子151が配設されている。電池蓋102には、ガス排出弁104が設けられている。ガス排出弁104は、たとえば、プレス加工によって電池蓋102を部分的に薄肉化することで形成される。ガス排出弁104には、開裂時に大きな開口が形成されるように開裂溝が形成されている。ガス排出弁104は、角形二次電池100が過充電等の異常により発熱して内部にガスが発生し、電池容器103内の圧力が上昇して所定圧力に達したときに開裂して、内部からガスを排出することで電池容器103内の圧力を低減させる。
図2に示すように、電池蓋102には、電池容器103内に電解液を注入する注液用の開口部(以下、注液部110と記す)が形成されている。電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
注液部110は電池容器103の内外を連通する注液孔111を有し(図4参照)、注液孔111を介して電解液が注入された後に封止栓120により封止される。封止栓120による注液孔111の封止構造ならびに封止方法の詳細については後述する。
図2に示すように、電池缶101には発電要素170が収容されている。電池缶101は、一対の幅広面101aと一対の幅狭面101bと底面101cとを有し、上面が開口された矩形箱状に形成されている。発電要素170は、絶縁ケース108に覆われた状態で電池缶101内に収容されている。絶縁ケース108の材質は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する樹脂である。これにより、電池缶101と、発電要素170とは電気的に絶縁されている。
正極端子141は正極集電体181を介して発電要素170の正極電極174に電気的に接続され、負極端子151は負極集電体182を介して発電要素170の負極電極175に電気的に接続されている。これにより、正極端子141および負極端子151を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、正極端子141および負極端子151を介して外部発電電力が発電要素170に供給されて充電される。
電池蓋組立体107は、電池蓋102と、電池蓋102に設けられた一対の貫通孔102hのそれぞれに取り付けられた正極端子141および負極端子151と、正極集電体181および負極集電体182と、一対のガスケット150と、一対の絶縁部材160とを含んで構成されている。
正極端子141および正極集電体181の材質はアルミニウムまたはアルミニウム合金である。負極端子151および負極集電体182の材質は銅または銅合金である。絶縁部材160およびガスケット150の材質は、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂である。
図3を参照して、発電要素170について説明する。図3は、図2に示された発電要素170を、その捲回終端部側を展開した状態の斜視図である。
蓄電要素でもある発電要素170は、図3に示すように、長尺状の正極電極174および負極電極175を、セパレータ173を介在させて捲回軸Uの周りに扁平形状に捲回することで積層構造とされている。発電要素170は、断面が半円弧形状の円弧部が両端に形成され、両端部間がほぼ平坦な平坦部とされた扁平形状の捲回電極群である。
正極電極174は、正極箔171と、正極活物質に結着材(バインダ)を配合した正極活物質合剤が正極箔171の両面に塗工されて形成された正極活物質合剤層176とを有する。負極電極175は、負極箔172と、負極活物質に結着材(バインダ)を配合した負極活物質合剤が負極箔172の両面に塗工されて形成された負極活物質合剤層177とを有する。正極活物質と負極活物質との間では、充放電が行われる。
正極箔171は、厚さ20〜30μm程度のアルミニウム合金箔であり、負極箔172は、厚さ15〜20μm程度の銅合金箔である。セパレータ173の素材は多孔質のポリエチレン樹脂である。正極活物質はマンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物であり、負極活物質はリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材である。
発電要素170の幅方向(捲回方向に直交する捲回軸U方向)の両端部は、一方は正極活物質合剤層176が形成されていない未塗工部(正極箔171の露出部)が積層された部分とされている。また、他方は負極活物質合剤層177が形成されていない未塗工部(負極箔172の露出部)が積層された部分とされている。正極側未塗工部の積層体および負極側未塗工部の積層体は、それぞれ予め押し潰され、それぞれ、電池蓋組立体107の正極集電体181および負極集電体182(図2参照)と超音波接合により接続され、電池蓋組立体107に一体化される。
封止栓120と注液部110の形状について説明する。図4は封止栓120と注液部110とを示す封止構造の拡大分解斜視図である。
注液部110は、電池蓋102の外表面に凹設された円形の凹部112と、凹部112の底面112bから電池蓋102の厚さ方向に貫通して形成された円形の注液孔111とを有する。凹部112と注液孔111とは同心円に形成されている。換言すれば、注液用の開口部である注液部110は、大径開口部を構成する凹部112と、小径開口部を構成する注液孔111とを有する段付き孔である。凹部112は、電池容器103の一側面を構成する電池蓋102の上面(電池容器103の外部)側において、電池容器103の内方に向かって窪むように設けられている。凹部112は、たとえば、座ぐり加工により形成される。凹部112は、底面112bと、底面112bの外周端から立ち上がる側面(以下、内周側面112iと記す)とを有する。凹部112の底面112bは、封止栓120の鍔部(嵌合部)122の下面が当接される面とされる。
封止栓120は、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属により形成される。封止栓120は、底部121aを有する円筒状の筒部121と、筒部121の上部外周に形成された円環状の鍔部122とを有する。鍔部122と筒部121とは同心円に形成されている。換言すれば、封止栓120は、大径部を構成する鍔部122と、小径部を構成する筒部121とを有する段付き形状を呈している。鍔部122の周縁部は、封止栓120が注液部110に配置されたときに、電池蓋102の外表面から上方(電池容器103の外方)に向かって突出する突起部122aとされ(図6参照)、突起部122aは鍔部122の全周に亘って設けられている。封止栓120の筒部121および鍔部122の中央部には、鍔部122側が開口された中空部125が形成され、封止栓120はほぼハット型形状を呈している。
第1の実施の形態に係る角形二次電池100の製造方法について説明する。図5は、角形二次電池100を作製する手順を示すフローチャートである。角形二次電池100の製造方法は、準備工程S101と、電池容器内に発電要素170を収容する収容工程S111と、注液孔111から電池容器内に電解液を注入する注液工程S121と、封止栓120により注液孔111を封止する封止工程S131,S141,S151とを含む。
−準備工程−
準備工程S101では、電池缶101と、電池蓋組立体107に一体化された発電要素170と、封止栓120とを準備する。
−収容工程−
収容工程S111では、電池蓋組立体107に一体化された発電要素170を、電池缶101内に収容された絶縁ケース108内に収容する。このとき、捲回軸Uが電池缶101の底面101cに平行となるように、かつ、一対の平坦部が電池缶101の幅広面101aに平行となるように、発電要素170を電池缶101内に収容する。電池缶101の開口部101dを、電池蓋組立体107の電池蓋102によって閉塞し、電池蓋102の周縁をレーザ溶接等により電池缶101の開口周縁に接合する。
−注液工程−
注液工程S121では、電池蓋102が上側になるように電池容器103を図示しない平面台上に載置し、電池容器内部の減圧と電解液注入の2つの機能を持った注液用治具(不図示)を注液孔111に取り付ける。電池容器103の内圧がたとえば27kPa程度になるまで減圧し、その後、所定量の電解液を注入する。
−封止工程−
封止栓120により注液孔111を封止する封止工程は、封止栓120を注液部110に配置する配置工程S131と、封止栓120を注液部110に仮止めする仮止め工程S141と、注液部110に封止栓120を溶接して注液孔111を封止する溶接工程S151とを含んでいる。
図6〜図9を参照して、注液孔111を封止栓120で封止する封止方法、ならびに、封止構造の詳細について説明する。図6および図7は注液孔111の封止構造を示す断面模式図であり、図8および図9は、電池蓋102を上方から見た平面模式図である。図6(a)は図8(a)のVIa−VIa線切断断面を示し、図6(b)および図7(a)は図8(b)のVIb−VIb線切断断面を示している。図7(b)は、図9(b)のVII−VII線切断断面を示している。なお、図8および図9では、中空部125の図示を省略している。
−配置工程−
図6(a)および図8(a)は封止栓120が注液部110に配置された状態を示している。封止栓120を注液部110に配置する配置工程S131では、図6(a)および図8(a)に示すように、注液孔111に封止栓120の筒部(挿入部)121を挿入し、凹部112に鍔部(嵌合部)122を嵌合する。図6(a)に示すように、封止栓120の大径部を構成する鍔部122の外径do1は、注液部110の大径開口部を構成する凹部112の内径Di1よりも僅かに短い(do1<Di1)。封止栓120の小径部を構成する筒部121の外径do2は、注液部110の小径開口部を構成する注液孔111の内径Di2よりも僅かに短い(do2<Di2)。このため、封止栓120が注液部110に配置された状態では、鍔部(大径部)122の外周側面122oと凹部(大径開口部)112の内周側面112iとの間に隙間c1が形成され、筒部(小径部)121の外周側面121oと注液孔(小径開口部)111の内周側面111iとの間に隙間c2が形成される。
−仮止め工程−
図6(b)および図8(b)は封止栓120が注液部110に仮止めされた状態を示している。封止栓120を注液部110に仮止めする仮止め工程S141では、図6および図8に示すように、鍔部122の周縁部を構成する突起部122aにおいて、周方向に等間隔で設定される第1の位置1A、第2の位置1Bおよび第3の位置1Cのそれぞれを押圧治具190によって上方(電池容器103の外方)から押圧して塑性変形部127A,127B,127Cを形成する。
押圧治具190は、立方体形状の押圧部191を有し、押圧部191の下面は平坦な面とされている。3つの押圧治具190を準備し、各押圧治具190を第1の位置1A,第2の位置1Bおよび第3の位置1Cの上方に配置する。各所定位置1A,1B,1Cにおいて、押圧部191の下面を突起部122aの上面に当接させて下方に押圧すると、図6(b)および図8(b)に示すように、各所定位置1A,1B,1Cにおける突起部122aが上下方向に圧縮されるとともに径方向外方に張り出すように変形し、塑性変形部127A,127B,127Cが形成される。
突起部122aが変形し、径方向に張り出すと、塑性変形部127の外周側面127oが凹部112の内周側面112iに当接し、塑性変形部127の外周側面127oに凹部112の内周側面112iからの反力Rが作用する。図9(a)は、封止栓120に作用する力を説明する図である。反力Rは、図9(a)において模式的に矢印で示すように、封止栓120の中心軸O1に向かって作用する。凹部112の内周側面112iからの反力Rが各塑性変形部127A,127B,127Cの外周側面127oに均等に作用するため、封止栓120の中心軸O1が注液孔の中心軸に一致するように封止栓120の位置決めがなされる(所謂センタリングがなされる)とともに、封止栓120が注液部110に固定される。
なお、各所定位置1A,1B,1Cにおける鍔部122の外周側面122oを構成する塑性変形部127の外周側面127oは、凹部112の内周側面112iに面接触されている。
−溶接工程−
図7(a)は封止栓120が注液部110に溶接される様子を示している。図7(b)および図9(b)は封止栓120が注液部110に溶接された後の状態を示している。電池蓋102に封止栓120を溶接する溶接工程S151では、たとえば、図示しないYAGパルスレーザ溶接機を用い、1パルスのエネルギーを6J、パルス周波数を60パルス/sec、平均出力を360W、溶接速度を10mm/secとしてレーザ光を照射する。図7(a)に示すように、レーザ光196は、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとの境界に向けて、電池蓋102の外表面に対して垂直方向に照射される。
レーザ光の照射領域を鍔部122の外周側面122oに沿って移動させ、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとを全周に亘って溶接する。溶接開始点から鍔部122の外周側面122oに沿ってレーザ光の照射領域を移動させると、その移動中に溶接作業が終了した部分における溶融池が徐々に凝固する。本実施の形態では、封止栓120が注液部110に仮止めされているため、溶融池が生成される際の膨張や溶融池が凝固する際の収縮によって、封止栓120の位置ずれが防止され、図7(b)および図9(b)に示すように封止栓120の全周に亘って良好な溶接金属Wを形成することができる。溶接金属Wが形成されることにより、封止栓120によって注液部110が封止される。
−封止栓のセンタリング条件−
図10〜図12を参照して、封止栓120を仮止めする際、封止栓120を注液部110の中心に位置決めするための条件、すなわち封止栓120のセンタリング条件について説明する。図10〜図12は、塑性変形部127が形成される位置を説明する図である。なお、図10〜図12では、中空部125の図示を省略している。
本実施の形態では、封止栓120をセンタリングするために、塑性変形部127の配置が次の条件Aおよび条件Bを満たすように形成される。
(条件A)塑性変形部127は、鍔部122の外周または凹部112の内周をn等分(nは3以上の整数)してなる各領域内に1つ以上配置されること。
(条件B)任意の塑性変形部127を起点として、鍔部122の外周または凹部112の内周を2等分してなる各領域内に、起点とした塑性変形部127以外の塑性変形部127が1つ以上配置されること。
以下、n=3の場合であって、鍔部122に塑性変形部127を形成する場合を例に、具体的に説明する。
図10(a)に示すように、塑性変形部127を形成する鍔部122の外周を3等分し、封止栓120に3つの領域A1,A2,A3を設定する。各領域A1,A2,A3は、中心角120度の扇形状の領域である。
各所定位置1A,1B,1Cのうちの任意の位置を起点として、塑性変形部127を形成する鍔部122の外周を2等分し、封止栓120に2つの領域を設定する。図10(b)に示すように、第1の位置1Aを起点とする場合、第1の位置1Aと封止栓120の中心軸O1とを結ぶ線分L1ならびに封止栓120の中心軸O1を含む仮想平面V1を設定し、仮想平面V1によって鍔部122の外周を2等分し、封止栓120に2つの領域B1,B2を設定する。各領域B1,B2は、中心角180度の半円形状の領域である。
図11(a)に示すように、第2の位置1Bを起点とする場合、第2の位置1Bと封止栓120の中心軸O1とを結ぶ線分L2ならびに封止栓120の中心軸O1を含む仮想平面V2を設定し、仮想平面V2によって鍔部122の外周を2等分し、封止栓120に2つの領域C1,C2を設定する。各領域C1,C2は、中心角180度の半円形状の領域である。
図11(b)に示すように、第3の位置1Cを起点とする場合、第3の位置1Cと封止栓120の中心軸O1とを結ぶ線分L3ならびに封止栓120の中心軸O1を含む仮想平面V3を設定し、仮想平面V3によって鍔部122の外周を2等分し、封止栓120に2つの領域D1,D2を設定する。各領域D1,D2は、中心角180度の半円形状の領域である。
図12(a)に示すように、
(i)第1の位置1Aは、領域A1内に設定され、かつ、領域C1内に設定され、かつ、領域D1内に設定される。
(ii)第2の位置1Bは、領域A2内に設定され、かつ、領域B1内に設定され、かつ、領域D2内に設定される。
(iii)第3の位置1Cは、領域A3内に設定され、かつ、領域B2内に設定され、かつ、領域C2内に設定される。
上記のようにして、所定位置1A,1B,1Cを設定し、各所定位置1A,1B,1Cにおいて塑性変形部127を形成すると、条件Aおよび条件Bを満たす位置に塑性変形部127が配置されることになる。このように塑性変形部127を配置することにより、封止栓120の中心軸O1を含む、任意の仮想平面において封止栓120を2等分したとき、それぞれの領域に少なくとも1つ以上の塑性変形部127が配置されることになる。
たとえば、仮想平面P1で封止栓120を2等分した場合、一方の領域には塑性変形部127Bが配置され、他方の領域には塑性変形部127A,127Cが配置される。また、仮想平面P2で封止栓120を2等分した場合、一方の領域には塑性変形部127A,127Bが配置され、他方の領域には塑性変形部127Cが配置される。換言すれば、本実施の形態では、封止栓120の中心軸O1を含む、任意の仮想平面により封止栓120を2等分したとき、一方の領域にのみ塑性変形部127が偏って配置されることが防止される。その結果、図12(b)に示すように、封止栓120の外周面に注液孔111の中心に向かう押し付け力(反力R)を作用させて、封止栓120をセンタリングしつつ、注液部110に仮止めすることができる。
図13は、図12の比較例を示す図である。図13(a)に示すように、比較例では、各領域A1,A2,A3に、各塑性変形部927A,927B,927Cが配置されており、条件Aについては満足している。しかしながら、塑性変形部927Aを起点として、鍔部122の外周を2等分してなる各領域B1,B2のうち、一方の領域B1に、起点とした塑性変形部927A以外の全ての塑性変形部927B,927Cが集中して配置され、他方の領域B2には起点とした塑性変形部927A以外の塑性変形部927B,927Cが配置されていない。つまり、比較例では条件Bが満足されていない。
このため、図13(b)に示すように、封止栓120の中心軸O1を含む、任意の仮想平面、たとえば仮想平面P1において封止栓120を2等分したとき、一方の領域(図示右側の領域)にのみ、塑性変形部927A,927B,927Cが配置され、他方の領域(図示左側の領域)には塑性変形部が配置されていない。これにより、比較例では、各塑性変形部927A,927B,927Cからの封止栓120に作用する反力Rにより、塑性変形部が配置されていない側(図示左側)に向かって封止栓120が移動し、封止栓120の中心軸O1が注液孔111の中心軸O2に対して左側に位置することになる。その結果、塑性変形部927A,927B,927Cが配置されている側(図示右側)で、封止栓120の鍔部122の外周側面122oと、注液部110の凹部112の内周側面112iとの隙間c1が大きくなる。このため、比較例において、隙間c1が大きい部分では、封止栓120と電池蓋102との間に充分な溶融池を生成することができず、溶融池が凝固してなる溶接金属に割れ等の溶接欠陥が生じるおそれがある。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)複数の塑性変形部127を形成することにより、注液部110に対して封止栓120をセンタリングしつつ仮止めするようにした。塑性変形部127は、鍔部122の外周をn等分(n=3)してなる各領域内に、1つずつ配置するようにした。さらに、任意の塑性変形部127を起点として鍔部122の外周を2等分してなる各領域内に、起点とした塑性変形部127以外の塑性変形部127を1つずつ配置するようにした。これにより、封止栓120の鍔部122の外周側面122oと、注液部110の凹部112の内周側面112iとの隙間c1を、封止栓120の全周に亘って均等にした状態で、封止栓120を注液部110に固定しておくことができる。このため、溶接の際に、センタリングされた封止栓120の位置ずれが防止されつつ、封止栓120と電池蓋102との間に充分な溶融池を生成することができる。その結果、溶融池が凝固してなる溶接金属Wに溶接欠陥が生じることが防止され、封止栓120の封止の信頼性を向上することができる。
(2)鍔部122の周縁部は、電池蓋102の外表面から電池容器103の外方に向かって突出する突起部122aとされている。このため、鍔部122の外周側面122oと凹部112の内周側面112iとの隙間c1に充填すべき溶融金属(溶融池)が不足することが防止される。換言すれば、突起部122aを設けることによって、突起部122aを設けない場合に比べて隙間c1を大きく設定することができ、製作性の向上を図ることができる。
(3)3つの押圧治具190の全てを同時に突起部122aに押し当てることで、各塑性変形部127A,127B,127Cを形成した。一度に複数の塑性変形部127A,127B,127Cを形成することができるため、作業効率がよい。
−第2の実施の形態−
図14および図15を参照して第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓による注液孔の封止方法について説明する。図中、第1の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。図14(a)および図14(b)は、図6(a)および図7(a)と同様の図であり、第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓220による注液孔111の封止方法を説明する断面模式図である。図15(a)および図15(b)は、図8(a)および図12(a)と同様の図であり、第2の実施の形態に係る蓄電素子における封止栓220による注液孔111の封止方法を説明する平面模式図である。図14(a)は、図15(a)のXIVa−XIVa線で切断した断面を示し、図14(b)は、図15(b)のXIVb−XIVb線で切断した断面を示している。
第1の実施の形態では、鍔部122に突起部122aを設け、第1の位置1A、第2の位置1Bおよび第3の位置1Cにおける突起部122aを押圧して、塑性変形部127を形成した(図6、図8参照)。これに対して、第2の実施の形態では、図14(a)および図15(a)に示すように、封止栓220の鍔部222には突起部が設けられていない。第2の実施の形態では、電池蓋102における凹部212の開口周縁部が、電池蓋102から上方(電池容器103の外方)に向かって突出する突起部212aとして、凹部212の全周に亘って設けられている。
第2の実施の形態では、第1の位置2A、第2の位置2Bおよび第3の位置2Cのそれぞれにおいて、電池蓋102の凹部212の開口周縁部を構成する突起部212aを押圧治具190により押圧することで、図14(b)および図15(b)に示すように、塑性変形部227A,227B,227Cが形成される。突起部212aは、押圧治具190により押圧されると、上下方向に圧縮されるとともに注液部の径方向外方に向かう変形量が抑えられつつ主に径方向内方に向かって変形し、塑性変形部227の内側側面227iが封止栓220の鍔部222の外周側面222oを押圧する。各所定位置2A,2B,2Cにおいて、注液孔111の中心軸O2に向かう力が封止栓220に作用するため、封止栓220の中心軸が注液孔の中心軸O2に一致するように、封止栓220が注液部にセンタリングされるとともに仮止めされる。
第2の実施の形態では、塑性変形部227は、凹部212の内周をn等分(n=3)してなる各領域A1,A2,A3内に、1つずつ配置されている。さらに、任意の塑性変形部227を起点として凹部212の内周を2等分してなる各領域B1,B2,C1,C2,D1,D2内に、起点とした塑性変形部227以外の塑性変形部227が1つずつ配置されている。
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)上記した第1および第2の実施の形態では、3つの押圧治具190のそれぞれを同時に突起部122a,212aに押し当てることにより、各塑性変形部127A,127B,127C,227A,227B,227Cを形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。塑性変形部127A,227A、および、塑性変形部127B,227B、塑性変形部127C,227Cを順番に1つずつ形成するようにしてもよい。1つずつ塑性変形部127,227を形成することで、押圧治具190から電池蓋102に付与される押圧力を低減することができ、電池蓋102の変形を防止することができる。なお、3つの押圧治具190のそれぞれを同時に電池蓋102に押し当てても、電池蓋102が変形しない場合は、3つの押圧治具190を同時に押圧することで、作業効率を向上させることができる。
(2)第1の実施の形態では、鍔部122の周縁部の各所定位置1A,1B,1Cを押圧して塑性変形部127を形成し、第2の実施の形態では、凹部212の開口周縁部の各所定位置2A,2B,2Cを押圧して塑性変形部227を形成したが、本発明はこれに限定されない。鍔部122,222の周縁部、および、凹部112,212の開口周縁部の両者を押圧治具190により同時に押圧して、鍔部122,222と凹部112,212のそれぞれに塑性変形部127,227を形成するようにしてもよい。
(3)第1の実施の形態では、鍔部122の周縁部が電池蓋102から電池容器103の外方に向かって突出した突起部122aとされ、第2の実施の形態では、凹部212の開口周縁部が電池蓋102から電池容器103の外方に向かって突出した突起部212aとされていた。突起部122a,212aの幅、高さは、隙間c1の寸法公差が最大になったときにおいても、隙間c1が溶接金属で埋められるように、充分な溶融池が生成される大きさに設定されている。しかしながら、突起部122a,212aを設けなくても、充分な溶融池を生成できる場合には、突起部122a,212aを省略してもよい。
図16に示すように、第1の実施の形態において、突起部122aを省略した場合でも、鍔部122の周縁部の各所定位置1A,1B,1Cに塑性変形部327を形成することにより、封止栓120をセンタリングするとともに、封止栓120を注液部110に固定することができる。これにより、溶接の際に封止栓120の位置がずれて、封止栓120と注液部110との隙間c1が不均一になることが防止され、良好な溶接金属を形成することができる。同様に、図17に示すように、第2の実施の形態において、突起部212aを省略した場合でも、凹部212の開口周縁部の各所定位置2A,2B,2Cに塑性変形部427を形成することにより、封止栓220をセンタリングするとともに、封止栓220を注液部に固定することができる。これにより、溶接の際に封止栓220の位置がずれて、封止栓220と注液部との隙間c1が不均一になることが防止され、良好な溶接金属を形成することができる。
(4)鍔部122,222の周縁部、ならびに、凹部112,212の開口周縁部の両者を電池蓋102から電池容器103の外方に向かって突出させてもよい。
(5)上記した実施の形態では、条件Aにおいて、n=3とした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。nは、3以上の整数であればよい。なお、nが4以上の整数である場合、必然的に条件Bが満たされる。図18(a)および図18(b)に示すように、たとえば、n=4の場合やn=6の場合において、任意の仮想平面Q1で封止栓120または注液部110を2等分すると、仮想平面Q1で2等分される領域S1,S2内のそれぞれに、n等分してなる領域が1つ以上含まれることになる。
n=4の場合、図18(a)に示すように、領域S1内には領域A25の全てが含まれ、領域S2内には領域A45の全てが含まれている。n=6の場合、図18(b)に示すように、領域S1内には領域A16,A26の全てが含まれ、領域S2内には領域A46,A56の全てが含まれている。このため、nが4以上の整数である場合には、「任意の塑性変形部を起点として、鍔部122の外周または凹部112の内周を2等分してなる各領域内に、起点とした塑性変形部127以外の塑性変形部127が1つ以上配置される」という条件Bが必然的に満足されることになる。
図19は、鍔部122の外周を4等分してなる各領域A15,A25,A35,A45内に1つずつ塑性変形部527を配置させた例を示している。これにより、各所定位置5A,5B,5C,5Dにおいて、封止栓120の外方から中心軸O1に向かう押圧力を封止栓120に作用させて、封止栓120をセンタリングするとともに、封止栓120を注液部110に固定することができる。
図19に示すように、塑性変形部527を周方向に等間隔に設ける場合、(1)対向する一対の所定位置5A,5Cにおいて、塑性変形部527A,527Cを同時に形成し、(2)その後、対向する一対の所定位置5B,5Dにおいて、塑性変形部527B,527Dを同時に形成することが好ましい。対向する一対の所定位置を押圧することで、押圧治具190の押圧の際に、封止栓120の位置がずれてしまうことを防止できる。また、同時に押圧する部分を2カ所とすることで、電池蓋102に作用する荷重を小さくすることができる。なお、押圧治具190による押圧方法は、一対の所定位置5A,5Cを押圧した後、一対の所定位置5B,5Dを押圧する場合に限定されない。各所定位置5A,5B,5C,5Dの全てを同時に押圧してもよいし、各所定位置5A,5B,5C,5Dを1つずつ押圧してもよい。
図20は、鍔部122の外周を6等分してなる各領域A16,A26,A36,A46,A56,A66内に1つずつ塑性変形部627を配置させた例を示している。各所定位置6A,6B,6C,6D,6E,6Fにおいて、封止栓120の外方から中心軸O1に向かう押圧力を封止栓120に作用させて、封止栓120をセンタリングするとともに、封止栓120を注液部110に固定することができる。
図20に示すように、塑性変形部627を周方向に等間隔に設ける場合、(1)対向する一対の所定位置6A,6Dにおいて、塑性変形部627A,627Dを同時に形成し、(2)その後、対向する一対の所定位置6B,6Eにおいて、塑性変形部627B,627Eを同時に形成し、(3)その後、対向する一対の所定位置6C,6Fにおいて、塑性変形部627C,627Fを同時に形成することが好ましい。対向する一対の所定位置を押圧することで、押圧治具190の押圧の際に、封止栓120の位置がずれてしまうことを防止できる。また、同時に押圧する部分を2カ所とすることで、電池蓋102に作用する荷重を小さくすることができる。なお、押圧治具190による押圧方法は、一対の所定位置6A,6Dを押圧した後、一対の所定位置6B,6Eを押圧し、その後、一対の所定位置6C,6Fを押圧する場合に限定されない。たとえば、所定位置6A,6C,6Eの3カ所を同時に押圧した後、所定位置6B,6D,6Fの3カ所を同時に押圧することで、押圧時に封止栓120が偏心することを容易に防止することができる。また、各所定位置6A,6B,6C,6D,6E,6Fの全てを同時に押圧してもよいし、各所定位置6A,6B,6C,6D,6E,6Fを1つずつ押圧してもよい。
(6)上記した実施の形態では、鍔部122,222の外周または凹部112,212の内周を等分割してなる領域のそれぞれに、1つずつ塑性変形部を設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各領域に1つ以上の塑性変形部を設けてもよい。たとえば、図21(a)に示すように、鍔部122の外周をn等分(n=3)してなる領域A1,A2に塑性変形部727aを1つずつ設け、領域A3に塑性変形部727aを2つ設けてもよい。また、図21(b)に示すように、領域A1,A3に塑性変形部727bを2つずつ設け、領域A2に塑性変形部727bを1つ設けてもよい。すなわち、本発明は、鍔部122,222の外周または凹部112,212の内周をn等分(nは3以上の整数)した各領域内に塑性変形部が1つ以上配置され、かつ、任意の塑性変形部を起点として鍔部122,222の外周または凹部112,212の内周を2等分した各領域内に、起点とした塑性変形部以外の塑性変形部が1つ以上配置されていればよい。
なお、鍔部122,222の外周または凹部112,212の内周をn等分する際の「n」は、塑性変形部の周方向長さ、塑性変形部の数、鍔部122,222や凹部112,212の形状、周長等を考慮し、塑性変形部を周方向に沿って離間させつつ形成できるような値に設定される。
(7)上記した実施の形態では、封止栓120,220の鍔部122,222または凹部112,212の周方向に沿って等間隔に塑性変形部127,227を形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図22(a)や図22(b)に示すように、周方向に不等間隔に塑性変形部827a,827bを形成した場合であっても、前記条件Aおよび条件Bを満足していればよい。
(8)封止栓120,220の全周に亘って形成される溶接金属Wの幅や深さは、上記した実施の形態に限定されない。図7(b)および図9(b)では、塑性変形部127の径方向の長さや突起部122aの幅(径方向の長さ)に比べて、溶接金属Wの幅(径方向の長さ)が長くなるように、溶接金属Wが形成されているが、本発明はこれに限定されない。塑性変形部127の径方向の長さや突起部122aの幅(径方向の長さ)に比べて、溶接金属Wの幅(径方向の長さ)が短くなるように、溶接金属Wを形成してもよい。
(9)蓄電素子として、リチウムイオン二次電池を一例に説明したが本発明はこれに限定されない。ニッケル水素電池などの他の二次電池や、リチウムイオンキャパシタや電解二重層コンデンサなど、種々の蓄電素子に本発明を適用できる。また、容器の形状も角形に限定されない。
(10)溶接条件は、上記した例に限定されない。また、レーザ溶接に代えて、電子ビーム溶接により封止栓120,220を電池蓋102に溶接してもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
100 角形二次電池、101 電池缶、101a 幅広面、101b 幅狭面、101c 底面、101d 開口部、102 電池蓋、102h 貫通孔、103 電池容器、104 ガス排出弁、107 電池蓋組立体、108 絶縁ケース、110 注液部、111 注液孔、111i 内周側面、112 凹部、112b 底面、112i 内周側面、120 封止栓、121 筒部、121a 底部、121o 外周側面、122 鍔部、122a 突起部、122o 外周側面、125 中空部、127(127A,127B,127C) 塑性変形部、127o 外周側面、141 正極端子、150 ガスケット、151 負極端子、160 絶縁部材、170 発電要素、171 正極箔、172 負極箔、173 セパレータ、174 正極電極、175 負極電極、176 正極活物質合剤層、177 負極活物質合剤層、181 正極集電体、182 負極集電体、190 押圧治具、191 押圧部、196 レーザ光、212 凹部、212a 突起部、220 封止栓、222 鍔部、222o 外周側面、227(227A,227B,227C) 塑性変形部、227i 内側側面、327 塑性変形部、427 塑性変形部、527(527A,527B,527C,527D) 塑性変形部、627(627A,627B,627C,627D,627E,627F) 塑性変形部、727a,727b 塑性変形部、827a,827b 塑性変形部、927A,927B,927C 塑性変形部

Claims (4)

  1. 蓄電素子であって、
    発電要素が収容された容器と、
    電解液を注入する注液孔を封止する封止栓とを備え、
    前記注液孔は、前記容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられ、
    前記封止栓は、前記注液孔に挿入される挿入部と、前記凹部に嵌合される嵌合部とを有し、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方には、前記封止栓を前記注液孔に対して仮止めする複数の塑性変形部が形成され、
    前記塑性変形部は、前記嵌合部の外周または前記凹部の内周をn等分(nは3以上の整数)してなる各領域内に1つ以上配置され、かつ、任意の前記塑性変形部を起点として、前記嵌合部の外周または前記凹部の内周を2等分してなる各領域内に1つ以上配置され、
    前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とが全周に亘って溶接されている蓄電素子。
  2. 請求項1に記載の蓄電素子において、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方は、前記容器の一側面から前記容器の外方に向かって突出している蓄電素子。
  3. 容器内に発電要素を収容し、前記容器の一側面に凹設された凹部の底面に設けられた注液孔から前記容器内に電解液を注入し、封止栓により前記注液孔を封止してなる蓄電素子の製造方法であって、
    前記封止栓により前記注液孔を封止するときには、
    前記封止栓に設けられた挿入部を前記注液孔に挿入し、前記封止栓に設けられた嵌合部を前記凹部に嵌合して、前記封止栓を前記注液孔に配置し、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方における複数の所定位置を前記容器の外方から押圧して塑性変形部を形成することにより、前記封止栓を前記注液孔に対して仮止めし、
    前記嵌合部の外周側面と前記凹部の内周側面とを、全周に亘って溶接し、
    前記塑性変形部は、前記嵌合部の外周または前記凹部の内周をn等分(nは3以上の整数)してなる各領域内に1つ以上配置され、かつ、任意の前記塑性変形部を起点として、前記嵌合部の外周または前記凹部の内周を2等分してなる各領域内に1つ以上配置されている蓄電素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の蓄電素子の製造方法において、
    少なくとも前記嵌合部の周縁部および前記凹部の開口周縁部のいずれか一方は、前記容器の一側面から前記容器の外方に向かって突出した突起部であり、
    前記塑性変形部は、前記複数の所定位置における前記突起部を押圧することで形成される蓄電素子の製造方法。
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