JP5122794B2 - 画像形成装置 - Google Patents

Description

本発明は、記録ヘッド、静電吸着ベルトを備えたインクジェット式画像形成装置に関する。

近年、インクジェット方式により被印刷用紙に画像を形成するインクジェットプリンタ等の画像形成装置においては、インクを被印刷用紙に塗布、噴射等する際に被印刷用紙に発生することがあるコックリング（波打ち）に対して、画像品質維持とキャリッジとの接触防止の図ることが課題の一つとして挙げられている。そのため、例えば特許文献１のインクジェット記録装置は、キャリッジと被印刷用紙の距離を調整できるようにして、キャリッジと被印刷用紙の接触防止を図っている。

特開平１１−３４８３７３号公報

しかしながら、コックリングが生じると、被印刷用紙へのインク滴の着弾位置ずれの解消は不十分であり、画質低下は避けられないものとなっている。

そこで本発明は、画像品質維持とキャリッジとの接触防止を両立させることが可能なインクジェット方式等の画像形成装置を提供することを目的とする。

本発明の画像形成装置のうち請求項１に係るものは、 印字を行うための記録ヘッドと、被印刷用紙を搬送する静電吸着ベルトと、前記記録ヘッドよりインク滴を噴射して前記被印刷用紙に記録を行うインクジェット式画像形成装置において、 コックリング対策設定モードを有し、 該コックリング対策設定モードは、前記被印刷用紙に対する前記インク吐出印字動作を中断し、前記静電ベルト吸着面から該被印刷用紙をいったん離して一時退却させ、その後に再度前記静電吸着ベルトに該被印刷用紙を吸着させてから印字動作を再開するモードであり、 前記コックリング対策モードの設定時は、前記一時退避させた前記被印刷用紙を前記静電吸着ベルトに再吸着させるときに前記静電吸着ベルトに付与する印加電圧を前記一時退避前の印加電圧よりも大きくする、ことを特徴とする。

請求項２に係るものは、請求項１に記載の画像形成装置において、 前記静電吸着ベルトへの再吸着のために前記被印刷用紙を一時退避させるグリップローラ対を備え、 前記インク吐出印字動作の中断後に所定時間乾燥したあと、前記被印刷用紙を前記グリップローラ対で搬送することを特徴とする。

請求項３に係るものは、請求項２に記載の画像形成装置において、 前記グリップローラ対がレジストローラ対であることを特徴とする。

請求項４に係るものは、請求項１に記載の画像形成装置において、 前記静電吸着ベルトに付与する印加電圧を大きくするのは、前記静電吸着ベルトの回転を停止させた後であることを特徴とする。

請求項５に係るものは、請求項５に記載の画像形成装置において、 前記静電吸着ベルトに付与する印加電圧を大きくした後に、前記静電吸着ベルトを再回転させることを特徴とする。

本発明では、コックリング対策設定をした場合、ベルト上での被印刷用紙印字動作を一時中断し、一度ベルト吸着面から被印刷用紙を退避させて、再びベルト上に吸着させる際に、静電吸着ベルトに付与する印加電圧を一時退避前の印加電圧よりも大きくするので、コックリング現象により発生した波打ち状の凹凸を引き伸ばし、キャリッジ表面との接触による画像汚れや、印字時の記録ヘッドと被印刷用紙との距離がばらつくことによる画像の乱れを抑制することができる。

以下、本発明の実施形態に関して、添付図面を参照して説明する。

図１は印字を行うための記録ヘッド１と、記録ヘッド１を搭載したキャリッジ２と、キャリッジ２を主走査方向に移動させるための案内機構３（ガイドシャフト３ａ、ガイド板３ｂ）と駆動力伝達機構４（駆動モータ４ａ、タイミングベルト４ｂ、プーリ４ｃ）を備え、記録ヘッド１よりインク滴を噴射して被印刷用紙（以下、単に用紙という）５に記録を行うタイプのインクジェットプリンタ等のインクジェット式画像形成装置の要部を示す概略図である。

図２は、図１の装置が備える静電吸着ベルト７の側面から見た概略図である。用紙５に印字しながらベルト７が図中反時計回りに回転し、用紙５が回転方向下流側へと搬送される。このとき、印字条件によっては印字動作中に上述したようにコックリングが発生することがあり、用紙５が波打ち状に盛り上がることにより、キャリッジまたは記録ヘッド底面と用紙表面が接触し、画像汚れが発生する懸念がある。図中９ａはベルト搬送ローラ、９ｂ、９ｂはレジストローラ対、９ｃ、９ｃは搬送ローラ対である。

図３は本発明の第一の実施例において、静電吸着ベルト７の側面から見た概略図である。コックリング対策設定時は、印字動作を一時中断し、静電吸着ベルト７を図中時計回りに回転させ、用紙５をベルト吸着面から退避させる動作を行う。このとき用紙５は静電吸着ベルト７よりもその回転方向で上流側に位置する退避ガイド板１０上へと搬送される。そして再度静電吸着ベルト７上に搬送され、再吸着される。そして印字動作を再開し、静電吸着ベルト７は図中反時計回りに回転し、用紙５はその回転方向下流側へと搬送される。これにより、用紙５と静電吸着ベルト７を再密着させて用紙５の凹凸を抑え、画像汚れを回避する。

すなわち、コックリング対策設定をした場合、静電吸着ベルト７上での用紙５への印字動作を一時中断し、一度静電吸着ベルト７のベルト吸着面から用紙５を退避させ、再び静電吸着ベルト７上に吸着させることにより、コックリング現象により波打ち状の凹凸が発生している用紙に発生した波打ち状の凹凸を引き伸ばし、キャリッジ２の表面が接触しないようにして、画像汚れを防止するものである。また、印字時の記録ヘッド１と用紙５との距離がばらつくことによる画像の乱れを抑制するものである。

なおベルト再吸着のために用紙５が退避するときは、グリップローラ（図示の例ではレジストローラ対９ｂ、９ｂにて用紙５を搬送する構成となっている。これにより、用紙５を退避させると同時にレジストローラ対９ｂ、９ｂにて用紙を加圧し、用紙の凹凸を解消する。そして画像乾燥前にグリップさせると画像がローラに付着するので、その場合は乾燥時間を取ることになり、これにより用紙５とキャリッジ２表面との接触による画像汚れの防止することができるのである。

なお、用紙を退避させるグリップローラとして図示の例では静電ベルト７の回転方向上流側に設置されたレジストローラ対９ｂ、９ｂと兼用にすることにより、別途グリップローラを追加することなく構成を簡素化して低コスト、省スペースを図り、また加圧力も大きいことで用紙凹凸解消効果を大きくすることができるようになっている。

図４は上述した第１の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。図３に示した装置が有しているコックリング対策設定は、ステップ１でコックリング対策が「要」（図４のステップ１でのＹＥＳ）と設定されると、静電吸着ベルト７上での用紙５への印字動作を一時中断し、一度静電吸着ベルト７のベルト吸着面から用紙５を退避させ、再び静電吸着ベルト７上に吸着させる動作を行う（ステップ２）。これにより、コックリング現象により発生した波打ち状の凹凸を抑えて、コックリングによる凹凸が発生している用紙５とキャリッジ２や記録ヘッド１の表面との接触を回避し、画像汚れを防止する。またコックリング設定が「不要」（図４のステップ１でのＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので（ステップ３）、再吸着動作時間分落ちる可能性がある生産性を落とさずに済む。

図５は本発明の第２の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。この使用の場合、コックリング発生有無判定手段（ハードウェア的なものでも、ソフトウェア的なものでもいずれでも良い）を有しており（ステップ１）、その判定結果が「有り」の場合、自動的にコックリング対策設定に制御される（図５のＹＥＳ：ステップ２、３）。これにより、ユーザーが操作パネル等からコックリング有りモード入力を設定する必要がなく、ユーザー操作性が向上し、また設定漏れによる画像汚れを回避することができる。もちろん、コックリング設定が「不要」（図５のＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので、再吸着動作を行わない（ステップ４）。

すなわち、マシンに設定し、あるいはデータ転送された印字設定に基づいてコックリング発生の有無を判定することにより、ユーザーがコックリング有りモード入力を設定することなく、操作性向上を図れ、また未設定のまま通紙して画像汚れが発生することを防げる。

図６は本発明の第３の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。コックリング発生有無判定はマシンに設定し、あるいはデータ転送された印字設定に基づき自動判定する制御となっている（ステップ１〜４）。これにより、コックリング発生有無判定材料を、ユーザーがプロットアウトする際に入力が必要な情報から取り出すことで、簡便にコックリング対策設定をすることができる。先の例と同様に、コックリング設定が「不要」（図６のステップ３でのＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので、再吸着動作を行わない（ステップ５）。

図７は本発明の第４の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。コックリング発生有無判定は印字画像データに基づき自動判定する制御となっている（ステップ１〜４）。例えば印字画像データよりインク吐出量、または高画質モード時の画像重ね描き有無などから判断する。これにより、この判断結果に基づき自動的にコックリング対策設定することができる。これも先の例と同様に、コックリング設定が「不要」（図７のステップ３でのＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので、再吸着動作を行わない（ステップ５）。

図８は本発明の第５実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。この例では、コックリング発生有無を、紙種／紙厚／用紙サイズなどの用紙設定データより判定し、コックリング対策設定をする制御仕様となっている（ステップ１〜４）。これにより、用紙設定データより、インク浸透具合などから判断して、自動的にコックリング対策設定することができる。また先の例と同様に、コックリング設定が「不要」（図８のステップ３でのＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので、再吸着動作を行わない（ステップ５）。

図９は本発明の第６の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。この例では、コックリング発生有無判定は、温湿度環境とインク浸透具合の影響などを考慮した温湿度データに基づき自動判定する制御仕様となっている（ステップ１〜４）。これにより、その自動判定結果より、自動的にコックリング対策設定することができる。これも先の例と同様に、コックリング設定が「不要」（図９のステップ３でのＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので、再吸着動作を行わない（ステップ５）。

図１０は本発明の第７の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。この実施例は、用紙５の状態を監視する手段を有し、コックリング発生有無判定は監視結果に基づき自動判定する制御仕様となっている（ステップ１〜４）。これにより、より確実にコックリング発生有無判定を実施し、コックリング対策設定を自動にすることができる。なお、ステップ１では用紙状態確認とのみ記載してあるが、監視手段としてはセンサ等のハードウェアと、その検出データ内容からコックリング発生の有無を判定するソフトウェアを用いることになる。そして、これも先の例と同様に、コックリング設定が「不要」（図１０のステップ３でのＮＯ）と設定されると、静電吸着ベルト７への再吸着動作が不要となるので、再吸着動作を行わない（ステップ５）。

図１１は監視手段の一例として、用紙５の搬送方向に対して鉛直方向から用紙５を監視するための反射型フォトセンサ８を設置し、用紙５までの距離を監視するようにしている例を示す断面図である。すなわち、用紙５のコックリングによる凹凸状況をフォトセンサで用紙までの距離をみることで、コックリングが発生しているかどうかをより確実に判定し、自動的にコックリング対策設定をする。請求項８では、用紙の鉛直方向から反射型フォトセンサで用紙までの距離を監視することにより、コックリングによって生じる凹凸６の発生状況を見ることで、コックリングが発生しているかどうかをより確実に判定し、自動的にコックリング対策設定をすることができるようにしている。

図１２は本発明の第８の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の要部の概略断面図である。実施例７と同様に反射型フォトセンサ８を用いるが、反射型フォトセンサ８をキャリッジ２に搭載している。これにより、キャリッジ２に搭載して用紙５の搬送方向に対して鉛直方向から見ることにより、キャリッジ２の移動に伴い用紙５の全面にわたって監視することができ、また搭載するセンサが１個で済むので、構造的な集約化によりコスト低減および簡素化を図ることができるようになっている。

図１３は本発明の第９の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の要部の概略図である。この実施例では、コックリング発生監視手段としての反射型フォトセンサ８を用紙５の搬送方向と水平方向に配置して、用紙５の盛り上がり高さを監視する機構としてある。これにより、コックリングが発生しているかどうかをより確実に判定し、自動的にコックリング対策設定をすることができる。また鉛直方向からの監視と比較すると、視野角の広いセンサを用いれば、一つのセンサでより広いエリアを監視でき、監視効率を上げることができる。

図１４は本発明の第１０の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の要部の概略図である。この実施例では、用紙５を退避させるローラとして一対の拍車９ｄ、９ｄを設けてある。これにより、画像がローラに付着しないようにすることができ、また乾燥時間も取らない分、生産性が上がる。

図１５は本発明の第１１の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。この実施例では、コックリング対策設定時（ステップ１〜５）は、一時退避させた用紙５を静電吸着ベルト７に再吸着させるとき、静電吸着ベルト７に付与する印加電圧を上げる（ステップ６）。これにより、用紙をベルトにひきつける力を大きくしつつ回転する（ステップ７）ことになり、用紙５の凹凸の解消が図れる。

なお以上の複数の実施例で、反射型フォトセンサを用いた例を説明してきたが、ハードウェアとしてのセンサには、反射型フォトセンサ以外のものを用いても良いことは勿論である。

インクジェット式画像形成装置の要部を示す概略図である。 図１の装置が備える静電吸着ベルトの側面から見た概略図である。 本発明の第一の実施例において、静電吸着ベルトの側面から見た概略図である。 第１の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 本発明の第２の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 本発明の第３の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 本発明の第４の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 本発明の第５実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 本発明の第６の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 本発明の第７の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。 第７の実施例で監視手段に反射型フォトセンサを用いている例を示す断面図である。 本発明の第８の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の要部の概略断面図である。 本発明の第９の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の要部の概略図である。 本発明の第１０の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の要部の概略図である。 本発明の第１１の実施例としてのインクジェット式画像形成装置の制御仕様を示すフロー図である。

符号の説明

１：記録ヘッド
２：キャリッジ
３：案内機構
３ａ：ガイドシャフト
３ｂ：ガイド板３ｂ
４：駆動力伝達機構
４ａ駆動モータ
４ｂ：タイミングベルト
４ｃ：プーリ
５：被印刷用紙
６：コックリング
７：静電吸着ベルト
８：反射型フォトセンサ
９ａ：ベルト搬送ローラ
９ｂ：レジストローラ
９ｃ：搬送ローラ
９ｄ：拍車
１０：退避ガイド板

Claims (5)

1. 印字を行うための記録ヘッドと、被印刷用紙を搬送する静電吸着ベルトと、前記記録ヘッドよりインク滴を噴射して前記被印刷用紙に記録を行うインクジェット式画像形成装置において、 コックリング対策設定モードを有し、 該コックリング対策設定モードは、前記被印刷用紙に対する前記インク吐出印字動作を中断し、前記静電ベルト吸着面から該被印刷用紙をいったん離して一時退却させ、その後に再度前記静電吸着ベルトに該被印刷用紙を吸着させてから印字動作を再開するモードであり、 前記コックリング対策モードの設定時は、前記一時退避させた前記被印刷用紙を前記静電吸着ベルトに再吸着させるときに前記静電吸着ベルトに付与する印加電圧を前記一時退避前の印加電圧よりも大きくする、ことを特徴とする画像形成装置。
2. 請求項１に記載の画像形成装置において、 前記静電吸着ベルトへの再吸着のために前記被印刷用紙を一時退避させるグリップローラ対を備え、 前記インク吐出印字動作の中断後に所定時間乾燥したあと、前記被印刷用紙を前記グリップローラ対で搬送することを特徴とする画像形成装置。
3. 請求項２に記載の画像形成装置において、 前記グリップローラ対がレジストローラ対であることを特徴とする画像形成装置。
4. 請求項１に記載の画像形成装置において、 前記静電吸着ベルトに付与する印加電圧を大きくするのは、前記静電吸着ベルトの回転を停止させた後であることを特徴とする画像形成装置。
5. 請求項５に記載の画像形成装置において、 前記静電吸着ベルトに付与する印加電圧を大きくした後に、前記静電吸着ベルトを再回転させることを特徴とする画像形成装置。