JP5258458B2 - 耐高面圧性に優れた歯車 - Google Patents
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Cは歯車として必要な芯部硬さを確保する上で重要な元素である。C量が0.15%未満であると、芯部硬さが不足することにより、歯車としての静的強度が不足する。そこでC量を0.15%以上と定めた。C量は好ましくは0.17%以上であり、より好ましくは0.18%以上である。一方、C量が過剰になると、硬さが過度に高くなって鍛造性や被削性が低下する。そこでC量を0.25%以下と定めた。C量は好ましくは、0.22%以下であり、より好ましくは0.20%以下である。
Siは固溶強化元素として強度向上に寄与し、0.2%耐力も向上させる。強度を向上させ、0.2%耐力を向上させることにより、所定以上のアークハイト量のショットピーニングを行った場合でも歯先のダレや歯面の荒れを抑制することができる。このような効果を発揮させるためSi量を0.50%以上と定めた。Si量は好ましくは0.6%以上である。一方、Si量が過剰になると被削性、冷間加工性および熱間加工性に悪影響を与える。そこでSi量を1.6%以下と定めた。Si量は好ましくは1.5%以下である。
Mnは脱酸剤として作用し、酸化物系介在物量を低減して鋼材の品質を高める作用を有する。また、焼入れ性を向上させ歯車の芯部硬さや硬化層深さを高め、歯車の強度を確保するのに有効な元素である。そこでMn量を0.3%以上と定めた。Mn量は好ましくは0.35%以上である。一方、Mn量が過剰になると縞状の偏析が顕著となり、材質のバラツキが大きくなる結果、冷間加工性に悪影響を与える。従ってMn量を2%以下と定めた。Mn量は好ましくは1.6%以下であり、より好ましくは1.0%以下(特に0.7%以下)である。
Pは鋼材中に不可避的に含まれる元素であり、結晶粒界に偏析して歯車の衝撃特性を低下させる元素である。そこでP量を0.02%以下と定めた。P量は好ましくは0.018%以下、より好ましくは0.015%以下(特に0.01%以下)である。
Sは、Mnと結合してMnS系介在物を形成し、歯車の疲労強度、衝撃強度を低下させる元素であるため、できるだけ低減することが好ましい。従ってS量を0.03%以下と定めた。S量は好ましくは0.02%以下、より好ましくは0.015%以下である。一方、Sは切削性を向上させる作用を有するため、積極的に0.005%程度含有させることも好ましい。
Crは焼入性を高め、歯車の芯部硬さや硬化層深さを高め、歯車の静的強度および疲労強度を確保する上で重要な元素である。こうした作用を発揮させるため、Cr量を0.5%以上と定めた。Cr量は好ましくは0.7%以上、より好ましくは1%以上である。一方、Cr量が過剰になると被削性および鍛造性の劣化を招く。そこでCr量を2%以下と定めた。Cr量は好ましくは1.5%以下であり、より好ましくは1.2%以下である。
Alは脱酸剤として作用し、酸化物系介在物を低減して鋼材の内部品質を高める作用を有するため、0.01%程度(より好ましくは0.02%程度)含有させることが好ましい。一方、Al量が過剰になると粗大で硬いAl2O3が生成し、疲労特性を低下させる。そこでAl量を0.1%以下と定めた。Al量は好ましくは0.07%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
Nは鋼材に不可避的に含まれる元素であるが、NはTi等と結合してTiN介在物等を生成し、切削性や転動疲労強度を低下させるとともに、鋼材の硬さ、変形抵抗を増大させ鍛造性を低下させる。そこでN量を0.03%以下と定めた。N量は好ましくは0.02%以下であり、より好ましくは0.015%以下である。
Moは鋼材の焼入れ性を向上させる作用を有し、さらに耐衝撃強度の向上に有効な元素である。こうした作用を発揮させるため、Mo量を0.08%以上と定めた。Mo量は好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.15%以上である。一方、Mo量が過剰になると母材の硬さが硬くなり被削性が低下する。また、Moは高価な元素であるためコストアップの原因ともなる。そこでMo量を0.8%以下と定めた。Mo量は好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.3%以下(特に0.25%以下)である。
Bは微量で鋼材の焼入れ性を著しく向上させる作用を有し、さらに結晶粒界を強化して衝撃強度を高める作用を有する元素である。そこでB量を0.0005%以上と定めた。B量は好ましくは0.001%以上である。一方、B量が過剰になるとBN等のほう化物が析出し、疲労破壊の起点となって寿命を低下させる。そこでB量を0.005%以下と定めた。B量は好ましくは0.003%以下である。
浸炭では、炭化物を生じない範囲で、表面C濃度を0.80%以上にする。
ショットピーニングは、アークハイト値が0.5mmA以上となるようにする。所定以上のアークハイト量のショットピーニングを行うことによって変態残留オーステナイト量を十分に確保することができ、その結果加工誘起変態マルテンサイト量が多量に生成し、歯車の初期硬さを向上させることができる。好ましいアークハイト値は0.50mmA以上である。アークハイト値の上限は特に限定されないが1.0mmA程度であってもよい。
ショット方式:空気式
ショット粒:直径:0.6〜0.8mm、硬さ:600〜800HV
表面C濃度の測定は、前記熱間鍛造後の棒状材を、φ26.02mm×130mmの形状に加工した後、上記同様に浸炭焼入れ・焼戻しし、表面を10μm研磨した試験片を用いた。前記試験片の、表面〜深さ50μmと、表面からの深さが50〜100μmからそれぞれ切粉サンプルを採取し、CS600型炭素硫黄分析装置(LECO社製)によってC濃度を測定した。表面〜深さ50μmのC濃度と、表面からの深さが50〜100μmのC濃度の平均値を、表面C濃度とした。
炭化物面積率は、前記試験片cの長手方向の中央部を横断で切断し、表面から深さ50μmの位置を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。任意の9μm×12μmの視野を、倍率8000倍で観察し、画像解析ソフトで炭化物の部分を識別し面積率を求めた。測定は3視野行い、それら3視野の算術平均を炭化物の面積率とした。
残留オーステナイト量の面積率は、ショットピーニング前(浸炭焼入れ焼き戻し後)と、ショットピーニング後の試験片についてそれぞれ測定した。ショットピーニング前の試験片については、前記試験片aの中央部を電解研磨によって表面から60μm研磨し、微小部X線測定装置(リガク製)を用いて、残留オーステナイトの面積率を測定した。ショットピーニング後の試験片の残留オーステナイト面積率については、前記試験片bの中央部を電解研磨によって表面から60μm研磨し、前記微小部X線測定装置を用いて測定した。ショットピーニング前、後ともに、測定は3箇所について行った。ショットピーニング前、後それぞれについて前記3箇所の測定値の算術平均を求め、それぞれショットピーニング前、後の残留オーステナイト量(面積率)とした。
表面粗さは、表面粗さ測定機(小坂研究所製、SE3300)を用い、前記試験片bの長手方向中央部を、軸芯に対して90°毎に4ヶ所測定し、それぞれ算術平均粗さを求めた。それら4箇所の算術平均粗さの平均値を表面平均粗さとした。表面平均粗さが2.0μm以下を合格とした。
剥離寿命の測定は、前記試験片cを用い、二円筒試験機(コマツエンジニアリング製、RP201型)によって行った。試験条件は、面圧:3.0GPa、回転速度:1500rpm、相対すべり率:60%、油温:90℃で行った。寿命は、一般的な肌焼鋼であるSCr420Hの0.75%浸炭品(ショットピーニング無し)の寿命を1とした場合の寿命比で評価した。
Claims (4)
- C :0.15〜0.25%(質量%の意味。以下、化学成分組成について同じ。)、
Si:0.50〜1.6%、
Mn:0.3〜2%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.03%以下(0%を含まない)、
Cr:0.5〜2%、
Al:0.1%以下(0%を含まない)、
N :0.03%以下(0%を含まない)
を含有し、残部は鉄および不可避不純物である鋼で形成された歯車を、
炭化物を生じることなく浸炭して表面C濃度を0.80%以上とし、焼入れ・焼戻しした後、
アークハイト値が0.5mmA以上のショットピーニングをし、
前記ショットピーニングにより、表面組織に占める割合で10面積%以上の残留オーステナイトを加工誘起マルテンサイト変態させたことを特徴とする耐高面圧性に優れた歯車の製造方法。 - 前記鋼は、更に
Mo:0.08〜0.8%を含有する請求項1に記載の製造方法。 - 前記鋼は、更に
B :0.0005〜0.005%、
Nb:0.01〜0.1%、
Ti:0.01〜0.1%
よりなる群から選ばれる少なくとも一種以上を含有する請求項1または2に記載の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の成分の鋼からなり、浸炭されている歯車であって、
表面C濃度が0.80%以上であり、
表面の炭化物が0面積%であるとともに、
表面のビッカース硬さが880Hv以上であることを特徴とする耐高面圧性に優れた歯車。
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