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JP5172376B2 - 光学装置の遮光構造 - Google Patents

光学装置の遮光構造 Download PDF

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JP5172376B2 JP2008033376A JP2008033376A JP5172376B2 JP 5172376 B2 JP5172376 B2 JP 5172376B2 JP 2008033376 A JP2008033376 A JP 2008033376A JP 2008033376 A JP2008033376 A JP 2008033376A JP 5172376 B2 JP5172376 B2 JP 5172376B2
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Description

本発明は、光学装置の遮光構造に関する。
光学装置、例えば環状の部材の集合からなるレンズ鏡筒では、環状隙間からの有害光の進入を防止するための各種の遮光構造が用いられている。従来の遮光構造は、有害光の進入経路を特定し、その特定経路に固定的に遮光部材(リング)を設けるという一般構造を有していた。
特開2000-121903号公報
しかし、遮光部材を固定的に設けるには、特別な固定構造が必要であり、部品点数、組立工数の増加が避けられない。
本発明は、特に複数の光学要素の間に環状遮光部材を配置するに際し、該環状遮光部材を容易に支持することができる遮光構造を得ることを目的とする。
本発明は、環状遮光部材を複数のばね手段のばね力のバランスにより浮動状態で支持するという着眼に基づいてなされたものであり、光軸方向位置の異なる複数の光学要素を備える光学装置において、2つの光学要素の間に、有害光を遮断する環状遮光部材を少なくとも1つ位置させたこと;この2つの光学要素の一方と他方と少なくとも1つの環状遮光部材との間にそれぞれ光軸方向に弾性変形可能に保持された少なくとも2つのばね手段を含む複数のばね手段のみにより環状遮光部材を弾性的に挟持したこと;環状遮光部材は、光軸と略直交する平面内に、ばね手段の端部が当接する径方向壁面部を有していること;環状遮光部材の径方向壁面部は、その前方に位置するばね手段の後端部が当接する第1の径方向フランジ部と、その後方に位置するばね手段の前端部が当接する第2の径方向フランジ部とからなること;及び、第1の径方向フランジ部と第2の径方向フランジ部は互いの光軸方向位置を異ならせており、かつ第1の径方向フランジ部が第2の径方向フランジ部よりも光軸方向後方に位置し、環状遮光部材は、第1の径方向フランジ部と第2の径方向フランジ部を接続する、光軸を中心とする環状の接続部を備えていること;を特徴としている。このようにして複数のばね手段のバランスにより環状遮光部材を浮動状態で支持するに際し、各ばね手段の荷重や光軸方向長さ、環状遮光部材の径サイズや形状といった条件を適宜設定することにより、最適な遮光効果を得ることが可能である。本発明における光学要素は任意のものとすることができるが、例えば複数のレンズ群間の遮光やレンズ群とシャッタユニットの間の遮光などに適用することができる。
2つの光学要素の間に、光軸方向に位置を異ならせて複数の環状遮光部材を備えても良い。この場合、先の2つのばね手段に加えて、該複数の環状遮光部材の間に光軸方向に弾性変形可能に保持される中間ばね手段が設けられる。
環状遮光部材を間に位置させる2つの光学要素を光軸方向に相対移動可能とし、撮影を行わない収納状態では、この2つの光学要素を接近させてその一方の外側の空間に環状遮光部材を保持させ、収納状態から撮影状態になるとき、2つの光学要素の光軸方向間隔が増大してその間の光軸方向位置に環状遮光部材が位置されるようにすると、収納状態での小型化を図ることができる。また、複数の光学要素は、環状遮光部材を間に位置させる2つの光学要素の光軸方向間隔を倍率に応じて変化させるズーム光学系を構成しており、ズーム領域においてこの2つの光学要素が接近したときにも、その一方の光学要素の外側の空間に環状遮光部材が保持されるようにすることで、スペース効率を向上させることができる。
状遮光部材における第1の径方向フランジ部の内径側に、光軸方向後方に進むにつれて徐々に光軸に接近する部分円錐状部を設けることで、遮光効果を高めることができる。
本発明の遮光構造に用いるばね手段は、理論上、その態様を問わないが、例えば圧縮コイルばねは、全体構造を単純にできるばね手段である。
本発明の光学装置の遮光構造は、光軸方向位置の異なる光学要素の間に、環状遮光部材を複数のばね手段のばね力のバランスにより浮動状態で支持(弾性的に挟持)したので、簡単な構成でありながら、確実な遮光ができる遮光構造が得られる。また、環状遮光部材に、光軸方向後方に位置する第1の径方向フランジ部と、光軸方向前方に位置する第2の径方向フランジ部と、第1の径方向フランジ部と第2の径方向フランジ部を接続する環状の接続部を設け、第1の径方向フランジ部に対して前方に位置するばね手段の後端部を当接させ、第2の径方向フランジ部に対して後方に位置するばね手段の前端部を当接させることによって、前後のばね手段と環状遮光部材の間の保持性を高めることができる。
まず、本実施形態のズームレンズ鏡筒71の全体構造を説明する。ズームレンズ鏡筒71の撮影光学系(結像光学系)は、物体側から順に、第1レンズ群LG1、シャッタS及び絞りA、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、ローパスフィルタ(フィルタ類)LF及び固体撮像素子センサ(以下、撮像センサ)60からなっている。撮影光学系の光軸Z1は、ズームレンズ鏡筒71の外観を構成する各環状部材の回動中心軸に略一致する。ズーミングは、第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2を撮影光軸Z1方向に所定の軌跡で進退させることによって行い、フォーカシングは同方向への第3レンズ群LG3の移動で行う。なお、以下の説明中で「光軸方向」という記載は、特に断りがなければ撮影光軸Z1と平行な方向を意味している。
ズームレンズ鏡筒71は固定環22を備え、固定環22の後部に撮像センサホルダ21が固定されている。撮像センサホルダ21上には撮像センサ60が支持され、撮像センサ60の前部に、フィルタホルダ62とパッキン61を介してローパスフィルタLFが支持されている。フィルタホルダ62は、撮像センサホルダ21の前部に固定されている。
固定環22内には、第3レンズ群LG3を保持するAFレンズ枠51が光軸方向に直進移動可能に支持されている。AFレンズ枠51は、第3レンズ群LG3を保持するレンズ保持部51aと、レンズ保持部51aから略反対の外径方向に延出された一対の腕部51b、51cを有している。固定環22と撮像センサホルダ21に亘って、撮影光軸Z1と平行なAFガイド軸52が支持されており、このAFガイド軸52に対して、AFレンズ枠51の腕部51bの先端部に形成したガイド孔51dが摺動可能に嵌まっている。また、固定環22の内周面に形成した撮影光軸Z1と平行な直進案内溝22a(図2、図3に一部を示す)に対し、AFレンズ枠51の腕部51cの先端部であるガイド端部51eが摺動可能に係合している。また、AFモータ160のドライブシャフトに形成した送りねじに対し、AFナット54が螺合している。AFナット54は、AFレンズ枠51に対して相対回転が規制された状態でガイド孔51dの近傍位置に前方から当て付いている。AFレンズ枠51は、AF枠付勢ばね55によって前方へ付勢されており、AFナット54に当て付くことによって光軸方向の位置が決定される。そしてAFナット54が光軸方向後方へ移動されると、AFレンズ枠51はAFナット54に押圧されて後方へ移動される。逆に、AFナット54が光軸方向前方へ移動されると、AFレンズ枠51は、AF枠付勢ばね55の付勢力によって、AFナット54に追随して前方へ移動される。以上の構造により、AFモータ160のドライブシャフトを正逆に回転させると、AFレンズ枠51が光軸方向に進退される。
固定環22には、ズームモータ150と減速ギヤボックス74が支持されている。減速ギヤボックス74は内部に減速ギヤ列を有し、ズームモータ150の駆動力をズームギヤ28に伝える。ズームギヤ28は、撮影光軸Z1と平行なズームギヤ軸によって固定環22内に軸支されている。
固定環22の内周面には、撮影光軸Z1と平行な直進案内溝22bと、撮影光軸Z1に対して傾斜する螺旋状の斜行溝22cと、斜行溝22cの前端部に連通する周方向への回転ガイド溝22dが形成されている。直進案内溝22bと斜行溝22cはそれぞれ、周方向に略等間隔で3つずつ設けられている。
第1繰出筒18は、斜行溝22c及び回転ガイド溝22dに係合する回転ガイド突起18aと、ズームギヤ28に噛合する外周ギヤ部18bを外周面に有している。ズームギヤ28から外周ギヤ部18bへ回転力が与えられたとき、第1繰出筒18は、回転ガイド突起18aが斜行溝22cに係合している間は、斜行溝22cに案内されて回転しながら光軸方向へ進退し、前方に移動して回転ガイド突起18aが回転ガイド溝22dに係合すると、回転ガイド溝22dに案内されて撮影光軸Z1を中心とする周方向回転(定位置回転)のみを行う。
第1繰出筒18の内周面には撮影光軸Z1を中心とする周方向溝18cと、撮影光軸Z1と平行な回転伝達溝18dが形成されている。この第1繰出筒18の内側には直進案内環14が支持される。直進案内環14の外周面には、外径方向へ突出する3つの直進案内突起14aと、周方向に位置を異ならせて複数設けた相対回動案内突起14bが形成されている。直進案内環14は、直進案内突起14aを直進案内溝22bに係合させることで、固定環22に対し光軸方向に直進案内される。第1繰出筒18は、周方向溝18cを相対回動案内突起14bに係合させることで、直進案内環14に対して相対回動可能に結合される。第1繰出筒18と直進案内環14は、光軸方向には共に移動する。
直進案内環14には、内周面と外周面を貫通する貫通案内溝14cが形成されている。貫通案内溝14cは、周方向へ向け形成された周方向溝部14c-1と、撮影光軸Z1に対して傾斜する螺旋状のリード溝部14c-2とを有する。貫通案内溝14cは周方向に位置を異ならせて3つ設けられており、それぞれの貫通案内溝14cに対して、カム環11の外周面に設けたカム環ガイド突起11aが嵌まっている。カム環ガイド突起11aからさらに外径方向に回転伝達突起11bが突出され、回転伝達突起11bは、第1繰出筒18の回転伝達溝18dに係合している。回転伝達溝18dに対して回転伝達突起11bは、撮影光軸Z1と平行な方向へは摺動可能で、周方向へは相対移動が規制されており、カム環11は第1繰出筒18と共に回転する。
以上の構造から、固定環22からカム環11までの繰り出しの態様が理解される。すなわち、ズームモータ150によってズームギヤ28を鏡筒繰出方向に回転駆動すると、斜行溝22cと回転ガイド突起18aの関係によって第1繰出筒18が回転しながら前方に繰り出される。第1繰出筒18は、周方向溝18cと相対回動案内突起14bの係合関係によって、直進案内環14に対して相対回動可能かつ光軸方向へは共に移動するように結合されているため、第1繰出筒18が回転繰出されると、直進案内環14は第1繰出筒18と共に前方へ直進移動する。また、第1繰出筒18の回転力は回転伝達溝18dと回転伝達突起11bを介してカム環11に伝達される。するとカム環11は、カム環ガイド突起11aが貫通案内溝14cのリード溝部14c-2に案内されて、直進案内環14に対して回転しながら前方に繰り出される。前述の通り、直進案内環14自体も第1繰出筒18と共に前方に直進移動しているため、結果としてカム環11には、リード溝部14c-2に従う回転繰出分と、直進案内環14の前方への直進移動分とを合わせた光軸方向移動量が与えられる。
以上のカム環11の繰出動作は斜行溝22cと回転ガイド突起18aが係合している間行われる。第1繰出筒18が所定量繰り出されると、回転ガイド突起18aが斜行溝22cから回転ガイド溝22d内へ入る。すると、回転繰出力が作用しなくなるため、第1繰出筒18は、回転ガイド突起18aと回転ガイド溝22dとの係合関係によって光軸方向の一定位置で回動のみを行うようになる。また、回転ガイド突起18aが斜行溝22cから回転ガイド溝22d内へ入るのとほぼ同時に、カム環ガイド突起11aは貫通案内溝14cの周方向溝部14c-1に入る。するとカム環11に対しても前方への移動力が与えられなくなり、カム環11は第1繰出筒18の回転に応じて光軸方向の一定位置で回動のみ行うようになる。
続いて、カム環11より先の構造を説明する。直進案内環14の内周面には、撮影光軸Z1と平行な複数の直進案内溝14dが形成されている。直進案内溝14dに対し、2群直進案内環10に設けた直進案内突起10aが摺動可能に係合している。直進案内溝14dにはまた、第2繰出筒13の後端部外周面に突設した直進案内突起13aが摺動可能に係合している。したがって、第2繰出筒13と2群直進案内環10はいずれも、直進案内環14を介して光軸方向に直進案内されている。
2群直進案内環10は、第2レンズ群LG2を支持する2群レンズ移動枠8を直進案内する部材であり、第2繰出筒13は、第1レンズ群LG1を支持する第3繰出筒12を直進案内する部材である。
まず第2レンズ群LG2の支持構造を説明する。2群直進案内環10は、外縁部に直進案内突起10aを有する環状フランジ部10bと、その前部にこれより小径の前方環状フランジ部10cを有し、前方環状フランジ部10cが、カム環11の後端部内周面に形成した周方向溝部11cに対して摺動可能に係合している。これにより2群直進案内環10は、相対回転は可能で光軸方向の相対移動が規制された状態でカム環11と結合される。2群直進案内環10には、前方環状フランジ部10cよりも前方に向けて、第1直進案内キー突起10dと、第2直進案内キー突起10eが突出されている。各直進案内キー突起10d、10eはカム環11の内側に延出されており、それぞれの周方向の両側部に、撮影光軸Z1と平行な一対の直進ガイド面G1、G2を有している。
カム環11の内側に支持された2群レンズ移動枠8は、第1直進案内キー突起10dが嵌合する第1直進ガイド溝部8aと、第2直進案内キー突起10eが嵌合する第2直進ガイド溝部8bを有している。それぞれの直進ガイド溝部8a、8bは、2群レンズ移動枠8の外周面に有底溝として形成されているが、第1直進ガイド溝部8aは、後述する露出制御FPC基板77を挿通させるために一部が径方向に貫通されており、また第2直進ガイド溝部8bにも、後述する径方向への貫通切欠部8gが形成されている。第1直進ガイド溝部8aの両側部には、第1直進案内キー突起10dの一対の直進ガイド面G1に対して摺動可能に接する一対の直進ガイド面G3を有し、第2直進ガイド溝部8bの両側部には、第2直進案内キー突起10eの一対の直進ガイド面G2に対して摺動可能に接する一対の直進ガイド面G4を有し、これら直進ガイド面の関係によって、2群レンズ移動枠8が光軸方向に直進案内される
カム環11の内周面には2群案内カム溝11dが形成されており、2群案内カム溝11dに対して、2群レンズ移動枠8の外周面に設けた2群用カムフォロア8cが係合している。2群レンズ移動枠8は2群直進案内環10を介して光軸方向に直進案内されているため、カム環11が回転すると、2群案内カム溝11dに従って、2群レンズ移動枠8が光軸方向へ所定の軌跡で移動する。
2群レンズ移動枠8は、撮影光軸Z1が通る中央部に貫通開口を有する環状フランジ部8dを有し、この環状フランジ部8dに形成した軸支持部8e(図4、図6に一部を示す)と軸支持部材36によって2群揺動軸33が支持されている。軸支持部材36は固定ねじ37によって環状フランジ部8dの後面側の取り付け座8f(図8、図9)に固定されている。2群レンズ移動枠8の内側には、2群揺動軸33を介して、第2レンズ群LG2を保持する2群レンズ枠6が支持されている。2群レンズ枠6は、第2レンズ群LG2を支持するレンズ筒部6aと、該レンズ筒6aの径方向に延びる揺動アーム部6bと、この揺動アーム部6bの先端に設けた揺動中心筒部6cを有している。揺動中心筒6cには、第2レンズ群LG2の光軸と平行な方向に貫通する揺動軸孔6dが形成されており、揺動軸孔6dに対して2群揺動軸33が挿入されている。2群揺動軸33は撮影光軸Z1と平行でかつ撮影光軸Z1に対して偏心しており、2群レンズ枠6は、2群揺動軸33を回動中心として、第2レンズ群LG2の光軸Z2を撮影光軸Z1と一致させる軸上位置(図2、図3、図12、図13)と、第2レンズ群LG2の光軸Z2を撮影光軸Z1から偏心させる軸外退避位置(図1、図10、図11、図20ないし図22)とに回動(揺動)することができる。2群レンズ枠6は、2群レンズ枠戻しばね39によって軸上位置に向けて付勢されており、2群レンズ枠6と2群レンズ移動枠8には、当接によって該2群レンズ枠6の軸上位置を決める規制突起6eと回動規制ピン35(図9、図11、図13)が設けられている。また、2群レンズ枠6は、軸方向押圧ばね38によって前方(環状フランジ部8dに当て付く方向)に付勢されており、2群レンズ移動枠8に対する光軸方向のバックラッシュが除去されている。
2群レンズ枠6は、光軸方向には2群レンズ移動枠8と一体に移動する。撮像センサホルダ21には2群レンズ枠6に係合可能な位置にカム突起21aが前方に向けて突設されており、2群レンズ移動枠8が収納方向に移動して撮像センサホルダ21に接近すると、該カム突起21aの先端部に形成したカム面が、2群レンズ枠6に係合して、2群レンズ枠戻しばね39の付勢力に抗して上記の軸外退避位置に回動させる。
2群レンズ移動枠8内には、撮影開口76aを開閉するシャッタSと絞りAを有するシャッタユニット76が支持されている。シャッタユニット76は環状フランジ部8dの前部に固定されており、シャッタSと絞りAは第2レンズ群LG2との光軸方向距離が一定となっている。シャッタユニット76は、シャッタSと絞りAを駆動するアクチュエータ(不図示)が内蔵されており、これらアクチュエータをカメラの制御回路と接続するための露出制御FPC基板77が延出されている。
続いて第1レンズ群LG1の支持構造を説明する。直進案内環14を介して光軸方向に直進案内された第2繰出筒13の内周面には、周方向に位置を異ならせて複数の直進案内溝13bが光軸方向へ形成されており、各直進案内溝13bに対し、第3繰出筒12の後端部付近の外周面に形成した係合突起12aが摺動可能に嵌合している。すなわち、第3繰出筒12は、直進案内環14と第2繰出筒13を介して光軸方向に直進案内されている。また、第2繰出筒13は後端部付近の内周面に、周方向へ向かう内径フランジ13cを有し、この内径フランジ13cがカム環11の外周面に設けた周方向溝11eに摺動可能に係合することで、第2繰出筒13は、カム環11に対して相対回転可能かつ光軸方向の相対移動は規制された関係で結合されている。一方、第3繰出筒12は、内径方向に突出する3つの1群用ローラ31を有し、それぞれの1群用ローラ31が、カム環11の外周面に形成した1群案内カム溝11fに摺動可能に嵌合している。第3繰出筒12内には、第1レンズ群LG1を保持する1群レンズ枠1(図1ないし図3)が支持されている。
以上のズームレンズ鏡筒71の全体的な繰出及び収納動作を説明する。カム環11が収納位置から定位置回転状態に繰り出される段階までは既に説明しているので簡潔に述べる。図1の鏡筒収納状態からズームモータ150によりズームギヤ28を繰出方向に回転駆動させると、第1繰出筒18が回転しながら前方に繰出される。直進案内環14は第1繰出筒18と共に前方に直進移動する。このとき、第1繰出筒18により回転力が付与されるカム環11は、直進案内環14の前方への直進移動分と、該直進案内環14との間に設けたリード構造(カム環ガイド突起11a、リード溝部14c-2)による繰出分との合成移動を行う。第1繰出筒18とカム環11が前方の所定位置まで繰り出されると、それぞれの回転繰出構造の機能が解除されて、撮影光軸Z1を中心とした周方向回転のみを行うようになる。
カム環11が回転すると、その内側では、2群直進案内環10を介して直進案内された2群レンズ移動枠8が、2群用カムフォロア8cと2群案内カム溝11dの関係によって光軸方向に所定の軌跡で移動される。図1の鏡筒収納状態では、2群レンズ移動枠8内の2群レンズ枠6は、撮像センサホルダ21に突設したカム突起21aの作用によって、第2レンズ群LG2を撮影光軸Z1から下方へ偏心させた軸外退避位置に保持されている。そして、2群レンズ枠6は、2群レンズ移動枠8が収納位置からズーム領域まで繰り出される途中でカム突起21aから離れて、2群レンズ枠戻しばね39の付勢力によって第2レンズ群LG2の光軸を撮影光軸Z1と一致させる軸上位置に回動する。以後、ズームレンズ鏡筒71を再び収納位置に移動させるまでは、2群レンズ枠6は軸上位置に保持される。
また、カム環11が回転すると、該カム環11の外側では、第2繰出筒13を介して直進案内された第3繰出筒12が、1群用ローラ31と1群案内カム溝11fの関係によって光軸方向に所定の軌跡で移動される。
すなわち、撮像面(撮像センサ60の受光面)に対する第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の繰出位置はそれぞれ、前者が、固定環22に対するカム環11の前方移動量と、該カム環11に対する第3繰出筒12のカム繰出量との合算値として決まり、後者が、固定環22に対するカム環11の前方移動量と、該カム環11に対する2群レンズ移動枠8のカム繰出量との合算値として決まる。ズーミングは、この第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2が互いの空気間隔を変化させながら撮影光軸Z1上を移動することにより行われる。図1の収納位置から鏡筒繰出を行うと、まず図2に示すワイド端の撮影状態になり、さらにズームモータ150を鏡筒繰出方向に駆動させると、図3に示すテレ端の撮影状態となる。図2と図3から分かるように、本実施形態のズームレンズ鏡筒71は、ワイド端では第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間隔が大きく、テレ端では、第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2が互いの接近方向に移動して間隔が小さくなる。このような第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の空気間隔の変化は、2群案内カム溝11dと1群案内カム溝11fの軌跡によって与えられるものである。このテレ端とワイド端の間のズーム領域(ズーミング使用領域)では、カム環11と第1繰出筒18は、前述の定位置回転のみを行い、光軸方向へは進退しない。
ズーム領域では、被写体距離に応じてAFモータ160を駆動することにより、第3レンズ群LG3(AFレンズ枠51)が撮影光軸Z1に沿って移動してフォーカシングがなされる。
ズームモータ150を鏡筒収納方向に駆動させると、ズームレンズ鏡筒71は、前述の繰り出し時とは逆の収納動作を行い、図1の収納位置まで移動される。この収納位置への移動の途中で、2群レンズ枠6がカム突起21aによって軸外退避位置に回動され、2群レンズ移動枠8と共に後退する。ズームレンズ鏡筒71が収納位置まで移動されると、第2レンズ群LG2は、第3レンズ群LG3やローパスフィルタLFと重なる光軸方向位置に格納される。この収納時の第2レンズ群LG2の退避構造によってズームレンズ鏡筒71の収納長が短くなり、薄型化が達成されている。
以上のズームレンズ鏡筒71では、2群直進案内環10に設けた第1直進案内キー突起10dと第2直進案内キー突起10eによって2群レンズ移動枠8が光軸方向に直進案内されている。図14に示すように、第2直進案内キー突起10eは、第1直進案内キー突起10dよりも周方向に幅広に形成されており、その中央部分に径方向への貫通収納切欠10e1が形成されている。貫通収納切欠10e1の両側には左右の直進ガイド面G2を有する一対のガイドバー部10e3が設けられ、貫通収納切欠10e1の前部は、周方向への橋絡部10e2によって一対のガイドバー部10e3が接続されている。図9、図11及び図13から分かるように、第2直進案内キー突起10eは、正面視では撮影光軸Z1を中心とする円弧の一部からなる壁面となっている。また、図14のように展開平面視したとき、第2直進案内キー突起10eは、その輪郭内に貫通収納切欠10e1を有する略矩形をなしており、貫通収納切欠10e1も略矩形となっている。
図15に示すように、2群レンズ移動枠8の第2直進ガイド溝部8bには、貫通収納切欠10e1と同じ周方向位置に、概ね該貫通収納切欠10e1に対応する大きさの貫通切欠部8gが形成されている。2群直進案内環10が2群レンズ移動枠8を光軸方向に直進案内する関係であるため、貫通切欠部8gと貫通収納切欠10e1の回転方向の位相は変化しない。一方、貫通切欠部8gと貫通収納切欠10e1の光軸方向の相対位置は、2群直進案内環10に対する2群レンズ移動枠8の光軸方向への移動によって変化する。
また、図17に示すように、カム環11の内周面には収納凹部11gが形成されている。収納凹部11gも概ね貫通収納切欠10e1に対応する大きさを有しているが、前述の通り2群レンズ移動枠8は、カム環11との相対回転によって光軸方向への移動が与えられるため、収納凹部11gと貫通収納切欠10e1は、ズームレンズ鏡筒71の状態によって、回転方向の位相と光軸方向の相対位置のいずれも変化する。
具体的には、ズームレンズ鏡筒71の撮影状態に対応する2群レンズ移動枠8の使用位置(図2、図3、図12及び図13)では、2群直進案内環10の貫通収納切欠10e1と2群レンズ移動枠8の貫通切欠部8gの光軸方向位置が完全には一致せず、かつ2群直進案内環10の貫通収納切欠10e1とカム環11の収納凹部11gの回転位相と光軸方向位置が一致していない。一方、ズームレンズ鏡筒71の収納状態に対応する2群レンズ移動枠8の収納位置(図1、図8、図9、図10及び図11)では、図16に示すように2群レンズ移動枠8の貫通切欠部8gの位置が2群直進案内環10の貫通収納切欠10e1と一致し、径方向に連通した一連の貫通部を形成する。この2群レンズ移動枠8の収納位置ではさらに、貫通切欠部8gと貫通収納切欠10e1からなる径方向貫通部に対するカム環11の収納凹部11gの回転位相及び光軸方向位置が一致し、該収納凹部11gが貫通収納切欠10e1の外側に位置する。
前述の通り、図1の鏡筒収納状態においては、2群レンズ移動枠8内で2群レンズ枠6が撮影光軸Z1から偏心する軸外退避位置に回動する。このとき、図10、図11及び図18に示すように、2群レンズ枠6のレンズ筒6aの一部が、径方向に重なる貫通切欠部8gと貫通収納切欠10e1に進入してこれを貫通し、その外側の収納凹部11gに入り込んで収納される。これにより、2群レンズ移動枠8、2群直進案内環10及びカム環11の径サイズを小さく抑えつつ、第2レンズ群LG2をスペース効率良く収納することができ、ズームレンズ鏡筒71の小型化が達成されている。
特に、2群直進案内環10に関しては、第2直進案内キー突起10eに形成した貫通収納切欠10e1を第2レンズ群LG2(レンズ筒6a)の収納スペースとしており、この構成には次のような利点がある。まず、2群直進案内環10のような環状の直進案内部材では、ガイド時の支持安定性や精度確保のため、周方向に位置を異ならせた複数の直進ガイド部を設けることが好ましい。その一方、2群直進案内環10による直進案内を受ける2群レンズ移動枠8においては、2群揺動軸33やシャッタユニット76などが高密度に配置されており、直進ガイド部の配置に関して周方向に十分なスペースを得ることが難しい。ここで、2群直進案内環10における直進ガイド部を、大きく分けて第1直進案内キー突起10dと第2直進案内キー突起10eにすることで、例えば周方向に120度等配で3つの直進キー突起を設けるような態様に比べて、各直進案内キー突起10d、10eの間の周方向スペースを広く確保することが可能になり、小型化を維持しつつ高密度で効率的な部品配置が可能となっている。そして、第2直進案内キー突起10eの存在部分を第2レンズ群LG2の退避スペースとして利用することにより、残りの周方向のスペースを有効に利用することが可能となった。
第2直進案内キー突起10eについては、周方向の中間部に貫通収納切欠10e1を有するために両側の直進ガイド面G2、G2の周方向間隔が広くなっており、2群レンズ移動枠8に対するガイド部として十分な安定性が得られるようになっている。また、第2直進案内キー突起10eにおける貫通収納切欠10e1の前部は橋絡部10e2で閉じられていて、十分な強度が得られるようになっている。加えて、この橋絡部10も含めた第2直進案内キー突起10eの全体は、ズームレンズ鏡筒71を正面視したときに撮影光軸Z1を中心とする円弧の一部として形成されており、強度的に優れたアーチ状の構造であると共に、2群レンズ移動枠8とカム環11の間にスペース効率良く収まるようになっている。
なお、以上の実施形態では、第2直進案内キー突起10eは、周方向の両側部に一対の直進ガイド面G2を有しているが、本発明の直進案内キー突起では、直進ガイド面の形成位置を図示実施形態とは異ならせることも可能である。例えば、第2直進案内キー突起10eの一対のガイドバー部10e3において、2群レンズ移動枠8に対向する内周面側に直進案内用の径方向突起部または径方向溝部を形成し、2群レンズ移動枠8の外周面側に、この径方向突起部または径方向溝部に摺動可能に係合する径方向溝部または径方向突起部を形成することも可能である。このような構成であれば、直進案内用の係合部の数が増えるので安定性や精度を向上させることができる。また径方向突起部と径方向溝部の互いの高さ(深さ)を同等にすれば、2群レンズ移動枠8や第2直進案内キー突起10eの実質的な径サイズ増大を防ぐことができ、コンパクト性も維持される。
本実施形態のズームレンズ鏡筒71ではまた、第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3の収納構造に関して、以下のような特徴を有している。図19及び図20に示すように、撮像センサ60は水平方向に長い横長矩形の撮像面を有しており、これに対応して第3レンズ群LG3は、撮像センサ60の長辺部に対応する上下部分が除去されたDカット形状となっている。これにより、第3レンズ群LG3は、撮像センサ60の長辺部と略平行な上下一対の直線状の長辺方向縁部LG3-Vと、この一対の長辺方向縁部LG3-Vを結ぶ一対の円弧状の短辺方向縁部LG3-Wによって外縁部が構成される非円形形状となっている。短辺方向縁部LG3-Wは、Dカット部が存在しないと仮定したときの第3レンズ群LG3の基本円形形状LG3-Q(図22)の一部であり、長辺方向縁部LG3-Vは、この基本円形形状LG3-Qの内側を通る直線状部である。AFレンズ枠51のレンズ保持部51aも、第3レンズ群LG3の形状に対応して、その上下部分が撮像センサ60の長辺部と略平行をなすDカット形状に形成されている。また、図19に示すように、レンズ保持部51aの前部には横長矩形状の開口部53aを有するレンズ押さえ板53が設けられているが、このレンズ押さえ板53も同様のDカット形状となっている。
図20から図22は、ズームレンズ鏡筒71の収納状態における第2レンズ群LG2(2群レンズ枠6)と第3レンズ群LG3(AFレンズ枠51)の位置関係を示している。前述のように、ズームレンズ鏡筒71の収納状態では、第2レンズ群LG2は第3レンズ群LG3の下側スペースに入り込み、撮影光軸Z1と直交する径方向において第2レンズ群LG2の一部と第3レンズ群LG3が重なって位置される。このとき、ズームレンズ鏡筒71を正面視した図20に示すように、軸外退避位置にある第2レンズ群LG2は、第3レンズ群LG3の下側の長辺方向縁部LG3-Vに隣接するDカット領域に位置し、その光軸Z2が、第3レンズ群LG3の光軸(撮影光軸Z1)を通り撮像センサ60の短辺方向と平行な軸上平面P1から左手方向(AFレンズ枠51のガイド孔51dがある側)にオフセットされている。また、2群レンズ枠6を軸支する2群揺動軸33は、第3レンズ群LG3の一対の短辺方向縁部LG3-Wのうち、軸外退避位置にある第2レンズ群LG2の光軸Z2に近い側の短辺方向縁部LG3-Wに隣接して位置している。そして2群揺動軸33は、第3レンズ群LG3の光軸(撮影光軸Z1)を通り撮像センサ60の長辺方向と平行な第2の軸上平面P2から下側(第2レンズ群LG2の軸外退避位置側)にオフセットされている。
以上の構造では、第2レンズ群LG2が軸外退避位置にあるとき、大径の第2レンズ群LG2(レンズ筒6a)が第3レンズ群LG3の長辺方向縁部LG3-に沿って位置し、これより小径の2群揺動軸33(揺動中心筒6c)が第3レンズ群LG3の短辺方向縁部LG3-Wに沿って位置されるため、第3レンズ群LG3の長辺側と短辺側のいずれにおいてもスペース効率良く第2レンズ群LG2(レンズ筒6a)と2群揺動軸33(揺動中心筒6c)が収納される。特に、2群レンズ枠6のレンズ筒6aが、Dカット部が存在しないと仮定したときの第3レンズ群LG3の基本円形形状LG3-Q、もしくは該第3レンズ群LG3を保持するAFレンズ枠51のレンズ筒部51aと干渉する位置まで該第3レンズ群LG3に接近されているため、撮像センサ60の短辺方向における収納構造のコンパクト化に高い効果が得られる。
また、撮像センサ60の短辺方向と平行な軸上平面P1に対して、軸外退避位置にある第2レンズ群LG2の光軸Z2をオフセットさせたことにより、2群揺動軸33の位置を軸上平面P1(撮影光軸Z1)に接近させることができ、より一層のコンパクト化が達成されている。その前提として、2群レンズ枠6の揺動中心筒6cを軸支する2群揺動軸33の位置は、撮影光軸Z1と直交する平面内において、撮像センサホルダ21上の撮像センサ60を含むセンサパッケージとは重ならない位置に設ける必要がある。また、2群レンズ枠6における揺動中心筒6cや揺動アーム部6bが、鏡筒収納状態でAFレンズ枠51のレンズ保持部51aなどと干渉しない位置にあるという条件も満たさなければならない。ここで、このような条件を満たしつつ、本実施形態と異なり軸外退避位置での第2レンズ群LG2の光軸Z2が軸上平面P1上に位置する態様を想定すると、本実施形態の図示位置よりも2群揺動軸33の位置が撮影光軸Z1から遠くなってしまうか、あるいは2群レンズ枠6の回動半径(2群揺動軸33から光軸Z2までの距離)が大きくなってしまう。すると、図22に2点鎖線で示すカム環11の内径サイズ内に第2レンズ群LG2の支持機構が収まらなくなってしまう。これに対して、本実施形態の構造であれば、カム環11の大径化を伴うことなく、限られたスペース内に第2レンズ群LG2とその支持機構を収納することができる。なお図22では、2群レンズ枠6のレンズ筒6aの一部がカム環11の内周面位置よりも外径方向に突出しているが、当該部分は前述の貫通切欠部8gと貫通収納切欠10e1を通して収納凹部11gに収納される部分であり、カム環11との干渉は生じない。
本実施形態のズームレンズ鏡筒71ではさらに、第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間に設けた遮光構造に関して、以下のような特徴を有している。第1レンズ群LG1を保持する1群レンズ枠1には、図1ないし図3に示すように、第1レンズ群LG1の外周形状に対応した撮影光軸Z1を中心とするレンズ筒部1aと、該レンズ筒部1aから撮影光軸Z1を中心として外径方向に向けて突出する径方向壁部1bと、が形成されている。2群レンズ移動枠8内には、シャッタユニット76の前部にばね当接環78が固定されており、このばね当接環78の前面には、光軸方向前方に向けて張り出す、撮影光軸Z1を中心とする弧状のフランジ部78aと、このフランジ部78aよりも若干内径側(撮影光軸Z1に近い側)に位置するばね安定突起78bとが形成されている。
1群レンズ枠1の径方向壁部1bの後面には、圧縮コイルばねからなる第1ばね部材(ばね手段)79の前端部が当接している。また、ばね当接環78の前面には、フランジ部78aとばね安定突起78bの間の径方向位置に、圧縮コイルばねからなる第2ばね部材(ばね手段)80の後端部が当接している。第1ばね部材79と第2ばね部材80はそれぞれ、光軸方向後方に進むにつれて徐々に径サイズを大きくする円錐状の圧縮コイルばねであって、第1ばね部材79よりも第2ばね部材80の方が大きい径サイズとなっている。
第1ばね部材79の後端部と第2ばね部材80の前端部の間に、環状遮光部材81がばね力のバランスによる浮動状態で支持されている。環状遮光部材81は、撮影光軸Z1を中心とする環状部材であって、第1ばね部材79の後端部が当接する径方向フランジ部(径方向壁面部、第1の径方向フランジ部)81aと、この径方向フランジ部81aよりも光軸方向前方に位置しかつ径方向フランジ部81aよりも大径で(光軸Z1から遠い外径側に位置する)、第2ばね部材80の前端部が当接する径方向フランジ部(径方向壁面部、第2の径方向フランジ部)81bと、径方向フランジ部81aの外径部と径方向フランジ部81bの内径部を接続して撮影光軸Z1を中心とする環状をなす環状接続部81cと、径方向フランジ部81aの内径部に設けた遮光壁部81dとを有している。遮光壁部81dは、フランジ部81aから光軸方向後方に進むにつれて徐々に撮影光軸Z1に接近する部分円錐状部81d-1と、この部分円錐状部81d-1の後端部に設けた、撮影光軸Z1と略直交する後端環状部81d-2とを有している。第1ばね部材79と第2ばね部材80は、それぞれの外周面と内周面の位置を環状接続部81cによって規制させることによって、略同心の状態に保持させる(芯出しさせる)ことができる。さらに、第1ばね部材79については、1群レンズ枠1のレンズ筒部1aと径方向壁部1bの境界部により形成される環状段部に係止されることで、1群レンズ枠1と略同心な位置関係で保持され、第2ばね部材80については、フランジ部78aとばね安定突起78bの間に係止されることで、ばね当接環78を備えた2群レンズ移動枠8と略同心な位置関係で保持される。
以上の遮光構造では、1群レンズ枠1と2群レンズ移動枠8の光軸方向の相対位置の変化に応じて、第1ばね部材79と第2ばね部材80が伸縮して、環状遮光部材81が第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間の所定の位置に保持される。具体的には、1群レンズ枠1と2群レンズ移動枠8が最も接近する図1の鏡筒収納状態では、第1ばね部材79と第2ばね部材80の圧縮度が最も高くなり、環状遮光部材81が1群レンズ枠1のレンズ筒部1a(すなわち第1レンズ群LG1)の外側のスペースに格納される。1群レンズ枠1と2群レンズ移動枠8が離間する図2のワイド端撮影状態では、環状遮光部材81が第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間の空間に保持され、第1レンズ群LG1から第2レンズ群LG2を通らずに2群レンズ移動枠8の外側へ回り込もうとする光線を遮断する。環状遮光部材81は、この状態で最も高い有害光遮断効果が得られる径サイズや形状に設定されている。また、第1ばね部材79と第2ばね部材80の軸方向長さやばね力も、この状態で最も高い有害光遮断効果が得られる光軸方向位置に環状遮光部材81を保持させるように設定されている。図2のワイド端から図3のテレ端へと焦点距離を変化させると、1群レンズ枠1と2群レンズ移動枠8が接近し、図3のテレ端では、鏡筒収納状態と同様に、環状遮光部材81が1群レンズ枠1のレンズ筒部1aの外側のスペースに格納される。テレ端では第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2が近接しており、第2レンズ群LG2を通らずに撮像センサ60方向へ進もうとする有害な光線は、シャッタユニット76などで防ぐことができるため、環状遮光部材81が1群レンズ枠1のレンズ筒部1aの外側に格納されていても遮光性能に問題はない。逆に、1群レンズ枠1のレンズ筒部1aの外側スペースに環状遮光部材81やばね部材79、80が格納されることで、第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2と干渉せずにこれらを接近させることができ、スペース効率に優れると共に光学性能に制約を及ぼすおそれがない。
以上のように、本実施形態の遮光構造では、第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間に、環状遮光部材80を複数のばね部材79、80のばね力のバランスにより浮動状態で支持したので、簡単な構成でありながら、確実な遮光ができる。
図24及び図25のズームレンズ鏡筒171のように、複数の環状遮光部材81A、81Bを設ける態様も可能である。なお、図24及び図25では、先の実施形態のズームレンズ鏡筒71と同様の部材については同じ符号で示している。この態様では、第1ばね部材79と第2ばね部材80の間に、圧縮コイルばねからなる中間ばね部材(ばね手段、中間ばね手段)82が設けられていて、前方の環状遮光部材81Aは、第1ばね部材79の後端部と中間ばね部材82の前端部に挟まれて保持され、後方の環状遮光部材81Bは、中間ばね部材82の後端部と中間ばね部材82の前端部に挟まれて保持されている。図24の鏡筒収納状態や図25の下半分のテレ端撮影状態では、2つの環状遮光部材81A、81Bやばね部材79、80及び82が1群レンズ枠1のレンズ筒部1a′の外側に格納されてスペース効率がよい。レンズ筒部1a′は、これら2つの環状遮光部材81A、81Bや3つのばね部材79、80及び82をその外側に格納させるべく、先の実施形態のレンズ筒部1aと形状が異なっている(収納スペースを大きくさせるため、後部の外径サイズが絞り込まれている)。図25の上半分のワイド端撮影状態では、2つの環状遮光部材81A、81Bが、適切な遮光効果を得られる光軸方向間隔で第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間の空間に保持されている。この態様では2つの環状遮光部材81A、81Bを配しているが、3以上の環状遮光部材を配することも可能である。
なお、以上の実施形態では、環状遮光部材を保持するばね部材は圧縮コイルばねとしたが、理論的には引張ばねを用いることも可能である。
以上で説明した図示実施形態のズームレンズ鏡筒の具体的構造は本発明を実施可能な一例であり、本発明の技術思想は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態のズームレンズ鏡筒は、鏡筒収納時に第2レンズ群LG2が撮影光軸Z1から離脱する位置へ退避移動を行っているが、このような軸外への退避動作を行わない光学要素間の遮光構造としても、本発明は適用可能である。
本発明を適用したズームレンズ鏡筒の収納状態を示す断面図である。 ズームレンズ鏡筒のワイド端撮影状態を示す断面図である。 ズームレンズ鏡筒のテレ端端撮影状態を示す断面図である。 ズームレンズ鏡筒の一部の分解斜視図である。 ズームレンズ鏡筒の別の一部の分解斜視図である。 2群レンズ移動枠、2群レンズ枠、カム環、2群直進案内環を拡大して示す分解斜視図である。 2群レンズ枠を組み付けた状態の2群レンズ移動枠と、カム環及び2群直進案内環を図6とは反対の後方から見た分解斜視図である。 2群レンズ枠を除いて、2群レンズ移動枠、カム環及び2群直進案内環を組み立てた状態の後方斜視図である。 図8を後方から見た図である。 図8に2群レンズ枠を加えた、鏡筒収納状態の後方斜視図である。 図10を後方から見た図である。 図10の鏡筒収納状態から撮影状態に移行した状態を示す後方斜視図である。 図12を後方から見た図である。 2群直進案内環の展開平面図である。 2群レンズ移動枠の展開平面図である。 鏡筒収納状態での位置関係における2群直進案内環と2群レンズ移動枠を重ねて示した展開平面図である。 カム環の展開平面図である。 鏡筒収納状態での位置関係における2群直進案内環とカム環を重ね、さらに2群レンズ枠を加えた展開平面図である。 第3レンズ群を保持するAFレンズ枠の分解状態と、その前後の2群レンズ枠と撮像センサの位置関係を示した斜視図である。 鏡筒収納状態における、2群レンズ枠、AFレンズ枠及び撮像センサの位置関係を示す正面図である。 鏡筒収納状態における、2群レンズ枠、AFレンズ枠及び撮像センサホルダの位置関係を示す斜視図である。 鏡筒収納状態における、2群レンズ枠、AFレンズ枠及び撮像センサホルダの位置関係を示す正面図である。 第1レンズ群と第2レンズ群の間に設けられる遮光構造の概要を示す分解斜視図である。 第1レンズ群と第2レンズ群の間に複数の環状遮光部材を配した態様を示す、ズームレンズ鏡筒の収納状態の断面図である。 第1レンズ群と第2レンズ群の間に複数の環状遮光部材を配した態様における、ズームレンズ鏡筒の撮影状態を示す断面図である。
符号の説明
1 1群レンズ枠
1a レンズ筒部
1b 径方向壁部
6 2群レンズ枠
6a レンズ筒部
6b 揺動アーム部
6c 揺動中心筒部
6d 揺動軸孔
6e 規制突起
8 2群レンズ移動枠
8a 第1直進ガイド溝部
8b 第2直進ガイド溝部
8c 2群用カムフォロア
8g 貫通切欠部
10 2群直進案内環
10d 第1直進案内キー突起
10e 第2直進案内キー突起
10e1 貫通収納切欠
10e2 橋絡部
10e3 ガイドバー部
11 カム環
11d 2群案内カム溝
11g 収納凹部
12 第3繰出筒
13 第2繰出筒
14 直進案内環
18 第1繰出筒
21 撮像センサホルダ
21a カム突起
22 固定環
33 2群揺動軸
51 AFレンズ枠
51a レンズ保持部
52 AFガイド軸
53 レンズ押さえ板
54 AFナット
60 撮像センサ
71 171 ズームレンズ鏡筒
76 シャッタユニット
78 ばね当接環
79 第1ばね部材(ばね手段)
80 第2ばね部材(ばね手段)
81 81A 81B 環状遮光部材
81a 径方向フランジ部(径方向壁面部、第1の径方向フランジ部)
81b 径方向フランジ部(径方向壁面部、第2の径方向フランジ部)
81c 環状接続部
81d 遮光壁部
81d-1 部分円錐状部
81d-2 後端環状部
82 中間ばね部材(ばね手段、中間ばね手段
150 ズームモータ
160 AFモータ
A 絞り
G1 G2 G3 G4 直進ガイド面
LF ローパスフィルタ
LG1 第1レンズ群
LG2 第2レンズ群
LG3 第3レンズ群
LG3-Q 第3レンズ群の基本円形形状
LG3-V 長辺方向縁部
LG3-W 短辺方向縁部
P1 軸上平面
P2 第2の軸上平面
S シャッタ
Z1 撮影光学系の光軸
Z2 第2レンズ群の光軸

Claims (7)

  1. 光軸方向位置の異なる複数の光学要素を備える光学装置において、
    上記複数の光学要素のうち2つの光学要素の間に、有害光を遮断する環状遮光部材を少なくとも1つ位置させたこと
    上記2つの光学要素の一方と他方と上記少なくとも1つの環状遮光部材との間にそれぞれ光軸方向に弾性変形可能に保持された少なくとも2つのばね手段を含む複数のばね手段を備え、該ばね手段のみにより上記環状遮光部材を弾性的に挟持したこと;
    上記環状遮光部材は、光軸と略直交する平面内に、上記ばね手段の端部が当接する径方向壁面部を有していること;
    上記環状遮光部材の上記径方向壁面部は、その前方に位置する上記ばね手段の後端部が当接する第1の径方向フランジ部と、その後方に位置する上記ばね手段の前端部が当接する第2の径方向フランジ部とからなること;及び
    上記第1の径方向フランジ部と上記第2の径方向フランジ部は互いの光軸方向位置を異ならせており、かつ上記第1の径方向フランジ部が上記第2の径方向フランジ部よりも光軸方向後方に位置し、上記環状遮光部材は、上記第1の径方向フランジ部と上記第2の径方向フランジ部を接続する、光軸を中心とする環状の接続部を備えていること;
    を特徴とする光学装置の遮光構造。
  2. 請求項1記載の光学装置の遮光構造において、上記2つの光学要素の間に、光軸方向に位置を異ならせて複数の上記環状遮光部材が備えられ、上記複数のばね手段は、該複数の環状遮光部材の間に光軸方向に弾性変形可能に保持される中間ばね手段を有していることを特徴とする光学装置の遮光構造。
  3. 請求項1または2記載の光学装置の遮光構造において、上記2つの光学要素は光軸方向に相対移動可能で、撮影を行わない収納状態では、上記2つの光学要素が接近してその一方の外側の空間に上記環状遮光部材が保持され、収納状態から撮影状態になるとき、上記2つの光学要素の光軸方向間隔が増大し、該2つの光学要素の間の光軸方向位置に上記環状遮光部材が位置することを特徴とする光学装置の遮光構造。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の光学装置の遮光構造において、上記複数の光学要素は、倍率に応じて上記2つの光学要素の光軸方向間隔を変化させるズーム光学系を構成し、ズーム領域において上記2つの光学要素が接近したとき、該2つの光学要素の一方の外側の空間に上記環状遮光部材が保持されることを特徴とする光学装置の遮光構造。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の光学装置の遮光構造において、上記複数の光学要素の一つには、シャッタユニットが含まれることを特徴とする光学装置の遮光構造。
  6. 請求項ないし5のいずれか1項記載の光学装置の遮光構造において、上記環状遮光部材は、上記第1の径方向フランジ部の内径側に、光軸方向後方に進むにつれて徐々に光軸に接近する部分円錐状部を有することを特徴とする光学装置の遮光構造。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項記載の光学装置の遮光構造において、上記複数のばね手段は、圧縮コイルばねであることを特徴とする光学装置の遮光構造。
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