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JP5140486B2 - 防振装置 - Google Patents

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JP5140486B2 JP2008125765A JP2008125765A JP5140486B2 JP 5140486 B2 JP5140486 B2 JP 5140486B2 JP 2008125765 A JP2008125765 A JP 2008125765A JP 2008125765 A JP2008125765 A JP 2008125765A JP 5140486 B2 JP5140486 B2 JP 5140486B2
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Description

本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関するものである。
この種の防振装置として、従来から、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される外筒と、この外筒の径方向内側に配置され、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される取付け部材と、この取付け部材と前記外筒とを弾性的に連結するとともに、外筒の一端開口部を閉塞する弾性体と、前記外筒の他端開口部を閉塞するダイヤフラムと、前記外筒の内側において、前記弾性体およびダイヤフラムで閉じられた液体封入空間を、前記弾性体を隔壁の一部とする主液室と、前記ダイヤフラムを隔壁の一部とする副液室と、に区画し、かつこれらの両液室を互いに連通するオリフィス通路が形成された仕切り部と、を備える構成が知られている。
この防振装置においては、路面の凹凸等により大振幅の振動が入力されて主液室の液圧が急激に上昇した後、例えば弾性体のリバウンド等によってこれとは逆方向の入力があったときに、主液室が負圧になることがある。この際、主液室内の液中に多数の気泡が生成されるキャビテーションが発生する。その後、主液室内の液圧が上昇するのに伴って気泡が液中から消滅する時に衝撃波が発生し、この衝撃波に起因して防振装置から異音が発生することがある。
このような異音の発生を防ぐ手段として、例えば下記特許文献1に示されるように、ダイヤフラムの変形を規制する規制部材を設ける構成が知られている。この規制部材を設けることによって、防振装置に大振幅の振動が入力されたときに、ダイヤフラムの膨張変形を規制して主液室から副液室への液体の流入を抑えて主液室の液圧を高めることで、その後のリバウンド等により主液室の液圧が低下しても、この液圧がキャビテーションを発生させる程度まで低下するのを防ぐことが可能になる。
特開2008−2629号公報
しかしながら、前記従来の防振装置では、大振幅の振動が入力されたときに液体が主液室から副液室に流入し難くなるため、液柱共振現象を発生させることが困難になり、また主液室内の液圧が高められるため、この主液室の隔壁の一部を構成する弾性体が硬くなり、この振動を減衰および吸収するのが困難になるおそれがあった。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、キャビテーションの発生を抑えることが可能で、しかも大振幅の振動が入力された場合においてもこの振動を減衰および吸収することができる防振装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振装置は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される外筒と、この外筒の径方向内側に配置され、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される取付け部材と、この取付け部材と前記外筒とを弾性的に連結するとともに、外筒の一端開口部を閉塞する弾性体と、前記外筒の他端開口部を閉塞するダイヤフラムと、前記外筒の内側において、前記弾性体およびダイヤフラムで閉じられた液体封入空間を、前記弾性体を隔壁の一部とする主液室と、前記ダイヤフラムを隔壁の一部とする副液室と、に区画し、かつこれらの両液室を互いに連通するオリフィス通路が形成された仕切り部と、を備える防振装置であって、前記液体封入空間には、前記取付け部材および弾性体のうちの少なくとも一方に連結されるとともに前記外筒の軸方向における他端側に向けて延びる可動部材と、前記仕切り部に連結されるとともに可動部材の前記軸方向における他端側の先端部に前記軸方向の他端側から対向するストッパ部材と、が配設され、前記外筒または取付け部材に、前記軸方向に沿った閾値以上の振幅の振動が入力され、これらの外筒および取付け部材が相対的に前記軸方向に沿って変位して前記主液室内が加圧されたときに、前記可動部材の先端部がストッパ部材に当接することにより前記仕切り部が前記軸方向の他端側に向けて移動させられる構成とされ、前記ダイヤフラムの外周縁部には樹脂材料若しくは金属材料で形成されたリング部材が埋設されるとともに、このリング部材が前記外筒の他端開口部内に嵌合され、前記リング部材および仕切り部は、ゴム状弾性材でリング状に形成された第1緩衝部材を前記軸方向に挟み込んでいることを特徴とする。
この発明では、外筒または取付け部材に、前記軸方向に沿った閾値以上の振幅の振動が入力され、これらの外筒および取付け部材が相対的に前記軸方向に沿って変位して前記主液室内が加圧されたときに、前記可動部材の先端部がストッパ部材に当接することにより前記仕切り部が前記軸方向の他端側に向けて移動させられる。この際、主液室の内容積が増大することにより、この主液室内における液体の内容量を増大させることが可能になる。したがって、この後に例えば弾性体のリバウンド等によって、外筒および取付け部材が相対的に前記軸方向に沿って前述とは逆方向に変位したときに、主液室が負圧になるのを抑えることが可能になり、主液室内でキャビテーションが発生するのを抑制することができる。
しかも、以上のように仕切り部を前記軸方向の他端側に向けて移動させると、主液室の内容積が増大することから、その内圧の上昇が抑制されるとともにオリフィス通路で目詰まりが生じ難くなる。したがって、液柱共振現象を発生させかつ弾性体の柔軟性を維持することが可能になり、前述の振動を確実に減衰および吸収させることができる。
以上より、キャビテーションの発生を抑えることが可能で、しかも大振幅の振動が入力された場合においてもこの振動を減衰および吸収することができる。
さらに前述のように、主液室の内容積が増大することで主液室の内圧上昇を抑えられることから、外筒内に配設された例えば仕切り部等の部材が主液室の内圧上昇によってぐらついて外筒の内周面に衝突することで異音が生ずるのを抑制することができる。
また、リング部材および仕切り部が、ゴム状弾性材でリング状に形成された第1緩衝部材を前記軸方向に挟み込んでいるので、外筒または取付け部材に、前述のように閾値以上の振幅の振動が入力されたときに、仕切り部が第1緩衝部材を圧縮変形させながら前記軸方向の他端側に向けて移動することになる。したがって、仕切り部を前述のように移動させる構成を採用したことによって、仕切り部とリング部材とが衝突して異音が生ずるのを防ぐことができるとともに、この防振装置にシェイク振動やアイドル振動が入力されたときには、仕切り部を動作させ難くすることができる。
また、前記可動部材は、その先端部が副液室内に位置するように前記仕切り部を貫いて配設され、この仕切り部と前記可動部材との間には、可動部材が前記軸方向に沿って移動自在にかつ液密に挿通されたシールリングと、ゴム状弾性材でリング状に形成されるとともに前記シールリングをその径方向外方から覆う第2緩衝部材と、が設けられてもよい。
この場合、可動部材が仕切り部を貫いて配設されているので、外筒または取付け部材に、前記軸方向に沿った閾値以上の振幅の振動が入力され、これらの外筒および取付け部材が相対的に前記軸方向に沿って変位して前記主液室内が減圧されたときに、可動部材の先端部を仕切り部に当接させることで、この変位を規制することが可能になり、主液室内が負圧になるのを抑えてキャビテーションの発生を抑制することができる。
さらに、この可動部材が、仕切り部との間に配設されたシールリング内に前記軸方向に沿って移動自在にかつ液密に挿通されているので、主液室と副液室とが短絡的に連通することで所望の減衰性能が得られ難くなるのを防ぐことができる。
さらにまた、第2緩衝部材が、仕切り部と可動部材との間に設けられているので、外筒または取付け部材に前記軸方向以外の例えば径方向に沿った振動が入力され、これに追従して前記可動部材および仕切り部が相対的に移動しようとしたときに、この移動を互いが拘束し合うことにより、可動部材に大きな負荷が加えられようとしても、この負荷を前記第2緩衝部材によって緩和することが可能になり、可動部材の破損を抑制することができる。
この発明によれば、キャビテーションの発生を抑えることが可能で、しかも大振幅の振動が入力された場合においてもこの振動を減衰および吸収することができる。
以下、本発明に係る防振装置の一実施形態を、図1および図2を参照しながら説明する。この防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される外筒11と、この外筒11の径方向内側に配置され、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される取付け部材12と、この取付け部材12と外筒11とを弾性的に連結するとともに、外筒11の一端開口部を閉塞する弾性体13と、外筒11の他端開口部を閉塞するダイヤフラム14と、外筒11の内側において、弾性体13およびダイヤフラム14で閉じられた液体封入空間16、17を、弾性体13を隔壁の一部とする主液室16とダイヤフラム14を隔壁の一部とする副液室17とに区画する仕切り部15と、を備えている。
なお、これらの各部材は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置させられて配置されている。以下、この共通軸を軸線Oといい、また、この軸線Oに沿った方向を上下方向といい、さらに、外筒11の軸方向一端部側を下側、外筒11の軸方向他端部側を上側という。
また、前記液体封入空間16、17には、例えばエチレングリコール、水、若しくはシリコーンオイル等が封入される。さらに、主液室16は、弾性体13の変形に伴い内容積が変化し、副液室17は、封入された液体の圧力変化に応じてダイヤフラム14が変形することで内容積が変化するようになっている。
また、この防振装置10が例えば自動車に装着された場合、取付け部材12が振動発生部としてのエンジンに連結される一方、外筒11がブラケットBを介して振動受部としての車体に連結されて用いられる。
外筒11は、下側の小径部11aと、上側の大径部11bと、これらの小径部11aと大径部11bとを連結する段部11cと、を備え、これら11a〜11cが前記軸線Oと同軸に配置されて例えば金属材料等で一体に形成されている。
また、取付け部材12は、図示の例では、内周面に雌ねじ部が形成された筒状体12aと、この筒状体12aの軸方向他端面に軸方向外方に向けて突設された壁部12bと、を備えている。そして、筒状体12aは、その軸方向一端部が外筒11の下端開口面よりも下方に突出した状態で、前記軸線Oと同軸に設けられている。
弾性体13は、筒状体12aのうち外筒11の内側に位置する部分、および壁部12bが内部に埋設されるブロック状の本体部13aと、筒状体12aの外周側から径方向外方に向かうに従い漸次下方に向けて延びる脚部13bと、この脚部13bの先端から外筒11の内周面に沿って上方に向けて延びる被覆部13cと、を備え、これら13a〜13cが例えばゴム状弾性材等で一体に形成されている。
このうち、脚部13bの先端は、外筒11の下端部における内周面に加硫接着している。さらに、被覆部13cは、外筒11の内周面において、脚部13bの先端が加硫接着されていない部分の全域に加硫接着している。これにより、外筒11の内周面は、その全域にわたって脚部13bの先端および被覆部13cにより覆われている。
仕切り部15は、主液室16と副液室17とを連通するオリフィス通路19aが形成されたオリフィス部材19と、上下方向に互いに間隔をあけて配置された第1仕切り板21、および第2仕切り板22と、これらの仕切り板21、22同士の間に配置された可動板18と、を備えている。
図示の例では、第1仕切り板21は主液室16側に配置されるとともに、第2仕切り板22は副液室17側に配置され、それぞれの仕切り板21、22において可動板18と対向する位置に複数の流通孔23が形成されている。なお、可動板18は、ゴム状弾性材で円板状に形成されている。
ここで、オリフィス部材19はリング状に形成され、その内周面に第1仕切り板21の外周面が連結されて、これらのオリフィス部材19および第1仕切り板21は、例えば金属材料若しくは合成樹脂材料等で一体に形成されている。
オリフィス通路19aは、オリフィス部材19の外周面に形成され、その周方向に沿って延びる環状溝となっている。また、このオリフィス通路19aを画成する壁部のうち、下側に位置する一端側壁部19bおよび上側に位置する他端側壁部19cにはそれぞれ、オリフィス通路19aと主液室16とを連通する第1通路19f、およびオリフィス通路19aと副液室17とを連通する第2通路19gが各別に形成され、これらのオリフィス通路19a、第1通路19fおよび第2通路19gを通して、主液室16と副液室17とが連通している。
また、オリフィス部材19は、外筒11の大径部11bの内周面において段部11cに連なる部分に配置された状態でこの外筒11の上端部が径方向内方に折り曲げられてかしめ部11dが形成されることにより、このかしめ部11dの内面と段部11cとの間に固定されている。なお、かしめ部11dは、下側から上側に向かうに従い縮径している。
ダイヤフラム14は、外筒11の上端開口面から上方に向けて膨出した逆椀状に形成され、その下端開口部(外周縁部)に樹脂材料若しくは金属材料で形成されたリング部材20が埋設されている。そして、このダイヤフラム14は、リング部材20が外筒11の上端開口部内に嵌合されることにより外筒11の上端開口部を閉塞している。なお図示の例では、リング部材20は、外筒11のかしめ部11d内に嵌合されている。
そして、本実施形態では、リング部材20および仕切り部15は、ゴム状弾性材でリング状に形成された第1緩衝部材24を前記軸線O方向に挟み込んでいる。この第1緩衝部材24は、リング部材20の下端とオリフィス部材19の他端側壁部19cの上面とにより前記軸線O方向に圧縮変形させられた状態で挟み込まれている。なお、第1緩衝部材24の厚さは、被覆部13cよりも厚くなっている。また、第1緩衝部材24は、被覆部13cおよびダイヤフラム14とは一体に形成されておらず別体となっている。つまり、第1緩衝部材24は、リング部材20の下端およびオリフィス部材19の他端側壁部19cにより前記軸線O方向に挟み込まれることで固定されている。
さらに本実施形態では、前記液体封入空間16、17に、取付け部材12および弾性体13のうちの少なくとも一方に連結されるとともに上方に向けて延びる可動部材25が配設されている。図示の例では、可動部材25は、基端が取付け部材12における筒状体12aと壁部12bとの連結部分に連結され、前記軸線Oと同軸上にこの軸線O方向に沿って延びるロッド状に形成されている。また、可動部材25は、弾性体13の本体部13a内を前記軸線O方向に沿って延在し、この本体部13aに加硫接着されている。以上より、図示の例では、可動部材25は、取付け部材12および弾性体13の双方に連結されている。
さらに、可動部材25は、その先端部が副液室17内に位置するように仕切り部15を貫いて配設されている。図示の例では、仕切り部15において、第1仕切り板21、第2仕切り板22および可動板18にはそれぞれ、前記軸線Oと同軸上に貫通孔が形成されており、この貫通孔内に可動部材25が挿通されている。すなわち、可動部材25は、その前記基端側から前記軸線O方向に沿って延在し前記貫通孔を通って副液室17内に到達している。そして、この可動部材25において副液室17内に位置する先端側部分には、その径方向外側に向けてフランジ部25aが突設されている。
また、本実施形態では、仕切り部15の前記貫通孔と可動部材25との間には、可動部材25が前記軸線O方向に沿って移動自在にかつ液密に挿通されたシールリング26と、ゴム状弾性材でリング状に形成されるとともにシールリング26をその径方向外方から覆う第2緩衝部材27と、が設けられている。図示の例では、シールリング26の外周面と、第2緩衝部材27の内周面とが接着されている。さらに、第2緩衝部材27の外周面は、仕切り部15の前記貫通孔のうち第1仕切り板21および第2仕切り板22に形成された部分の各内周面に接着されている。
以上より、可動部材25とシールリング26との間、シールリング26と第2緩衝部材27との間、および第2緩衝部材27と仕切り部15の前記貫通孔との間それぞれの液密性が各別に保たれている。
さらに、本実施形態では、前記液体封入空間16、17に、仕切り部15に連結されるとともに、可動部材25のフランジ部25aに上側から対向するストッパ部材28が設けられている。図示の例では、ストッパ部材28は、筒状の本体部28aと本体部28aの上端開口部を閉塞する天壁部28bとを備え、これら28a、28bが接着されて有頂筒状に形成されている。そして、このストッパ部材28における本体部28aの下端縁が、シールリング26の上端面若しくは第2緩衝部材27の上端面に接着されて前記軸線Oと同軸上に配置されている。
さらに、このストッパ部材28の内側に、可動部材25の前記先端側部分およびフランジ部25aが配設され、フランジ部25aの上面と天壁部28bの下面とが前記軸線O方向で対向している。また、可動部材25の先端がストッパ部材28の天壁部28bに形成されたガイド孔に上下動自在に嵌合されている。さらにまた、フランジ部25aの上面および天壁部28bの下面のうち少なくとも一方には、図示されないゴム状弾性部材が配設されている。
以上説明したように、本実施形態による防振装置10によれば、外筒11または取付け部材12に、前記軸線O方向に沿った閾値(例えば約3mm)以上の振幅の振動が入力され、これらの外筒11および取付け部材12が相対的に前記軸線O方向に沿って変位して主液室16内が加圧されたときに、可動部材25のフランジ部25aが、ストッパ部材28の天壁部28bに当接してこの天壁部28bを押し上げることにより、オリフィス部材19の他端側壁部19cの上面が、第1緩衝部材24をリング部材20の下端との間で前記軸線O方向に圧縮変形させながら、仕切り部15の全体が一体に上方に向けて移動させられる。
この際、主液室16の内容積が増大することにより、この主液室16内における液体の内容量を増大させることが可能になる。したがって、この後に例えば弾性体13のリバウンド等によって、外筒11および取付け部材12が相対的に前記軸線O方向に沿って前述とは逆方向に変位したときに、主液室16が負圧になるのを抑えることが可能になり、主液室16内でキャビテーションが発生するのを抑制することができる。
しかも、以上のように仕切り部15を上方に移動させると、主液室16の内容積が増大することから、その内圧の上昇が抑制されるとともにオリフィス通路19aで目詰まりが生じ難くなる。したがって、液柱共振現象を発生させかつ弾性体13の柔軟性を維持することが可能になり、前述の振動を確実に減衰および吸収させることができる。
以上より、キャビテーションの発生を抑えることが可能で、しかも大振幅の振動が入力された場合においてもこの振動を減衰および吸収することができる。
さらに前述のように、主液室16の内容積が増大することで主液室16の内圧上昇を抑えられることから、外筒11内に配設された例えば仕切り部15等の部材が主液室16の内圧上昇によってぐらついて外筒11の内周面に衝突することで異音が生ずるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、リング部材20および仕切り部15が、ゴム状弾性材でリング状に形成された第1緩衝部材24を前記軸線O方向に挟み込んでいるので、外筒11または取付け部材12に、前述のように閾値以上の振幅の振動が入力されたときに、仕切り部15が第1緩衝部材24を圧縮変形させながら上方に向けて移動することになる。
したがって、仕切り部15を前述のように移動させる構成を採用したことによって、仕切り部15とリング部材20とが衝突して異音が生ずるのを防ぐことができるとともに、この防振装置10にシェイク振動(例えば、周波数が8Hz〜17Hzで振幅が±0.5mm以上)やアイドル振動(例えば、周波数が18Hz〜40Hzで振幅が±0.2mm以下)が入力されたときには、仕切り部15を動作させ難くすることができる。
さらに、本実施形態では、可動部材25が、仕切り部15の前記貫通孔内に配設されたシールリング26内に前記軸線O方向に沿って移動自在にかつ液密に挿通されているので、可動部材25が仕切り部15を貫いて配設されていることによって、主液室16と副液室17とが短絡的に連通することで所望の減衰性能が得られ難くなるのを防ぐことができる。
さらにまた、第2緩衝部材27が仕切り部15の前記貫通孔内に設けられているので、外筒11または取付け部材12に前記軸線O方向以外の例えば径方向に沿った振動が入力され、これに追従して可動部材25および仕切り部15が相対的に移動しようとしたときに、この移動を互いが拘束し合うことにより、可動部材25に大きな負荷が加えられようとしても、この負荷を第2緩衝部材27によって緩和することが可能になり、可動部材25の破損を抑制することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、主液室16が下側に位置し、かつ副液室17が上側に位置するように取り付けられて用いられる吊下げ式の防振装置10を示したが、これに限らず主液室16が上側に位置し、かつ副液室17が下側に位置するように取り付けられて用いられる圧縮式の防振装置にも適用可能である。
また、前記仕切り部15に代えて例えば、可動板18および第2仕切り板22を有さず、かつ流通孔23が形成されていない第1仕切り板21、およびオリフィス部材19が一体に形成された構成、あるいは第1仕切り板21および第2仕切り板22を有さず、かつリング状に形成されたオリフィス部材19、およびその内側を閉塞するように配設されたゴム状弾性板を有する構成等を採用してもよい。
さらに、前記実施形態では、可動部材25として取付け部材12および弾性体13の双方に連結された構成を示したが、これら12、13のうちのいずれか一方にのみ連結された構成を採用してもよい。
また、前記実施形態では、仕切り部15において第1仕切り部材21、第2仕切り部材22および可動板18に前記貫通孔を形成したが、この貫通孔は形成せずに、可動部材25における前記先端側部分およびフランジ部25aを主液室16内に位置させてもよい。さらに、フランジ部25aを設けずに、可動部材25の先端面により仕切り部15の全体を押し上げさせるようにしてもよい。
また、リング部材20、第1緩衝部材24、シールリング26および第2緩衝部材27を設けなくてもよい。
さらにまた、外筒11の内側において、段部11cとオリフィス部材19の一端側壁部19bにおける下面との間に、ゴム状弾性材でリング状に形成された緩衝部材を配置して、この緩衝部材を外筒11の段部11cおよびオリフィス部材19の一端側壁部19bにより前記軸線O方向で挟み込ませてもよい。
この場合、仕切り部15の全体が前述のように上方に向けて移動した後、元の位置に戻ったときに、オリフィス部材19の一端側壁部19bにおける下面が、外筒11の段部11cにおける内面に衝突して異音が生ずるのを防ぐことができる。
さらに、前記実施形態において、外筒11または取付け部材12に、前記軸線O方向に沿った閾値以上の振幅の振動が入力され、これらの外筒11および取付け部材12が相対的に前記軸線O方向に沿って変位して主液室16内が減圧されたときに、可動部材25のフランジ部(先端部)25aを、仕切り部15のシールリング26や第2緩衝部材27に当接させることで、この変位を規制するようにしてもよい。
この場合、主液室16が負圧になるのをより一層確実に抑えることが可能になり、キャビテーションの発生をさらに抑制することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
キャビテーションの発生を抑えることが可能で、しかも大振幅の振動が入力された場合においてもこの振動を減衰および吸収することができる。
本発明に係る一実施形態として示した防振装置の縦断面図である。 図1に示す防振装置において、仕切り部が可動部材により押し上げられた状態を示す一部縦断面図である。
符号の説明
10 防振装置
11 外筒
12 取付け部材
13 弾性体
14 ダイヤフラム
15 仕切り部
16 主液室
17 副液室
18 可動板
19a オリフィス通路
20 リング部材
24 第1緩衝部材
25 可動部材
25a フランジ部(先端部)
26 シールリング
27 第2緩衝部材
28 ストッパ部材
O 軸線(軸)

Claims (2)

  1. 振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される外筒と、
    この外筒の径方向内側に配置され、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される取付け部材と、
    この取付け部材と前記外筒とを弾性的に連結するとともに、外筒の一端開口部を閉塞する弾性体と、
    前記外筒の他端開口部を閉塞するダイヤフラムと、
    前記外筒の内側において、前記弾性体およびダイヤフラムで閉じられた液体封入空間を、前記弾性体を隔壁の一部とする主液室と、前記ダイヤフラムを隔壁の一部とする副液室と、に区画し、かつこれらの両液室を互いに連通するオリフィス通路が形成された仕切り部と、を備える防振装置であって、
    前記液体封入空間には、前記取付け部材および弾性体のうちの少なくとも一方に連結されるとともに前記外筒の軸方向における他端側に向けて延びる可動部材と、前記仕切り部に連結されるとともに可動部材の前記軸方向における他端側の先端部に前記軸方向の他端側から対向するストッパ部材と、が配設され、
    前記外筒または取付け部材に、前記軸方向に沿った閾値以上の振幅の振動が入力され、これらの外筒および取付け部材が相対的に前記軸方向に沿って変位して前記主液室内が加圧されたときに、前記可動部材の先端部がストッパ部材に当接することにより前記仕切り部が前記軸方向の他端側に向けて移動させられる構成とされ
    前記ダイヤフラムの外周縁部には樹脂材料若しくは金属材料で形成されたリング部材が埋設されるとともに、このリング部材が前記外筒の他端開口部内に嵌合され、
    前記リング部材および仕切り部は、ゴム状弾性材でリング状に形成された第1緩衝部材を前記軸方向に挟み込んでいることを特徴とする防振装置。
  2. 請求項1記載の防振装置であって、
    前記可動部材は、その先端部が副液室内に位置するように前記仕切り部を貫いて配設され、この仕切り部と前記可動部材との間には、可動部材が前記軸方向に沿って移動自在にかつ液密に挿通されたシールリングと、ゴム状弾性材でリング状に形成されるとともに前記シールリングをその径方向外方から覆う第2緩衝部材と、が設けられていることを特徴とする防振装置。
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