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JP5173393B2 - ガスタービン燃焼器 - Google Patents

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JP5173393B2
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Description

本発明は、ガスタービン燃焼器に関する。
従来、ガスタービン燃焼器1には、たとえば図12に示すように、筒状に形成された燃焼器本体2の中心位置にパイロットバーナ3を配置し、その周囲を取り囲むようにして複数(たとえば8本)のメインバーナ10が円周方向へ等ピッチに配置された構成のものがある。
パイロットバーナ3は、パイロットノズル4とその周囲に形成されたパイロット空気流路5とを備えている。パイロットノズル4を通って供給されたパイロット燃料は、パイロット空気流路5から供給されるパイロット空気により燃焼し、保炎器9の後方へ延びるパイロット火炎を形成する。なお、図中の符号6はパイロット空気流路5内に設置されて旋回流を形成するパイロットスワラー、7はパイロット空気流路5を形成する筒状部材8の下流側端部を拡径したパイロットコーンである。
メインバーナ10は、メインノズル11とその周囲に形成されたメイン空気流路12とを備えている。メインノズル11から供給されたメイン燃料は、メイン空気流路12を通って供給されたメイン空気と予混合されて予混合気となる。この予混合気は、保炎器9の下流においてパイロット火炎からの火移り性により燃焼する。なお、図中の符号13はメイン空気流路12に設置されたメインスワラーであり、メイン空気を旋回流にしてメイン燃料との予混合を促進するものである。
すなわち、上述したガスタービン燃焼器1は、保炎性に支配される30〜80Hz程度の燃焼振動を防止または抑制するため、パイロットバーナ2の拡散燃焼により安定したパイロット火炎(拡散火炎)を形成し、このパイロット火炎がメインバーナ10の予混合気まで橋渡しされる火移り性により、予混合気を燃焼させて得られる予混合火炎を安定させるように構成されている。
ところで、ガスタービン燃焼器の燃焼振動を防止する従来技術としては、2以上設けられた予混合管の空気入口に設けられたスワラー角度を互いに異なるものとし、燃焼室内の火炎を長くすることが提案されている。この従来技術によれば、火炎を長くすることにより発熱が分散するので、加振力は小さくなるとされる。(たとえば、特許文献1参照)
また、予混合燃焼域における予混合気の着火性能を向上させるため、パイロットコーンの先端部下流側に向けて空気を噴出する空気噴出手段を設けるとともに、パイロットコーンの先端部下流側に形成される保炎低速域あるいはその近傍に燃料を噴出する燃料噴出手段をパイロットコーンに設けたガスタービン燃焼器が提案されている。(たとえば、特許文献2参照)
特開2003−139326号公報 特開2005−114193号公報
ところで、上述した従来のガスタービン燃焼器1においては、保炎器9の下流に形成される冷たいパイロット空気層(以下、「低温空気層」と呼ぶ)が安定的な予混合火炎の形成を阻害するので、燃焼振動の要因となる予混合火炎の保炎性を悪化させるという問題が指摘されている。
すなわち、図12に示すガスタービン燃焼器1において、パイロットスワラー6を通過したパイロット空気は旋回空気流となり、パイロットコーン7の内面に沿って保炎器9まで到達する。この旋回空気流は、保炎器9の下流においてパイロット火炎と予混合火炎との間に低温空気層を形成する。
この低温空気層は温度の低い空気層であるため、パイロット火炎が予混合気を燃焼させて予混合火炎を形成するための火移りを低下させることとなり、この結果、予混合気の燃焼は不安定なものとなる。従って、ガスタービン燃焼器1においては、安定した予混合火炎を形成することができず、従って、燃焼振動の原因となる予混合火炎の保炎性は悪化することとなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パイロット火炎と予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減し、予混合火炎の保炎性を向上させることができるガスタービン燃焼器を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るガスタービン燃焼器は、筒状に形成された燃焼器本体の中心部に設けられてパイロット火炎を形成するパイロットバーナと、該パイロットバーナの外周を取り巻くように複数配設されて予混合気の燃焼による予混合火炎を形成するメインバーナとを具備してなるガスタービン燃焼器において、前記パイロット火炎と前記予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減して前記予混合気と前記パイロット火炎との距離を縮める火移り性改善部を備え、前記火移り性改善部が、パイロット空気流路に設けられたパイロットスワラーに対し、ベーン間空気流路の1または複数箇所を塞ぐように設置された流路閉塞部材であることを特徴とするものである。
このようなガスタービン燃焼器によれば、パイロット火炎と予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減する火移り性改善部を備えているので、低温空気層を薄くして予混合気とパイロット火炎との距離を縮め、パイロット火炎から予混合気への火移り性が向上する。
そして、本発明の火移り性改善部は、パイロット空気流路に設けられたパイロットスワラーに対し、ベーン間空気流路の1または複数箇所を塞ぐように設置された流路閉塞部材であることが好ましく、これにより、流路閉塞部材の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロットコーンの外縁部より後方へ突出する1または複数枚の板状突起部材であることが好ましく、これにより、板状突起部材がパイロット空気の流れに渦を生じさせ、メインバーナの予混合気の一部をパイロットバーナよりに巻き込むことで予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロットコーン外縁部の内周面に1または複数箇所設けられた後退角を有する楔状ボルテックスジェネレータであることが好ましく、これにより、楔状ボルテックスジェネレータがパイロット空気の流れに渦を生じさせ、メインバーナの予混合気の一部をパイロットバーナよりに巻き込むことで予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロットコーンの内周面に1または複数個設けられた略三角柱形状の分流部材であることが好ましく、これにより、分流部材の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロットコーンの出口部に形成され、パイロット空気の一部を前記メインバーナ側へ分流させるバイパス流路であることが好ましく、これにより、バイパス流路の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。この場合のバイパス流路は、パイロットコーンの周方向において全周または断続的に形成すればよい。なお、ここでバイパスされるパイロット空気の流量は、メインバーナに供給されるメイン空気の流量と比較して非常に小さいため、予混合気を希薄にするような悪影響は無視できる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロットスワラーの出口部に1または複数個設けられた略三角柱形状の分流部材であることが好ましく、これにより、分流部材の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロットコーンをプレス加工して内壁面に形成された1または複数個の隆起部であることが好ましく、これにより、隆起部の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明の参考例において、前記火移り性改善部は、パイロット空気流路のスワラー出口に部分的な設けた狭隘部であることが好ましく、これにより、狭隘部の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
上述した本発明によれば、パイロット火炎と予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減する火移り性改善部を設けたことにより、低温空気層を薄くして予混合気とパイロット火炎との距離を縮め、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。この結果、予混合気の燃焼が安定し、安定した予混合火炎が形成されるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器の燃焼振動を改善することができる。
以下、本発明に係るガスタービン燃焼器の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1及び図2に示すガスタービン燃焼器1Aは、筒状に形成された燃焼器本体2の中心位置にパイロットバーナ3が配置され、このパイロットバーナ3の周囲を取り囲むようにして複数(たとえば8本)のメインバーナ10が円周方向へ等ピッチに配置された構成とされる。
パイロットバーナ3は、パイロット燃料を供給するパイロットノズル4と、その周囲に形成されてパイロット空気を供給するパイロット空気流路5とを備えている。パイロットノズル4を通って供給されたパイロット燃料は、パイロット空気流路5から供給されるパイロット空気により燃焼し、たとえば図2に示すように、燃焼器軸中心から保炎器9の後方へ延びるパイロット火炎を形成する。
上述したパイロット空気流路5の内部には、パイロット空気の流れを旋回流とするパイロットスワラー6が設置されている。このパイロットスワラー6は、パイロット空気流路5内を周方向に分割するとともに、空気流に旋回を与える形状のベーン6aが等ピッチに複数枚配設されたものである。また、パイロット空気流路5を形成する筒状部材8には、下流側端部を拡径したパイロットコーン7が設けられている。
メインバーナ10は、メイン燃料を供給するメインノズル11と、メインノズル11の周囲に形成されてメイン空気を供給するメイン空気流路12とを備えている。メインノズル11から供給されたメイン燃料は、メインノズル11から噴射された後、メイン空気流路12を通って供給されたメイン空気と予混合されて予混合気となる。この予混合気は、保炎器9の下流においてパイロット火炎からの火移り性により燃焼する。
上述したメイン空気流路12には、メイン空気の流れを旋回流とするメインスワラー13が設置されている。このメインスワラー13を通過して旋回流となったメイン空気は、メイン燃料との予混合が促進される。
このように、筒状に形成された燃焼器本体2の中心部に設けられてパイロット火炎を形成するパイロットバーナ3と、該パイロットバーナ3の外周を取り巻くように複数配設されて予混合火炎を形成するメインバーナ10とを具備してなるガスタービン燃焼器1Aに対し、本実施形態では、パイロット火炎と予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減する火移り性改善部として、流路閉塞部材20が設けられている。
この流路閉塞部材20は、パイロット空気流路5に設けられたパイロットスワラー6に対し、隣接するベーン6a間に形成される空気流路のうち、1または複数箇所を塞ぐように設置されている。図示の例では、パイロットスワラー6を構成する16枚のベーン6aにより周方向を16分割されたベーン間空気流路に対して、略90度ピッチに4箇所のベーン間空気流路を塞ぐように、4枚の流路閉塞部材20が設けられている。
このように構成されたガスタービン燃焼器1Aは、流路閉塞部材20の下流に低温空気層が薄い領域を形成するので、予混合気とパイロット火炎との間に形成される距離を縮めることができる。以下、これを図3に基づいて具体的に説明する。
図3において、横軸はガスタービン燃焼器1の予混合火炎面位置であり、紙面右側ほど半径方向の外側となる。また、図3の縦軸はガスタービン燃焼器1の周方向角度であり、上述した4枚の流路閉塞部材20を90度ピッチに設置した方向と一致している。この図によれば、破線で示すパイロット火炎面の外側に形成される低温空気層のパイロット空気域と、メインバーナ10から流出した予混合気が存在する予混合気域との境界線Lは、略サインカーブを描いて変化している。
すなわち、図3のサインカーブLにおいて、低温空気層の厚さは、最も厚いTaから最も薄いTbまでサインカーブを描いて交互に変化している。この場合、低温空気層が最も薄くなるTbに対応する周方向角度はθ1,θ2の位置であり、この周方向角度θ1,θ2となる位置に90度ピッチで設置された流路閉塞部材20が存在する。このように、流路閉塞部材20の下流側で低温空気層の厚さが薄くなるのは、パイロット空気流路5を流すパイロット空気の流路が流路閉塞部材20により塞がれることにより、温度の低いパイロット空気の流量が減少するためである。
従って、上述した流路閉塞部材20を備えたガスタービン燃焼器1Aは、パイロット火炎と予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減する火移り性改善部を備えているので、低温空気層を薄くして予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Aの燃焼振動を改善することができる。
ところで、上述した実施形態では、90度ピッチに4枚の流路閉塞部材20を配置した構成例を示したが、一般的に8〜20枚程度あるパイロットスワラー6のベーン6a間のうち、少なくとも1箇所または複数箇所の空気流路を閉塞すればよい。また、複数枚の流路閉塞部材20を設置する場合、周方向へ等ピッチに配置してもよいが、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
また、この実施形態の構成は、パイロットコーン7を備えた筒状部材8の構造変更が不要であり、しかも、ベーン6a間の一部を閉塞するのみでよいので、工作が簡単で単純な構造となる。
<第1の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第1の参考例を図4及び図5に基づいて説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例において、ガスタービン燃焼器1Bには、火移り性改善部として、パイロットコーン7の外縁部より後方へ突出する1または複数枚の板状突起部材21が設けられている。図示の構成では、パイロットコーン7の後端部から後方の火炎形成領域へ突出するように、周方向へ90度ピッチに配置した4枚の板状突起部材21が設けられている。換言すれば、本実施形態の筒状部材8は、後端部に板状突起部材21を備えたパイロットコーン7を採用している。
このような板状突起部材21を取り付けることにより、パイロット空気流路5を通って流出するパイロット空気の流れは、板状突起部材21の後流側に渦(図中の矢印W参照)を生じさせることができる。このような渦が生じると、メインバーナ10の予混合気は、渦の流れにより一部がパイロットバーナ3よりに巻き込まれる。すなわち、保炎器9の後方に設けられた火炎形成領域では、予混合気の一部がパイロット火炎側へ近づくことになるので、全体としては予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Aの燃焼振動を改善することができる。
ところで、上述した本参考例では、90度ピッチに4枚の板状突起部材21を設けてあるが、少なくとも1枚または複数枚の板状突起部材21を設置すればよい。このとき、板状突起部材21の配置は周方向に等ピッチとする必要はなく、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
<第2の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第2の参考例を図6に基づいて説明する。ここで使用する図6のガスタービン燃焼器1Cは、外周側のメインバーナを省略し、パイロットバーナのみを示している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例では、火移り性改善部として、パイロットコーン7の外縁部となる位置の内周面に、1または複数箇所設けられた後退角を有する楔状ボルテックスジェネレータ22が設けられている。図示の構成では、パイロットコーン7の外縁部内周面に、周方向へ90度ピッチに配置した4個の楔状ボルテックスジェネレータ22が設けられている。換言すれば、本実施形態の筒状部材8は、外縁部内周面に楔状ボルテックスジェネレータ22を備えたパイロットコーン7を採用している。
ここで、楔状ボルテックスジェネレータ22の構成を詳細に説明する。
楔状ボルテックスジェネレータ22は、図6(b)に示すように、流れ方向と交差する寸法(幅)について、上流側の幅aが下流側の幅bより広い後退角を有している。また、楔状ボルテックスジェネレータ22は、図6(c)に示すように、流れ方向の高さ寸法hについては、パイロットコーン7の外縁部内周面と同一(h=0)になる上流側から下流側へ増加する楔状になっている。
このような構成としても、楔状ボルテックスジェネレータ22がパイロット空気の流れに渦を生じさせるので、メインバーナ10の予混合気は、一部がパイロットバーナよりに巻き込まれる。すなわち、保炎器9の後方に設けられた火炎形成領域では、予混合気の一部がパイロット火炎側へ近づくことになるので、全体としては予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Cの燃焼振動を改善することができる。
ところで、上述した本参考例では、90度ピッチに4個の楔状ボルテックスジェネレータ22を設けてあるが、少なくとも1個または複数個の楔状ボルテックスジェネレータ22を設置すればよい。このとき、楔状ボルテックスジェネレータ22の配置は周方向に等ピッチとする必要はなく、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
<第3の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第3の参考例を図7に基づいて説明する。ここで使用する図7のガスタービン燃焼器1Dは、外周側のメインバーナを省略し、パイロットバーナのみを示している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例では、火移り性改善部として、パイロットコーン7内周面に1または複数個設けられた略三角柱形状の分流部材23が設けられている。この分流部材23は、三角柱の先端角部が上流側に位置し、下流側へ徐々に幅を広げるように設置されている。
このような構成とすれば、分流部材23の下流には低温空気層の薄い領域が形成されるので、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Dの燃焼振動を改善することができる。
ところで、上述した本参考例では、90度ピッチに4個の分流部材23を設けてあるが、少なくとも1個または複数個の分流部材23を設置すればよい。このとき、分流部材23の配置は周方向に等ピッチとする必要はなく、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
<第4の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第4の参考例を図8に基づいて説明する。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例において、ガスタービン燃焼器1Eは、火移り性改善部として、パイロットコーン7出口部に形成され、パイロット空気の一部をメインバーナ10側へ分流させるバイパス流路24を備えている。このバイパス流路24は、たとえば略L字状断面部材25をパイロットコーン7の出口部に取り付けることにより形成されるが、パイロット空気の一部を積極的にメインバーナ10側へ導くものであれば特に限定されることはない。
このような構成のガスタービン燃焼器1Eとすれば、パイロット空気の一部がバイパス流路24を通ってメインバーナ10側へ分流するので、パイロット火炎の周囲に形成される低温空気層は、パイロット空気の分流による減少分だけ薄くなる。このため、バイパス流路24の下流に低温空気層が薄い領域を形成し、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。この場合のバイパス流路24は、パイロットコーン7の周方向において全周または断続的に形成すればよい。また、バイパス流路24を周方向へ断続的に形成する場合には、バイパス流路24の配置を周方向に等ピッチとする必要はなく、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
なお、ここでバイパスされるパイロット空気の流量は、メインバーナ10に供給されるメイン空気の流量と比較すれば非常に小さいものであるため、メインバーナ10側の予混合気を希薄にするような悪影響は無視することができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Eの燃焼振動を改善することができる。
<第5の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第5の参考例を図9に基づいて説明する。ここで使用する図9のガスタービン燃焼器1Fは、外周側のメインバーナを省略し、パイロットバーナのみを示している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、火移り性改善部として、略三角柱形状の分流部材26がパイロットスワラー6の出口部に1または複数個設けられている。この分流部材26は、三角柱の先端角部が上流側に位置し、下流側へ徐々に幅を広げるように設置されている。
このような構成とすれば、分流部材26の下流には低温空気層の薄い領域が形成されるので、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Dの燃焼振動を改善することができる。
ところで、上述した本参考例では、90度ピッチに4個の分流部材26を設けてあるが、少なくとも1個または複数個の分流部材26を設置すればよい。このとき、分流部材26の配置は周方向に等ピッチとする必要はなく、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
<第6の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第6の参考例を図10に基づいて説明する。ここで使用する図10のガスタービン燃焼器1Gは、外周側のメインバーナを省略し、パイロットバーナのみを示している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例では、火移り性改善部として、パイロットコーン7をプレス加工して内壁面に形成された1または複数個の隆起部27が設けられている。この隆起部27は、パイロットコーン7の外側から部分的なプレス加工を施し、内周面を内側に隆起させたものであるから、低コストの構造となる。
このような構成とすれば、上述した分流部材23,26等と同様に、隆起部27の下流には低温空気層の薄い領域が形成されるので、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Gの燃焼振動を改善することができる。
ところで、図示の本参考例では、90度ピッチに4個の隆起部27を設けてあるが、少なくとも1個または複数個の隆起部27を設置すればよい。このとき、隆起部27の配置は周方向に等ピッチとする必要はなく、燃焼振動対策としては、非対称となるように不等ピッチとすることが望ましい。
<第7の参考例>
続いて、本発明に係るガスタービン燃焼器について、第7の参考例を図11に基づいて説明する。ここで使用する図11のガスタービン燃焼器1Hは、外周側のメインバーナを省略し、パイロットバーナのみを示している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例では、火移り性改善部として、パイロット空気流路5のスワラー出口に部分的な狭隘部28が設けられている。この狭隘部28は、後流側へ拡径するパイロットノズル4の後端コーン部5aを部分的に延長することで形成されている。
具体的に説明すると、後端コーン部5aの後端を断続的に後方へ延長した舌状部5bを周方向に交互に設けることで、パイロット空気流路5のスワラー出口部には、通常の流路寸法SをSaまで狭めた狭隘部28が形成されている。
このような狭隘部28を形成することにより、狭隘部28の下流に低温空気層が薄い領域を形成できるので、予混合気とパイロット火炎との距離を縮めることができる。
この結果、パイロット火炎が低温空気層から受ける影響を低減できるので、パイロット火炎から予混合気への火移り性を向上させることができる。そして、予混合気の燃焼が安定することにより、安定した予混合火炎の形成が可能になるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器1Hの燃焼振動を改善することができる。
ところで、上述した本参考例では、舌状部5bが周方向の全周にわたって等ピッチに設けられているが、この舌状部5bは、周方向の一部に設置したり、あるいは、周方向へ不等ピッチに設置してもよい。
上述したガスタービン燃焼器1A〜1Hによれば、パイロットバーナ3の拡散燃焼により安定したパイロット火炎(拡散火炎)を形成し、このパイロット火炎がメインバーナ10の予混合気まで橋渡しされる火移り性の向上により、予混合気を燃焼させて得られる予混合火炎も安定したものとなる。すなわち、予混合気の燃焼が安定し、安定した予混合火炎が形成されるので、予混合火炎の保炎性に支配されるガスタービン燃焼器の燃焼振動を改善することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば各実施形態の構成を適宜組み合わせて採用するなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
本発明に係るガスタービン燃焼器の第1の実施形態について、ガスタービン燃焼器を出口側から見た構成図である。 図1に示すガスタービン燃焼器の断面図である。 図1に示すガスタービン燃焼器について、パイロット空気域と予混合気域との境界線Lを示す図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第1の参考例について、ガスタービン燃焼器を出口側から見た右半分の構成図である。 図2に示すガスタービン燃焼器の断面図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第2の参考例を示す図で、(a)はガスタービン燃焼器を出口側から見た右半分の構成図、(b)はボルテックスジェネレータをパイロットコーンの軸中心側から見た図、(c)は(b)のボルテックスジェネレータを下流側から見た図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第3の参考例を示す図で、(a)はガスタービン燃焼器を出口側から見た右半分の構成図、(b)は(a)の断面図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第4の参考例について、ガスタービン燃焼器の構成例を示す断面図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第5の参考例を示す図で、(a)はガスタービン燃焼器の構成例を示す断面図、(b)は(a)の分流部材をパイロットコーンの軸中心側から見た図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第6の参考例について、ガスタービン燃焼器の構成例を示す断面図である。 本発明に係るガスタービン燃焼器の第7の参考例を示す図で、(a)は要部構成例を示す断面図、(b)は(a)のA矢視図である。 従来のガスタービン燃焼器について構成例を示す断面図である。
1A〜1H ガスタービン燃焼器
2 燃焼器本体
3 パイロットバーナ
4 パイロットノズル
5 パイロット空気流路
6 パイロットスワラー
7 パイロットコーン
8 筒状部材
9 保炎器
10 メインバーナ
11 メインノズル
12 メイン空気流路
13 メインスワラー
20 流路閉塞部材(火移り性改善部)
21 板状突起部材(火移り性改善部)
22 ボルテックスジェネレータ(火移り性改善部)
23,26 分流部材(火移り性改善部)
24 バイパス流路(火移り性改善部)
27 隆起部(火移り性改善部)
28 狭隘部(火移り性改善部)

Claims (1)

  1. 筒状に形成された燃焼器本体の中心部に設けられてパイロット火炎を形成するパイロットバーナと、該パイロットバーナの外周を取り巻くように複数配設されて予混合気の燃焼による予混合火炎を形成するメインバーナとを具備してなるガスタービン燃焼器において、
    前記パイロット火炎と前記予混合火炎との間に形成されるパイロット空気の低温空気層を低減して前記予混合気と前記パイロット火炎との距離を縮める火移り性改善部を備え、
    前記火移り性改善部が、パイロット空気流路に設けられたパイロットスワラーに対し、ベーン間空気流路の1または複数箇所を塞ぐように設置された流路閉塞部材であることを特徴とするガスタービン燃焼器。
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