以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る制御装置が適用される車両用内燃機関のシステム構成図であり、図1に示す内燃機関101は直列4気筒機関であり、その出力が図外の変速機を介して車両の駆動輪に伝達される。
前記内燃機関101において、各気筒に空気を導入する吸気管102には、内燃機関101の吸入空気流量QAを検出する熱線式流量計などの吸入空気量センサ103が設けられている。
各気筒の燃焼室104の吸気口を開閉する吸気バルブ105が設けられ、該吸気バルブ105上流側の吸気管102には、気筒毎に燃料噴射弁106が配置される。
前記燃料噴射弁106から噴射された燃料は、吸気バルブ105を介して燃焼室104内に空気と共に吸引され、燃焼室104内の燃料は、点火プラグ107による火花点火によって着火燃焼し、該燃焼による圧力がピストン108をクランク軸109に向けて押し下げることで、前記クランク軸109を回転駆動する。
前記燃焼室104の排気口を開閉する排気バルブ110が設けられ、該排気バルブ110が開くことで燃焼室104内の排ガスが排気管111に排出される。
前記排気管111には、触媒コンバータ112が介装されており、排ガスは前記触媒コンバータ112の触媒作用で浄化されて排出される。
前記吸気バルブ105及び排気バルブ110は、クランク軸109を介して回転駆動されるカム軸の回転によって開閉動作する。
前記排気バルブ110は、一定のバルブリフト量・バルブ作用角・バルブタイミングで開閉動作するが、前記吸気バルブ105の最大バルブリフト量・バルブ作用角・バルブタイミングは、可変バルブリフト機構113及び可変バルブタイミング機構114(可変動弁機構)によって変更可能となっている。
前記可変バルブリフト機構113は、吸気バルブ105のバルブリフト量(最大バルブリフト量)及びバルブ作用角(バルブ開期間の角度)を連続的に変化させる機構であり、前記可変バルブタイミング機構114は、クランク軸109に対する吸気カム軸115の回転位相を変化させることで、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相を進角・遅角変化させる機構である。
また、前記点火プラグ107それぞれには、点火プラグ107に対して点火エネルギを供給する点火モジュール116が設けられている。前記点火モジュール116は、点火コイルと該点火コイルへの通電を制御するパワートランジスタとを含んで構成される。
また、気筒毎に設けられる前記燃料噴射弁106は、図2に示すように、燃料ギャラリーパイプ141に接続されており、燃料ギャラリーパイプ141には、燃料タンク142内の燃料が電動式の燃料ポンプ143によって圧送される。
前記燃料ギャラリーパイプ141内の燃料圧力、即ち、燃料噴射弁106に対する燃料供給圧(燃料噴射弁106の燃料噴射圧)は、燃圧センサ144で検出され、該燃圧センサ144で検出される実際の燃圧PFが目標燃圧PFtgに近づくように、前記燃料ポンプ143の駆動電流(吐出量)がフィードバック制御される。
前記燃料噴射弁106,可変バルブリフト機構113,可変バルブタイミング機構114,点火モジュール116及び燃料ポンプ143は、エンジン制御装置201によって制御される。
前記エンジン制御装置201は、マイクロコンピュータを含んで構成され、各種センサ・スイッチからの信号を入力し、予め記憶されたプログラムに従った演算処理を行うことで、前記燃料噴射弁106,可変バルブリフト機構113,可変バルブタイミング機構114,点火モジュール116及び燃料ポンプ143それぞれの操作量を算出し出力する。
前記可変バルブリフト機構113は、図3の矢印301に示すように、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相SPが略一定のままで、吸気バルブ105のバルブ作用角OA及び最大バルブリフト量VLを連続的に変化させる機構である。
前記エンジン制御装置201は、機関運転条件(機関負荷・機関回転速度など)に応じて目標バルブリフト量を演算し、実際のバルブリフト量と前記目標バルブリフト量との偏差に基づいて、可変バルブリフト機構113の操作量をフィードバック制御する。
前記可変バルブタイミング機構114は、前述のように、クランク軸109に対する吸気カム軸115の回転位相を変化させることで、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相を進角・遅角変化させる機構であるが、前記中心位相の最遅角位置から最進角位置までの間の可変範囲の中間位置(中間位相)で、機械的にロックするロック機構が設けられている。
前記ロック機構によってロックされる中間位相とは、最遅角位置よりも進角側でかつ最進角位置よりも遅角側の位相であって、具体的には、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相(バルブリフト量が最大になるクランク角度)が上死点後(ATDC)70deg〜120degになる位相、より好ましくは、上死点後(ATDC)90deg付近になる位相であり、後述するように、自動停止状態からの再始動のための要求値である。
前記ロック機構によるロックは、エンジン制御装置201からのロック解除指令によって解除されるようになっている。
前記エンジン制御装置201は、機関運転条件(機関負荷・機関回転速度など)に基づいて吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相の目標進角量を演算し、クランク角センサ203及びカムセンサ204の出力信号に基づいて検出される実際の進角量が前記目標進角量に近づくように、前記実際の進角量と目標進角量との偏差に基づいて、前記可変バルブタイミング機構114の操作量をフィードバック制御する。
尚、可変バルブタイミング機構114としては、公知の種々の可変バルブタイミング機構を採用でき、例えば、特開2001−050063号公報に開示されるように、ベーンを挟んで遅角側油圧室と進角側油圧室とを形成し、各油圧室の油圧を制御することで、相対回転位相を変化させる可変バルブタイミング機構や、歯車を用いてクランクシャフトに対し吸気カムシャフトを相対回転させる機構などを採用することができ、また、アクチュエータとして、DCモータやブラシレスモータなどの電動モータを用いる機構であってもよい。
前記クランク角センサ203は、クランク軸109に軸支したシグナルプレート203aの周縁に等間隔で形成された突起部203bを、ピックアップ203cで検出することで、単位クランク角毎のポジション信号POSを出力すると共に、前記シグナルプレート203aに180deg間隔で2箇所に形成した突起部203dをピックアップ203eで検出することで、各気筒の基準クランク角位置毎のリファレンス信号REFを出力する。
前記リファレンス信号REFの出力間隔は、本実施形態における4気筒機関における点火間隔に相当し、前記リファレンス信号REFは、各気筒の同じピストン位置(例えばBTDC75deg)毎に出力されることになる。
また、前記エンジン制御装置201は、前記リファレンス信号REFの発生周期、又は、所定時間内におけるポジション信号POSの発生数に基づいて、内燃機関101の回転速度NEを算出する。
一方、前記カムセンサ204は、前記リファレンス信号REFの発生間隔毎に、気筒ナンバーを示す数のカム信号CAMを出力し、リファレンス信号REFが発生したときに、前回のリファレンス信号REFの発生時から今回までの間で出力されたカム信号CAMの数から、そのときの各気筒の行程を判別できるようになっている。
また、可変バルブタイミング機構114によってクランク軸109に対する吸気カム軸115の位相が変化すると、前記リファレンス信号REFの出力位置に対するカム信号CAMの出力位置が相対的に変化する。
従って、例えば、前記リファレンス信号REFが発生してからカム信号CAMが発生するまでの角度を計測することで、可変バルブタイミング機構114による中心位相の進角量を検出することができる。
尚、前記カム信号CAMの発生位置は、可変バルブタイミング機構114によって吸気カム軸115の回転位相を変化させても、リファレンス信号REFの発生位置を超えて変化することがないように設定されている。
前記エンジン制御装置201には、上記吸入空気量センサ103,角度センサ202,クランク角センサ203及びカムセンサ204からの信号が入力される他、内燃機関101の運転・停止のメインスイッチであるエンジンスイッチ(イグニッションスイッチ)205の信号、アクセルセンサ206からのアクセルペダル207の開度信号ACC、水温センサ208からの冷却水温度信号(機関温度信号)TW、空燃比センサ209からの空燃比信号AF、車速センサ210からの車速信号VSPなどが入力される。
前記空燃比センサ209は、排気管111に設けられ、内燃機関101の空燃比と密接な関係にある排気中の酸素濃度に感応して出力が変化するセンサ(酸素濃度センサ)である。
本実施形態のエンジン制御装置201は、内燃機関101を所定停止条件で自動的に停止させ、かつ、所定始動条件で自動的に再始動させるアイドルストップ機能(自動停止手段としての機能)を備えており、以下では、このアイドルストップ機能を図4のフローチャートに従って説明する。
図4のフローチャートにおいて、まず、ステップS501では、車両の停止状態でかつ内燃機関101のアイドル運転中(アクセル全閉状態)であるか否かを判定し、ステップS501の条件が成立している場合にはステップS503へ進み、非成立の場合にはステップS502へ進む。
ステップS502では、減速燃料カット条件の成立中であって機関回転速度NEが所定回転速度以下の状態であるか否かを判定する。
前記所定回転速度は、機関の減速燃料カット状態からアイドルストップ運転への移行を判定するものである。前記所定回転速度は、アイドル運転時に設定されるアイドル回転速度の範囲内で設定される。また、目標アイドル回転速度として設定される範囲の最大回転速度や、機関減速時の燃料カットからの燃料再開回転速度としても良い。また、アイドル運転時の目標回転速度より高い、任意の機関回転速度として設定しても良い。
従って、機関減速時の燃料カット中で所定回転速度以上である時はステップS502でNOと判定され、本処理はリターンしステップS503以降の処理は行われず、他の燃料噴射処理プログラムにて燃料カットの実行及び加速要求時に燃料噴射の再開が実行される。
一方、機関減速時燃料カット中から機関回転速度がアイドル回転速度まで低下するような状態では、ステップS502でYESの判定がなされ、ステップS505にて継続的に燃料停止がされて、減速時燃料カット状態からアイドルストップ状態に移行するので、運転者の加速要求がない場合には、燃料噴射の再開をせずに継続的に燃料噴射を停止してアイドルストップするので、燃料噴射の再開による運転者が意図しない回転速度の上昇や加速感を防止でき、違和感なくアイドルストップに移行することができる。
そして、ステップS502の条件が成立していればステップS503へ進み、非成立の場合には、内燃機関101を自動停止させることなく本ルーチンを終了させる。
ステップS503に進むと、アクセルが全閉であるか否かを判断し、アクセルが全閉であれば、更に、ステップS504に進んで、ブレーキペダルが踏み込まれている状態であるか否かをブレーキスイッチからの信号などから判断する。
尚、ブレーキペダルのストローク量や踏み込み圧を検出するセンサを備える場合には、ストローク量や踏み込み圧が閾値よりも大きい場合に、ブレーキペダルが踏み込まれていると判断させることができる。
そして、アクセル全閉でかつブレーキペダルの踏み込み状態であれば、アイドルストップ開始条件(自動停止条件)が成立していると判断し、ステップS505(自動停止手段)へ進む。
一方、アクセルの開状態及び/又はブレーキペダルが踏み込まれていない状態では、アイドルストップ開始条件が成立していないと判断し、内燃機関101を自動停止させることなく本ルーチンを終了させる。
尚、アイドルストップ開始条件(自動停止条件)を上記の条件に限定するものではなく、例えば、アクセルの全閉とブレーキペダルの踏み込み状態との少なくとも一方が成立している場合に、アイドルストップ開始条件が成立していると判断させることができ、また、機関回転速度NEが閾値よりも低いことや、内燃機関101と組み合わされる変速機がニュートラル状態であることなどを、アイドルストップ開始条件とすることができる。
アイドルストップ開始条件が成立し、ステップS505へ進むと、前記燃料噴射弁106による燃料噴射及び点火プラグ109による点火を停止させ、内燃機関101を自動的に停止させる。尚、内燃機関101は、燃料噴射弁108による燃料噴射を停止させた後も、慣性力によって回転速度を徐々に減じて最終的に停止することになる。
ステップS505で燃料噴射を停止させて、アイドルストップ状態(内燃機関101の自動停止状態)に移行させると、ステップS506以降では、内燃機関101を自動的に再始動させる条件(アイドルストップ終了条件)が成立しているか否かを判断し、再始動条件(アイドルストップ終了条件、始動条件)が成立すると、内燃機関101を自動的に再始動させる。
ステップS506では、アクセルが全閉状態から開状態になったか否かを判断し、アクセルペダルが踏み込まれ、運転者が車両の発進意図を示した場合には、ステップS508(自動始動手段)へ進み、内燃機関101を再始動させるための処理(スタータモータによるクランキング及び燃料噴射・点火の再開)を行わせる。
また、アクセルが全閉状態を保持している場合には、ステップS507へ進み、ブレーキペダルの踏み込みがなくなったか否か、即ち、運転者がブレーキペダルから足を離したか否かを、ブレーキスイッチの信号などから判断する。
そして、ブレーキペダルが踏み込まれていない場合には、ステップS508へ進み、内燃機関101を再始動させるための処理(スタータモータによるクランキング及び燃料噴射・点火の再開)を行わせる。
尚、アイドルストップ終了条件として、内燃機関101と組み合わされる自動変速機のレンジが、ニュートラルから走行レンジ(DレンジやRレンジ)に切り換えられたことなどを判断させることができ、アイドルストップ終了条件を上記の条件に限定するものではない。
上記のようなアイドルストップ制御に伴って、停止時燃圧制御手段としての機能を有する前記エンジン制御装置201は、前記燃料噴射弁106に供給される燃料の圧力(燃料噴射弁106による噴射圧)である燃圧PFを、図5のフローチャートに示すようにして制御する。
ステップS521では、アイドルストップ開始条件が成立し、燃料噴射弁106による燃料噴射を停止させてから、内燃機関101の回転が停止するまでの停止移行期間内であるか否かを判断する。
尚、機関の回転停止は、クランク角センサ203からの信号が既定時間以上途絶えていることに基づいて判定できる他、クランク角センサ203からの信号に基づいて算出される機関回転速度NEが閾値NESL(NESL>0)よりも低くなった時点で内燃機関101の停止を判定させることができる。
前記停止移行期間内である場合、即ち、燃料噴射を停止した後の慣性で内燃機関101が回転している状態では、ステップS522へ進み、そのときの機関回転速度NEに応じて目標燃圧PFtgを設定する。
前記目標燃圧PFtgは、前記燃料ポンプ143の制御における目標値であって、アイドルストップ開始条件が成立した後も、前記目標燃圧PFtgと実際の燃圧とに基づいて燃料ポンプ143の操作量がフィードバック制御されるように構成されている。
前記ステップS522では、予め機関回転速度NE毎に目標燃料圧力PFtgを記憶した変換テーブルに基づいて、そのときの機関回転速度NEに対応する目標燃料圧力PFtgを設定する構成である。
前記変換テーブルにおける機関回転速度NEの範囲は、停止状態からアイドル回転速度付近までに設定され、機関回転速度NEがアイドル回転速度から低下するに従ってより大きな目標燃料圧力PFtgを設定し、かつ、アイドル回転速度付近の機関回転速度NEに対応する目標燃料圧力PFtgは、機関運転中に後述するように機関回転速度NE及び機関負荷に応じて設定される目標燃料圧力PFtgと同等か又は僅かに高い値に設定される。
従って、ステップS522で設定される目標燃圧PFtgは、アイドルストップ開始条件の成立直前の値から機関回転速度NEの低下に応じて漸増変化することになる。
一方、ステップS521で停止移行期間ではないと判断されると、ステップS523へ進み、前記停止移行期間を経て内燃機関101の回転が停止したアイドルストップ状態(自動停止状態)であるか否かを判断する。
ステップS523でアイドルストップ状態であると判断されると、ステップS524(停止時燃料圧力制御手段)へ進み、アイドルストップ状態用の目標燃圧PFIStgを、目標燃圧PFtgに設定する。
前記目標燃圧PFIStgは、前記ステップS522で参照する変換テーブルにおいて、機関停止状態に対応して記憶されている目標燃圧PFtgと同等か又は僅かに高い値に設定される。
即ち、図6に示すように、アイドルストップ開始条件が成立し、燃料噴射を停止すると、目標燃圧PFtgが、燃料噴射の停止直前(アイドルストップ開始条件の成立直前)の値から機関回転速度NEの低下に伴って徐々に増大設定され、該増大設定によって到達した目標燃圧PFtg付近にアイドルストップ中は保持される。
上記アイドルストップ中の目標燃圧PFIStgは、予め記憶された一定値であっても良いが、再始動時に最初に燃料噴射を行わせる気筒の吸気バルブ105(特に傘部)の温度に応じて変更することが好ましい。
吸気バルブ105の温度が高い場合には、吸気バルブ105周辺の吸気ポート(吸気通路壁面)などの温度も高いため、燃料噴霧の気化特性は良好であり、吸気ポートへの燃料付着量の影響は比較的少なく、充分な気化特性を得ることができる。
一方、吸気バルブ105の温度が低いと、吸気バルブ105周辺の吸気ポートなどの温度も低く、吸気ポートへの燃料付着量が増大すると燃料噴霧の気化が進まなくなってしまうため、目標燃圧PFIStgをより高く設定することで、吸気ポートへの燃料付着量を低減させることが望まれる。
そこで、吸気バルブ105(又は吸気ポート)の温度が低いほど、前記目標燃圧PFIStgをより高い値に設定することが好ましい。
前記吸気バルブ105(又は吸気ポート)の温度は、例えば、吸気バルブ105のバルブステムを中空に形成して、バルブステム内に温度センサを配置し、該温度センサの出力に基づいて検出できる他、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間や内燃機関101の冷却水温度などに基づいて推定することができる。
尚、前記温度センサを設ける構成では、バルブ構造が複雑化し、コスト上昇の要因になるので、温度センサを設けずに、温度を推定させることが好ましい。
また、前記経過時間に応じた吸気バルブ105の温度推定においては、最初に燃料噴射を行わせる気筒の吸気バルブ105が、アイドルストップ状態で開状態に保持されているか閉状態に保持されているかによって、経過時間と温度推定値との相関を変更することが好ましい。
即ち、アイドルストップ状態で吸気バルブ105が開弁状態に保持される場合、吸気バルブ105の傘部がシリンダ壁面と接触していないため、シリンダ壁面を介しての放熱がなく、時間経過に対する吸気バルブ105の温度低下は比較的緩やかになる。
一方、アイドルストップ状態で吸気バルブ105が閉弁状態に保持される場合、吸気バルブ105の傘部がシリンダヘッドと接触しているため、吸気バルブ105の傘部の熱が、冷却水で冷却されるシリンダヘッドに逃げ、時間経過に対する吸気バルブ105の温度低下は、開弁状態に保持される場合に比べて大きくなる。
従って、再始動時に最初に燃料噴射を行わせる気筒の吸気バルブ105が開弁状態である場合には、閉弁状態(開弁直前の状態)に保持される場合に比べて、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間に対する温度低下特性が緩やかになるように設定し、逆に、アイドルストップ状態で閉弁状態に保持される場合には、開弁状態に保持される場合に比べて、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間に対する温度低下特性が大きくなるように設定する。
このように、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間に対する温度推定値の特性を、再始動に最初に燃料噴射させる気筒における吸気バルブ105の開閉状態に応じて変更すれば、前記経過時間に基づいて高精度に吸気バルブ105の温度を推定できる。
図7のフローチャートは、ステップS524の処理内容(停止中燃圧制御手段)を詳細に示すものであって、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間に応じて吸気バルブ105の温度を推定し、該推定値に基づいて目標燃料圧力PFIStgを設定する処理を示す。
図7のフローチャートにおいて、まず、ステップS601では、再始動に最初に燃料噴射させる気筒の吸気バルブ105が、アイドルストップ中において開状態に保持されるか否かを判断する。
アイドルストップ中において開状態に保持されている場合には、ステップS602へ進み、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間と吸気バルブ105の温度との相関を予め記憶した開状態用の変換テーブルを参照し、そのときの経過時間に対応する温度を検索する。
ステップS602で参照する変換テーブルは、吸気バルブ105が開状態に保持される場合に適合し、経過時間の増大に対する温度低下が、後述するステップS603で参照する閉状態用の変換テーブルよりも緩やかに設定されている。
一方、ステップS601で、アイドルストップ中において吸気バルブ105が閉状態に保持されていると判断されると、ステップS603へ進み、アイドルストップ開始条件の成立後(燃料噴射停止後)の経過時間と吸気バルブ105の温度との相関を予め記憶した閉状態用の変換テーブルを参照し、そのときの経過時間に対応する温度を検索する。
ステップS603で参照する変換テーブルは、吸気バルブ105が閉状態に保持される場合に適合し、経過時間の増大に対する温度低下が、前記ステップS602で参照する開状態用の変換テーブルよりも大きく設定されている。
ステップS602又はステップS603で、経過時間(機関停止継続時間)及び吸気バルブ105の開閉状態に基づいて、再始動に最初に燃料噴射させる気筒における吸気バルブ105の温度を推定すると、ステップS604へ進み、温度推定値に基づいてアイドルストップ状態における目標燃料圧力PFIStgを設定する。
ステップS604では、吸気バルブ105の温度推定値が低くなるほど、目標燃料圧力PFIStgをより高い値に設定する。
尚、吸気バルブ105の温度推定においては、アイドルストップ開始条件の成立時の温度を初期値として、開閉状態に応じて異なる低下速度で、前記初期値から徐々に推定温度を減少させることができる。
また、前記経過時間は、アイドルストップ開始条件の成立時ではなく、内燃機関101の回転が停止してからの時間としてもよい。
また、前述のように、温度センサを設け、該温度センサで検出される吸気バルブ105の温度が低くなるほど、目標燃料圧力PFIStgをより高い値に設定することができる。
更に、アイドルストップ状態が長く継続するほど、吸気バルブ105の温度はより低下することになるから、アイドルストップ状態の継続時間が長くなるに従って、目標燃料圧力PFIStgをより高い値に変更する構成とすることができる。
本実施形態では、後述するように、アイドルストップ中において吸気バルブ105が開状態に保持される吸気行程途中の気筒に対して、再始動時の初回の燃料噴射を行わせるが、前記吸気行程途中が吸気行程の後期(吸気バルブ105の閉時期IVC直前又はピストンの下死点直前)であって、当該気筒に対して燃料噴射を行っても充分な燃料導入を行えない場合には、次に吸気行程となる気筒、即ち、アイドルストップ中において吸気バルブ105が閉状態に保持されていた気筒を初回噴射気筒に設定し、吸気バルブ105の開時期IVO前に燃料噴射を行わせることができる。
上記のようにして、初回噴射を行わせる気筒を選択する場合には、初回噴射気筒の吸気バルブ105は、アイドルストップ中において開状態に保持されている場合と、閉状態に保持されている場合とがあり、前述の開閉状態に応じて吸気バルブ105の温度推定を行えば、初回噴射を行わせる気筒の吸気バルブ105の温度を高精度に推定し、実際の温度に対応する適切な燃料圧力に制御させることができる。
また、アイドルストップ中においてピストンが吸気上死点から下死点までの間で停止している気筒を、吸気行程途中の気筒として判断し、当該気筒に対して再始動時の初回の燃料噴射を行わせる構成とすることができる。
この場合、ピストンが吸気上死点から上死点後の吸気バルブ105の開時期IVOとの間で停止していて吸気バルブ105が閉じている場合と、ピストンが開時期IVOよりも進んだ位置で停止していて吸気バルブ105が開いている場合とで、時間経過に対する温度下降速度を異ならせて、吸気バルブ105の温度推定を行わせれば、初回噴射を行わせる気筒の吸気バルブ105の温度を高精度に推定し、実際の温度に対応する適切な燃料圧力に制御させることができる。
前記図5のフローチャートのステップS523でアイドルストップ状態ではないと判断されると、ステップS525へ進み、アイドルストップ状態からの再始動における初回の燃料噴射(吸気行程途中で停止していた気筒への燃料噴射)が終わっているか否かを判断する。
そして、初回の燃料噴射が終わっていない場合には、ステップS524へ進むことで、前記目標燃圧PFIStgを維持させるようにする。係る機能が、燃圧保持手段に相当する。
一方、初回の燃料噴射が終わっていると判断されると、ステップS526へ進んで内燃機関101の始動完了状態(運転状態)であるか否かを、例えば、機関回転速度NEが閾値NEOPSLよりも高いか否かに基づいて判断する。
初回の燃料噴射終了後で始動完了に至っていない始動中である場合には、ステップS527(自動始動時燃料圧力制御手段)へ進み、始動用として予め記憶されている目標燃圧PFSTtgを、目標燃圧PFtgに設定する。
前記始動用の目標燃料圧力PFSTtgは、図6に示すように、アイドルストップ状態用の目標燃圧PFIStgよりも低い圧力であって、始動完了後に機関回転速度NE及び機関負荷に応じて設定される目標燃圧PFORtgよりも高い圧力に設定されている。
一方、ステップS526で、内燃機関101の始動が完了していて、内燃機関101の運転継続状態であると判断されると、ステップS528へ進み、そのときの機関回転速度NE及び機関負荷に応じた目標燃圧PFORtgを目標燃圧PFtgに設定する。
尚、機関負荷は、吸入空気量、基本燃料噴射量、吸気管負圧などに基づいて判断される。
次に、アイドルストップ状態から内燃機関101を再始動させる場合の噴射制御を、図8及び図9のフローチャートに従って説明する。
図8のフローチャートに示すルーチンは、再始動時における初回噴射に備えて、アイドルストップ制御で内燃機関101を自動停止させたときに、吸気行程途中(吸気バルブ105の開弁状態)で停止した気筒を検出して記憶させる処理を示す。
ステップS541では、アイドルストップ開始条件が成立したか否かを判断し、アイドルストップ開始条件が成立して燃料噴射が停止されるようになると、ステップS542へ進む。
ステップS542では、前記カムセンサ204からのカム信号CAMに基づく気筒判別(各気筒の行程判定)を、前記停止移行期間中において継続させ、新たに気筒判別がなされる毎に、それまでの記憶値に代えて新たな気筒判別結果を記憶させる、気筒判別結果の更新記憶を実施する。
そして、ステップS543では、内燃機関101の回転が停止したか否かを判断し、回転停止するまでは、ステップS542における気筒判別及び判別結果の更新記憶を繰り返し、内燃機関101の回転が停止した時点で本ルーチンを終了させることで、最後の気筒判別結果、即ち、機関回転の停止状態で吸気バルブ105が開弁状態に保持される気筒(吸気行程途中の気筒)を記憶保持させる。
尚、吸気バルブ105の開弁状態で停止した気筒を、吸気行程途中で停止した気筒と判断させる代わりに、前述のように、ピストンが吸気上死点から下死点までの間で停止出力気筒を吸気行程途中の気筒として判断させることができる。
図9のフローチャートは、アイドルストップ状態からの再始動時における燃料噴射を制御するルーチンを示す。
まず、ステップS561では、アイドルストップ状態からのアクセルペダルの踏み込みやブレーキペダルの解放などによって再始動要求(アイドルストップ終了判定)が発生したか否かを判断する。
そして、アイドルストップ状態から再始動要求が発生すると、ステップS562へ進み、図8のフローチャートに示すルーチンに基づいて記憶保持されている、機関回転停止時における吸気行程気筒の判定結果(気筒判別結果)を読み出す。
次のステップS563(燃料噴射制御手段、燃料噴射開始手段)では、ステップS562で読み出した気筒判別結果から、吸気行程途中で(吸気バルブ105の開弁状態で)停止している気筒を特定し、該気筒の燃料噴射弁106に対して噴射パルス信号を出力し、燃料噴射を開始させる。
このように、クラキング開始直前に、吸気行程途中で停止していた気筒における燃料噴射を行わせれば、クランキング開始後に直ちに筒内に燃料が吸引され、圧縮行程を経て点火を行って初爆させることで、初爆までの時間を極力短くすることができ、車両の発進性能を向上させることができる。
即ち、内燃機関101の運転継続状態では、吸気バルブ105が開時期IVO前に燃料噴射を行わせるから、同じ噴射タイミングで再始動初回の燃料噴射を行わせようとすると、吸気行程途中で停止した気筒の次に吸気行程となる気筒が、初回噴射の対象気筒となるが、これでは初爆までの時間が長くなってしまう。
そこで、吸気行程途中(吸気バルブ105の開弁状態で)で停止していた気筒に対して初回噴射を行わせ、初爆が最大限に早くタイミングで得られるようにする。
ステップS564では、スタータモータによるクランキングを開始させる。即ち、クランキング開始直前に、吸気行程途中で停止していた気筒に対する燃料噴射を開始させる。
ステップS564でクランキングを開始させると、ステップS565では、吸気バルブ106が閉じている期間内(例えば排気行程中や膨張行程中)に設定された通常の噴射タイミングに従って、2回目以降の燃料噴射(クランキング開始後に吸気行程となる気筒に対する燃料噴射)を行わせる。
即ち、吸気行程の途中で停止していた気筒については、吸気バルブ105が開いている状態で燃料を噴射させるが、吸気行程の途中で停止していた気筒の次に吸気行程となる気筒からは、吸気バルブ106が閉じているタイミングで燃料噴射を行わせる。
本実施形態は、機関回転速度低下状態時の機関回転速度に応じて目標燃圧を設定することで機関回転速度の低下に応じた燃圧段差の少ない連続的な目標燃圧の増大設定を可能にしたが、これに限らず、空燃比のリッチ化による再始動性の低下を抑制し、許容できる始動性が得られる範囲内で目標燃圧を数段階の階段設定する構成としても良い。この場合、目標燃圧間に段差が生じて連続的な設定に対して始動性が低下する懸念があるが、前述のように、空燃比の悪化状態、商品の始動性要求などが満足できるよう設定すればよい。
ここで、上記の目標燃圧PFtgの設定及び始動時の燃料噴射制御の作用を説明する。
前述のように、アイドルストップ状態から内燃機関101を再始動させる場合に、クランキング開始直前に、吸気行程の途中で停止していた気筒に対する燃料噴射を開始させるが、かかる燃料噴射では、吸入空気が殆ど流れない状態で燃料が噴射されることになるため、燃料圧力が低いと、燃料噴霧が広がって吸気ポートの壁面などへの燃料付着量が増大し、始動性が低下してしまう。
ここで、燃圧(噴射圧)を高く設定すれば、燃料噴射弁106からの燃料噴霧の貫通力(ペネトレーション)が増大し、吸入空気が殆ど流れない状態で噴射されても、壁面に燃料が付着してしまうことを抑制できる。
従って、アイドルストップ状態から内燃機関101を再始動させる場合の初回の燃料噴射を、吸入空気が殆ど流れない状態でも充分な貫通力を確保できる燃料圧力で行わせれば、壁面への燃料付着量を少なくして燃焼に充分な混合気形成を行え、燃焼性、更には、始動性を向上させることができる。
そこで、アイドルストップ中は、内燃機関101の運転中よりも高い目標燃圧PFIStgに維持させ、再始動時に初回の燃料噴射を前記目標燃圧PFIStgの圧力で行わせる。
換言すれば、前記目標燃圧PFIStgは、初回の燃料噴射で充分な貫通力を確保できる燃料圧力に設定され、この目標燃圧PFIStgで初回の燃料噴射を行わせるために、アイドルストップ開始条件が成立した時点(燃料噴射を停止した時点)から、前記目標燃圧PFIStgにまで燃料圧力を高めて、目標燃圧PFIStg付近に維持させる。
ところで、アイドルストップ開始条件が成立した時点から、実際に内燃機関101の回転が停止するまでの間(停止移行期間)において、アクセル操作などが行われることで、再始動要求が発生する場合があり、このときに、燃料圧力が前記目標燃圧PFIStg付近にまで増大していると、この目標燃圧PFIStg付近の燃料圧力で燃料噴射が再開されることになってしまう。
しかし、目標燃圧PFIStgは、吸入空気が殆ど流れない状態において、燃料を噴射させるのに適した圧力であり、機関回転中であって吸入空気が流れている状態(吸気管負圧の発生状態)での燃料噴射には高すぎる圧力である。
このため、停止移行期間中(機関101が慣性で回転している間)に再始動要求が発生し、かつ、そのときの燃圧が目標燃圧PFIStg付近にまで昇圧されていると、過剰に高い燃圧での燃料噴射によって、単位時間当たりの燃料噴射量が増大し、内燃機関101が要求する燃料量よりも多い燃料を噴射してしまい、空燃比がオーバーリッチとなることで燃焼が不安定となり、再始動性が低下してしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、停止移行期間中において、機関回転速度NEの低下に応じて目標燃圧PFtgを徐々に増大させることで、たとえ停止移行期間中に再始動要求が発生しても、高い再始動性を維持できるようにしている。
即ち、機関回転速度NEの低下に応じて目標燃圧PFtgを徐々に増大させることで、慣性で回転している状態で目標燃圧PFIStg付近にまで昇圧されてしまうことを回避でき、また、そのときの機関回転速度NEに応じた最適な燃料圧力に制御させることができる。
機関回転速度NEが低いほど、始動する際のエネルギーがより多くなり、また、筒内への吸入空気の流れが弱くなるため、停止移行期間中に機関回転速度NEが低くなるほど目標燃圧PFtgを高くして、高い燃圧で燃料噴霧を微粒化することで気化燃料を増大させ、より多くの気化燃料を筒内に導入させて、始動のための大きなエンジントルクを発生させる。
一方、アイドルストップ開始条件の成立直後の機関回転速度NEがさほど低下していない状態では、目標燃圧PFtgが比較的低く設定されるから、この状態で再始動要求が発生しても、過剰な量の燃料が噴射されることによるオーバーリッチを抑制できる。
従って、停止移行期間中において、機関回転速度NEの低下に応じて目標燃圧PFtgを徐々に増大させるようにすれば、停止移行期間中の機関回転速度NEが異なるタイミングで再始動要求が発生しても、良好な始動性を確保することができる。
上記の燃圧制御によって、図6に示すように、アイドルストップ開始判定(時刻t1)から内燃機関101の回転が停止する時刻t2までの停止移行期間中は、機関回転速度NEの低下に応じて目標燃圧PFtgを徐々に増大させ、内燃機関101の回転が停止した時点(時刻t2)からアイドルストップ終了判定(時刻t3)までのアイドルストップ中は、目標燃圧PFIStgに維持し、更に、アイドルストップ終了条件が成立した時点(時刻t3)から、吸気行程途中で停止していた気筒に対する初回の燃料噴射が完了する時刻t4までは、前記目標燃圧PFIStgに維持させ、初回の燃料噴射完了時(時刻t4)において、始動中に適した目標燃圧PFSTtgにまで燃圧を低下させ、更に、始動完了時点(時刻t5)において、負荷・回転などから設定される目標燃圧PFORtgに変更する。
即ち、初回の燃料噴射は、吸入空気が殆ど流れない状態で噴射されるので、高い燃圧に設定し、吸気ポートへの燃料付着量を低下させることで燃焼性を向上させるが、吸気ポートへの燃料付着は完全に防げるものではない。
一方、クランキングの開始に伴い機関回転速度NEが上昇するにつれて、吸入空気の流速が速くなり、付着燃料が気化されることになるため、初回噴射以降も燃圧を高いまま維持すると、付着燃料(壁流)から気化した分の燃料が筒内に導入されることで、混合気がオーバーリッチとなり、初爆後の燃焼性が悪化し、機関回転速度NEの上昇が遅くなったり、機関回転速度NEが変動してしまうなど、始動性が悪化してしまう可能性がある。
そこで、上記実施形態では、初回噴射の終了後に目標燃圧PFtgを低下させることで、燃料噴射弁106から単位時間当たりに噴射される燃料量を減らし、クランキングの開始に伴う機関回転速度NEの上昇によって、付着燃料からの気化が進むようになっても、混合気がオーバーリッチになってしまうことを抑制し、初爆後の燃焼性を良好に維持できるようにしている。
また、初回噴射後の2回目以降の噴射では、噴射タイミングが排気行程中などに設定され、噴射タイミングから燃焼(点火)されるまでの時間が初回噴射時に比べて長くなり、燃料の気化時間が確保されるので、壁流量を少なく維持でき、燃料圧力を低下させた状態で2回目以降の燃料噴射を実行しても、壁流分の影響を受け難い。
尚、本実施形態では、2回目以降の噴射(2番目以降に吸気行程となる気筒への燃料噴射)を、排気行程や膨張行程中などの吸気バルブ105の閉弁状態で行わせるようにしたが、吸気バルブ105の開期間中に行わせてもよい。
また、アイドルストップ中に吸気行程途中で停止している気筒(吸気バルブ105が開状態に保持される気筒)において、ピストン位置が下死点に近いか、吸気バルブ105の閉時期IVCに近く、燃料噴射を行っても、残余の吸気行程で筒内に充分な量の燃料噴霧を導入できないと判断される場合には、次に吸気行程となる気筒を初回噴射気筒として設定し、燃料噴射を行わせることができる。
また、吸気行程途中の気筒を、ピストンが吸気上死点から下死点までの間で停止した気筒とし、当該気筒に対して再始動初回の燃料噴射を行わせることができる。
以上のように、上記実施形態によると、アイドルストップ開始条件成立後、内燃機関101が慣性で回転している間において、そのときの機関回転速度NEに応じた目標燃圧PFtgを設定して、該目標燃圧PFtgに実際の燃圧を追従変化させるので、内燃機関101が完全に停止する前に自動始動要求、即ち、運転者の車両を発進させる意思を検出したときに、そのときの機関回転速度NEでの再始動に適した燃圧で燃料噴射を行わせることができるので、機関回転が完全に停止する前に再始動要求が発生しても、燃料噴射量が過多となって空燃比がオーバーリッチとなって燃焼性が悪化することを抑制でき、再始動性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、アイドルストップ中の目標燃圧PFIStg、換言すれば、再始動時における初回噴射の燃圧を、初回噴射を行わせる気筒の吸気バルブ105の温度に応じて設定するから、初回燃料噴射の際に、吸気バルブ105に燃料噴霧が衝突することによって気化できる最適な燃料噴霧を形成することができ、初回燃料噴射での気化性能を向上させて、初爆での燃焼性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、内燃機関101の停止経過時間に対する吸気バルブ105の温度低下特性を、吸気バルブ105の開閉状態に応じて異なる特性に設定するので、開閉状態で放熱性が異なることに対応して、実際の温度を高精度に推定できる。
更に、上記実施形態では、アイドルストップ終了条件が成立し、自動始動を開始させる際に、吸気行程途中で停止している気筒に対して初回の燃料噴射を行わせるので、吸気バルブ105上流側に気筒毎の燃料噴射弁106を備えた内燃機関101においても、初回噴射気筒の初爆までの時間を短縮することができ、機関始動時間の短縮、更には、車両の発進性能の向上を図ることができる。
また、上記実施形態では、再始動時の2回目以降の燃料噴射の際に、1回目よりも低い燃圧で燃料噴射を行わせるので、吸入空気の流速が殆ど零に近い状態で初回燃料噴射させたときの付着燃料が気化して、2回目以降の噴射燃料と共に筒内に導入されるときに、空燃比がオーバーリッチとなることを抑制でき、オーバーリッチによる燃焼性の悪化を抑制し、早期に始動を完了させることができる。
ところで、上記実施形態(第1実施形態)では、初回噴射終了後から始動完了までの期間(始動中)と、始動完了後の期間とを分けて、それぞれに異なる特性で目標燃料圧力PFtgを設定させたが、図10のフローチャート及び図11のタイムチャートに示す第2実施形態のように、ステップS525で初回の燃料噴射が終わっていると判断された場合に、始動が完了しているか否かを区別することなく、そのときの吸気バルブ105の温度に応じて目標燃圧PFtgを設定させることができる。
上記の吸気バルブ105の温度に応じて目標燃圧PFtgを設定させる機能が、始動後燃圧制御手段に相当する。
図10のフローチャートにおいて、ステップS525で初回の燃料噴射が終わっていると判断されると、ステップS611へ進み、再始動後(クランキング開始後)の運転継続時間と、内燃機関101の運転状態(機関負荷、機関回転速度NEなど)とに基づいて吸気バルブ105(傘部)の温度を推定する。
ここでは、運転継続時間が長くなるほど吸気バルブ105(傘部)の温度としてより高い温度を推定し、高負荷・高回転時ほど、運転継続時間に対する推定温度の上昇速度を速く設定する。
次いで、ステップS612では、前記ステップS611で推定した吸気バルブ105の温度に応じて、再始動時の2回目以降の燃料噴射での燃料圧力を設定し、具体的には、吸気バルブ105の温度が低いほどより高い目標燃圧PFtgを設定させる。
かかる構成では、再始動直後の吸気バルブ105の温度が低いときには、目標燃圧PFtgが高く設定されるため、燃料噴霧の貫通力(ペネトレーション)が高いため、吸気ポートに付着することを抑制できる。
従って、吸入空気と共に燃料噴霧が筒内に導入され易くなり、壁面付着量を抑制しつつ燃焼に充分な混合気形成を行うことができ、燃焼性を向上させることができる。
また、燃焼回数が増大(機関回転速度NEが増加)して吸気バルブ105の温度が上昇するにつれて目標燃圧PFtgを低下させるので、燃料噴霧の貫通力(ペネトレーション)が弱まり、吸気ポート壁面への付着量が増大することで、燃料の付着領域を広げ、壁流を薄くでき、吸気ポートの熱を利用した付着燃料の気化を促進させ、気化性能を向上させることができる。
更に、吸気バルブ105の温度上昇に対して燃圧を漸減させることで、燃料噴射弁106における単位時間当たりの燃料噴射量が減少し、再始動初期での燃料噴射で壁面に付着した燃料が気化して筒内に導入されることによる空燃比のオーバーリッチ化を抑制することができ、始動性の悪化を抑制することができる。
図11のタイムチャートは、図10のフローチャートに従って初回噴射完了後の目標燃圧PFtgを設定させた場合の燃圧変化を示す。
この図11に示すように、アイドルストップ開始判定(時刻t1)から初回噴射完了時点(時刻4)までは、第1実施形態と同様に、目標燃圧PFtgを設定させるが、初回噴射完了後(時刻4以後)は、時間経過に伴って吸気バルブ105の温度が上昇するにつれて、目標燃圧PFtgが漸減される。
上記第1,第2実施形態では、アイドルストップ状態において吸気行程途中で停止している気筒に対し、初回の燃料噴射を開始させるため、この初回に噴射させた燃料が筒内に導入され易くすれば、初爆の燃焼性(燃焼トルク)が向上することになる。そして、前記燃料噴霧の筒内への導入され易さは、アイドルストップ状態での吸気バルブ105の開口面積(バルブリフト量)をなるべく大きくすることで向上する。
そこで、初回噴射させる気筒での吸気バルブ105の開口面積(バルブリフト量)を増大させるためのバルブタイミング制御を実行する第3実施形態を、図12のフローチャートに従って以下に説明する。
前記エンジン制御装置201は、図12のフローチャートに示すようにバルブリフト量制御手段としての機能を有している。
図12のフローチャートにおいて、まず、ステップS621では、アイドルストップ開始条件が成立し、燃料噴射が停止されたか否かを判断する。
そして、アイドルストップ開始条件が成立する前の内燃機関101の運転状態では、ステップS622〜625を迂回してステップS626へ進むことで、例えば、機関負荷及び機関回転速度NEに応じて目標バルブタイミングを設定し、可変バルブタイミング機構114を制御する。
かかる可変バルブタイミング機構114の制御状態からアイドルストップ開始条件が成立すると、ステップS622へ進み、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相が、上死点後90deg(ATDC90deg)に近づくように、バルブタイミングの進角制御を行う。
アイドルストップ開始条件が成立する直前の内燃機関101のアイドル状態では、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相が上死点後90degよりも遅くなるように設定されるため、ステップS622では、バルブタイミングを進角変化させて中心位相を上死点後90degに近づける。
ステップS623では、ステップS622での制御によって実際の中心位相が上死点後90deg付近になったか否かを判断し、実際の中心位相が上死点後90deg付近になるまでステップS622での進角制御を継続させる。
そして、実際の中心位相が上死点後90deg付近になると、ステップS624へ進み、可変バルブタイミング機構114のロック機構を作動させ、そのときのバルブタイミングにロックさせる。
換言すれば、可変バルブタイミング機構114のロック機構は、中心位相が上死点後90deg付近になる中間位相状態でバルブタイミングをロックするように設定されている。
ステップS625では、アイドルストップ状態からの再始動時における初回の燃料噴射が完了したか否かを判断し、初回の燃料噴射が完了するまで、前記中心位相が上死点後90deg付近になる位置へのロック状態を保持させる。
初回の燃料噴射が完了すると、ステップS626へ進み、ロック状態を解除し、機関負荷及び機関回転速度NEに応じて目標バルブタイミングを設定し、可変バルブタイミング機構114を制御する状態に移行させることで、バルブタイミングを遅角変化させる。
即ち、初回の燃料噴射が完了すると、次回の燃料噴射の開始までに、バルブタイミングを遅角させることで、吸気ポートに付着した燃料の気化を抑制し、始動性及びその後の持続性を向上させる。
内燃機関101を自動停止させると、吸気行程途中で停止する気筒は、ピストン位置が上死点後90deg付近となる確率が高い。
そして、吸気バルブ105のバルブ作用角の中心位相は、吸気バルブ105のバルブリフト量が最も大きくなるタイミングであるから、中心位相が上死点後90deg付近となるようにバルブタイミングを制御すれば、吸気行程途中で停止した気筒の吸気バルブ105は、最も大きな開口面積(バルブリフト量)の状態になっていることになる。
内燃機関101が慣性で回転している間に、中心位相が上死点後90deg付近になるようにバルブタイミングを制御すれば、バルブタイミング変更におけるフリクションが小さく、アクチュエータの駆動負荷を小さくすることができる。
中心位相を上死点後90deg付近にロックする機構を備えれば、アイドルストップ中に上死点後90deg付近の中心位相を確実に保持できるが、例えば油圧式の可変バルブタイミング機構において油圧の供給・ドレンを停止させることで、中心位相をアイドルストップ中に保持できる場合には、可変バルブタイミング機構がロック機構を備えない構成であってもよい。
更に、アクチュエータとして応答性の高い電動アクチュエータを用いる可変バルブタイミング機構を備える場合には、アイドルストップ終了条件の成立を判断した時点から、中心位相を上死点後90deg付近に向けて変化させるようにバルブタイミングを進角制御することが可能である。
この場合、1回目の噴射開始時点で吸気バルブ105の開口面積(バルブリフト量)が最大でないとしても、燃料噴射の継続中に、バルブタイミングが進角変化して開口面積(バルブリフト量)が増大変化することになる。
上記のように、吸気行程途中で停止する気筒の吸気バルブ105の開口面積が大きくなるように、バルブタイミングを進角制御すれば、1回目に噴射された燃料が筒内に導入され易くなり、初爆の燃焼性が向上し、始動完了までの時間を短縮することができる。
尚、バルブタイミング制御における目標を、吸気行程途中で停止する気筒のピストン位置に限定するものではなく、前記ピストン位置付近(例えば上死点後70deg〜120deg)に目標を設定することができ、遅角方向にバルブタイミングを制御する場合もあり得る。
図13は、前記バルブタイミングの進角制御による作用を説明するための図であり、例えば、上記進角制御を行わない場合のバルブタイミングが、図13中の点線で示す設定であったとすると、吸気行程途中のATDC90degで停止した気筒では、アイドルストップ状態でバルブリフト量VL1の開状態を保持することになる。
これに対し、ATDC90degが中心位相になるように進角すれば、吸気行程途中のATDC90degで停止した気筒では、アイドルストップ状態でバルブリフト量VL2の開状態を保持することになり、この最も大きなバルブリフト量VL2で開いている吸気バルブ105に向けて燃料を噴射させれば、燃料が筒内に導入され易くなり、初爆の燃焼性が向上する。
図13中の点線で示す設定でのATDC90degにおけるバルブリフト量VL1よりもバルブリフト量を大きくできればよく、中心位相をATDC90degよりも進角させてもバルブリフト量を大きくすることが可能である。
図14は、前記バルブタイミング制御を行った場合の吸気バルブ105の開時期IVOの変化を示すタイムチャートであり、アイドルストップ開始判定がなされた時点(時刻t1)からバルブタイミングの進角制御が行われ、停止移行期間(時刻t1〜時刻t2)では開時期IVOが徐々に進角変化する。
尚、停止移行期間内で目標のバルブタイミングにまで到達しなかった場合には、回転停止直前でのバルブタイミングでアイドルストップ中の開状態が決定されることになる。
内燃機関101の回転が停止すると、吸気バルブ105の開閉が停止され、前記進角制御によって、吸気行程途中で停止した気筒の吸気バルブ105は、バルブリフト量が大きな状態に保持されることになる。
そして、アイドルストップ終了判定が時刻t3でなされ、更に、吸気バルブ105が開いている気筒における初回の燃料噴射が終了する時刻t4までは、停止移行期間で進角させたバルブタイミングを保持させ、初期の燃料噴射が完了すると、バルブタイミングを遅角させて、そのときの負荷・回転速度に見合ったバルブタイミングにまで戻すようにする。
上記第3実施形態では、可変バルブタイミング機構114によって、吸気バルブ105の中心位相を上死点後90degに近づけるバルブタイミングの進角制御を行うことで、1回目に燃料噴射される気筒での噴射中のバルブ開口面積を増大させるようにしたが、可変バルブリフト機構113を備える内燃機関101では、アイドルストップ開始条件の成立後の内燃機関101が慣性で回転している間に、バルブリフト量(最大バルブリフト量)を増大させる制御を行わせることで、吸気行程途中で停止した気筒の吸気バルブ105の開口面積が大きくすることができる。
即ち、バルブタイミングを変更しなくても、可変バルブリフト機構113を、バルブリフト量が増大する方向に制御すれば、吸気行程途中で停止した気筒の吸気バルブ105の開口面積が大きくなり、1回目に噴射された燃料が筒内に導入され易くなり、初爆の燃焼性が向上し、始動完了までの時間を短縮することができる。
即ち、図15に示すように、時刻t1から時刻t2までの停止移行期間において、可変バルブリフト機構113をバルブリフト量が増大する方向に制御し、時刻t2から時刻t3までのアイドルストップ状態でその状態を保持し、時刻t4で初回の燃料噴射が完了すると、次回の燃料噴射が開始されるまでの間にバルブリフト量を減らし、吸気ポートに付着した燃料の気化を抑制し、始動性及びその後の持続性を向上させる。
尚、バルブリフト量制御における目標を、バルブリフト量の可変範囲の最大値に限定するものではなく、バルブリフト量を増大変化させる目標であればよい。
ここで、本実施形態のように、可変バルブタイミング機構114及び可変バルブリフト機構113を備える場合には、バルブタイミングの進角制御と、バルブリフト量の増大制御との双方を実行することで、吸気バルブ105の開口面積をより大きくすることができ、1回目に噴射される燃料が筒内により導入され易くなる。
ところで、吸気行程途中で停止した気筒に対する再始動時における燃料噴射は、必要量を1回の噴射で供給する構成であっても良いし、必要量を複数回に分けて断続的に噴射させる構成であってもよい。
必要量を複数回に分けて噴射するようにし、短いパルス幅での噴射を繰り返すと、燃料噴霧の速度が低下するため、噴射した燃料のうち吸気ポート内に浮遊する燃料分が増大し、吸気ポートの壁面に付着する燃料分を減らすことができる。
更に、アイドルストップ中は前記目標燃圧PFIStgに実際の燃料圧力が制御され、初回の燃料噴射は前記目標燃圧PFIStgの高圧状態で行われるから、燃料噴霧の微粒化が促進され、前記複数回に分けた噴射でより細かい燃料噴霧が吸気ポート内に浮遊することになり、前記目標燃料圧力PFIStgによる燃圧制御と複数回に分けた噴射とを組み合わせることで、壁面への燃料付着をより減少させ、燃料噴霧の気化をより促進させることができる。
尚、複数回に分けて噴射させる際の分割噴射回数は、回数が多いほど(1回当たりの噴射時間が短いほど)噴霧速度が低下し、付着燃料分を減らすことができるが、分割回数を増やすことで、噴射から次の噴射までのインターバル時間の総和が大きくなって噴射完了までの時間が長くなり、また、1回当たりの噴射時間が短くなると、燃料の計量精度が低下する。
従って、初回の燃料噴射量を、吸気バルブ105が閉弁するまでの期間内で噴射することができ、かつ、噴射パルス幅に対して噴射量が比例的に変化する直線性領域の最小噴射量(噴射パルス幅に対する噴射量の特性ばらつきがない最小噴射量)以上の噴射パルス幅で1回当たりの噴射を行えるような分割回数に設定することが好ましい。
このようにして分割噴射回数を設定すれば、分割噴射回数をなるべく多く設定しつつ噴射精度を維持できるので、壁面への燃料の付着を抑制して要求の燃料量を噴射させることができる。
尚、吸気バルブ105や吸気ポート壁面などの温度が低い条件では、気化性能が低下するので、より分割噴射回数を多くすることが好ましく、例えば、吸気バルブ105の温度や機関101の冷却水温度などから、温度が低いほど分割噴射回数をより多くすることができる。
また、初回の燃料噴射において、吸気ポート壁面への燃料付着を抑制し、より多くの燃料を筒内に導入させるための手段として、噴霧形状の切り替えを実行させることができる。
具体的には、燃料噴射弁106の噴霧角を切り替えるものであり、アイドルストップ状態からの再始動における初回噴射時には、噴霧角を狭角に設定し、2回目以降の噴射時には、噴霧角を広角にすることで、始動性の向上とその後の運転持続性が確保される。
噴霧角の切り替え可能な燃料噴射弁としては、例えば、特開2000−097128号公報に開示されるように、燃料圧力によって噴霧角が変化する燃料噴射弁や、特開2006−022713号公報に開示されるように、電磁弁の開閉制御(アクチュエータの制御)によって噴霧角を変更できる燃料噴射弁を用いたりすることができる。
上記実施形態では、内燃機関101における燃料噴射弁106が吸気バルブ105の上流側に設けられる構成としたが、燃料噴射弁106が筒内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式内燃機関において、アイドルストップ開始条件の成立に基づき、内燃機関101の運転中とは異なるアイドルストップ中の目標燃圧に向けて変化させる場合に、停止移行期間においてそのときの機関回転速度NEに応じた燃圧に制御させることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)吸気バルブのバルブタイミング及び/又は最大バルブリフト量を可変にする可変動弁機構を備え、かつ、燃料噴射弁が前記吸気バルブの上流側に配置される内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関を所定停止条件で停止させ、かつ、所定始動条件で再始動させる自動停止手段と、
前記自動停止において吸気行程途中で停止した気筒に対して、再始動時の初回の燃料噴射を行わせる燃料噴射開始手段と、
前記吸気行程途中の停止状態における吸気バルブのバルブリフト量を増大させるように、前記所定停止条件の成立後に前記可変動弁機構を制御するバルブリフト量制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
上記構成では、所定停止条件の成立後に可変動弁機構を制御することで、吸気行程途中の停止状態における吸気バルブのバルブリフト量を増大させるから、再始動時に、吸気行程途中で停止した気筒の筒内に燃料が導入され易くなり、燃焼性が向上する。
(ロ)燃料噴射弁が吸気バルブの上流側に配置される内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関を所定停止条件で停止させ、かつ、所定始動条件で再始動させる自動停止手段と、
前記吸気バルブの温度を検出又は推定する温度検出手段と、
前記自動停止中における燃料圧力を、前記吸気バルブの温度に応じて可変に制御する停止中燃圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
上記構成では、吸気バルブの温度による気化性能の違いに対応して、停止中の燃圧が適切な値に制御され、再始動初回の噴射による燃焼性を向上できる。
(ハ)前記自動停止中における燃料圧力を、前記所定始動条件での再始動時の最初の燃料噴射完了まで保持させる燃圧保持手段を設けたことを特徴とする請求項1,2又は(ロ)記載の内燃機関の制御装置。
上記構成によると、再始動時の最初の燃料噴射を最適な圧力で行わせ、その後の2回目以降の噴射での燃圧要求値に制御させることができる。
(ニ)前記再始動時の最初の燃料噴射完了後の燃圧を、吸気バルブの温度に応じて可変に制御する始動後燃圧制御手段を設けたことを特徴とする請求項(ハ)記載の内燃機関の制御装置。
上記構成によると、始動後の燃料圧力を、吸気バルブの温度による気化性能の違いに対応して適切に制御できる。
(ホ)車両停止中に自動停止要求が発生した時に、吸気通路に備えた燃料噴射弁からの燃料噴射を停止して内燃機関を自動停止する自動停止手段と、
前記自動停止中に自動始動要求が発生してから前記燃料噴射弁からの燃料噴射を開始して自動始動を行う自動始動手段を備えた内燃機関の制御装置において、
前記自動停止中に第1所定燃料圧力となるように燃料圧力を制御する停止時燃料圧力制御手段と、
前記自動始動要求に基づいて、機関回転開始前に前記第1所定燃料圧力に制御されている状態で前記燃料噴射弁からの燃料噴射を開始する燃料噴射開始手段と、
前記自動始動要求に基づく機関回転開始後に燃料圧力を前記第1所定燃料圧力よりも低い第2所定燃料圧力となるように燃料圧力を制御する自動始動時燃料圧力制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
上記構成によると、機関回転開始前の吸気流速の遅い状態に適した高い燃料圧力で最初の燃料噴射を行わせることができ、更に、回転開始後の吸気流速が速くなったときには、燃料圧力を低下させることで過剰な燃料噴射を抑止し、始動性及び運転継続性を向上させることができる。