JP5365477B2 - 表面硬化処理用鋼材 - Google Patents
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DI=0.311×C0.5×(1+0.64×Si)×(1+4.10×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+3.14×Mo)×{1+1.5×(0.90−C)}・・・(1)。
DI=0.311×C0.5×(1+0.64×Si)×(1+4.10×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+3.14×Mo)×{1+1.5×(0.90−C)}・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
Cは、シャフト、ギヤなど表面硬化部品の生地の強度を確保するのに必要な元素であり、その含有量が0.10%未満では添加効果に乏しい。一方、その含有量が0.30%を超えると、前記表面硬化部品の生地の靱性が低下する。したがって、Cの含有量を0.10〜0.30%とした。なお、Cの含有量は0.12%以上、0.25%以下であることが好ましい。
Siは、脱酸作用を有する元素であるが、含有量が過剰になると加工性の低下をきたす。さらに、Siは、浸炭処理した部品の表面部に粒界酸化層を生成させて疲労強度の低下を招く。そのため、Siの含有量は0.35%以下とした。望ましいSiの含有量は0.30%以下である。
Mnは、焼入れ性を向上させる作用を有する。この効果を得るには、0.15%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnの含有量が1.5%を超えると、被削性が低下する。したがって、Mnの含有量を0.15〜1.5%とした。なお、Mnの含有量は0.30%以上、1.2%以下であることが好ましい。
Pは、靱性を低下させる不純物であり、その含有量が多くなると靱性の低下が著しくなるため、その含有量は0.04%以下とした。なお、望ましいPの含有量は0.03%以下である。
Sは、被削性を向上させる作用を有する。この効果を得るには、0.001%以上のS含有量が必要である。しかしながら、Sの含有量が0.07%を超えると、冷間鍛造性および熱間加工性の低下をきたし、さらに、シャフト、ギヤなど表面硬化部品における表面硬化層の靱性が低下する。したがって、Sの含有量を0.001〜0.07%とした。なお、Sの含有量は0.01%以上、0.05%以下であることが好ましい。
Crは、シャフト、ギヤなど表面硬化部品の生地の焼入れ性を向上させる効果を有する。上記の効果を得るためには、1.5%以上のCrを含有させる必要がある。しかしながら、Crの含有量が3.0%を超えると、被削性が劣化する。したがって、Crの含有量を1.5〜3.0%とした。なお、Crの含有量は1.6%以上、2.5%以下であることが好ましい。
Alは、Nと結合してAlNを形成し、オーステナイト領域での結晶粒粗大化を抑制する作用がある。上記の効果を得るためには、0.02%以上のAlを含有させる必要がある。しかしながら、Alの含有量が0.05%を超えると、疲労破壊の起点となる巨大なアルミナ介在物を生成し、疲労強度の低下をきたす場合がある。したがって、Alの含有量を0.02〜0.05%とした。
Nは、Alと結合してAlNを形成し、オーステナイト領域での結晶粒粗大化を抑制する作用がある。この効果を得るために、Nの含有量を0.0035%以上とする必要がある。しかしながら、Nの含有量が過剰になって0.0100%を超えると、冷間鍛造性の低下をきたし、さらに、Bと結合してBNを形成するので、後述するBの焼入れ性向上効果が不十分になってしまう。そのため、Nの含有量を0.0035〜0.0100%とした。
Tiは、CおよびNとともに炭窒化物を形成し、その粒界ピン止め作用によって粗粒化を抑制する作用を有する。しかしながら、Tiの含有量が0.005%未満では、耐粗粒化効果が乏しく、一方、0.10%を超えると、冷間鍛造性の低下を招く。そのため、Tiの含有量を0.005〜0.10%とした。なお、Tiの含有量は0.01%以上、0.05%以下であることが好ましい。
Bは、微量で鋼材の焼入れ性を向上させる作用を有しており、さらに結晶粒界を強化して低サイクル曲げ疲労強度を向上する作用も有している。しかしながら、Bの含有量が0.0005%未満では十分な焼入れ性向上効果が得られない。一方、0.0050%を超えるBを含有させてもその効果が飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Bの含有量は、0.0005〜0.0050%とした。なお、Bの含有量は0.001%以上、0.003%以下であることが好ましい。
C、Si、Mn、P、S、CrおよびMoは、低サイクル曲げ疲労特性および、浸炭処理や浸炭窒化処理などの表面処理後の焼入れにおいて生じる熱処理歪に影響を及ぼす元素であって、それぞれの含有量が適正な範囲にあり、しかも、前記の(1)式で表されるDI、つまり、〔0.311×C0.5×(1+0.64×Si)×(1+4.10×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+3.14×Mo)×{1+1.5×(0.90−C)}〕が4.1〜20.0の範囲にあることが必要である。
表面処理後の焼入れにおいて生じる熱処理歪を低減するためには、前記の(1)式で表されるDIが上記の4.1〜20.0の範囲であることに加えて、鋼材の横断面内におけるDIの標準偏差が0.25以下でなければならない。たとえDIが4.1〜20.0の範囲にあっても、鋼材の横断面内におけるDIの標準偏差が0.25を超えると、焼入れ性が部分的に高くなって、浸炭、浸炭窒化など表面処理後の焼入れ熱処理歪を低減することができなくなるからである。鋼材の横断面内におけるDIの標準偏差は0.22以下であることが好ましい。
Nbは、前記Tiと同様に、CおよびNとともに炭窒化物を形成し、その粒界ピン止め作用によって粗粒化を抑制する作用を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になって0.07%を超えると、冷間鍛造性の低下を招く。したがって、含有させる場合のNbの含有量を0.07%以下とした。なお、Nbの含有量は0.05%以下であることが好ましい。
Vは、前記TiおよびNbと同様に、CおよびNとともに炭窒化物を形成し、その粒界ピン止め作用によって粗粒化を抑制する作用を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Vの含有量が過剰になって0.08%を超えると、冷間鍛造性の低下を招く。したがって、含有させる場合のVの含有量を0.08%以下とした。なお、Vの含有量は0.05%以下であることが好ましい。
Moは、焼入れ性を向上させる作用およびシャフト、ギヤなど表面硬化部品における生地の硬さを向上させる作用を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が過剰になって0.50%を超えると、冷間鍛造性の低下をきたす。したがって、含有させる場合のMoの含有量を0.50%以下とした。なお、Moの含有量は0.40%以下であることが好ましい。
鋼1〜5および鋼7については、各3分割したうちの1つのインゴットを用いて、また、鋼6については、150kgインゴットを3分割したうちの1つのインゴットを用いて、さらに、鋼8および鋼9については、鋳造ままのインゴットを用いて、いずれも、1250℃で5時間保持してから熱間鍛造して直径30mmの丸棒を作製した。
前記(実施例1)で用いた残りのインゴット、つまり、鋼1〜5および鋼7の各3分割したうちの残りのインゴット、鋼6の150kgインゴットを3分割したうちの残り2つのインゴットと50kgインゴットを3分割した全3つのインゴット、鋼10〜12の50kgインゴットを3分割した全3つのインゴットおよび鋼10の150kgインゴットを3分割した全3つのインゴットについて、1250℃で2〜8時間保持してから熱間鍛造して直径30mmの丸棒を作製した。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.35%以下、Mn:0.15〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.001〜0.07%、Cr:1.5〜3.0%、Al:0.02〜0.05%、N:0.0035〜0.0100%、Ti:0.005〜0.10%およびB:0.0005〜0.0050%を含有し、下記の(1)式で表されるDIの範囲が4.1〜20.0、かつ、横断面内におけるDIの標準偏差が0.25以下であって、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有することを特徴とする表面硬化処理用鋼材。
DI=0.311×C0.5×(1+0.64×Si)×(1+4.10×Mn)×(1+2.83×P)×(1−0.62×S)×(1+2.33×Cr)×(1+3.14×Mo)×{1+1.5×(0.90−C)}・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.07%以下およびV:0.08%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の表面硬化処理用鋼材。
- Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.50%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面硬化処理用鋼材。
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JP2009258551A JP5365477B2 (ja) | 2009-11-12 | 2009-11-12 | 表面硬化処理用鋼材 |
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