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JP5132209B2 - 回転速度検出装置付き車輪用軸受装置 - Google Patents

回転速度検出装置付き車輪用軸受装置 Download PDF

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JP5132209B2 JP2007179278A JP2007179278A JP5132209B2 JP 5132209 B2 JP5132209 B2 JP 5132209B2 JP 2007179278 A JP2007179278 A JP 2007179278A JP 2007179278 A JP2007179278 A JP 2007179278A JP 5132209 B2 JP5132209 B2 JP 5132209B2
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Description

本発明は、自動車等の車輪の回転速度を検出する回転速度センサを内蔵した回転速度検出装置付き車輪用軸受装置に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承すると共に、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御するために車輪の回転速度を検出する装置が軸受に内蔵された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置が一般的に知られている。従来、このような車輪用軸受装置は、転動体を介して転接する内方部材および外方部材の間にシール装置が設けられ、円周方向に磁極を交互に並べてなる磁気エンコーダを前記シール装置に一体化させると共に、磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに対面配置され、車輪の回転に伴う磁気エンコーダの磁極変化を検出する回転速度センサとで回転速度検出装置が構成されている。
前記回転速度センサは、懸架装置を構成するナックルに車輪用軸受装置が装着された後、当該ナックルに装着されているものが一般的である。しかし、この回転速度センサと磁気エンコーダとのエアギャップ調整作業の煩雑さを解消すると共に、よりコンパクト化を狙って最近では、回転速度センサをも軸受に内蔵した回転速度検出装置付き車輪用軸受装置が提案されている。
このような回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一例として図6に示すような構造が知られている。この回転速度検出装置付き車輪用軸受装置50は、外方部材51と、この外方部材51に複列のボール52を介して内挿された内方部材53と、外方部材51と内方部材53との間に形成された環状空間の開口部に装着された回転速度検出装置54とを備えている。
外方部材51は、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ51bを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51aが一体に形成されている。
一方、内方部材53は、ハブ輪55と、このハブ輪55に固定された内輪56とからなる。ハブ輪55は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ57を一体に有し、外周に前記複列の外側転走面51a、51aの一方に対向する内側転走面55aと、この内側転走面55aから軸方向に延びる円筒状の小径段部55bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション55cが形成されている。内輪56は、外周に前記複列の外側転走面51a、51aの他方に対向する内側転走面56aが形成され、ハブ輪55の小径段部55bに所定のシメシロを介して圧入されている。
外方部材51の複列の外側転走面51a、51aと、これらに対向するハブ輪55の内側転走面55aおよび内輪56の内側転走面56a間には複列のボール52、52が収容され、保持器58、58によって転動自在に保持されている。また、外方部材51と内方部材53との間に形成される環状空間の開口部にはシール59、60が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
回転速度検出装置54は、図7に示すように、磁気センサ61が包埋されたセンサホルダ62と、このセンサホルダ62に装着されたシール60とからなる。センサホルダ62は、合成樹脂から射出成形により成形され、シール60を構成する芯金65にインサート成形されている。シール60は、第1のシールリング63と第2のシールリング64とが組み合わされた、所謂パックシールで構成されている。第1のシールリング63は外方部材51に装着され、断面が略L字状に形成された芯金65と、この芯金65に被着され、サイドリップ66aと一対のラジアルリップ66b、66cとを有するシール部材66とからなる。
第2のシールリング64は、内輪56に装着され、断面が略L字状に形成されたスリンガ67と、このスリンガ67に外嵌され、断面が略コの字状に形成されたパルサリング68とからなる。スリンガ67は、内輪56の外径に圧入される円筒部67aと、この円筒部67aから径方向外方に延びる立板部67bとを有し、パルサリング68はスリンガ67の円筒部67aに圧入されている。
パルサリング68は、スリンガ67の円筒部67aに圧入される円筒状の内径部68aと、この内径部68aから径方向外方に延びる立板部68b、およびこの立板部68bから軸方向に延びる外径部68cを有している。そして、この外径部68cに多極磁石ロータ69が被着されている。この多極磁石ロータ69は、磁性粉を含有したゴムまたは樹脂を加硫接着して周方向交互にN極、S極を配置するように径方向から着磁されている。また、シール部材66のサイドリップ66aはパルサリング68の立板部68bに摺接されると共に、一対のラジアルリップ66b、66cはスリンガ67の円筒部67aに摺接されている。
ここで、センサホルダ62の円周所定位置には、磁気センサ61と車体の電子回路に接続されたハーネス(図示せず)とを結線する雄型のコネクタ70が径方向外方に突出した状態で一体に形成されている(図6参照)。
このように、第1のシールリング63を構成する芯金65が外方部材51の端部内周に圧入固定されているので、外方部材51と第1のシールリング63との間から軸受内部に水分が浸入するのが防止できると共に、パルサリング68の立板部68bにシール部材66のサイドリップ66aが摺接されているので、第1のシールリング63と第2のシールリング64との間から軸受内部に水分が浸入するのが防止できる。しかも、磁気センサ61と多極磁石ロータ69との間に金属部分が存在しないように形成されているので、芯金65が磁気センサ61の検知精度に悪影響を与えることも防止できる。
特開2005−133772号公報
然しながら、こうした従来の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置50では、センサホルダ62の円周所定位置に磁気センサ61と車体の電子回路に接続されたハーネスとを結線する雄型のコネクタ70が径方向外方に突出した状態で一体に形成されているため、ナックルへの組立時にコネクタ70がナックルに干渉する。したがって、コネクタ70の干渉を避けるためにナックルの形状を考慮する必要がある。これでは、既存のナックルをそのまま流用することができず、ナックルの標準化が阻害されるという問題があった。
また、この種の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置50では、車体側に接続されるハーネスの長さが長くなると、走行中にハーネスに振動が発生する。この振動により、安定した速度検出が得られないばかりか、ハーネス自体の耐久性が低下する恐れがあった。さらには、この振動の影響でセンサホルダ62が外方部材51から抜け出す恐れがあり、密封性が損なわれると共に、速度検出の信頼性が低下する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、周辺部品の変更を伴うことなく、組立性を改善すると共に、安定した速度検出により信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形によって形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダとを備えると共に、前記シールのうちインナー側のシールが、前記外方部材の端部に嵌合された芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪に装着され、円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する被検出部を有するパルサリングを備え、前記被検出部と回転速度センサが所定のエアギャップを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記センサホルダの円周所定位置から前記回転速度センサと車体の電子回路を接続するハーネスが取り出されると共に、前記センサホルダのインナー側の側面に射出成形により係止部が一体に形成され、この係止部を弾性変形させて前記ハーネスを装着し、当該センサホルダのインナー側の側面に密着した状態で固定されている。
このように、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形によって形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダを備えると共に、シールのうちインナー側のシールが、外方部材の端部に嵌合された芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して内輪に装着され、円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する被検出部を有するパルサリングを備え、被検出部と回転速度センサが所定のエアギャップを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、センサホルダの円周所定位置から回転速度センサと車体の電子回路を接続するハーネスが取り出されると共に、センサホルダのインナー側の側面に射出成形により係止部が一体に形成され、この係止部を弾性変形させてハーネスを装着し、当該センサホルダのインナー側の側面に密着した状態で固定されているので、センサホルダから周方向に沿って延びるハーネスの長さを可及的に短くすることができ、走行中にハーネスに振動が発生することはない。したがって、ハーネスをワンタッチで固定することができ、組立性の向上を図り、ハーネスの耐久性が向上すると共に、振動の影響でセンサホルダが外方部材から抜け出すのを防止し、安定した速度検出により信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記センサホルダの円周所定位置に取出し口がインナー側に突出して形成されると共に、この取出し口に前記回転速度センサに直接結線されたハーネスが一体にモールドされ、このハーネスの端部にコネクタが接続されていても良い。
また、請求項に記載の発明のように、前記センサホルダの接線方向に突出してコネクタが一体に形成され、このコネクタに前記ハーネスが結線されていても良い。
また、請求項に記載の発明のように、前記インナー側のシールが、前記芯金に対向配置され、断面略L字状に形成されたスリンガを備え、このスリンガが、前記内輪の外径に圧入された円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部を有し、前記円筒部に前記パルサリングが圧入固定され、このパルサリングの外径部に、エラストマに磁性体粉が混入されて周方向に交互に磁極N、Sが着磁された磁気エンコーダが加硫接着により一体に接合されると共に、前記シール部材に一体形成されたサイドリップとラジアルリップが前記パルサリングとスリンガにそれぞれ摺接されていれば、磁気エンコーダがダスト等により汚れるのを防止することができると共に、パルサリングとスリンガに摺接するシールリップによって転動体および各転走面から隔離されているので、転動体の回転によって生じる金属摩耗粉等が磁気エンコーダに付着するのを防止することができ、検出精度の低下を回避することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記芯金がオーステナイト系ステンレス鋼鈑で形成され、この芯金の外径部に前記センサホルダが一体にインサート成形されると共に、前記芯金の外径部が一部露出して前記外方部材の端部に内嵌されていれば、回転速度センサの感知性能に悪影響を及ぼさず、信頼性の高い回転速度検出ができると共に、強固な抜け耐力を有して嵌合部の気密性を高めることができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記パルサリングが強磁性体の鋼板から形成されていれば、出力信号が強くなり安定した検出精度を確保することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記センサホルダが、強化材が添加された非磁性の合成樹脂材から形成されていれば、回転速度センサの感知性能に悪影響を及ぼさず、また、耐食性に優れ、長期間に亘って強度・耐久性を向上させることができる。
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形によって形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダとを備えると共に、前記シールのうちインナー側のシールが、前記外方部材の端部に嵌合された芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪に装着され、円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する被検出部を有するパルサリングを備え、前記被検出部と回転速度センサが所定のエアギャップを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記センサホルダの円周所定位置から前記回転速度センサと車体の電子回路を接続するハーネスが取り出されると共に、前記センサホルダのインナー側の側面に射出成形により係止部が一体に形成され、この係止部を弾性変形させて前記ハーネスを装着し、当該センサホルダのインナー側の側面に密着した状態で固定されているので、センサホルダから周方向に沿って延びるハーネスの長さを可及的に短くすることができ、走行中にハーネスに振動が発生することはない。したがって、ハーネスをワンタッチで固定することができ、組立性の向上を図り、ハーネスの耐久性が向上すると共に、振動の影響でセンサホルダが外方部材から抜け出すのを防止し、安定した速度検出により信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる。
外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形によって形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダとを備えると共に、前記シールのうちインナー側のシールが、前記センサホルダが一体にインサート成形され、その露出した外径部が前記外方部材の端部内周に嵌合され、鋼鈑からプレス加工によって形成された芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪の外径に圧入され、断面略L字状に形成されたスリンガと、このスリンガの円筒部に圧入固定されたパルサリングとを備え、このパルサリングの外径部に、エラストマに磁性体粉が混入されて周方向に交互に磁極N、Sが着磁された磁気エンコーダが加硫接着により一体に接合され、この磁気エンコーダと前記回転速度センサが所定の径方向すきまを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記センサホルダの円周所定位置から前記回転速度センサと車体の電子回路を接続するハーネスが取り出されると共に、前記センサホルダのインナー側の側面に射出成形により係止部が一体に形成され、この係止部を弾性変形させて前記ハーネスを装着し、当該センサホルダのインナー側の側面に密着した状態で固定されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の検出部を示す要部拡大図、図3は、図1のIII−III線に沿った矢視図、図4は、図3の1V−IV線に沿った要部断面図、図5は、図4の変形例を示す要部断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は駆動輪用の第3世代構造と呼称され、ハブ輪1と内輪2からなる内方部材3と、この内方部材3に複列の転動体(ボール)4、4を介して外挿された外方部材5とを備え、等速自在継手10が連結されている。
内方部材3は、ハブ輪1と、このハブ輪1に固定された内輪2とからなる。ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周にアウター側(一方)の内側転走面1aと、この内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。なお、車輪取付フランジ6の円周等配位置には車輪を締結するためのハブボルト6aが植設されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、内側転走面1aをはじめ、後述するアウター側のシール8が摺接する車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部1bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、後述する加締部1dは未焼入れで鍛造後の表面硬さのままとされている。
内輪2は、外周にインナー側(他方)の内側転走面2aが形成され、ハブ輪1の小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入されている。そして、この小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1dによってハブ輪1に対して軸方向に固定されている。なお、内輪2および転動体4はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材5はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ5bを一体に有し、内周に前記内方部材3の複列の内側転走面1a、2aに対向する複列の外側転走面5a、5aが一体に形成されている。そして、これら複列の外側転走面5a、5aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
外方部材5の複列の外側転走面5a、5aと、これらに対向するハブ輪1の内側転走面1aおよび内輪2の内側転走面2a間には複列の転動体4、4が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。そして、内輪2の小径側(正面側)の端面がハブ輪1の肩部に突合せ状態で衝合し、所謂背面合せタイプの複列アンギュラ玉軸受を構成している。また、外方部材5と内方部材3との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
等速自在継手10は、外側継手部材11と継手内輪12とケージ13およびトルク伝達ボール14とを備えている。外側継手部材11は、カップ状のマウス部15と、このマウス部15の底部をなす肩部16と、この肩部16から軸方向に延びる軸部17とを一体に有している。軸部17の外周にはハブ輪1のセレーション1cに係合するセレーション(またはスプライン)17aと、このセレーション17aの端部に雄ねじ17bが形成されている。そして、ハブ輪1に外側継手部材11の軸部17がセレーション1c、17aを介して加締部1dの端面と肩部16が衝合するまで内嵌され、雄ねじ17bに締結された固定ナット18によってハブ輪1と外側継手部材11がトルク伝達可能に、かつ着脱自在にユニット化されている。
ここで、本実施形態では、センサホルダ19が外方部材5のインナー側の端部に装着されている。インナー側のシール9はこのセンサホルダ19と内輪2との間に形成される環状空間の開口部に装着されている。シール9は、図2に拡大して示すように、断面略L字状に形成された環状のシール板20とスリンガ21を備え、互いに対向して配置されている。シール板20は、センサホルダ19がモールド成形され、露出した部分が外方部材5の端部に内嵌された芯金22と、この芯金22に加硫接着等で一体に接合されたシール部材23とからなる。そして、スリンガ21にはパルサリング24が外嵌されている。
芯金22は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、センサホルダ19がモールド成形される円筒部22aと、この円筒部22aから径方向内方に延びる内径部22bとを有している。そして、円筒部22aの一部露出した部分が外方部材5の端部に内嵌されている。これにより、強固な抜け耐力を有して嵌合部の気密性を高めることができる。なお、芯金24は、回転速度センサ28の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼鈑で形成されるのが好ましい。
また、シール部材23は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、芯金22の内径部22bに加硫接着で一体に接合されている。このシール部材23は、サイドリップ23aと一対のラジアルリップ23b、23cを一体に有している。
スリンガ21は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、内輪2の外径に圧入される円筒部21aと、この円筒部21aから径方向外方に延びる立板部21bとを有している。
パルサリング24は、スリンガ21に圧入される芯金26と、この芯金26に加硫接着により一体に接合された磁気エンコーダ27とからなる。パルサリング24の芯金26は、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)あるいは防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からなり、プレス加工によって断面が略コの字状に形成され、スリンガ21の円筒部21aに圧入される円筒状の内径部26aと、この内径部26aから径方向外方に延びる立板部26b、およびこの立板部26bから軸方向に延びる外径部26cを有し、この外径部26cに磁気エンコーダ27が加硫接着によって一体に接合されている。そして、シール部材23のサイドリップ23aがパルサリング24の芯金26の立板部26bに摺接されると共に、一対のラジアルリップ23b、23cがスリンガ21の円筒部21aにそれぞれ摺接されている。
磁気エンコーダ27は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入されたゴム磁石からなり、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。これにより、強磁性体の芯金26と相俟って出力信号が強くなり安定した検出精度を確保することができる。
また、こうしたシール9を構成することにより、パルサリング24がダスト等により汚れるのを防止することができると共に、このパルサリング24に摺接するシール板20のサイドリップ23aおよびラジアルリップ23b、23cによって転動体4および各転走面から隔離されているので、転動体4の回転によって生じる金属摩耗粉等が磁気エンコーダ27に付着するのを防止することができ、検出精度の低下を回避することができる。
また、センサホルダ19は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の非磁性の樹脂材にGF(ガラスファイバー)等の強化材が添加され、射出成形によって形成されている。そして、磁気エンコーダ27に所定の径方向すきま(エアギャップ)を介して対峙する回転速度センサ28が包埋されている。これにより、回転速度センサ28の感知性能に悪影響を及ぼさず、また、耐食性に優れ、長期間に亘って強度・耐久性を向上させることができる。この回転速度センサ28は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子28aと、リード線28bを介してこの磁気検出素子28aの出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたIC28cとからなる。これにより、低コストで信頼性の高い回転速度検出ができる。なお、センサホルダ19は前述した材質以外にPA(ポリアミド)66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の射出成形可能な合成樹脂を例示することができる。なお、図2の回転速度センサ28の実施例は一例を示すものであり、磁気検出素子28aと波形成型回路28cが一体化されたICでも良い。
ここで、図3に示すように、センサホルダ19の円周所定位置(図中垂直方向の上部)に取出し口29がインナー側に突出して形成されている。この取出し口29には、回転速度センサ28のIC28cに直接結線されたハーネス25が一体にモールドされている。また、このハーネス25の端部には、車体の電子回路に接続されたハーネス(図示せず)を結線する雄型のコネクタ30が接続されている。そして、センサホルダ19の側面にハーネス25を固定するためのクリップ31が、取出し口29までの取付角度を90°以内として一体に係止されている。これにより、センサホルダ19から周方向に沿って延びるハーネス25の長さを可及的に短くすることができ、走行中にハーネス25に振動が発生するのを防止している。したがって、ハーネス25の耐久性が向上すると共に、振動の影響でセンサホルダ19が外方部材5から抜け出すのを防止し、安定した速度検出により信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる。
クリップ31はオーステナイト系ステンレス薄板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延薄板(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて断面が略コの字状に形成され、図4に示すように、射出成形時にセンサホルダ19に一体に固定されている。そして、このクリップ31の両端部を矢印に示すように折り曲げることによってセンサホルダ19の側面にハーネス25を容易に、かつ密着させた状態で固定することができ、走行中にハーネス25が振動するのを確実に防止することができる。
なお、ここでは、センサホルダ19のインナー側に突出して取出し口29が形成されてハーネス25が直接モールドされ、このハーネス25の端部にコネクタ30が接続された構成を例示したが、これに限らず、図示はしないが、センサホルダの接線方向に突出してコネクタが一体に形成され、このコネクタに車体の電子回路に接続されたハーネスを結線し、このハーネスをクリップによってセンサホルダの側面に固定するようにしても良い。
センサホルダ19にハーネス25を固定する手段はこのようなクリップ31に限らず、例えば、図5に示すような手段であっても良い。このセンサホルダ32は、射出成形により側面に係止部33が一体に形成されている。係止部33は、ハーネス25の外径よりも僅かに小径に形成された円弧状の凹所33aを有し、この凹所33aにハーネス25が装着されている。これにより、係止部34を弾性変形させるだけでハーネス25を凹所33aにワンタッチで装着することができ、センサホルダ32の側面にハーネス25を容易に、かつ密着させた状態で簡便に固定することができ、組立性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、回転速度検出装置として、磁気エンコーダ27と、ホール素子等の磁気検出素子からなる回転速度センサ28とからなるアクティブタイプの回転速度検出装置を例示したが、本発明に係る回転速度検出装置はこれに限らず、例えば、歯車と、磁石と巻回された環状のコイル等からなるパッシブタイプであっても良い。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、外方部材の端部に装着され、回転速度センサが包埋された樹脂製のセンサホルダを備えた車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1の検出部を示す要部拡大図である。 図1のIII−III線に沿った斜視図である。 図3のIV−IV線に沿った要部断面図である。 図4の変形例を示す要部断面図である。 従来の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図6の要部拡大図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、2a・・・・・・・・・・・・内側転走面
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c、17a・・・・・・・・・・・セレーション
1d・・・・・・・・・・・・・・・加締部
2・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
3・・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
4・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
5・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
5a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
5b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
6b・・・・・・・・・・・・・・・基部
7・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・・・アウター側のシール
9・・・・・・・・・・・・・・・・インナー側のシール
10・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
11・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
12・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
13・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
14・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
15・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
16・・・・・・・・・・・・・・・肩部
17・・・・・・・・・・・・・・・軸部
17b・・・・・・・・・・・・・・雄ねじ
18・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
19、32・・・・・・・・・・・・センサホルダ
20・・・・・・・・・・・・・・・シール板
21・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
21a、22a・・・・・・・・・・円筒部
21b、26b・・・・・・・・・・立板部
22、26・・・・・・・・・・・・芯金
22b、26a・・・・・・・・・・内径部
23・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
23a・・・・・・・・・・・・・・サイドリップ
23b、23c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
24・・・・・・・・・・・・・・・パルサリング
25・・・・・・・・・・・・・・・ハーネス
26c・・・・・・・・・・・・・・外径部
27・・・・・・・・・・・・・・・磁気エンコーダ
28・・・・・・・・・・・・・・・回転速度センサ
28a・・・・・・・・・・・・・・磁気検出素子
28b・・・・・・・・・・・・・・リード線
28c・・・・・・・・・・・・・・IC
29・・・・・・・・・・・・・・・取出し口
30・・・・・・・・・・・・・・・コネクタ
31・・・・・・・・・・・・・・・クリップ
33・・・・・・・・・・・・・・・係止部
33a・・・・・・・・・・・・・・凹所
50・・・・・・・・・・・・・・・回転速度検出装置付き車輪用軸受装置
51・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
51a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
51b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
52・・・・・・・・・・・・・・・ボール
53・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
54・・・・・・・・・・・・・・・回転速度検出装置
55・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
55a、56a・・・・・・・・・・内側転走面
55b・・・・・・・・・・・・・・小径段部
55c・・・・・・・・・・・・・・セレーション
56・・・・・・・・・・・・・・・内輪
57・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
58・・・・・・・・・・・・・・・保持器
59・・・・・・・・・・・・・・・アウター側のシール
60・・・・・・・・・・・・・・・インナー側のシール
61・・・・・・・・・・・・・・・磁気センサ
62・・・・・・・・・・・・・・・センサホルダ
63・・・・・・・・・・・・・・・第1のシールリング
64・・・・・・・・・・・・・・・第2のシールリング
65・・・・・・・・・・・・・・・芯金
66・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
66a・・・・・・・・・・・・・・サイドリップ
66b、66c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
67・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
67a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
67b、68b・・・・・・・・・・立板部
68・・・・・・・・・・・・・・・パルサリング
68a・・・・・・・・・・・・・・内径部
68c・・・・・・・・・・・・・・外径部
69・・・・・・・・・・・・・・・多極磁石ロータ
70・・・・・・・・・・・・・・・コネクタ
θ・・・・・・・・・・・・・・・・取付角度

Claims (7)

  1. 外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、
    前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形によって形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダとを備えると共に、
    前記シールのうちインナー側のシールが、前記外方部材の端部に嵌合された芯金、およびこの芯金に加硫接着により一体に接合されたシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪に装着され、円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する被検出部を有するパルサリングを備え、
    前記被検出部と回転速度センサが所定のエアギャップを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、
    前記センサホルダの円周所定位置から前記回転速度センサと車体の電子回路を接続するハーネスが取り出されると共に、前記センサホルダのインナー側の側面に射出成形により係止部が一体に形成され、この係止部を弾性変形させて前記ハーネスを装着し、当該センサホルダのインナー側の側面に密着した状態で固定されていることを特徴とする回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  2. 前記センサホルダの円周所定位置に取出し口がインナー側に突出して形成されると共に、この取出し口に前記回転速度センサに直接結線されたハーネスが一体にモールドされ、このハーネスの端部にコネクタが接続されている請求項に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  3. 前記センサホルダの接線方向に突出してコネクタが一体に形成され、このコネクタに前記ハーネスが結線されている請求項1または2に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  4. 前記インナー側のシールが、前記芯金に対向配置され、断面略L字状に形成されたスリンガを備え、このスリンガが、前記内輪の外径に圧入された円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部を有し、前記円筒部に前記パルサリングが圧入固定され、このパルサリングの外径部に、エラストマに磁性体粉が混入されて周方向に交互に磁極N、Sが着磁された磁気エンコーダが加硫接着により一体に接合されると共に、前記シール部材に一体形成されたサイドリップとラジアルリップが前記パルサリングとスリンガにそれぞれ摺接されている請求項に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  5. 前記芯金がオーステナイト系ステンレス鋼鈑で形成され、この芯金の外径部に前記センサホルダが一体にインサート成形されると共に、前記芯金の外径部が一部露出して前記外方部材の端部に内嵌されている請求項に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  6. 前記パルサリングが強磁性体の鋼板から形成されている請求項1または4に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  7. 前記センサホルダが、強化材が添加された非磁性の合成樹脂材から形成されている請求項1乃至3および5いずれかに記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
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