JP5479316B2 - 遠心圧縮機のスクロール構造 - Google Patents
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Description
本発明は、車両用、舶用ターボチャージャ等に用いられる遠心圧縮機のスクロール構造(渦巻室構造)に関するものである。
車両用、舶用ターボチャージャのコンプレッサ部等に用いられる遠心圧縮機は、羽根車の回転を介して流体に運動エネルギーを与えるとともに、径方向外側に流体を吐出することで遠心力による圧力上昇を得るものである。
この遠心圧縮機は広い運転範囲において高圧力比と高効率化が要求され、スクロール構造について種々の工夫がされている。
この遠心圧縮機は広い運転範囲において高圧力比と高効率化が要求され、スクロール構造について種々の工夫がされている。
従来技術として、例えば、特許文献1(特許4492045号公報)には、渦巻状に形成されたスクロール流路が設けられたケーシングを備えた遠心圧縮機であって、そのスクロール流路の軸方向の流路幅が、径方向内方から外方へかけて徐々に拡大していき、径方向の流路副の中間点よりも径方向外側で最大となるように形成される技術が示されている。
また、特許文献2(特公表2010−529358号公報)には、ターボチャージャ用の遠心圧縮機に関して、螺旋型のハウジングとディフューザとを備え、ディフューザが、螺旋形ハウジング(スクロール)の移行領域若しくは舌部の位置する領域における負圧域が低減されるように、その径を拡張されて形成されることが示されている。
図11、12に示すようにスクロール13の断面形状は一般的には、図12で示すように円形に形成され、スクロール13の巻き始めと巻き終わりの流路接続部04は、図11の舌部05の部分で接続されている。
図11はスクロール圧縮機の正面図を示し、その舌部05から時計方向に所定角度Δθ毎にθ1、θ2、…におけるスクロール断面形状を重ねて表したものを図12に示している。
舌部05においては、流路接続部04が図12の斜線で示すように円形部09と該円形部09に接するようにディフューザ部011が接続した形状を有している。
図11はスクロール圧縮機の正面図を示し、その舌部05から時計方向に所定角度Δθ毎にθ1、θ2、…におけるスクロール断面形状を重ねて表したものを図12に示している。
舌部05においては、流路接続部04が図12の斜線で示すように円形部09と該円形部09に接するようにディフューザ部011が接続した形状を有している。
スクロール内の周方向静圧力は図13に示すように、大流量作動点では、スクロールの巻き初めから巻き終わりにかけて増速流れとなり、巻き始めにおける圧力は巻き終わりにおける圧力よりも高くなることから、舌部(スクロール流路部と出口流路部との接続部)05での、巻き終わりから巻き始めへ流れる再循環流れは殆ど生じない。
他方、小流量作動点では、スクロールの巻き初めから巻き終わりにかけて減速流れとなり、巻き始めにおける圧力は巻き終わりにおける圧力よりも低くなることから、舌部において巻き終わりから巻き始めへの再循環流れが発生する。この現象によってスクロール内では次のような損失が形成される。
(1)第1は剥離損失である。スクロール吐出出口へ向かう流れは、スクロール内壁外周に沿った旋回流れとなっているが、このうち壁面近傍の境界層流れは舌部の流路接続部の圧力勾配によってスクロール巻き始めへと吸い込まれ、再循環流れが発生する。このとき舌部の流路接続部では剥離が発生し、高損失域が形成される。
(2)第2は摩擦損失である。剥離によって、エネルギーを失った再循環流れはスクロール流路断面の中央部に集積するが、このような流れは圧力が低下していることから、スクロール断面中心に向かう圧力勾配を助長し、結果として、スクロール流路断面内における流れの旋回速度が増加する。このため、スクロール流路断面における摩擦損失が増大する。
(2)第2は摩擦損失である。剥離によって、エネルギーを失った再循環流れはスクロール流路断面の中央部に集積するが、このような流れは圧力が低下していることから、スクロール断面中心に向かう圧力勾配を助長し、結果として、スクロール流路断面内における流れの旋回速度が増加する。このため、スクロール流路断面における摩擦損失が増大する。
以上のように、小流量作動点におけるスクロール内の主な損失生成要因は、舌部における再循環流れの発生にあるといえる。
前記特許文献1には、スクロール流路の断面形状を円形でない特異な形状としてスクロール流路内における旋回流れの特性を改善する技術が示されているが、舌部近傍における再循環流れを抑制することによる性能向上までは開示されていない。また、特許文献2においては、舌部近傍における負圧域を低減することは示されているものの、ディフューザによる改良に関するものであり、スクロール断面形状の改良による性能向上については開示されていない。
そこで、本発明は、これら問題に鑑みてなされたもので、舌部近傍におけるスクロール断面形状を改良して、舌部近傍においてディフューザ11出口流路からスクロール流路13への再循環流れの発生を抑制し、小流量作動点における圧縮機性能の向上、および耐サージング性を向上する遠心圧縮機のスクロール構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、渦巻状に形成されたスクロール流路が設けられた遠心圧縮機のスクロール構造において、前記スクロール流路は、スクロール流路の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部の断面形状がディフューザ出口流路の高さと同一高さを有して扁平形状に形成された扁平接続部と、該扁平接続部の扁平断面形状から円形断面形状に周方向に沿って徐々に戻る変化部と、を有したことを特徴とする。
かかる発明によれば、スクロール流路の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部の断面形状を、ディフューザ出口流路の高さと同一高さを有した扁平形状によって接続するため、従来技術(図12参照)のように円形形状による接続部に比べて、流通面積を小さくすることができ、再循環流れの流入を抑制できる。
また、本発明において好ましくは、前記変化部の周方向長さが前記流路接続部のディフューザ出口からスクロール流路内へ流れた流体が断面内をほぼ1周旋回するのに要する長さに設定されるとよい。
このように、1周旋回するのに要する周方向長さを有して、徐々に円形形状に戻すことによって、極端な断面形状変化によって生じる二次流れ損失を防止して、スクロール通路内の流れを円滑にすることができる。
また、ほぼ1周旋回する長さに設定して円形形状に戻すため、1旋回した後には円形形状として円滑な旋回流れとすることができる。
このように、1周旋回するのに要する周方向長さを有して、徐々に円形形状に戻すことによって、極端な断面形状変化によって生じる二次流れ損失を防止して、スクロール通路内の流れを円滑にすることができる。
また、ほぼ1周旋回する長さに設定して円形形状に戻すため、1旋回した後には円形形状として円滑な旋回流れとすることができる。
また、本発明において好ましくは、前記変化部の周方向長さは、圧縮機ホイールの回転中心と前記流路接続部の舌部とを結ぶ線からの周方向角度でほぼ30°とするとよい。シミュレーション計算結果または実機による試験によって確認した結果では、スクロール流路内の流速にもよるが、舌部からほぼ30°の間で、断面内を1周旋回するためである。
また、本発明において好ましくは、前記変化部での前記扁平形状から円形形状への変化において、下流側断面形状に部分的に扁平部を設け、該扁平部が徐々に縮小して円形形状に変化するとよい。
このように扁平部を一部に残しつつ該扁平部を縮小するように円形形状に変化させるため、断面形状の極端な変化がなく、滑らかに円形形状に変化でき、二次流れ損失を防止した円滑な旋回流れにできる。
また、本発明において好ましくは、前記変化部での前記扁平形状から円形形状への変化において、ディフューザ高さと同一の高さを有した扁平形状の一方面をディフューザの高さ方向の一方面と一致させつつ、ディフューザ出口からの流体流出方向に対向する面を円弧形状に形成し、該円弧形状の円弧面が徐々に広がって円形形状に戻るように変化するとよい。
そして、前記円弧形状の円弧中心を、ディフューザ出口端部に位置させるとよく、または、スクロール通路の中心に位置させるとよく、または、ディフューザ出口流路高さと同一高さの線上に位置させて断面形状が円形形状に進むに従って、ディフューザ出口端部に近づくように変化させるとよい。
このように、ディフューザ出口からの流体流出方向に対向する面を円弧形状に形成し、該円弧形状の面を徐々に広げて円形形状に戻るように変化させている。これは、ディフューザ出口からの流体はスクロールの巻き始めではスクロール断面内の全てには存在せず、スクロールの外周に偏った流れとなるから、その偏った流れに沿うように、断面形状を形成することで、ディフューザ出口からの流体流れに沿った断面形状とすることができ、円形形状へより滑らかに変化でき、二次流れ損失を防止した円滑な断面変化とすることができる。
また、円弧中心を、ディフューザ出口端部ではなく、スクロール通路の中心、または、ディフューザ出口流路高さと同一高さの線上を変化させて位置させることによって、スクロール通路の舌部近傍でのディフューザ長さを、見かけ上長くでき、舌部の近傍での圧力を上昇させることができる。この結果、周方向静圧分布を均一化することが可能となる。
本発明によれば、渦巻状に形成されたスクロール流路が設けられた遠心圧縮機のスクロール構造において、前記スクロール流路は、スクロール流路の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部の断面形状がディフューザ出口流路の高さと同一高さを有して扁平形状に形成された扁平接続部と、該扁平接続部の扁平断面形状から円形断面形状に周方向に沿って徐々に戻る変化部と、を有したので、スクロール流路の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部の断面形状を、ディフューザ出口流路の高さと同一高さを有した扁平形状によって接続することで、従来技術(図12参照)のように円形形状による接続部に比べて、流通面積を小さくすることができ、再循環流れの流入を抑制でき、小流量作動点における圧縮機性能を向上する遠心圧縮機のスクロール構造を得ることができる。さらに、ディフューザ出口分布の不均一は、羽根車入口における不均一な流量分布をもたらし、その結果、羽根車における失速、ひいてはサージングの発生を誘発するが、本発明により周方向静圧分布を均一化することによって耐サージング性を向上する遠心圧縮機のスクロール構造を得ることができる。
さらに、再循環流れを抑制する為、再循環流れに相当する流量を考慮する必要がなく、結果的にスクロール断面積を小さく、小型軽量化できる遠心圧縮機のスクロール構造を得ることができる。
さらに、再循環流れを抑制する為、再循環流れに相当する流量を考慮する必要がなく、結果的にスクロール断面積を小さく、小型軽量化できる遠心圧縮機のスクロール構造を得ることができる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
(第1実施形態)
図1は本発明の遠心圧縮機1の断面概要図を示す。本実施形態はターボチャージャに適用される遠心圧縮機1を示すものであり、図示しないタービンに駆動された回転軸3に固定されたハブ5の表面に複数のコンプレッサ翼7が立設され、そのコンプレッサ翼7の外側をコンプレッサハウジング9が覆っている。また、コンプレッサ翼7の外周側にディフューザ11が形成され、さらに、このディフューザ11の周囲にはスクロール流路13が形成されている。
図1は本発明の遠心圧縮機1の断面概要図を示す。本実施形態はターボチャージャに適用される遠心圧縮機1を示すものであり、図示しないタービンに駆動された回転軸3に固定されたハブ5の表面に複数のコンプレッサ翼7が立設され、そのコンプレッサ翼7の外側をコンプレッサハウジング9が覆っている。また、コンプレッサ翼7の外周側にディフューザ11が形成され、さらに、このディフューザ11の周囲にはスクロール流路13が形成されている。
スクロール流路13の断面図を図2に示す。コンプレッサハウジング9は、スクロール流路13と、該スクロール流路13に連通する直線状の出口流路15とを備えており、スクロール流路13は、その巻き始め部17から図2に示す右回りに巻き角度θが大きくなるに伴い、その流路断面積が増加し、巻き角度θが約360°を超え、さらに進むと巻き終わり部19に達する。また、スクロール流路13には、スクロール流路13の断面形状が扁平形状から円形形状に変化する変化部21を有している。この変化部21については後述する。
また、本実施形態では、巻き角度θは、図2のように水平位置をθ=0°として、スクロール流路の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部23の舌部25の位置と圧縮ホイール8の中心Xとを結ぶ線をほぼθ=60°に設定されている。
次にスクロール流路13の断面形状について説明する。
図3に示すように、スクロール流路13の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部23の断面形状は、ディフューザ11の出口流路の高さと同一高さを有して扁平形状に形成された扁平接続部Aからなっている。
図3に示すように、スクロール流路13の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部23の断面形状は、ディフューザ11の出口流路の高さと同一高さを有して扁平形状に形成された扁平接続部Aからなっている。
この扁平接続部Aは、図9に概略的に示されているように、流路接続部23において、ディフューザ11の出口流路と同一高を有して扁平状に形成されている。その扁平形状から、巻き角度θの増加に伴って、円形形状へと徐々に変化して略θ=90°までに、円形の断面形状に戻るようになっている。この扁平断面形状から円形形状にもどる範囲を、スクロール流路13の変化部21として設定している。
なお、変化部21の長さが長いと本来の円形断面に戻る時期が遅くなり、性能に影響するため、θ=90°〜180°には遅くとも円形に戻す必要がある。
なお、変化部21の長さが長いと本来の円形断面に戻る時期が遅くなり、性能に影響するため、θ=90°〜180°には遅くとも円形に戻す必要がある。
変化部21の巻き始めのθ=60°から略θ=90°の範囲においては、巻き始め部17に、ディフューザ11から流出した流体がスクロール流路13の断面内をほぼ1周旋回する長さとして設定されており、その1旋回した後に、円形断面形状に沿って円滑な旋回流れとするためである。なお、変化部21以降の角度位置においては円形形状となってスクロール通路の巻き終わり部19に達する。
スクロール内の流れは、スクロール出口に向かう周方向流れの主流と、その主流に沿ってスクロール流路内を旋回しながら流れる旋回流とを伴う。このため、巻き始め部17にディフューザ11から流出した流れを、円形形状に沿う旋回流れに戻すことはスムーズな流れを形成する上で自然でありかつ必要である。
流路接続部23の近傍では流れはスクロール断面内全てには存在せず、ディフューザ11から出た流れはスクロール外周に偏った流れとなっているため、スクロール断面内をほぼ1旋回する長さの後には円形形状として円滑な旋回流れとすることが必要であるので、ほぼ1旋回分の長さとしている。
流路接続部23の近傍では流れはスクロール断面内全てには存在せず、ディフューザ11から出た流れはスクロール外周に偏った流れとなっているため、スクロール断面内をほぼ1旋回する長さの後には円形形状として円滑な旋回流れとすることが必要であるので、ほぼ1旋回分の長さとしている。
この1旋回状態を、図8を参照して説明する。図8(a)は流路接続部23近傍のディフューザ11からの出口流れの流線を、シミュレーションによる算出結果を基に示したものである。
この図8(d)では、巻き角度θ=約60°の舌部位置における流線が示され、スクロール外周側に偏った旋回流が開始される状態が示されている。
また、図8(c)では、巻き角度θ=75°での流線が示され、スクロール外周側への偏りが進み、ほぼ半分旋回した状態までスクロール内部での旋回流が進んでいる。
また、図(b)では、巻き角度θ=90°での流線が示され、スクロール外周側への偏りがさらに進み、ほぼ1周旋回した状態まで旋回流が進んでいる。
この図8(d)では、巻き角度θ=約60°の舌部位置における流線が示され、スクロール外周側に偏った旋回流が開始される状態が示されている。
また、図8(c)では、巻き角度θ=75°での流線が示され、スクロール外周側への偏りが進み、ほぼ半分旋回した状態までスクロール内部での旋回流が進んでいる。
また、図(b)では、巻き角度θ=90°での流線が示され、スクロール外周側への偏りがさらに進み、ほぼ1周旋回した状態まで旋回流が進んでいる。
このように、シミュレーションによる計算結果を基に流線を算出すると、巻き角度θが略90°までに、スクロール断面内をほぼ1旋回する。旋回流量や旋回速度は運転条件よって変化するが、巻き角度がほぼ90°、すなわち、舌部25からの周方向範囲では、ほぼ30°内に円形形状に戻すことが適切であることが分かる。
スクロール流路13に形成された変化部21における断面形状が必要円形状に戻る状態および変化部21以降のスクロール流路13の断面変化形状を図3に示す。
図3より、ディフューザ11の高さと一致させた扁平接続部Aが形成されており、該扁平接続部Aの先端部分は外側壁の形状に沿わせて先端エッジ部Eに形成されているが、曲率をつけて形成してもよい、曲率に形成することで先端エッジ部による局部的な剥離や乱流の生成等を防止できる(他の実施形態においても同様である。)。
図3より、ディフューザ11の高さと一致させた扁平接続部Aが形成されており、該扁平接続部Aの先端部分は外側壁の形状に沿わせて先端エッジ部Eに形成されているが、曲率をつけて形成してもよい、曲率に形成することで先端エッジ部による局部的な剥離や乱流の生成等を防止できる(他の実施形態においても同様である。)。
また、扁平接続部Aの一方の扁平面をディフューザ11の高さの一方面と一致させつつ、他方面側を徐々に円弧形状の径を大きくするように変化させることによって、必要円形形状に戻している。
具体的には、図2の舌部25の位置、すなわち、巻き角度(周方向角度)θ0=60°において扁平接続部Aの形状となっており、この角度θ0から一定角度Δθ変化したθ1においては、半径R1の円形形状となっており、さらに、一定角度Δθ変化したθ2においては、半径R2の円形形状となっていて、さらに、一定角度Δθ変化したθ3においては、半径R3の円形形状となっているように、順次所定の大きさの円形へと変化する。そして、変化部21によって必要円形形状に戻った後は、円形形状となってスクロール通路の巻き終わり部19に達する。
具体的には、図2の舌部25の位置、すなわち、巻き角度(周方向角度)θ0=60°において扁平接続部Aの形状となっており、この角度θ0から一定角度Δθ変化したθ1においては、半径R1の円形形状となっており、さらに、一定角度Δθ変化したθ2においては、半径R2の円形形状となっていて、さらに、一定角度Δθ変化したθ3においては、半径R3の円形形状となっているように、順次所定の大きさの円形へと変化する。そして、変化部21によって必要円形形状に戻った後は、円形形状となってスクロール通路の巻き終わり部19に達する。
以上のように、第1実施形態においては、スクロール流路13の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部23の断面形状を、ディフューザ111の出口流路の高さと同一高さを有した扁平接続部Aによって接続するため、従来技術(図12参照)の円形形状による接続部に比べて、流通面積を小さくすることができ、再循環流れの流入を抑制できる。
また、変化部21の周方向長さが流路接続部23のディフューザ出口からスクロール流路内へ流れた流体が断面内をほぼ1周旋回するのに要する長さに設定されるので、徐々に円形形状に戻すことによって、極端な断面形状変化によって生じる二次流れ損失を防止して、スクロール通路内の流れを円滑にすることができる。
また、ほぼ1周旋回する長さに設定して円形形状に戻すため、1旋回した後には円形形状として円滑な旋回流れとすることができる。
また、ほぼ1周旋回する長さに設定して円形形状に戻すため、1旋回した後には円形形状として円滑な旋回流れとすることができる。
(第2実施形態)
次に、図4を参照して、第2実施形態について説明する。
図4に示すように、変化部21での扁平接続部Aから円形形状への変化において、下流側断面形状に部分的に扁平部Hを設け、該扁平部Hが徐々に縮小して円形形状に変化することを特徴とする。
前記第1実施形態では、扁平接続部Aの扁平形状から直ぐに小円形形状へと変化して、その円形形状の半径がR1から順次大きく変化していくが、第2実施形態では変化中に扁平部Hを設けて、扁平部Hを縮小しながら順次円形に変化していく。
次に、図4を参照して、第2実施形態について説明する。
図4に示すように、変化部21での扁平接続部Aから円形形状への変化において、下流側断面形状に部分的に扁平部Hを設け、該扁平部Hが徐々に縮小して円形形状に変化することを特徴とする。
前記第1実施形態では、扁平接続部Aの扁平形状から直ぐに小円形形状へと変化して、その円形形状の半径がR1から順次大きく変化していくが、第2実施形態では変化中に扁平部Hを設けて、扁平部Hを縮小しながら順次円形に変化していく。
具体的には、図4のように舌部25位置の巻き角度θ0=60°において扁平接続部Aの形状となっており、扁平部H0を有し、この角度θ0から一定角度Δθ変化したθ1においては、扁平部H1となり、さらに、一定角度Δθ変化したθ2においては、扁平部H2となり、さらに、一定角度Δθ変化したθ3においては、扁平部H3となっているように、順次扁平部が縮小するようにして所定の大きさの円形へと変化する。
図4のように扁平接続部Aの一方の扁平面をディフューザ11の高さの一方面と一致させつつ、他方面の扁平部Hの高さを徐々に大きくするとともに、幅を徐々に縮小して円弧形状へと変化させて円形形状に変化させる。
このように、扁平接続部Aの扁平部Hを一部に設けつつ円形形状へと変化させるため、断面変化が急にならず、より円滑に円形形状に戻すことができ、極端な断面形状変化によって生じる剥離の発生を防止して、スクロール流路13内の流れを円滑にすることができる。
(第3実施形態)
図5を参照して、第3実施形態について説明する。
第1実施形態では小円形形状から順次大きくし、また第2実施形態は扁平形状を順次大きくした場合について説明したが、第3実施形態は、流路接続部23の近傍でのディフューザ11から出た流れに沿った、または流れに合った形状変化としている。
図5を参照して、第3実施形態について説明する。
第1実施形態では小円形形状から順次大きくし、また第2実施形態は扁平形状を順次大きくした場合について説明したが、第3実施形態は、流路接続部23の近傍でのディフューザ11から出た流れに沿った、または流れに合った形状変化としている。
流路接続部23の近傍ではディフューザ11から出た流れはスクロール断面内全てには存在せず、ディフューザ11から出た流れはスクロール外周に偏った流れとなっていて、スクロール断面内を旋回するように流れる。
従って、変化部21では、扁平接続部Aの扁平形状から円形形状への変化において、ディフューザ11の高さと同一の高さを有した扁平形状の一方の扁平面をディフューザの高さ方向の一方面と一致させつつ、ディフューザ出口に対向する面を円弧形状に形成し、該円弧形状の面が徐々に広がって円形形状に戻るように変化させる。
従って、変化部21では、扁平接続部Aの扁平形状から円形形状への変化において、ディフューザ11の高さと同一の高さを有した扁平形状の一方の扁平面をディフューザの高さ方向の一方面と一致させつつ、ディフューザ出口に対向する面を円弧形状に形成し、該円弧形状の面が徐々に広がって円形形状に戻るように変化させる。
具体的には、図5のように舌部25位置の巻き角度θ0=60°において扁平接続部Aの形状となっており、この角度θ0から一定角度Δθ変化したθ1においては、円弧形状の円弧中心をディフューザ11の高さ面の出口端部Pに位置し、半径R1の円弧形状となっており、さらに、一定角度Δθ変化したθ2においては、半径R2の円弧形状となっていて、さらに、一定角度Δθ変化したθ3においては、半径R3の円弧形状となるように変化する。
円弧角度αは、スクロール流路13の変化部21の間にαが略180°旋回するように設定される。また、半径R1、R2、R3は直線で結ばずに、流体の流れを考慮して円弧(点線で示すような形状)で結んでもよい。
さらに、各半径方向ラインと円弧は、極端な形状変化を生じないように、角部を適当な局率にて丸めても良い。
円弧角度αは、スクロール流路13の変化部21の間にαが略180°旋回するように設定される。また、半径R1、R2、R3は直線で結ばずに、流体の流れを考慮して円弧(点線で示すような形状)で結んでもよい。
さらに、各半径方向ラインと円弧は、極端な形状変化を生じないように、角部を適当な局率にて丸めても良い。
図8で既に説明したように、流路接続部23の近傍でのディフューザ11から出た流れは、スクロール外周側への偏りが進みながら旋回流が進むため、その流れに合わせるようにして、円弧形状を順次拡大して円形形状とすることで、流路接続部23の近傍でのディフューザ11から出た流れに沿った形状変化とすることができるので、無駄な断面変化形状とすることがなく、より円滑に円形形状に戻すことができる。
その結果、極端な断面形状変化によって生じる二次流れ損失を防止して、スクロール流路13内の流れを円滑にすることができる。
その結果、極端な断面形状変化によって生じる二次流れ損失を防止して、スクロール流路13内の流れを円滑にすることができる。
(第4実施形態)
図6を参照して、第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、第3実施形態においては円弧形状の円弧中心の位置を、ディフューザ11の高さ面の出口端部Pにしていたが、円弧中心を扁平接続部Aの扁平形状の中央部Qとすることが異なり、その他は第3実施形態と同様である。
図6を参照して、第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、第3実施形態においては円弧形状の円弧中心の位置を、ディフューザ11の高さ面の出口端部Pにしていたが、円弧中心を扁平接続部Aの扁平形状の中央部Qとすることが異なり、その他は第3実施形態と同様である。
具体的には、図6のように舌部25位置の巻き角度θ0=60°において扁平接続部Aの形状となっており、この角度θ0から一定角度Δθ変化したθ1においては、円弧形状の円弧中心を扁平形状の中央部Qに位置しており、その点を始点として半径R1の円弧形状となっており、さらに、一定角度Δθ変化したθ2においては、半径R2の円弧形状となっていて、さらに、一定角度Δθ変化したθ3においては、半径R3の円弧形状となるように変化する。
また、半径R1、R2、R3は直線で結ばずに、流体の流れを考慮して円弧(図5の点線で示すような形状)で結んでもよい。
さらに、各半径方向ラインと円弧は、極端な形状変化を生じないように、角部を適当な局率にて丸めても良い。
また、半径R1、R2、R3は直線で結ばずに、流体の流れを考慮して円弧(図5の点線で示すような形状)で結んでもよい。
さらに、各半径方向ラインと円弧は、極端な形状変化を生じないように、角部を適当な局率にて丸めても良い。
このように、半径の始点である中心点を、第3実施形態のディフューザ11の出口端部Pでなく、ディフューザ11の出口流路高さと同一高さの線上であって、扁平接続部Aの扁平形状の中央部Qとすることによって、スクロール流路13の舌部25近傍でのディフューザ11の長さを、見かけ上長くでき(図6のBのように長くでき)、巻き始め部17での圧力を上昇させることができる。この結果、周方向静圧分布を均一化することが可能となる。
すなわち、図13に示すように、小流量作動点では、スクロールの巻き初めから巻き終わりにかけて減速流れとなり、巻き始めにおける圧力は巻き終わりにおける圧力よりも低くなることから、巻き終わり部19から巻き始め部17への再循環流れが発生してスクロール内での損失が形成されるが、このような圧力差を低減して再循環流を低減してインペラ性能の向上が期待できる。
さらに、この周方向静圧分布の均一化は、スクロール流路13の扁平接続部Aの扁平形状による再循環流れの流入を抑制する作用と相俟って、インペラ性能を向上する。
(第5実施形態)
図7を参照して、第5実施形態について説明する。
第5実施形態は、第4実施形態に対して、円弧形状の円弧中心の位置を、ディフューザ11の扁平形状の中央部Qと固定するものではなく、円弧中心位置を変化させることに特徴があり、その他の構成は第4実施形態と同様である。
図7を参照して、第5実施形態について説明する。
第5実施形態は、第4実施形態に対して、円弧形状の円弧中心の位置を、ディフューザ11の扁平形状の中央部Qと固定するものではなく、円弧中心位置を変化させることに特徴があり、その他の構成は第4実施形態と同様である。
図7のように舌部25位置の巻き角度θ0=60°において扁平接続部Aの形状となっており、この角度θ0から一定角度Δθ変化したθ1においては、円弧形状の円弧中心Sを扁平形状の上面の位置を変化させて、断面形状が円形形状に進むに従って、ディフューザ出口端部に近づくように位置される。
また、半径R1、R2、R3は直線で結ばずに、流体の流れを考慮して円弧(図5の点線で示すような形状)で結んでもよい。
さらに、各半径方向ラインと円弧は、極端な形状変化を生じないように、角部を適当な局率にて丸めても良い。
また、半径R1、R2、R3は直線で結ばずに、流体の流れを考慮して円弧(図5の点線で示すような形状)で結んでもよい。
さらに、各半径方向ラインと円弧は、極端な形状変化を生じないように、角部を適当な局率にて丸めても良い。
このように、半径の始点である円弧中心Sを、第4実施形態のディフューザ11の出口流路高さと同一高さの線上であって、断面形状が円形形状に進むに従って、ディフューザ出口端部に近づくように位置させるので、円弧形状の中心位置の制約がないため加工が容易になるとともに、前記第4実施形態と同様に、スクロール流路13の舌部25近傍でのディフューザ長さを、見かけ上長くでき(図7のCのように長くでき)、巻き始め部17での圧力を上昇させることができる。この結果、図13に示すように、巻き始め部17での圧力上昇(D部)によって周方向静圧分布を均一化することが可能となり、スクロール内での流れの乱れの発生が低減される。
なお、第1実施形態〜第5実施形態におけるディフューザ11の出口端部Pの角部とスクロール流路13との接続部においても適当な局率の丸みを設けることが好ましい。
さらに、ディフューザ11の出口端部Pの角部とスクロール流路13の接続は、単に丸みをつけるだけでなく元のディフューザ出口形状に対する接線となるようにするのが好ましい。
なお、第1実施形態〜第5実施形態におけるディフューザ11の出口端部Pの角部とスクロール流路13との接続部においても適当な局率の丸みを設けることが好ましい。
さらに、ディフューザ11の出口端部Pの角部とスクロール流路13の接続は、単に丸みをつけるだけでなく元のディフューザ出口形状に対する接線となるようにするのが好ましい。
本発明によれば、舌部近傍におけるスクロール断面形状を改良して、舌部近傍において出口流路からスクロール流路への再循環流れの発生を抑制し、小流量作動点における圧縮機性能の向上、および耐サージング性を向上することができるので、ターボチャージャ、遠心ファン、送風機等に適し、さらに、吐出スクロール(渦巻室)を有する流体機械にも適する。
1 遠心圧縮機
3 回転軸
5 ハブ
7 コンプレッサ翼
8 圧縮機ホイール
9 コンプレッサハウジン
11 ディフューザ
13 スクロール流路
15 出口流路
17 巻き始め部
19 巻き終わり部
21 変化部
23 流路接続部
25 舌部
A 扁平接続部
Q、S 円弧中心
P ディフューザの出口端部
3 回転軸
5 ハブ
7 コンプレッサ翼
8 圧縮機ホイール
9 コンプレッサハウジン
11 ディフューザ
13 スクロール流路
15 出口流路
17 巻き始め部
19 巻き終わり部
21 変化部
23 流路接続部
25 舌部
A 扁平接続部
Q、S 円弧中心
P ディフューザの出口端部
Claims (8)
- 渦巻状に形成されたスクロール流路が設けられた遠心圧縮機のスクロール構造において、
前記スクロール流路は、スクロール流路の巻き始めと巻き終わりとが交差する流路接続部の断面形状がディフューザ出口流路の高さと同一高さを有して扁平形状に形成された扁平接続部と、該扁平接続部の扁平断面形状から円形断面形状に周方向に沿って徐々に戻る変化部と、を有したことを特徴とする遠心圧縮機のスクロール構造。 - 前記変化部の周方向長さが前記流路接続部のディフューザ出口からスクロール流路内へ流れた流体が断面内をほぼ1周旋回するのに要する長さに設定されることを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記変化部の周方向長さが、圧縮機ホイールの回転中心と前記流路接続部である舌部とを結ぶ線から周方向角度でほぼ30°以内であることを特徴とする請求項2記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記変化部での前記扁平形状から円形形状への変化において、下流側断面形状に部分的に扁平部を設け、該扁平部が徐々に縮小して円形形状に変化することを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記変化部での前記扁平形状から円形形状への変化において、ディフューザ高さと同一の高さを有した扁平形状の一方面をディフューザの高さ方向の一方面と一致させつつ、ディフューザ出口からの流体流出方向に対向する面を円弧形状に形成し、該円弧形状の円弧面が徐々に広がって円形形状に戻るように変化することを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記円弧形状の円弧中心がディフューザ出口端部に位置されることを特徴とする請求項5記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記円弧形状の円弧中心がスクロール通路の中心位置に位置されることを特徴とする請求項5記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記円弧形状の円弧中心がディフューザ出口流路高さと同一高さの線上に位置され、断面形状が円形形状に進むに従って、ディフューザ出口端部に近づくように位置されることを特徴とする請求項5記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
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