JP5200898B2 - 転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Description
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、上記静止側軌道と上記回転側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備える。
又、上記状態量測定装置は、エンコーダと、上記静止側軌道輪に対し保持部材を介して支持固定されたセンサ装置と、演算器とを備える。
このうちのエンコーダは、上記回転側軌道輪の一部に直接又は他の部材を介して支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備える。そして、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この被検出面の特性が円周方向に関して変化する位相を、少なくともこの被検出面の幅方向一部分で、この幅方向に関して連続的に変化させている。
又、上記センサ装置は、複数個のセンサを備えたもので、これら各センサの検出部を上記被検出面に対向させると共に、このうちの少なくとも1個のセンサの検出部を、上記被検出面のうちで、上記特性変化の位相が幅方向に関して連続的に変化する部分に対向させた状態で、上記保持部材を上記静止側軌道輪に対し結合固定する事により、この静止側軌道輪に対し支持されている。且つ、上記各センサはそれぞれ、上記回転側軌道輪の回転に伴い、上記被検出面のうちで自身の検出部を対向させた部分の特性変化に対応してその出力信号を変化させる。
又、上記演算器は、上記各センサの出力信号に関する情報に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の状態量を算出する機能を有する。
この様な請求項1に記載した検査方法では、検査用エンコーダを用意する。この検査用エンコーダは、上記エンコーダの被検出面と同じ面形状(被検出面が円筒面の場合、この被検出面の直径が異なるものを含む)を有する(即ち、この被検出面が円筒面であれば円筒面の形状を有し、この被検出面が円輪面であれば円輪面の形状を有する)検査用被検出面を備える。そして、この検査用被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この検査用被検出面の円周方向に関する一部の領域を、特性変化の境界が、上記エンコーダの被検出面の特性変化の境界と同一の形状及び向きを有すると共に円周方向に関して既知のピッチで存在している、第一特性変化領域とし、同じく他の一部(残部)の領域を、特性変化の境界が、上記検査用被検出面の幅方向と平行な直線形状であると共に円周方向に関して既知のピッチで存在している、第二特性変化領域としている。そして、上記保持部材を上記静止側軌道輪に結合する以前に、上記検査用エンコーダの検査用被検出面に上記各センサの検出部を対向させた状態で、この検査用エンコーダをこれら各センサに対し一定の速度で回転させる。そして、この際に生じたこれら各センサの出力信号同士の間の位相差のうち、上記第一特性変化領域で生じた位相差(これら各センサの検出部がこの第一特性変化領域に対向している状態での位相差)に基づいて、これら各センサの出力信号同士の間の初期位相差特性{使用時に生じると考えられる初期位相差(若しくは初期位相差比)を表す特性}の適否を判定する。これと共に、上記第二特性変化領域で生じた位相差(上記各センサの検出部がこの第二特性変化領域に対向している状態での位相差)に基づいて、上記検査用エンコーダの回転方向(=上記エンコーダの円周方向)に関する、上記各センサ同士の位置関係の適否を判定する。
例えば、上記各センサが、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込んでいるが永久磁石を備えていない場合には、請求項2に記載した様に、上記検査用エンコーダを永久磁石製とする。そして、この検査用エンコーダの検査用被検出面にS極とN極とを、この検査用エンコーダの円周方向に関して交互に配置する。
或は、請求項4に記載した様に、上記検査用エンコーダを磁性材製とする。そして、この検査用エンコーダの検査用被検出面に凸部、舌片或は柱部等の充実部と、凹部、切り欠き或は透孔等の除肉部とを、この検査用エンコーダの円周方向に関して交互に配置する。これと共に、この検査用エンコーダを挟んで上記各センサの検出部と対向する位置に、永久磁石の磁極を配置する。
一方、上記各センサが、上述の様な磁気検知素子と共に永久磁石を備えているものである場合には、請求項3に記載した様に、上記検査用エンコーダを磁性材製とする。そして、この検査用エンコーダの検査用被検出面に凸部、舌片或は柱部等の充実部と、凹部、切り欠き或は透孔等の除肉部とを、この検査用エンコーダの円周方向に関して交互に配置する。
或は、請求項6に記載した様に、上記検査用エンコーダとして、上記検査用被検出面のうち円周方向に関して上記第一、第二両特性変化領域同士の間部分に、この検査用被検出面の幅方向両半部の周期特性をこれら第一、第二両特性変化領域の周期特性と異ならせた中間領域を設けたものを使用する。
或は、請求項7に記載した様に、上記検査用エンコーダとして、上記検査用被検出面のうち円周方向に関して上記第一、第二両特性変化領域同士の間部分に、位相差特性をこれら第一、第二両特性変化領域の位相差特性と異ならせた中間領域を設けたものを使用する。
或は、請求項8に記載した様に、上記検査用エンコーダとして、上記第一、第二両特性変化領域同士の周期特性を互いに異ならせたものを使用する。
又、本発明を実施する場合、請求項6に記載した構成を採用すれば、センサの出力信号の周期が、検査用被検出面に設けた中間領域に対応する部分で、第一、第二両特性変化領域に対応する部分と異なる長さになる。この為、この周期が異なる長さになった部分を目印として、センサの出力信号が、第一、第二両特性変化領域のうちの何れの領域で発生した出力信号であるかを判別し易くできる。
又、本発明を実施する場合、請求項7に記載した構成を採用すれば、各センサの出力信号同士の間の位相差(位相差比)が、検査用被検出面に設けた中間領域に対応する部分で、第一、第二両特性変化領域に対応する部分と異なる大きさになる。この為、この位相差が異なる大きさになった部分を目印として、各センサの出力信号同士の間の位相差が、第一、第二両特性変化領域のうちの何れの領域で発生した位相差であるかを判別し易くできる。
尚、上述した請求項5〜7に記載した構成を採用する場合に、検査用エンコーダの第一特性変化領域(第二特性変化領域)の円周方向両側に設ける1対の中間領域の周期特性又は位相差特性を、これら両中間領域同士で互いに異ならせれば、何れの領域で発生した出力信号又は位相差であるかの判別を、より容易に行える。又、本発明を実施する場合には、検査用エンコーダの第一特性変化領域(第二特性変化領域)の円周方向両側に設ける1対の中間領域として、互いに異なる構成の中間領域(上記請求項5〜7に記載した各中間領域のうちから選択した、互いに異なる1対の中間領域)を採用する事もできる。この様な構成を採用する場合も、何れの領域で発生した出力信号又は位相差であるかの判別を、より容易に行える。
更に、本発明を実施する場合、請求項8に記載した構成を採用すれば、各センサの出力信号の周期が、第一特性変化領域に対応する部分と第二特性変化領域に対応する部分とで、互いに異なる長さになる。この為、この周期の長さに基づいて、各センサの出力信号が、第一、第二両特性変化領域のうちの何れの領域で発生した出力信号であるかを判別し易くできる。
従って、上述した請求項5〜8に記載した構成を採用すれば、検査装置を構成する判定手段による判定ミスを生じにくくできる。
図1は、請求項1、2、9に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合には、前述の図10に示した転がり軸受ユニットの状態量測定装置を検査対象とする。そして、この検査対象に関して、1対のセンサ6a、6bを保持固定したカバー5を外輪1に結合する以前の状態で、これら各センサ6a、6bの出力信号同士の間の初期位相差特性{使用時に生じると考えられる初期位相差(若しくは初期位相差比)を表す特性}、並びに、円周方向に関するこれら各センサ6a、6b同士の位置関係の適否を判断する。
図2は、請求項1、3、9に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例は、1対のセンサ6a、6b(図1参照)が、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子と共に、永久磁石を備えている構造を対象とする例である。本例の場合には、上記各センサ6a、6bがそれぞれ永久磁石を備えている為、検査用エンコーダ10cとして、単なる磁性材製のものを使用する。即ち、この検査用エンコーダ10cは、軟鋼板等の磁性金属板により全体を円筒状に形成すると共に、検査用被検出面である、外周面の幅方向中間部に、それぞれがスリット状の透孔17a、17bと柱部18a、18bとを、円周方向に関して交互に配置している。そして、それぞれがこの検査用被検出面の円周方向両半部の領域である、第一、第二両特性変化領域15a、16aに於ける、上記各透孔17a、17bと上記各柱部18a、18bとの境界の形状及び向き並びに中心角ピッチを、それぞれ上述した第1例の検査用エンコーダ10bの境界の場合と同じ様に規制している。上記各センサ6a、6bの構成に合わせて、使用する検査用エンコーダ10cの構成を変えた点を除いて、その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
図3は、請求項1、4、9に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例も前述した第1例の場合と同様、1対のセンサ6a、6b(図1参照)が、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を備えてはいるが、永久磁石を備えていない構造を対象とする例である。本例の場合には、検査用エンコーダ10cとして、上述した第2例の場合と同じものを使用する。そして、検査を実施する際には、図3に示す様に、上記検査用エンコーダ10cの内径側に、径方向に関して両端にS極とN極とを備え、検査時にも回転しない部分に支持固定された、永久磁石19を配置する。又、この状態で、この永久磁石19の何れか一方の磁極(図示の例ではS極)を、上記検査用エンコーダ10cの内周面のうち、円周方向に関して上記各センサ6a、6bの検出部と同位相の部分に近接対向させる。言い換えれば、上記永久磁石19の何れか一方の磁極を、上記各センサ6a、6bの検出部に対し、上記検査用エンコーダ10cの円周方向一部分を挟んで対向させる。これにより、上記検査用エンコーダ10cを上記各センサ6a、6b及び永久磁石19に対して回転させた場合に、この永久磁石19の磁力に基づいて、上記各センサ6a、6bの出力信号を変化させられる様にしている。尚、本例の場合には、上記永久磁石19単体で磁束密度にむらが生じない様にする為に、上記検査用エンコーダ10cの検査用被検出面の円周方向に関する、上記永久磁石19の幅を、上記第一、第二両特性変化領域15a、16aに於ける特性変化の1ピッチ分の長さとほぼ等しくしている。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様である。
尚、上記中間領域B1の幅方向他半部に設ける特性変化の境界の形態は、上記第二特性変化領域A2の幅方向他半部に存在する特性変化の境界の形態と同じにする事もできる。
2 ハブ
3 転動体
4、4a エンコーダ
5 カバー
6a、6b センサ
7、7a 芯金
8、8a エンコーダ本体
9 ホルダ
10、10a、10b、10c 検査用エンコーダ
11 取付フレーム
12 取付孔
13 芯金
14、14a、14b 検査用エンコーダ本体
15、15a 第一特性変化領域
16、16a 第二特性変化領域
17 透孔
18 柱部
19 永久磁石
A1 第一特性変化領域
A2 第二特性変化領域
B1〜B5 中間領域
E1〜E5 検査用エンコーダ
S1、S2 センサ
Claims (9)
- 転がり軸受ユニットと、状態量測定装置とを備え、
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、上記静止側軌道と上記回転側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
上記状態量測定装置は、エンコーダと、上記静止側軌道輪に対し保持部材を介して支持固定されたセンサ装置と、演算器とを備え、
このうちのエンコーダは、上記回転側軌道輪の一部に直接又は他の部材を介して支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この被検出面の特性が円周方向に関して変化する位相を、少なくともこの被検出面の幅方向一部分で、この幅方向に関して連続的に変化させており、
上記センサ装置は、複数個のセンサを備えたもので、これら各センサの検出部を上記被検出面に対向させると共に、このうちの少なくとも1個のセンサの検出部を、上記被検出面のうちで、上記特性変化の位相が幅方向に関して連続的に変化する部分に対向させた状態で、上記保持部材を上記静止側軌道輪に対し結合固定する事により、この静止側軌道輪に対し支持されており、且つ、上記各センサはそれぞれ、上記回転側軌道輪の回転に伴い、上記被検出面のうちで自身の検出部を対向させた部分の特性変化に対応してその出力信号を変化させるものであり、
上記演算器は、上記各センサの出力信号に関する情報に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の状態量を算出する機能を有するものである、
転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関して、
上記各センサの出力信号同士の間の初期位相差特性と、上記エンコーダの円周方向に関する上記各センサ同士の位置関係とが、それぞれ適正であるか否かを検査する転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法であって、
上記エンコーダの被検出面と同じ面形状を有する検査用被検出面を備え、この検査用被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この検査用被検出面の円周方向に関する一部の領域を、特性変化の境界が、上記エンコーダの被検出面の特性変化の境界と同一の形状及び向きを有すると共に円周方向に関して既知のピッチで存在している、第一特性変化領域とし、同じく他の一部の領域を、特性変化の境界が、上記検査用被検出面の幅方向と平行な直線形状であると共に円周方向に関して既知のピッチで存在している、第二特性変化領域とした検査用エンコーダを用意し、上記保持部材を上記静止側軌道輪に結合する以前に、この検査用エンコーダの検査用被検出面に上記各センサの検出部を対向させた状態で、この検査用エンコーダをこれら各センサに対し一定の速度で回転させ、この際に生じたこれら各センサの出力信号同士の間の位相差のうち、上記第一特性変化領域で生じた位相差に基づいて、上記各センサの出力信号同士の間の初期位相差特性の適否を判定すると共に、上記第二特性変化領域で生じた位相差に基づいて、上記検査用エンコーダの回転方向に関する上記各センサ同士の位置関係の適否を判定する、
転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。 - 検査用エンコーダが永久磁石製であって、この検査用エンコーダの検査用被検出面にS極とN極とを、この検査用エンコーダの円周方向に関して交互に配置している、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 各センサが永久磁石を備えたものであると共に、検査用エンコーダが磁性材製であって、この検査用エンコーダの検査用被検出面に充実部と除肉部とを、この検査用エンコーダの円周方向に関して交互に配置している、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 検査用エンコーダが磁性材製であって、この検査用エンコーダの検査用被検出面に充実部と除肉部とを、この検査用エンコーダの円周方向に関して交互に配置しており、この検査用エンコーダを挟んで各センサの検出部と対向する位置に、永久磁石の磁極を配置している、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 検査用エンコーダとして、検査用被検出面のうち円周方向に関して第一、第二両特性変化領域同士の間部分に、この検査用被検出面の幅方向片半部の周期特性をこれら第一、第二両特性変化領域の周期特性と異ならせた中間領域を設けたものを使用する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 検査用エンコーダとして、検査用被検出面のうち円周方向に関して第一、第二両特性変化領域同士の間部分に、この検査用被検出面の幅方向両半部の周期特性をこれら第一、第二両特性変化領域の周期特性と異ならせた中間領域を設けたものを使用する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 検査用エンコーダとして、検査用被検出面のうち円周方向に関して第一、第二両特性変化領域同士の間部分に、位相差特性をこれら第一、第二両特性変化領域の位相差特性と異ならせた中間領域を設けたものを使用する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 検査用エンコーダとして、第一、第二両特性変化領域同士の周期特性を互いに異ならせたものを使用する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法。
- 請求項1〜8のうちの何れか1項に記載した転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査方法を実施する為、少なくとも、検査用エンコーダと、保持部材を支持する支持手段と、この検査用エンコーダの検査用被検出面にこの保持部材に保持された各センサの検出部を対向させた状態で、この検査用エンコーダをこれら各センサに対し一定の回転速度で回転させる回転駆動手段と、これら各センサの出力信号同士の間の位相差のうち、第一特性変化領域で生じた位相差に基づいて、これら各センサの出力信号同士の間の初期位相差特性の適否を判定すると共に、第二特性変化領域で生じた位相差に基づいて、上記検査用エンコーダの回転方向に関する上記各センサ同士の位置関係の適否を判定する判定手段とを備えた、転がり軸受ユニットの状態量測定装置の検査装置。
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