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JP5125213B2 - 新規なトリアリールアミンポリマー、その製造方法及び用途 - Google Patents

新規なトリアリールアミンポリマー、その製造方法及び用途 Download PDF

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JP5125213B2
JP5125213B2 JP2007123857A JP2007123857A JP5125213B2 JP 5125213 B2 JP5125213 B2 JP 5125213B2 JP 2007123857 A JP2007123857 A JP 2007123857A JP 2007123857 A JP2007123857 A JP 2007123857A JP 5125213 B2 JP5125213 B2 JP 5125213B2
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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)の正孔輸送層または正孔注入層として好適な有機溶媒に可溶の新規なトリアリールアミンポリマーとその製造方法に関する。
有機EL素子は、図1に主な概略構成例を示すが、透明基板上に発光層、正孔または電子を輸送する層、陰極及び陽極の2つの電極からなる。
有機EL素子に使用される材料として、前記発光層や正孔または電子を輸送する層に種々の低分子系材料や高分子系材料が用いられており、それぞれ真空蒸着法または湿式塗布法により有機EL素子が作製されている。しかし、真空蒸着法においては、複数の蒸着釜を連結した真空蒸着装置を必要とし、生産性が低く、将来的な大画面化を見据えた場合には製造コストが非常に高いといった問題があった。
これに対し、高分子材料を溶剤に溶かしてスピンコート等の方法により成膜する湿式塗布法は、大気圧下の塗布または印刷による層形成が可能なため、設備コストが安く、また生産性に優れるといった利点がある。
ところで、高分子系の有機EL材料としては、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)やポリアルキルチオフェン等の導電性π共役ポリマーが知られており(例えば、特許文献1参照)、正孔輸送材料としては前記ポリチオフェン系の他、近年、トリアリールアミンを含むポリマーが報告されている(例えば、特許文献2〜6参照)。現在はポリチオフェン系化合物が広く使用されており、ポリチオフェンに酸基含有重合体をブレンドして水分散体化したものを陽極上へ塗布して正孔輸送層を形成している(例えば、特許文献7参照)。
しかしながら、上記ポリチオフェンの水分散体は、水の乾燥工程、酸基による腐食、また不純物残存といった短所があり、満足のいく材料が得られていないのが現状である。
特開平3−273087号公報 特開平8−054833号公報 特開平8−259935号公報 特開平11−035687号公報 特開平11−292829号公報 特開平13−098023号公報 特表2000−514590号公報
そこで本発明では、有機溶剤に可溶で成膜性に優れ、有機EL素子の正孔輸送層としてキャリア輸送性に優れた新規な重合体を得ることを課題とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 0005125213
(式中、Arは置換若しくは無置換の炭素数6〜60のアリール基若しくはヘテロアリール基であり、Aは単結合か置換若しくは無置換の炭素数6〜36のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基であり、Bは置換若しくは無置換の炭素数6〜36のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基である。Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリール基である。Rは隣り合う炭素原子と縮合環を形成してもよい。aは0〜2の整数、mは1〜4の整数であり、nは1以上の整数である。)
で表されるトリアリールアミンポリマー及びその製造方法に関する。
本発明におけるアリールアミンポリマーは、n=1のモノマー、n=2のダイマー及びn=3のトリマーも含むが、好ましくはn=4以上のアリールアミンポリマーである。
本発明のトリアリールアミンポリマーは、その構造単位において、上記一般式(1)で示される構造単位を有することを特徴とする。
一般式(1)において、A及びBとしては前記の定義に該当すれば特に限定されるものではないが、それぞれ下記一般式(2)〜(4)で表されるアリーレン基であることが特に好ましい。
Figure 0005125213
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリール基であり、隣り合う炭素原子と縮合環を形成してもよい。o及びqは1または2の整数、pは1〜4の整数、bは0〜4の整数である。)
前記一般式(1)及び(2)において、R及びRは前記の定義に該当すれば特に限定されるものではないが、具体的には水素原子の他、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、4−メチル−シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、アダマンチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、4−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、9−アントラセニル基、9,9−二置換−2−フルオレニル基等のアリール基を挙げることができる。
また、前記一般式(1)において、Arは前記の定義に該当すれば特に限定されるものではないが、下記一般式(5)で表される構造が特に好ましい。
Figure 0005125213
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、または下記一般式(6)〜(9)
Figure 0005125213
(式中、R、R、R及びRは各々独立して水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基である。d、e、f及びgは0〜5の整数である。sは1または2の整数である。)
で表される基である。cは0〜5の整数、rは1または2の整数である。]
また、前記一般式(1)のArは、下記一般式(10)で表されるアリール基であることも好ましい。
Figure 0005125213
(式中、R及びRは各々独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基である。)
前記一般式(5)〜(10)において、置換基R〜Rは上記の定義に該当すれば特に限定されるものではないが、具体的には前記明細書中で例示したR及びRの一部の置換基を挙げることができる。
本発明のトリアリールアミンポリマーのうち、下記一般式(11)〜(13)で表されるトリアリールアミンポリマーは、主鎖の共役長が長くかつ溶解性、成膜性に優れていることから特に好ましい。
Figure 0005125213
(式中、R10、R11及びR12は各々独立して炭素数8〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、または炭素数8〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基である。t、u及びvは1または2の整数であり、nは1以上の整数である。)
本発明において、トリアリールアミンポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜500,000の範囲が好ましく、溶解性及び成膜性の点からさらに好ましくは2,000〜100,000の範囲である。
次に、本発明のトリアリールアミンポリマーの製造方法について説明する。
本発明の上記一般式(1)で表されるトリアリールアミンポリマーは、下記一般式(14)
Figure 0005125213
(式中、Arは置換若しくは無置換の炭素数6〜60のアリール基若しくはヘテロアリール基であり、Bは置換若しくは無置換の炭素数6〜36のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基である。X及びXはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基、または炭素数6〜12のアリールスルホニルオキシ基である。)
で表されるトリアリールアミン化合物と下記一般式(15)
Figure 0005125213
(式中、Aは単結合か置換若しくは無置換の炭素数6〜36のアリーレン基若しくはヘテロアリーレン基であり、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルコキシ基、または炭素数6〜18のアリール基である。Rは隣り合う炭素原子と縮合環を形成してもよい。Y及びYはボロン酸またはボロン酸エステルである。aは0〜2の整数、mは1〜4の整数である。)
で表されるビスボロン酸またはビスボロン酸エステルを、触媒及び塩基の存在下で重合させることにより、簡便かつ効率的に製造することができる。
上記一般式(14)のX及びXにおいて、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基は、フッ素原子で置換されていてもよく、トリフルオロメタンスルホニル基等が挙げられる。アリールスルホニルオキシ基はアルキル基で置換されていてもよく、フェニルスルホニルオキシ基、トリルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
前記一般式(14)で表されるトリアリールアミン化合物は特に限定されるものではないが、具体的には下記一般式(16)〜(22)等を例示することができる。
Figure 0005125213
また前記一般式(15)で表されるビスボロン酸またはビスボロン酸エステルは特に限定されるものではないが、具体的には下記一般式(23)〜(27)等を例示することができる。
Figure 0005125213
上記の化合物(16)〜(27)において、R’は各々独立して水素原子、または炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。
触媒成分として使用するパラジウム化合物は特に限定されるものではないが、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)トリフルオロアセテート等の2価のパラジウム化合物類、及びビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価のパラジウム化合物類を挙げることができる。
パラジウム化合物の使用量は特に限定されるものではないが、例えば、原料である上記一般式(14)の脱離基X及びX1モルに対し、パラジウム換算で通常0.001〜20モル%の範囲であり、高価なパラジウム化合物を使用することから、好ましくは脱離基1モルに対し、パラジウム換算で0.1〜5モル%の範囲である。
塩基としては特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム、カリウムの炭酸塩、水酸化バリウム、フッ化セシウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基などを挙げることができる。
塩基の使用量は特に限定されるものではないが、トリアリールアミン化合物とビスボロン酸またはビスボロン酸エステルに対して当量以上、好ましくは1〜20当量加えて反応させる。
本発明の方法において反応温度は、トリアリールアミンポリマーを製造することが可能な反応温度であれば特に限定されるものではないが、通常20〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲である。
本発明の方法において反応時間は、製造するトリアリールアミンポリマーにより一定ではないため特に限定されるものではないが、多くの場合、数分〜72時間の範囲から選択すればよい。好ましくは24時間未満である。
本発明のトリアリールアミンポリマーの製造は、通常は不活性溶媒存在下で実施することが好ましい。使用する溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げることができる。これらの溶媒は単独または混合して使用することができる。また、共溶媒として水等の溶媒も使用することができる。
このようにして得られたポリマーには、原料やその仕込み比等の条件により異なるものの、下記一般式(28)〜(30)に示されるように原料由来のハロゲン、ボロン酸等の末端脱離基が存在する。
Figure 0005125213
これら末端が残存した場合、耐熱性、耐色性等の材料特性に悪影響が出る傾向にある。すなわち、末端には単量体の脱離基が実質的に残っていないことが好ましい。そこで、原料に由来して残存する末端に対し、芳香族ボロン酸及び/または芳香族ハロゲン化物を加え、末端の処理を行う。
末端処理に用いる芳香族ボロン酸としては特に限定されるものではないが、具体的には、フェニルボロン酸、o−トリルボロン酸、m−トリルボロン酸、p−トリルボロン酸、2,6−ジメチルフェニルボロン酸、3,5−ジメチルフェニルボロン酸、2,3−ジメチルフェニルボロン酸、2,5−ジメチルフェニルボロン酸、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸、2,4,5−トリメチルフェニルボロン酸、2,3,5,6−テトラメチルフェニルボロン酸、4−エチルフェニルボロン酸、2−エチルフェニルボロン酸、4−プロピルフェニルボロン酸、4−n−ブチルフェニルボロン酸、4−tert−ブチルフェニルボロン酸、4−メトキシフェニルボロン酸、3−メトキシフェニルボロン酸、2−メトキシフェニルボロン酸、2,6−ジメトキシフェニルボロン酸、3,4−ジメトキシフェニルボロン酸、2,4−ジメトキシフェニルボロン酸、2,5−ジメトキシフェニルボロン酸、2,3−ジメトキシフェニルボロン酸、2,3,4−トリメトキシフェニルボロン酸、4−フルオロフェニルボロン酸、3−フルオロフェニルボロン酸、2−フルオロフェニルボロン酸、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸、3,4−ジフルオロフェニルボロン酸、2,6−ジフルオロフェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、2,5−ジフルオロフェニルボロン酸、2,3−ジフルオロフェニルボロン酸、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸、3−フルオロ−4−メトキシフェニルボロン酸、3,4−(メチレンジオキシ)フェニルボロン酸、1−ナフタレンボロン酸、2−ナフタレンボロン酸、6−メトキシ−2−ナフタレンボロン酸、6−エトキシ−2−ナフタレンボロン酸、4−メチル−1−ナフタレンボロン酸、ピレン−1−ボロン酸、2−ビフェニルボロン酸、3−ビフェニルボロン酸、4−ビフェニルボロン酸等を例示することができる。好ましくはフェニルボロン酸である。
芳香族ハロゲン化物としては特に限定されるものではないが、具体的には、ブロモベンゼン、2−ブロモトルエン、3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエン、2−ブロモ−m−キシレン、2−ブロモ−p−キシレン、3−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−m−キシレン、5−ブロモ−m−キシレン、1−ブロモ−2−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−プロピルベンゼン、1−ブロモ−4−n−ブチルベンゼン、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン、1−ブロモ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ブロモアニソール、3−ブロモアニソール、4−ブロモアニソール、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、2−ブロモビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、9−ブロモアントラセン、9−ブロモフェナンスレン、N−メチル−3−ブロモカルバゾール、N−エチル−3−ブロモカルバゾール、N−プロピル−3−ブロモカルバゾール、N−ブチル−3−ブロモカルバゾール、2−ブロモフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジイソプロピルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ブチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−tert−ブチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−sec−ブチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ヘキシルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレン等の置換若しくは無置換のブロモベンゼン類、クロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2−クロロ−m−キシレン、2−クロロ−p−キシレン、3−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−m−キシレン、5−クロロ−m−キシレン、1−クロロ−2−エチルベンゼン、1−クロロ−4−エチルベンゼン、1−クロロ−4−プロピルベンゼン、1−クロロ−4−n−ブチルベンゼン、1−クロロ−4−tert−ブチルベンゼン、1−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−クロロアニソール、3−クロロアニソール、4−クロロアニソール、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、2−クロロビフェニル、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、9−クロロアントラセン、9−クロロフェナンスレン、N−メチル−3−クロロカルバゾール、N−エチル−3−クロロカルバゾール、N−プロピル−3−クロロカルバゾール、N−ブチル−3−クロロカルバゾール、2−クロロフルオレン、2−クロロ−9,9−ジメチルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジエチルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジイソプロピルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ブチルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−tert−ブチルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−sec−ブチルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ヘキシルフルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−オクチルフルオレン等の置換若しくは無置換のクロロベンゼン類、及びヨードベンゼン、2−ヨードトルエン、3−ヨードトルエン、4−ヨードトルエン、2−ヨード−m−キシレン、2−ヨード−p−キシレン、3−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−m−キシレン、5−ヨード−m−キシレン、1−ヨード−2−エチルベンゼン、1−ヨード−4−エチルベンゼン、1−ヨード−4−プロピルベンゼン、1−ヨード−4−n−ブチルベンゼン、1−ヨード−4−tert−ブチルベンゼン、1−ヨード−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ヨードアニソール、3−ヨードアニソール、4−ヨードアニソール、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、2−ヨードビフェニル、3−ヨードビフェニル、4−ヨードビフェニル、9−ヨードアントラセン、9−ヨードフェナンスレン、N−メチル−3−ヨードカルバゾール、N−エチル−3−ヨードカルバゾール、N−プロピル−3−ヨードカルバゾール、N−ブチル−3−ヨードカルバゾール、2−ヨードフルオレン、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジエチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジイソプロピルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ブチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−tert−ブチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−sec−ブチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ヘキシルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−オクチルフルオレン等の置換若しくは無置換のヨードベンゼン類を例示することができる。好ましくはハロベンゼンであり、さらに好ましくはブロモベンゼンである。
本発明の末端処理に用いられる芳香族ボロン酸及び/または芳香族ハロゲン化物は、前記一般式(14)で表されるトリアリールアミン化合物と前記一般式(15)で表されるビスボロン酸またはビスボロン酸エステルとの重合反応により得られるトリアリールアミンポリマーを製造してから加えて反応させてもよいし、トリアリールアミンポリマーを製造する過程で反応器内へ直接加えて反応させてもよい。好ましくは、ポリマー製造時の一定時間重合反応後に、反応器内へ逐次添加することにより反応させる方法である。
本発明の末端処理に用いられる芳香族ボロン酸及び/または芳香族ハロゲン化物の添加量は、重合反応により生成するポリマーの分子量や重合反応条件により一定ではないため特に限定されるものではないが、重合時に直接加える場合には、原料である前記一般式(14)で表されるトリアリールアミン化合物に対して0.01〜0.8倍モルの割合で添加することが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5倍モルの割合である。
本発明の処理方法において、触媒として用いるパラジウム触媒及び塩基の使用量は、重合反応により生成するトリアリールアミンポリマーの分子量により一定ではないため特に限定されるものではないが、例えば、重合反応時の一定時間後に、芳香族ボロン酸及び/または芳香族ハロゲン化物を直接加える場合においては、パラジウム化合物をさらに添加する必要はなく、簡略化が可能である。
本発明のトリアリールアミンポリマーは、キャリア移動度が非常に高く、有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送材料、バッファー材料用途として極めて有用である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
[元素分析]
元素分析計:パーキンエルマー全自動元素分析装置 2400II
酸素フラスコ燃焼−IC測定法:東ソー製 イオンクロマトグラフ IC−2001
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所製 M−80B
測定方法:FD−MS分析
[NMR測定]
NMR測定装置:VARIAN Gemini−200
[赤外分光分析]
赤外分光分析装置:パーキンエルマー赤外分光分析装置 システム2000
測定方法:ヌジョール法
[GPC測定]
測定方法:東ソー製 HLC−8220;カラム:東ソー製 G5000HXL−G3000HXL
溶媒:THF、濃度:0.5重量%、流速:1.0ml/分
[ガラス転移温度測定]
測定装置:マックサイエンスDSC−3100
測定方法:標準試料=Al5.0mg、昇温速度=10℃/分(窒素雰囲気)
[紫外可視分光]
紫外可視分光測定装置:日立製作所製 紫外可視分光光度計
[光電子分光]
光電子分光測定装置:理研計器製 光電子分光法 AC−2
実験例1(N,N−ビス(2−ナフタレン−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−4−n−ドデシルアニリン(1−C)の合成)
Figure 0005125213
冷却管、温度計を装着した300ml四つ口丸底フラスコに、室温下、2−ブロモ−6−メトキシナフタレン 13.0g(55mmol)、4−n−ドデシルアニリン 7.3g(25mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 5.8g(60.5mmol)及びo−キシレン 110mlを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体126mg(0.14mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 1.2mlのo−キシレン溶液(10ml,0.2mg/ml)を添加した。その後窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら終夜熟成した。反応終了後、この反応混合物を室温まで冷却して、トルエンを用いて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去後、ヘキサン溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーを実施した。さらにヘキサンとエタノールを用いて再結晶を実施し、白色固体として11.7g得た(収率81%)。NMR測定により目的物1−Aであることを確認した。
H−NMR(CDCl):7.62(2H,d,8.8Hz),7.49(2H,d,8.8Hz),7.39(2H,s),7.29(2H,d,8.8Hz),7.28(2H,d,8.8Hz),7.0−7.15(6H,m),3.90(6H,s),2.57(2H,t,8.2Hz),1.5−1.75(2H,m),1.15−1.45(18H,m),0.88(3H,t,6.6Hz)
13C−NMR(CDCl):156.71, 145.54, 143.91, 137.74, 130.86, 129.76, 129.06, 128.36, 127.56, 125.12, 123.90, 120.44, 118.79, 105.90, 55.37, 35.45, 31.99, 31.59, 29.74, 29.61, 29.50, 29.43, 22.76, 14.19
滴下漏斗を装着した100ml丸底フラスコに、室温、窒素雰囲気下で1−A 5.74g(10mmol)及びジクロロメタン50mlを仕込んだ。氷浴中にて冷却した後、三臭化ホウ素1Mのジクロロメタン溶液20ml(20mmol)をゆっくり滴下した。窒素雰囲気下、その状態でゆっくり昇温させながら終夜攪拌した。純水を加えて反応を終了させた後、この反応混合物にトルエンを加えて有機層を抽出した。トルエン:酢酸エチル=4:1の溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーを実施し、黄緑色油状物として3.91g得た(収率72%)。NMR測定により目的物1−Bであることを確認した。
H−NMR(CDCl):6.9−7.7(16H,m),5.01(2H,br−s),2.4−2.7(2H,m),1.5−1.75(2H,m),1.1−1.5(18H,m),0.87(3H,t,6.6Hz)
滴下漏斗を装着した100mlなす型フラスコに、室温、窒素雰囲気下で1−B 3.22g(5.9mmol)、トルエン50ml及びピリジン15mlを仕込んだ。氷浴中にて冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)4.66g(16.5mmol)をゆっくり滴下し、その状態でゆっくり昇温させながら終夜攪拌した。純水を加えて反応を終了させた後、この反応混合物にトルエンを加えて抽出した。さらに10%塩酸、純水、飽和食塩水の順に有機層を洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去した。これにトルエン溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーを実施し、黄色油状物として4.83g得た(quant.)。NMR測定により目的物1−Cであることを確認した。
H−NMR(CDCl):7.75(2H,d,8.8Hz),7.67(2H,s),7.64(2H,d,8.8Hz),7.0−7.5(10H,m),2.57(2H,t,7.8Hz),1.5−1.75(2H,m),1.15−1.45(18H,m),0.88(3H,t,6.6Hz)
実施例1(化合物31の合成)
冷却管、温度計を装着した50ml四つ口丸底フラスコに、室温下、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジボロン酸ビスピナコールエステル 564mg(1.1mmol)、1−C 810mg(1mmol)、Aliquat336 0.6g、炭酸ナトリウム640mg(32mmol)、純水6g及びトルエン10mlを仕込んだ。この混合溶液中に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム5.8mg(0.005mmol)を添加し、温度を95℃まで昇温し、加熱攪拌しながら約16時間熟成した。その後、ブロモベンゼンを加え、さらに1日加熱攪拌した。反応終了後、この反応混合物を室温まで冷却した後、90%アセトン水溶液(300ml)の攪拌溶液へゆっくり加えた。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥した。さらにトルエン溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーを実施し、濃縮溶液を再度アセトン中へゆっくり加えて析出させ、乾燥させることで黄土色粉体を得た(収率40%)。得られた粉体を元素分析及び赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(31)で表されるトリアリールアミンポリマーであることが確認された。元素分析及び赤外分光分析の測定結果をそれぞれ表1及び図2に示す。また、得られたポリマーは、ポリスチレン換算で重量平均分子量12,000及び数平均分子量7,500(分散度1.58)であった。光電子分光法により測定した結果、HOMO準位5.4eVであった。元素分析及び赤外分光分析の測定結果をそれぞれ表1及び図2に示す。
Figure 0005125213
Figure 0005125213
実施例2(仕込比を変更した化合物31の合成)
実施例1において、1−B 420mg(1mmol)の代わりに2−C 810mg(1mmol)及び炭酸ナトリウム640mg(32mmol)の代わりに炭酸カリウム553mg(4mmol)を用いた以外は実施例1と同様の方法で実施し、黄土色粉末を得た(収率70%)。また、得られたポリマーは、ポリスチレン換算で重量平均分子量22,000及び数平均分子量12,300(分散度1.95)であった。
実験例2(N,N−ビス(4’−ブロモフェニル)−4−n−オクチルアニリン(2−B)の合成)
Figure 0005125213
冷却管、温度計を装着した300ml四つ口丸底フラスコに、室温下、ブロモベンゼン17.3g(110mmol)、4−n−オクチルアニリン 10.3g(50mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 12.7g(132mmol)及びo−キシレン 170mlを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体229mg(0.25mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 2.2mlのo−キシレン溶液(5ml,0.2mg/ml)を添加した。その後窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら4時間熟成した。反応終了後、この反応混合物を室温まで冷却し、トルエンを用いて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去後、ヘキサン溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーを実施し、淡黄色油状物として14.1g得た(収率78%)。
300ml四つ口丸底フラスコに、室温下、2−A 14.1g(39mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド 150mlを仕込んだ。この混合液に、N,N−ジメチルホルムアミド 50mlにN−ブロモスクシンイミド 9.8g(55mmol)を溶解させた溶液をゆっくり滴下し、滴下終了後、室温で3時間反応させた。反応終了後、この反応混合物にトルエンを加えて有機層を抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去後、ヘキサン溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーを実施し、淡黄色油状物として17.8g得た(収率87%)。NMR測定により目的物2−Bであることを確認した。
H−NMR(CDCl):6.8−7.7(12H,m),2.57(2H,t,7.6Hz),1.45−1.70(2H,m),1.15−1.45(10H,m),0.90(3H,t,6.6Hz)
13C−NMR(CDCl):143.63, 144.28, 138.86, 132.14, 129.43, 124.93, 114.91, 35.46, 31.96, 31.52, 29.54, 29.45, 29.32, 22.75, 14.20
実施例3(化合物32の合成)
実施例1において、1−C 810mg(1mmol)の代わりに2−B420mg(1mmol)を用いた以外は実施例1と同様の方法で実施し、黄土色粉体を得た。得られた粉体を元素分析及び赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(32)で表されるトリアリールアミンポリマーであることが確認された。また、得られたポリマーは、ポリスチレン換算で重量平均分子量5,000及び数平均分子量3,000(分散度1.7)であった。光電子分光法により測定した結果、HOMO準位5.3eVであった。
Figure 0005125213
実験例3(化合物3−Dの合成)
Figure 0005125213
冷却管、温度計を装着した200ml四つ口丸底フラスコに、室温下、2−ブロモ−6−メトキシナフタレン 4.7g(20mmol)、4−クロロフェニルボロン酸 3.3g(21mmol)、THF75ml及び20%炭酸ナトリウム水溶液 45gを仕込んだ。この混合液に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム11.6mg(0.01mmol)を添加し、その後窒素雰囲気下、温度を60℃まで昇温し、加熱攪拌しながら6時間熟成した。反応終了後、この反応混合物を室温まで冷却し、トルエンを用いて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去後、エタノールを用いて再結晶を実施し、淡褐色結晶として4.2g得た(収率78%)。NMR測定により目的物3−Aであることを確認した。
H−NMR(CDCl):7.93(1H,s),7.80(1H,d,8.4Hz),7.78(1H,d,8.8Hz),7.61−7.69(2H,m),7.60(1H,s),7.43(2H,d,8.4Hz),7.13−7.22(2H,m),3.94(3H,s)
13C−NMR(CDCl):157.81, 139.57, 135.03, 133.82, 133.05, 129.63, 129.04, 128.88, 128.35, 127.34, 125.60, 125.47, 119.28, 105.55, 55.37
冷却管、温度計を装着した200ml四つ口丸底フラスコに、室温下、3−A 4.2g(15.6mmol)、4−n−ドデシルアニリン 2.0g(7mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.6g(17.2mmol)及びo−キシレン 55mlを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体35.7mg(0.04mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン0.2mg/mlトルエン溶液 0.34mlのo−キシレン(5ml)溶液を添加した。その後窒素雰囲気下、温度を140℃まで昇温し、140℃で加熱攪拌しながら終夜熟成した。反応終了後、この反応混合物を室温まで冷却し、トルエンを用いて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去後、トルエン溶媒によりカラムクロマトグラフィーを実施した。さらにヘキサンとエタノールを用いて再結晶を実施し、白色固体として5.0g得た(収率99%)。NMR測定により目的物3−Bであることを確認した。
H−NMR(CDCl):7.95(2H,s),7.66−7.83(8H,m),7.60(2H,d,8.4Hz),7.1−7.3(12H,m),3.94(6H,s),2.60(2H,t,8.0Hz),1.5−1.75(2H,m),1.15−1.45(18H,m),0.88(3H,t,7.0Hz)
13C−NMR(CDCl):157.50, 146.95, 138.20, 135.82, 134.88, 133.44, 129.54, 129.25, 129.19, 127.72, 127.13, 125.69, 124.90, 124.81, 123.81, 119.01, 105.59, 97.27, 55.36, 48.53, 29.76, 29.72, 29.61, 29.43, 22.76, 14.19
滴下漏斗を装着した50mlなす型フラスコに、室温、窒素雰囲気下で3−B 5.0g(6.9mmol)及びジクロロメタン50mlを仕込んだ。氷浴中にて冷却した後、三臭化ホウ素1Mジクロロメタン溶液 14ml(14mmol)をゆっくり滴下した。窒素雰囲気下、その状態でゆっくり昇温させながら終夜攪拌した。純水を加えて反応を終了させた後、この反応混合物をトルエンを用いて有機層を抽出した。これをトルエン:酢酸エチル=4:1溶媒によりカラムクロマトグラフィーを実施し、黄緑色油状物として3−Cを4.7g得た。
滴下漏斗を装着した100mlなす型フラスコに、室温、窒素雰囲気下で前記3−C 4.7g、トルエン60ml及びピリジン18mlを仕込んだ。氷浴中にて冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)5.14g(18.2mmol)をゆっくり滴下し、その状態でゆっくり昇温させながら終夜攪拌した。純水を加えて反応を終了させた後、この反応混合物にトルエンを加えて抽出した。さらに10%塩酸、純水、飽和食塩水の順に有機層を洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去した。これをトルエン:ヘキサン=1:1溶媒によりカラムクロマトグラフィーを実施した後、ヘキサンを用いて洗浄することで淡黄色粉体として3.74g得た(収率は3−Bからの2段階で56%)。NMR測定により目的物3−Dであることを確認した。
H−NMR(CDCl):8.06(2H,s),7.72−8.02(8H,m),7.62(4H,d,8.8Hz),7.39(2H,d,9.2Hz),7.24(4H,d,7.6Hz),7.15(4H,s),2.61(2H,t,8.4),1.55−1.75(2H,m),1.15−1.45(18H,m),0.88(3H,t,6.6Hz)
実施例4(化合物33の合成)
実施例1において、1−B 420mg(1mmol)の代わりに3−D 810mg(1mmol)を用いた以外は実施例1と同様の方法で実施し、黄土色粉体を得た(収率40%)。得られた粉体を元素分析及び赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(33)で表されるトリアリールアミンポリマーであることが確認された。また、得られたポリマーは、ポリスチレン換算で重量平均分子量5,500及び数平均分子量4,200(分散度1.31)であった。
Figure 0005125213
実施例5(化合物35の合成)
実施例1において、1−B 420mg(1mmol)の代わりに下記一般式(34)で表される化合物
Figure 0005125213
を用いた以外は実施例1と同様の方法で実施し、黄土色粉体を得た(収率56%)。得られた粉体を元素分析及び赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(35)で表されるトリアリールアミンポリマーであることが確認された。また、得られたポリマーは、ポリスチレン換算で重量平均分子量13,000及び数平均分子量8,000(分散度1.6)であった。
Figure 0005125213
実施例6(化合物(31)の電荷移動度の測定)
基板には2mm幅のITO(酸化インジウム錫)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた(シート抵抗:20Ω/Sq)。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、スピンコート法による有機材料の成膜及び真空蒸着法による陰極の蒸着を行い、移動度測定素子を作製した。
スピンコート装置は、1H−D2(ミカサ社製)を用いた。またスピンコートする有機材料は、予めトルエンに溶解し、0.45μmフィルターに通した溶液を使用した。スピンコート装置に前記ITO基板をセットした後、化合物(31)のトルエン溶液を1〜5μmの厚みとなるように成膜した。触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した成膜後の膜厚は1.6μmであった。この基板をペルジャー型バキュームオーブン(柴田科学社製、BV−001)で60℃、1時間真空乾燥した後、真空蒸着装置(EG−240、東京真空社製)内にセットし、1.6×10−6Torrまで減圧した後、ITOストライプと直交するように、2mm幅のAl膜を10nmの膜厚で真空蒸着した。これによって、移動度測定用の2mm角の動作エリアが得られた。この基板を酸素・水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、紫外線硬化型エポキシ樹脂XNR5516(ナガセケムテックス社製)を用いた。
電荷輸送材料の移動度測定は任意の方法で測定することができるが、今回は一般的な測定方法であるタイムオブフライト移動度測定法を用いた。移動度測定装置は、株式会社オプテル社製を用いた。測定は任意の温度で行い、337nmの窒素レーザをAl電極側から照射した時に発生した電荷のITO電極への移動速度から移動度を求めた。化合物(31)の電荷移動度を測定したところ、電界強度=約600(V/cm)1/2での移動度は1.0〜2.0×10−4cm/V・secであった。
実施例7(化合物(32)の電荷移動度の測定)
実施例6において、化合物(31)の代わりに化合物(32)を用いた以外は実施例6と同様の方法で素子を作成した。化合物(32)の電荷移動度を測定したところ、電界強度=約600(V/cm)1/2での移動度は1.0〜2.0×10−4cm/V・secであった。
有機EL素子の主な素子構成例を示す。 実施例1で得られた化合物(31)の赤外分光分析の測定結果を示す。

Claims (5)

  1. 下記一般式(11)〜(13)のいずれかから選択される構造であることを特徴とするトリアリールアミンポリマー。
    Figure 0005125213
    (式中、R 10 、R 11 及びR 12 は各々独立して炭素数8〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、または炭素数8〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基である。t、u及びvは1または2の整数であり、nは1以上の整数である。)
  2. ポリスチレン換算重量平均分子量が500〜500,000であることを特徴とする請求項1に記載のトリアリールアミンポリマー。
  3. ポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする請求項に記載のトリアリールアミンポリマー。
  4. トリアリールアミンポリマーの末端が置換若しくは無置換のフェニル基であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトリアリールアミンポリマー。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載のトリアリールアミンポリマーを正孔輸送層及び/または正孔注入層として用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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