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JP5148889B2 - 洗浄方法及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、洗浄方法及び電子デバイスの製造方法に関し、具体的には硫酸を電気分解して生成される酸化性物質を用いた洗浄方法及び電子デバイスの製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル(PDP)基板、半導体ウェーハなどに付着した有機物、金属不純物、パーティクル、ドライエッチング残渣、不要な金属などの除去には、硫酸と過酸化水素水との混合液を高温で用いるSPM洗浄、有機アミンを主成分とするポリマー除去剤などによる洗浄処理が行われてきた。
これに対して、硫酸の水溶液を電気分解して得られた過硫酸イオンを用いて、洗浄処理を行う技術が開示されている(特許文献1)。
近年デバイスの微細化が進む中で、例えば、高速動作のために高ドーズのインプラ(イオン注入)処理が必要とされる場合が多い。しかし、高ドーズのインプラ処理に用いたレジストなどの有機物からなるマスクは、インプラ処理後に除去しにくいという問題があった。このため、より高い洗浄性能あるいは有機物除去性能を有する洗浄方法が必要とされている。
特開2006−111943号公報
本発明は、高い洗浄性能を有する洗浄方法及び電子デバイスの製造方法を提供する。
本発明の実施形態によれば、濃硫酸を電気分解して濃硫酸と酸化性物質を含む酸化性溶液を生成する工程と、前記酸化性溶液と、酸化水素と、を混合して混合熱を発生させる工程と、前記混合熱により加熱された前記酸化性溶液により洗浄対象物を洗浄する工程と、を備え、前記混合熱を発生させる工程における混合は、前記洗浄対象物に向けて設けられたノズルを有するノズル部内、および、前記洗浄対象物上の少なくともいずれかで行われ、前記混合熱を発生させる工程における前記酸化性溶液と前記過酸化水素水との混合比は、1:1〜1:5であることを特徴とする洗浄方法が提供される。

また、本発明の他の一態様によれば、上記の洗浄方法を備えたことを特徴とする電子デバイスの製造方法が提供される。
本発明によれば、従来よりも高い洗浄性能を有する洗浄方法及び電子デバイスの製造方法が提供される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る洗浄方法を例示するフローチャートである。 すなわち、本実施形態の洗浄方法は、濃硫酸を電気分解して酸化性溶液を得る工程(ステップS1)、酸化性溶液をノズル部へ供給する工程(ステップS2)、酸化性溶液に過酸化水素水(H)、純水(HO)またはオゾン水(O+HO)を混合する工程(ステップS3)、移動ノズルより回転する洗浄対象物に洗浄液を吐出する工程(ステップS4)、洗浄対象物の洗浄を行う工程(ステップS5)、および洗浄対象物をリンス洗浄する工程(ステップ6)を備える。
図2は、本実施形態の洗浄方法を実施することができる洗浄システムを例示する模式図である。
ステップS1では、硫酸電解部10において濃硫酸を電気分解することにより酸化性溶液が生成される。硫酸電解部10は、陽極32と、陰極42と、これら陽極32と陰極42との間に設けられた隔膜20と、陽極32と隔膜20との間に画設された陽極室30と、陰極42と隔膜20との間に画設された陰極室40と、を有する。
濃硫酸を電気分解して生成された電解硫酸は、酸化性物質を含む酸化性溶液である。ステップS2において、この酸化性溶液は、開閉弁73aが設けられた管路73を介して、タンク28に貯留され、ポンプ81の作動によって管路74を介してノズル61に供給される。ノズル61への供給量は、開閉弁74aによる流量調整および開閉弁74aとポンプ81の間に設けられた排出路74cへの排出による流量調整とにより調整される。また、タンク28に酸化性溶液を貯留することで、硫酸電解部10で生成される酸化性溶液の量的変動を緩衝することができる。タンク28には、ヒータを設けることができ、この場合、酸化性溶液の温度制御が可能である。例えば、タンク28において酸化性溶液の温度を80℃程度まで暖めておくとより高い洗浄性能が得られる。
硫酸電解部10で硫酸を電気分解することで、反応生成物として、例えば、ペルオキソ一硫酸(HSO)、ペルオキソ二硫酸(H)などの高い酸化力を有する酸化性物質が生成される。これら酸化性物質の酸化力は水により低下し、特に、有機物の剥離除去に有効なペルオキソ一硫酸は、水と反応して分解する。しかし、陽極室30に、例えば、約96質量パーセントの濃硫酸を供給することで、水が極力少ない状態で酸化性物質が存在するようにすることができる。これにより、ペルオキソ一硫酸の定量的、多量供給が可能となり、例えばレジストや汚染物などの除去効率を向上でき、生産性を高めることができる。
硫酸電解部の陽極32としては、不溶性陽極(DSA)、白金、二酸化鉛、導電性ダイヤモンド等を使用できる。硫酸電解部にて電気分解により生成された電解硫酸は、そのままレジスト付シリコンウェーハ等の高清浄度が要求される被洗浄物に適用されるため、陽極32としては、不純物の溶出が少ない不溶性陽極(DSA)、白金、導電性ダイヤモンドのいずれかを電極として使用することが望ましく、特に、高酸素過電圧を有するためには、ペルオキソ一硫酸やペルオキソ二硫酸などの高い酸化力を有する酸化性物質の生成能力が高い導電性ダイヤモンドを用いることがより望ましい。
一方、陰極42としては、不溶性陽極(DSA)、白金、カーボン、導電性ダイヤモンド等を用いることができる。
電解硫酸を用いた洗浄やレジストなどの有機物除去では、後に詳述するように、処理温度依存性が高く、加熱して処理することが望ましい。そこで、ステップS3において、酸化性溶液としての電解硫酸に過酸化水素水(H)、純水(HO)及びオゾン水(O+HO)の少なくともいずれかを混合する。すなわち、本実施形態においては、酸化性溶液が洗浄対象物Wに接触する前に、過酸化水素水、純水、オゾン水などを混合する。混合による希釈熱または反応熱の影響で酸化性溶液としての電解硫酸の温度が上昇する。この混合は、ノズル部12において行われる。
過酸化水素水、純水またはオゾン水の供給は、管路74d及び開閉弁74bを介して行われる。
ステップS4では、ステップS3で混合された酸化性溶液がノズル61より、洗浄対象物Wに吐出される。洗浄対象物W上を均一に酸化性溶液が覆うように、ノズル61は移動可能としてある。さらに、洗浄対象物Wは、カバー29内に設けられた回転テーブル62上に載置され、回転する。ノズル61の移動と洗浄対象物Wの回転とにより、酸化性溶液は、洗浄対象物上を均一に覆うことができる。
図3は、ノズル部12内で酸化性溶液と、過酸化水素水または純水と、を混合した時の溶液の温度変化を混合比に対して示したグラフ図である。
ここでは、混合前の酸化性溶液の温度を室温にして洗浄実験を実施した。この酸化性溶液と、過酸化水素水または純水を図2に表したシステムのノズル部12内で混合し、ウェーハWの上に滴下した。温度の測定は、ノズル61からウェーハ上に滴下した酸化性溶液にレーザを照射して行った。
純水を混合した場合、酸化性溶液1に対して1の混合比(体積比)において、図3に表したように、混合熱(希釈熱)によりおよそ115℃にまで温度が上昇した。また、純水の混合比を2、3、5と増加させると、酸化性溶液の温度は、95℃から80℃と緩やかに低下する傾向が見られた。
一方、過酸化水素水(濃度35パーセント)を混合した場合、混合熱(反応熱)により混合比(体積比)1において、およそ115℃であり、混合比を2、3と増加させると、125℃、130℃と温度が上昇し、混合比を5に増加させると110℃に低下した。このように、温度上昇は、純水混合によるよりも、過酸化水素水混合による方が大きいことが分かる。後に詳述するように、過酸化水素水を混合比3で混合した条件において、良好な洗浄結果が得られた。
ふたたび図1に戻って説明を続けると、ステップS5では、酸化性溶液の酸化力により洗浄対象物W上の有機物や汚染物などの剥離/除去が行われる。剥離/除去された汚染物は、溶液状態あるいは半溶液状態となり、回転する洗浄対象物Wから遠心力により飛散し、カバー29内面に被着する。また、回転テーブル62の回転速度は、汚染物などの剥離に影響を与えるので、汚染の状況に応じて最適の回転速度を設定することにより、効率的な洗浄を行うことができる。
ステップS6では、図示しないノズルよりリンス液を洗浄対象物Wの表面に吐出し、リンス洗浄を行う。
カバー29から排出された酸化性溶液及び汚染物は、回収タンク63、排出管路75及び排出弁7aを介して系外に排出される。
次に、本実施形態において、濃硫酸を電気分解して得られた酸化性溶液に、過酸化水素水または純水を混合した場合の洗浄効果を評価試料を用いて調べた結果について説明する。
洗浄する評価試料として、シリコン基板にi線レジストを3ミクロン塗布しただけの試料Aと、このレジスト塗布後に、イオン注入法により、6×1014個/平方センチメートルのドーズ量の硼素を注入した試料Bと、を用いた。処理方法としては、濃硫酸を電気分解した酸化性溶液と、過酸化水素水または純水と、を図2に表したシステムのノズル部12において混合し、ウェーハ上に滴下した。
また、洗浄によりレジストが剥離したか否かの判定は、光学顕微鏡による表面観察、パーティクルカウンタによる評価、SEM(Scanning Electron Microscopy:走査型電子顕微鏡)による表面観察、EDX(Energy Dispersive X-ray fluorescence spectrometer:エネルギー分散型蛍光X線分析)により実施した。
まず、酸化性溶液に過酸化水素水を混合し、レジストを塗布しただけの評価試料Aを洗浄した結果について説明する。
図4は、レジストを塗布しただけの評価試料Aについての結果をまとめた表である。
室温の酸化性溶液に室温の過酸化水素水を混合した時の、混合熱(反応熱)による溶液の最高温度(℃)と、その温度での塗布したレジストの剥離に要した時間を括弧内に示した。常温の酸化性溶液1に対し、混合する過酸化水素水の混合比(体積比)を1、2、3、5と増やすと、図3にも表したように、最高温度は115℃、125℃、130℃、110℃となる。一方、過酸化水素水の体積1に対して、酸化性溶液の混合比(体積比)を1、2、3、5と増やすと、最高温度は115℃、95℃、80℃、80℃と変化した。そして、いずれの場合も、レジストの剥離に要する時間は5秒であった。
すなわち、レジストを塗布しただけの試料Aに対しては、いずれの条件においても高い洗浄性が得られていることが分かる。また、酸化性溶液と過酸化水素水との混合比が、1:1〜1:5の範囲において100℃以上の高い温度が得られ、さらに混合比が1:2〜1:3の範囲で120℃以上の高い温度が得られていることが分かる。
図5は、塗布したレジストに上述の量の硼素をイオン注入した評価試料Bについての結果を表す表である。一般に、レジストにイオン注入を行うと剥離しにくくなる。図5から分かるように、純水を混合した場合、混合比1:1において最高温度は115℃であり、この時のレジストの剥離時間は30秒であった。そして、純水の体積を2、3、5と増加させると、図3にも表したように最高温度は順次低下し、これらいずれの条件においてもレジストを剥離することは困難であった。
一方、過酸化水素水を混合した場合には、酸化性溶液の体積1に対して、過酸化水素水(濃度35パーセント)の体積1、2、3、5の割合で混合した場合、最高温度は図3にも表したように115℃、125℃、130℃、110℃であり、レジストの剥離に要する時間は、30秒、5秒、1秒、50秒であった。すなわち、いずれの場合も、イオン注入したレジストを剥離することが可能であった。また、特に最高温度が125℃以上の場合には剥離時間は5秒以下であり、非常に強い洗浄力が得られていることが分かる。
図6は、過酸化水素水を添加した場合についてさらに詳細に調べた結果をまとめた表である。
ここで、酸化性溶液の体積1に対して過酸化水素水の体積を1、2、3、5と増加させた場合の結果は、図5に関して前述したものと同様である。一方、混合する過酸化水素水の体積1に対して、酸化性溶液の体積を1、2、3、5と増加させた場合には、最高温度は、115℃、95℃、80℃、80℃と順次低下し、イオン注入したレジストを剥離する時間も、30秒、65秒、65秒、65秒と長くなった。すなわち、温度の低下に従い、洗浄力は順次低下することが分かった。
また、図5に関して前述した純水を混合した場合と比較すると、最高温度が95℃あるいは80℃なる条件において、純水を混合した場合にはレジストの剥離は困難であるのに対して、過酸化水素水を混合した場合(図6)にはレジストの剥離が可能である。これは過酸化水素水を混合したことにより、温度が上昇した効果に加えて、硫酸と過酸化水素とが反応して例えば、ペルオキソ一硫酸(HSO)などの高い酸化力を有する酸化性物質が増えたことによると推測される。
図7は、レジストに硼素のイオン注入を行った評価試料Bについて、過酸化水素水を混合した酸化性溶液の温度と剥離に要する時間との関係をまとめたグラフ図である。
レジストの剥離に要する時間は、酸化性溶液の温度に顕著に依存し、95℃を超えると剥離時間が短くなり洗浄力に効果が表れはじめる。そして、最高温度が125℃に達すると、剥離に要する時間は5秒にまで短くなり、ほぼ最短の時間となる。
以上の結果より、濃硫酸を電気分解して得られる酸化性溶液の洗浄力を向上させるためには、その温度が95℃以上となるように過酸化水素水を混合することが望ましく、さらに、125℃以上となるように過酸化水素水を混合すると十分に高い洗浄力が得られることが分かる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る洗浄方法における洗浄工程を例示するフローチャートである。
また、図9は、本実施形態において用いることができる洗浄システムを例示する模式図である。
本実施形態においては、酸化性溶液と、過酸化水素水、純水やオゾン水などとの混合が、洗浄対象物上で行われる。
ステップS1およびS2は、第1の実施形態と同様であるが、ステップS3において過酸化水素水、純水またはオゾン水を、硫酸電解部10で生成され供給された酸化性溶液とは独立にノズル部12に供給する。
過酸化水素水、純水やオゾン水などは管路74e、開閉弁74bを介して、ノズル61bに供給される。
ステップS4aでは、酸化性溶液がノズル61aより、洗浄対象物Wの上に吐出される。また、ステップS4bでは、過酸化水素水、純水及びオゾン水の少なくともいずれかがノズル61bより、洗浄対象物Wの上に吐出される。つまり、本実施形態においては、酸化性溶液が洗浄対象物Wに接触した後に、酸化性溶液と、過酸化水素水、純水やオゾン水と、を混合する。洗浄対象物W上を均一に酸化性溶液および過酸化水素水、純水またはオゾン水が覆うように、ノズル61aおよび61bが移動可能であり、洗浄対象物Wを載置した回転テーブル62が回転することは、第1実施形態と同様である。
ステップS5では、酸化性溶液の酸化力により洗浄対象物W上の有機物や汚染物の剥離/除去が行われる。剥離/除去された汚染物は、溶液状態あるいは半溶液状態となり、回転する洗浄対象物Wから遠心力により飛散し、カバー29内面に被着する。また、回転テーブル62の回転速度は、汚染物などの剥離に影響を与えるので、汚染の状況に応じて最適の回転速度を設定することにより、効率的な洗浄を行うことができる。
図10は、洗浄対象物W上で酸化性溶液と過酸化水素水または純水を混合した時の、混合溶液の温度変化を混合比に対して示したグラフ図である。ここでも、温度の測定は、ノズル61aから洗浄対象物W上に滴下した酸化性溶液に対し、放射温度計を用いて行った。
混合前の酸化性溶液、純水、過酸化水素水の温度は、いずれも室温とした。純水または過酸化水素水を混合することにより酸化性溶液の温度は上昇する。ただし、ノズル部12内で混合を行う第1実施形態と比較すると、混合熱による酸化性溶液の温度上昇は小さく、また、洗浄対象物Wの回転などの影響で酸化性溶液の温度は低下する場合がある。さらに、混合比によっては逆に温度が低下する場合もある。これは、純水や過酸化水素水を混合した後、混合熱によって酸化性溶液の温度が上昇するまでにはある程度の時間が必要であるからであると考えられる。
本実施形態においても、シリコン基板にi線レジストを3ミクロン塗布しただけの試料Aと、このレジスト塗布後に、イオン注入法により、6×1014個/平方センチメートルのドーズ量の硼素を注入した試料Bと、を用いて洗浄の実験を実施した。
図11は、本実施形態においてレジストを塗布しただけの評価試料Aを洗浄した結果をまとめた表である。
ここでは、室温の酸化性溶液に室温の純水を混合した時の、混合熱(希釈熱)による溶液の最高温度(℃)と、その温度での塗布したレジストの剥離に要した時間を括弧内に示した。常温の酸化性溶液1に対し、混合する純水の混合比(体積比)を1、2、3、5と増やすと、最高温度は95℃、87℃、64℃、60℃となる。一方、純水の体積1に対して、酸化性溶液の混合比(体積比)を1、2、3、5と増やすと、最高温度は95℃、96℃、94℃、75℃と変化した。そして、いずれの場合も、レジストの剥離に要する時間は5秒であった。
すなわち、本実施形態においても、レジストを塗布しただけの試料Aに対しては、いずれの条件においても高い洗浄性が得られていることが分かる。
図12は、塗布したレジストに上述の量の硼素をイオン注入した評価試料Bについての結果を表す表である。
純水を混合した場合、混合比1:1においては60秒でレジストを剥離することができたが、純水の混合比(体積比)を2、3、5と増加させると、最高温度の低下に対応してレジストを剥離することは困難であった。
一方、過酸化水素水を混合した場合には、酸化性溶液の体積1に対して、過酸化水素水(濃度35パーセント)の体積1、2、3の割合で混合した場合、最高温度は図10にも表したように95℃、96℃、94℃であり、レジストの剥離に要する時間は、60秒、60秒、90秒であった。また、過酸化水素水の混合比を5とした場合には、最高温度は75℃であり、イオン注入したレジストの剥離は困難であった。
すなわち、本実施形態においても、混合後の酸化性溶液の温度が概ね95℃以上であると、イオン注入したレジストでも剥離できる強い洗浄力が得られることが分かった。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る洗浄方法における洗浄工程を例示するフローチャートである。
また、図14は、本実施形態において用いることができる洗浄システムを例示する模式図である。
本実施形態においては、濃硫酸を電気分解して得られる酸化性溶液に、過酸化水素水、純水あるいはオゾン水を混合するとともに、さらに、ペルオキソ一硫酸またはその塩あるいはペルオキソ二硫酸またはその塩を加えてノズル部12内で混合する。
ステップS1からステップS2までは、第1の実施形態と同様である。ステップS3において、過酸化水素水、純水またはオゾン水は、管路74dと開閉弁74bを介して、ノズル部12に供給される。
ステップS4では、ペルオキソ一硫酸またはその塩あるいはペルオキソ二硫酸またはその塩、もしくはその両者が、管路74fと開閉弁74gを介してノズル部12にさらに加えられる。ステップS5以降は、第1の実施形態と同様である。
例えば、ステップS3では過酸化水素水を、ステップS4ではペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を混合すると、反応熱による酸化性溶液の温度上昇と、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの酸化力とに、より高い洗浄力が得られる。すなわち、本実施形態によれば、濃硫酸の電気分解により生成される酸化性物質に加え、酸化力の強いペルオキソ二硫酸またはその塩などを混合することで、さらに酸化力の強い洗浄液を生成することができる。その結果として、例えば、高濃度にイオン注入されたレジストなども極めて短時間で除去することが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、前述した具体例に限られることはない。例えば、過酸化水素水やペルオキソ一硫酸などと酸化性溶液との混合方法については、種々の変型が可能である。具体的には、第3の実施形態において、酸化性溶液とペルオキソ一硫酸などとの混合を、ノズル部12内ではなく洗浄対象物Wの上で行ってもよい。
また、本発明は、有機物からなるレジストの除去だけでなく、金属不純物の除去、パーティクル除去、ドライエッチング残渣の除去にも、同様に使用できる。
さらに、本発明は、上述の不純物の洗浄を行う電子デバイス(例えば、半導体装置や表示装置用の素子など)に関係するものの製造に適用できる。
本発明の第1の実施の形態に係る洗浄方法を例示するフローチャートである。 本実施形態の洗浄方法を実施することができる洗浄システムを例示する模式図である。 ノズル部12内で酸化性溶液と、過酸化水素水または純水と、を混合した時の溶液の温度変化を混合比に対して示したグラフ図である。 レジストを塗布しただけの評価試料Aについての結果をまとめた表である。 塗布したレジストに上述の量の硼素をイオン注入した評価試料Bについての結果を表す表である。 過酸化水素水を添加した場合についてさらに詳細に調べた結果をまとめた表である。 レジストに硼素のイオン注入を行った評価試料Bについて、過酸化水素水を混合した酸化性溶液の温度と剥離に要する時間との関係をまとめたグラフ図である。 本発明の第2の実施形態に係る洗浄方法における洗浄工程を例示するフローチャートである。 本実施形態において用いることができる洗浄システムを例示する模式図である。 洗浄対象物W上で酸化性溶液と過酸化水素水または純水を混合した時の、混合溶液の温度変化を混合比に対して示したグラフ図である。 本実施形態においてレジストを塗布しただけの評価試料Aを洗浄した結果をまとめた表である。 塗布したレジストに上述の量の硼素をイオン注入した評価試料Bについての結果を表す表である。 本発明の第3の実施形態に係る洗浄方法における洗浄工程を例示するフローチャートである。 本実施形態において用いることができる洗浄システムを例示する模式図である。
符号の説明
10 硫酸電解部、 12 ノズル部、 19 カバー、 20 隔膜、 26 回転テーブル、 28 タンク、 29 カバー、 30 陽極室、 32 陽極、 40 陰極室、 42 陰極、 61、61a、 61b ノズル、 62 回転テーブル、 63 回収タンク、 73 管路、 73a 開閉弁、 74 管路、 74a 開閉弁、 74b 開閉弁、 74c 排出路、 74d 管路、 74e 管路、 74f 管路、 75 排出管路、 75a 排出弁、 81 ポンプ、W ウェーハ(洗浄対象物)

Claims (7)

  1. 濃硫酸を電気分解して濃硫酸と酸化性物質を含む酸化性溶液を生成する工程と、
    前記酸化性溶液と、酸化水素と、を混合して混合熱を発生させる工程と、
    前記混合熱により加熱された前記酸化性溶液により洗浄対象物を洗浄する工程と、
    を備え、
    前記混合熱を発生させる工程における混合は、前記洗浄対象物に向けて設けられたノズルを有するノズル部内、および、前記洗浄対象物上の少なくともいずれかで行われ
    前記混合熱を発生させる工程における前記酸化性溶液と前記過酸化水素水との混合比は、1:1〜1:5であることを特徴とする洗浄方法。
  2. 前記酸化性溶液に、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸の塩、ペルオキソ二硫酸及びペルオキソ二硫酸の塩よりなる群から選ばれた少なくともいずれかをさらに添加することを特徴とする請求項1載の洗浄方法。
  3. 前記電気分解の陽極の材料として、不溶性陽極、白金、二酸化鉛及び導電性ダイヤモンドよりなる群から選択されたいずれかを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄方法。
  4. 前記電気分解の極の材料として、不溶性陽極、白金、カーボン、導電性ダイヤモンドよりなる群から選択されたいずれかを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1つに記載の洗浄方法を備えたことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  6. 前記洗浄対象物は、イオン注入されたレジストを含み、
    前記酸化性溶液を混合熱により95℃以上に加熱することにより前記レジストを剥離することを特徴とする請求項記載の電子デバイスの製造方法。
  7. 前記酸化性溶液と過酸化水素水との混合比を1:2〜1:3とすることで、
    前記酸化性溶液を前記混合熱により125℃以上に加熱することを特徴とする請求項6記載の電子デバイスの製造方法。
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