JP4957390B2 - 物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法 - Google Patents
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Description
尚、本発明に関連する刊行物として、特許文献5〜8及び非特許文献1がある。
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側軌道輪と、回転側軌道輪と、複数個の転動体とを備える。そして、このうちの静止側軌道輪は、静止側周面に複列の静止側軌道を有し、使用時にも回転しない。又、上記回転側軌道輪は、この静止側周面と径方向に対向する回転側周面に複列の回転側軌道を有し、使用時に回転する。更に、上記各転動体は、これら両列の回転側軌道と上記両列の静止側軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、それぞれ予圧を付与された状態で転動自在に設けられている。
このうちのエンコーダは、上記回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪と同心に結合固定された回転部材の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備える。そして、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。
又、上記センサは、検出部を上記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、回転しない部分に支持されていて、上記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させる。
更に、上記演算器は、上記センサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の相対変位と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の物理量を算出する機能を有する。
或いは、上記ゲインに影響する、転がり軸受ユニットに関する特性を、この転がり軸受ユニットの予圧とする。そして、この予圧又はこの予圧に関連するデータを演算器のメモリ中に記録する事で、この演算器が使用するゲインを、上記転がり軸受ユニットの予圧に対応したものとする。
尚、上記転がり軸受ユニットの剛性又は予圧は、この転がり軸受ユニット単体の状態で、この転がり軸受ユニットに振動を付与してこの転がり軸受ユニットの共振周波数を求める事により測定する。
この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、上記転がり軸受ユニットと物理量測定装置とを組み合わせると共に、上記外輪を懸架装置に支持固定し、ハブに車輪を結合固定した後、平坦面上で自動車の重量をこの車輪により支えた状態で、上記外輪と上記ハブとの間に、この自動車の走行状態で変動する外力が加わらず、これら外輪とハブとが中立位置に存在する状態で、センサの出力信号を演算器に取り込む。そして、この状態でのセンサの出力信号を、物理量が中立状態に存在する場合に於けるこの出力信号の値である零点として、演算器のメモリ中に記録する。
即ち、転がり軸受ユニットの剛性、或いは、この転がり軸受ユニットに付与されている予圧は、この転がり軸受ユニットを構成する静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位しにくさに影響する。具体的には、剛性が高い程、予圧が大きい程、外力が加わった状態での、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との相対変位量が少なくなる。逆に言えば、剛性が低い程、予圧が小さい程、外力が加わった状態での、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との相対変位量が多くなる。そして、同種の(型番が同じである)転がり軸受ユニットの場合、剛性或いは予圧が多少(実用上問題なく、転がり軸受ユニットとしての品質検査により合格とされる範囲で)変化しても、剛性或いは予圧と上記相対変位量との間には比例関係に近い、明確な関係が存在する。そして、この関係は、予め実験或いは解析により知る事ができる。
Ka=f(fa、α) −−− (1)
で求められる。
又、上記各転動体3、3に付与される予圧Faは、
Fa=f(Ka 、α) −−− (2)
で求められる。
尚、上述の様な、共振周波数から転がり軸受ユニットの剛性Kaや予圧Faを求める方法は、特許文献5〜7や非特許文献1等に記載されており、転がり軸受ユニットの技術分野で周知の技術である為、詳しい説明は省略する。
何れにしても、上記転がり軸受ユニットの仕様は既知であるから、この転がり軸受ユニットの共振周波数を測定できれば、この転がり軸受ユニットの剛性、更にはこの転がり軸受ユニットに付与されている予圧を推定できる。そして、この推定した予圧の値を利用する事により、物理量測定装置付転がり軸受ユニットを構成する演算器が、上記位相差比に基づいて上記アキシアル荷重を算出する際に使用するゲインを決定できる。
即ち、車輪支持用転がり軸受ユニットに関しては、従来から予圧管理を行なっているし、ABS制御用のエンコーダを組み込んだ回転速度測定装置付転がり軸受ユニットに関しては、従来からセンサの出力確認を、この回転速度測定装置付転がり軸受ユニットの製造工程内で行なっている。
そして、本発明を実施する場合に、上記予圧管理の工程を利用してゲインを得られるし、上記出力確認の工程を利用して、上記零点を得られる。この為、前述した特許文献4に記載した従来技術の様に、零点及びゲインを得る為に、専用の装置及び専用の工程を用意する必要がなくなり、上記物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造コストの低減を図れる。
2 ハブ
3 転動体
4、4a〜4c エンコーダ
5 カバー
6a、6b センサ
7 センサホルダ
8、8a、8b 透孔
9、9a、9b 柱部
10 第一特性変化部
11 第二特性変化部
Claims (4)
- 転がり軸受ユニットと物理量測定装置とを備え、
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に複列の静止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、この静止側周面と径方向に対向する回転側周面に複列の回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、これら両列の回転側軌道と上記両列の静止側軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、それぞれ予圧を付与された状態で転動自在に設けられた転動体とを備えたものであり、
上記物理量測定装置は、エンコーダと、少なくとも1個のセンサと、演算器とを備えたものであって、
このうちのエンコーダは、上記回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪と同心に結合固定された回転部材の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させており、
上記センサは、検出部を上記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、回転しない部分に支持されていて、上記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させるものであり、
上記演算器は、上記センサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の相対変位と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の物理量を算出する機能を有するものである、
物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法であって、
上記演算器が上記センサの出力信号に基づいて上記物理量を算出する際に使用する、この出力信号若しくはこの出力信号に応じて変化する値が変化する程度と、この物理量の大きさが変化する程度との関係であるゲインに影響する、上記転がり軸受ユニットに関する特性である、この転がり軸受ユニットの剛性又は予圧を、この転がり軸受ユニット単体の状態で、この転がり軸受ユニットに振動を付与してこの転がり軸受ユニットの共振周波数を求める事により測定して、上記剛性又はこの剛性に関連するデータ、又は、上記予圧又はこの予圧に関連するデータの記録を、当該転がり軸受ユニットと組み合わされた、上記物理量測定装置を構成する演算器のメモリ中に記録する事で、この演算器が使用するゲインを、上記転がり軸受ユニットの剛性又は予圧に対応したものとする事を特徴とする物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法。 - 転がり軸受ユニットと物理量測定装置とを組み合わせた後、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に運転状態で変動する外力が加わらず、これら両軌道輪同士が中立位置に存在する状態でセンサの出力信号を演算器に取り込み、この状態でのセンサの出力信号を、物理量が中立状態に存在する場合に於けるこの出力信号の値である零点として、演算器のメモリ中に記録する、請求項1に記載した物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法。
- 転がり軸受ユニットが、自動車の懸架装置に車輪を回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットであって、静止側軌道輪が、使用時に懸架装置に支持固定される外輪であり、回転側軌道輪が、車輪を結合固定した状態でこの車輪と共に回転するハブである、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法。
- 転がり軸受ユニットと物理量測定装置とを組み合わせると共に、外輪を懸架装置に支持固定し、ハブに車輪を結合固定した後、平坦面上で自動車の重量をこの車輪により支えた状態で、上記外輪と上記ハブとの間に、この自動車の走行状態で変動する外力が加わらず、これら外輪とハブとが中立位置に存在する状態でセンサの出力信号を演算器に取り込み、この状態でのセンサの出力信号を、物理量が中立状態に存在する場合に於けるこの出力信号の値である零点として、演算器のメモリ中に記録する、請求項3に記載した物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法。
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