JP5464490B2 - 画像形成装置の製造方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
逆に、図14に例示した第2の構成であれば、各感光体ドラムの第1アイドラギヤ435,436,437,438が、それぞれの感光体ドラムへの駆動伝達と、駆動伝達経路下流側に隣接する感光体ドラムへの駆動伝達とを兼ねたギヤ(以下「駆動伝達兼用ギヤ」という。)であるため、上述した第1の構成のように駆動モータの回転駆動力をアイドラギヤで分岐する構成よりも、アイドラギヤ数を少なくできる。よって、部品点数が少なく、低コストで省スペースな構成の実現が容易である。
上記特許文献2に記載されている構成では、図14に示すように、各第1アイドラギヤ435,436,437,438の大径ギヤ435a,436a,437a,438aが駆動伝達経路上に存在しているので、その大径ギヤの偏心によって、その大径ギヤの回転周期(第1アイドラギヤの回転周期)をもった回転速度変動が各感光体ドラムに生じる。この回転速度変動による色ズレを防止するため、上記特許文献2では、各第1アイドラギヤ435,436,437,438の組み付け時の回転位置(鉛直方向真上を基準とした第1アイドラギヤの回転方向とは逆方向への回転角度)を、次のように設定する。すなわち、被転写体上の同一地点がそれぞれの感光体ドラムの転写位置に位置する時に、いずれの感光体ドラムも、これに対応する第1アイドラギヤ435,436,437,438の大径ギヤの最大偏心地点が同じ回転位置となるように設定している。
すなわち、互いに隣接する2つの感光体ドラムに関し、各感光体ドラムが被転写体上の同一地点に対して可視像をそれぞれ転写する時に、各感光体ドラムの回転速度変動(ドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動成分)の位相が一致し、かつ、当該回転速度変動の振幅も一致するように、それらのドラム駆動ギヤ間における偏心量の比を調整した感光体ドラム駆動ギヤを用い、そのような感光体ドラム駆動ギヤを所定の回転位置で組み付けるという方法である。この方法によれば、それぞれの感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動による色ズレだけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動による色ズレも抑制できる。
また、請求項3の発明は、被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体を回転駆動させ、該複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置において、上記複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、上記駆動入力ギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうち第1のアイドラギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、上記式(1)に示すθiとなるように構成されており、第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては上記式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては上記式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4の画像形成装置において、回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記N個の駆動ギヤは、それぞれ対応する像担持体の回転軸と同軸に配置された像担持体駆動ギヤであることを特徴とするものである。
また、本発明によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いるので、これらの駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動を抑制するために、製造した駆動ギヤの偏心量を計測したり、既定の偏心量比率の組合せを実現できる駆動ギヤを選定したりする作業が不要である。
そして、本発明によれば、上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤを用いても、後述するように、各像担持体に対応する駆動ギヤの偏心に起因して当該像担持体にそれぞれ生じる回転速度変動だけでなく、駆動伝達経路上流側に配置されている駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動も抑制することができる。
以下、本発明を、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
図1は、本実施形態1における画像形成装置の主要構成を示す概略構成図である。なお、本画像形成装置を複写機やプリンタなどの製品として用いる場合には、必要に応じて、図示の主要構成に加えて、用紙を大量に保持する給紙テーブルを設置したり、スキャナ部や原稿自動搬送装置(ADF)を設置したりする。
また、本画像形成装置には、中間転写ベルト10を挟んで駆動ローラ8と対向する位置に、第2転写手段としての二次転写ローラ13が設けられている。この二次転写ローラ13は、駆動ローラ8に向けて中間転写ベルト10へ押し当てられるように設けられている。二次転写ローラ13と中間転写ベルト10との間のニップ部(二次転写部)には図中下方から所定のタイミングで記録材としてのシートが搬送されてくる。そして、二次転写ローラ13の加圧力と印加電圧により中間転写ベルト10上の画像がシートに転写される。なお、第2転写手段としては、転写ベルトや非接触式のチャージャを利用したものであってもよい。
また、本画像形成装置には、この二次転写ローラの図中上方に、図示しない定着装置が設けられている。この定着装置は、シート上に転写された画像をシートへ定着するための定着処理を行うものである。
本画像形成装置を複写機として用いる場合、まず、原稿を、図示しない原稿自動搬送装置の原稿台上にセットするか、原稿自動搬送装置を開いてスキャナ部のコンタクトガラス上にセットして原稿自動搬送装置を閉じてそれで押さえるかする。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置に原稿をセットした場合であれば、その原稿が搬送されてコンタクトガラス上へと移動した後、スキャナ部の走査ユニットが駆動する。
コンタクトガラス上に原稿をセットした場合であれば、スキャナ部の走査ユニットが駆動する。走査ユニットが走行すると同時に光源から光が原稿面に照射され、その反射光が結像レンズを通して読取センサによって受光されて原稿内容が読み取られる。そして、読み取った原稿内容に基づく画像情報を用いて以下の画像形成を行う。
また、本画像形成装置をプリンタとして用いる場合、パソコンやデジタルカメラ等の外部機器から画像情報を受信し、その画像情報を用いて以下の画像形成を行う。
図2は、本実施形態1における感光体ドラム駆動装置の概略構成を示す説明図である。
この感光体ドラム駆動装置は、画像形成装置本体に設けられた図示しない駆動部取付基板に固定されており、駆動モータ1個と歯車列を用いて、4個の感光体ドラム2へ駆動力を伝達する駆動系を構成している。本実施形態1では、駆動モータ33として、定速性に優れたDCブラシレスモータやステッピングモータ等を利用することができるが、他のモータを用いてもよい。
K用感光体ドラム2kの隣に配置されたM用感光体ドラム2mの回転駆動力は、K用ドラム駆動ギヤ32kから第1アイドラギヤ76を介して第2駆動ギヤであるM用ドラム駆動ギヤ32mに伝達される。M用ドラム駆動ギヤ32mは、M用感光体ドラム2mの回転軸とカップリングで連結されており、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転駆動力がM用感光体ドラム2mへ伝達される。
M用感光体ドラム2mの隣に配置されたC用感光体ドラム2cの回転駆動力は、M用ドラム駆動ギヤ32mから第2アイドラギヤ77を介して第3駆動ギヤであるC用ドラム駆動ギヤ32cに伝達される。C用ドラム駆動ギヤ32cは、C用感光体ドラム2cの回転軸とカップリングで連結されており、C用ドラム駆動ギヤ32cの回転駆動力がC用感光体ドラム2cへ伝達される。
C用感光体ドラム2cの隣に配置されたY用感光体ドラム2yの回転駆動力は、C用ドラム駆動ギヤ32cから第3アイドラギヤ78を介して第4駆動ギヤであるY用ドラム駆動ギヤ32yに伝達される。Y用ドラム駆動ギヤ32yは、Y用感光体ドラム2yの回転軸とカップリングで連結されており、Y用ドラム駆動ギヤ32yの回転駆動力がY用感光体ドラム2yへ伝達される。
本実施形態1では、詳しくは後述するが、各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した各感光体ドラム2の回転速度変動を抑制するために、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が予め決められた相対関係となるように、すなわち、各ドラム駆動ギヤ32の最大偏心地点の回転位置が予め決められた相対関係となるように、設定される。
各感光体ドラム2に回転駆動力を伝達する各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因して、各感光体ドラム2には回転速度変動が発生する。このような感光体ドラム2の回転速度変動により、各感光体ドラム2から中間転写ベルト10上へ転写される各単色トナー画像は、本来の形状に対してドラム駆動ギヤ32の一回転周期で周期的に伸縮する。このとき、各単色トナー画像の周期的な伸縮の振幅及び位相が中間転写ベルト10上においてズレていると、いわゆる色ズレが生じ、顕著な画質劣化となる。そのため、本実施形態1では、各ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因して発生する各単色トナー画像の周期的な伸縮の振幅及び位相が中間転写ベルト10上において互いに一致するように、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相の相対関係を調整している。
以下、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動というときは、その感光体ドラムに対応するドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動に、その駆動伝達経路上流側に位置するドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が重畳した回転速度変動を意味するものとする。
図3は、本実施形態1の感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
K用ドラム駆動ギヤ32kとモータギヤ34との噛み合い箇所を噛合ポイントp1kとする。また、K用ドラム駆動ギヤ32kと第1アイドラギヤ76との噛み合い箇所を噛合ポイントp2kとする。そして、噛合ポイントp1kを基準にK用ドラム駆動ギヤ32kの回転方向へ噛合ポイントp2kまでの中心角を挟み角θikとする。同様に、M用ドラム駆動ギヤ32mと第1アイドラギヤ76との噛み合い箇所を噛合ポイントp1mとする。また、M用ドラム駆動ギヤ32mと第2アイドラギヤ77との噛み合い箇所を噛合ポイントp2mとする。そして、噛合ポイントp1mを基準にM用ドラム駆動ギヤ32mの回転方向へ噛合ポイントp2mまでの中心角を挟み角θimとする。以下、C用ドラム駆動ギヤ32c、Y用ドラム駆動ギヤ32yにおいても同様である。
このとき、モータギヤ34や各アイドラギヤ76,77,78の整数回転する時の感光体ドラム表面移動距離が、潜像書込位置から転写位置までの感光体ドラム表面移動距離に等しくなるように、設定してもよい。この場合、モータギヤ34及び各アイドラギヤ76,77,78の偏心による感光体ドラムの回転速度変動に起因した画像の伸縮をキャンセルできる。
次に、上述したように決定されたギヤ配置関係において、各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が以下に説明する所定の相対関係となるように、各ドラム駆動ギヤ32の回転位置を調整する。
以下の説明では、各ドラム駆動ギヤ32の最大偏心地点(図3中のマーク4k,4m,4c,4yが位置する地点)を、それぞれのドラム駆動ギヤ32の入力側の噛合ポイントp1k,p1m,p1c,p1yから目標とする調整ポイントまで当該ドラム駆動ギヤの回転方向へ移動させるときの回転角度(以下「位相差調整角度」という。)を、それぞれ、θak、θam、θac、θayとする。この場合、各位相差調整角度θak,θam,θac,θayは、上述した最適位相差角φを用いて、下記の式(2’)に示すようになる。
なお、ここでは、K用ドラム駆動ギヤの位相差調整角度θakは、便宜上ゼロとしたが、これがゼロでない場合は、そのθakの値を各ドラム駆動ギヤ32の位相差調整角度θam,θac,θayに加算すればよい。
次に、上述した本実施形態1におけるドラム駆動ギヤ32の組み付け方法により各ドラム駆動ギヤ32を組み付けた場合に、ドラム駆動ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできることを確認する。
まず、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心による回転速度変動は、モータギヤ34との噛合ポイントp1kで発生する。ギヤ偏心による速度変動特性は正弦関数で表現することができ、便宜上、振幅を1、噛合ポイントp1kを基準としたドラム駆動ギヤ32kのマーク4kの回転角度をθとしたとき、K用ドラム駆動ギヤ32kの回転速度変動Vkは、下記の式(7)に示す式で表現することができる。
K用感光体ドラム2kに対して中間転写ベルト10の移動方向上流側に位置するM用感光体ドラム2mのドラム駆動ギヤ32mは、本実施形態1の組み付け方法によれば、K用ドラム駆動ギヤ32kとの偏心位相差を上述した最適位相差角φとしたい。したがって、M用ドラム駆動ギヤ32mの目標速度変動Vm_refは、下記の式(8)に示すようになる。なお、このM用ドラム駆動ギヤ32mの回転角度(θ+φ)は、噛合ポイントp1mを基準としたドラム駆動ギヤ32mのマーク4mの回転角度である。以下、C、Yについても同様であるので、C用ドラム駆動ギヤ32c及びY用ドラム駆動ギヤ32yの目標速度変動Vc_ref,Vy_ref,は、それぞれ、下記の式(9)及び(10)に示すようになる。
まず、K用ドラム駆動ギヤ32kは、モータギヤ34との噛合ポイントp1kで、自己の偏心に起因して、上記式(7)で示した回転速度変動を生じる。
また、このような回転速度変動が生じているK用ドラム駆動ギヤ32kは、この噛合ポイントp1kからその回転方向へθiだけずれた回転位置にある第1アイドラギヤ76との噛合ポイントp2kで、自己の回転駆動力を第1アイドラギヤ76へ伝達する。この噛合ポイントp2kでは、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して、θi分だけ遅れた上記式(7)で示す回転速度変動を第1アイドラギヤ76に生じさせることになる。
さらに、第1アイドラギヤ76は、噛合ポイントp2kからその回転方向へθiだけずれた回転位置にあるM用ドラム駆動ギヤ32mとの噛合ポイントp1mで、自己の回転駆動力をM用ドラム駆動ギヤ32mへ伝達する。この噛合ポイントp1mでは、M用ドラム駆動ギヤ32mが、自己の偏心に起因して、回転速度変動を生じる。
これらの回転速度変動がすべて重畳してM用ドラム駆動ギヤ32mが回転駆動することになるので、M用ドラム駆動ギヤ32mの回転速度変動(M用ドラム駆動ギヤ32k,32mの回転周期をもつ回転速度変動成分)は、最終的に、下記の式(11)に示すようになる。
ここで、本実施形態1においては、挟み角θiが上記式(1’)に示した「π−φ」となるように、各ドラム駆動ギヤ32やアイドラギヤ76,77,78が組み付けられている。また、M用ドラム駆動ギヤ32mは、その偏心位相が、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心位相に対してθi+φ=πだけ回転した調整ポイントに組付けられている。これは、K用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して、噛合いポイントp1kで発生する伝達誤差と、M用ドラム駆動ギヤ32mの偏心に起因して、噛合いポイントp1mで発生する伝達誤差が、それぞれの偏心位相がπ(180°)異なることで相殺する組付け位相関係である。2箇所の噛合いポイントで発生する伝達誤差が相殺されて、残りのK用ドラム駆動ギヤ32kの偏心に起因して噛合いポイントp2kで発生する伝達誤差(上記式(11)の第2項の成分)は、挟み角θiが(π−φ)に設定されていることから、目標速度変動(伝達誤差)に一致する。実際に、上記式(11)の挟み角θiに、上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(12)が得られる。
また、Y用ドラム駆動ギヤ32yの回転速度変動Vyを求め、これに上記式(1’)に示した「π−φ」を代入すると、下記の式(14)が得られる。
いずれも場合も、実際の回転速度変動Vc,Vyが、上記式(9)及び(10)に示した目標速度変動Vc_ref,Vy_refに一致することがわかる。
そして、互いに隣接する2つのドラム駆動ギヤ32の回転速度変動の位相差は、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した各感光体ドラム2の回転速度変動の振幅及び位相のズレによって発生する色ズレをキャンセルできる最適位相差角φとなっていることも、上記式(12)〜(14)により確認できる。
したがって、中間転写ベルト10の同一地点が各感光体ドラム2の転写位置を通過する時に、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因したすべての感光体ドラム2の回転速度変動の振幅及び位相が一致する。したがって、ドラム駆動ギヤ32の偏心に起因した色ズレが解消される。
次に、上述した実施形態1に基づく本発明の実施例について説明する。
本実施例において、各感光体ドラムの直径Dは30mmであり、各感光体ドラムの周長Ldは94.25mmであり、感光体ドラムの軸間距離Lsは100mmである。各感光体ドラム2は、モータギヤ34から入力される回転駆動力をK用ドラム駆動ギヤ32kによって1段減速して駆動される。
また、本実施例によれば、感光体ドラム2が露光ポイントSPから転写ポイントTPまでの回転角147°を回転する間にモータギヤ34は8.2回転し、アイドラギヤ76,77,78は3.1回転するので、概ね整数回転するように設定できている。なお、整数回転からのズレ量の許容範囲は、モータギヤ34やアイドラギヤ76,77,78の偏心に起因した色ズレの許容範囲によって決まってくる。
また、各ドラム駆動ギヤ32の位相差調整角度θak,θam,θac,θayは、上記式(2’)に従い、K用ドラム駆動ギヤ32kを0°とし、M用ドラム駆動ギヤ32mを180°とし、C用ドラム駆動ギヤ32cを44°とし、Y用ドラム駆動ギヤ32yを224°とした。
図4は、色ズレを生じさせない各感光体ドラム2の理想の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
このグラフにおいて、横軸はK用感光体ドラム2kの回転角度(ラジアン)であり、縦軸は感光体ドラムの回転速度(最大回転速度(振幅)を1とする。)である。なお、横軸は時刻に変換することができる。各感光体ドラム2の理想の回転速度変動は、K用感光体ドラム2kを基準に、他の感光体ドラム2m,2c,2yについて、振幅を互いに同じとし、かつ、中間転写ベルト10の移動方向上流側に隣接する感光体の回転速度変動に対して最適位相差角φ(22°)分だけ位相が進んだ波形となっている。例えば、K用感光体ドラム2kの回転角度がTp1であるときにM用感光体ドラム2mから中間転写ベルト10へ転写されたMトナー画像は、その後、中間転写ベルト10の移動により感光体ドラムの軸間距離Ls(100mm)だけ移動して、K用感光体ドラム2kの転写位置へ到達し、そこにK用感光体ドラム2kからKトナー画像が重ねて転写される。この時、K用感光体ドラムの回転角度は、ドラム周長が94.25mmであるため、Tp1から1回転と22°回転した回転角度であるTp2となる。したがって、互いに重なり合うMトナー画像とKトナー画像は、いずれも感光体ドラムの回転速度が同じである時に中間転写ベルト10上へ転写されたものとなる。また、同様に、感光体ドラムの回転速度が同じである時に露光ポイントSPで書き込まれたものとなる。したがって、互いに重なり合うMトナー画像とKトナー画像との間で色ズレは生じない。このことは、他色のトナー画像との間でも同様の結果となる。
図5は、本比較例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
図6は、本比較例における各感光体ドラム2の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
この比較例では、各ドラム駆動ギヤ32の組み付け時の位相差調整角度は、K用ドラム駆動ギヤ32kが0°であるとき、M用ドラム駆動ギヤ32mが回転方向を正としてθam=22°であり、同様にC用ドラム駆動ギヤ32cがθac=44°であり、Y用ドラム駆動ギヤ32yがθay=66°となる。このように組み付けた場合、図4に示した理想の回転速度変動とは大きく異なる結果となり、大きな色ズレが発生してしまう。
駆動伝達経路下流側の感光体ドラムの回転速度変動には、上述したとおり、当該感光体ドラムのドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動に対し、その駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動が重畳する。そのため、本比較例のように各ドラム駆動ギヤ32の偏心位相が近い関係で組み付けると、駆動伝達経路上流側のドラム駆動ギヤの偏心に起因した回転速度変動の重畳により、回転速度変動がかえって増大してしまい、大きな色ずれが生じさせることになる。
図7は、本実施例に係る感光体ドラム駆動装置におけるギヤ配列を示す説明図である。
図8は、本実施例における各感光体ドラム2の回転速度変動の相対関係を示すグラフである。
本実施例において、各ドラム駆動ギヤ32の組み付け時の位相差調整角度は、K用ドラム駆動ギヤ32kが0°であるとき、M用ドラム駆動ギヤ32mが回転方向を正としてθam=180°であり、同様にC用ドラム駆動ギヤ32cがθac=44°であり、Y用ドラム駆動ギヤ32yがθay=224°となる。このように組み付けた場合、図8に示すように、各感光体ドラムの回転速度変動は図4に示した理想の回転速度変動と一致し、色ズレが発生しない。
本実施形態1における色ズレ抑制効果は、挟み角θiとなるようなギヤ列の設計と、位相差調整角度θak,θam,θac,θayでのドラム駆動ギヤ32の組み付けによって得られる。上述した実施例では、理想の挟み角θi=158°に対し、設計ではギヤ形状も考慮してθi=159°とした。1°程度のズレであれば問題ないが、大きくずれると許容範囲を超える色ズレを生じさせる。
実際には、製造工程での組付調整誤差、各ドラム駆動ギヤの製造誤差(振幅のずれ)があるため、誤差率は30%以下には抑える必要がある。したがって、図10に示すグラフより、挟み角の許容誤差eは、理論上の挟み角θiから±20°の範囲内とするのが望まれる。
次に、本発明を、上記実施形態1と同様に、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
なお、本実施形態2における画像形成装置の基本構成は、上記実施形態1のものと同様であるので、以下の説明では上記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態2においては、駆動モータ33がM用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとの間に設置されている。よって、モータギヤ34は、M用ドラム駆動ギヤ32mとC用ドラム駆動ギヤ32cとに噛み合い、両ギヤ32m,32cへ回転駆動力を伝達する構成となっている。このようなギヤ配列であれば、上記実施形態1のギヤ配列と比較して、駆動伝達経路最上流側に位置するドラム駆動ギヤ32m,32c(実施形態1では32k)やモータギヤ34にかかる負荷トルクが低減され、耐久性が向上するという利点がある。
次に、本発明を、上記実施形態1及び2と同様に、中間転写方式のタンデム型画像形成装置に適用した更に他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態3」という。)について説明する。
なお、本実施形態3における画像形成装置の基本構成は、上記実施形態1のものと同様であるので、以下の説明では上記実施形態1とは異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態3においては、駆動モータ33がM用ドラム駆動ギヤ32mとK用ドラム駆動ギヤ32kとの間に設置されており、モータギヤ34は、M用ドラム駆動ギヤ32mとK用ドラム駆動ギヤ32kとに噛み合っている第1アイドラギヤ76に噛み合った構成となっている。この構成により、駆動モータ33からの回転駆動力は、第1アイドラギヤ76によって分岐され、両ギヤ32m,32kへ伝達される。
特に、本実施形態1〜3においては、上記N個の駆動ギヤとして、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いている。これにより、偏心量が略同一(実質的に同一)であるギヤの製造が容易となる。
また、本実施形態1〜3においては、回転駆動している上記N個の感光体ドラム2の表面に対して所定の潜像書込位置である露光ポイントSPでそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段としての帯電装置、現像装置、露光装置1などを有しており、上記N個の感光体ドラム2が、上記露光ポイントSPから中間転写ベルト10と対向する転写位置である転写ポイントTPまで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されている。これにより、駆動入力ギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動を抑制することができる。
また、本実施形態1〜3においては、上記N個の感光体ドラム2が、上記露光ポイントSPから中間転写ベルト10と対向する転写位置である転写ポイントTPまで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されている。これにより、上記(N−1)個のアイドラギヤの偏心に起因した感光体ドラムの回転速度変動を抑制することができる。
また、本実施形態1及び2においては、上記N個の駆動ギヤが、それぞれ対応する感光体ドラム2の回転軸と同軸に配置されたドラム駆動ギヤであるので、アイドラギヤの数を最小としたギヤ配列を実現できる。
2 感光体ドラム
4 マーク
10 中間転写ベルト
20 ドラムポジションセンサ
32,332A,332B,332C,432A,432B,432C,432D ドラム駆動ギヤ
33,133,233,333,433 駆動モータ
34,134,234,334,434 モータギヤ
36 モータ駆動回路
37 コントローラ
38 制御目標値出力部
76,77,78,79,80,335,336A,336B,435,436,437,438,476,477,478 アイドラギヤ
Claims (6)
- 被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、
該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、
該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、
該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、
該単一の駆動モータの回転駆動力を該第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、
該像担持体駆動装置によって回転駆動する上記複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を上記被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置の製造方法において、
上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、
上記駆動入力ギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうちの第1のアイドラギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように、上記駆動入力ギヤ、上記N個の駆動ギヤ及び上記(N−1)個のアイドラギヤを配置し、
第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、上記第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれるように、上記N個の駆動ギヤを組み付けることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
- 請求項1の画像形成装置の製造方法において、
上記N個の駆動ギヤには、同一の成形型を用いて成形したギヤを用いることを特徴とする画像形成装置の製造方法。 - 被転写体の移動方向に沿って並んで配置される複数の像担持体を回転駆動させ、該複数の像担持体の表面上にそれぞれ可視像を形成し、各像担持体の表面に形成された可視像を被転写体上に互いが重なり合うように転写して画像を形成する画像形成装置において、
上記複数の像担持体のうちのN個(Nは2以上の自然数である。)の像担持体へ伝達される回転駆動力を発生させる単一の駆動モータと、該単一の駆動モータで発生した回転駆動力を該N個の像担持体へそれぞれ伝達するN個の駆動ギヤと、該単一の駆動モータの駆動力により回転駆動するとともに、該N個の駆動ギヤのうち、該N個の像担持体のうちの一端に配置される第1の像担持体へ回転駆動力を伝達する第1の駆動ギヤと噛み合って、該単一の駆動モータの駆動力を該第1の駆動ギヤへ伝達する駆動入力ギヤと、該N個の駆動ギヤの各ギヤ間に配置され、駆動伝達経路上流側に位置する駆動ギヤの回転駆動力を駆動伝達経路下流側に位置する駆動ギヤへ伝達する(N−1)個のアイドラギヤとを備え、該単一の駆動モータの回転駆動力を第1の駆動ギヤから順次、該(N−1)個のアイドラギヤを介して第Nの駆動ギヤまで伝達して、該N個の像担持体を回転駆動させる像担持体駆動装置を有しており、
上記N個の駆動ギヤとして、偏心量が互いに略同一のギヤを用い、
上記駆動入力ギヤと該第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所と上記(N−1)個のアイドラギヤのうち第1のアイドラギヤと上記第1の駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角、及び、第(n−1)(nは2以上(N−1)以下の自然数である。)のアイドラギヤと該第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所と第nのアイドラギヤと第nの駆動ギヤとの噛み合い箇所との挟み角が、いずれも、許容誤差をeとした場合に、下記の式(1)に示すθiとなるように構成されており、
第nの駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置が、第1の駆動ギヤの最大偏心地点の回転位置に対し、nが奇数である第nの駆動ギヤについては以下の式(2)に示す角度θanだけ、nが偶数である第nの駆動ギヤについては以下の式(3)に示す角度θanだけ、該第nの駆動ギヤの回転方向にずれていることを特徴とする画像形成装置。
上記式(1)〜(3)の「φ」は、第1の像担持体から第Nの像担持体までの並び方向が、上記被転写体の移動方向と一致している場合には下記の式(4)に示すものであり、該被転写体の移動方向とは逆である場合には下記の式(5)に示すものである。ただし、「Ls」は上記N個の像担持体間の軸間距離であり、「Ld」は各駆動ギヤ一回転あたりの像担持体の表面移動距離であり、軸間距離Lsを被転写体が移動する間に駆動ギヤが回転する周回数(整数)がuである。
- 請求項3の画像形成装置において、
回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、
上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記駆動入力ギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3又は4の画像形成装置において、
回転駆動している上記N個の像担持体の表面に対して所定の潜像書込位置でそれぞれ潜像を書き込むとともに各潜像を現像することで可視像を形成する可視像形成手段を有し、
上記N個の像担持体が、上記所定の潜像書込位置から上記被転写体と対向する転写位置まで回転する間に、上記(N−1)個のアイドラギヤが概ね整数回、回転するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記N個の駆動ギヤは、それぞれ対応する像担持体の回転軸と同軸に配置された像担持体駆動ギヤであることを特徴とする画像形成装置。
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