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JP5483157B2 - タンタル部材の浸炭処理方法及びタンタル部材 - Google Patents

タンタル部材の浸炭処理方法及びタンタル部材 Download PDF

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JP5483157B2
JP5483157B2 JP2009134949A JP2009134949A JP5483157B2 JP 5483157 B2 JP5483157 B2 JP 5483157B2 JP 2009134949 A JP2009134949 A JP 2009134949A JP 2009134949 A JP2009134949 A JP 2009134949A JP 5483157 B2 JP5483157 B2 JP 5483157B2
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Description

本発明は、タンタルまたはタンタル合金からなるタンタル容器及び蓋などの部材に、該部材の表面から内部に向って炭素を浸透させる浸炭処理を施すための方法及び該方法によって得られるタンタル部材に関するものである。
炭化ケイ素(SiC)は、ケイ素(Si)やバリウムヒ素(BaAs)等の従来の半導体材料では実現できない高温、高周波、耐電圧・耐環境性を実現することが可能であるとされており、次世代のパワーデバイス、高周波デバイス用半導体材料として期待されている。
特許文献1においては、単結晶炭化ケイ素基板の表面を熱アニールする際、及び単結晶炭化ケイ素基板の上に炭化ケイ素の単結晶を結晶成長させる際に、表面に炭化タンタル層が形成されたタンタル容器をチャンバーとして用いることが提案されている。表面に炭化タンタル層を有するタンタル容器内に、単結晶炭化ケイ素基板を収納し、その表面を熱アニールしたり、あるいはその表面上に炭化ケイ素単結晶を成長させることにより、表面が平坦化され、かつ欠陥の少ない単結晶炭化ケイ素基板または炭化ケイ素単結晶層を形成することができる旨報告されている。
特許文献2及び特許文献3においては、タンタルもしくはタンタル合金の表面に炭素を浸透させて、表面にタンタルの炭化物を形成する際、表面の自然酸化膜であるTaを昇華させて除去させた後に、炭素を浸透させることが提案されている。
しかしながら、タンタル容器及びタンタル蓋についての具体的な浸炭処理方法は検討されていなかった。
特開2008−16691号公報 特開2005−68002号公報 特開2008−81362号公報
本発明の目的は、浸炭処理による変形が小さく、平面部の平坦度が良好で、かつ均一に浸炭処理することができるタンタル部材の浸炭処理方法、及び該方法により得られるタンタル部材、並びに該方法に用いる浸炭処理用治具を適用することにある。
本発明の浸炭処理方法は、平面部を有するタンタルまたはタンタル合金からなるタンタル部材に、該部材の表面から内部に向って炭素を浸透させる浸炭処理を施すための方法であって、先端部がテーパー状に形成された複数の支持棒によって平面部を支持することにより、タンタル部材を、炭素源が存在するチャンバー内に配置する工程と、チャンバー内を減圧し加熱することにより、炭素源からの炭素をタンタル部材の表面から浸透させて浸炭処理を施す工程とを備えることを特徴としている。
本発明においては、先端部がテーパー状に形成された複数の支持棒によって平面部を支持し、浸炭処理している。支持棒の先端部がテーパー状に形成されているので、支持棒の先端部と平面部とが接触する面積を小さくすることができる。支持棒の先端部が接する部分においては、炭素源からの炭素が浸炭しにくくなったり、後述するように、支持棒が炭素源である場合には、平面部と固着してしまう場合があるが、本発明においては支持棒の先端部がテーパー状に形成されており、接触面積を小さくすることができるので、均一に浸炭処理することができる。
また、本発明においては、複数の支持棒によって平面部を支持しているので、浸炭処理によるタンタル部材の変形を小さくすることができ、平面部の平坦度を良好に保った状態で浸炭処理することができる。
本発明においては、平面部全体を各支持棒の先端部がほぼ均等に支持するように、複数の支持棒が分散して配置されていることが好ましい。これにより、浸炭処理による変形をさらに小さくすることができ、平面部の平坦度をさらに良好な状態にすることができる。
本発明においては、複数の支持棒が分散して配置されていることが好ましく、平面部の面積1500mmあたり1本以上の支持棒によって平面部が支持されていることが好ましい。これにより、浸炭処理による変形をさらに小さくすることができ、平面部の平坦度をさらに良好な状態にすることができる。
本発明においては、支持棒が炭素源として機能することが好ましい。支持棒が炭素源として機能することにより、タンタル部材の近くに炭素源を配置することができ、タンタル部材の表面に炭素を充分供給することができ、より均一な浸炭処理を行うことができる。
また、本発明において、支持棒の先端部は、先に近づくにつれて径が細くなるテーパー状に形成されている。このため、タンタル部材の平面部と接する支持棒の先端部の面積を小さくすることができる。支持棒が炭素源である場合、タンタル部材の平面部と接する面積が大きくなると、タンタル部材の平面部と支持棒の先端部が固着してしまい、浸炭処理後にタンタル部材の平面部から支持棒の先端部を取り外すことができなくなる場合がある。また、支持棒の先端部が接する部分において炭素が高濃度となり、均一な浸炭処理ができなくなる場合がある。
また、本発明においては、チャンバーが炭素源として機能することが好ましい。チャンバーは、タンタル部材の周りを覆っているので、チャンバーが炭素源として機能することにより、タンタル部材の表面全体を均一に浸炭処理することができる。
支持棒やチャンバーを炭素源として機能させる場合、炭素源としては、例えば黒鉛を用いることができる。チャンバーや支持棒は高温で熱処理されるものであるので、黒鉛としては、等方性黒鉛材が好ましく用いられる。また、ハロゲン含有ガスなどを使用して高純度処理された高純度黒鉛材がさらに好ましい。黒鉛材中の灰分含有量は20ppm以下が好ましく、さらに好ましくは5ppm以下である。かさ密度は1.6以上が好ましく、1.8以上がさらに好ましい。かさ密度の上限値としては、例えば、2.1である。等方性黒鉛材の製造方法の一例としては、石油系、石炭系のコークスをフィラーとして数μm〜数十μmに粉砕し、これにピッチ、コールタール、コールタールピッチなどの結合材を添加して混練する。得られた混練物を、原料フィラーの粉砕粒径よりも大きくなるように数μm〜数十μmに粉砕して粉砕物を得る。また、粒子径が100μmを超えるような粒子は除去しておくことが好ましい。上記粉砕物を成形、焼成、黒鉛化して黒鉛材料を得る。その後、ハロゲン含有ガスなどを使用して高純度化処理を行い、黒鉛材料中の灰分量を20ppm以下にすることで、黒鉛材料からタンタル部材への不純物元素の混入を抑制することができる。
本発明においては、支持棒の基部が支持台に支持されることによって、複数の支持棒が支持台の上に設けられており、支持台がチャンバー内の底面部上に載置されることにより、複数の支持棒がチャンバー内に配置されていることが好ましい。この場合、支持台が炭素源として機能してもよい。炭素源としては、上記と同様に等方性黒鉛材などの黒鉛が好ましく用いられる。
本発明におけるタンタル部材は、平面部と、平面部から略垂直方向に伸びる側壁部とを有し、側壁部の端部によって開口部が形成されているタンタル容器であることが好ましい。タンタル容器を本発明の浸炭処理方法により浸炭処理する場合、タンタル容器の開口部が下方になるように、チャンバー内にタンタル容器を配置し、タンタル容器の内側の平面部を複数の支持棒で支持することが好ましい。
本発明のタンタル部材は、上記本発明の方法により浸炭処理がなされたことを特徴としている。
本発明の浸炭処理用治具は、上記本発明の浸炭処理方法に用いる治具であって、複数の支持棒と、複数の支持棒を支持する支持台とを有し、支持棒及び支持台が黒鉛材料から形成されていることを特徴としている。黒鉛材料としては、上述のように、等方性黒鉛材を用いることが好ましい。
本発明によれば、浸炭処理によるタンタル部材の変形が小さく、平面部の平坦度が良好で、かつ均一に浸炭処理することができる。
本発明に従う一実施形態の浸炭処理方法を説明するための断面図。 図1に示す実施形態における支持棒の位置を示す平面図。 図1に示す実施形態において用いるタンタル容器を示す斜視図。 図3に示すタンタル容器に用いられるタンタル蓋を示す斜視図。 図3に示すタンタル容器の断面図。 図4に示すタンタル蓋の断面図。 図5に示すタンタル容器に図6に示すタンタル蓋を取り付けた状態を示す断面図。 本発明に従う他の実施形態における支持棒の位置を示す平面図。 本発明に従うさらに他の実施形態における支持棒の位置を示す平面図。 比較例における浸炭処理方法を説明するための断面図。 図10に示す比較例における支持棒の位置を示す平面図。 本発明に従うさらに他の実施形態におけるタンタル蓋の浸炭処理方法を示す断面図。 本発明に従う実施例における浸炭処理を説明するための断面図。
以下、本発明を具体的な実施形態により説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に従う一実施形態の浸炭処理方法を説明するための断面図である。
タンタル容器1は、チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bからなるチャンバー3内に配置されている。
図3は、タンタル容器1を示す斜視図である。図4は、図3に示すタンタル容器1を密閉するのに用いるタンタルまたはタンタル合金からなるタンタル蓋2を示す斜視図である。
図5は、タンタル容器1を示す断面図である。図5に示すように、タンタル容器1は、平面部1aと、平面部1aの周縁から平面部1aに対して略垂直方向に延びる側壁部1bを有している。側壁部1bの端部1cによって、タンタル容器1の開口部1dが形成されている。ここで、「略垂直方向」には、90°±20°の方向が含まれる。
図6は、図5に示すタンタル容器1の開口部1dを密閉するためのタンタル蓋2を示す断面図である。図6に示すように、タンタル蓋2は、平面部2aと、平面部2aから略垂直方向に延びる側壁部2bを有している。
図7は、図5に示すタンタル容器1の側壁部1bの端部1cの上に、図6に示すタンタル蓋2を載せ、タンタル容器1を密閉した状態を示す断面図である。図7に示すように、タンタル容器1の側壁部1bが、タンタル蓋2の側壁部2bの内側に配置されることにより、タンタル容器1の上に、タンタル蓋2が載せられ、タンタル容器1が密閉される。
図7に示すように、タンタル容器1の側壁部1bは、タンタル蓋2の側壁部2bの内側に位置するので、図6に示すタンタル蓋2の側壁部2b内側の内径Dは、図5に示すタンタル容器1の外径dより若干大きくなるように設計される。通常、タンタル蓋2の内径Dは、タンタル容器1の外径dより0.1mm〜4mm程度大きくなるように設計される。
タンタル容器1及びタンタル蓋2は、タンタルまたはタンタル合金から形成される。タンタル合金は、タンタルを主成分として含む合金であり、例えば、タンタル金属にタングステン又はニオブなどを含有した合金などが挙げられる。
タンタル容器1及びタンタル蓋2は、例えば、切削加工、薄板からの絞り加工、板金加工などから製造される。切削加工は、1個のタンタル金属の塊を削り出して容器状にする加工方法であり、高精度の形状を製作できる一方、切削される金属が多くなり材料コストは高くなる。絞り加工は、1枚のタンタル金属板を変形させて一度に容器状にする加工方法である。容器製造用のダイとパンチの間に板状の金属を載置してパンチをダイに向かって押し込むと、材料はダイに押し込まれる形で変形して容器状となる。金属板が押し込まれていく時、外側にある金属板がシワにならないようにシワ押さえを設置しておく。切削加工に比べて短時間で仕上がり、削り屑の発生が少ないのでコスト等を抑えることができる。板金加工は、1枚の金属板を切る、曲げる、溶接することにより容器形状にする加工方法である。切削加工よりも材料面でコストを抑えることはできるが、絞り加工よりも製造時間は長くなる。
タンタル容器1及びタンタル蓋2をそれぞれ浸炭処理することにより、その表面から炭素を内部に浸透させ、炭素を内部に拡散することができる。炭素が浸透することにより、TaC層、TaC層などが形成される。表面に炭素含有率の高いタンタルカーバイド層が形成されるが、炭素が容器内部へ拡散することにより、表面はタンタル含有率の高いタンタルカーバイド層となることで、カーボンフラックスを吸蔵させることができる。従って、浸炭処理したタンタル容器及びタンタル蓋からなるルツボ内で、炭化ケイ素の液相成長や気相成長を行うことにより、成長プロセス時に発生した炭素蒸気をルツボ壁内で吸蔵することができ、ルツボ内に不純物濃度の低いシリコン雰囲気を形成することができ、単結晶炭化ケイ素表面の欠陥を低減でき、表面を平坦化することができる。また、このようなルツボ内で単結晶炭化ケイ素基板の表面を熱アニーリングすることにより、欠陥を低減させ、表面を平坦化させることができる。
図1に戻り、本実施形態の浸炭処理について説明する。
図1に示すように、チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bからなるチャンバー3内に、上記のタンタル容器1が配置されている。タンタル容器1は、チャンバー3内において、側壁部1bの端部1cが下方になるように配置されている。タンタル容器1は、タンタル容器1内側の平面部1aを、複数の支持棒6で支持することにより、チャンバー3内で支持されている。
図1に示すように、支持棒6の先端部6aは、先に近づくにつれて径が細くなるテーパー状に形成されている。先端部6aをテーパー状に形成することにより、支持棒6の先端部6aとタンタル容器1の平面部1aとの接触面積を小さくすることができる。本実施形態における支持棒6の先端部6aと平面部1aとの接触面積は0.28mmである。先端部6aの接触面積は、0.03〜12mmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜8mmの範囲内であり、さらに好ましくは0.2〜5mmの範囲内である。先端部6aの接触面積が小さすぎると、先端部が欠けやすくなり、加工が困難となる。また、先端部6aの接触面積が大きすぎると、支持棒6を黒鉛材料から形成した場合、浸炭処理の際に平面部1aと先端部6aとが固着し、浸炭処理後にタンタル容器1を支持棒6から取り外すのが困難になる。
図2は支持棒6の平面部1aに対する配置状態を示す平面図である。図2に示すように、本実施形態においては、13本の支持棒6で、タンタル容器1の内側の平面部1aを支持している。
図2に示すように、支持棒6の先端部が平面部1aをほぼ均等に支持するように、13本の支持棒6が分散して配置されている。
支持棒6は、図1に示すように、支持台5によって支持されている。本実施形態では、支持台5に孔を空けることにより、この孔に支持棒6の下方端を挿入し、支持棒6を支持台5によって支持している。
本実施形態においては、チャンバー3、すなわちチャンバー容器3a及びチャンバー蓋3b、並びに支持棒6及び支持台5が黒鉛から形成されている。従って、本実施形態においては、チャンバー3、支持棒6及び支持台5が炭素源となっている。チャンバー3、支持棒6、及び支持台5は、切削加工により作製することができる。
容器1の外側表面と、チャンバー3との間の間隔は、全体においてほぼ均等になるように、チャンバー3の寸法形状が設定されていることが好ましい。これにより、炭素源であるチャンバーからの距離を全体においてほぼ同程度とすることができ、全体にわたって均等に浸炭処理することができる。
また、タンタル容器1の側壁部1bの端部1cの下方には、隙間Gが形成されていることが好ましい。隙間Gが形成されることにより、タンタル容器1の内側にも、タンタル容器1の外側から炭素を供給することができる。隙間Gは、上述のように、2mm〜20mmの範囲であることが好ましい。
また、タンタル容器1の内側に配置される支持棒6及び支持台5は、上述のように、炭素源としても機能する。従って、支持棒6の配置は、図2に示すように、タンタル容器1の内側においてほぼ均等に分散するように配置することが好ましい。
上記のようにして、タンタル容器1をチャンバー3内に配置し、チャンバー3内を減圧した後、加熱することにより、浸炭処理を施すことができる。
例えば、真空容器内にチャンバー3を配置して蓋をし、真空容器内を排気することにより、チャンバー3内を減圧することができる。チャンバー3内の圧力は、例えば、10Pa以下に減圧される。
次に、チャンバー3内を所定の温度に加熱する。加熱温度としては、1700℃以上の範囲が好ましく、さらに好ましくは、1750℃〜2500℃の範囲であり、さらに好ましくは、2000℃〜2200℃の範囲である。このような温度に加熱することにより、チャンバー3内は、一般に10−2Pa〜10Pa程度の圧力となる。
上記所定の温度を保持する時間は、0.1〜8時間の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜5時間の範囲であり、さらに好ましくは、1時間〜3時間の範囲である。保持温度により浸炭速度が変わるため、目標とする浸炭厚みにより保持時間を調整する。
昇温速度及び冷却速度は、特に限定されるものではないが、一般に昇温速度は、100℃/時間〜2000℃/時間の範囲が好ましく、さらに好ましくは、300℃/時間〜1500℃/時間であり、さらに好ましくは、500℃/時間〜1000℃/時間である。冷却速度は40℃/時間〜170℃/時間の範囲が好ましく、さらに好ましくは、60℃/時間〜150℃/時間、さらに好ましくは80℃/時間〜130時間/時間である。冷却は、一般には自然冷却で行われる。
以上のように、本実施形態においては、タンタル容器1の平面部1aを、先端部6aがテーパー状である複数の支持棒6によって支持し、この状態で浸炭処理を行っている。タンタル容器1の平面部1aを複数の支持棒6に支持しているので、浸炭処理によるタンタル容器1の変形が小さく、平面部1aの平坦度が良好な状態で浸炭処理を行うことができる。また、支持棒6の先端部6aがテーパー状に形成されているので、タンタル容器1の表面全体を均一に浸炭処理することができる。
また、本実施形態においては、チャンバー3、支持棒6及び支持台5が黒鉛材料から形成されており、炭素源となっているので、タンタル容器1の表面全体をより均一に浸炭処理することができる。
また、本実施形態においては、タンタル容器1の開口部1dが下方になるように、タンタル容器1をチャンバー3内に配置し、この状態で浸炭処理を行っている。このため、タンタル容器1の開口部1dが広がるのを抑制することができる。従って、図7に示すように、タンタル容器1の上にタンタル蓋2を載せる際に、良好な状態で蓋2を載せることができ、タンタル容器1内の密閉性を良好に保つことができる。このため、タンタル容器1内部で熱アニーニングや結晶成長をさせた場合に、タンタル容器1内にシリコン蒸気を良好な状態で保つことができ、良好な結晶状態を得ることができる。
本発明の浸炭処理方法で浸炭処理することができるタンタル部材は、タンタル容器1に限定されるものではなく、例えばタンタル蓋2を浸炭処理することができる。
図12は、タンタル蓋2を浸炭処理する状態を示す断面図である。図1に示す実施形態と同様に、タンタル蓋2の平面部2aを、先端部6aがテーパー状に形成された13本の支持棒6により支持し、この状態でチャンバー3内を加熱することにより、タンタル蓋2の表面を浸炭処理することができる。
タンタル蓋2を浸炭処理する場合においても、浸炭処理によるタンタル蓋2の変形が小さく、平面部2aの平坦度が良好な状態で浸炭処理することができ、タンタル蓋2の表面全体を均一に浸炭処理することができる。
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すチャンバー3を用いて、タンタル容器1を浸炭処理した。タンタル容器1としては、図3に示す外径dが158mm、高さhが60mm、厚みtが3mmのものを用いた。従って、タンタル容器1の内側の平面部1aの内径は152mmであり、面積は18136mmである。
本実施例においては、図2に示すように平面部1aに対し13本の支持棒6を配置している。従って、平面部1aの面積1395mmあたり1本の支持棒6によって平面部1aが支持されている。
チャンバー3としては、その内部が、直径210mm、高さ90mmの円柱状の空間となるチャンバー3を用いた。チャンバー容器3a及びチャンバー蓋3bの材質としては、かさ密度が1.8の等方性黒鉛材を用いた。
支持棒6は、直径6mm、長さ75mmのものを用いた。先端部6aのテーパー状部分の長さは、15mmである。また、先端部6aの接触面積は0.28mmである。支持棒6及び支持台5は、チャンバー容器3aと同じ等方性黒鉛材から形成した。
タンタル容器1の側壁部1bの端部1cの下方の隙間Gは、13mmであった。
このようにしてタンタル容器1をチャンバー3内に配置し、そのチャンバー3を、φ800mm×800mmのSUS製の真空容器8内に配置した。図13は、チャンバー3を真空容器8に配置したときの状態を示す断面図である。図13に示すように、真空容器8内には、断熱材9が設けられており、断熱材9内に形成された空間13内にチャンバー3が配置されている。断熱材9としては、商品名「DON−1000」(大阪ガスケミカル社製、かさ密度0.16g/cm)を用いた。この断熱材は、ピッチ系炭素繊維に樹脂を含浸させて成形、硬化、炭化、黒鉛化処理したものであり、多孔質の断熱材である。
断熱材9によって囲まれた空間13の上方には、カーボンヒーター12が配置されており、カーボンヒーター12は、カーボンヒーター12に電流を流すための黒鉛電極11によって支持されている。カーボンヒーター12に電流を流すことにより、断熱材9によって覆われた空間13内を加熱することができる。
真空容器8には、真空容器8内を排気するための排気口10が形成されている。排気口10は、図示しない真空ポンプに接続されている。
真空容器8内を排気してチャンバー3内を0.1Pa以下となるように減圧した後、カーボンヒーター12により710℃/時間の昇温速度で2150℃までチャンバー3内を加熱した。2150℃を2時間保持し、浸炭処理を行った。チャンバー3内は、0.5〜2.0Pa程度の圧力であった。
浸炭処理後、自然冷却で室温まで冷却した。冷却時間は約15時間であった。
浸炭処理前と浸炭処理後における、タンタル容器1の平面部1aの真円度及び平坦度を以下のようにして測定した。
真円度については、平面部1aの周囲において等間隔に設定した8箇所の各点における測定データを、平坦度については、上記周囲の8箇所と中心における1箇所における測定データを三次元測定機を用いて測定し、最終的に決定した平均要素形状線からの偏差によって求めた。具体的には、真円度については、各点の測定データから平均線にて円面状を認識し、各点での平均線からの偏差の最大差を真円度とした。また、平坦度については、各点の測定データから平均線を認識し、各点での平均線からの偏差の最大差を平坦度とした。測定結果を表1に示す。
(実施例2)
タンタル容器1の平面部1aに対し、図8に示すように支持棒6を4本分散して配置する以外には、実施例1と同様にしてタンタル容器1を浸炭処理した。
浸炭処理前と浸炭処理後において、タンタル容器1の平面部1aの真円度及び平坦度を上記と同様に測定し、測定結果を表1に示した。
(実施例3)
タンタル容器1の平面部1aに対し、図9に示すように支持棒6を17本分散して配置する以外には、実施例1と同様にしてタンタル容器1を浸炭処理した。
浸炭処理前と浸炭処理後において、タンタル容器1の平面部1aの真円度及び平坦度を上記と同様に測定し、測定結果を表1に示した。
(比較例1)
図10に示すように、タンタル容器1の平面部1aを支持する支持棒7として、直径12mm、長さ75mmの円柱状のものを用いた。図11は、支持棒7の平面部1aに対する配置状態を示す平面図である。図11に示すように、平面部1aの中心部に1本の円柱状の支持棒7を設置し、支持棒7により平面部1aを支持した。なお、この支持棒7も支持棒6と同様に等方性黒鉛材から形成した。それ以外は、実施例1と同様にして浸炭処理を行った。
浸炭処理により、支持棒の先端部は、タンタル容器1の平面部1aと固着し、浸炭処理後取り外すことが困難であった。そのため、平面部1aの真円度及び平坦度は測定することができなかったが、タンタル容器1は、4本の支持棒で支持した実施例2よりも大きく変形しており、真円度及び平坦度が実施例2よりも劣っていることは明らかであった。
Figure 0005483157
上記の実施例1〜3及び比較例1の結果から明らかなように、本発明に従い、先端部がテーパー状に形成された複数の支持棒により平面部を支持してタンタル容器を浸炭処理することにより、浸炭処理によるタンタル容器の変形が小さく、平面部の平坦度が良好な状態で浸炭処理をすることができる。
また、表1に示す結果から明らかなように、4本の支持棒で支持した実施例2よりも、13本の支持棒で支持した実施例1、及び17本の支持棒で支持した実施例3が、真円度及び平坦度において優れていることがわかる。従って、平面部の面積1500mmあたり1本以上の支持棒で支持することにより、浸炭処理による変形をさらに小さくすることができ、平面部の平坦度をさらに良好な状態で浸炭処理できることがわかる。
1…タンタル容器
1a…タンタル容器の平面部
1b…タンタル容器の側壁部
1c…タンタル容器の側壁部の端部
1d…タンタル容器の開口部
2…蓋
2a…蓋の平面部
2b…蓋の側壁部
3…チャンバー
3a…チャンバー容器
3b…チャンバー蓋
5…支持台
6…支持棒
6a…支持棒の先端部
7…支持棒
8…SUS製の真空容器
9…断熱材
10…排気口
11…黒鉛電極
12…カーボンヒーター
13…断熱材によって覆われた空間

Claims (11)

  1. 平面部を有するタンタルまたはタンタル合金からなるタンタル部材に、該部材の表面から内部に向って炭素を浸透させる浸炭処理を施すための方法であって、
    先端部がテーパー状に形成された複数の支持棒によって前記平面部を支持することにより、前記タンタル部材を、炭素源が存在するチャンバー内に配置する工程と、
    前記チャンバー内を減圧し加熱することにより、前記炭素源からの炭素を前記タンタル部材の表面から浸透させて浸炭処理を施す工程とを備えることを特徴とするタンタル部材の浸炭処理方法。
  2. 前記平面部全体を前記各支持棒の前記先端部がほぼ均等に支持するように、前記複数の支持棒が分散して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  3. 前記平面部の面積1500mmあたり1本以上の支持棒によって前記平面部が支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  4. 前記支持棒が、前記炭素源として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  5. 前記支持棒の基部が支持台に支持されることによって、前記複数の支持棒が前記支持台の上に設けられており、前記支持台が前記チャンバー内の底面部上に載置されることにより、前記複数の支持棒が前記チャンバー内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  6. 前記支持台が、前記炭素源として機能することを特徴とする請求項5に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  7. 前記チャンバーが、前記炭素源として機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  8. 前記タンタル部材が、前記平面部と、前記平面部から略垂直方向に延びる側壁部とを有し、前記側壁部の端部によって開口部が形成されているタンタル容器であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  9. 前記タンタル容器の前記開口部が下方になるように、前記チャンバー内に前記タンタル容器を配置し、前記タンタル容器の内側の前記平面部を前記複数の支持棒が支持することを特徴とする請求項8に記載のタンタル部材の浸炭処理方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により、浸炭処理がなされたことを特徴とするタンタル部材。
  11. 請求項5または6に記載の浸炭処理方法に用いる治具であって、
    前記複数の支持棒と、前記支持台とを有し、前記支持棒及び前記支持台が黒鉛材料から形成されていることを特徴とする浸炭処理用治具。
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