本発明の一実施形態に係る紙葉類集積繰出装置について図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る紙葉類集積繰出装置は、紙葉類として紙幣を取り扱う紙幣入出金機の一時貯留部や金種別の集積部に用いられるものであって、従来の箱状空間内に紙幣を集積貯留し、最下もしくは最上のものから一枚ずつ繰り出すといった紙葉類集積繰出装置に代わるものである。なお、本実施形態に係る紙葉類集積繰出装置は、金種により大きさが大きく異なる外国紙幣を取り扱うものであり、紙幣をその長辺方向を搬送方向に沿わせて搬送し集積させるものであるが、当然に、紙葉類集積繰出装置の左右方向の幅を拡げることによって、紙幣をその短辺方向を搬送方向に沿わせて搬送し集積することもできる。
図1に示すように、本実施形態に係る紙葉類集積繰出装置11は、前後方向に沿って鉛直に配置される平板状の側板12と、側板12の左右方向一側にこれと平行に設けられる平板状の支持板13とを有しており、これらの間に駆動系スペース14が形成されている。側板12および支持板13は、左右方向に延在する複数の連結ピン15によって連結されている。
また、紙葉類集積繰出装置11は、図2に示すように、支持板13の側板12とは反対に、複数の平板状の側板17,18,19がそれぞれ支持板13と平行をなして設けられており、支持板13と複数の側板17〜19との間に集積スペース20が形成されている。ここで、側板18および側板19は、上下に並んで側板17よりも支持板13側に配置されている。外側の側板17は、左右方向に延在する複数の連結ピン21等によって支持板13に連結されている。また、内側かつ上側の側板18は、左右方向に延在する複数の連結ピン22等によって側板12に連結されており、内側かつ下側の側板19は、左右方向に延在する連結ピン23等によって側板12に連結されている。
図3に示すように、この紙葉類集積繰出装置11が配置された紙幣入出金機の本体25には、上下に並んで水平配置される一対のガイド板26,26が紙葉類集積繰出装置11に近接して設けられており、これらガイド板26,26の間に紙幣Sを案内する搬送路27が形成されている。そして、ガイド板26,26の上下には、搬送路27内に突出して搬送路27内の紙幣Sを紙葉類集積繰出装置11に向け搬送する一対の搬送ローラ28,28が左右方向に軸線を配して設けられている。
上記の搬送路27に対向して、この搬送路27との間で紙幣Sの受け入れおよび受け渡しが行われる入出口31が前後方向に延在するように設けられている。この入出口31は、図2に示すように、紙葉類集積繰出装置11の集積スペース20に配置されている。この入出口31は、図3に示すように、上下に並んで略水平に配置されることで、間に搬送路27からの紙幣Sを通す通路32を形成する板状のセパレートガイド部材(集積分離ガイド部材)33および板状の下側ガイド部材34を有している。また、入出口31は、図1および図2に示すように、左右方向に軸線を配して上側に設けられた2個の上ローラ35,35と、左右方向に軸線を配して下側に設けられた下ローラ36とを有している。これら上ローラ35,35および下ローラ36は、図3に示すように、通路32内に突出しており、通路32内で互いに当接可能となっている。
下側ガイド部材34は、その上面が、水平に配置される平坦な主案内面部40を主体としており、主案内面部40よりも外側(搬送路27側)に外端側ほど下側に位置するように傾斜する傾斜案内面部41が形成されている。また、主案内面部40よりも内側(搬送路27とは反対側)にも内端側ほど下側に位置するように傾斜する傾斜面部42が形成されている。下側ガイド部材34は、その側板17側が締結ピン43により側板17に固定されており、図5に示すように、支持板13側も締結ピン44により支持板13に固定されている。
図1に示すように、セパレートガイド部材33は、内側ほど幅が狭くなる平面視略等脚台形状をなす主板部46を有しており、この主板部46の幅の広い側には、上方に突出する左右一対の支持突起47,47が形成されている。セパレートガイド部材33は、これら支持突起47,47がこれらを貫通する左右方向に沿う支持ピン48に固定されており、支持ピン48の両端部が側板17と支持板13とに連結されている。また、セパレートガイド部材33は、その主板部46の支持突起47,47とは反対側を貫通する支持ピン49にも固定されており、この支持ピン49の両端部も側板17と支持板13とに連結されている。これにより、セパレートガイド部材33は、紙葉類集積繰出装置11内に固定されて設けられている。
図3に示すように、セパレートガイド部材33の主板部46の外側かつ下側には、外端側ほど上側に位置するように傾斜する傾斜案内面部52が、下側ガイド部材34の傾斜案内面部41と水平方向の位置を合わせて形成されている。これらの傾斜案内面部41,52によって、通路32が外部の搬送路27側ほど広く開口する形状となり、折り癖やカール癖等のある紙幣Sが搬送路27側から搬送されてきても円滑に通路32内に導入するようになっている。
図1に示すように、セパレートガイド部材33の主板部46の支持突起47,47とは反対側かつ上側には、左右方向の両側に、支持突起47,47から離れるほど下側に位置するように傾斜する一対の切欠面部53,53が形成されており、これら切欠面部53,53の間には、切欠面部53,53よりも支持突起47,47とは反対側かつ上側に突出する突条部54が形成されている。ここで、主板部46の切欠面部53,53を除く主上面部55は、図3に示すように突条部54側ほど上側に位置するように若干傾斜しており、突条部54まで連続している。そして、突条部54には、主上面部55の支持突起47,47とは反対側の端部から支持突起47,47から離れるほど下側に位置するように傾斜する湾曲形状の逃面部56が形成されており、突条部54の支持突起47,47とは反対の先端部には、逃面部56の先端部よりも上側に突出する分離先端部57が形成されている。
この分離先端部57は、逃面部56から離れるほど上側に位置するように傾斜する基端上面部58と、この基端上面部58の逃面部56とは反対側から基端上面部58から離れるほど下側に位置するように傾斜する接触面部59と、接触面部59の下側にあって先端側ほど上側に位置するように傾斜する分離案内面部60とを有している。ここで、接触面部59と分離案内面部60とは、左右方向から見て先細の鋭角をなしている。また、分離案内面部60と傾斜案内面部52との間の主板部46の下面は、水平に配置される平坦な中間案内面部61となっている。なお、分離先端部57を含む突条部54は左右方向に一定の幅を有している。また、中間案内面部61は、下側ガイド部材34の主案内面部40に対して、水平方向の位置を重ね合わせて上下に対向している。
ここで、図1および図2に示すように、セパレートガイド部材33の各支持突起47,47と主板部46との境界位置にはそれぞれベアリング65,65が設けられており、これらベアリング65,65に左右方向に沿う支持軸66が回転可能に支持されている。2個の上ローラ35,35は、この支持軸66に軸線方向に離間して固定されており、それぞれが、主板部46に形成された開口穴67,67に挿入されて図3に示すように通路32内に突出している。
図1および図2に示すように、側板17と支持板13とには一対のベアリング70,70が設けられており、これらベアリング70,70に左右方向に沿う支持軸71が回転可能に支持されている。下ローラ36は、この支持軸71に固定されており、下側ガイド部材34の傾斜案内面部41側に形成された切欠部72を介して図3に示すように通路32内に突出している。なお、図1および図2に示すように、2個の上ローラ35,35は、下ローラ36の軸方向両端部に左右方向の位置を合わせている。下ローラ36を支持する支持軸71は支持板13よりも側板12側に突出しており、その端部には、回転検知円板75が固定されている。側板12には、回転検知円板75の図3に示すスリット74を検知することで回転検知円板75の回転つまり下ローラ36の回転を検知する回転検知センサ76が、図1に示すようにステー77を介して固定されている。
なお、側板17と支持板13とは、上記した連結ピン21に加えて、下側ガイド部材34、支持ピン48,49および支持軸71によっても連結されている。
集積スペース20における入出口31の奥方には、下ローラ36と平行つまり略水平に回転軸80が配置されており、この回転軸80には、同軸をなして紙葉類集積用ドラム81が固定されている。
つまり、図1および図2に示すように、左右両側の側板12および側板17には、互いに対向するように、上下方向および前後方向の同位置に上下方向に長い側面視長方形状の一対のガイド空間83,83が形成されており、これらガイド空間83,83には、それぞれの前後両側の上下方向に延在するガイド縁部(ガイド)84,84に沿って昇降可能な側面視略正方形状の一対の支持部材85,85が設けられている。これらの支持部材85,85は、図4に示すように、それぞれの前後両側に、ガイド縁部84,84を左右方向両側から挟むことによりガイド縁部84,84に沿って摺動可能となるガイド溝部86,86が上下方向に延在形成されている。
一対の支持部材85,85は、それぞれが、前後両側のガイド溝部86,86に前後両側のガイド縁部84,84を嵌合させることにより、左右方向および前後方向の移動が規制されて上下方向にのみ直線的に移動可能となっている。図1および図2に示すように、左右の支持部材85,85には一対のベアリング88,88が設けられており、これらベアリング88,88に、上記した紙葉類集積用ドラム81の回転軸80が回転可能に軸支されている。これにより、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80をベアリング88,88を介して回転可能に支持する支持部材85,85が、回転軸80の軸直交方向である上下方向に摺動可能となっており、その結果、紙葉類集積用ドラム81も、その軸直交方向である上下方向に移動可能となっている。なお、側板12と側板17とは、回転軸80、ベアリング88,88および支持部材85,85によって連結されている。ここで、回転軸80は左右方向に沿う水平姿勢を維持したまま上下に移動する。
図1に示すように、中間の支持板13には、回転軸80の昇降を許容するための上下方向に長い逃穴91が形成されており、支持板13の逃穴91の集積スペース20側には、回転軸80を回転可能に支持するガイド部材92が昇降可能に設けられている。つまり、このガイド部材92には、図5に示すように回転軸80の前後両側に上下方向に長い一対の長穴93,93が形成されており、これらの長穴93,93が支持板13に固定された一対のガイドピン94,94で案内されることで昇降する。これにより、回転軸80つまり紙葉類集積用ドラム81は昇降時に、両側板12,17に加えて中間の支持板13にも支持され案内されて昇降する。
図1および図2に示すように、一対の支持部材85,85には、それぞれの上部に左右方向外側に延出するフランジ95,95が形成されている。そして、一方の支持部材85とこれが配置されたガイド空間83とには、支持部材85の上部に一端側が係止され、ガイド空間83を形成する上側の上縁部に他端側が係止されて圧縮コイルバネ(付勢部材)96が介装されており、他方の支持部材85とこれが配置されたガイド空間83とにも、同様の圧縮コイルバネ96が介装されている。なお、支持部材85の上部におけるフランジ部95の基端側には、上方に突出する図示略の突起が形成されており、ガイド空間83を形成する上側の上縁部には下方に突出する図示略の突起が形成されていて、これらの突起を両端の内側に挿入して圧縮コイルバネが保持される。これら一対の圧縮コイルバネ96,96は、一対の支持部材85,85つまりこれに両端が支持された回転軸80および紙葉類集積用ドラム81を下向きに押圧する。また、回転軸80の側板12と支持板13との間位置、つまり駆動系スペース14に配置される部分には、プーリ97が固定されている。
集積スペース20における紙葉類集積用ドラム81よりも奥側(入出口31とは反対側)には、紙葉類集積用ドラム81と平行な回転軸100が配置されており、この回転軸100には同軸をなして、紙葉類集積用ドラム81よりも軸長が短いテープ巻戻用ドラム101が固定されている。
つまり、両側の側板12および側板18には、一対のベアリング102,102が上下方向および前後方向の位置を合わせて設けられており、これらベアリング102,102に、上記したテープ巻戻用ドラム101の回転軸100が左右方向に沿って回転可能に支持されている。これにより、側板12と側板18とは、上記した連結ピン22に加えて回転軸100およびベアリング102,102によっても連結されている。また、回転軸100の側板12と支持板13との間位置、つまり駆動系スペース14に配置される部分には、プーリ103が固定されている。
上記した紙葉類集積用ドラム81とテープ巻戻用ドラム101とには一定幅のテープTが架け渡されている。つまり、テープTは、紙葉類集積用ドラム81の外周面に図示せぬ取付部材によって一端が固定されるとともにテープ巻戻用ドラム101の外周面に図示せぬ取付部材によって他端が固定されており、紙葉類集積用ドラム81に適宜の方向に巻き付け可能とされ、テープ巻戻用ドラム101にも適宜の方向に巻き付け可能とされている。
テープTは、図3に示すように、紙葉類集積用ドラム81に巻き付けられてその下部から下ローラ36の方向に延出することになり、この下ローラ36に掛けられている。そして、テープTは、下ローラ36に掛けられた後に延在方向を略反転して、図2に示す奥側のローラ104の下側に掛けられ、このローラ104によって上方向に進路が変えられてテープ巻戻用ドラム101に向け延在する。このテープ巻戻用ドラム101に巻き付けられたテープTは、テープ巻戻用ドラム101の入出口31側から下方のローラ104に向け延出する。下側のローラ104は、左右方向に沿う姿勢で奥方下側の側板19と支持板13とに支持された支持軸105に回転可能に支持されている。
ここで、図3に示すように、テープTにおける紙葉類集積用ドラム81への巻付直前の領域であり、紙葉類集積用ドラム81からの繰り出し直後の領域である、紙葉類集積用ドラム81と下ローラ36とを結ぶ入出領域Taは、セパレートガイド部材33と下側ガイド部材34との間、つまり通路32内に配置されており、入出口31の通路32の延在方向に沿って水平に配置されている。なお、入出領域Taは、これに沿うセパレートガイド部材33の中間案内面部61との距離が、中間案内面部61に平行な下側ガイド部材34の主案内面部40との距離よりも短くなっている。
図1に示すように、テープTは下ローラ36の軸方向の中央位置に掛けられており、2個の上ローラ35,35は、下ローラ36のテープTよりも外側部分に当接可能となっている。
図3に示すように、紙葉類集積用ドラム81の鉛直下方には、回転軸106aを中心に回転する位置固定で回転可能な当接ローラ106が回転軸106aを介して下側ガイド部材34に支持されて紙葉類集積用ドラム81と平行に設けられている。この当接ローラ106は紙葉類集積用ドラム81を下側から支持するもので、紙葉類集積用ドラム81にテープTが巻き付けられていない状態では、紙葉類集積用ドラム81の下端に下側から当接し、紙葉類集積用ドラム81にテープTが巻き付けられた状態では、テープTの紙葉類集積用ドラム81へ巻き付けられた巻付領域Tbの最外径部分の下端に下側から当接する。なお、テープTは、紙葉類集積用ドラム81の軸方向中央位置に掛けられており、当接ローラ106は、紙葉類集積用ドラム81のドラム軸線方向において、テープTの幅方向の中央に当接し、一定幅のテープTの幅方向の内側に収まる幅を有する。
テープTは、上記のように紙葉類集積用ドラム81の軸方向中央位置に掛けられており、セパレートガイド部材33は、図3に示すように、その先端の分離先端部57の接触面部59が、テープTが紙葉類集積用ドラム81に巻き付けられていない状態では紙葉類集積用ドラム81の外周面に、テープTが紙葉類集積用ドラム81に巻き付けられた状態ではテープTの紙葉類集積用ドラム81へ巻き付けられた巻付領域Tbにおける入出領域Taに対向する外周面に、それぞれ下側から当接可能に設けられている。言い換えれば、セパレートガイド部材33は、その先端の分離先端部57が入出領域Taとこれに対向する巻付領域Tbとの間の略鋭角形状の空間に配置されている。なお、分離先端部57を含む突条部54は、紙葉類集積用ドラム81のドラム軸線方向において、テープTの幅方向の中央に当接し、一定幅のテープTの幅方向の内側に収まる幅を有する。
ここで、紙葉類集積用ドラム81がテープTを巻き取る方向(図3における時計回り方向)に回転しテープ巻戻用ドラム101がテープTを繰り出す方向に回転する巻き取り動作中は、搬送路27から通路32内つまりセパレートガイド部材33と下側ガイド部材34との間の通路32内に紙幣Sが導入されると、紙幣Sは、下側がテープTの入出領域Taと下側ガイド部材34とで支持され、上側がセパレートガイド部材33で案内されて、テープTとともに、テープTに連れ回りする下ローラ36の駆動力で紙葉類集積用ドラム81側に移動する。そして、テープTの入出領域Taの紙幣Sと一緒に移動する部分が、紙葉類集積用ドラム81に既に巻き付いている巻付領域Tbの外周面と重なり合う際に、紙幣Sは、テープTのこれらの間に挟まれて紙葉類集積用ドラム81側に巻き付けられることになる。搬送路27から順次一枚ずつ送り込まれる紙幣Sがこのようにして紙葉類集積用ドラム81にテープTとともに順次巻き付けられて紙葉類集積用ドラム81に集積されることになる。
また、この状態から、テープ巻戻用ドラム101がテープTを巻き取る方向に回転し紙葉類集積用ドラム81がテープTを繰り出す方向(図3における反時計回り方向)に回転する巻き戻し動作中は、テープTの巻付領域Tbから離れて入出領域Taとなる部分に重なっていた紙幣Sがセパレートガイド部材33で巻付領域Tbから離れるように案内されて下側がテープTの入出領域Taと下側ガイド部材34とで支持され、上側がセパレートガイド部材33で案内されて、テープTとともに搬送路27側に移動する。このようにして、紙幣Sが紙葉類集積用ドラム81から搬送路27に一枚ずつ繰り出される。なお、紙葉類集積用ドラム81は、長手方向を搬送方向に沿わせた姿勢で搬送される紙幣Sの最も大きなものの短辺の長さよりもやや大きい軸長を有している。
ここで、紙葉類集積用ドラム81の鉛直下側に、紙葉類集積用ドラム81あるいはこれに巻き付けられたテープTの巻付領域Tbの最外径部分に常に当接する当接ローラ106が設けられており、回転軸80が昇降可能となっていることから、テープTおよび紙幣Sの紙葉類集積用ドラム81への巻付量に応じて、紙葉類集積用ドラム81の最外径が変化すると、最外径部分に当接する当接ローラ106を基準として、紙葉類集積用ドラム81の中心つまり回転軸80が昇降する。つまり、紙葉類集積用ドラム81は、テープTを巻き戻しエンド位置まで繰り出し、その外周面において当接ローラ106に直接当接する最も下側の基準位置(図6参照)を下限とし、紙葉類集積用ドラム81に紙幣SとともにテープTを巻き取りエンド位置まで巻き付けた状態となる最も上側の上限位置(図7参照)を上限として、昇降する。
なお、紙葉類集積用ドラム81がテープTの巻付量に追従して移動可能となるように、当接ローラ106の紙葉類集積用ドラム81あるいはテープTの巻付領域Tbへの接触位置と紙葉類集積用ドラム81の中心とを結んだ線に対して紙葉類集積用ドラム81の移動方向が常に、上記した180度の場合を含む鈍角をなすように設定するのが好ましい。また、セパレートガイド部材33は、紙葉類集積用ドラム81にテープTが巻き付けられていない状態では分離先端部57の接触面部59の少なくとも先端を紙葉類集積用ドラム81に接触させる一方、紙葉類集積用ドラム81のテープTの巻付量の変化によってテープTの巻付領域Tbの最外径部分の曲率に変化が生じた場合に、これに応じて弾性変形し、その場合も紙葉類集積用ドラム81のテープTの巻付領域Tbの最外径部分に接触面部59の少なくとも先端を常に当接させるようになっている。また、分離先端部57は、分離案内面部60が、紙葉類集積用ドラム81あるいはテープTの巻付領域Tbの接触面部59に接触する部分と常に鋭角をなすように角度が設定されている。また、セパレートガイド部材33の逃面部56は、テープTの巻付領域Tbが最大になった状態、言い換えれば、紙葉類集積用ドラム81に紙幣SとともにテープTを巻き取りエンド位置まで集積しきった状態(図7参照)においても、巻付領域Tbを接触させないように湾曲している。
図3に示すように、下側ガイド部材34は、その幅が紙葉類集積用ドラム81の軸長にほぼ等しくなっており、紙葉類集積用ドラム81の下端位置よりも奥側(搬送路27とは反対側)まで延在している。下側ガイド部材34の直下には、図3および図5に示すように、一対の補助ローラ107,107が支持軸108,108を介して回動可能に設けられている。支持軸108,108が下側ガイド部材34に支持されており、補助ローラ107,107は、下側ガイド部材34を貫通し通路32内に突出して紙葉類集積用ドラム81の下端部近傍に当接可能となるように設けられている。なお、上記した当接ローラ106は、これら補助ローラ107,107の間位置に設けられている。
これらの補助ローラ107,107は、紙葉類集積用ドラム81の軸線方向におけるテープTの両外側位置に当接可能に設けられており、搬送路27から離れるほど互いに離間するようにテープTの延在方向に対して傾斜して平面視ハの字状に配置されている。これにより、補助ローラ107,107は、テープTとともに紙葉類集積用ドラム81に巻き付く紙幣Sを左右方向に押し広げる。なお、補助ローラ107,107は、紙葉類集積用ドラム81がその外周面において当接ローラ106に当接する基準位置にあるとき、紙葉類集積用ドラム81の外周面に当接する位置に配置されている。
なお、図3に示すように、下ローラ36はテープTの接触張力によって回転させられるもの、つまりテープTの走行に連れ回りするもので、上ローラ35,35は下ローラ36あるいはテープTに重ねられて一体に移動する紙幣Sの走行に連れ回りするものである。なお、テープTを案内するための図2に示すローラ104もテープTの接触張力によって回転させられるものであり、図3および図5に示す補助ローラ107,107は紙葉類集積用ドラム81あるいはテープTに重ねられてテープTと一体に移動する紙幣Sの走行に連れ回りするものである。加えて、当接ローラ106は紙葉類集積用ドラム81あるいはテープTの巻付領域Tbに接触して連れ回りするものである。
図1に示すように、上記した集積スペース20におけるテープ巻戻用ドラム101の下側にはモータ111が設けられており、図5に示すように、このモータ111の駆動軸112にはギヤ113が固定されている。このギヤ113は、図1に示すように駆動系スペース14側に配置されている。また、支持板13には、左右方向に沿う回転軸114が回転可能に支持されており、回転軸114の集積スペース20側には、モータ111のギヤ113に噛み合う図5に示すギヤ115が固定されている。さらに、図1に示すように、この回転軸114の駆動系スペース14に配置される部分には、ワンウエイクラッチ付きのギヤ116が取り付けられている。このギヤ116の入出口31側には、左右方向に沿う回転軸118が、図1および図2に示すように、一対のベアリング119,119を介して側板12と奥方下側の側板19とに回転可能に支持されており、回転軸118の駆動系スペース14に配置される部分には、図1に示すように、ギヤ116に噛み合うギヤ120と駆動プーリ121とが固定されている。
そして、この回転軸118と、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80との間位置には、側板12と支持板13とを連結させる左右方向に沿うピン125が設けられており、このピン125の支持板13側に、板状の位置調整部材126が回転可能に支持されている。この位置調整部材126は、ピン125から下方に延出しており、その下部には、駆動系スペース14内において調整プーリ127が左右方向に沿う支持軸128を介して回転可能に支持されている。また、図5に示すように、位置調整部材126の下部と支持板13との間には、引っ張りコイルバネ(バネ部材)130が介装されており、この引っ張りコイルバネ130により、位置調整部材126は、調整プーリ127をテープ巻戻用ドラム101の回転軸100に近接させる方向に付勢されている。
紙葉類集積用ドラム81の回転軸80に固定されたプーリ97と、テープ巻戻用ドラム101の回転軸100に固定されたプーリ103と、調整プーリ127と、駆動プーリ121とは、左右方向の位置を合わせており、これらには、無端の駆動ベルト131が掛けられている。この駆動ベルト131は、プーリ97、プーリ103および駆動プーリ121のそれぞれの外側に掛けられる一方、調整プーリ127の内側に掛けられている。
これにより、モータ111が正回転する巻き取り動作時には、駆動プーリ121が所定の紙幣集積方向(図5における反時計回り方向)に駆動されることになり、駆動ベルト131を介してプーリ97およびプーリ103もこれと同方向に回転することになる。これにより、紙葉類集積用ドラム81およびテープ巻戻用ドラム101も同方向に回転して紙葉類集積用ドラム81でテープTを巻き取りながらテープ巻戻用ドラム101でテープTを繰り出すことになる。他方、モータ111が逆回転する巻き戻し動作時には、駆動プーリ121が所定の紙幣繰出方向(図5における時計回り方向)に駆動されることになり、駆動ベルト131を介してプーリ97およびプーリ103もこれと同方向に回転することになる。これにより、テープ巻戻用ドラム101および紙葉類集積用ドラム81も同方向に回転してテープ巻戻用ドラム101でテープTを巻き取りながら紙葉類集積用ドラム81でテープTを繰り出すことになる。
なお、上記のように紙葉類集積用ドラム81の回転軸80つまりプーリ97が移動可能となっていることから、プーリ97、プーリ103および駆動プーリ121の距離が変化することになるが、この距離の変化に応じて、引っ張りコイルバネ130が、ピン125を中心に位置調整部材126を揺動させ調整プーリ127を移動させながら、駆動ベルト131の張力をその付勢力と常にバランスさせるようになっている。これにより、位置調整部材126、調整プーリ127および引っ張りコイルバネ130は、紙葉類集積用ドラム81の位置にかかわらず駆動ベルト131に常に張力を発生させて弛みをとることになり、駆動ベルト131に常に張力を発生させるテンション機構132を構成している。このテンション機構132は、言い換えれば、僅かずつ増減するプーリ97、プーリ103および駆動プーリ121を連動させるのに必要なベルト長さに対して、駆動ベルト131の実際の全長を変えることなく、調整プーリ127の位置を連動変位させることによって対応する。
次に、本実施形態に係る紙葉類集積繰出装置11の作動を説明する。
紙幣Sの集積時には、図6に示すように、最下の基準位置にある紙葉類集積用ドラム81が、モータ111の正回転の駆動により、所定の紙幣集積方向(図6および図7における時計回り方向)に回転することになってテープTを巻き取ることになり、このとき、テープ巻戻用ドラム101も同方向に回転して、テープTを繰り出すことになる。そして、図3に示すように、外部の搬送路27から一枚ずつ分離された状態で送り込まれてきた紙幣Sは、入出口31の傾斜案内面部41と傾斜案内面部52との間から通路32内に取り入れられ、通路32内で上ローラ35,35および下ローラ36によってその短辺方向の略中央位置がテープTに重ね合わせられて、テープTとともに搬送される。
このとき、紙幣Sは、テープTのこれに重なる部分とともに直線状の入出領域Taを移動する。その際に、紙幣Sは、テープTの入出領域Taと下側ガイド部材34の主に主案内面部40とで下面が案内され、セパレートガイド部材33の主に中間案内面部61で上面が案内されて移動する。そして、紙幣Sは、テープTの入出領域Taとすでに紙葉類集積用ドラム81に巻き付いている巻付領域Tbとの間に入り込む。すると、テープTの新たに巻付領域Tbとなる入出領域Ta側の部分が、それよりも紙葉類集積用ドラム81の中心側にすでに巻き付いているテープTの巻付領域Tbに巻き付くことになり、紙幣Sは、これらの間に挟持される。このようにして、紙幣Sは、順次紙葉類集積用ドラム81にテープTとともに巻き付けられることで紙葉類集積用ドラム81に集積される。このとき、上記したように、セパレートガイド部材33は、その中間案内面部61が、テープTの紙葉類集積用ドラム81への巻付直前の入出領域Taおよび下側ガイド部材34とで紙幣Sを挟んで案内する。
そして、このように基準位置にある紙葉類集積用ドラム81に紙幣Sが順次テープTとともに巻き付けられると、その巻付量に応じてテープTの巻付領域Tbの外径(ドラム径)が次第に大きくなることになるが、この巻付領域Tbの外周面は、その下側が、当接ローラ106に当接していることから、紙葉類集積用ドラム81が当接ローラ106から上方向の力を受けることになる。その結果、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80を支持する支持部材85,85が、テープTの巻付量の増大に連動して、ガイド空間83,83のそれぞれの前後のガイド縁部84,84に沿って上方向に移動して回転軸80を直線移動で圧縮コイルバネ96,96の付勢力に抗して上昇させることになる(図7参照)。このとき、圧縮コイルバネ96,96が支持部材85,85を下方向に常に付勢しているため、紙幣Sのある部分と紙幣Sのない部分とで微小な径差が生じても、テープTの巻付領域Tbが当接ローラ106およびセパレートガイド部材33の接触面部59から離間してしまうことを規制する。また、このとき、セパレートガイド部材33が固定されていることから、そのテープTとの接点は、紙幣Sの保持開始点つまりテープTの入出開始点である入出領域Taと巻付領域Tbとの境界位置に対して、テープTの巻付量に関わらず、ほぼ一定の位置関係を維持することになる。
逆に、紙幣Sの繰り出し時に、テープ巻戻用ドラム101が、所定の紙幣繰出方向(図6および図7における反時計回り方向)に回転することで、テープTのみを一側から巻き取ることになり、このとき、紙葉類集積用ドラム81も同方向に回転して、テープTおよび紙幣Sを繰り出すことになる。これにより、紙葉類集積用ドラム81に集積されていた紙幣Sは、テープTの巻付領域Tbの最外周のこの紙幣Sに外側で重なる部分が紙葉類集積用ドラム81から離れ直線状の入出領域Taに至ると、テープTによるテープTへの押し付けが解除される。すると、この紙幣Sは、紙葉類集積用ドラム81の近傍にあって巻付領域Tbにおける入出領域Taに対向する外周面に接触しているセパレートガイド部材33の分離先端部57の分離案内面部60に乗り上げることで巻付領域Tbから分離されることになり、セパレートガイド部材33の主板部46の分離案内面部60よりも搬送路27側の中間案内面部61と、これに下側で対向する下側ガイド部材34の主案内面部40およびテープTの入出領域Taとで案内されて、テープTの入出領域Taとともに紙葉類集積用ドラム81から離れる方向に移動する。つまり、テープTの紙幣Sを押さえていた部分が入出領域Taに至った際に、この部分で押さえられていた紙幣Sの先端部がテープTの巻付領域Tbに着いたまま移動しようとしても、これを、巻付領域Tbに当接しているセパレートガイド部材33の分離先端部57が、テープTの巻付領域Tbからそぎ取るように分離させる。
そして、セパレートガイド部材33の中間案内面部61と、下側ガイド部材34の主案内面部40およびテープTの入出領域Taとで案内されて移動する紙幣Sは、最後に上ローラ35,35および下ローラ36間から突出する際に、セパレートガイド部材33の傾斜案内面部52と下側ガイド部材34の傾斜案内面部41とで案内されることで、下ローラ36で折り返されるテープTから分離されて、そのまま前方の外部の搬送路27へと繰り出される。
上記のように、紙葉類集積用ドラム81からテープTが紙幣Sとともに繰り出されると、その繰出量に応じてテープTの巻付領域Tbの外径が次第に小さくなることになり、この巻付領域Tbの外周面は、下側が、位置固定の当接ローラ106に当接していることから、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80を支持する支持部材85,85が、テープTの巻付量の減少に連動して、紙葉類集積用ドラム81の自重と圧縮コイルバネ96,96の付勢力とによってガイド空間83,83のそれぞれの前後のガイド縁部84,84に沿って下方向に移動して紙葉類集積用ドラム81を直線移動で基準位置まで下降させることになる。このときも、圧縮コイルバネ96,96が紙葉類集積用ドラム81を下方向に常に付勢しているため、紙幣Sのある部分と紙幣Sのない部分とで微小な径差が生じても、テープTの巻付領域Tbが当接ローラ106およびセパレートガイド部材33の接触面部59から離間してしまうことを規制する。また、このときも、セパレートガイド部材33が固定されていることから、そのテープTとの接点は、紙幣Sの分離開始点つまりテープTの入出開始点である入出領域Taと巻付領域Tbとの境界位置に対して、テープTの巻付量に関わらず、ほぼ一定の位置関係を維持することになる。
以上において、テープTの直線状の入出領域Taは略水平方向に沿っていることから、紙葉類集積用ドラム81は、この入出領域Taの上側において入出領域Taと交差する交差方向、具体的には略直交する方向である上下方向に直線移動する。その結果、側板12および側板17に設けられた一対のガイド空間83,83のそれぞれの前後のガイド縁部84,84が、支持部材85,85を入出領域Taと略直交する交差方向に沿って摺動するように案内することになり、圧縮コイルバネ96,96は、支持部材85,85を下方つまり入出領域Taの方向に付勢する。
上記のように、紙幣Sの集積時および繰出時のいずれにおいても、テープTの紙葉類集積用ドラム81への巻付量に連動して、紙葉類集積用ドラム81は回転を維持した状態で、基準位置および上限位置をそれぞれ限度として、その間を直線移動する。その結果、プーリ97、プーリ103および駆動プーリ121間の距離、つまり紙葉類集積用ドラム81およびテープ巻戻用ドラム101を回転させるベルト長に僅かずつ増減が生じてくる。
具体的には、上記のように、テープTの紙葉類集積用ドラム81への巻付量が増加していくと、これに連動して紙葉類集積用ドラム81は、直線状の入出領域Taに略直交する上方へ押し出されるように上限位置を限度として直線移動し、テープTの紙葉類集積用ドラム81への巻付量が減少していくと、これに連動して紙葉類集積用ドラム81は、直線状の入出領域Taに略直交する下方へ戻るように基準位置を限度として直線移動する。これらの場合において、プーリ97、プーリ103および駆動プーリ121の三つのみを連結するのに必要な最短の必要ベルト長は、基準位置から上限位置まで直線移動する紙葉類集積用ドラム81の変位に応じて僅かずつ減少していき、逆に、上限位置から基準位置まで直線移動する紙葉類集積用ドラム81の変位に応じて僅かずつ増加していくこととなる。
これに対応して、テンション機構132の位置調整部材126は、その上部近傍を軸支するピン125を中心に引っ張りコイルバネ130によって揺動可能に付勢されていることから、紙葉類集積用ドラム81が上限位置を限度として上方変位する過程においては、その変位に連動して、位置調整部材126が、引っ張りコイルバネ130の付勢力に抗して図5における時計回りに回転することで、軸支する調整プーリ127の位置を変位させ、駆動ベルト131のV字状の余長部分の開き角度を大きくすることで必要ベルト長の減少に対応する。また、紙葉類集積用ドラム81が基準位置を限度として下方変位する過程においては、その変位に連動して、位置調整部材126が、引っ張りコイルバネ130の付勢力によって図5における反時計回りに回転することで軸支する調整プーリ127の位置を変位させ、駆動ベルト131のV字状の余長部分の開き角度を小さくすることで必要ベルト長の増加に対応する。
以上に述べた本実施形態に係る紙葉類集積繰出装置11によれば、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80がその軸直交方向に移動可能に設けられているため、セパレートガイド部材33の揺動に制限があっても、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80を移動させることで、十分安定した紙幣Sの集積および繰り出しを実現可能となり、折り癖やカール癖等のある紙幣Sであっても確実に集積および繰り出しができる。
具体的に、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80が軸直交方向に移動可能なうえ、セパレートガイド部材33が固定されているため、テープTの紙葉類集積用ドラム81への巻付量が変化した場合に生じる、テープTの紙葉類集積用ドラム81への巻付領域Tbにおける入出領域Taに対向する外周面に当接するセパレートガイド部材33の当接位置の、紙幣Sの保持開始点であり且つ分離開始点である入出領域Taと巻付領域Tbとの境界位置に対する変化を抑制可能となる。したがって、十分安定した紙幣の集積および繰り出しを実現可能となる。
また、セパレートガイド部材33が固定されているため、紙葉類集積用ドラム81のみを移動可能とすれば良く、構造の複雑化・高コスト化を抑制でき、製造コストを削減できる。
また、紙葉類集積用ドラム81の回転軸80を支持するとともにそれぞれが前後のガイド縁部84,84で案内されて摺動する支持部材85,85が、圧縮コイルバネ96,96で当接ローラ106の方向に付勢されているため、テープTの巻付量の減少に対して紙葉類集積用ドラム81を良好に当接ローラ106の方向に移動させることができる。
また、支持部材85,85が、圧縮コイルバネ96,96で当接ローラ106の方向に付勢されていることから、紙幣Sのある部分と紙幣Sのない部分とで微小な径差が生じても、紙葉類集積用ドラム81が当接ローラ106およびセパレートガイド部材33から離間してしまうことを防止できる。
なお、本実施形態においては、テンション機構132の位置調整部材126を引っ張りコイルバネ130によって付勢しプーリ97の移動に連動変位させるように構成したが、当然に、他の付勢部材であっても良く、位置調整部材126自体に連動変位機構を持たせても良い。