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JP2009113494A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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JP2009113494A
JP2009113494A JP2008321883A JP2008321883A JP2009113494A JP 2009113494 A JP2009113494 A JP 2009113494A JP 2008321883 A JP2008321883 A JP 2008321883A JP 2008321883 A JP2008321883 A JP 2008321883A JP 2009113494 A JP2009113494 A JP 2009113494A
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JP
Japan
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ink composition
water
recording method
surfactant
inkjet recording
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Withdrawn
Application number
JP2008321883A
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English (en)
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Hiroshi Mukai
啓 向井
Katsuko Aoki
克子 青木
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に対して水性インクで特に50
%以上の高Dutyで印刷した際のインクの凝集や混色ブリーディングを改善し、速乾性
を向上させたインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に、水性インク
組成物の液滴を吐出させ、被記録面に付着させて印刷を行う記録方法であって、前記水性
インク組成物として、着色剤、0.1重量%〜1.5重量%のシリコン系界面活性剤、ア
セチレングリコール系界面活性剤、ピロリドン誘導体、熱可塑性樹脂、及び水を少なくと
も含有する水性インク組成物を用い、被記録面に付着させた前記水性インク組成物を40
℃以上に加熱するインクジェット記録方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体(いわゆるノンコートプラ
スチックメディア等)に対して水性インクで特に50%以上の高Dutyで印刷した際の
画質等の効果を改善させたインクジェット記録方法、詳しくは、印刷物のインクの凝集ム
ラや混色ブリーディングを改善し、速乾性を向上させたインクジェット記録方法に関する
従来、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に対する印刷物の画質等の効果
を改善させる目的で、種々の技術が提案されている。
例えば、特開2004−114691号公報では、良好な耐水堅牢性、耐光堅牢性、耐
摩耗性、未処理のビニル系誘導体などの非吸収性基材に対する良好な接着性を提供するイ
ンクジェットインクの提供を目的として、少なくとも1種のハロゲン化ビニルモノマーを
含有しているポリマーラテックス等を含む水性インクジェットインク組成物を含んでなる
インクジェットインク組成物を使用して、加熱工程を伴って、インクジェット記録要素上
に印刷する工程等を含むインクジェット印刷方法が提案されている(特許文献1)。
また、特開2004−176057号公報では、疎水性表面上の印刷に適した水性イン
クジェットインク組成物の提供を目的として、−40℃から150℃のガラス転移温度(
Tg)を有する水性エマルジョンポリマー;顔料;および水溶性表面剤を含む、疎水性表
面上の印刷に適した水性インクジェットインク組成物が提案されている(特許文献2)。
かかるインク組成物を用いた際の付着性および画像品質におけるさらなる利点は、典型
的には、画像滴が表面上に噴射される前に表面が予熱される場合に生じる。
また、特開2004−250659号公報では、熱硬化性樹脂を使用したインクをメデ
ィアに印刷する方法が開示されている(特許文献3)。
また、特開2006−22328号公報では、a)i)水性ビヒクル;ii)自己分散
顔料;iii)シリコーン含有界面活性剤;iv)−40℃〜150℃のガラス転移温度
(Tg)を有するポリマーを含む水性インクジェットインク組成物を疎水性表面上に噴射
する工程、およびb)水性インクジェットインク組成物を乾燥させる工程、を含む、疎水
性基体上に画像を印刷する方法において、表面および/またはその上に表された画像を乾
燥工程前に加熱する工程をさらに含む方法が開示されている(特許文献4)。
しかし、これら特許文献1〜4に開示の技術では、印字画像の画質が改善されないとい
う課題がある。
さらに、特開平10−279871号公報では、インク滴の誤った方向への噴射とノズ
ル故障が低減され、高解像度、高速度において高印刷品質を与えるインク組成物とその印
刷方法の提供を目的として、1,2−アルキルジオール、ポリオルガノシロキサン湿潤剤
、及び2−ピロリドンを含むインク組成物が開示されている(特許文献5)。しかし、こ
のインク組成物では、インク吸収層を持たないプラスチックメディアには対応していない
特開2004−114691号公報 特開2004−176057号公報 特開2004−250659号公報 特開2006−22328号公報 特開平10−279871号公報
そこで、本発明は、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に対して水性イン
クで特に50%以上の高Dutyで印刷した際のインクの凝集ムラや混色ブリーディング
を改善し、速乾性を向上させたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明者は、下記発明を提供することにより、前記目的を達成したものである。
1.被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に、水性インク組成物の液滴を吐
出させ、被記録面に付着させて印刷を行う記録方法であって、前記水性インク組成物とし
て、着色剤、0.1重量%〜1.5重量%のシリコン系界面活性剤、アセチレングリコー
ル系界面活性剤、ピロリドン誘導体、熱可塑性樹脂、及び水を少なくとも含有する水性イ
ンク組成物を用い、被記録面に付着させた前記水性インク組成物を40℃以上に加熱する
インクジェット記録方法。
2.前記シリコン系界面活性剤がポリシロキサン系化合物であり、前記アセチレングリ
コール系界面活性剤が3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールであり、かつ
、前記ピロリドン誘導体がN−メチルピロリドンである、前記1記載のインクジェット記
録方法。
3.前記水性インク組成物における、前記シリコン系界面活性剤と前記アセチレングリ
コール系界面活性剤との添加量の重量比(前者:後者)が、1:100〜15:10であ
る、前記1又は2記載のインクジェット記録方法。
4.前記水性インク組成物における、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記熱
可塑性樹脂との添加量の重量比(前者:後者)が、1:3〜5:3である、前記1〜3の
何れかに記載のインクジェット記録方法。
5.前記水性インク組成物における、前記ピロリドン誘導体の添加量が4.0重量%〜
25.0重量%である、前記1〜4の何れかに記載のインクジェット記録方法。
6.前記着色剤が、顔料であって、顔料が水性インク組成物中に分散されてなる、前記
1〜5の何れかに記載のインクジェット記録方法。
7.前記水性インク組成物が低表面張力有機溶剤をさらに含んでなる、前記1〜6の何
れかに記載のインクジェット記録方法。
8.前記低表面張力有機溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、または、
トリエチレングリコールモノブチルエーテルである、前記7に記載のインクジェット記録
方法。
9.前記水性インク組成物が湿潤剤をさらに含んでなる、前記1〜8のいずれかに記載
に記載のインクジェット記録方法。
10.前記加熱処理を、ヒーター加熱または温風乾燥により行う、前記1〜9のいずれ
かに記載に記載のインクジェット記録方法。
11.前記1〜10の何れかに記載のインクジェット記録方法を用いて画像が形成され
てなる記録物。
本発明によれば、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に対して水性インク
で特に50%以上の高Dutyで印刷した際のインクの凝集ムラや混色ブリーディングを
改善し、速乾性を向上させたインクジェット記録方法を提供することができる。また、か
かる記録方法により、高画質で、優れた耐擦性を備えた記録物が得られる。
以下に本発明に係るインクジェット記録方法について、その好ましい実施態様に基づき
説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体
に、水性インク組成物の液滴を吐出させ、被記録面に付着させて印刷を行う記録方法であ
って、前記水性インク組成物として、着色剤、0.1重量%〜1.5重量%のシリコン系
界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ピロリドン誘導体、熱可塑性樹脂、及
び水を少なくとも含有する水性インク組成物を用い、被記録面に付着させた前記水性イン
ク組成物を40℃以上に加熱する方法である。
本発明は、かかる構成からなるため、前記の効果を達成できる。すなわち、被記録面が
プラスチックフィルムである記録媒体に対して特に50%以上の高Dutyで水性インク
で印刷した際のインクの凝集や混色ブリーディングを抑制した印刷が可能となる。そのた
め、発色が鮮やかなプラスチックメディア印刷物等、高画質で、優れた耐擦性を備えた記
録物を得ることができる。
インクジェット記録方法
本発明によるインクジェット記録方法は、前記したように、被記録面がプラスチックフ
ィルムである記録媒体に、水性インク組成物の液滴を吐出させ、被記録面に付着させて印
刷を行うものである。この際、50%以上の高Dutyで印刷する場合が、効果に優れる
点で好ましい。
また、本発明の記録方法は、前記したように、被記録面に付着させた前記水性インク組
成物を40℃以上に加熱する。かかる加熱により、印刷後の記録媒体上の水性インク組成
物中の水分を蒸発させ、水性インク組成物の乾燥を促進させるとともに、水性インク組成
物中の熱可塑性樹脂による皮膜(樹脂皮膜)を形成させることができる。
加熱温度は、好ましくは40〜60℃である。加熱温度が60℃を超えると、記録媒体
の被記録面に用いられるプラスチックフィルムの種類によっては軟化や変形により記録媒
体の搬送が困難になったり、加熱後の収縮等が起こる。このため、印刷時の加熱温度の上
限は、60℃とすることが好ましい。
この操作の過程で、水性インク組成物に含まれる水を含む溶媒を蒸発させることができ
るので、プラスチックと、形成される樹脂被膜との密着性もより強固にできると考えられ
る。ここで加熱手段は、慣用の加熱手段、例えば、赤外線式加熱装置や熱風加熱装置など
の公知の加熱装置を用いて、常法にしたがって行うことができる。本発明においては、加
熱工程の加熱処理は、好ましくは、ヒーター加熱または温風乾燥により実施することがで
きる。また、加熱温度以外の加熱条件は、水性インク組成物に含まれる樹脂が、加熱によ
って樹脂被膜を形成することができるような条件であればいずれであってもよく、樹脂粒
子の種類などを考慮して適宜設定することができる。例えば、ヒーター加熱または温風乾
燥による場合には、加熱時間は、1分間〜1日間(好ましくは3分間〜18時間)の条件
で行うことができる。
また、予め加熱した記録媒体をプリンタに送り、その記録媒体上に水性インク組成物を
印刷する方法や、プリンタの印刷部分の記録媒体を支える部分(プラテン)にヒーターを
組み込む等して、印刷しながら記録媒体上の水性インク組成物を加熱する方法、及びこれ
らを組み合わせた方法等を採用することもできる。
被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体には、インクジェット印刷用の表面処
理を施していない(例えば、インク吸収層を持たない)プラスチックフィルム、記録媒体
自体がプラスチックフィルムの他に、紙等の慣用の記録媒体基材上にプラスチックコーテ
ィングされてなるものや、該基材上にプラスチックフィルムが接着されてなるもの等も包
含される。また、ここで、プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、塩化ビ
ニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ
ウレタン等が挙げられる。
水性インク組成物
本発明の記録方法に用いられる水性インク組成物は、前記したように、着色剤、0.1
重量%〜1.5重量%のシリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ピ
ロリドン誘導体、熱可塑性樹脂、及び水を少なくとも含有する。
本発明に用いられる水性インク組成物は、記録媒体の少なくとも被記録面に用いられる
プラスチックフィルムの状態および素材の種類に応じて、また、インクの乾燥条件に応じ
てプラスチックフィルムを溶解する成分の量を調整するので、インクの塗布量は画像の再
現性に応じて適宜変更することができる。
熱可塑性樹脂は、通常、水性インク組成物中に分散されてなるものである。換言すると
、水性インク組成物は、好ましくは、特定量のシリコン系界面活性剤、アセチレングリコ
ール系界面活性剤、ピロリドン誘導体と、主溶媒である水とを少なくとも含んでなる分散
媒と、この分散媒に分散された熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂が顔料の分散剤としても機能
する場合は、顔料とともに分散された熱可塑性樹脂)からなるものである。ここで、水性
インク組成物中の着色剤は、好ましくは、顔料であり、このとき顔料は水性インク組成物
中に分散されてなる。また、水性インク組成物は、好ましくは、低表面張力有機溶剤をさ
らに含んでなる。また、水性インク組成物は、湿潤剤をさらに含んでなることができる。
シリコン系界面活性剤
本発明においては、印刷後の記録媒体上でインクの凝集ムラやにじみを抑制しつつ、イ
ンクを均一に広げる点から、インク組成物全体に対する含有量が0.1重量%〜1.5重
量%のシリコン系界面活性剤が用いられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例え
ば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。
ポリエーテル変性オルガノシロキサンとしては、下記の式(I)で表される化合物等が
挙げられる。
Figure 2009113494

(上記式中、R1〜R9は、独立して、C1−6アルキル基を表し、jおよびkは、独立
して1以上の整数を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、POはプロピレンオキシ基を
表し、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表し、EOおよ
びPOは、[ ]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであっても
よい。)
特に、印刷後の記録媒体上でインクがはじかれることにより発生する凝集ムラ防止の点
から、j+kが11〜300であることが好ましく、11〜100のものがより好ましく
、11〜50であるものが特に好ましい。
式(1)の化合物は市販されており、それを利用することが可能である。例えば、ビッ
クケミー・ジャパン株式会社より、シリコン系添加剤BYK−306、BYK−307、
BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348等
が利用可能である。
シリコン系界面活性剤の添加量は、本発明の効果を達成すべく、既述のとおり、0.1
重量%〜1.5重量%である。
アセチレン系界面活性剤
本発明においては、シリコン系界面活性剤との組み合わせで印刷後の記録媒体上でのイ
ンクの凝集やにじみを抑制する作用から、アセチレン系界面活性剤が用いられる。
アセチレン系界面活性剤としては、下記の式(i)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2009113494

(ここで、R11、R12、R13、およびR14はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル
基を表し、nおよびmはそれらの和が0〜30となる整数である)で表されるアセチレン
グリコール系界面活性剤、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7
−ジオール(例えば、Air Products and Chemicals. Inc.社製のサーフィノール104)
、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール(例えば、Air Products and Che
micals. Inc.社製のサーフィノール82)、これらアセチレングリコール類の誘導体(例
えば、Air Products and Chemicals. Inc.社製のサーフィノール465、485など)な
どがある。
アセチレン系界面活性剤の具体例としては、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6
−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及びそれら
にエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドを付加した界面活性剤等が挙げられ
、中でも水に対する溶解度が高くインクへの添加量の制限が少ない点と、常温固体である
ため熱可塑性樹脂が硬化した後に印刷物がべたつくことの防止の点で、3,6−ジメチル
−4−オクチン−3,6−ジオールが好ましい。
アセチレン系界面活性剤の添加量は、例えば、インク組成物全量に対して0.5〜15
.0重量%、好ましくは、1.0〜10.0重量%である。
前述したシリコン系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤との添加量の重量
比(前者:後者)は、インクの凝集ムラや混色ブリーディング抑制の点から、1:100
〜15:10であることが好ましい。
ピロリドン誘導体
水性インク組成物には、印字後の記録媒体上でシリコン系界面活性剤及びアセチレング
リコール系界面活性剤によるインクの広がりと後述の熱硬化性樹脂の固化とのバランスを
考慮して、ピロリドン誘導体をさらに加えることができる。
ピロリドン誘導体の具体例としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、
N−ビニルピロリドン、2−ピロリドン等が挙げられ、中でも速乾性と熱可塑性樹脂の皮
膜化促進の点で、N−メチルピロリドンが好ましい。
ピロリドン誘導体の添加量は、インク組成物全量に対して、好ましくは2.0重量%〜
25.0重量%、さらに好ましくは4.0〜25.0重量%である。
熱可塑性樹脂
水性インク組成物は、揮発性の低いシリコン系界面活性剤を含むインクを固化させる点
から、熱可塑性樹脂を含んでなる。この熱可塑性樹脂は、水性インク組成物中に分散され
てなる。熱可塑性樹脂として、水性インク組成物の媒体に可溶の樹脂、または不溶の樹脂
を使用することができる。水性インク組成物の媒体に可溶の樹脂は、前述の顔料を分散す
るのに使用する樹脂分散剤を好適に使用することができる。また、水性インク組成物の媒
体に不溶の樹脂は、樹脂粒子を樹脂エマルジョンの形態で水性インク組成物に添加するこ
とが好ましい。ここで樹脂エマルジョンは、連続相である水と分散相である樹脂成分(熱
可塑性樹脂成分)とからなる。
本発明の好ましい態様によれば、熱可塑性樹脂は、親水性部分と、疎水性部分とを合わ
せもつ重合体であるのが好ましい。熱可塑性樹脂として樹脂エマルジョンを使用する場合
、その粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、好ましくは150nm
程度以下、より好ましくは5〜100nm程度である。
熱可塑性樹脂としては、インクジェット記録用インク組成物において従来から使用され
ている分散剤樹脂または樹脂エマルジョンと同様の樹脂成分を使用することができる。熱
可塑性樹脂として、具体的には、アクリル系重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル若
しくはその共重合体、ポリメタクリル酸エステル若しくはその共重合体、ポリアクリロニ
トリル若しくはその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアク
リル酸、またはポリメタクリル酸;ポリオレフィン系重合体、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン若しくはそれらの共重合体
、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、またはテルペン樹脂;酢酸ビニル・ビニルアルコ
ール系重合体、例えば、ポリ酢酸ビニル若しくはその共重合体、ポリビニルアルコール、
ポリビニルアセタール、またはポリビニルエーテル;含ハロゲン系重合体、例えば、ポリ
塩化ビニル若しくはその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、またはフッ素ゴム
;含窒素ビニル系重合体、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン若し
くはその共重合体、ポリビニルピリジン、またはポリビニルイミダゾール;ジエン系重合
体、例えば、ポリブタジエン若しくはその共重合体、ポリクロロプレン、またはポリイソ
プレン(ブチルゴム);あるいはその他の開環重合型樹脂、縮合重合型樹脂、または天然
高分子樹脂等を用いることができる。
熱可塑性樹脂をエマルジョンの状態で得る場合には、樹脂粒子を場合により界面活性剤
と共に水に混合することによって調製することができる。例えば、アクリル系樹脂または
スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルの
樹脂又はスチレン−(メタ)アクリル酸エステルの樹脂と、場合により(メタ)アクリル
酸樹脂と、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面
活性剤との混合の割合は、通常50:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の
使用量が前記範囲に満たない場合には、エマルジョンが形成されにくく、また前記範囲を
越える場合には、インクの耐水性が低下したり、密着性が悪化する傾向があるので好まし
くない。
ここで使用する界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としては、アニオン系界
面活性剤(例えば、ドデシルベンザンスルホン酸ナトリウム、ラウルリル酸ナトリウム、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系
界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキル
アミドなど)を挙げることができ、これらは二種以上を混合して用いることができる。
また熱可塑性樹脂のエマルジョンは、上記した樹脂成分の単量体を、重合触媒および乳
化剤を存在させた水中において乳化重合させることによっても得ることができる。乳化重
合の際に使用される重合開始剤、乳化剤、分子量調整剤は常法に準じて使用できる。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合に用いられるものと同様のものが用いられ、
例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリ
ル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチ
ルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシド等が挙げられる。重合
反応を水中で行う場合には、水溶性の重合開始剤が好ましい。乳化剤としては、例えば、
ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤または両
性界面活性剤として用いられているもの、およびこれらの混合物が挙げられる。これらは
2種以上混合して使用することができる。
分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水を好ましくは6
0〜400重量部、より好ましくは100〜200重量部の範囲が適当である。
熱可塑性樹脂として、樹脂エマルジョンを使用する場合、公知の樹脂エマルジョンを用
いることも可能である。例えば特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特開
平3−79678号、特開平3−160068号、または特開平4−18462号各公報
などに記載の樹脂エマルジョンをそのまま用いることができる。また、市販の樹脂エマル
ジョンを利用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ペイント株式会社製)、ボンコート40
01(アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5
454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、
SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ゼオン株式会社製)、ま
たはサイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン;サイデン化学株式会社製
)などを挙げることができる。
本発明において、熱可塑性樹脂は、微粒子粉末として水性インク組成物中の他の成分と
混合されても良いが、樹脂微粒子を水媒体に分散させて、樹脂エマルジョンの形態とした
後、水性インク組成物の他の成分と混合することが好ましい。
水性インク組成物の長期保存安定性、吐出安定性の観点から、本発明に好ましい樹脂微
粒子の粒径は5〜400nmの範囲であり、より好ましくは50〜200nmの範囲であ
る。
熱可塑性樹脂は、水性インク組成物全量に対して、固形分換算で0.1〜15.0重量
%の範囲で含まれることが好ましく、0.5〜10.0重量%の範囲で含まれることがよ
り好ましい。水性インク組成物において、樹脂成分が少なすぎると、プラスチック表面に
形成されるインク被膜が薄くなり、プラスチック表面との密着性が不充分になることがあ
る。樹脂成分が多すぎると、インク組成物の保存中に樹脂の分散が不安定になったり、わ
ずかな水分の蒸発で樹脂成分が凝集固化して均一な被膜が形成できなくなることがある。
熱可塑性樹脂の添加量は、前述したアセチレングリコール系界面活性剤と熱可塑性樹脂
との添加量の重量比(前者:後者)が、1:3〜5:3となるようにすることが、プラス
チックフィルムへの密着性の点で好ましい。
着色剤
本発明に用いられる水性インク組成物は着色剤を含んでなる。ここで着色剤としては、
染料、または、顔料が挙げられる。本発明においては、着色剤は顔料が好ましい。
染料としては、特にその種類を限定することなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、
塩基性染料が使用できる。
着色剤として顔料を使用する場合、水性インク組成物は、水系インクジェット記録用イ
ンク組成物において従来から使用されている任意の顔料を含むことができる。顔料として
は、例えば、インクジェット記録用インク組成物において従来から使用されている有機顔
料または無機顔料を用いることができる。顔料は、水溶性樹脂や界面活性剤等の分散剤と
ともに分散した樹脂分散顔料、または顔料表面に親水性基を導入し分散剤の使用なしで水
系媒体に分散もしくは溶解可能とした表面処理顔料として、インク組成物に添加すること
ができる。なお、顔料を樹脂分散剤で分散する場合、後述する熱可塑性樹脂を分散剤とし
て使用してもよい。また、顔料は2種以上を組合せて用いてもよい。
無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄や、コンタクト法、ファーネスト法、また
はサーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを利用することがで
きる。
有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、
またはキレートアゾ顔料)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、
ベリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジ
ゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料)、染料キレート(例えば、塩
基性染料型キレート、または酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、または
アニリンブラックなどを利用することができる。これらの顔料のうち、水との親和性が良
好な顔料を用いるのが好ましい。
より具体的には、黒色インク用顔料として、例えば、ファーネスブラック、ランプブラ
ック、アセチレンブラック、若しくはチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I
.ピグメントブラック7)類、または銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック
11)、若しくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラッ
ク1)等の有機顔料を挙げることができる。
好適なカーボンブラックの具体例としては、三菱化学株式会社製のカーボンブラックと
して、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、
No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等が挙げられる
。デグサ社製のカーボンブラックとして、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、F
W18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、14
0U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等が挙げられる。コロンビアカーボ
ン社製のカーボンブラックとして、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750
、5250、5000、3500、1255、700等が挙げられる。キャボット社製の
カーボンブラックとして、キャボット社製のリガール400R、330R、660R、モ
グルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1
400、エルフテックス12等が挙げられる。
カラーインク用顔料としてはC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、
3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、3
7、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、9
5、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、
138、153、154;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリ
リアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド
2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネン
トレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、5
2:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63
:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら
)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(
キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、
177、178、179、185、190、193、209、219;C.I.ピグメン
トバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド
)、23、38;またはC.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー
R)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6
(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63;等を使用することが
できる。
顔料の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径として、好ましくは25μm
以下、より好ましくは1μm以下である。平均粒径が25μm以下の顔料を用いることに
より、目詰まりの発生を抑制することができ、一層充分な吐出安定性を実現することがで
きる。
顔料の含有量は、インク組成物全体に対して、好ましくは0.5〜15重量%、より好
ましくは1.0〜10.0重量%である。
低表面張力有機溶剤
水性インク組成物は、必要に応じて、低表面張力有機溶剤を含んでなることができる。
低表面張力有機溶剤の例としては、1価アルコール、または多価アルコール誘導体が挙げ
られる。
1価アルコールとしては、特に炭素数1〜4の1価アルコール、例えば、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、またはn−ブタノールなどを用いる
ことができる。
多価アルコール誘導体としては、特には、炭素数2〜6の2価〜5価アルコールと炭素
数1〜4の低級アルコールとの完全または部分エーテルを用いることができる。ここで多
価アルコール誘導体とは、少なくとも1個のヒドロキシル基がエーテル化されたアルコー
ル誘導体であり、エーテル化されたヒドロキシル基を含まない多価アルコールそれ自体を
意味するものではない。前記のエーテルとして好ましい多価アルコール低級アルキルエー
テルは、一般式(ii):
21O−〔CH2−CH(R23)−O〕t−R22 (ii)
[式中、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数3〜6のアルキ
ル基(好ましくはブチル基)であり、R23は水素原子または炭素数1〜4の低級アルキル
基、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基であり、tは1〜8、好ましくは1〜
4の整数であるが、但し、R21およびR22の少なくとも一方は炭素数3〜6のアルキル基
(好ましくはブチル基)である]で表される化合物である。
これらの多価アルコール低級アルキルエーテルの具体例としては、例えば、モノ、ジ若
しくはトリエチレングリコール−モノ若しくはジ−アルキルエーテル、モノ、ジ若しくは
トリプロピレングリコール−モノ若しくはジ−アルキルエーテルが挙げられ、好ましくは
トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル
、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエー
テル、またはプロピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。
低表面張力有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
低表面張力有機溶剤の含有量は、例えば、インク組成物全量に対して0〜10.0重量
%、好ましくは、2.0〜8.0重量%である。
水性インク組成物の諸物性は適宜制御することができるが、本発明の好ましい態様によ
れば、水性インク組成物の粘度は、好ましくは25mPa・秒以下、より好ましくは10
mPa・秒以下(25℃)である。粘度がこの範囲内にあると、水性インク組成物をイン
ク吐出ヘッドから安定に吐出させることができる。また、水性インク組成物は適宜制御す
ることができ、好ましくは表面張力は、20.0〜40.0mN/m(25℃)範囲程度
であり、より好ましくは25.0〜35.0mN/m範囲程度である。
湿潤剤
水性インク組成物には、水性インク組成物の保管および塗布時の扱い易さを考慮して、
必要に応じて、前述したピロリドン誘導体以外の湿潤剤をさらに加えることができる。湿
潤剤を含むことによって、水分蒸発による樹脂成分の凝集固化を防止でき、インクジェッ
ト塗布時にインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止し、吐出安定性を確保するこ
とができる。
湿潤剤としては、例えば、水溶性多価アルコール類、特には、炭素数2〜10の2価〜
5価アルコール類;含窒素炭化水素溶媒、例えば、ホルムアミド類、イミダゾリジノン類
、あるいはアミン類;含硫黄炭化水素溶媒を挙げることができる。これらは、2種以上組
み合わせて用いてもよい。
水溶性多価アルコールとしては、例えば、炭素数3〜10の2価〜3価アルコール、例
えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール
の1種またはそれ以上を組合せて用いることができる。
湿潤剤の含有量は、例えば、水性インク組成物全量に対して0〜20.0重量%、好ま
しくは、1.0〜10.0重量%である。このような範囲とすることによって、目詰まり
防止性、または吐出安定性を確保することができる。含有量が多すぎると乾燥不良となる
ことがある。
主溶媒
水性インク組成物は、前述したように、主溶媒としての水を含んでなる。
ここで使用される水としては、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イ
オン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができ
る。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インク組
成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適であ
る。
他の成分
水性インク組成物は、上記した各成分を含むことにより、所望の効果を実現できるもの
であるが、必要に応じて、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、ノズ
ルの目詰まり防止剤などをさらに含むことができる。
pH調整剤としては、例えばリン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二ナトリウム等が
挙げられる。防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノ
ールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリ
ウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社の
プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキ
セルTN)などが挙げられる。さらに、溶解助剤、または酸化防止剤の例としては、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン
類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無
機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムな
ど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、
あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類
、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウ
レット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびそ
の塩を挙げることができる。更にノズル乾燥防止の目的で、尿素、チオ尿素、またはエチ
レン尿素等を添加することができる。
水性インク組成物の製造
本発明に用いられる水性インク組成物は、前記の各配合成分を個別に、または顔料分散
剤や樹脂エマルジョンの形態を経て、任意の順序で適宜混合し、溶解(または分散)させ
た後、必要に応じて不純物などを濾過して除去することにより、調製することができる。
本発明の一つの好ましい態様によれば、水性インク組成物において、シリコン系界面活
性剤がポリシロキサン系化合物であり、アセチレングリコール系界面活性剤が3,6−ジ
メチル−4−オクチン−3,6−ジオールであり、かつ、ピロリドン誘導体がN−メチル
ピロリドンであることが好ましい。このような組み合わせの水性インク組成物を用いるこ
とにより、50%以上の高Dutyで印刷した高画質の印刷物を得ることができる。
本発明の別の態様によれば、本発明によるインクジェット記録方法によって印刷された
、記録物が提供される。
以下に、本発明の実施例および試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本
発明はかかる実施例により何等制限されるものではない。
〔インクの調製〕
以下に示す組成1〜6のインク組成物を調製した。
組成1 組成2 組成3 組成4 組成5 組成6
顔料 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0
顔料分散熱可塑性樹脂 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0
熱可塑性樹脂エマルジョン 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0
シリコン系界面活性剤 0.1 1.5 0.5 0.05 1.5 1.5
アセチレングリコール系界面活性剤 10.0 1.0 5.0 10.0 − −
トリエチレングリコール − − − − 4.0
N−メチルピロリドン 25.0 25.0 25.0 25.0 25.0 25.0
水 54.9 62.5 59.5 55.0 63.5 59.5
(配合量単位は、「重量%」を示す。)
なお、組成1〜3のインク組成物はそれぞれ実施例1〜3として40℃以上に加熱する
本発明の記録方法および比較例4〜6として40℃未満で加熱する比較例の記録方法に使
用するものであり、組成4〜6のインク組成物はそれぞれ比較例1〜3および比較例7〜
9として比較例の記録方法に使用するものである。
それぞれの組成について、下記の顔料を含む、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラ
ックインク組成物(4種)を用いて、本発明に係る実施例に供した。
C.I.ピグメントブルー15:3(C:シアンインク組成物)
C.I.ピグメントヴァイオレット19(M:マゼンタインク組成物)
C.I.ピグメントイエロー74(Y:イエローインク組成物)
C.I.ピグメントブラック7(K:ブラックインク組成物)
また、各インク組成物中のシリコン系界面活性剤は、BYK−348(商品名、ビック
ケミー・ジャパン(株)製のポリエーテル変性オルガノシロキサン)を使用した。
また、アクリル系分散樹脂及びアクリル系エマルジョンの詳細は、以下の通りである。
・顔料分散剤熱可塑性樹脂:スチレン−アクリル酸共重合体(分子量1000〜1000
0、酸価100〜300)
・熱可塑性樹脂エマルジョン:アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(分子量10
00〜10000、ガラス転移温度10℃〜100℃)
〔印刷1〕
被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体としてのラミーコーポレーション社製
コールドラミネートフィルムPG−50L(PETメディア)に、前記で調製した組成1
〜6のインク組成物のそれぞれについて、C,M,Y,Kの4色を充填した、インクジェ
ットプリンタ(PX−G900;セイコーエプソン株式会社製)を用いて、シートフィー
ダー部にセットした記録媒体をドライヤーで70℃に加熱して印刷時に記録媒体が45℃
となる様にし、その直後に、表1及び2に示す40%〜100%の各Dutyでそれぞれ
2色が接触しているパターンを横1440dpi、縦1440dpiの解像度で印刷した
ここで、Dutyとは、横1440dpi、縦1440dpiの場合、1平方インチを
横1440分割、縦1440分割した計2073600分割のうち、何%にインクドット
を配置したかをいう。
〔印刷物の評価〕
得られた各印刷物について、以下の滲み及び凝集の評価を行った。その結果を表1及び
2に示す。
1.滲み:印刷パターンの2色が接する部分における滲みの発生の有無(滲みが発生し
ない○,発生する×)を各Dutyで調べ、下記基準に従って評価した。
評価基準
A;Duty60%まで○であり、このDutyまでプリーディング無く印刷が可能。
B:Duty50%まで○であり、このDutyまでプリーディング無く印刷が可能。
C;Duty40%まで○であり、このDutyまでプリーディング無く印刷が可能。
D;Duty40%以上が×であり、Duty40%の印刷でブリーディングが発生す
る。
2.凝集:単色ベタ部における濃淡のムラの発生の有無(ムラが発生しない○,発生す
る×)を各Dutyで調べ、下記基準に従って評価した。
評価基準
A;Duty70%まで○であり、このDutyまで凝集ムラ無く印刷が可能。
B:Duty60%まで○であり、このDutyまで凝集ムラ無く印刷が可能。
C;Duty50%まで○であり、このDutyまで凝集ムラ無く印刷が可能。
D;Duty50%以上が×であり、Duty50%の印刷で凝集ムラが発生する。
Figure 2009113494
Figure 2009113494
〔印刷2及び印刷物の評価〕
シートフィーダー部にセットした記録媒体をドライヤーで60℃に加熱して印刷時に記
録媒体が35℃となる様にした以外は、印刷1と同様にして、表3及び4に示す40%〜
100%の各Dutyでそれぞれ2色が接触しているパターンを横1440dpi、縦1
440dpiの解像度で印刷した。そして、得られた各印刷物について、印刷1の場合と
同様の評価を行った。その結果を表3及び4に示す。
Figure 2009113494
Figure 2009113494
本発明は、被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に対して水性インクで特に
50%以上の高Dutyで印刷した際のインクの凝集や混色ブリーディングを改善し、速
乾性を向上させたインクジェット記録方法、及び該記録方法による高画質で、優れた耐擦
性を備えた記録物として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (11)

  1. 被記録面がプラスチックフィルムである記録媒体に、水性インク組成物の液滴を吐出さ
    せ、被記録面に付着させて印刷を行う記録方法であって、
    前記水性インク組成物として、着色剤、0.1重量%〜1.5重量%のシリコン系界面
    活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ピロリドン誘導体、熱可塑性樹脂、及び水
    を少なくとも含有する水性インク組成物を用い、
    被記録面に付着させた前記水性インク組成物を40℃以上に加熱するインクジェット記
    録方法。
  2. 前記シリコン系界面活性剤がポリシロキサン系化合物であり、前記アセチレングリコー
    ル系界面活性剤が3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールであり、かつ、前
    記ピロリドン誘導体がN−メチルピロリドンである、請求項1記載のインクジェット記録
    方法。
  3. 前記水性インク組成物における、前記シリコン系界面活性剤と前記アセチレングリコー
    ル系界面活性剤との添加量の重量比(前者:後者)が、1:100〜15:10である、
    請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水性インク組成物における、前記アセチレングリコール系界面活性剤と前記熱可塑
    性樹脂との添加量の重量比(前者:後者)が、1:3〜5:3である、請求項1〜3の何
    れかに記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記水性インク組成物における、前記ピロリドン誘導体の添加量が4.0重量%〜25
    .0重量%である、請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記着色剤が、顔料であって、顔料が水性インク組成物中に分散されてなる、請求項1
    〜5の何れかに記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記水性インク組成物が低表面張力有機溶剤をさらに含んでなる、請求項1〜6の何れ
    かに記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記低表面張力有機溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、または、トリ
    エチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項7に記載のインクジェット記録方
    法。
  9. 前記水性インク組成物が湿潤剤をさらに含んでなる、請求項1〜8のいずれかに記載に
    記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記加熱処理を、ヒーター加熱または温風乾燥により行う、請求項1〜9のいずれかに
    記載に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載のインクジェット記録方法を用いて画像が形成されてな
    る記録物。
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