JP5455018B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
近年、このクリーニング工程で捨てていたトナーを再利用するクリーナレス方式を搭載した画像形成装置も散見される。このクリーナレス方式の特徴は、転写位置を通過後の転写残トナーが存在する感光体表面をそのまま帯電・露光工程を通過させて現像工程で不要なトナーを回収するところにある。そこで、この方式は現像同時クリーニング方式と呼ばれることもある。このようなクリーナレス方式の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置がある。
これは、以下の理由による。
すなわち、転写工程を通過した後の感光体に残留したトナーは、その帯電極性が反転したトナーや転写されにくい粒径の小さなトナーが比較的多く存在するものである。このため残トナーは必ずしも現像工程に対してそのまま好適に使えるトナーとは言い難い。したがって、トナー極性を正常に戻すための制御部材などを替わりに搭載する工夫を必要とする場合が多い。また、転写工程では粒径の大きなトナーが選択的に転写され易く、粒径の小さなトナーは転写残トナーとなり易いため、このような転写工程でのトナーの選択を防止するためには粒径の揃った重合トナーを用いる工夫も必要とされることが多い。
しかし、上述のようにトナー極性を正常に戻すための制御部材を搭載したり、粒径の揃った重合トナーを用いたりしたとしても、一度感光体の表面上に付着したトナーを除去するには限界がある。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記被覆フィルム切断手段は、トナー像と共に上記潜像担持体から記録媒体表面に移動して記録媒体と重なった状態の上記潜像担持体被覆フィルムを、切断面の位置が記録媒体の搬送方向後端部と一致するように切断することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記被覆フィルム切断手段が上記潜像担持体被覆フィルムを切断した後に、切断された位置よりも搬送方向上流側の該潜像担持体被覆フィルムを切断前の搬送方向とは逆方向に搬送するように制御し、次の画像形成時には、切断された位置よりも搬送方向上流側の該潜像担持体被覆フィルムの搬送方向先端部となる上記切断面の位置と記録媒体の搬送方向先端部とが一致するように、該潜像担持体被覆フィルム及び記録媒体の搬送を制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の画像形成装置において、重なった状態の記録媒体及び上記潜像担持体被覆フィルムを加熱することによってトナー像を記録媒体に定着させる熱定着手段を有し、上記被覆フィルム切断手段は、該熱定着手段によって定着がなされる位置よりも搬送方向上流側で該潜像担持体被覆フィルムを切断することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2または3の画像形成装置において、重なった状態の記録媒体及び上記潜像担持体被覆フィルムを加熱することによってトナー像を記録媒体に定着させる熱定着手段を有し、上記被覆フィルム切断手段は、該熱定着手段によって定着がなされる位置よりも搬送方向下流側で記録媒体と重なった該潜像担持体被覆フィルムを切断することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記被覆フィルム切断手段は、上記潜像担持体に供給される前の上記潜像担持体被覆フィルムを記録媒体の搬送方向の長さに合わせて切断することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記帯電手段は、帯電部材としてローラ状の帯電ローラを備え、上記被覆フィルム供給手段は、該帯電ローラによって一様帯電される前の上記潜像担持体表面に上記潜像担持体被覆フィルムを供給するように構成され、該帯電ローラが該潜像担持体被覆フィルムの搬送部材としての機能を備える構成であることを特徴とするものである。
以下、本発明を、画像形成装置に適用した一つ目の実施形態(以下、実施形態1と呼ぶ)について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施形態は以下述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
複写機500は画像形成を行う複写機本体部100を給紙装置としてのシートバンク300の上に載置しており、複写機本体部100の上部に画像読取装置200が取り付けられている。また、画像読取装置200の上には、背面側を支点に上下に開閉自在の自動原稿搬送装置400が取り付けられている。
図1は、実施形態1の複写機本体部100の感光体10近傍である画像形成部の拡大説明図である。感光体10の周りには、感光体10の左側に帯電ローラ8を備える帯電装置11が配置されている。感光体10の周りには、図中矢印Aで示す感光体10の表面移動方向(反時計方向)における表面移動方向上流側から帯電装置11、現像装置12、及び転写装置13が順に配置されている。なお、複写機500は、感光体10をクリーニングするクリーニング装置は備えられてない。
帯電装置11の図中の左側には、少なくとも現像位置における感光体10の表面を被覆する「潜像担持体被覆フィルム」である被覆フィルムFを感光体10の表面に供給する被覆フィルム供給装置20が配置されている。複写機500では、感光体10の表面移動に合わせて、被覆フィルム供給装置20から感光体10の表面に新しい被覆フィルムFが供給される。
また、手差しトレイ67上にセットされた手差しのシートSに画像を形成する場合は、手差し給紙部68の手差しトレイ67上にセットされた手差しのシートSが手差し供給路R2に送られる。そして、上述したシートカセット61内のシートSに画像形成を行う場合と同様に、レジストローラ21で感光体10の回転にタイミングが合わせられて手差しのシートSが感光体10の右側へと送り込まれる。
また、実施形態1では、転写位置Bを通過した被覆フィルムFがシートSに張り付く力は、被覆フィルムFとシートSとの間の静電気の力によるものであるが、転写位置Bに入る前の被覆フィルムFまたシートSの他方と対向する面に接着剤を塗布しても良い。また、粘着性の高いトナーを用いることにより、トナーの粘着力によって被覆フィルムFをシートSに張り付けてもよい。
また、実施形態1の被覆フィルム供給装置20にロール状に設置された被覆フィルムFは、被覆フィルム供給装置20から被覆フィルム切断機構90まで繋がった状態である。そして、実施形態1の複写機500では熱定着装置22の下流側に被覆フィルム切断機構90が配置されており、熱定着装置22の定着部を構成する定着ニップと転写位置Bとの間で被覆フィルムFが張架されているため、転写位置Bを通過した被覆フィルムFはシートSとともに感光体10の表面から剥離する。このとき、定着ニップと転写位置Bとの間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム離脱手段として機能する。
転写位置Bを通過し、被覆フィルムFが剥離した感光体10の表面は不図示の除電装置によって残留電位が除去され、上述した帯電装置11から始まる次の画像形成に備える状態となる。
しかしながら、定着前の被覆フィルムFとシートSとの吸着力が弱い場合は、転写位置BではシートSが被覆フィルムFに張り付かず、転写位置Bでは被覆フィルムFを介して感光体10に担持されたトナー像が感光体10からシートSへ転写された状態とはならない。しかし、熱定着装置22まで搬送されるとトナーが溶融し、トナー像が被覆フィルムFとともにシートSと一体となる。よって、転写位置BではシートSが被覆フィルムFに張り付かない場合であっても、転写位置Bから熱定着装置22までの工程をトナー像転写手段と考えると、被覆フィルムFを介して感光体10上に担持されたトナー像がトナー像転写手段によって感光体10からシートSに転写されたと考えることができる。すなわち、実施形態1の構成では、被覆フィルムFを介して感光体10表面に形成されたトナー像が、被覆フィルムFとともに感光体10表面からシートS上に移動することが転写である。このような構成におけるトナー像転写手段は転写装置13及び熱定着装置22である。
その後、排出ローラ35を通過して、排出スタック部39上に排出される。
なお、被覆フィルムFで覆われたシートSは排出スタック部39上に排出される前に被覆フィルム切断機構90で切断され、被覆フィルムFで覆われ、画像が定着されたシートSがスタックされる。
本実施形態1に使用できる被覆フィルムFとしては、光を透過すること、静電気を保持出来ること、といった特性が求められる。また、ある程度の応力に耐えることができ、引っ張られてもフィルム状態を維持できること、ある程度は熱に熔けずにフィルム状態を維持できること、ある程度は水に溶けずにフィルム状態を維持できること、といった特性も求められる。これらの特性を備えているものであれば、本実施形態1に使用する被覆フィルムFとしては、先に述べた食品用ラップフィルムの例に限らないことは言うまでもない。
被覆フィルム供給装置20から供給された被覆フィルムFは、帯電ローラ8の表面を経て感光体10表面に供給される。すなわち、本実施形態1では、帯電ローラ8と感光体10とが対向する位置が潜像担持体被覆フィルム供給位置となる。被覆フィルムFはこの帯電ローラ8の押圧力と感光体帯電のために印加されるバイアス電荷により、感光体10に張り付いてそのまま下流へと搬送される。このとき感光体10の表面が一様帯電される。感光体10の回転に伴い、被覆フィルム供給装置20に巻き込まれている被覆フィルムFが順次送り出される。次いでレーザ書込装置47から発せられた書き込み光3によって一様帯電された感光体10上に光像が書き込まれて静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置12により現像されて感光体10の表面を覆っている被覆フィルムFの上にトナー像がもたらされる。
被覆フィルムF上のトナー像はシートSと重ね合わされた後、被覆フィルムFとシートSに挟まれた状態のまま熱定着装置22に搬送されて定着される。
本実施形態1の複写機500は、感光体と現像装置とをそれぞれ一つずつ備えるモノクロの画像形成装置であるが、一つの感光体に4つの現像装置を配置したフルカラーの画像形成装置であっても、感光体表面に潜像担持体被覆フィルムを供給する構成は適用可能である。フルカラー画像の場合、画像全体にトナーが付着しているので定着装置での加熱定着によって潜像担持体被覆フィルムと転写紙とを全面で固定することができる。また、転写紙と潜像担持体被覆フィルムとの間にトナー画像があると上述したようにトナー画像の質感が良好になるため、本発明を適用したフルカラーの画像形成装置はデジカメ写真など、写真画像の出力に適した画像形成装置となる。
しかしながら、この公報に挙げた装置でも同様に表面に透明シートを有する画像を得ているが、その結果クリーナレスに寄与するものは何も無く、透明シートを有する画像を得るまでの工程も複雑である。特に透明シートを有する画像を得る為のシートは複雑である。
一方、実施形態1の複写機500では、表面に透明シートを有する最終画像を簡単に得ることができ、さらに、感光体10をクリーニングする感光体クリーニング手段が不要である。
この理由は、「転写残トナーは、正規な帯電極性に帯電したトナーを記録材や中間転写ベルトに引き寄せる転写装置の転写バイアス電圧に逆らって像担持体に残留している。従って、転写残トナーの多くは、帯電が不足しているか、正規な帯電極性とは逆の極性に帯電しており、正規な帯電極性に帯電したトナーのようには、動的な現像によって現像部材へ回収されない」からであり、「特に、高温高湿環境下や耐久時、画像比率の高い画像形成が連続して行われてトナー補給が多い場合、帯電が不足したトナーの割合が高まり、いわゆるかぶりトナーとして像担持体に大量に付着する。現像装置内の電荷が低い状態であるため、電荷付与が厳しい状態であるような環境下だからである。そして、かぶりトナーが像担持体に大量に付着すると、像担持体の正常な帯電や露光を妨げて画像形成品質が低下する。 そこで、クリーナレス方式の画像形成装置では、転写装置の下流側に帯電補助手段を配置して、帯電が不足した転写残トナーや逆の極性に帯電した転写残トナーを正常な帯電極性に帯電させている。」ということが必要になる。つまり、クリーナレス方式とは言ってもクリーニング部材の機能を代替する部材を必要とするのである。
また、クリーニング部材の機能を代替する部材を設けたとしても、一度、感光体表面上に付着したトナーを除去することには限界がある。
この公報に記載の装置は、シートと記録用紙を重ね合わせて画像を得る装置の例があるが、これは電子写真方式を用いたものでは無く、トナーが残留したときのクリーニングの課題も無いため、本実施形態1の複写機500とは本質的に異なる画像形成装置である。また2つのシートを重ね合わせてそのまま利用するものでも無い点でも実施形態1の複写機500とは異なる。
さらに、被覆フィルムFからなるフィルム層が感光体10の感光層を保護するので、機械的な摩耗の影響を避けることが出来るだけでなく、電気的な影響も小さくすることが出来るため、感光体10の耐久性が飛躍的に良くなる効果もある。
また、画像面に被覆フィルムFからなる透明シートを有する画像を簡単に得ることが出来る。特に透明シート側にトナー像が形成されるのでトナー画像の質感が向上し、鮮明な画像を得ることが出来る。
複写機500が備える現像装置12は磁性キャリアとトナーからなる二成分現像装置である。複写機500は現像装置12で使用するトナーを収容する不図示のトナーボトルを備え、トナーボトル内のトナーは不図示のトナー補給装置によって現像装置12に供給される。トナー補給装置によって不図示のトナー補給口から供給されたトナーは、現像装置12のケーシングである現像容器12a内の磁性キャリアとトナーとからなる現像剤の上に供給される。供給されたトナーは、現像剤とともに螺旋形状の第二搬送スクリュ2で攪拌されながら図1中の紙面奥方向に搬送される。第二搬送スクリュ2を備える搬送路と第一搬送スクリュ1を備える搬送路とは、図1中の紙面奥方向端部と紙面手前方向端部とで連通している。そして、第二搬送スクリュ2によって図1中の紙面奥方向端部まで到達した現像剤は、第一搬送スクリュ1が配置された搬送路に移動し、第一搬送スクリュ1によって図1中の紙面奥方向から手前方向への搬送される。そして、第一搬送スクリュ1によって図1中の紙面手前方向端部まで到達した現像剤は、第二搬送スクリュ2が配置された搬送路に移動する。このように、現像装置12内では現像剤が循環している。
供給されたトナーが攪拌された現像剤は、第一搬送スクリュ1によって搬送される搬送路内で、磁石が内蔵されている現像ローラ4の磁力によって、現像ローラ4の表面に汲み上げられる。図中矢印Dで示すように、図中時計回りに回転している現像ローラ4の表面に磁力で吸着した現像剤は、現像ドクタ70で一定量に規制されるとともにトナーと磁性キャリアとが摩擦帯電される。
帯電した磁性キャリアとトナーとからなる現像剤は現像ローラ4の最大磁力強度の主極で穂立ちして感光体10の表面を被覆する被覆フィルムFに接触する。現像ローラ4にはバイアス電圧が印加されており、感光体10上の静電潜像により選択的にトナーが付着して現像される。なお、現像容器12a内の現像剤のトナー濃度は、トナー濃度センサ5によって監視している。トナー濃度が低い場合は、不図示のトナー補給装置を駆動して、不図示のトナーボトルからトナーを補給して、トナー濃度を一定に保つように制御する。
また、感光体10表面を覆う被覆フィルムF上にはトナーで基準パターンが形成され、この基準パターンの反射濃度をパターン濃度センサ6が測定している。そしてこのパターン濃度センサ6の測定結果を基に、トナー濃度センサ5がどのような出力値の時にトナー補給動作を開始させれば良いかが自動的に選ばれるようになっている。
ポリエステル樹脂を含有するトナーのポリエステルは、多価アルコールと多価酸(大多数がジオール基を有する化合物と二酸(−(COOH)2)またはジエステル(−(COOR)2)を有する2酸化合物またはジエステル化合物)とを脱水(あるいは脱アルコール)縮合反応によってポリエステル化合物(未変性ポリエステル)とした未変性ポリエステル樹脂を用いる。また、ジイソシアネート(−NCO基を2個有する化合物)と活性水素化合物(特にジオール、ジオイックアシドまたはOH基とCOOH基の両方の基を有する化合物)との縮合反応によって得られる多価イソシアネート化合物とをさらに含む変性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5程度である。
プレポリマーとして用いるウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90である。
なお、被覆フィルム切断機構90としては従来のロール紙を使用する画像形成装置が備える、切片が搬送方向に直交するようにロール紙を切断する切断機構と同様のものを用いることができる。なお、本実施形態の被覆フィルム切断機構90としてはロータリーカッターを用いた切断機構である。
図5は、熱定着装置22を通過する前に被覆フィルムFを切断する被覆フィルム切断機構90の一例を示す説明図である。
図5に示す例では、転写位置Bに対してシートSの搬送方向下流側には転写位置Bを通過した後の被覆フィルムF、または、被覆フィルムFが重ね合わさったシートSを挾持して搬送する転写後搬送ローラ71を備える。そして、転写後搬送ローラ71に対して搬送方向下流側には被覆フィルム切断機構90と、被覆フィルム切断機構90と対向する位置まで被覆フィルムFをガイドする切断ガイド部材72とを備える。さらに、切断ガイド部材72から所定の間隙80aを空けた位置から定着ニップまでシートSを案内する定着前ガイド部材23を備え、間隙80aの下方には紙間に転写位置Bを通過した被覆フィルムFである紙間フィルムを収容する紙間フィルム収容トレイ80を備える。
シートSと被覆フィルムFとが重なっている部分が間隙80aを通過する場合は、シートSの腰の強さによって間隙80aをまたいで定着入口ガイド部材23に突き当たり、熱定着装置22の定着ニップへと搬送される。このため、シートSと被覆フィルムFとが重なる部分が被覆フィルム切断機構90を通過し、シートSの搬送方向後端部に合わせて被覆フィルムFが切断されるときは、図6(a)に示すように切断位置よりも搬送方向下流側の被覆フィルムFはシートSとともに熱定着装置22へと搬送される。
一方、被覆フィルムFがシートSと重なっていない部分が間隙80aを通過する場合は、被覆フィルムFのみでは腰は弱く、切断ガイド部材72の搬送方向下流側端部よりも下流側では被覆フィルムFが撓んで、間隙80aから2つのガイド部材よりも下方に向かい、紙間フィルム収容トレイ80へと搬送される。このため、被覆フィルムFのみの部分が被覆フィルム切断機構90を通過し、シートSの搬送方向先端部に合わせて被覆フィルムFを切断するときは、図6(b)に示すように切断位置よりも搬送方向下流側の被覆フィルムFのみの部分は、紙間フィルム収容トレイ80に収容される。
また、熱定着装置22を通過した被覆フィルムFが重なった状態のシートSは、排出スタック部39へと排出される。
なお、図5及び図6を用いて説明した構成では、転写後搬送ローラ71の二つのローラが形成する搬送ニップと転写位置Bとの間で被覆フィルムFが張架されているため、転写位置Bを通過した被覆フィルムFはシートSとともに感光体10の表面から剥離する。このとき、搬送ニップと転写位置Bとの間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム離脱手段として機能する。
〔実験1〕
実験1では、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
潜像担持体被覆フィルムとして厚さ10[μm]のPVDCフィルム、商品名:クレラップ(登録商標)を用意した。予め感光体ドラムにこのフィルムを巻きつけておく。そして画像形成装置に装着して画像形成させた。用紙の供給は行わないで感光体ドラムの1周分にトナー像が形成されるタイミングを見計らって、画像形成装置を停止させた。感光体ドラムを取り外し、観察したところ、画像が形成されていることを認めた。感光体ドラム表面からフィルムを引き剥がしてトナー面を用紙に合わせて貼り付けたところ、鮮明な画像であることが確認できた。
実験2として、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
予め帯電した感光体ドラムを暗所で取り出し、上述したPVDC製のフィルムを感光体ドラムに巻きつけた。画像形成装置に装着して帯電装置は機能させないで画像形成させた。用紙の供給は行わないで感光体ドラムの1周分にトナー像が形成されるタイミングを見計らって、画像形成装置を停止する。感光体ドラムを取り外し、観察したところ、画像が形成されていることを認めた。表面からラップフィルムを引き剥がしてトナー面を用紙に合わせて貼り付けたところ、鮮明な画像であることが確認できた。
実験3として、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
図2に示す複写機500と同様に、PVDC製のフィルムが巻き取られているフィルム供給装置を装着し、フィルムを感光体ドラムの周囲に回して定着装置まで配置して、通常のコピー動作を実行した。この実験3では、排出スタック部上には画像が定着されたフィルムで覆われた転写紙がスタックされたことを確認できた。
実験4として、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
潜像担持体被覆フィルムとして厚さ7.5[μm]のポリメチルペンテン(PMP)フィルム、商品名:コープラップ(登録商標)を用意した。実験1及び実験2と同様の実験を行ったところいずれもフィルム表面上に画像形成できることが確認できた。
実験5として、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
潜像担持体被覆フィルムの代わりとして、厚さ20[μm]で半透明の第二原図用紙を用意し実験2と同様の実験を行った。予め帯電した感光体ドラムに第二原図用紙を巻きつけておく。そして画像形成装置に装着し帯電装置は機能させて画像形成させた。用紙の供給は行わないで感光体ドラムの1周分にトナー像が形成されるタイミングを見計らって、画像形成装置を停止させた。感光体ドラムを取り外し、観察したところ、画像が形成されていることを認めた。表面から第二原図用紙を引き剥がしてトナー面を他の用紙に合わせて貼り付けたところ、若干不鮮明ではあるが画像の文字の認識に問題はなかった。
実際の実験に用いた透明フィルムの各条件を表1に示す。
また、表1中の「公称値」は各透明フィルムの厚みの代表値であり、表1中の「厚み」は実際の計測値である。
上述した実施形態1の複写機500では、潜像担持体被覆フィルムを記録媒体であるシートSに貼り付けた状態で、装置外に排出する構成であったが、本発明を適用した画像形成装置としては、潜像担持体被覆フィルムを記録媒体に貼り付けず、記録媒体のみの状態で装置外に排出する構成であってもよい。
以下、画像形成装置として、少なくとも現像位置では潜像担持体被覆フィルムで感光体表面を被覆し、表面に画像が形成された記録媒体のみを画像形成装置外に排出する一つ目の参考構成例(以下、参考構成例1と呼ぶ)について説明する。
参考構成例1は、転写位置Bでの転写の構成と、転写位置Bを通過後の被覆フィルムFがシートSとともに排出されない構成とが実施形態1の複写機500と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
図7は、参考構成例1の感光体10近傍である画像形成部の説明図であり、図8は、図7で示した画像形成部の転写位置Bで被覆フィルムFとシートSとが対向する状態の説明図である。
ここで、参考構成例1の転写ローラ7には不図示のバイアス印加装置によって転写バイアスが印加されており、転写位置Bで感光体10との間に転写バイアスを形成している。そして、転写位置BでシートSと対向したトナー像は、転写バイアスによって図8に示すように、感光体10を被覆する被覆フィルムFの表面からシートSへと移動する。被覆フィルムFはシートSの搬送方向とは異なる方向に配置された被覆フィルム回収装置101によって引っ張られ、シートSから剥離し、その後、感光体10の表面からも剥離する。そして、被覆フィルム回収装置101で使用済み被覆フィルムとしてロール状に回収される。一方、トナー像が転写されたシートSは従来の画像形成装置と同様に熱定着装置22に搬送され、その表面にトナー像が定着された後に排出スタック部39に排出される。なお、参考構成例1の複写機500は、被覆フィルム切断機構90を備えていない点でも実施形態1の複写機500とは異なる。
参考構成例1の複写機500においても、現像位置から転写位置Bまで被覆フィルムFによって感光体10表面を被覆し、転写位置Bを通過したあとに、感光体10表面から被覆フィルムFが剥離するため、感光体10の表面が直接トナーと接触することはなく、トナーを担持した被覆フィルムFは現像位置には戻らない。このため、実施形態1と同様に、感光体10をクリーニングするためのクリーニング部材が不要となる。
また、参考構成例1の複写機500では、感光体10と被覆フィルム回収装置101との間で被覆フィルムFが張架されているため、転写位置Bを通過したあとの被覆フィルムFは感光体10の表面から剥離する。このとき、被覆フィルム回収装置101と感光体10との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム離脱手段として機能する。
なお、参考構成例1の構成では、被覆フィルムFを介して感光体10上に形成されたトナー像のみが、転写位置Bで感光体10上からシートSに移動することが転写である。このとき被覆フィルムFは感光体10の表面に張り付いたまま転写位置Bを通過する。このような構成におけるトナー像転写手段は転写装置13である。
一般的に帯電工程は、帯電部材から潜像担持体である感光体への放電現象により、感光体表面をわずかに破壊して、感光体表面を脆くすることがあり、その結果、感光体表面は磨耗し易くなるという悪影響がある。
これに対して、実施形態1及び参考構成例1の複写機500のように、感光体10を被覆フィルムFで覆った状態で帯電工程を行えば帯電時の放電現象による感光体10に対する悪影響を防止することができる。
このような予期せぬ帯電が発生したとしても、実施形態1及び参考構成例1の複写機500のように感光体10と被覆フィルムFとを接触させてから帯電工程を行う構成であれば、上記予期せぬ帯電が発生した場合においても、帯電工程で不均一な帯電がキャンセルされる。これにより上記予期せぬ帯電の影響を防止し、良好な帯電状態を得ることができる。
なお、被覆フィルムFの表裏で表面硬度が異なる場合は、少なくとも感光体10と接触する側の表面硬度が感光体10の表面硬度よりも低いものを用いる。
図9は、変形例1の感光体10近傍である画像形成部の説明図である。
実施形態1及び参考構成例1では、感光体10の表面を被覆フィルムFで被覆した後、帯電ローラ8で一様帯電を行い、書き込み光3を照射して静電潜像を形成しているが、被覆フィルムFによる被覆、一様帯電、及び、静電潜像の形成の順番としてはこれに限るものではない。
例えば、図9に示す変形例1のように、感光体10の表面に被覆フィルムFを密着させる被覆フィルム供給ローラ81を帯電ローラ8とは別に設け、帯電ローラ8を感光体10の表面に被覆フィルムFを供給する位置よりも感光体表面移動方向上流側に配置してもよい。このような変形例1の複写機500では、被覆フィルムFが被覆されていない感光体10の表面が帯電ローラ8によって帯電され、その後、被覆フィルム供給ローラ81によって被覆フィルムFが感光体10表面を被覆し、書き込み光3によって静電潜像が形成される。すなわち、本変形例1では、被覆フィルム供給ローラ81と感光体10とが対向する位置が潜像担持体被覆フィルム供給位置となる。
このような構成の変形例1の複写機500であっても実施形態1と同様に画像形成を行うことができる。なお、変形例1のように、一様帯電を行ったのちに被覆フィルムFを供給する構成であっても、参考構成例1と同様に、転写位置Bを通過した被覆フィルムFをシートSに貼り付けず、被覆フィルム回収装置101で回収するようにしてもよい。
図10は、参考構成例2の感光体10近傍である画像形成部の説明図である。
参考構成例2の複写機500では、変形例1と同様に、感光体10の表面に被覆フィルムFを密着させる被覆フィルム供給ローラ81を帯電ローラ8とは別に設け、帯電ローラ8を感光体10の表面に被覆フィルムFを供給する位置よりも感光体表面移動方向上流側に配置している。そして、参考構成例2の複写機500では、書き込み光3が感光体10の表面に照射される位置も感光体10の表面に被覆フィルムFを供給する位置よりも感光体表面移動方向上流側に設定している。このような参考構成例2の複写機500では、被覆フィルムFが被覆されていない感光体10の表面が帯電ローラ8によって帯電され、書き込み光3によって静電潜像が形成される。その後、被覆フィルム供給ローラ81によって被覆フィルムFが感光体10表面を被覆し、感光体10上の静電潜像が被覆フィルムFを介して現像装置12によって現像される。すなわち、参考構成例2では、被覆フィルム供給ローラ81と感光体10とが対向する位置が潜像担持体被覆フィルム供給位置となる。
また、図10に示すように、参考構成例2の複写機500は、転写位置Bを通過したあとの被覆フィルムFは被覆フィルム回収装置101によって回収しており、シートS上に形成された最終画像は被覆フィルムFで被覆されていない状態である。
このように、参考構成例2では、書き込み光3を感光体10に到達させる必要がある潜像形成時には被覆フィルムFが感光体10を被覆しておらず、最終画像も被覆フィルムFが被覆していないため、被覆フィルムFとしては光透過性が不要であり、非透明フィルムを用いることができる。このように、被覆フィルムFに透明であるという特性が不要であれば被覆フィルムFの材料選択の幅を広げることができる。
図11は、変形例2の感光体10近傍である画像形成部の説明図である。
実施形態1及び参考構成例1では、記録媒体であるシートSが被覆フィルムFを挟んで感光体10と対向する位置に供給され、表面にトナー像が形成された被覆フィルムFとシートSとが対向する構成である。被覆フィルムFとシートSとが対向する位置としては、被覆フィルムFが感光体10に被覆している位置に限るものではない。例えば、図11に示す変形例2のように、被覆フィルムFを感光体10の表面から離脱させた後にシートSと被覆フィルムFとを対向させ、シートS上にトナー像を形成させる構成であってもよい。
変形例2の複写機500の画像形成部は図11に示すように、感光体10から離れた位置に転写ローラ7を備え、転写ローラ7と対向する位置に転写対向ローラ73を備える。そして、被覆フィルムFが感光体10、転写対向ローラ73及び熱定着装置22の定着ニップによって張架された構成である。現像位置で表面にトナー像が形成された被覆フィルムFは転写対向ローラ73と転写ローラ7とが対向する転写位置Bに移動し、シートSと重ね合わされる。そして、シートSと被覆フィルムFとが重なった状態で、熱定着装置22の定着ニップへと移動し、被覆フィルムFとシートSとに挟まれた状態のトナー像が定着されることによって、実施形態1と同様に表面に表面に透明シートを有する最終画像を得ることができる。このように構成することにより、感光体10の表面と対向する位置にシートSを搬送する必要がなくなり、レイアウトの自由度が高まる。
また、変形例2の複写機500では、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFが張架されているため、感光体10の表面を被覆していた被覆フィルムFが感光体10の表面から離脱する。このとき、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム離脱手段として機能する。
なお、変形例2のように、被覆フィルムFとシートSとが感光体10から離れた位置で対向する構成としては、参考構成例1と同様に、転写位置Bを通過した被覆フィルムFをシートSに貼り付けず、被覆フィルム回収装置で回収するようにしてもよい。
図12は、参考構成例3の感光体10近傍である画像形成部の説明図である。
参考構成例3の複写機500は、変形例2と同様に被覆フィルムFとシートSとが感光体10から離れた位置で対向する構成で、転写位置Bを通過した被覆フィルムFをシートSに貼り付けず、被覆フィルム回収装置101で回収する構成である。
参考構成例3の複写機500の画像形成部は、図12に示すように、感光体10から離れた位置に転写ローラ7を備え、転写ローラ7と対向する位置に転写対向ローラ73を備える。また、転写位置Bでは転写ローラ7と転写対向ローラ73とで転写ニップを形成し、転写位置Bを通過した被覆フィルムFを回収する被覆フィルム回収装置101を備え、被覆フィルムFが感光体10、転写対向ローラ73及び被覆フィルム回収装置101によって張架された構成である。転写ローラ7には不図示のバイアス印加装置によって転写バイアスが印加されており、転写位置Bで転写対向ローラ73との間に転写バイアスを形成している。
転写位置Bを通過した被覆フィルムFはシートSの搬送方向とは異なる方向に配置された被覆フィルム回収装置101によって引っ張られ、シートSから剥離し、その後、転写対向ローラ73の表面からも剥離する。そして、被覆フィルム回収装置101で使用済み被覆フィルムとしてロール状に回収される。一方、転写位置Bを通過してトナー像が転写されたシートSは図12中の矢印E方向に配置された熱定着装置22に向かって搬送され、熱定着装置22でその表面にトナー像が定着された後に排出スタック部39に排出される。
変形例2の構成では、熱定着装置22を通過した後の被覆フィルムFをシートSに大きさに合わせて切断する被覆フィルム切断機構90を要する。一方、参考構成例3の複写機500では、転写位置Bを通過した被覆フィルムFは、定着前にシートSから分離し、被覆フィルム回収装置101によって回収するため、被覆フィルム切断機構90は設けなくてよい。
一方、変形例2や参考構成例3の複写機500では、感光体10から離れた位置で、感光体10から分離した被覆フィルムFとシートSとが合流するする構成であるので、シートSが被覆フィルムFを介して感光体10に衝突することがない。このため、シートSが感光体10に衝突することに起因するショックジターの発生を防止することができ、ショックジターによる画像不良も防止することができる。
また、参考構成例3の複写機500では、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFが張架されているため、感光体10の表面を被覆していた被覆フィルムFが感光体10の表面から離脱する。このとき、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム離脱手段として機能する。
なお、被覆フィルムFが感光体10から速やかに分離するためには、感光体10の直径は小さい方がのぞましい。特に曲率分離の場合には、曲率半径は15[mm]以下(感光体10の直径30[mm]以下)が好ましい。
図13は、参考構成例4の感光体10近傍である画像形成部の説明図である。
参考構成例3の複写機500は、被覆フィルムFとシートSとが感光体10から離れた転写位置Bで対向し、シートSのみを熱定着装置22に搬送する構成で、転写位置Bを通過した被覆フィルムFを被覆フィルム回収装置101によって回収する構成である。転写位置Bが感光体10から離れた位置にあり、シートSのみを熱定着装置22に搬送する構成としては、図13に示す参考構成例4のように、被覆フィルムFとして無端ループ状のものを用い、被覆フィルム回収装置101を備えない構成であってもよい。
参考構成例4の複写機500は図13に示すように、第一フィルム張架ローラ82及び第二フィルム張架ローラ83を備え、ループ状の被覆フィルムFを帯電ローラ8、感光体10、転写対向ローラ73、第一フィルム張架ローラ82及び第二フィルム張架ローラ83によって張架する構成である。
参考構成例4の構成においては、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFを張架する構成と転写ローラ7とによって、感光体10上のトナー像をシートSに転写するトナー像転写手段を構成する。
また、参考構成例4の複写機500では、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFが張架されているため、感光体10の表面を被覆していた被覆フィルムFが感光体10の表面から離脱する。このとき、感光体10と転写対向ローラ73との間で被覆フィルムFを張架する構成が潜像担持体被覆フィルム離脱手段として機能する。
トナー像Tを被覆フィルムFからシートSに転写する場合には、図14に示すように、転写位置Bを通過した後の被覆フィルムFの表面上に転写残トナーT2が残ってしまう。そして、参考構成例4のように被覆フィルムFをループ状として、繰り返し使用する構成の場合は、被覆フィルムF上に転写残トナーT2が残留していると、被覆フィルムFが再び感光体10を被覆して行われる次の画像形成に悪影響を与えることとなる。
よって、参考構成例4のように、ループ状の被覆フィルムFを用いる構成の場合は、転写位置Bを通過した被覆フィルムFの表面を清掃するためのフィルムクリーニング手段が必要となる。フィルムクリーニング手段としては、クリーニングローラやクリーニングブレードといったクリーニング部材を備えた、従来のトナー像担持体のクリーニング手段と同様のクリーニング手段を用いることができる。
なお、変形例2、参考構成例3及び参考構成例4では、転写位置Bが感光体10から離れた位置となる構成で、感光体10の表面を被覆フィルムFで被覆した後、帯電ローラ8で一様帯電を行い、書き込み光3を照射して静電潜像を形成する構成であるが、転写位置Bが感光体10から離れた位置となる構成において被覆フィルムFによる被覆、一様帯電、及び、静電潜像の形成の順番としてはこれに限るものではない。現像位置での感光体10の表面を被覆フィルムFが覆う構成であれば、変形例1のように、一様帯電を行った後に被覆フィルムFによる被覆を行う構成でも良いし、参考構成例2のように、一様帯電、潜像形成を行った後に被覆フィルムFに被覆を行う構成でも良い。
図15は、変形例3の感光体10近傍である画像形成部の説明図である。
図15に示す変形例3の複写機500の画像形成部では、図3を用いて説明した実施形態1の複写機500の画像形成部と同様に、被覆フィルムFとシートSとを、感光体10とローラ状の転写部材である転写ローラ7との間で挟んで、密着させる。さらに、転写ローラ7にトナー像を形成するトナーの帯電極性とは逆極性のバイアスを印加することで、被覆フィルムFとシートSとを静電的に貼り合わせて一体化させる。
なお、実施形態1の複写機500では、被転写体であるシートSが被覆フィルムFに接触する位置は、被覆フィルムFと転写バイアスが印加された転写部材である転写ローラ7が被覆フィルムF及びシートSを挟んで感光体10に当接する位置と略同じ位置である。一方、図15に示す変形例3の複写機500では、シートSが被覆フィルムFに接触する位置(以下、シート接触位置Gと呼ぶ)は、転写ローラ7が被覆フィルムF及びシートSを挟んで感光体10に当接する位置(転写位置B)よりもシートSの搬送方向上流側である。変形例3の構成であれば、被覆フィルムF上のトナー像が転写バイアスの影響を受ける領域に到達する前に被覆フィルムFとシートSとを接触させることができる。
変形例3のように、シート接触位置Gが、転写位置BよりもシートSの搬送方向上流側となる構成は、被覆フィルムFとシートSとが一体となって装置外に排出される構成に限らず、参考構成例1と同様に被覆フィルムFをシートSに貼り付けず、被覆フィルムF上のトナーをシートSに転写して、トナー像が定着されたシートSのみの状態で装置外に排出する構成にも適用可能である。
このように、シートSと被覆フィルムFとが重なり合った状態では、被覆フィルムF上のトナー像はシートSと被覆フィルムFとの間で挟まれた状態であり、この状態では放電や衝撃によってトナーが飛散し難く、トナーのチリによってトナー像が乱れる不具合が生じにくい。よって、変形例3の複写機500では、感光体10の表面から被覆フィルムFが分離するときに感光体10と被覆フィルムFとの間での剥離放電が生じても、トナーのチリの発生を防止でき、トナーのチリに起因する画像の劣化を防止できる。
なお、図3では転写ベルト17の記載は省略しているが、図2に示すように実施形態1の複写機500は転写ベルト17を備え、転写ローラ7は転写ベルト17及び被覆フィルムFを介して感光体10に当接する構成である。
なお、シートS及び被覆フィルムFが転写位置Bに進入する前にシートSと被覆フィルムFとの密着性を高めるために転写位置Bよりも上流側に転写前加圧部材を配置してもよい。
図16は、図15で示す変形例3の構成に、転写前加圧部材としての転写前加圧ローラ76を追加した構成の説明図である。転写前加圧ローラ76は不図示の加圧機構によって感光体10に向かって加圧される構成である。このような転写前加圧部材を配置することにより、シートSと被覆フィルムFとの空隙での放電に起因するトナーの飛散をさらに低減させることができ、転写前チリによる画像の劣化をさらに低減させることができる。
図16に示す構成の転写前加圧ローラ76としては、金属ローラの周りに弾性を有したゴム層を形成した弾性ゴムローラを使用することができる。弾性ゴムローラを使用する場合は、摩擦帯電による転写前加圧ローラ76のチャージアップを低減するために、イオン導電性材料をゴムに配合したり、カーボン等を分散させたりすることにより抵抗を調節することで転写前加圧ローラ76のチャージアップに起因する画像劣化を低減することが可能となる。なお、転写名転写前加圧部材は前出のようなゴムローラの他に、板状のゴムをベルトに当接することで加圧してもよい。
図17は、変形例4の転写位置B近傍の拡大説明図である。
上述した実施形態1、参考構成例1〜4及び変形例1〜3の構成では、不図示のバイアス印加装置によって転写バイアスが印加される転写部材として、ローラ状の転写ローラ7を備える構成である。転写部材としてはローラ状のものに限るものではなく、図17に示す変形例4の転写シート77のように、シート状の転写部材であってもよい。
図17に示す変形例4では、転写部材である転写シート77は、感光体10に最も近接する位置である転写位置Bよりも転写体であるシートSの搬送方向上流側に固定端77aが位置し、固定端77aに対してシートSの搬送方向下流側に自由端77bが位置するように配置されたシート状の部材である。さらに、トナー像転写手段である転写装置13は、転写シート77を感光体10に向けて加圧するシート加圧部材78を備える。
転写シート77は、転写位置Bで転写ベルト17及び被覆フィルムFを挟んで感光体10に当接する構成であり、このような転写シート77を当接させる構成では、ローラ状の転写部材を当接させる構成に比べて、構成が単純になり、低コスト化を図ることが可能となる。
転写部材として転写シート77を使用する構成は、実施形態1、参考構成例1〜4及び変形例1〜3の何れの構成に対しても、転写ローラ7の代わりに転写シート77を配置することで適用可能である。
なお、変形例4のシート加圧部材78は、スポンジ等の弾性体からなり、その弾性力によって転写シート77を感光体10に向けて加圧する構成である。このような、弾性体によって加圧する構成により、転写シート77を感光体10に向けて加圧する構成をより単純な構成で実現することができ、さらなるコストの削減を図ることができる。
実施形態1の複写機500では、被覆フィルムFを記録媒体であるシートSに貼り付けた状態で装置外に排出する構成で、紙間の被覆フィルムFは図2に示す構成では、排出スタック部39上に排出され、図5及び図6に示す構成では紙間フィルム収容トレイ80に収容される。そして、排出スタック部39や紙間フィルム収容トレイ80の紙間の被覆フィルムFは廃棄されるが、省資源化やコスト削減の観点からシートSに貼り付けられずに破棄される被覆フィルムFは少ないこと望ましい。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、少なくとも現像位置では潜像担持体被覆フィルムで感光体表面を被覆し、潜像担持体被覆フィルムを記録媒体に貼り付けた状態で排出する構成で、実施形態1に比して、被覆フィルムFの使用量を削減することができる本発明の二つ目の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)について説明する。
図18に示す実施形態2の複写機500は、被覆フィルム切断機構90を熱定着装置22よりも上流側に配置した点で図2に示す複写機500の構成と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
実施形態2の複写機500における画像形成開始前の状態では、被覆フィルム供給装置20にロール状に配置された連続シート状の被覆フィルムFの先端部が帯電ローラ8と感光体10とによって挟まれた状態である。画像形成時には、感光体10と、被覆フィルム供給装置20のロール状の被覆フィルムFが巻かれた回転軸とが図18中の反時計回り方向に回転し、被覆フィルムFの先端部が感光体10の表面移動に伴って表面移動方向下流側へと移動する。なお、このとき、被覆フィルム切断機構90の搬送方向上流側と下流側とのそれぞれに配置された搬送ローラ対が熱定着装置22方向へ搬送力を付与するように回転する。
また、被覆フィルムFの先端部が画像の先端部と一致するように被覆フィルムFで被覆された感光体10に対して一様帯電、静電潜像形成がなされ、感光体10表面上を被覆する被覆フィルムF上に感光体10上に形成された潜像に応じたトナー像が形成される。
感光体10の右側へと送り込まれたシートSは、転写ローラ7を備える転写装置により転写位置で感光体10表面の被覆フィルムF上のトナー画像に重ね合わされた後、被覆フィルムFとともに感光体10から引き剥がされる。なお、被覆フィルムFは透明であり、被覆フィルムFをシートSに重ねた状態で感光体10から引き剥がすことにより、被覆フィルムF側が表面、シートS側が裏面となる状態で画像が形成される。
なお、実施形態2の複写機500では、転写位置を通過した被覆フィルムFがシートSに張り付く力は、被覆フィルムFとシートSとの間の静電気の力によるものであるが、転写位置に入る前の被覆フィルムFまたシートSのうちの一方の他方と対向する面に接着剤を塗布しても良い。また、粘着性の高いトナーを用いることにより、トナーの粘着力によって被覆フィルムFをシートSに張り付けてもよい。
上記制御部は、搬送動作を停止した状態で被覆フィルム切断機構90を作動し、被覆フィルム切断機構90がトナー像と共に感光体10からシートS表面に移動してシートSと重なった状態の被覆フィルムFを、切断面の位置がシートSの搬送方向後端部と一致するように切断する。
被覆フィルム切断機構90が被覆フィルムFを切断すると、上記制御部は、被覆フィルム切断機構90に対して被覆フィルムFの搬送方向の下流側の搬送部材は被覆フィルムFとシートSを排出するように駆動する。詳しくは、被覆フィルム切断機構90の搬送方向下流側に配置された搬送ローラ対は、画像形成時と同方向に回転し、重なり合った状態の被覆フィルムF及びシートSを熱定着装置22へと送り込む。熱定着装置22を通過した被覆フィルムFが重なった状態のシートSは、排出ローラ35によって排出スタック部39へと排出される。これにより、シートSの全面が被覆フィルムFで覆われた定着後画像が完成する。
次の画像形成時には、切断された位置よりも搬送方向上流側の被覆フィルムFの搬送方向先端部となるこの切断面の位置とシートSの搬送方向先端部とが一致するように、被覆フィルムF及びシートSとの搬送の制御がなされる。
実施形態2の複写機500は、使用する被覆フィルムFを必要最小限の量にとどめることができ、少ない被覆フィルムFの量で長期に渡って効果が得られるため、装置の小型化、及び廃棄物の削減に対して有用な構成である。
なお、被覆フィルム切断機構90の配置が熱定着装置22に対して上流側、または、下流側の何れの構成であっても、被覆フィルムFが切断された後、被覆フィルムFを巻きつけた感光体10等を逆回転し、切断により先端部が浮いた被覆フィルムFを感光体10に巻き取つけて再び感光体10の表面に密着させて次の作像に備える。
図19に示すロータリーカッター91は、実施形態2の被覆フィルム切断機構90に限らず、図2や図6に示す構成の被覆フィルム切断機構90にも適用可能である。
なお、本発明を適用した画像形成装置の被覆フィルム切断機構90としてはロータリーカッター91に限定するものではなく、切断面が被覆フィルムFの搬送方向に対して直交するように被覆フィルムFを切断できる機構であればよい。また、ロータリーカッター91を適用した被覆フィルム切断機構90では、固定刃93の刃先の位置が切断位置となる。
実験6では、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
上記画像形成装置に対して、図18に示す実施形態2の複写機500のように熱定着装置22の上流側に、ロータリーカッターの両脇に搬送ローラを設けた被覆フィルム切断機構90を設けた装置を作成した。そして、PVDC製ラップフィルムを感光体10に巻きつけてコピー動作前の初期状態を作り、それからA4横の長さの用紙(シートS)をシートカセット61にセットし、通常のコピー動作を実行した。排出スタック部39上には画像が定着されたA4横サイズの被覆フィルムFで覆われたシートSがスタックされた。画像も鮮明であり問題はなかった。
実験7では、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
上記画像形成装置に対して、図2に示す実施形態1の複写機500のように、熱定着装置22の下流側に、ロータリーカッターの両脇に搬送ローラを設けた被覆フィルム切断機構90を設けた装置を作成した。そして、PVDC製ラップフィルムを感光体10に巻きつけてコピー動作前の初期状態を作り、それからA4横の長さの用紙(シートS)をシートカセット61にセットし、通常のコピー動作を実行した。排出スタック部39上には画像が定着されたA4横サイズの被覆フィルムFで覆われたシートSがスタックされた。画像も鮮明であり問題はなかった。
実験8では、被覆フィルムFとして、厚さ10[μm]のポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、商品名リケンラップを用意した。実験6と同様の実験を行ったところ、排出スタック部39上には画像が定着されたA4横サイズの被覆フィルムFで覆われたシートSが、実験6と同様にスタックされた。画像も鮮明であり問題はなかった。
また、被覆フィルムFを転写工程以降で切断することにより、帯電、露光、及び、現像の各工程では常に感光体10が被覆フィルムFで保護されており、感光体10の長寿命化を図ることができ、長期に渡り安定した画像形成を行うことが可能である。
実施形態1や実施形態2の複写機500では、被覆フィルムFを記録媒体であるシートSに貼り付けた状態で装置外に排出する構成で、被覆フィルムFをシートSに重ね合わせた後に、シートSの搬送方向の長さに合わせて被覆フィルムFを切断する構成である。被覆フィルムFを切断する位置としては、シートSに重ね合わせた後に限らず、感光体10の表面に供給する前であってもよい。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、少なくとも現像位置では潜像担持体被覆フィルムで感光体表面を被覆し、潜像担持体被覆フィルムを記録媒体に貼り付けた状態で排出する構成で、感光体表面を被覆する前の潜像担持体被覆フィルムを記録媒体に合わせて切断する本発明の三つ目の実施形態(以下、実施形態3と呼ぶ)について説明する。
図20に示す実施形態3の複写機500は、被覆フィルム切断機構90を被覆フィルム供給装置20と帯電ローラ8との間に配置した点で図2に示す複写機500の構成と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
なお、必要に応じて図20の被覆フィルム切断機構90の左右に設けた二組の搬送ローラ対のように、被覆フィルム切断機構90の搬送方向上流側及び下流側に搬送部材を設けても良い。切断された被覆フィルムFはこの帯電ローラ8の押圧力と感光体帯電のために印加されるバイアス電荷により、感光体10に張り付いてそのまま下流へと搬送される。このとき感光体10が帯電される。
なお、ラップが切断された後、被覆フィルム供給装置20のロール状の被覆フィルムFが巻かれた回転軸や被覆フィルム切断機構90の上流側に配置された搬送ローラ対は回転せず、次の作像まで被覆フィルムFが使用されることはない。
そして、感光体10上で表面にトナー像を担持した切断された被覆フィルムFの先端部とシートSの先端部との転写位置に到達するタイミングが一致するように、レジストローラ21が回転し、シートSが図18中の感光体10の右側へと送り込まれる。なお、実施形態2の複写機500でも転写ローラ7と感光体10とが対向する位置が転写位置Bである。
感光体10の右側へと送り込まれたシートSは、転写装置13により転写位置Bで感光体10表面の被覆フィルムF上のトナー画像に重ね合わされた後、被覆フィルムFとともに感光体10から引き剥がされる。なお、被覆フィルムFは透明であり、被覆フィルムFをシートSに重ねた状態で感光体10から引き剥がすことにより、被覆フィルムF側が表面、シートS側が裏面となる状態で画像が形成される。
なお、実施形態3の複写機500では、転写位置Bを通過した被覆フィルムFがシートSに張り付く力は、被覆フィルムFとシートSとの間の静電気の力によるものであるが、転写位置Bに入る前の被覆フィルムFまたシートSのうちの一方の他方と対向する面に接着剤を塗布しても良い。また、粘着性の高いトナーを用いることにより、トナーの粘着力によって被覆フィルムFをシートSに張り付けてもよい。
なお、実施形態3の被覆フィルム切断機構90としては、図19に示すようなロータリーカッター91使用することができるが、本発明を適用した画像形成装置の被覆フィルム切断機構90としてはロータリーカッター91に限定するものではなく、切断面が被覆フィルムFの搬送方向に対して直交するように被覆フィルムFを切断できる機構であればよい。
実験9では、画像形成装置として、imagio MP 5000(リコー製)を用いて以下に述べる実験を行った。
上記画像形成装置に対して、図20で示すようなPVDC製ラップフィルムが巻き取られている被覆フィルム供給装置20と、ロータリーカッター91及びその両脇に搬送ローラ対を備えた被覆フィルム切断機構90とを装着した。次に、被覆フィルムFの先端が感光体10の画像形成開始位置に相当する部分になるよう巻き付け、更にA4横の長さで被覆フィルムFが切断されるようにロータリーカッター91の回転数を調整したうえで、通常のコピー動作を実行した。排出スタック部39上には画像が定着されたA4横サイズの被覆フィルムFで覆われたシートSがスタックされた。画像も鮮明であり問題はなかった。
実験10では、被覆フィルムFとして、厚さ10[μm]のポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、商品名リケンラップを用意した。実験9と同様の実験を行ったところ、排出スタック部39上には画像が定着されたA4横サイズの被覆フィルムFで覆われたシートSが、実験9と同様にスタックされた。画像も鮮明であり問題はなかった。
次に、本発明を適用した画像形成装置として、少なくとも現像位置では潜像担持体被覆フィルムで感光体表面を被覆する本発明の四つ目の実施形態(以下、実施形態4と呼ぶ)について説明する。
図22は、実施形態4に係る画像形成装置としての複写機500全体の概略構成図である。また、図23は、実施形態4の複写機本体部100の感光体10近傍である画像形成部の拡大説明図である。
実施形態4は、潜像形成後の感光体10の表面に被覆フィルムFを供給する構成と感光体10に供給する前の被覆フィルムFを除電するフィルム除電手段を備える構成とが実施形態1の複写機500と異なり、他の構成は共通するため、共通する構成についての説明は省略し、相違点について説明する。
このように、実施形態4の複写機500は、被覆フィルム供給装置20及びレーザ書込装置47の装置本体における位置が異なるが、これらの装置としては実施形態1の複写機500と同様のもの用いることができる。
詳しくは、静電潜像形成工程として不図示の感光体駆動モータで感光体10を回転し、帯電ローラ8を用いた帯電装置11で感光体10の表面を一様に帯電して帯電工程を実行する。次いで、画像読取装置200によって読み取った原稿内容に応じてレーザ光をレーザ書込装置47から照射して書き込み工程を実行して、感光体10の表面に静電潜像を形成する。静電潜像形成後、被覆フィルム供給装置20から被覆フィルムFを供給し、被覆フィルム供給ローラ81の表面を経て被覆フィルムFが感光体10表面を被覆する。その後、被覆する感光体10上の静電潜像に対応するように被覆フィルムF上に現像装置12によってトナーが付着させられ、静電潜像の可視像化がなされる。
実施形態4の複写機500では作像時に、まず、帯電ローラ8を備えた帯電装置11で感光体10の表面を一様に帯電し、次いでレーザ書込装置47から発せられた書き込み光3によって一様帯電された感光体10上に光像が書き込まれて静電潜像が形成される。静電潜像が形成された後の感光体10の表面に対して、被覆フィルム供給装置20から供給された被覆フィルムFが被覆フィルム供給ローラ81の表面を経て感光体10表面に供給される。被覆フィルムFは被覆フィルム供給ローラ81の押圧力により、感光体10に張り付いてそのまま下流へと搬送される。また、感光体10の回転に伴い、被覆フィルム供給装置20に巻き込まれている被覆フィルムFが順次送り出される。なお、被覆フィルムFは非常に薄い誘電体であるため、感光体10の表面を覆った被覆フィルムFの外側の表面上には感光体10の表面上と変わらない静電潜像が誘起形成される。この静電潜像は現像装置12により現像されて、感光体10の表面を覆っている被覆フィルムFの上にトナー像がもたらされる。
被覆フィルムF上のトナー像はシートSと重ね合わされた後、被覆フィルムFとシートSに挟まれた状態のまま熱定着装置22に搬送されて定着される。熱定着装置22を通過したシートSと被覆フィルムFとは、実施形態1の複写機500と同様に、排出ローラ35を通過したのち被覆フィルム切断機構90によって被覆フィルムFが切断されて、表面が被覆フィルムFで覆われたシートSとして排出スタック部39上に排出される。
感光体10の表面にはフッ素樹脂やポリカーボネート系樹脂等が用いられるが、用いられている感光体表層と同材料の物を被覆フィルムFに塗工すればよい。塗工厚としては、塗工前の被覆フィルムF自体の厚みにも依るが、塗工後の被覆フィルムFの厚みが30[μm]以下であることが望ましい。被覆フィルムFが厚くなりすぎると、感光体10上の静電潜像を誘起形成することが難しくなる可能性がある。塗工方法としては溶剤に分散させスプレー塗工する方法などが挙げられるが、特にこの塗工方法に限るわけではない。
また、被覆フィルムFの表面層のみを感光体10の表面層と同材質とするものに限らず、被覆フィルムF自体を感光体10の表面層と同材質としてもよい。
このように、フィルム層である被覆フィルムFを介して電子写真感光体である感光体10の静電潜像を現像し、次いでトナー像が形成された被覆フィルムFを感光体10から引き剥がすことを行えば、本質的にトナーが感光体10に残らないようにすることができるので、感光体10上に残留するトナーをクリーニングするためのクリーニング部材が不要になる。
転写シート77は、転写位置Bで転写ベルト17及び被覆フィルムFを挟んで感光体10に当接する構成であり、このような転写シート77を当接させる構成では、ローラ状の転写部材を当接させる構成に比べて、構成が単純になり、低コスト化を図ることが可能となる。
なお、シートS及び被覆フィルムFが転写位置Bに進入する前にシートSと被覆フィルムFとの密着性を高めるために転写位置Bよりも上流側に転写前加圧部材を配置してもよい。
被覆フィルムFを感光体10からトナー像と共にシートSに移動させたあとに被覆フィルムFを切断するため、被覆フィルム供給装置20から被覆フィルム切断機構90まで繋がった被覆フィルムFを感光体10が張架する状態である。このため、感光体10上の被覆フィルムFが供給される位置から、被覆フィルムFが離脱する位置まで被覆フィルムFが感光体10に密着する。少なくとも現像位置は被覆フィルムFが供給される位置から被覆フィルムFが離脱する位置までの間にあり、感光体10の表面に密着した被覆フィルムFを介して現像を行うことができるので、鮮明な画像形成を行うことができる。
さらに、実施形態1、実施形態4、変形例2、及び、変形例3の複写機500が備える被覆フィルム切断機構90は、切断面の位置がシートSの搬送方向前端部と一致するよう被覆フィルムFを切断することにより、被覆フィルムFの搬送方向の長さをシートSの搬送方向の長さにあわせることができる。
シートSの後端部に合わせて切断された後の被覆フィルムFを画像形成時とは逆方向に搬送する工程を入れて、被覆フィルムFの切断面と次のシートSの先端部とが一致するように次の画像形成を行うことにより、搬送方向で被覆フィルムFを捨てる部分がなく、被覆フィルムFを無駄なく使用することができる。
また、実施形態1において図5及び図6を用いて説明した構成や、実施形態2では、被覆フィルム切断機構90は、熱定着装置22に対してシートSの搬送方向上流側に位置する。少なくともシートSの後端部が定着装置通過前に、被覆フィルムFの切断面がシートSの後端部と一致するように被覆フィルムFが被覆フィルム切断機構90に切断される。そして、被覆フィルムFで覆われたシートS全体が熱定着装置22を通過すると、シートSの全面が被覆フィルムFで覆われた定着後画像が完成する。
定着後に被覆フィルムFを切断することにより、トナーが溶融して固化し、被覆フィルムF、トナー像T、及び、シートSの三者が固定された状態でシートSの後端部に合わせて被覆フィルムFを切断するので、切断時の衝撃によるトナー像のずれがなく、鮮明な画像を得ることができる。
トナーが感光体10に直接接触することがなく画像形成を行うには、感光体10の周りでの作像工程のうち、少なくとも現像工程よりも前には被覆フィルムFによって感光体10の表面を被覆しておくことが必要である。現像工程よりも前の作像工程は、帯電工程及び書き込み工程であるが、感光体10の長寿命化を図るには、実施形態3の複写機500のように一様帯電の前で感光体10の表面に被覆フィルムFを供給することが好ましい。帯電工程よりも前に被覆フィルムFを感光体10表面に巻き付けることで、感光体10表面が帯電工程により電気的ストレスを受けることを防ぎ、感光体10をより長寿命化することができる。
また、実施形態3の複写機500では、帯電ローラ8が感光体10との間で被覆フィルムFを挟んで感光体10の表面移動に従動して回転するため、帯電ローラ8が被覆フィルムFの搬送部材としての機能を備える。このように、帯電ローラ8が被覆フィルムFの搬送部材としての機能を備えることで、部材点数を削減することができ、装置の小型化を図ることができる。
2 第二搬送スクリュ
3 書き込み光
4 現像ローラ
5 トナー濃度センサ
6 パターン濃度センサ
7 転写ローラ
8 帯電ローラ
10 感光体
11 帯電装置
12 現像装置
12a 現像容器
13 転写装置
15 第一張架ローラ
16 第二張架ローラ
17 転写ベルト
20 被覆フィルム供給装置
21 レジストローラ
22 熱定着装置
30 加熱ローラ
32 加圧ローラ
35 排出ローラ
39 排出スタック部
47 レーザ書込装置
48 回転多面鏡
49 ポリゴンモータ
50 走査光学系
53 光源
54 ミラー
55 結像用光学レンズ
56 イメージセンサ
57 コンタクトガラス
61 シートカセット
62 呼出ローラ
63 供給ローラ
64 分離ローラ
66 シート搬送ローラ
67 手差しトレイ
68 手差し給紙部
70 現像ドクタ
71 転写後搬送ローラ
72 切断ガイド部材
73 転写対向ローラ
76 転写前加圧ローラ
77 転写シート
77a 固定端
77b 自由端
78 シート加圧部材
80 紙間フィルム収容トレイ
80a 間隙
81 被覆フィルム供給ローラ
82 第一フィルム張架ローラ
83 第二フィルム張架ローラ
85 フィルム除電ブラシ
90 被覆フィルム切断機構
92 可動刃
93 固定刃
94 固定刃保持部材
95 可動刃回転軸
100 複写機本体部
200 画像読取装置
300 シートバンク
400 自動原稿搬送装置
500 複写機
B 転写位置
C シート搬送装置
F 被覆フィルム
G シート接触位置
H 分離位置
R シート搬送路
R1 供給路
R2 手差し供給路
S シート
T トナー像
T2 転写残トナー
Claims (7)
- 表面移動する潜像担持体と、
該潜像担持体表面を一様帯電する帯電手段と、
該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
該潜像担持体上に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段とを備えた画像形成装置であって、
少なくとも上記トナー像形成手段によってトナー像が形成されるトナー像形成位置で上記潜像担持体表面を被覆する潜像担持体被覆フィルムを該潜像担持体表面に供給する被覆フィルム供給手段と、
該潜像担持体被覆フィルムを供給された該潜像担持体表面が、潜像担持体被覆フィルム供給位置に到達する前に該潜像担持体表面からトナー像が形成された該潜像担持体被覆フィルムを離脱させる潜像担持体被覆フィルム離脱手段とを備え、
上記フィルム供給手段は、連続シート状の上記潜像担持体被覆フィルムを有し、該潜像担持体被覆フィルムを繰り出して上記潜像担持体に対して表面を被覆するように供給するものであり、
該潜像担持体被覆フィルムの搬送方向に対して直交する切断面となるように連続シート状の該潜像担持体被覆フィルムを切断する被覆フィルム切断手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記被覆フィルム切断手段は、トナー像と共に上記潜像担持体から記録媒体表面に移動して記録媒体と重なった状態の上記潜像担持体被覆フィルムを、切断面の位置が記録媒体の搬送方向後端部と一致するように切断することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
上記被覆フィルム切断手段が上記潜像担持体被覆フィルムを切断した後に、切断された位置よりも搬送方向上流側の該潜像担持体被覆フィルムを切断前の搬送方向とは逆方向に搬送するように制御し、
次の画像形成時には、切断された位置よりも搬送方向上流側の該潜像担持体被覆フィルムの搬送方向先端部となる上記切断面の位置と記録媒体の搬送方向先端部とが一致するように、該潜像担持体被覆フィルム及び記録媒体の搬送を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2または3の画像形成装置において、
重なった状態の記録媒体及び上記潜像担持体被覆フィルムを加熱することによってトナー像を記録媒体に定着させる熱定着手段を有し、
上記被覆フィルム切断手段は、該熱定着手段によって定着がなされる位置よりも搬送方向上流側で該潜像担持体被覆フィルムを切断することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2または3の画像形成装置において、
重なった状態の記録媒体及び上記潜像担持体被覆フィルムを加熱することによってトナー像を記録媒体に定着させる熱定着手段を有し、
上記被覆フィルム切断手段は、該熱定着手段によって定着がなされる位置よりも搬送方向下流側で記録媒体と重なった該潜像担持体被覆フィルムを切断することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記被覆フィルム切断手段は、上記潜像担持体に供給される前の上記潜像担持体被覆フィルムを記録媒体の搬送方向の長さに合わせて切断することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
上記帯電手段は、帯電部材としてローラ状の帯電ローラを備え、上記被覆フィルム供給手段は、該帯電ローラによって一様帯電される前の上記潜像担持体表面に上記潜像担持体被覆フィルムを供給するように構成され、
該帯電ローラが該潜像担持体被覆フィルムの搬送部材としての機能を備える構成であることを特徴とする画像形成装置。
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