JP5239764B2 - エンジンの排気系構造 - Google Patents
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Description
その一例として、以下の特許文献1においては、同文献の図1に示されるように、ノズル(2)から排気通路(7)内へ燃料を噴射する技術が挙げられる。
また、同文献の図3に開示されるように、ノズル(2)からの燃料噴射方向は、図2および図3中矢印(C)として示されるように、膨出部(1)の内周面(1a)に沿って生じた排気流れ(B)に向かうように設定されている。
もちろん、この特許文献1の技術によっても、排ガスを浄化するという効果を得ることは出来ようが、近年、環境保護の観点から、排ガス性能のさらなる向上が強く求められている。
この試作構造100においては、略Y字形状に形成された排気接続管101が設けられている。
また、この排気接続管101における一方の入口102には、エンジン(図示略)に備えられたターボチャージャ(図示略)の排気出口(図示略)が接続されている。
そして、この排気接続管101における出口105には、排気通路106が接続されている。
また、この排気通路106内には、酸化触媒107が設けられ、さらに、この酸化触媒107の下方にNOxトラップ触媒108が配設されている。
しかしながら、噴射燃料の貫徹力を確保すると、インジェクタ104から噴射された燃料と排ガスとが排気接続管106内で十分に撹拌されず、酸化触媒107およびNOxトラップ触媒108の一部へ直接的に流入してしまう事態が生じる。
さらに、酸化触媒107の一部へ直接的に流入した燃料は、その後、酸化触媒107内で気化することになる。このとき、燃料の気化熱により、酸化触媒107の温度を部分的に低くしてしまうこととなり、排ガスの浄化効率がさらに低下してしまう。
ここで、図4は、酸化触媒107またはNOxトラップ触媒108の水平断面(図3中、符号CS1,CS2およびCS3参照)を上方から見た場合を示すものである。また、この図4中、P1〜P5で示す部分のうち、部分P1および部分P2において、極めてリッチ雰囲気の排ガスが流れた、或いは、気化しなかった燃料が液体のまま流れたものとする。
図5(A)で示すように、酸化触媒107の第1水平断面CS1における部分P1(一点鎖線参照)および部分P2(二点鎖線参照)は、酸化触媒107に付着した燃料の気化熱によって、局所的に冷却されていることが分かる。
このように、酸化触媒107およびNOxトラップ触媒108における温度分布の偏りは、これらの酸化触媒107およびNOxトラップ触媒108の全体に、リッチ雰囲気の排ガスがバランスよく供給されないことに起因して生じる。このため、酸化触媒107およびNOxトラップ触媒108による排ガスの浄化効率が低下し、排ガス性能を向上させることが困難になるのである。
また、ターボチャージャの下流側に生成される排ガスの旋回流と、内管の内周面において生成される燃料の旋回流とを同方向にしたことで、排ガスと燃料との撹拌をより促進することが出来る。(請求項1)
また、排気管の下流側に触媒を設けた場合であっても、この触媒の一部に比較的多くの燃料が偏って流れ込む事態が生じることを防ぐことが出来る。(請求項2)
図1および図2に示すように、車両10に搭載されたディーゼルエンジン(エンジン)11には、ターボチャージャ12が備えられている。
ターボチャージャ12は、図示しないタービン−コンプレッサを有し、ディーゼルエンジン11から排出された排ガスによりこのタービン−コンプレッサを回転させることで、ディーゼルエンジン11の吸気過給を行なうことが出来るようになっている。
さらに、この第1排気管14の出口16には、パンチングメタル19が設けられている。このパンチングメタル19は、複数の穴部が形成された金属板であって、これらの穴部を排ガスが通過する際に、排ガスの流れを乱すことが出来るようになっている。
第2排気管17には、酸化触媒(排気触媒)21が設けられるとともに、この酸化触媒21の下流側で且つこの酸化触媒21の下方にはNOxトラップ触媒(排気触媒)22が設けられている。
そして、第1排気管14の入口15の近傍には、内管23が設けられている。
この内管23は、第1排気管14の入口内径D1よりも小さな内径D2を有するように形成されている。
さらに、この内管23には、燃料導入穴25が穿設されている。この燃料導入穴25は、第1排気管14の入口15の近傍に設けられたインジェクタ(燃料噴射装置)26から噴射された燃料(図1中符号F参照)を、内管23の内周面23Bに導入する穴部である。
また、上述の支持部材24は、それぞれ、内管23の内周面(内管内周面)23Bにおいて、被噴射部分Pfを避けるように設けられている。ここで、内管内周面23Bにおける被噴射部分Pfとは、燃料通路27および燃料導入穴25を通じて導入された燃料(図1中符号F参照)が当たる部分である。つまり、インジェクタ26から噴射された燃料は、まず、この内管23の内周面23Bにおける被噴射部分Pfに衝突するようになっている。
また、図2に示すように、インジェクタ26による燃料噴射方向C26と、内管23の中心C23とが、所定距離L1オフセットするように設定されている。これにより、インジェクタ26によって噴射された燃料は、概ね、内管23の内周面23Bに沿って流れることとなり、内管23の内周面23Bにおいて燃料の旋回流(図2中、矢印Fr参照)を生成し易くすることが出来るようになっている。なお、オフセットする方向は、燃料の旋回流がターボチャージャ12で生じる旋回流と同じ方向となるように設定する。
インジェクタ26が、第1排気管14中に燃料を噴射すると、この燃料は、燃料通路27および燃料導入穴25を通じて内管23の内周面23Bに導入される。
そして、内管23中に導入された燃料は、内管23の内周面23Bを沿って旋回流を形成し、このときに、ディーゼルエンジン11のターボチャージャ12から排出された排ガスと良好に撹拌される。
また、この第1排気管14における排ガス流路面積は、入口内径D1から出口内径18の間で、徐々に大きくなるように設定されているので、燃料と排ガスとを拡散させながら且つ撹拌させることが出来る(図1中矢印A4およびA5参照)。
また、内管23内で燃料と排ガスとが良好に攪拌されることで、内管23の下流側に酸化触媒21やNOxトラップ触媒22が設けられているが、これらの酸化触媒21およびNOxトラップ触媒22の一部に、比較的多くの燃料が偏って流れ込む事態が生じることを防ぐことが出来る。
つまり、排ガスと燃料との撹拌を良好に行なうことで、燃料の噴射量を必要最小限に抑制しながら、排ガス空燃比のバランスを保ちつつ、酸化触媒21やNOxトラップ触媒22の全体にリッチ化された排ガスを流入させることが出来る。したがって、NOxパージやSパージを実行した際に、NOxトラップ触媒22から効率よくNOxやSOxをパージさせることが可能となる。
これにより、酸化触媒21やNOxトラップ触媒22に流れ込む排ガスの温度が低下することを抑制し、これらの酸化触媒21やNOxトラップ触媒22を早期に活性化させることが可能となる。したがって、ディーゼルエンジン11の温度が低い場合(例えば、冷態始動時)においても、酸化触媒21やNOxトラップ触媒22による排ガス浄化を速やかに開始することが出来る。
また、図1に示すように、ディーゼルエンジン11と第1排気管14との間にはターボチャージャ12が設けられている。そして、内管23は、このターボチャージャ12に近接するように第1排気管14内に設けられている。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。その一例を以下に示す。
また、上述の実施形態においては、第1排気管14の出口16にパンチングメタル19が設けられた場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、このパンチングメタル19に換えて、第1排気管14の内周面14Aに突起部(図示略)を形成してもよい。つまり、この突起部(乱流生成手段)により、排ガスの流れを乱すことが可能になり、排ガスと燃料との攪拌をさらに促進させることが出来る。
また、上述の実施形態においては、支持部材24の一端が内管23の外周面23Aに溶接され、その他端が第1排気管14の内周面14Aに対して溶接されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、溶接に換えて圧入といった手法も採用し得る。
12 ターボチャージャ(過給器)
14 第1排気管(排気管)
17 第2排気管(排気管)
21 酸化触媒(排気触媒)
22 NOxトラップ触媒(排気触媒)
23 内管
24 支持部材
25 燃料導入穴
26 排気インジェクタ(燃料噴射装置)
D1 入口内径(排気管の内径)
D2 内管の内径
C23 内管の中心
G 隙間
Pf 被噴射部分
L1 オフセット距離
Claims (2)
- エンジンに接続された排気管中に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
該エンジンと該排気管との間に設けられたターボチャージャと、
該ターボチャージャに近接して設けられ、該排気管の内径よりも小さな内径を有し且つ該排気管中に設けられた内管と、
該内管と該排気管との間に排ガスが流入する隙間を形成しながら該排気管に対して該内管を支持する支持部材と、
該内管に穿設され該燃料噴射装置から噴射された燃料を該内管の内周面に導入する燃料導入穴とを備え、
該支持部材は、該内管内周面において該燃料導入穴を通じて導入された該燃料が噴射される被噴射部分を避けながら該排気管に対して該内管を支持し、
該燃料噴射装置による燃料噴射方向と該内管の中心とを所定距離オフセットさせ、噴射された該燃料を該ターボチャージャで生じる旋回流と同じ方向に該内管内で旋回させるように設定させた
ことを特徴とする、エンジンの排気系構造。 - 該内管よりも下流側における該排気管には該エンジンからの排ガスを浄化する排気触媒が設けられている
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの排気系構造。
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