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JP5297539B2 - 磁気センサ - Google Patents

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JP5297539B2
JP5297539B2 JP2011550890A JP2011550890A JP5297539B2 JP 5297539 B2 JP5297539 B2 JP 5297539B2 JP 2011550890 A JP2011550890 A JP 2011550890A JP 2011550890 A JP2011550890 A JP 2011550890A JP 5297539 B2 JP5297539 B2 JP 5297539B2
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Description

本発明は、外部磁界に対して電気抵抗値が変動する磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに関する。
磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサは例えば、携帯電話等の携帯機器に組み込まれる地磁気を検知する地磁気センサとして使用できる。
例えば下記特許文献には磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに関する発明が開示されている。特許文献には、磁気抵抗効果素子と永久磁石層とを有する磁気センサが開示されている。永久磁石層からのバイアス磁界により磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の磁化方向が一方向に揃えられる。
特開2006−66821号公報
外部磁界が磁気抵抗効果素子に流入するとフリー磁性層の磁化方向は外部磁界の方向に変化する。この結果、磁気抵抗効果素子の電気抵抗値は変動し、抵抗変化に基づき外部磁界を検知することが出来る。このため、前記外部磁界を適切に磁気抵抗効果素子へ導いて磁気感度に優れた構成とすることが必要であった。
また、複数の磁気抵抗効果素子を備えたブリッジ回路を構成する磁気センサでは、中点電位を揃えるために各磁気抵抗効果素子のTCR(温度係数)差を小さくすることが必要であった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、磁気抵抗効果素子に対して適切に外部磁界を流入できる磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサを提供することを目的とする。
本発明における磁気センサは、基板上に磁性層と非磁性層とが積層されて成る磁気抵抗効果を発揮する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の感度軸方向に対して直交する方向からの外部磁界を前記感度軸方向に変換して前記磁気抵抗効果素子に与える前記磁気抵抗効果素子と非接触の軟磁性体と、を有することを特徴とするものである。
これにより、磁気抵抗効果素子に対して、感度軸方向に適切に外部磁界を流入でき、良好な磁気感度を備えた磁気センサにできる。
本発明では、前記磁気抵抗効果素子のY方向が感度軸方向であり、前記磁気抵抗効果素子の前記Y方向の両側に、夫々、前記軟磁性体が設けられ、前記Y方向に直交するX方向から作用した外部磁界が、前記磁気抵抗効果素子の両側に配置された前記軟磁性体の間で前記Y方向に変換されて前記磁気抵抗効果素子に流入するように、前記磁気抵抗効果素子の一方の側面側に配置された第1軟磁性体と、他方の側面側に配置された第2軟磁性体とが互いに前記X方向にずれて配置されていることが好ましい。これにより、効果的に、磁気抵抗効果素子の感度軸方向に外部磁界を流入できる。
本発明では、前記第1軟磁性体と、前記第2軟磁性体とが、前記Y方向にて対向しないように前記X方向にずれて配置されていることが好ましい。
また本発明では、前記第1軟磁性体及び前記第2軟磁性体は、両軟磁性体の間で、前記外部磁界を感度軸方向に変換する端部を有し、前記第1軟磁性体の前記端部には、X1側に向くX1端面が設けられ、前記X1端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記一方の側面である第1側面のX1側縁部からX2方向に離れて位置しており、前記第2軟磁性体の前記端部には、X2側に向くX2端面が設けられ、前記X2端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記他方の側面である第2側面のX2側縁部からX1方向に離れて位置していることが好ましい。
また本発明では、前記第1軟磁性体の前記X1端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記第1側面のX方向における幅中心からY方向の線上に位置し、前記第2軟磁性体の前記X2端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記第2側面のX方向における幅中心からY方向の線上に位置していることがより好ましい。
本発明では上記により、外乱磁場耐性を効果的に改善することが可能である。
本発明では、前記磁気抵抗効果素子は、前記X方向に間隔を空けて配置された複数の素子部と、各素子部の間に配置された電極層とを有する前記X方向に延出形成された素子連設体を有して構成されており、各素子部の前記Y方向の両側に夫々、前記X方向にずれて配置された前記軟磁性体が配置されることが好ましい。これにより各素子部の感度軸方向に適切に外部磁界を流入できる。
また本発明では、前記X方向の一方を前方、他方を後方としたとき、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向しており、あるいは、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向していることが好ましい。
また本発明では、前記素子連設体は、前記Y方向に間隔を空けて複数設けられ、各素子連設体の端部同士が連結されてミアンダ形状で形成されており、各素子連設体の間には、隣り合う前記素子連設体にて兼用される複数の前記軟磁性体が前記X方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。上記により、各素子連設体のY方向への間隔を狭めることができ、磁気センサの小型化を促進できる。
また本発明では、前記磁気抵抗効果素子は、前記Y方向に間隔を空けて配置された複数の素子部と、各素子部の間に位置して、各素子間を繋ぐハードバイアス層とを有し、各素子部にX方向からのバイアス磁界が流入するとともに前記ハードバイアス層を介して接続された一方の前記素子部と、他方の前記素子部とに流入するバイアス磁界の方向が反対方向となるように、前記ハードバイアス層が各素子部のX1側端部間及びX2側端部間に交互に配置されており、各素子部の前記Y方向の両側に夫々、前記X方向にずれて配置された前記軟磁性体が配置されることが好ましい。このとき、各素子部のX1側端部及びX2側端部は、Y方向からX方向に向けて斜めに傾いていることが好ましい。これにより、出力特性のリニアリティを向上させることが可能である。
また本発明では、前記X方向の一方を前方、他方を後方としたとき、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向しており、あるいは、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向していることが好ましい。
また本発明では、前記素子部と前記ハードバイアス層とを有し、前記Y方向に延出形成された素子連設体が、前記X方向に間隔を空けて複数設けられ、各素子連設体の端部同士が連結されてミアンダ形状で形成されており、各素子連設体の間には、隣り合う前記素子連設体にて兼用される複数の前記軟磁性体が配置されていることが好ましい。
また本発明では、前記磁気抵抗効果素子は、X方向に間隔を空けて配置された複数の第1素子部と、前記第1素子部に対してX方向にずれるとともに前記X方向に直交するY方向に間隔を空けて配置された複数の第2素子部と、前記第1素子部と前記第2素子部との間を連結する電極層とを有する素子連設体を有して構成されており、
各素子部のY方向が感度軸方向であり、前記Y方向にて対向する各素子部の両側面に夫々、各素子部と非接触の前記軟磁性体が設けられており、
前記X方向から作用した外部磁界が、各素子部の両側に位置する前記軟磁性体の間で前記Y方向に変換されて各素子部に流入するように、各素子部の両側に位置する前記軟磁性体が夫々、前記X方向にずれて配置されている構成にすることも出来る。
上記において、前記素子連設体は、前記Y方向に間隔を空けて複数設けられ、各素子連設体のX側端部同士が接続されており、各素子連設体の間には、隣り合う前記素子連設体にて兼用される複数の前記軟磁性体が前記X方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。上記により、各素子連設体のY方向への間隔を狭めることができ、磁気センサの小型化を促進できる。
また本発明では、第1磁気抵抗効果素子、第2磁気抵抗効果素子、第3磁気抵抗効果素子及び第4磁気抵抗効果素子を備えたブリッジ回路にて構成され、
前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気検出素子は、入力端子に接続され、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子は、グランド端子に接続され、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子との間に第1出力端子、及び、前記第3磁気抵抗効果素子と前記第4磁気抵抗効果素子との間に第2出力端子が夫々接続されており、
各磁気抵抗効果素子は同一の膜構成で且つ各磁気抵抗効果素子に設けられる固定磁性層の固定磁化方向は同方向であり、
前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子に流入する外部磁界と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に流入する外部磁界とが、夫々逆方向となるように、前記第1磁気抵抗効果素子及び第4磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置とが異なっていることが好ましい。これにより、各磁気抵抗効果素子のTCR(温度係数)差を小さくでき、第1出力端子及び第2出力端子の中点電位差を効果的に小さくできる。
また本発明では、各磁気抵抗効果素子のY方向が感度軸方向であり、各磁気抵抗効果素子の前記Y方向の両側には、夫々、前記軟磁性体が設けられ、前記X方向から作用した外部磁界が、各磁気抵抗効果素子の両側に配置された前記軟磁性体の間でY方向に変換されて各磁気抵抗効果素子に流入するように、各磁気抵抗効果素子の両側に配置された前記軟磁性体同士が互いにX方向にずれて配置されるとともに、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置とでは、一方の側面側に配置された前記軟磁性体に対して他方の側面側に配置された前記軟磁性体が逆方向にずれていることが好ましい。
上記構成により、各磁気抵抗効果素子の膜構成を同一としたまま、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子に流入する外部磁界の方向と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に流入する外部磁界の方向とを逆にすることが出来る。
また具体的には、各磁気抵抗効果素子は、前記X方向に間隔を空けて配置された複数の素子部と、各素子部の間に配置された電極層とを有する前記X方向に延出形成された素子連設体を有して構成されており、
前記X方向の一方を前方、他方を後方としたとき、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子では、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子を構成する各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向し、他方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向しており、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子では、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子を構成する各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向し、前記他方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向していることが好ましい。
本発明の磁気センサによれば、磁気抵抗効果素子に対して、適切に感度軸方向に外部磁界を流入できる。
また本発明では、ブリッジ回路の構成において、各磁気抵抗効果素子のTCR(温度係数)差を小さくすることが出来、第1出力端子及び第2出力端子の中点電位差を効果的に小さくできる。
本実施形態における磁気センサの概略図(平面図)、 磁気センサの回路図、 図1の符号Aで囲んだ部分における磁気センサの部分拡大平面図、 図3(a)の一部を更に拡大した平面図、 図1の符号Bで囲んだ部分における磁気センサの部分拡大平面図、 図3(a)に示すC−C線から高さ方向に切断し矢印方向から見た磁気センサの部分拡大縦断面図、 本実施形態における磁気抵抗効果素子(素子部)の部分縦断面図、 (a)は、図3(a)に示すD−D線に沿って高さ方向に切断し矢印方向から見た磁気センサの部分拡大縦断面図であり(b)は変形例、 図3、図4に示す磁気抵抗効果素子の構成とは異なる構成を示す変形例(部分平面図)、 図3、図4とは別の実施形態における磁気センサの部分拡大平面図、 図9の一部を更に拡大した磁気センサの部分拡大平面図、 外乱磁場耐性に関する実験結果を示すグラフ。
図1は本実施形態における磁気センサの概略図(平面図)、図2は、磁気センサの回路図、図3(a)は、図1の符号Aで囲んだ部分における磁気センサの部分拡大平面図、図3(b)は、図3(a)の一部を更に拡大した平面図、図4は、図1の符号Bで囲んだ部分における磁気センサの部分拡大平面図、図5は、図3(a)に示すC−C線から高さ方向に切断し矢印方向から見た磁気センサの部分拡大縦断面図、図6は、本実施形態における磁気抵抗効果素子(素子部)の部分縦断面図、図7(a)は、図3に示すD−D線に沿って高さ方向に切断し矢印方向から見た磁気センサの部分拡大縦断面図であり(b)は変形例、である。なお図3、図4では、各軟磁性体20と素子部9との間に介在する絶縁層21(図5参照)を省略している。
本実施形態における磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサSは、例えば携帯電話等の携帯機器に搭載される地磁気センサとして構成される。
各図に示すX軸方向、及びY軸方向は水平面内にて直交する2方向を示し、Z軸方向は前記水平面に対して直交する方向を示している。X1−X2方向を「前後方向」とし、X1方向を前方、X2方向を後方とする。
図1,図2に示すように磁気センサSは、第1磁気抵抗効果素子1、第2磁気抵抗効果素子2、第3磁気抵抗効果素子3、第4磁気抵抗効果素子4とを有して構成される。なお各磁気抵抗効果素子1〜4は、後述するように、素子部と電極層とが交互に連設されたミアンダ形状で形成されるが、図1では、各磁気抵抗効果素子2〜4の形状を省略して図示している。
図1,図2示すように第1磁気抵抗効果素子1及び第3磁気抵抗効果素子3は入力端子(Vdd)5に接続されている。また、第2磁気抵抗効果素子2及び第4磁気抵抗効果素子4はグランド端子(GND)6に接続されている。また、第1磁気抵抗効果素子1と第2磁気抵抗効果素子2との間には第1出力端子(V1)7が接続されている。また、第3磁気抵抗効果素子3と第4磁気抵抗効果素子4との間には第2出力端子(V2)8が接続されている。
図3(a)に示すように第1磁気抵抗効果素子1は、X方向に間隔を空けて配置された複数の素子部9と、各素子部9間に配置された電極層10とを有して構成される。図3(a)に示すように、素子部9と電極層10とが連設されてX方向に沿って延出する素子連設体11が構成される。素子連設体11は、Y方向に間隔を空けて複数配置されている。そして各素子連設体11のX側の端部同士が導電性の接続層12にて接続されてミアンダ形状となっている。
図3(a)に示す第2磁気抵抗効果素子2、及び図4に示す第3磁気抵抗効果素子3と第4磁気抵抗効果素子4も第1磁気抵抗効果素子1と同じ構成となっている。
図6に示すように素子部9は、例えば下から反強磁性層33、固定磁性層34、非磁性層35、およびフリー磁性層36の順に積層されて成膜され、フリー磁性層36の表面が保護層37で覆われている。素子部9は例えばスパッタにて成膜される。
反強磁性層33は、IrMn合金(イリジウム−マンガン合金)などの反強磁性材料で形成されている。固定磁性層34はCoFe合金(コバルト−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。また固定磁性層34は積層フェリ構造で形成されることが好ましい。非磁性層35はCu(銅)などである。フリー磁性層36は、NiFe合金(ニッケル−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。保護層37はTa(タンタル)などである。図6に示す素子部9の積層構成は一例であって他の積層構成であってもよい。
素子部9では、反強磁性層33と固定磁性層34との反強磁性結合により、固定磁性層34の磁化方向(P方向)が固定されている。図6に示すように、固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)は、例えばY1方向に向いている。固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)は、感度軸方向である。一方、フリー磁性層36の磁化方向は、外部磁界により変動する。
固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)と同一方向から外部磁界が作用してフリー磁性層36の磁化方向が前記外部磁界方向に変動すると、固定磁性層34の固定磁化方向とフリー磁性層36の磁化方向とが平行に近づき電気抵抗値が低下する。
一方、固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)と反対方向から外部磁界が作用してフリー磁性層36の磁化方向が前記外部磁界方向に変動すると、固定磁性層34の固定磁化方向とフリー磁性層36の磁化方向とが反平行に近づき電気抵抗値が増大する。GMR素子以外に、非磁性層35が絶縁層で形成されたTMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)を構成することも出来る。あるいはAMR(異方性磁気抵抗効果素子)を構成することも出来る。
図7(a)に示すように、素子部9は、基板15上に電気絶縁性の下地層16を介して形成される。素子部9はX方向に沿って延出して形成されている。そして、素子部9の上方部にX方向に間隔を空けて凹部9aが形成され、各凹部9aに電極層10が形成されている。図7(a)に示す凹部9aは、図6に示すフリー磁性層36をX方向にて分断する深さ程度で形成される。電極層10は、例えばハードバイアス層であり、電極層(ハードバイアス層;永久磁石層)10からフリー磁性層36にX方向へのバイアス磁界が供給される。これにより、フリー磁性層36の磁化方向は無磁場状態にてX方向に揃えられている。ハードバイアス層は例えばCoPtやCoPtCrであるが特に材料を限定するものではない。
あるいは図7(b)に示すように、電極層10の深さを図7(a)よりも深くすることも出来る。ただし電極層10がハードバイアス層であるとき、固定磁性層34を分断しないほうが固定磁性層34に対してバイアス磁界の影響を小さくでき、固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)の揺らぎを小さくでき、検出精度の向上を図ることができ好適である。
図3(a)、図4に示すように、各素子部9のY方向(感度軸方向)の両側には、夫々、軟磁性体20が配置されている。軟磁性体20はNiFe、CoFe、CoFeSiBやCoZrNb等で形成される。また、図5に示すように、軟磁性体20は、素子部9と絶縁層21を介して非接触に配置される。絶縁層21は、Al23やSiO2等の電気的な絶縁層である。図5のように、絶縁層21の表面21aを平坦化面としてもよいし、素子部9と下地層16間の段差に倣った形状としてもよい。
図3(a)に示すように、各軟磁性体20同士は非接触である。また、第1磁気抵抗効果素子1を構成する各素子部9のY1側に配置された各軟磁性体20と、Y2側に配置された各軟磁性体20同士は互いにX方向にずれて配置されている。
ここで図3(b)には、C−C線にて切断される位置の軟磁性体20の一方を軟磁性体20A、他方を軟磁性体20B、素子部を素子部9Aとした拡大平面図が示されている。
図3(b)に示すように、素子部9AのY1側に配置された軟磁性体20Aの前方端部(X1側の領域)20A1が、素子部9AとY方向にて対向している。また、素子部9AのY2側に配置された軟磁性体20Bの後方端部(X2側の領域)20B1が、素子部9AとY方向にて対向している。
図3(a)(b)に示すように、各軟磁性体20は全て同一形状であり、Y方向への幅寸法よりもX方向への長さ寸法のほうが長い長方形状である。そして、各素子部9の両側にて対向する軟磁性体20同士は互いにX方向にずれているから、各軟磁性体20のX側端部同士は、Y方向にて一致せず、ずれている。
今、X1方向に向けて外部磁界H1が作用したとする。図3、図4には軟磁性体内に進入した外部磁界や軟磁性体間で漏洩する外部磁界の方向が矢印で図示されている。図3に示す外部磁界H1は各軟磁性体20のX2側端部から進入する。このとき、図3(b)、図5に示すように、素子部9Aを介して対向する一方の軟磁性体20Aの前方端部20A1から他方の軟磁性体20Bの後方端部20B1に向けて外部磁界H2が流出し、この外部磁界H2の方向はY方向(感度軸方向;Y方向)を向いている。すなわち、X方向から各軟磁性体20に進入した外部磁界H1は、各素子部9を通過する際に、感度軸方向に変換されて各素子部9に作用する。
本実施形態のように、素子部9Aを介して対向する軟磁性体20Aと軟磁性体20BとをX方向にずらし、特に、一方の軟磁性体20Aの前方端部20A1と他方の軟磁性体20Bの後方端部20B1とが素子部9Aを介して対向するようにX方向にずらすことで、軟磁性体20A,20B間で感度軸方向(Y方向)に変換された外部磁界H2の磁界強度を、素子部9Aの位置で効果的に強くでき、素子部9Aに適切に感度軸方向(Y方向)の外部磁界H2を作用させることができる。また、図3(b)に示すように、軟磁性体20Aの前方端部20A1の素子部9A側に向く側面20A2、及び軟磁性体20Bの後方端部20B1の素子部9Aに向く側面20B2を夫々、斜め方向に形成することで、X方向からY方向に変換される外部磁界H2の磁界強度をより効果的に強くすることができる。側面20A2,20B2の傾斜方向は略同方向であることが好ましい。
図3(b)に示す外部磁界H2が素子部9Aに作用すると、フリー磁性層36の磁化方向が外部磁界H2の方向に変動する。図6に示すように、固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)はY1方向であり、フリー磁性層36は外部磁界H2の方向であるY2方向を向く。このため、固定磁性層34とフリー磁性層36との磁化関係は反平行になり電気抵抗値は最大となる。
図3(a)に示すように、第1磁気抵抗効果素子1を構成する各素子部9に対してY方向の両側に位置する軟磁性体20の配置は各素子部9において全て同じとなっている。このため、第1磁気抵抗効果素子1を構成する全ての素子部9にY2方向に向く外部磁界H2が作用する。したがって全ての素子部9の電気抵抗値は最大となり、各素子部9が直列接続されてなる第1磁気抵抗効果素子1の電気抵抗値は最大となる。
一方、図3(a)に示すように、第2磁気抵抗効果素子2を構成する各素子部9には、Y1方向の外部磁界H3が作用している。これは、第2磁気抵抗効果素子2では、各素子部9のY1側に位置する軟磁性体20とY2側に位置する軟磁性体20とのX方向へのずれ方向が、第1磁気抵抗効果素子1とは逆になっているからである。すなわち、各素子部9のY1側に位置する軟磁性体20の後方端部が、素子部9とY方向にて対向し、各素子部9のY2側に位置する軟磁性体20の前方端部が、素子部9とY方向にて対向している。このため、X1方向から各軟磁性体20内に進入した外部磁界H1は、素子部9を介して対向する軟磁性体20間でY1方向に変換され、Y1方向に変換された外部磁界H3が各素子部9に作用する。
図3(a)に示すように第2磁気抵抗効果素子2の各素子部9にY1方向の外部磁界H3が作用することで、フリー磁性層36の磁化方向はY1方向を向く。図6に示すように、固定磁性層34の固定磁化方向(P)もY1方向であるから、第2磁気抵抗効果素子2を構成する各素子部9の電気抵抗値は最小値となる。よって、各素子部9が直列接続されてなる第2磁気抵抗効果素子2の電気抵抗値は最小となる。
図4に示すように、第3磁気抵抗効果素子3における軟磁性体20の配置は図3(a)に示す第2磁気抵抗効果素子2における軟磁性体20の配置と同じである。よって、外部磁界H1により第3磁気抵抗効果素子3の電気抵抗値は最小値となっている。また、第4磁気抵抗効果素子4における軟磁性体20の配置は、図3(a)に示す第1磁気抵抗効果素子1における軟磁性体20の配置と同じである。よって、外部磁界H1により第4磁気抵抗効果素子4の電気抵抗値は最大値となる。
上記のように各磁気検出素子1〜4の電気抵抗値が変動することで、図2に示すブリッジ回路の第1出力端子7及び第2出力端子8が中点電位から変動する。そして、第1出力端子7及び第2出力端子8の電圧変動に基づき、外部磁界H1を検知することができる。
外部磁界が、X2方向から作用すれば、各磁気抵抗効果素子1〜4の各素子部9に作用する外部磁界の方向は図3、図4の状態に対して反対方向になり(すなわち第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4の各素子部9にはY1方向の外部磁界H3が作用し、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3の各素子部9にはY2方向の外部磁界H2が作用する)、第1出力端子7及び第2出力端子8の電圧変動も逆になるので外部磁界の方向も検知することができる。
以上のように本実施形態では、磁気抵抗効果素子1〜4(素子部9)と、X方向から進入してきた外部磁界を感度軸方向(Y方向)に変換可能な軟磁性体20を備える。これにより、各磁気抵抗効果素子1〜4(素子部9)に対して、感度軸方向に適切に外部磁界を流入でき、良好な磁気感度を備えた磁気センサSにできる。
本実施形態における磁気抵抗効果素子1〜4は、素子部9と電極層10とが交互に連設されて成る複数の素子連設体11をミアンダ形状に接続した構造である。電極層10を設けることは必須ではないが、ハードバイアス層から成る電極層10を設けることで、各素子部9を構成するフリー磁性層36の磁化方向をX方向に適切に揃えることが出来る。また電極層10はハードバイアス層でなくてもよいし、あるいは電極層10をハードバイアス層と、ハードバイアス層よりも低い抵抗値を有する低抵抗層との積層構造とすることも出来る。
また図4の第3磁気抵抗効果素子3に示すように、第1素子連設体11A、第2素子連設体11B、第3素子連設体11Cがこの順に配置されており、第1素子連設体11Aと第2素子連設体11Bとの間には、第1素子連設体11A及び第2素子連設体11Bに兼用される軟磁性体20がX方向に間隔を空けて一列に配置されている。例えば図4に示す符号20Cを付した軟磁性体を用いて説明すると、軟磁性体20Cの後方端部(X2方向の端部)は、第1素子連設体11Aを構成する素子部9とY方向にて対向し、軟磁性体20Cの前方端部(X1方向の端部)は、第2素子連設体11Bを構成する素子部9とY方向にて対向している。第1素子連設体11Aと第2素子連設体11B間に位置する他の軟磁性体20も全て前記した位置関係で配置されている。
また図4に示すように、第2素子連設体11Bと第3素子連設体11Cとの間には、第2素子連設体11B及び第3素子連設体11Cにて兼用される複数の軟磁性体20がX方向に間隔を空けて一列に配置されている。例えば図4に示す符号20Dを付した軟磁性体を用いて説明すると、軟磁性体20Dの後方端部(X2方向の端部)は、第2素子連設体11Bを構成する素子部9とY方向にて対向し、軟磁性体20Dの前方端部(X1方向の端部)は、第3素子連設体11Cを構成する素子部9とY方向にて対向している。第2素子連設体11Bと第3素子連設体11C間に位置する他の軟磁性体20も全て前記した位置関係で配置されている。
このように、軟磁性体20を隣り合う素子連設体11間で兼用することで、各素子連設体11のY方向への間隔を狭めることができ、各磁気抵抗効果素子1〜4を効率良く配置でき、磁気センサSの小型化を促進することができる。
また本実施形態では図1,図2に示すように、第1磁気抵抗効果素子1、第2磁気抵抗効果素子2、第3磁気抵抗効果素子3及び第4磁気抵抗効果素子4を用いてブリッジ回路が構成されている。
そして図3,図4に示すように、第1磁気抵抗効果素子1及び前記第4磁気抵抗効果素子4に流入する外部磁界H2と、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3に流入する外部磁界H3とが、夫々逆方向となるように、第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4に対する軟磁性体20の配置と、第2磁気抵抗効果素子2及び前記第3磁気抵抗効果素子3に対する軟磁性体20の配置とが異なっている。
具体的には、第1磁気抵抗効果素子1及び前記第4磁気抵抗効果素子4では、各素子部9のY1方向の側面側に配置された軟磁性体20の前方端部(X1側の端部)が各素子部9とY方向にて対向している。また、各素子部9のY2方向の側面側に配置された軟磁性体20の後方端部(X2側の端部)が各素子部9とY方向にて対向している。
一方、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3では、各素子部9のY1方向の側面側に配置された軟磁性体20の後方端部(X2側の端部)が各素子部9とY方向にて対向している。また、各素子部9のY2方向の側面側に配置された軟磁性体20の前方端部が各素子部9と前記Y方向にて対向している。
本実施形態では、図3,図4に示すように、第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4を構成する素子部9に流入する外部磁界H2の方向と、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3を構成する素子部9に流入する外部磁界H3の方向とを逆方向に設定できるから、各磁気抵抗効果素子1〜4を構成する全ての素子部9を同一の膜構成で且つ固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)を同方向に設定することが出来る。
仮に、第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4を構成する素子部9に流入する外部磁界H2の方向と、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3を構成する素子部9に流入する外部磁界H3の方向とが同じである場合、第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4を構成する素子部9の固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)と、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3を構成する素子部9の固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)とを反平行にすることが必要となる。このため、第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4と、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3とを別々に形成して固定磁化方向の調整を行うことが必要となり、したがって、各磁気抵抗効果素子1〜4を構成する素子部9の膜厚等にばらつきが生じやすくなり、その結果、各磁気抵抗効果素子1〜4のTCR(温度係数)に差が生じやすくなる。
これに対して本実施形態では全ての磁気抵抗効果素子1〜4の固定磁性層34の固定磁化方向(P方向)を同方向に設定できるから、同一基板上に各磁気抵抗効果素子1〜4を構成する全ての素子部9を同時に形成して、全ての磁気抵抗効果素子1〜4に対して同じプロセスにて固定磁化方向の調整を行うことができる。よって本実施形態では、各素子部9の幅寸法、長さ寸法及び膜厚を高精度に同一となるように調整できる。このため、本実施形態では、各磁気抵抗効果素子1〜4のTCR(温度係数)の差を小さくでき(理想的にはゼロにでき)、第1出力端子7及び第2出力端子8の中点電位差を効果的に小さくできる(理想的にはゼロに出来る)。よって検出精度に優れた磁気センサSにできる。
図8は図3、図4に示す磁気抵抗効果素子の構成とは異なる構成を示す変形例(部分平面図)である。図8でも図5と同様の積層構造を有しており、図8では、各素子部40,41と各軟磁性体43との間に位置する絶縁層を省略している。
図8に示す実施形態では、X方向に間隔を空けて配置された複数の第1素子部40と、第1素子部40に対してX方向にずれるとともにX方向に直交するY方向に間隔を空けて配置された複数の第2素子部41と、第1素子部40と第2素子部41との間を連結する電極層42とを有する素子連設体45を構成する。
図3,図4に示す各磁気抵抗効果素子1〜4を構成する素子連設体11がX方向に平行に延出した形状であるのに対して、図8に示す素子連設体45はX方向に向けて曲がりくねる形状となっている。
そして、複数の素子連設体45がY方向に間隔を空けて配置され、各素子連設体45のX側端部間が接続層44にて互い違いに接続されて一本の導通経路を構成している。
図8に示す実施形態においても各素子部40,41の感度軸方向はY方向であり、固定磁性層34の固定磁化方向は同方向である。図8に示すように、Y方向にて対向する各素子部40,41の両側面に夫々、各素子部40,41と非接触の軟磁性体43が設けられている。そして、X方向から作用した外部磁界H1が、各素子部40,41の両側に位置する軟磁性体43の間でY方向に変換されて各素子部40,41に流入するように、各素子部40,41の両側に位置する各軟磁性体43同士が互いに前記X方向にずれて配置されている。ずらし方は図3,図4で説明したのと同様である。
図8は例えば第1磁気抵抗効果素子1及び第4磁気抵抗効果素子4に対する構成であり、軟磁性体43のずらす方向を逆にすれば、第2磁気抵抗効果素子2及び第3磁気抵抗効果素子3を構成でき、各磁気抵抗効果素子のTCR(温度係数)差が小さく中点電位差が小さい(好ましくはゼロとなる)ブリッジ回路を構成できる。
図3、図4、図8に示す磁気抵抗効果素子及び軟磁性体の各配置を夫々90度回転させることで、Y方向からの外部磁界を検知可能な磁気センサを構成できる。
図9は、図1に示す符号Bで囲んだ部分の一部分を拡大して示した部分拡大平面図であり、図3、図4よりも好ましい構成を示す。
図9に示すように、各磁気抵抗効果素子3,4は、複数の素子部50と、ハードバイアス層51とを有して構成される。なお図9ではハードバイアス層51を点線で示した。各素子部50の積層構造は、図6と同様である。
図9に示す実施形態では、Y1−Y2方向に延出形成された複数本の素子連設体52が形成され、各素子連設体52はX1−X2方向に間隔を空けて配置されている。そして各素子連設体52のY1側端部同士あるいはY2側端部同士はハードバイアス層51の接続部53により連結されてミアンダ形状で形成されている。
各素子連設体52はY1−Y2方向に間隔を空けて配置された複数の素子部50と、各素子部50のX1側端部50a間、及びX2側端部50b間に交互に配置されY1−Y2方向に延出形成されたハードバイアス層51とを有して構成される。
図9に示す素子部50Aと素子部50Bを用いて説明すると、素子部50AのX2側端部50bと、素子部50BのX2側端部50b間が、Y1−Y2方向に延出するハードバイアス層51Aにより接続されている。また素子部50BのX1側端部50aは、別の素子部(図示しない)のX1側端部との間でY1−Y2方向に延びるハードバイアス層51Bと接続されている。また、素子部50AのX1側端部50aは、磁気抵抗効果素子3を構成する素子部50のX1側端部50aとの間でY1−Y2方向に延びるハードバイアス層51C(図1に示す出力端子8の一部を構成する)と接続されている。
そしてハードバイアス層51の着磁方向(磁化方向)をY1方向にすると、素子部50AにはX1方向に向くバイアス磁界S1が作用し、素子部50にはX2方向に向くバイアス磁界S2が作用する。このように、素子部50Aと素子部50Bには反対方向のバイアス磁界S1,S2が流入する。
図9の実施形態においても、各素子部50のY1−Y2方向の両側に、X1−X2方向にずれて配置された複数の軟磁性体53が設けられている。
磁気抵抗効果素子3,4と軟磁性体53との間には図5に示す絶縁層21が介在している。
図9の実施形態では、素子部50A,50Bの固定磁性層34の固定磁化方向Pは同じであるが、バイアス磁界S1,S2の方向が逆であり、素子部50Aのフリー磁性層36(図6参照)の磁化方向と、素子部50Bのフリー磁性層36の磁化方向とは反対方向となっている。このため外部磁界の作用によって各素子部50の感度が変化したとき、素子部50Aの感度のシフト方向と素子部50Bの感度のシフト方向とは逆方向であり、素子部50Aと素子部50Bとを有して成る磁気抵抗効果素子3、4(図1の磁気抵抗効果素子1,2も同様)全体としての感度のばらつきを小さくできる。このため図9の実施形態であれば、出力特性のリニアリティを適切に向上させることが可能になる。
図9に示すように、素子部50A,50BのX1側端部50a及びX2側端部50bは、Y1−Y2方向からX1−X2方向に向けて斜めに傾いている。各X1側端部50a及びX2側端部50bは直線状で形成されている。X1側端部50a及びX2側端部50bの傾き角度θ1(図10(b)参照)は、20°〜70°程度である。このようにX1側端部50a及びX2側端部50bを傾斜面とすることで、Y1−Y2方向に着磁されたハードバイアス層51から各素子部50に対してX1−X2方向に適切にバイアス磁界S1,S2を供給することが可能になる。
また図9に示すように、素子部50AのX1側端部50a及びX2側端部50bの傾き方向と、素子部50BのX1側端部50a及びX2側端部50bの傾き方向とが逆方向になっている。これにより、各素子部50A,50BのX1側端部50a間、及びX2側端部50b間に、Y1−Y2方向に延びるハードバイアス層51を交互に適切に配置できるとともに、各素子部50A,50Bに適切にX1−X2方向のバイアス磁界S1,S2を供給でき、ミアンダ形状から成る各磁気抵抗効果素子を限られた狭い領域内に無理なく配置することができる。
また図9に示す実施形態でも、図3,図4に示す実施形態と同様に、例えば、磁気抵抗効果素子4を構成する各素子部50のY1側に配置された軟磁性体53の前方端部53A1が、各素子部50と平面視にてY1−Y2方向で対向し、各素子部50のY2側に配置された軟磁性体53の後方端部53B1が、各素子部50と平面視にてY1−Y2方向で対向している。磁気抵抗効果素子3の各素子部50に対する軟磁性体のずれ方向は、磁気抵抗効果素子4とは逆になっている。
また図9に示す実施形態でも、図3,図4に示す実施形態と同様に、各素子連設体52の間には、隣り合う素子連設体52にて兼用される複数の軟磁性体53が配置されている。
続いて図10を用いて、素子部に対する軟磁性体の好ましい配置について説明する。図10は図9に示す素子部50Aの部分を拡大した部分拡大平面図である。
図10(a)に示すように、素子部50AのY1側に第1軟磁性体53A、素子部50BのY2側に第2軟磁性体53Bが配置されている。X1方向に向けて外部磁界H1が作用すると、前記外部磁界H1は、第1軟磁性体53Aの前方端部53A1と第2軟磁性体53Bの後方端部53B1との間でY1−Y2方向(感度軸方向)の外部磁界H2に変換される。
図10(a)に示すように、第1軟磁性体53Aの前方端部53A1のX1側に向く前面53A2は、素子部50AのY1側に位置する第1側面50A1のX1側縁部50A2からX2方向に離れて位置しており、平面視にて、前面53A2とX1側縁部50A2との間にX1−X2方向の間隔T1が設けられている。
また、図10(a)に示すように、第2軟磁性体53Bの後方端部53B1のX2側に向く後面53B2は、素子部50AのY2側に位置する第2側面50A3のX2側縁部50A4からX1方向に離れて位置しており、平面視にて、後面53B2とX2側縁部50A4との間にX1−X2方向の間隔T2が設けられている。
図10(a)に示すように、第1軟磁性体53Aと第2軟磁性体53Bとが、Y1−Y2方向に対向しないように、X1−X2方向にずれて配置されている。
今、図10(a)に示すように、外部磁界H1と直交するY1方向に外乱磁場H4が作用したとする。このとき、外乱磁場H4により、素子部50Aに供給されるバイアス磁界S1への影響のされ方が、素子部50Aに対する軟磁性体53A,53Bの配置によって変わる。
すなわち軟磁性体53A,53Bが素子部50Aを介して対向する領域が増えると、軟磁性体53A,53Bに導かれた外乱磁場H4が素子部50A内に流入しやすくなり、バイアス磁界S1が影響を受けやすくなる。また、軟磁性体53A,53BがX1−X2方向に離れすぎても、外乱磁場H4が素子部50A内に流入しやすい。そこで本実施形態では、図10(a)に示すように、第1軟磁性体53Aの前方端部53A1の前面53A2を、素子部50Aの第1側面50A1のX1側縁部50A2からX2方向に間隔T1だけ離し、第2軟磁性体53Bの後方端部53B1の後面53B2を、素子部50Aの第2側面50A3のX2側縁部50A4からX1方向に間隔T2だけ離し、また、第1軟磁性体53Aと第2軟磁性体53BとをY1−Y2方向にて対向しないように、X1−X2方向にずらして配置した。
また図10(b)に示すように、第1軟磁性体53Aの前面53A2を、素子部50Aの第1側面50A1の幅方向の中心O1からY1−Y2方向の線L1上に位置させ、また、第2軟磁性体53Bの後面53B2を、素子部50Aの第2側面50A3の幅方向の中心O2からY1−Y2方向の線L2上に位置させた状態から(軟磁性体の位置が0)、第2軟磁性体53BをX1−X2方向に移動させて、出力振幅の変化量(X方向の磁束成分を検知しているときにY方向から外乱磁界が加わったとき、方位演算時に誤差が生じるが、その際の振幅の変化量)を測定した。
図10(b)に示すように、第2軟磁性体53Bの後面53B2を、素子部50Aの第2側面50A3のX1側縁部50A5と対向する位置まで移動させたときの位置が「−1」で、第2軟磁性体53Bの後面53B2を、素子部50Aの第2側面50A3のX2側縁部50A4と対向する位置まで移動させたときの位置が「1」である。
図11に示すように、第2軟磁性体53Bを幅中心からX1−X2方向に移動させると出力振幅の変化量が大きくなる。第2軟磁性体53B側を固定し、第1軟磁性体53AをX1−X2方向に移動させても図11と同様に出力振幅の変化量が大きくなる。
このため、第1軟磁性体53A及び第2軟磁性体53Bの前面53A2及び後面53B2を素子部50Aの第1側面50A1及び第2側面50A3の各幅中心からY1−Y2方向の線L1,L2上に位置させることが、外乱磁場耐性を効果的に向上させることができ好適である。
また、素子部50Aの中点(幅、長さの中心位置)からY1−Y2方向に引いた線上に、第1軟磁性体53A,第2軟磁性体53Bの前面53A2,後面53B2が位置させることも好適である。
なお上記した軟磁性体の配置関係は図3、図4にも同様に適用できる。
H1〜H3 外部磁界
P 固定磁性層の固定磁化方向
S 磁気センサ
1〜4 磁気抵抗効果素子
5 入力端子
6 グランド端子
7、8 出力端子
9、9A、50、50A、50B 素子部
10、42 電極層
11、11A、11B、11C、45、52 素子連設体
20、20A、20B、20C、20D、43、53、53A、53B 軟磁性体
20A1、53A1 前方端部
20B1、53B1 後方端部
21 絶縁層
33 反強磁性層
34 固定磁性層
35 非磁性層
36 フリー磁性層
40 第1素子部
41 第2素子部

Claims (15)

  1. 基板上に磁性層と非磁性層とが積層されて成る磁気抵抗効果を発揮する磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の感度軸方向に対して直交する方向からの外部磁界を前記感度軸方向に変換して前記磁気抵抗効果素子に与える前記磁気抵抗効果素子と非接触の軟磁性体と、を有し、
    前記磁気抵抗効果素子のY方向が感度軸方向であり、前記磁気抵抗効果素子の前記Y方向の両側に、夫々、前記軟磁性体が設けられ、前記Y方向に直交するX方向から作用した外部磁界が、前記磁気抵抗効果素子の両側に配置された前記軟磁性体の間で前記Y方向に変換されて前記磁気抵抗効果素子に流入するように、前記磁気抵抗効果素子の一方の側面側に配置された第1軟磁性体と、他方の側面側に配置された第2軟磁性体とが互いに前記X方向にずれて配置されており、
    前記磁気抵抗効果素子は、前記X方向に間隔を空けて配置された複数の素子部と、各素子部の間に配置された電極層とを有する前記X方向に延出形成された素子連設体を有して構成されており、各素子部の前記Y方向の両側に夫々、前記X方向にずれて配置された前記軟磁性体が配置されることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第1軟磁性体と、前記第2軟磁性体とが、前記Y方向にて対向しないように前記X方向にずれて配置されている請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記第1軟磁性体及び前記第2軟磁性体は、両軟磁性体の間で、前記外部磁界を感度軸方向に変換する端部を有し、前記第1軟磁性体の前記端部には、X1側に向くX1端面が設けられ、前記X1端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記一方の側面である第1側面のX1側縁部からX2方向に離れて位置しており、前記第2軟磁性体の前記端部には、X2側に向くX2端面が設けられ、前記X2端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記他方の側面である第2側面のX2側縁部からX1方向に離れて位置している請求項2記載の磁気センサ。
  4. 前記第1軟磁性体の前記X1端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記第1側面のX方向における幅中心からY方向の線上に位置し、前記第2軟磁性体の前記X2端面は、前記磁気抵抗効果素子の前記第2側面のX方向における幅中心からY方向の線上に位置している請求項3記載の磁気センサ。
  5. 前記X方向の一方を前方、他方を後方としたとき、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向しており、あるいは、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向している請求項1記載の磁気センサ。
  6. 前記素子連設体は、前記Y方向に間隔を空けて複数設けられ、各素子連設体の端部同士が連結されてミアンダ形状で形成されており、各素子連設体の間には、隣り合う前記素子連設体にて兼用される複数の前記軟磁性体が前記X方向に間隔を空けて配置されている請求項5記載の磁気センサ。
  7. 前記磁気抵抗効果素子は、前記Y方向に間隔を空けて配置された複数の素子部と、各素子部の間に位置して、各素子間を繋ぐハードバイアス層とを有し、各素子部にX方向からのバイアス磁界が流入するとともに前記ハードバイアス層を介して接続された一方の前記素子部と、他方の前記素子部とに流入するバイアス磁界の方向が反対方向となるように、前記ハードバイアス層が各素子部のX1側端部間及びX2側端部間に交互に配置されており、各素子部の前記Y方向の両側に夫々、前記X方向にずれて配置された前記軟磁性体が配置される請求項4記載の磁気センサ。
  8. 各素子部のX1側端部及びX2側端部は、Y方向からX方向に向けて斜めに傾いている請求項7記載の磁気センサ。
  9. 前記X方向の一方を前方、他方を後方としたとき、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向しており、あるいは、各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が各素子部と前記Y方向にて対向し、各素子部の他方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が各素子部と前記Y方向にて対向している請求項8記載の磁気センサ。
  10. 前記素子部と前記ハードバイアス層とを有し、前記Y方向に延出形成された素子連設体が、前記X方向に間隔を空けて複数設けられ、各素子連設体の端部同士が連結されてミアンダ形状で形成されており、各素子連設体の間には、隣り合う前記素子連設体にて兼用される複数の前記軟磁性体が配置されている請求項9記載の磁気センサ。
  11. 前記磁気抵抗効果素子は、X方向に間隔を空けて配置された複数の第1素子部と、前記第1素子部に対してX方向にずれるとともに前記X方向に直交するY方向に間隔を空けて配置された複数の第2素子部と、前記第1素子部と前記第2素子部との間を連結する電極層とを有する素子連設体を有して構成しており、
    各素子部のY方向が感度軸方向であり、前記Y方向にて対向する各素子部の両側面に夫々、各素子部と非接触の前記軟磁性体が設けられており、
    前記X方向から作用した外部磁界が、各素子部の両側に位置する前記軟磁性体の間で前記Y方向に変換されて各素子部に流入するように、各素子部の両側に位置する前記軟磁性体が夫々、前記X方向にずれて配置されている請求項1記載の磁気センサ。
  12. 前記素子連設体は、前記Y方向に間隔を空けて複数設けられ、各素子連設体のX側端部同士が接続されており、各素子連設体の間には、隣り合う前記素子連設体にて兼用される複数の前記軟磁性体が前記X方向に間隔を空けて配置されている請求項11記載の磁気センサ。
  13. 第1磁気抵抗効果素子、第2磁気抵抗効果素子、第3磁気抵抗効果素子及び第4磁気抵抗効果素子を備えたブリッジ回路にて構成され、
    前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子は、入力端子に接続され、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子は、グランド端子に接続され、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子との間に第1出力端子、及び、前記第3磁気抵抗効果素子と前記第4磁気抵抗効果素子との間に第2出力端子が夫々接続されており、
    各磁気抵抗効果素子は同一の膜構成で且つ各磁気抵抗効果素子に設けられる固定磁性層の固定磁化方向は同方向であり、
    前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子に流入する外部磁界と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に流入する外部磁界とが、夫々逆方向となるように、前記第1磁気抵抗効果素子及び第4磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置とが異なっている請求項1記載の磁気センサ。
  14. 各磁気抵抗効果素子のY方向が感度軸方向であり、各磁気抵抗効果素子の前記Y方向の両側には、夫々、前記軟磁性体が設けられ、前記X方向から作用した外部磁界が、各磁気抵抗効果素子の両側に配置された前記軟磁性体の間でY方向に変換されて各磁気抵抗効果素子に流入するように、各磁気抵抗効果素子の両側に配置された前記軟磁性体同士が互いにX方向にずれて配置されるとともに、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置と、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子に対する前記軟磁性体の配置とでは、一方の側面側に配置された前記軟磁性体に対して他方の側面側に配置された前記軟磁性体が逆方向にずれている請求項13記載の磁気センサ。
  15. 各磁気抵抗効果素子は、前記X方向に間隔を空けて配置された複数の素子部と、各素子部の間に配置された電極層とを有する前記X方向に延出形成された素子連設体を有して構成されており、
    前記X方向の一方を前方、他方を後方としたとき、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子では、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第4磁気抵抗効果素子を構成する各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向し、他方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向しており、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子では、前記第2磁気抵抗効果素子及び前記第3磁気抵抗効果素子を構成する各素子部の一方の側面側に配置された前記軟磁性体の後方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向し、前記他方の側面側に配置された前記軟磁性体の前方端部が前記素子部と前記Y方向にて対向している請求項14記載の磁気センサ。
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