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JP5454284B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被記録面がプラスチック等のインクを吸収しない非吸収性の記録媒体に水性インクでインクジェット記録を行う記録方法に関する。
従来、インクを吸収しない記録媒体に対する記録方法については、有機溶媒を主成分とする非水系インクが多く用いられてきた。例えば屋外の広告等の媒体として多用されているポリ塩化ビニルシート等の塩化ビニル系樹脂の表面に、画質の良好な画像や文字を印刷するための非水系インクジェットインクとしては、耐光性に優れた顔料と、前記顔料を塩化ビニル系樹脂の表面に定着させるための樹脂成分と、樹脂成分を溶解しうる有機溶媒とを含むものが一般的であった。これら非水系インクは非水溶性着色剤と非水溶性の樹脂成分を使用することにより耐水性が良好である、揮発性の高い溶剤を使用することにより乾燥が速いため画像の滲み防止ができるなどの優れる点があるが、記録媒体表面で溶媒が揮発することにより画像が形成されるため、乾燥時における溶媒の臭気や有害性が問題となっていた。更に、有機溶媒による環境への影響も懸念されていた。
非水系インクジェットインクで比較的安全性の高い有機溶媒を用いることで、非吸収性記録媒体の一種であるポリ塩化ビニル(PVC)に対する印字適性、出射安定性、安全性に優れ、臭気の問題が無いインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法が、例えば特許文献1に開示されている。しかし、インクには主溶媒の例としてジエチレングリコールジエチルエーテルが80質量%以上含まれており、水系インクに比べると安全性が著しく低いことは明らかである。更に揮発する多量の溶剤による環境への影響も多大である。そのため、ポリ塩化ビニルシート等のインク非吸収性の記録媒体に対しても、安全面および環境を保護する観点から、水性インクを用いる記録方法が求められている。
この課題に対し、水系インクジェットインクで非吸収性記録媒体に斑等が生じない良好な高速プリント画質が得られ、長期において安定して使用できる水性加熱定着型インクおよびこれを用いた加熱定着型インクジェット記録方法が、例えば特許文献2に開示されている。有機溶媒の添加量は10〜35質量%であり、有機溶媒の例としてジエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられている。特定の有機溶剤と水溶性樹脂の組み合わせることと、40℃〜90℃に非吸収性記録媒体を加熱することにより、斑の発生が抑制され良好な記録画質が得られるとしている。
一方、ポリ塩化ビニルは60℃を越える温度では変形や膨張収縮による寸法変化などの不具合があるが、特許文献2ではポリ塩化ビニルの軟化が防止できる温度範囲の40℃〜60℃の加熱印刷での耐擦性についての記載がなく、いまだ水性インクでポリ塩化ビニルに対して非水系インクと同等の耐擦性を示す、有効なインクジェット記録方法は確立していない。
特開2007−291257号公報 特開2008−260820号公報
本発明のいくつかの態様における目的の1つは、被記録面が非吸収性の記録媒体、特にポリ塩化ビニルからなる記録媒体に対して、ポリ塩化ビニルの加熱可能な温度範囲である40℃〜60℃の温度に加熱して記録を行い、速乾性に優れ、インクの滲みが少ないため高画質であり、耐擦過性が優れた記録が得られるインクジェット記録方法を提供することである。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
インクジェット記録装置によって、ポリ塩化ビニル系フィルムからなる記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して水性インク組成物の液滴を吐出する第一の工程と、
前記記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して、該記録媒体上に吐出された前記水性インク組成物を乾燥させる第二の工程と、
を含むインクジェット記録方法であって、
前記水性インク組成物は、水と少なくとも一種の水不溶性の着色剤と、水不溶性の熱可塑性樹脂粒子と、界面活性剤と、
2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素から選択される少なくとも一種からなる第一の溶剤と、
1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ペンタンジオールから選択される少なくとも一種からなる第二の溶剤と、
沸点が150℃以上220℃以下の範囲であるグリコールジエーテル類から選択される少なくとも一種からなる第三の溶剤とを含有し、
前記水性インク組成物中における前記第一の溶剤の含有量(W1)が4〜15質量%であり、
前記水性インク組成物中における前記第二の溶剤の含有量(W2)が3〜8質量%であり、
前記第一の溶剤と前記第二の溶剤の含有量の合計(W1+W2)が18質量%以下であり、
前記水性インク組成物中における前記第三の溶剤の含有量(W3)が4〜20質量%であることを特徴とする。
適用例1のインクジェット記録方法によれば、速乾性に優れ、インク非吸収性の記録媒体上に形成された画像の滲みを低減でき、記録物の耐擦過が向上した記録を得ることができる。
[適用例2]上記適用例に記載のインクジェット記録方法において、
前記第三の溶剤であるグリコールジエーテル類が、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
[適用例3]上記適用例に記載のインクジェット記録方法において、
前記水不溶性の着色剤は顔料であり、水溶性樹脂で水性インク組成物中に分散されていることことを特徴とする。
[適用例4]上記適用例に記載のインクジェット記録方法において、
前記水不溶性の熱可塑性樹脂粒子が、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂であることを特徴とする。
[適用例5]上記適用例に記載のインクジェット記録方法において、
前記界面活性剤がシリコン系界面活性剤であることことを特徴とする。
[適用例6]上記適用例に記載のインクジェット記録方法おいて、
前記記録媒体を加熱する処理は、ヒーターまたは温風により行うことを特徴とする。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置によって、ポリ塩化ビニル系フィルムからなる記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱した上に、後述する水性インク組成物の液滴を吐出する第一の工程と、前記記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して、該記録媒体上に吐出された前記水性インク組成物を乾燥させる第二の工程とを含むインクジェット記録方法であって、前記水性インク組成物は、水と少なくとも一種の水不溶性の着色剤と、水不溶性の熱可塑性樹脂粒子と、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素から選択される少なくとも一種からなる第一の溶剤と、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ペンタンジオールから選択される少なくとも一種からなる第二の溶剤と、沸点が150℃〜220℃のグリコールジエーテル類から選択される少なくとも一種の第三の溶剤とを含有し、前記水性インク組成物中における前記第一の溶剤の含有量(W1)が4〜15質量%であり、前記水性インク組成物中における前記第二の溶剤の含有量(W2)が3〜8質量%であり、前記第一の溶剤と前記第二の溶剤の含有量の合計(W1+W2)が18質量%以下であり、前記水性インク組成物中における前記第三の溶剤の含有量(W3)が4〜20質量%であることを特徴とする。なお、本発明において「画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
1.1.インクジェット記録工程
本発明の一実施形態におけるインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置によって、ポリ塩化ビニル系フィルムからなる記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して水性インク組成物の液滴を吐出する第一の工程と、前記記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して、該記録媒体上に吐出された前記水性インク組成物を乾燥させる第二の工程とを含むことを特徴とする。
インクジェット記録装置としては、インクの液滴を吐出して、液滴を記録媒体上に付着させて記録を行うことができるものであれば特に限定されないが、印刷時に記録媒体を加熱できる機能を備えていることが好ましい。ここで、「印刷時」とは、インクジェット記録装置によりインクの液滴を吐出して、液滴を記録媒体上に付着させた直後から、該インクが乾燥するまでの時間のことをいう。
記録媒体を加熱できる機能としては、例えば、記録媒体に熱源を直接接触させて加熱するプリントヒーター機能や、記録媒体に直接接触させないで赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射したり、温風を吹き付けたりするドライヤー機能などが挙げられる。プリントヒーター機能およびドライヤー機能は、それぞれ単独で使用することもできるし、同時に使用することもできる。これにより、印刷時の加熱温度を調節することができる。
また、インクジェット記録装置によりインクの液滴を吐出して、液滴を付着させた記録媒体を所定の温度に設定された乾燥機や恒温槽で乾燥させてもよい。
本発明の記録方法は、ポリ塩化ビニルからなる記録媒体への印刷に適している。ポリ塩化ビニル記録媒体は、長期の耐候性が求められる屋外展示物や、曲面を有する物体への密着させる用途向けに多様な種類の製品が市販されており、これらの中から用途に応じて適宜選択することができる。
また、本発明の記録方法は、ポリ塩化ビニルからなる記録媒体以外に、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体にも適用することができる。インク非吸収性の記録媒体として、例えば、水系インク受容層を持たないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
インクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法は、例えば、次の様に行うことができる。まず、水性インク組成物(後述)を液滴として40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱した記録媒体上に吐出する。これにより、記録媒体上に画像を形成することができる。インクジェット吐出方法としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)においては優れた画像記録を行うことが可能である。
次に、インクジェット記録装置に備えられたプリントヒーターおよびドライヤーによって、記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して、記録媒体上に吐出された水性インク組成物(後述)を乾燥させる。本工程によって、記録媒体上に吐出された水性インク組成物中に含有される水分等が速やかに蒸発飛散して、水性インク組成物中に含まれる樹脂粒子(後述)によって被膜が形成される。これにより、記録媒体上において、濃淡ムラや滲みが少ない高画質な画像を短時間で得ることができ、樹脂粒子の被膜を形成させることで記録媒体上にインク乾燥物が接着するため画像が定着する。
前期記録媒体の加熱温度範囲は、40℃以上60℃以下である。記録媒体の加熱温度が40℃以上であれば、水性インク組成物中の液媒体の蒸発飛散を効果的に促進することができる。記録媒体の加熱温度が60℃を超える場合、記録媒体の種類によっては変形等が生じたり、記録媒体が室温まで冷えた際に記録画像の収縮等の不具合が起こる場合がある。
記録媒体の加熱時間は、水性インク組成物中に存在する液媒体が蒸発飛散し、かつ熱可塑性樹脂粒子の被膜を形成することができれば特に制限はなく、用いる溶媒、樹脂粒子、印刷速度等を加味して適宜設定することができる。
1.2.水性インク組成物
以下、本発明の一実施形態におけるインクジェット記録方法に用いる水性インク組成物について、詳細に説明する。
1.2.1.溶媒
本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素から選択される少なくとも一種からなる第一の溶剤と、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ペンタンジオールから選択される少なくとも一種からなる第二の溶剤と、沸点が150℃〜220℃の範囲であるグリコールジエーテル類から選択される少なくとも一種からなる第三溶剤とを含有する。
2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素から選択される少なくとも一種からなる第一の溶剤は、後述する熱可塑性水溶性樹脂粒子または記録媒体の素材であるポリ塩化ビニルの良好な溶解剤または軟化剤として作用する。
また、第一の溶剤は沸点が210℃〜250℃であって、加熱工程で最後に揮発するために濃縮されて記録媒体上のインク残留物中で高濃度化して、熱可塑性樹脂粒子を溶解する。溶解した熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニルからなる記録媒体上で、着色剤を主成分とするインク固化物の被膜化を促進して強固に付着せしめるための効果を付与する。
また、水性インク組成物中に含まれる第一の溶剤の一部は記録媒体に浸透もしくは記録媒体を膨潤させてもしくは記録媒体を溶解してインク固化物とポリ塩化ビニルの接着をさらに強固にする作用がある。
第一の溶剤の含有量(W1)は、水性インク組成物の全質量に対して、4質量%以上15質量%以下である。また、第一の溶剤の含有量(W1)は、水性インク組成物の全質量に対して、6質量%以上15質量%がより好ましい。第一の溶剤の含有量(W1)が6質量%以上であると、記録媒体上の画像をよりいっそう強固に定着させることができる。一方、第一の溶剤の含有量(W1)が4質量%未満であると、水性インク組成物中の熱可塑性樹脂粒子の被膜形成が低下して、画像の固化・定着が不十分になる場合がある。また、第一の溶剤の含有量(W1)が15質量%以上であると記録媒体の表面に残留した一部の第一の溶剤が蒸発飛散し難くなり、画像の乾燥が不十分になる場合がある。
1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ペンタンジオールから選択される少なくとも一種からなる第二の溶剤は、界面活性剤と相乗して、記録媒体に対する水性インク組成物の濡れ性をさらに高めて、記録媒体上でインクを均一に濡らす作用を有する低表面張力の溶剤である。ここで、低表面張力の溶剤とは室温での表面張力が40mN/m以下の溶剤を指す。記録媒体上でインクが均一に濡れることで、記録媒体上のインクの濃淡むらや滲みを低減させることができる。
第二の溶剤として好ましくは、沸点210℃〜250℃、炭素数5〜6の1,2−アルカンジオール類が挙げられる。これらの材料は、被記録面が非吸収性のプラスチックからなる記録媒体に対して、記録媒体上でインクを均一に濡らす作用に優れているため、形成された画像の滲みが低減される。一方、1,2−アルカンジオールであっても、炭素数が4以下の場合、プラスチックからなる記録媒体に対するインクの濡れ性が乏しくなり、インクの濃淡むらや滲みが発生する場合がある。炭素数7以上では、溶剤の水溶性が乏しくなり、濡れ性を確保するために必要な量の溶剤を添加できなくなったり、インク組成物の保存安定性を阻害する場合がある。
第二の溶剤の含有量(W2)は、水性インク組成物の全質量に対して、3質量%以上8質量%以下である。第二の溶剤の含有量(W2)は、水性インク組成物の全質量に対して、3質量%以上6質量%以下がより好ましい。第二の溶剤の含有量(W2)が6質量%以下であると、記録媒体上の画像をよりいっそう速く乾燥することができる。第二の溶剤の含有量(W2)が3質量%未満であると、ポリ塩化ビニルからなる記録媒体に対するインクの濡れ性が乏しくなり、良好な画像が得られない場合がある。一方、第二の溶剤の含有量(W2)が8質量%を超えると、溶剤が蒸発飛散し難くなり画像の乾燥が不十分になる場合がある。
第一の溶剤と第二の溶剤の含有量の合計(W1+W2)は、水性インク組成物の全質量に対して、18質量%以下である。溶剤の含有量の合計(W1+W2)が18質量%を超えると、記録媒体を乾燥する加熱工程で、溶剤が十分揮発せず残留して画像の速乾性を低下させる。
沸点が150℃〜220℃の範囲であるグリコールジエーテル類から選択される少なくとも一種からなる第三の溶剤は、第一および第二の溶剤に比較して低沸点の溶剤を選択してインクジェット記録の水性インク組成物に添加されることで、加熱工程の初期段階で第三の溶剤が揮発して、インクの記録媒体上での乾燥を速めることができる。インク乾燥性が高いことは、加熱乾燥にかかる時間や加熱にかける温度を下げることができるとともに、インクの凝集によるむらや滲みを減少させて画質を向上させることができる。また、さらに、グリコールジエーテル類から選択される少なくとも一種からなる第三の溶剤は記録媒体であるポリ塩化ビニルを緩慢に溶解または膨潤し、記録媒体であるポリ塩化ビニルフィルムにインクが付着して溶剤が揮発するまでの間に、インク組成物中の非揮発成分である着色剤を主成分とする固化物をポリ塩化ビニルフィルムの溶解部分に固着させる、あるいは膨潤により生じた空隙に浸透せしめる効果を有する。
なお、グリコールジエーテルのポリ塩化ビニルの溶解性は次の方法により判定することができる。厚み1.0mmのポリ塩化ビニル製のシート(タキロンプレート、タキロン株式会社製)をグリコールジエーテル溶剤に浸漬し、室温で1時間置いた後溶剤より取り出し、水洗、乾燥させ、状態を観察する。状態に変化が無ければ溶解性なし、シートに白濁、割れ、軟化、膨潤、溶け出しがあればさらに次の接着性試験を行う。短冊状の記録媒体の記録面を上にしてグリコールジエーテルを0.01g滴下し、記録面を下にした別のもう一枚の短冊状の記録媒体を、グリコールジエーテルを滴下した部分に重ねる。重ねた記録媒体の上から300gの荷重をかけて10分間静置した後、各短冊を引張りせん断接着強さ試験方法(JIS K6850)に示された方向に100g荷重で引っ張り試験を行い、接着性を調べる。接着性のある溶剤はポリ塩化ビニル溶解性ありと判定できる。
前記の判定方法により選定されたポリ塩化ビニル溶解性を有する沸点が150℃〜220℃の範囲であるグリコールジエーテルとしては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルである。これらのうち特に好ましくは、沸点が190℃〜220℃であるジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
第三の溶剤の含有量(W3)は、水性インク組成物の全質量に対して、4質量%以上20質量%以下である。また、第三の溶剤の含有量(W3)は、水性インク組成物の全質量に対して、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
水性インク組成物中の前記第一の溶剤の含有量(W1)が4質量%以上であれば、前記第三の溶剤の含有量(W3)を4質量%以上とすることで、ポリ塩化ビニルフィルムからなる記録媒体上に形成した画像は良好な耐擦性を有する。また、水性インク組成物中の前記第一の溶剤の含有量(W1)が6質量%であれば、前記第三の溶剤の含有量(W3)を5質量%以上とすることで、ポリ塩化ビニルフィルムからなる記録媒体上に形成した画像はさらに良好な耐擦性を示す。
また、水性インク組成物中の前記第二の溶剤の含有量(W2)が3質量%以上であれば、前記第三の溶剤の含有量(W3)を4質量%以上とすることで、ポリ塩化ビニルフィルムからなる記録媒体上に形成した画像は滲みの少ない良好な画質を得ることができる。
また、水性インク組成物中の前記第三の溶剤の含有量(W3)が20質量%以下であれば、印刷物の加熱工程で発生する溶剤臭を十分少なくすることができるとともに、記録媒体のポリ塩化ビニルフィルムを完全に溶解せしめることはなく、インクにより形成される固化物を記録媒体に付着または浸透させる効果のみが得られる。また、水性インク組成物中の前記第三の溶剤の含有量(W3)が15質量%以下であれば、加熱工程において発生する溶剤臭をいっそう低減させることができる。一方、水性インク組成物中の前記第三の溶剤の含有量(W3)が20質量%を超えると、ポリ塩化ビニルからなる記録媒体の表面を過剰に溶解するため、記録物が変形する或いは皺が発生する等の不具合が起こる。さらに、水性インク組成物中の前記第三の溶剤の含有量(W3)が20質量%を超えると、加熱工程で短時間に溶剤が揮発して溶剤臭が増えるため好ましくない。
1.2.2.着色剤
本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、水不溶性の着色剤を含有する。水不溶性の着色剤としては、水不溶性の染料または顔料が挙げられるが、顔料であることが好ましい。顔料は、水に不溶あるいは難溶であるだけでなく、光やガス等に対しても退色しにくい性質を有している。このため、顔料を用いたインク組成物で印刷した記録物は、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となるからである。
水性インク組成物は、水系インクジェット記録用インク組成物において従来から使用されている任意の顔料を含むことができる。顔料としては、例えば、インクジェット記録用インク組成物において従来から使用されている有機顔料または無機顔料を用いることができる。
無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄や、コンタクト法、ファーネスト法、またはサーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを利用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ベリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、または酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、またはアニリンブラックなどを利用することができる。これらの顔料のうち、水との親和性が良好な顔料を用いるのが好ましい。
より具体的には、黒色インク用顔料として、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、若しくはチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、若しくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を挙げることができる。
好適なカーボンブラックの具体例としては、三菱化学株式会社製のカーボンブラックとして、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等が挙げられる。デグサ社製のカーボンブラックとして、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等が挙げられる。コロンビアカーボン社製のカーボンブラックとして、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等が挙げられる。キャボット社製のカーボンブラックとして、キャボット社製のリガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、400、エルフテックス12等が挙げられる。
カラーインク用顔料としてはC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、151、154、155、180、185、213;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38;またはC.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63;等を使用することができる。
顔料の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径として、好ましくは25μm以下、より好ましくは2μm以下である。平均粒径が25μm以下の顔料を用いることにより、目詰まりの発生を抑制することができ、一層充分な吐出安定性を実現することができる。
顔料の含有量は、インク組成物全体に対して、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1.0〜10.0質量%である。
上記の顔料は、水性インク組成物中でより安定的に分散保持されやすくするために、各種の方法を適用することができる。その方法としては、たとえば、水溶性樹脂を用いて分散させる方法、界面活性剤を用いて分散させる方法、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、分散および/または溶解可能とする方法等が挙げられる。本実施形態に係る印刷方法に使用される水性インク組成物には、前記のいずれの方法も用いることができ、必要に応じて各方法を組み合わせた形態で用いることもできる。特に、水溶性樹脂により顔料が水性インク中に分散される方法では、水性インク記録物が記録媒体に付着したときに、記録媒体とインク組成物、および/または、インク組成物中の固化物間の密着性を高めることがあり好ましい。
顔料の分散に使用できる水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
上記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。これら塩基性化合物の添加量は、上記水溶性樹脂の中和当量以上であれば特に制限はない。
上記顔料の分散に使用できる水溶性樹脂の分子量は、重量平均分子量として1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、3,000〜10,000の範囲であることがより好ましい。分子量が上記範囲であることにより、着色剤の水中での安定的な分散が得られ、また水性インク組成物に適用した際の粘度制御等がしやすい。また、酸価としては50〜300の範囲であることが好ましく、70〜150の範囲であることがより好ましい。酸価がこの範囲であることにより、着色剤粒子の水中での分散性が安定的に確保でき、またこれを用いた水性インク組成物にて印刷された印刷物の耐水性が良好である。
以上述べた顔料の分散に使用できる水溶性樹脂としては、市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
顔料を分散させるために用いることができる界面活性剤としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
顔料の分散に使用できる上記水溶性樹脂または上記界面活性剤の顔料に対する添加量は、顔料1質量%に対して好ましくは1質量%〜100質量%であり、より好ましくは5質量%〜50質量%である。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が確保できる。
顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、分散および/または溶解可能とする方法としては、顔料に親水性官能基として、−OM、−COOM、−CO−、−SO3M、−SO2NH2、−RSO2M、−PO3HM、−PO32、−SO2NHCOR、−NH3、−NR3(但し、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。)等を導入する方法が挙げられる。これらの官能基は、顔料粒子表面に直接および/または他の基を介してグラフトされることによって、物理的および/または化学的に導入される。多価の基としては、炭素数が1〜12のアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフチレン基等を挙げることができる。
また、前記の表面処理方法としては、硫黄を含む処理剤によりその顔料粒子表面に−SO3Mおよび/または−RSO2M(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを示す。)が化学結合するように表面処理されたもの、すなわち、前記顔料が、活性プロトンを持たず、スルホン酸との反応性を有せず、顔料が不溶ないしは難溶である溶剤中に、顔料を分散させ、次いでアミド硫酸、又は三酸化硫黄と第三アミンとの錯体によりその粒子表面に−SO3Mおよび/または−RSO2Mが化学結合するように表面処理され、水に分散および/または溶解が可能なものとされたものであることがより好ましい。
前記官能基またはその塩を顔料粒子の表面に直接または多価の基を介してグラフトさせる表面処理手段としては、種々の公知の表面処理手段を適用することができる。例えば、市販の酸化カーボンブラックにオゾンや次亜塩素酸ソーダ溶液を作用し、カーボンブラックをさらに酸化処理してその表面をより親水化処理する手段(例えば、特開平7−258578号公報、特開平8−3498号公報、特開平10−120958号公報、特開平10−195331号公報、特開平10−237349号公報)、カーボンブラックを3−アミノ−N−アルキル置換ピリジウムブロマイドで処理する手段(例えば、特開平10−195360号公報、特開平10−330665号公報)、有機顔料が不溶又は難溶である溶剤中に有機顔料を分散させ、スルホン化剤により顔料粒子表面にスルホン基を導入する手段(例えば、特開平8−283596号公報、特開平10−110110号公報、特開平10−110111号公報)、三酸化硫黄と錯体を形成する塩基性溶剤中に有機顔料を分散させ、三酸化硫黄を添加することにより有機顔料の表面を処理し、スルホン基又はスルホンアミノ基を導入する手段(例えば、特開平10−110114号公報)等が挙げられるが、本発明で用いられる表面処理顔料のための作製手段はこれらの手段に限定されるものではない。
一つの顔料粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類及びその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、及びインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
顔料を水中に分散させる方法としては、樹脂分散剤については顔料と水と水溶性樹脂、界面活性剤については顔料と水と界面活性剤、表面処理された顔料については該顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶剤・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行なうことができる。この場合、顔料の粒径としては、前記の通り平均粒径として、好ましくは25μm以下、より好ましくは2μm以下になるまで分散することが、顔料の水中での分散安定性を確保する点で好ましい。
1.2.3.熱可塑性樹脂粒子
本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、水不溶性の熱可塑性樹脂粒子を含有する。熱可塑性樹脂粒子は、前記記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して、該記録媒体上に吐出された前記水性インク組成物が乾燥する工程で、インクを固化させ、さらにインク固化物を記録媒体上に強固に定着させる作用を有する。この作用により樹脂粒子を含有する水性インク組成物で記録された記録物は、インク非吸収性の記録媒体上で耐擦性に優れる。
熱可塑性樹脂粒子は、水性インク組成物中に完全に溶解するように添加されていてもよく、粒子として分散している状態即ちエマルジョン状態またはサスペンジョン状態となるような粒子として含有されていてもよい。本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、エマルジョン状態またはサスペンジョン状態の樹脂粒子で含有されることが好ましい。エマルジョン状態またはサスペンジョン状態の樹脂粒子を含有することにより、水性インク組成物の粘度を本実施形態に係るインクジェット記録方法における適正な範囲に容易に調整することができるため、保存安定性や吐出安定性を確保しやすい。
熱可塑性樹脂粒子の成分としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。熱可塑性樹脂粒子として好ましくは、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂である。
上記の熱可塑性樹脂粒子としては、公知の材料・方法で得られるものを用いることもできる。例えば、特公昭62−1426号公報、特開平3−56573号公報、特開平3−79678号公報、特開平3−160068号公報、特開平4−18462号公報等に記載のものを用いてもよい。また、市販品を用いることもでき、例えば、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
1.2.4.界面活性剤
本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、界面活性剤を含有する。界面活性剤は、前記記録媒体上でインクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有する。
界面活性剤として好ましくは、シリコン系界面活性剤が挙げられる。シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。また、市販品を用いることでき、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
1.2.5.水
本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、水を含有する。水は、水性インク組成物の主となる媒体であり、上述した乾燥工程において蒸発飛散する成分である。
水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液およびこれを用いた水性インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
1.2.6.その他の含有成分
本実施形態に係るインクジェット記録方法で使用する水性インク組成物は、さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化等を含有することができる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
1.2.7.物性
本実施の形態に係るインクジェット記録方法に用いる水性インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上6mPa・s以下である。水性インク組成物の20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから水性インク組成物の液滴が適量吐出され、液滴の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。水性インク組成物の粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、水性インク組成物の温度を20℃に保持することで測定できる。
2.実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
2.1.水性インク組成物の調製
2.1.1顔料分散液の調製
本実施例で用いる水性インク組成物は、着色剤として水不溶性の顔料を使用した。顔料を水性インク組成物に添加する際には、あらかじめ該顔料を水溶性樹脂で分散させた。
顔料分散液は、以下のようにして調製した。まず、30%アンモニア水溶液(中和剤)0.6質量部を溶解させたイオン交換水84.4質量部に、水溶性樹脂として3.0質量部のスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量:25,000、酸価:180)を加えて溶解させた。そこに、下記顔料12質量部を加えてジルコニアビーズにて10時間分散処理をおこなった。その後、遠心分離機による遠心ろ過を行って、粗大粒子やごみ等の不純物を除去し、顔料濃度が12質量%になるように調製した。以下に、顔料分散液の製造に使用した顔料種を示す。
C.I.ピグメントブラック7(ブラック顔料分散液に使用)
C.I.ピグメントイエロー74(イエロー顔料分散液に使用)
C.I.ピグメントレッド122(マゼンタ顔料分散液に使用)
C.I.ピグメントブルー15:3(シアン顔料分散液に使用)
2.2.水性インク組成物およびインクセットの調製
上記の「2.1.1顔料分散液の調製」で調製した顔料分散液をもちいて、表1、表2に示す材料組成にて、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の水性インク組成物を調製して1組のインクセットとし、異なる組成を有するインクセット実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例9からを得た。各水性インク組成物は、上記顔料分散液と表1、表2に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて1時間攪拌混合した後、孔径5μmのメンブレンフィルターにてろ過して粗大粒子やごみ等の不純物を除去することにより調製した。なお、表1、表2中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は、各水性インク組成物の合計が100質量%になるように調製した。
Figure 0005454284
Figure 0005454284
表1、表2において、界面活性剤は、シリコン系界面活性剤「BYK−348」(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を用いた。
2.3.評価試験
2.3.1.速乾性の評価
(1)記録物の作成
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の一部を改造して、紙案内部に温度が可変できるヒーターを取り付けて、画像の記録時に記録媒体を加熱調整できるようにした。
2.2インク組成物で調製した実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例9のシアンインクを前記インクジェットプリンターにそれぞれ充填した。記録媒体としてポリ塩化ビニル製であるプラスチックフィルム「LLSP EX113」(桜井株式会社製)を用い、ベタパターンを記録した。ベタパターン画像は、縦720dpi、横720dpiの解像度で、dutyが50%となるように形成した。
記録物は、前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が50℃となる様にし、記録直後記録媒体を50℃の恒温槽内に静置して、1分間乾燥し作成した。
(2)記録物の評価
得られた記録物の速乾性について、乾燥を終えて恒温槽内から記録物を取り出し、取り出し直後、指で記録部分を触って、以下の評価基準で判定した。表1、表2に評価結果を速乾性として示す。
○:指へのインクの付着なし。
△:記録物表面のべたつきが残るが、指へのインク付着はなく、べたつきは実使用上許容できる。
×:指へのインクの付着あり。
2.3.2.耐擦性の評価
(1)記録物の作成
2.3.1で用いたインクジェットプリンターに、2.2インク組成物で調製した実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例9のシアンインクを前記インクジェットプリンターにそれぞれ充填した。記録媒体としてポリ塩化ビニル製であるプラスチックフィルム「LLSP EX113」(桜井株式会社製)を用い、ベタパターンを記録した。ベタパターン画像は、縦720dpi、横720dpiの解像度で、dutyが60%となるように形成した。
記録物は、前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が50℃となる様にし、記録直後記録媒体を50℃の恒温槽内に静置して、1分間乾燥し作成した。
(2)記録物の評価方法
得られた記録物を20℃で16時間保った後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製を用いて、荷重500g,摩擦回数10回の条件で、摩擦用白綿布を取り付けた摩擦子と記録物とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察した。以下の評価基準で判定した。表1、表2に評価結果を耐擦性として示す。
○:10回擦ってもキズがない。
△:10回擦って表面に擦る跡が残るが、下地が露出するキズがなく、擦り跡は実使用上許容できる。
×:10回擦って下地が露出するキズがある。
2.3.3.画質の評価
(1)記録物の作成
2.3.1で用いたインクジェットプリンターに、2.2インク組成物で調製した実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例9のインクセットのブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各4色を前記インクジェットプリンターにそれぞれ充填した。記録媒体としてポリ塩化ビニル製であるプラスチックフィルム「LLSP EX113」(桜井株式会社製)を用い、ベタパターンを記録した。ベタパターン画像は、縦720dpi、横720dpiの解像度で、dutyが100%となるように形成した。
記録物は、前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が50℃となる様にし、記録直後記録媒体を50℃の恒温槽内に静置して、1分間乾燥し作成した。
(2)記録物の評価方法
得られた記録物について、各色の他色との接触部分の滲みを観察し、以下の評価基準で判定した。表1、表2に評価結果を画質として示す。
○:各色間で滲みなし。
△:他色との接触部分でわずかな曲がりが発生する部分はあるが、滲みではないため実使用上問題ない。
×:各色間で滲みあり。
表1に記載の実施例1〜実施例16の水性インク組成物は、速乾性の評価結果からいずれも良好な速乾性を有することが確認できた。また、耐擦性の評価結果からポリ塩化ビニル系フィルムからなる記録媒体に記録された画像の表面にキズがつき難く、耐擦性に優れていることが示された。また、画質の評価結果からポリ塩化ビニル系フィルムからなる記録媒体に記録された画像に滲みがないまたは実使用上問題のない滲みしか発生しないことが確認された。
表1に記載する第三の溶剤の含有量(W3)が15質量%の実施例12および実施例16の水性インク組成物は、加熱印刷時に溶剤の臭いは感じられなかった。一方、表1に記載する第三の溶剤の含有量(W3)が20質量%の実施例13の水性インク組成物は、加熱印刷時にわずかに溶剤臭がする場合があったが、実使用上問題とならない程度であった。
表2に記載の比較例1の水性インク組成物は、第二の溶剤の含有量(W2)が8質量%を超えているため、速乾性の優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例2の水性インク組成物は、第一の溶剤の含有量(W1)が4質量%未満であるため、耐擦性の優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例3の水性インク組成物は、第三の溶剤の含有量(W3)が4質量%未満であるため、耐擦性に優れず、また滲みが多くなり画質が優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例4の水性インク組成物は、第一の溶剤の含有量(W1)が15質量%を超えていて、第二の溶剤の含有量(W2)が3質量%未満であるため、速乾性が優れず、また滲みが多くなり画質が優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例5の水性インク組成物は、第一の溶剤の含有量(W1)が15質量%を超えているため、速乾性の優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例6の水性インク組成物は、第二の溶剤の含有量(W2)が3質量%未満であるため、滲みが多くなり画質が優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例7の水性インク組成物は、第一の溶剤と第二の溶剤の合計(W1+W2)が18質量%を超えているため、速乾性の優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例8の水性インク組成物は、第三の溶剤の含有量(W3)が4質量%未満であるため、滲みが多くなり画質が優れない記録物を形成した。
表2に記載の比較例9の水性インク組成物は、第一の溶剤の含有量(W1)が4質量%未満であり、第三の溶剤の含有量(W3)が4質量%未満であるため、耐擦性に優れず、また滲みが多くなり画質が優れない記録物を形成した。
2.3.4.加熱温度評価
2.3.1で用いたインクジェットプリンターに、2.2インク組成物で調製した実施例10のインクセットのブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色を前記インクジェットプリンターに充填した。記録媒体としてポリ塩化ビニル製であるプラスチックフィルム「LLSP EX113」(桜井株式会社製)を用い、ベタパターンを記録した。ベタパターン画像は、各色が隣接するように配置して縦720dpi、横720dpiの解像度で、dutyが100%となるように形成した。
前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が40℃となる様にし、記録直後記録媒体を40℃の恒温槽内に静置して、1分間乾燥し作成した。また、前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が60℃となる様にし、記録直後記録媒体を60℃の恒温槽内に静置して、1分間乾燥し作成した。
得られた記録物は、いずれの加熱温度においても表1記載の実施例10の画質評価結果と同様に隣接色同士の境界部にわずかな曲がりが発生する部分はあるが、滲みではないため、実用上問題ではないと判定した。
一方、前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が35℃となる様にし、記録直後記録媒体を35℃の恒温槽内に静置して、1分間乾燥し作成した。
得られた記録物は表1記載の実施例10の画質評価結果と異なり隣接色同士の境界部に明らかな滲みが発生していた。
また、前記インクジェットプリンターを用いて、紙案内部のヒーターを調整して記録時に記録媒体が70℃3なる様にした場合、記録媒体が軟化して搬送が困難となり、正常な印刷ができなかった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (6)

  1. インクジェット記録装置によって、ポリ塩化ビニル系フィルムからなる記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して水性インク組成物の液滴を吐出する第一の工程と、
    前記記録媒体を40℃以上60℃以下の温度範囲に加熱して、該記録媒体上に吐出された前記水性インク組成物を乾燥させる第二の工程と、
    を含むインクジェット記録方法であって、
    前記水性インク組成物は、水と少なくとも一種の水不溶性の着色剤と、水不溶性の熱可塑性樹脂粒子と、界面活性剤と、
    2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素から選択される少なくとも一種からなる第一の溶剤と、
    1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−ペンタンジオールから選択される少なくとも一種からなる第二の溶剤と、
    沸点が150℃以上220℃以下のグリコールジエーテル類から選択される少なくとも一種の第三の溶剤とを含有し、
    前記水性インク組成物中における前記第一の溶剤の含有量(W1)が4〜15質量%であり、
    前記水性インク組成物中における前記第二の溶剤の含有量(W2)が3〜8質量%であり、
    前記第一の溶剤と前記第二の溶剤の含有量の合計(W1+W2)が18質量%以下であり、
    前記水性インク組成物中における前記第三の溶剤の含有量(W3)が4〜20質量%であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録方法おいて、
    前記第三の溶剤であるグリコールジエーテル類が、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法において、
    前記水不溶性の着色剤は顔料であり、水溶性樹脂で水性インク組成物中に分散されていることを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法において、
    前記水不溶性の熱可塑性樹脂粒子が、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法において、
    前記界面活性剤がシリコン系界面活性剤であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法において、
    前記記録媒体を加熱する処理は、ヒーターまたは温風により行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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