JP2000062150A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク滴を記録用紙に多く記録すると記録用
紙に紙しわが発生し、インク滴の記録用紙への付着位置
がずれて画質が低下してしまう。 【解決手段】 記録ヘッドと記録用紙の距離を記録中に
光反射型センサで測定し、記録ヘッドと記録用紙の距離
に応じて記録ヘッドへのヘッド駆動波形の印加タイミン
グを調整することによりインク滴の記録用紙への付着位
置がずれないようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オンデマンド型イ
ンクジェット記録ヘッドを用いた記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オンデマンド型インクジェット記録ヘッ
ドは、複数のノズル開口と、各ノズル開口に連通する圧
力発生室とを備え、印刷信号に対応して圧力発生室を膨
張、収縮させてインク滴を発生させるように構成されて
いる。

【０００３】このインクジェット記録ヘッドを用いた記
録装置において、記録速度の向上を図るために、ノズル
開口の数を増加させる、記録ヘッドの走査速度を早くす
る等の改良が一般的に行われている。また記録画質向上
のために記録密度を向上させることも行われているが、
記録速度や記録密度の向上により、単位時間当たりにあ
る一定の面積に記録されるインク滴の量が増加し、記録
用紙の種類によってはインク滴の水分により記録用紙に
しわが発生する場合がある。記録用紙にしわが発生する
と記録用紙と記録ヘッドの距離が変化し、インク滴が記
録用紙に付着するまでの時間が変化することによりイン
ク滴の記録用紙への着弾位置が、しわのない記録用紙の
場合と異なりずれてしまうため記録画質が低下する現象
が発生する。

【０００４】そのため、１回の走査で記録できる領域を
複数の走査に分割して、時間をかけて記録を行うこと
や、記録濃度に制限を加え記録用紙へのインク滴の量を
減らすことにより、しわの発生を抑えることが可能であ
るが、記録速度や記録画質の低下が避けられない。

【０００５】さらに紙しわが発生しても記録画質の低下
を防ぐ方法が、例えば特開平２−１２２９６７号公報に
示されるように、記録ヘッドと記録用紙の距離を非接触
センサで測定し、記録ヘッドと記録用紙が一定の距離に
なるように記録ヘッドの高さを調節する方法が提案され
ている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録速
度を向上させて行くと、記録ヘッドと記録用紙の距離を
機械的に一定に保つことが記録による紙しわのような短
い周期の場合には追従させることが困難になり記録画質
の低下を招いてしまう。

【０００７】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであって、その目的とするところは記録による紙し
わが発生した場合に記録画質の低下を防ぐことができる
インクジェット記録装置を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載のインクジ
ェット記録装置は、インク滴を吐出できる記録ヘッド
と、前記インクジェット記録ヘッドを被記録用紙に対し
主走査方向に移動させる機構と、被記録用紙を前記主走
査方向と異なる副走査方向に移動させる機構と記録ヘッ
ドと記録用紙の距離を検出する機構を備え、記録ヘッド
と記録用紙の距離に応じてヘッド駆動タイミングを調整
することを特徴とする。

【０００９】上記構成によれば、記録ヘッドと記録用紙
の距離が紙しわなどにより記録中に変化しても記録用紙
上でのインク滴の付着位置が変化せず記録画質の低下を
防止するという効果を有する。

【００１０】請求項２記載のインクジェット記録装置
は、記録ヘッドと記録用紙の距離を検出するセンサで記
録用紙の記録面または記録面の裏面から検出することを
特徴とする。

【００１１】請求項３記載のインクジェット記録装置
は、記録用紙の記録による紙しわを検出した場合に記録
方法を変更することを特徴とする。

【００１２】上記構成によれば記録による紙しわの発生
を抑えるという効果を有する。

【００１３】請求項４記載のインクジェット記録装置
は、記録用紙の記録による紙しわを検出した場合に記録
ヘッドと記録用紙の距離を大きくすることを特徴とす
る。

【００１４】上記構成によれば記録用紙に紙しわが発生
しても、記録ヘッドが記録用紙に擦れてしまうことがな
く、記録ヘッドと記録用紙の距離を小さく設定できると
いう効果を有する。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１は、本発明のプリンタの一実
施例の印刷機構周辺の構造を示すものであって、図中符
号１は、主走査を行うキャリッジで、タイミングベルト
２を介してパルスモータ３に接続されていて、ガイド部
材４に案内されて記録用紙５の紙幅方向に往復動するよ
うに構成されている。

【００１６】キャリッジ１には記録用紙５と対面する
面、この実施例では下面に後述する記録ヘッド６が取り
付けられている。記録ヘッド６は、キャリッジ１の上部
に搭載されているインクカートリッジ７からインクの補
給を受けてキャリッジ１の移動に合わせて記録用紙５に
インク滴を吐出してドットを形成して、記録用紙５に画
像や文字を印刷する。

【００１７】３３ａはキャリッジ１の側面に取り付けら
れた距離センサであり、記録用紙５までの距離を計るこ
とで記録ヘッド６と記録用紙５とのギャップを検出す
る。またキャリッジ１の距離センサ３３ａと対向する側
面には図示しない距離センサ３３ａと同様の距離センサ
３３ｂが取り付けられ記録用紙５と記録ヘッド６との距
離を検出する。

【００１８】距離センサ３３ａはキャリッジ１が方向Ａ
に移動するときに記録ヘッド６と記録用紙５との距離を
検出し、距離センサ３３ｂはキャリッジ１が方向Ｂに移
動するときに記録ヘッド５と記録用紙６との距離を検出
するようになっている。

【００１９】８はキャッピング装置で、非印刷領域に設
けられていて、印字休止中に記録ヘッド６のノズル開口
を封止する一方、印刷動作中に行われるフラッシング動
作による記録ヘッド６からのインク滴を受けるものであ
る。

【００２０】９はクリーニング手段で、キャッピング装
置８の近傍に設けられ、記録ヘッド６のノズルプレート
の表面をブレード等でワイピングして、ノズルプレート
表面のインクカスや紙粉を拭き取るように構成されてい
る。

【００２１】１０は副走査を行うパルスモータで、図示
しない減速歯車を介して記録用紙５をキャリッジ１の動
作に合わせて搬送するものである。

【００２２】図２は、上述のインクジェット記録装置を
制御する制御装置の一実施例を示すもので、図中符号３
０は、制御手段で、ホストからの印刷指令信号や印刷デ
ータおよび距離センサ３３からの出力を受けて、後述す
るバッファメモリ３１、タイミング調整回路３２、ヘッ
ド駆動回路４１、キャリッジ駆動回路４２、及び紙搬送
駆動回路４３を制御して印刷動作を実行させるものであ
る。

【００２３】バッファメモリ３１はホストからの印刷デ
ータを一時的に貯えるメモリであり、印字タイミング信
号により貯えられた印刷データをヘッド駆動回路４１へ
出力する。

【００２４】タイミング調整回路３２は距離センサ３３
ａ、ｂの出力電圧に応じて記録ヘット６を駆動する駆動
回路４１へのタイミングパルスを遅延させる回路であ
る。

【００２５】駆動回路４１は、記録データに対応してイ
ンク滴を吐出させる記録ヘッド６のノズルを駆動する圧
電振動子２１に駆動電圧を選択的に印加するように構成
されている。

【００２６】図３は上述のインクジェット記録装置の距
離センサ３３ａ、ｂの詳細を示す図で、図４は距離セン
サ３３ａ、ｂの回路図である。３３１は発光波長が赤外
域の発光ダイオードであり、光を記録用紙５に向けて発
光させる。３３２はフォトトランジスタであり、記録用
紙５で反射した赤外光が入射すると電流が流れセンサ出
力Ｖに電圧が発生する。

【００２７】記録用紙５の位置は最低位置Ｄから最高位
置Ｕの間に収まるように物理的に規制されている。

【００２８】図５は記録ヘッド６と記録用紙５との距離
ｄと距離センサ３３ａ、ｂのセンサ出力Ｖの関係を示す
グラフである。

【００２９】センサ出力Ｖは記録用紙５と距離センサ３
３ａ、ｂとの距離ｄが小さい場合には電圧が高く、距離
ｄが大きくなるに従い電圧が低くなるが、あるところで
電圧が最小になりそれ以後また電圧が上昇する。このた
め記録用紙５と距離センサ３３ａ、ｂの距離がセンサ出
力Ｖが最低になる位置を除くように設定する。

【００３０】記録による紙しわが発生するとキャリッジ
１の走査につれてセンサ出力Ｖが周期的に変動する。紙
しわをできるだけ発生させない記録を行うには、この変
動を検出した場合制御手段３０は、それまでの記録方法
がキャリッジ１を双方向に走査させていた時には、どち
らか一方向への走査による記録に切り替える。次に、キ
ャリッジ１が一方向への走査による記録中に紙しわを検
出した場合には、キャリッジ１の走査速度を低下させて
記録を行う。つまり単位時間当たりの記録用紙５へのイ
ンク滴の付着量を下げることで紙しわの発生を防止す
る。

【００３１】図６は距離センサ３３ａ、ｂで検出された
記録ヘッド６と記録用紙５の距離ｄとヘッド駆動タイミ
ング遅延時間ｔとの関係を示す図である。

【００３２】ヘッド駆動タイミング遅延時間ｔは、記録
用紙５が最高位置すなわち最も記録ヘッド６に近い場合
にヘッド駆動タイミング遅延時間ｔを０とする。記録用
紙５が最高位置より下にある場合には、ヘッド駆動タイ
ミング遅延時間ｔは、記録用紙５の位置の最高位置との
差分をインク滴の飛翔速度で除した値となり、記録用紙
５が最低位置までほぼ直線状になる。

【００３３】図７はヘッド駆動タイミング調整方法を示
す図であり、基準信号はキャリッジの走査速度と記録密
度によって決定される周期で出力されるヘッド駆動タイ
ミング信号である。記録用紙５が前述した最高位置にあ
る場合にヘッド駆動遅延時間を０とし基準信号と同じタ
イミングでヘッド駆動回路４１で駆動波形（ａ）で示す
波形が生成される。記録用紙５が最高位置より下にある
場合には基準信号に記録用紙５の位置の変化分を打ち消
す遅延時間を経過したタイミングでヘッド駆動回路４１
で駆動波形（ｂ）が生成される。以上のように調整する
ことで基準信号と記録ヘッド６から吐出されたインク滴
の記録用紙５への付着位置との関係が一定に保たれる。

【００３４】図８は本発明の別の一実施例の制御ブロッ
クを示す図である。図中４４はキャリッジ高さ調節モー
タ１１を駆動するキャリッジ高さ調節駆動回路であっ
て、距離センサ３３ａ、ｂにより記録ヘッド６と記録用
紙５の距離を測定し記録による紙しわの発生により記録
ヘッド６と記録用紙５の距離が設定された限界値よりも
小さくなった場合には記録ヘッド６が記録用紙５に擦れ
てしまう可能性があるため、制御手段３０よりキャリッ
ジ高さ調節駆動回路４４に信号を出力しキャリッジ高さ
調節モータ１１を駆動して記録ヘッド６と記録用紙５の
距離を離すよう制御する。これらの制御を主走査毎に行
い記録ヘッド６と記録用紙５の距離が問題のない範囲に
有るよう制御する。なおこれらの制御に加えて記録ヘッ
ド６の駆動タイミングの調整もインク滴の吐出タイミン
グ毎に行う。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、記録ヘッドと記録
用紙との距離を光反射型センサにより検出し、距離に応
じて記録ヘッドの駆動タイミングを調整することによ
り、記録用紙に記録による紙しわが発生し、記録ヘッド
と記録用紙の距離が変化しても、記録用紙上でのインク
滴の付着位置がずれることなく高品位の画像記録が行な
えるという効果を有する。また、記録用紙の紙厚が異な
っていてもインク滴の付着位置ずれが発生しないという
効果も有する。

【００３６】さらに、記録ヘッドと記録用紙の距離をで
きるだけ近づけることが可能なため記録ヘッドのインク
滴の飛翔条件の影響を低減できるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用されるインクジェット記録装置の
一実施例を示す図である。

【図２】本発明の一実施例を示す装置のブロック図であ
る。

【図３】本発明の記録ヘッドと記録用紙の距離を検出す
るセンサを示す図である。

【図４】本発明の記録ヘッドと記録用紙の距離を検出す
るセンサの回路を示す図である。

【図５】本発明の記録ヘッドと記録用紙の距離とセンサ
出力電圧の関係を示す図である。

【図６】本発明の記録ヘッドと記録用紙の距離とヘッド
駆動タイミング調整時間の関係を示す図である。

【図７】本発明のヘッド駆動タイミングの調整方法を示
す図である。

【図８】本発明の別の一実施例を示す装置のブロック図
である。

【符号の説明】

５ 記録用紙 ６ 記録ヘッド ８ キャッピング装置 ９ クリーニング装置 ２１ 圧電振動子 ３３ａ、ｂ 距離センサ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のノズル開口が設けられたノズルプ
   レートと、圧電振動子の伸縮により変形する振動板とに
   より形成された圧力発生室を備え、インク滴を吐出でき
   る記録ヘッドと、前記記録ヘッドを被記録用紙に対し主
   走査方向に移動させる機構と、被記録用紙を前記主走査
   方向と異なる副走査方向に移動させる機構を備えたイン
   クジェット記録装置であって、前記記録ヘッドと共に主
   走査方向に移動し、前記記録ヘッドと被記録用紙の距離
   を測定する距離センサを具備し、前記記録ヘッドと被記
   録用紙との距離に応じて前記記録ヘッドの圧電振動子を
   駆動するタイミングを調整する機構を具備することを特
   徴とするインクジェット記録装置。
2. 【請求項２】 前記距離センサは赤外線光源を被記録用
   紙の記録面もしくは記録面の裏面に当て、その反射光を
   フォトセンサで検出し、前記記録ヘッドと被記録用紙と
   の距離を測定することを特徴とする請求項１記載のイン
   クジェット記録装置。
3. 【請求項３】 記録ヘッドによる被記録用紙への記録中
   に被記録用紙の紙しわを検出した場合に被記録用紙への
   記録方法を変更することを特徴とする請求項１および請
   求項２記載のインクジェット記録装置。
4. 【請求項４】 記録ヘッドによる被記録用紙への記録中
   に被記録用紙の紙しわを検出した場合に記録ヘッドと被
   記録用紙との距離を大きくすることを特徴とする請求項
   １および請求項２記載のインクジェット記録装置。