図1に示す如く、実施例に係るパチンコ機の遊技盤10は、略円形状に湾曲形成したレール11により遊技領域12が前面側に画成されて、該遊技領域12には、遊技盤10の裏側に配設される図柄表示装置13が臨む大型の装飾部材14が配設されている。この装飾部材14は、前記遊技領域12の左右幅方向の大部分を占める枠状本体15に、所要の意匠を施した装飾部品や発光部品等を配設して構成され、遊技盤10に開設した装着孔(図示せず)に枠状本体15を前側から挿入したもとでネジ止めされる。そして、前記枠状本体15の略中央位置に開設した開口15aを介して、前記図柄表示装置13の表示面13aが遊技盤10の前側に臨むようになっている。なお、枠状本体15の上部右角に配設された装飾部品16は透明な材料から形成されており、該装飾部品16の後側に位置する後述の可動部材21,22,23の一部が装飾部品16を介して前側から視認し得るようになっている。
また、前記遊技領域12における前記装飾部材14の下方位置には、遊技領域12を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞具17が配設され、該始動入賞具17の下側に、前記図柄表示装置13での図柄組み合わせゲームの結果により開放する電動式の特別入賞装置18を配設してある。更に、前記遊技領域12の左側下部には、複数の普通入賞装置19や図柄表示装置13での図柄組み合わせゲームに応じて照射パターンを変更して発光演出を行なう電飾装置20が配設されている。なお、パチンコ機は、機全体の制御を行なう主制御基板および該主制御基板から送られた制御信号に基づいて図柄表示装置13、電飾装置20および後述する演出装置24を制御するサブ統括制御基板(何れも図示せず)を備える。そして、始動入賞具17へのパチンコ球の入賞が図示しない入賞スイッチにより検出され、該入賞スイッチからの入賞検出信号を受けた主制御基板からサブ統括制御基板に表示演出信号、発光演出信号および動作演出信号が送られ、各演出信号に基づいてサブ統括制御基板が図柄表示装置13、電飾装置20および演出装置24に所要の演出を行なわせる制御信号を送るようになっている。
前記装飾部材14の枠状本体15には、前記開口15aの上部後側に、複数の可動部材21,22,23を備える演出装置24が配設されている(図2参照)。各可動部材21,22,23は、前記図柄表示装置13における表示面13aの前側を少なくとも一部が移動可能に構成される。演出装置24は、前記サブ統括制御基板から送られる動作演出信号に基づいて、前記図柄表示装置13で行なわれる図柄組み合わせゲームに合わせて可動部材21,22,23を移動させて、遊技の興趣を向上するよう構成してある。
前記演出装置24は、図3に示す如く、前記枠状本体15にネジ止め固定される装置本体(本体)25と、該装置本体25に組み付けられる複数(実施例では3つ)の可動部材21,22,23と、装置本体25に配設されて、各可動部材21,22,23を夫々独立して駆動する駆動手段としてのモータ26,27,28とを備えている。実施例では、前後方向に離間して3つの可動部材21,22,23が装置本体25に組み付けられており、前側から後側に順に、第1可動部材21、第2可動部材22および第3可動部材23と指称するものとする。また各可動部材21,22,23に対応する部品についても、各名称の前に夫々第1、第2および第3と付して区別する。
前記装置本体25は、組付基台29と、該組付基台29の前側に組み付けられた各構成部品を前側から覆うカバー体(図示せず)とから構成されて、該カバー体は組付基台29にネジ止めされている。装置本体25の組付基台29には、可動部材用の支持軸(軸)30が前側に延出するように配設固定され、該支持軸30に、薄板状の3つの可動部材21,22,23が、後述する作動歯車32,33,34を介して前後に離間して回動自在に支持されている(図5参照)。第1可動部材21は、図4,図6,図7に示す如く、第1作動歯車32に取付けられて支持軸30に回動自在に支持される基部21aと、該基部21aから支持軸30の径方向に延出するアーム部21bと、該アーム部21bの端部に連設される指示部21cとから基本的に構成される。また指示部21cの中央には、透視部21dが設けられている。なお、第1可動部材21のアーム部21b、指示部21cおよび透視部21dには、所要の意匠が夫々施されている。
前記第2可動部材22および第3可動部材23の基本的な構成は、前記第1可動部材21と同一である。すなわち、第2可動部材22は、図6および図8に示す如く、第2作動歯車33に取付けられて支持軸30に回動自在に支持される基部22aと、該基部22aから支持軸30の径方向に延出するアーム部22bと、該アーム部22bの端部に連設される指示部22cとから構成される。また指示部22cの中央には、透視部22dが設けられている。第2可動部材22のアーム部22b、指示部22cおよび透視部22dには、所要の意匠が夫々施されている。なお、第2可動部材22におけるアーム部22bに施された意匠は、第1可動部材21におけるアーム部21bに施された意匠と略同一であるのに対し、第2可動部材22における指示部22cおよび透視部22dに施された意匠は、第1可動部材21における指示部21cおよび透視部21dに施された意匠とは異なっている。
また前記第3可動部材23は、図6および図9に示す如く、第3作動歯車34に取付けられて支持軸30に回動自在に支持される基部23aと、該基部23aから支持軸30の径方向に延出するアーム部23bと、該アーム部23bの端部に連設される指示部23cとから構成される。また指示部23cの中央に透視部23dが設けられている。第3可動部材23のアーム部23b、指示部23cおよび透視部23dには、所要の意匠が夫々施されている。なお、第3可動部材23におけるアーム部23bに施された意匠は、第2可動部材22におけるアーム部22bに施された意匠と同一であるのに対し、第3可動部材23における指示部23cおよび透視部23dに施された意匠は、第1可動部材21および第2可動部材22における指示部21c,22cおよび透視部21d,22dに施された意匠とは異なっている。
前記3つの可動部材21,22,23は、図2に示す如く、前記アーム部21b,22b,23bおよび指示部21c,22c,23cを、前記表示面13aの前側を移動し得るよう構成されると共に、該アーム部21b,22b,23bおよび指示部21c,22c,23cを前後に重ね合わせることができるようになっている。なお、各アーム部21b,22b,23bの形状は同一に設定されており、前後に重ね合わせた状態で3つの可動部材21,22,23を移動することで、あたかも1つの部材であるように見せることが可能となっている。但し、各指示部21c,22c,23cについては、外形状状を若干異ならせてある。
前記3つの可動部材21,22,23の透視部21d,22d,23dについては、何れも後側を透かして見ることが可能な光の透過率に設定されるが、夫々の透過率は異なるようにしてある。すなわち、3つの可動部材21,22,23における透視部21d,22d,23dの重ね合わせる組み合わせによって、当該透視部21d,22d,23dの後側に位置する前記表示面13a(図柄31)の見え方が変化するようになっている(図16参照)。具体的に実施例では、前側から順に透過率が低くなり、第1可動部材21の透視部21dの場合は、後側がハッキリ視認し得る(図16(d)参照)のに対し、第3可動部材23の透視部23dの場合は、後側が見えづらく、3つの透視部21d,22d,23dを重ね合わせた場合は、後側が殆ど見えないように設定されている(図16(b)参照)。透視部21d,22d,23dの透過率を異ならせる手段としては、インクジェト印刷を施したりシール等を貼着したり、あるいは表面あるいる裏面に凹凸を形成する等、その他公知の各種手段を単独あるいは組み合わせて用いることができる。
前記第1〜第3可動部材21,22,23は、前記支持軸30を中心として所要範囲を回動し得るよう構成される。実施例では、支持軸30が、図2に示す如く、前記枠状本体15における開口15aの幅方向の中間位置の上方に臨むように演出装置24が枠状本体15に配設されており、第1〜第3可動部材21,22,23は、指示部21c,22c,23cが支持軸30の右側に臨んで前記装飾部品16の後側に位置する待機位置(図2の二点鎖線参照)と、アーム部21b,22b,23bおよび指示部21c,22c,23cが支持軸30の左側に臨んで前記表示面13aの前側に位置する回動限界位置(図7,図8,図9参照)との間を回動するよう構成される。
前記第1可動部材21の基部21aには、図6および図7に示す如く、第1作動歯車32が取付けられ、該第1作動歯車32が支持軸30に対して回動可能に支持されて、第1作動歯車32の回転に伴って第1可動部材21が一体的に回動するよう構成される。第1作動歯車32は、図7,図12および図13に示す如く、外周に歯部が形成された円盤部32aと、該円盤部32aの中心に設けられて軸方向の前後に延出するボス32bとを基本として、該ボス32bに穿設した軸孔32cに支持軸30を挿通することで、支持軸30に対して第1作動歯車32は回動自在に組み付けられる。また第1作動歯車32には、円盤部32aの前面(軸方向の一端面)に、回動中心から偏倚した部位において該円盤部32aの周面から半径方向外側に延出する検出片(被検出部)32dが設けられ、該検出片32dが後述する第1左検出手段44で検出されることで、第1可動部材21が前記回動限界位置に位置していることが検出されるようになっている。
前記第2可動部材22の基部22aには、図6および図8に示す如く、第2作動歯車33が取付けられ、該第2作動歯車33が支持軸30に対して回動可能に支持されて、第2作動歯車33の回転に伴って第2可動部材22が一体的に回動するよう構成される。また前記第3可動部材23の基部23aには、図6および図9に示す如く、第3作動歯車34が取付けられ、該第3作動歯車34が支持軸30に対して回動可能に支持されて、第3作動歯車34の回転に伴って第3可動部材23が一体的に回動するよう構成される。第2作動歯車33および第3作動歯車34の基本的な構成は、前記第1作動歯車32と同一である。すなわち、第2作動歯車33および第3作動歯車34は、図8,図9,図12および図13に示す如く、外周に歯部が形成された円盤部33a,34aと、該円盤部33a,34aの中心に設けられて軸方向の前後に延出するボス33b,34bとを基本として、該ボス33b,34bに穿設した軸孔33c,34cに支持軸30を挿通することで、支持軸30に対して第2作動歯車33および第3作動歯車34は回動自在に組み付けられる。また第2作動歯車33および第3作動歯車34には、円盤部33a,34aの前面(軸方向の一端面)に、回動中心から偏倚した部位において該円盤部33a,34aの周面から半径方向外側に延出する検出片(被検出部)33d,34dが設けられ、該検出片33d,34dが後述する第2左検出手段45および第3左検出手段46で検出されることで、第2可動部材22および第3可動部材23が前記回動限界位置に位置していることが検出されるようになっている。
前記装置本体25における組付基台29の後面に、図3に示す如く、3基の前記モータ26,27,28が左右方向に並んで配設されており、左側の第1モータ26が第1可動部材21を駆動し、右側の第2モータ27が第2可動部材22を駆動し、中間の第3モータ28が第3可動部材23を駆動するよう構成される。また組付基台29には、検出歯車用の固定軸(軸,第2の軸)35が、図5に示す如く、前記支持軸30から離間して平行に配設されており、該固定軸35に、第1〜第3可動部材21,22,23に対応する第1〜第3検出用歯車(作動歯車,第2の作動歯車)36,37,38が前後方向に重なるように組み付けられて回動自在に支持されている。そして、第1〜第3可動部材21,22,23は、第1〜第3モータ26,27,28の駆動力が、後述のように第1〜第3駆動歯車39,40,41および第1〜第3検出用歯車36,37,38を介して直接または間接的に伝達されるよう構成される。
前記第1検出用歯車36は、図7,図14および図15に示す如く、外周に歯部が形成された円盤部36aと、該円盤部36aの中心に設けられて軸方向の前後に延出するボス36bとを基本として、該ボス36bに穿設した軸孔36cに固定軸35を挿通することで、固定軸35に対して第1検出用歯車36は回動自在に組み付けられる。そして、第1検出用歯車36は、前記第1可動部材21が配設される第1作動歯車32に噛合して、第1作動歯車32の回動時(第1可動部材21の移動時)には第1検出用歯車36も回動するようになっている。また第1検出用歯車36には、円盤部36aの前面(軸方向の一端面)に、回動中心から偏倚した部位において該円盤部36aの周面から半径方向外側に延出する検出片(被検出部)36dが設けられ、該検出片36dが後述する第1右検出手段52で検出されることで、第1可動部材21が前記待機位置に位置していることが検出されるようになっている。
前記第2検出用歯車37および第3検出用歯車38の基本的な構成は、前記第1検出用歯車36と同一である。すなわち、第2検出用歯車37および第3検出用歯車38は、図8,図9,図14および図15に示す如く、外周に歯部が形成された円盤部37a,38aと、該円盤部37a,38aの中心に設けられて軸方向の前後に延出するボス37b,38bとを基本として、該ボス37b,38bに穿設した軸孔37c,38cに固定軸35を挿通することで、固定軸35に対して第2検出用歯車37および第3検出用歯車38は回動自在に組み付けられる。なお、第2検出用歯車37および第3検出用歯車38の円盤部37a,38aの後面には凹設が設けられ、該凹部の底面からボス37b,38bの後部が突出するが、その後端は円盤部37a,38aの後面と同一高さレベルとなっている。また第2検出用歯車37および第3検出用歯車38には、円盤部37a,38aの前面(軸方向の一端面)に、回動中心から偏倚した部位において該円盤部37a,38aの周面から半径方向外側に延出する検出片(被検出部)37d,38dが設けられ、該検出片37d,38dが後述する第2右検出手段53および第3右検出手段54で検出されることで、第2可動部材22および第3可動部材23が前記待機位置に位置していることが検出されるようになっている。
図7に示す如く、前記装置本体25における組付基台29の左側に位置する第1モータ26の前側に突出する出力軸に、第1駆動歯車39が一体的に回動するよう配設されている。そして、第1駆動歯車39が、前記支持軸30に支持されて最前部に位置する前記第1作動歯車32に噛合し、第1モータ26の駆動力は、第1駆動歯車39を介して第1作動歯車32に直接伝達されるよう構成される。また、前述したように前記固定軸35に支持されて最前部に位置する第1検出用歯車36が第1作動歯車32に噛合しており、第1検出用歯車36は第1作動歯車32の回動に伴って従動する。ここで、駆動力が直接伝達されるとは、モータに直結した駆動歯車と作動歯車との間に別の歯車が介在しない状態で動力が伝達される構成の場合で用いている。
図8に示す如く、前記装置本体25における組付基台29の右側に位置する第2モータ27の前側に突出する出力軸に、第2駆動歯車40が一体的に回動するよう配設されている。そして、第2駆動歯車40は、前記固定軸35に支持されて中間に位置する第2検出用歯車37に噛合すると共に、該第2検出用歯車37が第2作動歯車33に噛合している。すなわち、第2作動歯車33には、第2モータ27の駆動力が、第2検出用歯車37を介して間接的に伝達されるよう構成される。
図9に示す如く、前記装置本体25における組付基台29に配設されて前記第1モータ26と第2モータ27との間に位置する第3モータ28の前側に突出する出力軸に、第3駆動歯車41が一体的に回動するよう配設されている。そして、第3駆動歯車41は、前記第3作動歯車34に噛合し、第3モータ28の駆動力が、第3駆動歯車41を介して第3作動歯車34に直接伝達されるよう構成される。また、前述したように前記固定軸35に支持されて最後部に位置する第3検出用歯車38が第3作動歯車34に噛合しており、第3検出用歯車38は第3作動歯車34の回動に伴って従動する。
図11および図12に示す如く、前記装置本体25の組付基台29における支持軸30の配設位置より左側に、左取付部42を介して左基板43が配設され、該左基板43における支持軸30を指向する面に、前後方向に一定間隔で離間して3つの左検出手段44,45,46が配設されている。これら左検出手段44,45,46は、最前部に位置するものが第1作動歯車32(第1可動部材21)に対応する第1左検出手段44であり、中間部に位置するものが第2作動歯車33(第2可動部材22)に対応する第2左検出手段45であり、最後部に位置するものが第3作動歯車34(第3可動部材23)に対応する第3左検出手段46である。なお、これら3つの左検出手段44,45,46の構成は同一であるので、第1左検出手段44について説明し、他の左検出手段45,46の同一部位には同じ符号を付して説明を省略する。
前記第1左検出手段44は、前後に離間して発光部47と受光部48とを対向するよう配置して構成された光電センサが用いられ、発光部47と受光部48との間に、上下および右側(支持軸側)に開放する検出領域49が画成されている。発光部47および受光部48は、前記支持軸30に支持された第1作動歯車32の検出片32dにおける外周端の回動軌跡より内側まで延出し、支持軸30を中心として第1作動歯車32が回動する際に、検出片32dが検出領域49を通過可能に構成してある。実施例では、発光部47および受光部48が検出部となり、発光部47が前側に位置しているが、発光部47と受光部48との関係は前後逆であってもよい。第1左検出手段44は、前記サブ統括制御基板に電気的に接続され、検出領域49に検出片32dが臨んで、発光部47から照射された光が遮断されて受光部48で受光されなくなったときに、第1可動部材21が回動限界位置に位置することを検出するようになっている(図7参照)。
図11および図14に示す如く、前記装置本体25の組付基台29における固定軸35の配設位置より右側に、右取付部50を介して右基板51が配設され、該右基板51における固定軸35を指向する面に、前後方向に一定間隔で離間して3つの右検出手段52,53,54が配設されている。これら右検出手段52,53,54は、最前部に位置するものが第1検出用歯車36(第1可動部材21)に対応する第1右検出手段52であり、中間部に位置するものが第2検出用歯車37(第2可動部材22)に対応する第2右検出手段53であり、最後部に位置するものが第3検出用歯車38(第3可動部材23)に対応する第3右検出手段54である。なお、これら3つの右検出手段52,53,54の構成は同一であるので、第1右検出手段52について説明し、他の右検出手段53,54の同一部位には同じ符号を付して説明を省略する。
前記第1右検出手段52は、前後に離間して発光部55と受光部56とを対向するよう配置して構成された光電センサが用いられ、発光部55と受光部56との間に、上下および左側(固定軸側)に開放する検出領域57が画成されている。発光部55および受光部56は、前記固定軸35に支持された第1検出用歯車36の検出片36dにおける外周端の回動軌跡より内側に延出し、固定軸35を中心として第1検出用歯車36が回動する際に、検出片36dが検出領域57を通過可能に構成してある。実施例では、発光部55および受光部56が検出部となり、発光部55が前側に位置しているが、発光部55と受光部56との関係は前後逆であってもよい。第1右検出手段52は、前記サブ統括制御基板に電気的に接続され、検出領域57に検出片36dが臨んで、発光部55から照射された光が遮断されて受光部56で受光されなくなったときに、第1可動部材21が待機位置に位置することを検出するようになっている(図4参照)。
前記サブ統括制御基板は、前記各左検出手段44,45,46および各右検出手段52,53,54からの検出信号を受けて各可動部材21,22,23の回動限界位置(左原点位置)または待機位置(右原点位置)を認識して、これらの位置信号に基づいて前記各モータ26,27,28を制御し、各可動部材21,22,23に所要の動作を行なわせたり、所定位置まで移動して停止する等の動作演出を行なわせるよう構成される。なお、前記第1〜第3モータ26,27,28としては、回転角度を制御可能なステッピングモータが採用され、サブ統括制御基板は各モータ26,27,28のステップ数を監視して、前記待機位置と回動限界位置との間で各可動部材21,22,23を移動するように、該モータ26,27,28をパルス信号で制御するようになっている。
前記第1〜第3左検出手段44,45,46に対する各検出片32d,33d,34dの位置および前記第1〜第3右検出手段52,53,54に対する各検出片36d,37d,38dの位置を一定とするための位置決め手段について説明する。すなわち、第1作動歯車32の円盤部32aには、図10および図11に示す如く、中心から偏倚した位置に、軸方向に貫通する被位置決め部としての通孔32eが穿設されている。また同様に、第2作動歯車33および第3作動歯車34の円盤部33a,34aにも、中心から偏倚した位置に、軸方向に貫通する被位置決め部としての通孔33e,34eが穿設されている。そして、3つの通孔32e,33e,34eは、対応する検出片32d,33d,34dに対して同じ関係となる位置に設けられており、前記支持軸30に3つの作動歯車32,33,34を組み付けた状態で、3つの通孔32e,33e,34eが前後方向に整合した位置においては、3つの検出片32d,33d,34dが前後方向に整列する位置関係となるよう構成してある。
また前記装置本体25の組付基台29には、前記支持軸30の配設位置に近接して第3作動歯車34における円盤部34aの後方に臨む位置に、位置決め部としての第1の貫通孔29aが前後に貫通するよう穿設されている。そして、支持軸30に軸孔32c,33c,34cを夫々挿通した各作動歯車32,33,34は、前記通孔32e,33e,34eを第1の貫通孔29aに対して前後方向に整合させることで、各作動歯車32,33,34の検出片32d,33d,34dが前記第1〜第3左検出手段44,45,46に対して第1の特定位置に臨むよう構成される。実施例では、装置本体25に各構成部品を組み付ける際に使用される組立台58に組付け治具である第1のピン(ピン)59が立設されており、該第1のピン59に第1の貫通孔29aを挿通するようにして組付基台29を組立台58にセットする。そして、第1のピン59に通孔32e,33e,34eを、また支持軸30に軸孔32c,33c,34cを夫々挿通することで、各作動歯車32,33,34は、各検出片32d,33d,34dが対応する第1〜第3左検出手段44,45,46に対して第1の特定位置に臨むように組み付けられるようになっている。
前記第1検出用歯車36の円盤部36aには、図10および図11に示す如く、中心から偏倚した位置に、軸方向に貫通する被位置決め部としての通孔36eが穿設されている。また同様に、第2検出用歯車37および第3検出用歯車38の円盤部37a,38aにも、中心から偏倚した位置に、軸方向に貫通する被位置決め部としての通孔37e,38eが穿設されている。そして、3つの通孔36e,37e,38eは、対応する検出片36d,37d,38dに対して同じ関係となる位置に設けられており、前記固定軸35に3つの検出用歯車36,37,38を組み付けた状態で、3つの通孔36e,37e,38eが前後方向に整合した位置においては、3つの検出片36d,37d,38dが前後方向に整列する位置関係となるよう構成してある。
また前記装置本体25の組付基台29には、前記固定軸35の配設位置に近接して第3検出用歯車38における円盤部38aの後方に臨む位置に、位置決め部としての第2の貫通孔29bが前後に貫通するよう穿設されている。そして、固定軸35に軸孔36c,37c,38cを夫々挿通した各検出用歯車36,37,38は、前記通孔36e,37e,38eを第2の貫通孔29bに対して前後方向に整合させることで、各検出用歯車36,37,38の検出片36d,37d,38dが前記第1〜第3右検出手段52,53,54に対して第2の特定位置に臨むよう構成される。実施例では、前記組立台58に立設された組付け治具である第2のピン(ピン)60に第2の貫通孔29bを挿通するようにして組付基台29を組立台58にセットしたもとで、第2のピン60に通孔36e,37e,38eを、また固定軸35に軸孔36c,37c,38cを夫々挿通することで、各検出用歯車36,37,38は、各検出片36d,37d,38dが対応する第1〜第3右検出手段52,53,54に対して第2の特定位置に臨むように組み付けられるようになっている。
なお、実施例において前記第1の特定位置および第2の特定位置とは、例えば第1可動部材21の関係で説明すれば、第1作動歯車32と第1検出用歯車36とが噛合した状態で、第1可動部材21を正逆方向に回動し、第1検出用歯車36の検出片36dが第1右検出手段52で検出されたときに第1可動部材21が待機位置に位置し、第1検出用歯車36の検出片36dが第1左検出手段44で検出されたときに第1可動部材21が回動限界位置に位置する条件の位置となっている。また、第2可動部材22および第3可動部材23の関係についても、上記と同様である。
前記第1〜第3作動歯車32,33,34および第1〜第3検出用歯車36,37,38には、装置本体25に対して組み付ける際の組み付け間違いを判別する構造が採用されているので、当該構造につき説明する。
前記装置本体25における組付基台29の前面には、図11に示す如く、前記支持軸30の外周囲に第1の支持ボス61が突設され、支持軸30に軸孔34cを挿通して組み付けた第3作動歯車34は、そのボス34bの後端が第1の支持ボス61に当接して支持されるようになっている。また、支持軸30に対して軸孔32c,33c,34cを挿通して組み付けられる第1〜第3作動歯車32,33,34は、図12に示す如く、夫々対向するボス32b,33b,34bの前後端が相互に当接して重なった状態で組み付けられる。
図13に示す如く、前記第1作動歯車32における後面(軸方向の他端面で実施例ではボス32bの後端)から検出片32dまでの高さ寸法L1、第2作動歯車33における後面(軸方向の他端面で実施例ではボス33bの後端)から検出片33dまでの高さ寸法L2、および第3作動歯車34における後面(軸方向の他端面で実施例ではボス34bの後端)から検出片34dまでの高さ寸法L3は夫々異なるよう設定されている。具体的には、L1>L2>L3の関係になっている。これに対し、前記第1〜第3左検出手段44,45,46は、各検出領域49における前後方向の中間点の離間距離Nが同一となるよう左基板43に配置される(図11,図12参照)。また、第3左検出手段46における検出領域49の中間点から前記第1の支持ボス61の突出端(前端)を通る基準面Kまでの離間距離L4は、第1の支持ボス61にボス34bの後端が当接支持された第3作動歯車34の検出片34dが、第3左検出手段46の検出領域49を通過可能な位置に臨む値に設定されている。なお、各検出片32d,33d,34dと、各左検出手段44,45,46との夫々の位置関係は同じである。
そして、支持軸30に対して正常な順、すなわち第3作動歯車34、第2作動歯車33および第1作動歯車32の順で組み付けることで、前記ボス32b,33b,34bの対向する前後端が相互に当接して、対応する左検出手段44,45,46の検出領域49,49,49を検出片32d,33d,34dが通過可能な位置に臨むよう設定される。これに対し、前記正常な順とは異なる異常な順で3つの作動歯車32,33,34を支持軸30に組み付けた場合は、少なくとも1つの検出片32d,33d,34dが対応する左検出手段44,45,46の発光部47または受光部48に当接して、検出領域49の通過が不可能となるよう構成される。
なお、実施例では第1作動歯車32の検出片32dは、ボス32bの前端より軸方向外方に突出しており、該第1作動歯車32を支持軸30に先に組み付けた状態で、次に支持軸30に組み付けた第2または第3作動歯車33,34は、円盤部33a,34aの後面が第1作動歯車32の検出片32dに当接して、ボス32bに対してボス33b,34bが当接しないよう構成されている。
前記装置本体25における組付基台29の前面には、前記固定軸35の外周囲に第2の支持ボス62が突設され、固定軸35に軸孔38cを挿通して組み付けた第3検出用歯車38は、そのボス38bの後端が第2の支持ボス62に当接して支持されるようになっている。また、固定軸35に対して軸孔36c,37c,38cを挿通して組み付けられる第1〜第3検出用歯車36,37,38は、夫々対向するボス36b,37b,38bの前後端が相互に当接して重なった状態で組み付けられる。なお、第2の支持ボス62の突出端(前端)は、前記第1の支持ボス61の突出端と同一レベル(基準面K)になっている。
前記第1〜第3検出用歯車36,37,38について、図14に示す如く、第1検出用歯車36および第2検出用歯車37における円盤部36a,37aの軸方向の厚みは同一で、第3検出用歯車38の円盤部38aの軸方向の厚みのみが異なるよう設定される。実施例では、第3検出用歯車38の厚みが他の検出用歯車36,37より薄く設定され、他の検出用歯車36,37とは見た目で区別し得るようになっている。また図15に示す如く、前記第1検出用歯車36における後面(軸方向の他端面で実施例ではボス36bの後端)から検出片36dまでの高さ寸法L5、第2検出用歯車37における後面(軸方向の他端面で実施例では円盤部37aおよびボス37bの後端)から検出片37dまでの高さ寸法L6、および第3検出用歯車38における後面(軸方向の他端面で実施例では円盤部38aおよびボス38bの後端)から検出片38dまでの高さ寸法L7は夫々異なるよう設定されている。これに対し、前記第1〜第3右検出手段52,53,54は、各検出領域57における前後方向の中間点の離間距離Mが同一となるよう右基板51に配置される(図14参照)。また、第3右検出手段54における検出領域57の中間点から前記第2の支持ボス62の突出端(前端)を通る基準面Kまでの離間距離L8は、第2の支持ボス62にボス38bの後端が当接支持された第3検出用歯車38の検出片38dが、第3右検出手段54の検出領域57を通過可能な位置に臨む値に設定されている。なお、各検出片36d,37d,38dと、各右検出手段52,53,54との夫々の位置関係は同じである。
そして、固定軸35に対して正常な順、すなわち第3検出用歯車38、第2検出用歯車37および第1検出用歯車36の順で組み付けることで、前記ボス36b,37b,38bの対向する前後端が相互に当接して、対応する右検出手段52,53,54の検出領域57,57,57を検出片36d,37d,38dが通過可能な位置に臨むよう設定される。これに対し、前記正常な順とは異なる異常な順で3つの検出用歯車36,37,38を固定軸35に組み付けた場合は、少なくとも1つの検出片36d,37d,38dが対応する右検出手段52,53,54の発光部55または受光部56に当接して、検出領域57の通過が不可能となるよう構成される(図17(a)〜(e)参照)。
実施例では、第1検出用歯車36の検出片36dは、ボス36bの前端より軸方向外方に突出しており、該第1検出用歯車36を固定軸35に先に組み付けた状態で、次に固定軸35に組み付けた第2または第3検出用歯車37,38は、円盤部37a,38aの後面が第1検出用歯車36の検出片36dに当接して、ボス36bに対してボス37b,38bが当接しないよう構成されている(図17(a),(b),(c),(d)参照)。なお、前記第1〜第3作動歯車32,33,34に関連する前記の各寸法と、第1〜第3検出用歯車36,37,38に関連する前記の各寸法については、L1=L5,L2=L6,L3=L7,L4=L8,N=Mの関係になっている。また前記支持軸30および固定軸35に組み付けられた第1〜第3作動歯車32,33,34および第1〜第3検出用歯車36,37,38は、組付基台29の前側に前記カバー体をネジ止めすることで、支持軸30および固定軸35に対して抜け止めされるようになっている。
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機の作用につき、先ず演出装置24の組み立てについて説明する。
前記第1〜第3モータ26,27,28、第1〜第3駆動歯車39,40,41、第1〜第3左検出手段44,45,46を実装した左基板43および第1〜第3右検出手段52,53,54を実装した右基板51を組み付けた装置本体25の組付基台29を、図11に示す如く、組立台58に対して前記第1のピン59および第2のピン60が第1の貫通孔29aおよび第2の貫通孔29bに挿通された状態でセットする。このもとで前記第3可動部材23が配設された第3作動歯車34を、軸孔34cおよび通孔34eに支持軸30および第1のピン59を挿通して組み付ける。このとき、第3作動歯車34におけるボス34bの後端が、組付基台29の第1の支持ボス61に当接支持される。また第3作動歯車34の検出片34dは、第3左検出手段46に対して第1の特定位置に位置決めされる。
同様にして前記第2可動部材22が配設された第2作動歯車33および第1可動部材21が配設された第1作動歯車32を、支持軸30および第1のピン59に、対応する軸孔33c,32cおよび通孔33e,32eを挿通して順次組み付けることで、第1作動歯車32および第2作動歯車33の検出片32d,33dの夫々は、対応する第1左検出手段44および第2左検出手段45に対して第1の特定位置に位置決めされる。また、3つの可動部材21,22,23は、同一位置において前後(組み付け時には上下方向)に重なり、3つの可動部材21,22,23の相対的な位置関係も決まる。
次に、前記第3検出用歯車38を、軸孔38cおよび通孔38eに固定軸35および第2のピン60を挿通して組み付ける。このとき、第3検出用歯車38におけるボス38bの後端が、組付基台29の第2の支持ボス62に当接支持される。また第3検出用歯車38の検出片38dは、第3右検出手段54に対して第2の特定位置に位置決めされる。第3検出用歯車38を固定軸35に組み付けることで、該第3検出用歯車38は前記第3作動歯車34と噛合し、両歯車34,38に設けられた両検出片34d,38dの相対的な位置関係が決められる。
同様にして第2検出用歯車37および第1検出用歯車36を、固定軸35および第2のピン60に、対応する軸孔37c,36cおよび通孔37e,36eを挿通するようにして順次組み付けることで、第1検出用歯車36および第2検出用歯車37の検出片36d,37dの夫々は、対応する第1右検出手段52および第2右検出手段53に対して第2の特定位置に位置決めされる。また、第2検出用歯車37が第2作動歯車33と噛合し、第1検出用歯車36が第1作動歯車32と噛合し、第2検出用歯車37および第2作動歯車33に設けられた両検出片37d,33dの相対的な位置関係が決められると共に、第1検出用歯車36および第1作動歯車32に設けられた両検出片36d,32dの相対的な位置関係が決められる。そして、組付基台29に対してカバー体をネジ止めすることで、前記支持軸30および固定軸35に組み付けられた第1〜第3作動歯車32,33,34および第1〜第3検出用歯車36,37,38は、各検出片32d,33d,34d,36d,37d,38dの夫々が、対応する第1の特定位置または第2の特定位置に維持された状態で抜け止めされる。
すなわち、前記第1〜第3作動歯車32,33,34および第1〜第3検出用歯車36,37,38が装置本体25に組み付けられた状態において、各検出片32d,33d,34d,36d,37d,38dの、対応する左右の検出手段44,45,46,52,53,54に対する相対的な位置関係が決まる。従って、演出装置24を前記装飾部材14に配設して遊技に供された場合は、前記第1〜第3モータ26,27,28を駆動して第1〜第3可動部材21,22,23を移動した際には、各検出片32d,33d,34d,36d,37d,38dは一定の関係で対応する検出手段44,45,46,52,53,54で検出され、各可動部材21,22,23の正確な位置検出を行ない得る。
前記各可動部材21,22,23の正確な位置検出を行ない得ることによる作用につき、第1可動部材21を例にして説明する。第1モータ26を駆動して第1可動部材21を待機位置に向けて回動し、前記第1検出用歯車36の検出片36dが第1右検出手段52で検出されたときには、該第1可動部材21は図1および図4に示すように、正しい待機位置に位置する。一方、第1モータ26を駆動して第1可動部材21を回動限界位置に向けて回動し、前記第1検出用歯車36の検出片36dが第1左検出手段44で検出されたときには、該第1可動部材21は図7に示すように、正しい回動限界位置に位置する。これに対し、組み付け時において第1作動歯車32の検出片32dと第1検出用歯車36の検出片36dとの相対的な位置関係が正規とは異なっている場合は、第1モータ26を駆動して第1可動部材21を待機位置に向けて回動した際に、該第1可動部材21が待機位置に到っていないにも関わらず検出片36dが第1右検出手段52で検出されてしまったり、あるいは第1モータ26を駆動して第1可動部材21を回動限界位置に向けて回動した際に、検出片32dが第1左検出手段44で検出される前に検出片36dが第1右検出手段52で検出される等の異常事態が発生し、第1可動部材21の正確な位置を認識することができなくなるおそれがある。
すなわち、実施例の演出装置24においては、第1可動部材21を待機位置と回動限界位置との間の範囲において、該第1可動部材21の正確な位置を、左右の検出手段44,52の検出状態によって認識して、第1可動部材21を前記図柄表示装置13による表示演出に合わせて正確に移動させることができる。これにより、図柄表示装置13による表示演出と、演出装置24による動作演出とに齟齬を来たすことなく、興趣の高い演出を行ない得る。また実施例では、第1可動部材21の待機位置と回動限界位置とを、別々の検出手段52,44で検出するようにしているから、1つの検出手段による検出に基づいて第1可動部材21の回動範囲を規定する場合に比して、位置決め精度を向上することができる。
また、前記第1可動部材21に直に配設されて一体的に回動する第1作動歯車32に検出片32dを設けているから、駆動系等、直に検出片を配設しない構成に比べ、組み付け誤差等に起因する検出位置のずれを抑制することができ、第1可動部材21の位置を正確に検出することが可能となる。
実施例では、演出装置24の装置本体25に組み付けられる3つの可動部材21,22,23の相対的な位置関係が一定に決められているから、各可動部材21,22,23の動作の整合性を確実に図ることができる。また装置本体25に対し、第1〜第3作動歯車32,33,34および第1〜第3検出用歯車36,37,38は、前記ピン59,60に対応する通孔32e,33e,34e,36e,37e,38eを挿通するだけで、検出片32d,33d,34d,36d,37d,38dおよび第1〜第3可動部材21,22,23の位置決めがなされるから、目視等によって検出片32d,33d,34d,36d,37d,38dや可動部材21,22,23の位置を合わせながら組み立てるのに比べて作業性がよく、作業者の負担を軽減できる。更に、実施例では3つの作動歯車32,33,34の内の一つについては、モータの駆動力を検出用歯車を介して間接的に伝達する構成としたから、支持軸30に対して重なる状態で組み付けられる作動歯車32,33,34を駆動する3つのモータ26,27,28を、組付基台29の後側に並べて配置することができる。
次に、前記第1〜第3作動歯車32,33,34および第1〜第3検出用歯車36,37,38の組み付け間違いを判別する構造の作用につき説明する。なお、作動歯車32,33,34と検出用歯車36,37,38との組み付け間違いの判別構造は同一であるので、検出用歯車36,37,38の場合を例に挙げて説明する。
前記第1〜第3検出用歯車36,37,38を正常な順、すなわち第3検出用歯車38、第2検出用歯車37、第1検出用歯車36の順で前記固定軸35に組み付けた場合は、図14に示す如く、各歯車36,37,38の検出片36d,37d,38dの夫々は、対応する右検出手段52,53,54の検出領域57を通過可能な位置に位置決めされる。これに対し、第1〜第3検出用歯車36,37,38を異常な順で固定軸35に組み付けた場合は、少なくとも一つの検出片が右検出手段の検出部である発光部55または受光部56に接触して回動が規制され、検出領域57の通過が不可能となる。
例えば、図17(a)に示す如く、最初に第3検出用歯車38を固定軸35に組み付けた状態で、次に第1検出用歯車36を固定軸35に組み付けた場合は、該第1検出用歯車36の検出片36dが、同じ段に位置する第2右検出手段53における発光部55に接触して回動が規制され、検出片36dは検出領域57の通過が不可能となる。また、図17(b),(c)に示す如く、最初に第1検出用歯車36を固定軸35に組み付けた場合は、当該第1検出用歯車36の検出片36dが、同じ段に位置する第3右検出手段54における発光部55に接触して回動が規制され、検出片36dは検出領域57の通過が不可能となる。更に、図17(d),(e)に示す如く、最初に第2検出用歯車37を固定軸35に組み付けた場合は、当該第2検出用歯車37の検出片37dが、同じ段に位置する第3右検出手段54における発光部55に接触して回動が規制され、検出片37dは検出領域57の通過が不可能となる。
このように、正常な順以外の異常な順で第1〜第3検出用歯車36,37,38が固定軸35に組み付けられた場合の何れの組み合わせでも、何れか1つの検出片が発光部55に接触して回動が規制されて、検出領域57の通過は不可能となる。従って、例えば組み付け段階で組み付け間違いを見落としたとしても、出荷前における演出装置24の作動確認作業に際し、検出片の検出ができない右検出手段が存在することにより、組み付け間違いを判定することができる。しかも、実施例では第1〜第3検出用歯車36,37,38における後面から検出片36d,37d,38dまでの寸法を異ならせただけであるので、構造が複雑になることはない。また第3検出用歯車38の円盤部38aについては、他の第1検出用歯車36および第2検出用歯車37の円盤部36a,37aとは厚みを異ならせているから、見た目で違いを判別することができ、組み付け間違いを抑制し得る。
そして、前述したように第1〜第3可動部材21,22,23を移動させたり、位置検出のための第1作動歯車32,33,34や第1〜第3検出用歯車36,37,38の組み付け間違いを防止し得るのであるから、遊技に供された演出装置24において、意図しない可動部材21,22,23を移動させることはない。
なお、実施例のように第1〜第3可動部材21,22,23における指示部21c,22c,23cや透視部21d,22d,23dに夫々異なる意匠を施している場合は、意図しない可動部材21,22,23が移動すると、前記図柄表示装置13による表示演出と合わなくなり、遊技の興趣が損なわれる。しかるに、演出装置24では意図しない可動部材21,22,23を移動させることはないから、演出装置24による動作演出は、図柄表示装置13による表示演出に応じたものとなり、遊技の興趣が損なわれることはない。
次に、前記演出装置24が配設されたパチンコ機の遊技状態での作用につき説明する。なお、演出装置24における3つの可動部材21,22,23は、図1に示す如く、何れも待機位置に臨んで、前記第1可動部材21の指示部21cが透明な装飾部品16を介して前側から視認し得る状態となっているものとする。
前記遊技盤10の遊技領域12に打出されたパチンコ球が前記始動入賞具17に入賞すると、入賞スイッチからの入賞検出信号を受けた主制御基板からサブ統括制御基板に表示演出信号が送られ、該演出信号に基づいてサブ統括制御基板が前記図柄表示装置13に所要の演出を行なわせる制御信号を送る。これにより、図柄表示装置13において所要の図柄変動ゲームが行なわれる。この図柄変動ゲームは、前記表示面13a上で各種図柄(普通図柄や特定図柄)を変動表示し、リーチ状態後に所定の図柄が揃うことにより遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行して、遊技者に多数のパチンコ球を獲得するチャンスを与えることができるものである。なお、図柄変動ゲームについては、従来公知の各種の設定が採用されるものであって、特定図柄が揃って発生した大当り遊技状態の終了後の遊技状態を、次回の大当り遊技状態が発生するまで大当り遊技状態が発生し易く設定された、遊技者に有利な所謂確変状態、通常図柄が揃って発生した大当り遊技状態が終了した後、通常遊技状態に比して遊技者に有利な時間短縮状態になるもの等が挙げられるが、その他の設定であってもよい。
前記図柄表示装置13で所要の図柄変動ゲームが行なわれるのに応じて、前記サブ統括制御基板からの制御信号により前記第1〜3モータ26,27,28が制御され、該モータ26,27,28の駆動力が直接あるいは間接的に第1〜第3作動歯車32,33,34に伝達されて回動することで、前記第1〜第3可動部材21,22,23のアーム部21b,22b,23bおよび指示部21c,22c,23cが、図2に示すように図柄表示装置13の表示面13aの前側を移動する動作演出が行なわれる。なお演出装置24による動作演出に際し、前述したように各可動部材21,22,23の位置は正確に認識されているから、各可動部材21,22,23を指定された位置で正確に停止することができ、例えば全ての可動部材21,22,23を同一位置で前後に重ね合わせる演出を行なわせたいのにも関わらず、一部の可動部材が重ならなかったりずれたりすることは防止される。
前記各可動部材21,22,23における透視部21d,22d,23dの光の透過率は異なっているから、各透視部21d,22d,23dを透かして見える表示面13aの見え方も異なり、図柄表示装置13の表示演出との関係で興趣が向上する。しかも、3つの透視部21d,22d,23dを前後に重ね合わせることで、図16(b)に示す如く、表示面13aに表示されている図柄31は殆ど見えない状態となり、該図柄31を遊技者から隠すことができる。そして、第1可動部材21および第2可動部材22の透視部21d,22dを前後に重ね合わせたまま、透過率の最も低い第3可動部材23を移動して透視部23dを前後に重ならなくすることで、図16(c)に示す如く、前記図柄31がハッキリとではないが形状等が認識し得る程度まで見えるようになる。更に、第2可動部材22を移動して透視部22dが第1可動部材21の透視部21dと重ならないようにすることで、前記図柄31は、図16(d)に示す如く、第1可動部材21の透視部21dを介してハッキリと見えるようになる。すなわち、3つの透視部21d,22d,23dが重なった状態から、1つずつ重ならないようにすることで、前記表示面13aに表示される図柄31が、見えない状態から徐々に見える状態に変化し、今までにはない演出が可能となり、遊技の興趣を向上し得る。
また、前記第1可動部材21の透視部21dは光の透過率が高く、単独では後側に位置する表示面13a(図柄31)をハッキリと見せることができるから、遊技者が関心のある図柄31が出現する箇所を、該可動部材21の指示部21cで指し示した状態のまま、図柄31が見えない状態から見える状態に変化させて、遊技者の視線が離れるのを防止し得る。従って、遊技者が、関心のある図柄31の出現を見逃すのを防ぐことができる。
また、例えば可動部材21,22,23の透視部21d,22d,23dで隠す図柄31として、リーチ状態において行なわれるリーチ演出に際しての大当り確率の信頼度を表わす図柄、リーチ演出中において次に移行するリーチ演出の種類等を表わす図柄、確変状態中である旨を報知する図柄、時間短縮状態での確変潜伏信頼度を表わす図柄、再抽選演出中において確変に発展する旨を予告する図柄、大当り遊技中における大当り演出に際して昇格演出に発展する旨を予告する図柄等、各種の図柄がある。そして、これら遊技者が関心のある図柄について、可動部材21,22,23の透視部21d,22d,23dが重なる組み合わせによって、徐々に見えるようになるので、遊技者に対して焦らしの効果が期待できる。
更に、実施例では1つの支持軸30に第1〜第3可動部材21,22,23を回動自在に支持したから、透視部21d,22d,23dを重ね合わせたりずらすことを簡単に行なうことができる。しかも、第1〜第3可動部材21,22,23は略同じ形状に形成してあるから、これら可動部材21,22,23を重ね合わせたまま移動することで、あたかも1つの部材が移動しているように見せることができる。その重ね合わせた状態から各可動部材21,22,23を図2に示すように左右方向に広がるように移動させることで、興趣のある演出が可能となる。
〔変更例〕
本発明に係る遊技機としては、前述した実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
(1) 演出装置の可動部材は、実施例では装飾部材の枠状本体における上部に配置したが、該演出装置の配設位置はこれに限定されるものではなく、枠状本体の左右側部あるいは下部であってもよく、その場合に可動部材の一部が表示面の前側を移動し得るものであればよい。
(2) 可動部材の数は3つに限定されず、2つあるいは4つ以上であってもよい。
(3) 実施例の可動部材の透視部は、前側から後側に順に光の透過率を低く設定した場合で説明したが、逆に後側から前側に順に光の透過率が低く設定されるものであってもよく、また順に透過率が変化するものでなくてもよい。
(4) 実施例では、3つの可動部材の透視部は、何れも光透過性を有するものとしたが、何れかの透視部については裏側を完全に見えなくした構成とすることも可能である。また、複数の内の一部の透視部の透過率を同一として、同一の透過率に設定された透視部を重ね合わせることで見え方を変化させる構成を採用可能である。
(5) 可動部材の形状に関しては、図柄表示装置における図柄組み合わせゲームに関連する意匠等、任意に決定することができる。
(6) 図柄表示装置で表示部に表示する図柄について、可動部材を移動して透視部の重なる数や組み合わせを変更するのに合わせて、該図柄をボカシたり明確に表示するように、図柄自体の見え方を変化させてもよい。
(7) 実施例では、支持軸に支持される作動歯車にのみ可動部材を取付けた場合で説明したが、これに限らず、固定軸に支持される検出用歯車に可動部材を取付けてもよい。この場合は、相互に噛合する作動歯車と検出用歯車の夫々に設けた検出片が特定位置に位置決めされることで、作動歯車と検出用歯車の夫々に取付けられた可動部材同士の動作は整合し、動作演出が意図しないものとなることはない。
(8) 組付基台に設けられる位置決め部、作動歯車および検出用歯車に設けられる被位置決め部として、実施例では貫通孔および通孔としたが、これに限られるものでなく、位置決め部に関しては作動歯車および検出用歯車の通孔を整合させ得る目印であってもよい。
(9) 実施例では支持軸および固定軸の最前部に位置する作動歯車および検出用歯車の検出片については、ボスの前端より軸方向に突出するようにしたが、当該最前部に位置する作動歯車および検出用歯車の検出片と同様に、ボスの前端から突出しない位置に設けてもよい。
(10) 検出手段は、実施例の光電センサに限定されるものでなく、磁気センサ等、その他各種のセンサを用いることができる。
(11) 実施例では、遊技機としてパチンコ機を採用したが、アレンジボール機やスロットマシン機やパチンコ式スロットマシン等であってもよい。